説明

プラスチック中空板の接続構造及びプラスチック中空板システム

【課題】組立に際して広いスペースが必要になるという課題を解消する。
【解決手段】構造材2の接続面7にプラスチック中空板1の小口端面4を接続するプラスチック中空板1の接続構造であって、前記構造材2が、前記接続面7に溝71を備えたものであり、前記プラスチック中空板1が、前記小口端面4に弾性変形可能な突部62を備えたものであり、主に前記突部62の弾性変形を利用して前記突部62を前記溝71に係合させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造材にプラスチック中空板を接続するプラスチック中空板の接続構造、及びその接続構造を利用して複数枚のプラスチック中空板を連結してなるプラスチック中空板システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、軽量性や剛性に優れたプラスチック中空板は、建築材料や自動車の内装材など、種々の用途で活用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このようなプラスチック中空板を種々の用途に活用するにあたり、複数枚のプラスチック中空板を柱状の構造材を介して連結したり、プラスチック中空板の小口端面に構造材を接続してプラスチック中空板の保形性を高めたりすることが行われている。
【0004】
プラスチック中空板の小口端面に構造材を接続するための接続構造としては、プラスチック中空板の小口端面に突条を設けるとともに、構造材の接続面に溝を一端から他端に亘って連続的に設け、構造材をプラスチック中空板の小口端面に沿って長手方向にスライドさせることによって、これら突条と溝とを係合させるようにしたものが知られている。
【0005】
ところがこのようなものは、組立に際し、プラスチック中空板と構造材とを相対的にスライドさせるためのスペースを確保する必要がある。そのため、なんらかの対策が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−113383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、組立に際して広いスペースが必要になるという課題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明に係るプラスチック中空板の接続構造は、構造材の接続面にプラスチック中空板の小口端面を接続するものであって、前記構造材が、前記接続面に溝を備えたものであり、前記プラスチック中空板が、前記小口端面に弾性変形可能な突部を備えたものであり、主に前記突部の弾性変形を利用して前記突部を前記溝に係合させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
ここで、「構造材」には、床に立設される柱状のもの、または横方向に架け渡される横架材等が含まれ、換言すれば、地面に対して垂直方向にまたは一定の角度を以て伸びるものや、地面に対して水平方向に伸びるものが含まれる。この構造材の用途としては、プラスチック中空板の端面を保形するもの、または複数のプラスチック中空板の端面同士を接続するもの等が考えられる。
【0010】
このようなものであれば、構造材とプラスチック中空板との接続の際に、構造材を大きく変形させることなく、主に突部の弾性変形で係合させているため、構造材の材質を比較的頑丈なものとすることができる。その上、このような接続作業を、プラスチック中空板の小口端面と構造材の端面とを合わせることによっても行うことができる。すなわち、従来のものでは、構造材をプラスチック中空板の小口端面に沿って長手方向にスライドさせることによって、これら突条と溝とを係合する必要があったが、本発明によれば、このような従来の接続の仕方に加えて、端面同士を合わせることによる係合も可能となる。したがって、組立に際して広いスペースが必要になるという課題を解消することができる。
【0011】
特に、従来の接続構造のように、構造材をプラスチック中空板の小口端面に沿って長手方向にスライドさせることによっても、これら突条と溝とを係合することができるようにするためには、前記溝が、前記構造材の一端から他端まで連続して設けられたものであればよい。
【0012】
前記溝の好適な一態様としては、前記突部の幅よりも狭い開口幅を有する幅狭部と、突部の幅よりも広い開口幅を有する幅広部とを備えたものであり、前記幅狭部が、前記突部に対応する高さ位置にそれぞれ設けられ、対応する突部の上下方向寸法に対応する長さ寸法に設定されたものが挙げられる。
【0013】
