説明

プラスチック光ファイバ連接ケーブル

【課題】光ファイバ素線11を被覆するシース12を樹脂で繋げ、変形可能な連接部14を有する多芯連接ケーブルについて、連接部14を曲げて個々のケーブルを束ねた後でも、曲げ癖が付きにくくする。
【解決手段】連接部14の厚みを、光ファイバ素線11を被覆するシース12の外径の2分の1以下とし、連接部を形成する樹脂として、デュロメーターD硬さが55以下である樹脂によって成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主にテレビ等の機器内配線に使用される多芯型のプラスチック光ファイバ連接ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビなどで用いられる信号伝送用の機器内配線には、銅線やケーブルが用いられてきたが、それら電子機器の薄型化、小型化を進めるために、径がより細いケーブルや、取り回しがより容易なケーブルが求められている。また、機器内ケーブルも、電気信号を伝達するメタルケーブルから、高速性を求めて光ファイバを用いたケーブルが利用されるようになってきているが、光ファイバの中でも、屈曲性や接続のし易さからプラスチック光ファイバを用いたケーブルが注目されている。
【0003】
さらに、機器内でやりとりされる信号量の増加に伴い、単線の光ファイバでは足らず、多芯のプラスチック光ファイバを一繋がりのケーブル化したものが求められるようになっている。しかし、単純に多芯を束ねただけのケーブルでは、薄型化が要求されてスペースが少なくなっている機器内配線の取り回しが困難になってしまう。一方で、単純なフラットケーブルでは隙間を通すのには有効であるが、曲げが不自由になってしまう。このため、幅が狭いところでは断面扁平形状で通過させ、曲がる部分では断面円形状に丸めて曲げることができる配線ケーブルが求められている。
【0004】
これに対して、特許文献1に記載のように、