前記突部は、前記溝の長手方向に沿って間欠的に設けられたものであってもよい。ここで、「間欠的」とは、各突部が物理的に離れており相互に独立して変形し得る場合や、一見突部が連続していても切れ目が入っているもの、すなわち隣接する各突部が接触しているが相互に独立して変形し得る場合を含む概念である。
【0014】
前記突部の具体的な一態様としては、対をなす爪を隙間を介して並設したものが挙げられる。
【0015】
前記プラスチック中空板の好適な一態様としては、内部に空洞を有するプラスチック板本体と、このプラスチック板本体の端面に設けられ前記突部を有してなる封止体とを具備してなるものが挙げられる。
【0016】
ここで、「プラスチック板本体」とは、「プラスチック気泡ボード」、「プラスチック段ボール」、及び「プラスチック折り畳みハニカムボード」、これら全てを包含する概念である。
【0017】
「プラスチック気泡ボード」とは、例えば、ポリプロピレン等の樹脂をダイから溶融した状態で押し出したシートに、多数のキャップ状の突起を真空形成し、このキャップシートの底面と頂面にそれぞれ平坦なバックシート及びライナーシートを融着させて中空構造の板としてなる成形品をいう。また、「プラスチック段ボール」とは、プラスチックの溶融押し出しにより形成された2枚のシートとそれらを連結して平行に走る多数のリブとからなる成形品をいう。また、「プラスチック折り畳みハニカムボード」とは、プラスチックシートに所定ピッチで垂直方向の部分を与え、長手方向に順次折り重ねることによって形作られるハニカム構造を有する成形品をいう。
【0018】
前記構造材が、金属製のものであり、前記封止体が、プラスチック製のものであれば、接続が容易になるとともに、所定の強度を備えたものとすることができる。
【0019】
前記プラスチック板本体の具体的な一態様としては、多数のキャップ状の突起を有するキャップシートと、このキャップシートを挟むように底面側及び頂面側に配される平坦なバックシート及びライナーシートとを備えた3層状のものが挙げられる。
【0020】
前記構造材が、複数の接続面を備えたものである場合の好適な態様としては、これら接続面に前記溝がそれぞれ設けられているものが挙げられる。具体的な例としては、構造材が、それぞれ異なる方向に開口する前記溝を3つ備え、3枚の前記プラスチック中空板を略T字状又は略Y字状に連結可能なものである態様や、構造材がそれぞれ異なる方向に開口する前記溝を4つ備え、4枚の前記プラスチック中空板を略十字状又は略X字状に連結可能なものである態様が挙げられる。
【0021】
本発明にかかるプラスチック中空板システムは、上述したプラスチック中空板の接続構造を用いて、複数のプラスチック中空板を連結してなることを特徴とするものである。このようなものであれば、プラスチック中空板同士を前記構造材を介して簡単に連結することができ、種々の用途に応用可能な実用性に富むプラスチック中空板システムとなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、組立に際して広いスペースが必要になるという課題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態にかかるパーティションシステムを示す全体正面図。
【図2】同実施形態にかかるパーティションシステムを分解して示す説明図。
【図3】同実施形態にかかるパーティションシステムを示す全体斜視図。
【図4】図1のX−X線断面図。
【図5】図1のY−Y線断面図。
【図6】同実施形態にかかる接続構造を示す説明図。
【図7】同実施形態にかかるプラスチック中空板を拡大して示す説明図。
【図8】同実施形態にかかる脚を示す側面図。
【図9】同実施形態にかかる脚の構造材への接続構造を示す説明図。
【図10】本発明の構造材の変形例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、図1ないし図9を参照して説明する。
【0025】
本実施形態は、本発明を、プラスチック中空板システムの一例であるパーティションシステムに適用したものである。
【0026】
パーティションシステムは、図1ないし図3に示すように、複数のプラスチック中空板1を床面に対して略垂直に立設する柱状の構造材2を介して左右方向に連結してなる。この実施形態では、両端のプラスチック中空板1の外側の小口端面4にも柱状の構造材2を接続しており、その構造材2を介して図示しない他のプラスチック中空板を接続することもできるようにしている。図示実施形態では、両端の構造材2の下端部に転倒防止用の脚3が装着されている。そして、これらプラスチック中空板1と構造材2との接続に、本発明にかかるプラスチック中空板1の接続構造を用いている。
【0027】
すなわち、構造材2の接続面7にプラスチック中空板1の小口端面4を接続するプラスチック中空板1の接続構造は、図1ないし図6に示すように、前記構造材2が、前記接続面7に溝71を備えたものであり、前記プラスチック中空板1が、前記小口端面4に弾性変形可能な突部62を備えたものであり、主に前記突部62の弾性変形を利用して前記突部62を前記溝71に係合させるようにしたものである。
【0028】
前記構造材2は、図1ないし図6及び図9に示すように、金属製のものであり、本実施形態では、アルミニウムを押し出し成形した後に削り出し加工を施すことにより一体に作られたものである。本実施形態における構造材2は、プラスチック中空板1を平面的に接続するためのもので、対向する二面に接続面7を備えたものであり、これら接続面7に前記溝71がそれぞれ設けられている。なお、図2においては、前記溝71の形状を明示するため構造材2を90度回転させて前記溝71が正面を向くように図示している。この構造材2は、対向する二面に前記接続面7を有した四角柱状のものであり、各接続面7に溝71が設けられている。これらの接続面7は、前記プラスチック中空板1の厚み寸法に対応する一定幅寸法を有した同一形状及び寸法をなしており、これら各接続面7の巾方向中央に設けられた各溝71も、対応する形状及び寸法をなしている。前記溝71は、前記構造材2の一端から他端まで連続して設けられたもので、前記突部62の幅よりも狭い開口幅を有する幅狭部73と、前記突部62の幅よりも広い開口幅を有する幅広部74とを備えたものである。前記幅狭部73は、前記突部62に対応する高さ位置にそれぞれ設けられ、対応する突部62の上下方向寸法に対応する長さ寸法に設定されたものである。また、この幅狭部73は、開口端72の幅寸法よりも開口の内部の幅寸法の方が大きくなる形状をなしている。前記幅広部74は、両幅狭部73間に連続して設けられたもので、前記突部62を弾性変形させることなく抜き取れる開口幅を備えている。
【0029】
前記プラスチック中空板1は、図1ないし図7に示すように、内部に空洞54を有するプラスチック板本体5と、このプラスチック板本体5の端面55に設けられ前記突部62を有してなる封止体6とを具備してなるもので、これらプラスチック板本体5と封止体6とを適宜の方法、例えば熱溶着によって一体的に固着したものである。本実施形態では、1枚の矩形状をなすプラスチック板本体5の端部55を形成する四辺のうち、対向する二辺を封止可能な複数の封止体6をそれぞれ備えている。
【0030】
前記プラスチック板本体5は、図7に示すように、本実施形態では、多数のキャップ状の突起を有するキャップシート51と、このキャップシート51を挟むように底面側及び頂面側に配される平坦なバックシート52及びライナーシート53とを備えた3層状のものである。詳述すれば、本実施形態では、プラスチック板本体5として、「プラスチック気泡ボード」を適用している。このプラスチック板本体5は、製造工程において適宜の寸法に裁断され、端部55は開放されている。なお、本実施形態においては、説明の都合上、図3ないし図6では、プラスチック板本体5を中実に表しているが、図7に示すような3層状のプラスチック気泡ボードが適用されるものとする。
【0031】
前記封止体6は、図1ないし図7に示すように、プラスチック製のもので、この実施形態ではインジェクション成型等で作られている。封止体6は、プラスチック板本体5の端面55を封止する封止体本体61と、この封止体本体61の外面から突出する突部62とを具備してなる。
【0032】
前記封止体本体61は、図4ないし図7に示すように、中空状をなし、プラスチック板本体5の端部に接合した状態において前記プラスチック板本体5の端面55に当接する内面部611と、この内面部611の一端から延出されプラスチック板本体5の表面(ライナーシート53の外面)と略面一をなす表面部612と、前記内面部611の他端から延出されプラスチック板本体5の裏面(バックシート52の外面)と略面一をなす裏面部613と、前記表面部612及び裏面部613の外方端部近傍領域同士を接続し前記突部62が設けられる外面部614とを備えたものである。
【0033】
前記突部62は、図2ないし図7に示すように、前記溝71の長手方向に沿って間欠的に設けられたものであり、本実施形態では、突部62として単純な直線状のものを適用している。具体的には、各突部62は、対をなす爪63を隙間64を介して並設したもので、前記隙間64は、この突部62を前記溝71に挿入する際に、対をなす爪63の内側への弾性変形を許容するためのものである。各爪63は、封止体本体61からほぼ直線状に突出する変形許容部67と、この変形許容部67の先端部に向かって傾斜させたテーパ面65と、このテーパ面65の基端側に設けられた引っ掛け部66とを備えたものである。前記変形許容部67、テーパ面65及び引っ掛け部66は、樹脂により一体に成型されている。
【0034】
前記脚3は、図1、図8及び図9に示すように、プラスチック製のもので、この実施形態ではインジェクション成型等で作られている。この脚3は、前記プラスチック中空板1及び構造材2の転倒を防止するための脚本体8と、この脚本体8の外面から突出する突部9とを具備してなる。前記突部9は、前記構造材2に設けられ溝71の幅狭部73とほぼ同形状をなす溝75の長手方向に沿って連続的に設けられたものである。具体的には、前記突部9は、対をなす爪91を隙間92を介して並設したもので、前記隙間92は、この突部9を前記溝75に挿入する際に、対をなす爪91の内側への弾性変形を許容するためのものである。各爪91は、脚本体8からほぼ直線状に突出する変形許容部95と、この変形許容部95の先端部に向かって傾斜させたテーパ面93と、このテーパ面93の基端側に設けられた引っ掛け部94とを備えたものである。前記変形許容部95、テーパ面93及び引っ掛け部94は、樹脂により一体に成型されている。
【0035】
以上に述べたように、本実施形態に係るプラスチック中空板1の接続構造によれば、構造材2が、前記接続面7に溝71を備えたものであり、前記プラスチック中空板1が、前記小口端面4に弾性変形可能な突部62を備えたものであり、主に前記突部62の弾性変形を利用して前記突部62を前記溝71に係合させるようにしたので、前記小口端面4と前記接続面7とを相寄る方向に突き合わせて嵌め合わせることができる。すなわち、従来のように組立の際、長手方向にスライド移動させることによってしか係り合わせることができないという不具合を解消し、組立に際して必ずしも広いスペースを要しなくなるという効果が得られる。
【0036】
換言すれば、本実施形態のプラスチック中空板1の接続構造によって、各プラスチック中空板1の小口端面4及び前記構造材2の接続面7がともに長尺なものであるにもかかわらず、プラスチック中空板1の突部62と構造材2の溝71とを係合させる際に、それらが対面するように位置付け、前記突部62の外方端部(換言すれば突部62の先端部)から、前記溝71に接続方向に沿って挿入することによって、突部62と溝71とが係合し、プラスチック中空板1を構造材2に接続することができる。すなわち、各プラスチック中空板1の小口端面4及び前記構造材2の接続面7がともに長尺なものである場合に、前記突部62を前記溝71の長手方向に沿った端部から挿入して係合させる態様であれば、プラスチック中空板1のサイズが大きくなればなるほど係合部の長手寸法も大きくなり、前記突部62と溝71とを係合させる作業自体が大掛かりなものとなり、スムーズに行うことが難しい。しかしながら、本実施形態のプラスチック中空板1の接続構造によれば、突部62を溝71に接続させる作業を前記突部62のテーパ面65を利用してスムーズに行うことができる。さらに、突部62の引っ掛け部66が前記開口端72に引っ掛かる係合状態において、突部62が反挿入方向へ抜け外れることを規制し、不意に解除できない良好な係合状態を実現できる。
【0037】
さらに、本実施形態では、前記構造材2に設けられた溝71が一端から他端まで連続的であるため、従来のような長手方向にスライド移動させて係り合わせることも可能である。そのため、使用者は、組み立てのスペースに応じて係り合わせ方を選択することができる。また、このようなものであれば、長手方向に相対的にスライド移動させることによって、爪63の形状を破壊することなく構造材2とプラスチック中空体との係わり合いを解除することも可能である。
【0038】
また、本実施形態においては、前記幅狭部73に隣接させて幅広部74を設けてあるので、前記突部62を弾性変形させることなく前記溝71に突部62を挿脱することも可能である。
【0039】
本実施形態における最も好ましい挿脱態様としては、前記突部62を弾性変形させて前記溝71に挿入することでプラスチック中空板1と構造材2とを接続し、前記突部62が幅広部74に対応する位置までプラスチック中空板1を構造材2に対してスライド移動させて、前記突部62を弾性変形させることなく前記溝71から抜き取ることでプラスチック中空板1と構造材2との接続を解除する態様が挙げられる。
【0040】
また、構造材2を剛性のある金属製のもので形成するとともに、突部62をプラスチックで形成しているため、構造材2の変形ではなく、突部62の弾性変形で係合させることができる。そして、この構造材2がプラスチック中空板1を保形することができる。
【0041】
前記突部62は、前記溝71の長手方向に沿って間欠的に設けられたものであるので、各突部62が相互に独立して変形することが可能であり、溝71に嵌め入れる際の弾性変形を容易に行うことができる。
【0042】
また、前記突部62が、対をなす爪63を隙間64を介して並設したものであるため、隙間64によって対をなす爪63が寄る方向への弾性変形を容易にすることができる。
【0043】
前記プラスチック中空板1が、内部に空洞54を有するプラスチック板本体5と、このプラスチック板本体5の端面55に設けられ前記突部62を有してなる封止体6とを具備してなるので、種々のプラスチック板本体5に封止体6を取り付けることによって、上述した接続構造を実現することができる。
【0044】
本実施形態においては、プラスチック板本体5として、多数のキャップ状の突起を有するキャップシート51と、このキャップシート51を挟むように底面側及び頂面側に配される平坦なバックシート52及びライナーシート53とを備えた3層状のものを用いたので、バックシート52側またはライナーシート53側のいずれを表面または裏面に表出させるかを選択することができる。また、構造材2に、このようなプラスチック板本体5を主体としたプラスチック中空板1を接続するので、軽量性及び剛性にすぐれたパーティションシステムを構築することができる。
【0045】
本実施形態においては、脚3が前記構造材2に接続されているので、複数のプラスチック中空板1を左右方向に平面的に接続した場合であっても、転倒が抑制される。さらに、この脚3は、前記プラスチック中空板1の突部62と同一断面形状をなす突部9を備えているので、前記構造材2との組合せにバリエーションを持たせることができる。また、前記脚3は、前記構造材2の接続面7と同一幅寸法を有した小口端面を有しているので、前記構造材2に脚3を接続した際に、前記構造材2の他の接続端面7と脚3の脚本体8の外面とが滑らかな面を形成し、パーティションシステムとしての美観を持たせることができる。
【0046】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0047】
構造材は、接続面が4面のものに限られず、複数面にも限られない。例えば、図10に示す構造材A2は、アルミニウムを押し出し成形することにより一体に作られたもので、各部において同一の横断面形状を備えている。構造材A2は、複数の接続面A7を備えたものであり、これら接続面A7に前記溝A71がそれぞれ設けられている。詳述すれば、この構造材A2は、八面に前記接続面A7を有した多角柱状のものであり、各接続面A7に溝A71が設けられている。前記溝A71は、前記構造材A2の一端から他端まで連続して設けられたもので、開口端A72の幅寸法よりも開口の内部の幅寸法の方が大きくなる形状をなしている。
【0048】
このような構造材A2に接続されるプラスチック中空板としては、図示は省略するが、その厚み寸法が前記接続面A7の幅寸法に対応する形状及び寸法をなしており、前記プラスチック中空板の突部が、接続面A7の巾方向中央に設けられた各溝A71と同じ形状及び寸法をなしているものが好ましい。
【0049】
また、構造材は、図示実施形態に示すような柱状のものに限られず、平板状のものであってもよい。
【0050】
さらに、構造材の上下端面に溝を封止するキャップ等を設けてもよく、このようにすれば、パーティションシステムとしての外観を向上させることができる。
【0051】
係わり合わせられる部分である突部及び溝は、それぞれ前記プラスチック中空板の長手方向全域に形成してもよい。この場合には、突部と溝とが係合する領域を有効に稼ぐことができ、これら突部と溝との係合強度を有効に向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態では、構造材のうち対向する二面を接続面としたが、三面または四面を接続面としてもよい。すなわち、それぞれ異なる方向に開口する前記溝を3つ備え、3枚の前記プラスチック中空板を略T字状又は略Y字状に連結可能なものである態様や、構造材がそれぞれ異なる方向に開口する前記溝を4つ備え、4枚の前記プラスチック中空板を略十字状又は略X字状に連結可能なものである態様であってもよい。
【0053】
プラスチック中空板の突部の形状は、図示実施形態のものに限られず、また、構造材の溝の断面形状も、プラスチック中空板の突部の形状に対応させたものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、突部の突出端部に、断面視略円弧状又は台形状等の引っ掛け部を有するものであってもよい。
【0054】
封止体は、表面部と裏面部が形成される部分よりも内側で内面部と外面部とを接続する内方起立部を備えたものであってもよい。これにより、中空状の封止体でありながら、長手方向全域に亘る内方部の強度を有効に高めることができる。
【0055】
また、封止体として、中実のブロック状のものを適用してもよい。
【0056】
封止体の材料としては、プラスチック製のものに限られないが、プラスチック製のものとしては例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ABS樹脂等を好適に使用することができる。
【0057】
プラスチック板本体として、「プラスチック気泡ボード」に替えて、前述の「プラスチック段ボール」、または「プラスチック折り畳みハニカムボード」を適用しても構わない。また、プラスチック気泡ボードの場合であっても、3層状のものに限られず、キャップシートとバックシートからなる2層状のものであってもよい。
【0058】
このように、本発明に係るプラスチック中空板の接続構造は、プラスチック中空板の構造材への接続作業を簡単に行うことができ、作業性に優れ、汎用的利用が可能となる。そのため、上記実施形態で説明したパーティションシステムとしての用途の他に、例えば、コンクリート型枠や、作業箇所の周囲を保護するいわゆる養生材等、用途に応じたサイズに設定したプラスチック中空板システムを構築することができる。この場合、各プラスチック中空板の構造材への接続作業、及び構造材への接続状態を解除する作業を現場で行うことができ、搬入・搬出時の便にも資する。
【0059】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0060】
1…プラスチック中空板
2…構造材
4…小口端面
5…プラスチック板本体
51…キャップシート
52…バックシート
53…ライナーシート
54…空洞
55…端面
6…封止体
62…突部
63…爪
64…隙間
7…接続面
71…溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造材の接続面にプラスチック中空板の小口端面を接続するプラスチック中空板の接続構造であって、
前記構造材が、前記接続面に溝を備えたものであり、前記プラスチック中空板が、前記小口端面に弾性変形可能な突部を備えたものであり、主に前記突部の弾性変形を利用して前記突部を前記溝に係合させるようにしたことを特徴とするプラスチック中空板の接続構造。
【請求項2】
前記溝が、前記構造材の一端から他端まで連続して設けられたものである請求項1記載のプラスチック中空板の接続構造。
【請求項3】
前記溝が、前記突部の幅よりも狭い開口幅を有する幅狭部と、突部の幅よりも広い開口幅を有する幅広部とを備えたものであり、前記幅狭部が、前記突部に対応する高さ位置にそれぞれ設けられ、対応する突部の上下方向寸法に対応する長さ寸法に設定されたものである請求項1または2記載のプラスチック中空板の接続構造。
【請求項4】
前記突部が、前記溝の長手方向に沿って間欠的に設けられたものである請求項1、2または3記載のプラスチック中空板の接続構造。
【請求項5】
前記突部が、対をなす爪を隙間を介して並設したものである請求項1、2、3または4記載のプラスチック中空板の接続構造。
【請求項6】
前記プラスチック中空板が、内部に空洞を有するプラスチック板本体と、このプラスチック板本体の端面に設けられ前記突部を有してなる封止体とを具備してなる請求項1、2、3、4または5記載のプラスチック中空板の接続構造。
【請求項7】
前記構造材が、金属製のものであり、前記封止体が、プラスチック製のものである請求項6記載の接続構造。
【請求項8】
前記プラスチック板本体が、多数のキャップ状の突起を有するキャップシートと、このキャップシートを挟むように底面側及び頂面側に配される平坦なバックシート及びライナーシートとを備えた3層状のものである請求項6または7記載のプラスチック中空板の接続構造。
【請求項9】
前記構造材が、複数の接続面を備えたものであり、これら接続面に前記溝がそれぞれ設けられている請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載のプラスチック中空板の接続構造。
【請求項10】
請求項9記載のプラスチック中空板の接続構造を用いて、複数のプラスチック中空板を連結してなることを特徴とするプラスチック中空板システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−256887(P2011−256887A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129363(P2010−129363)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】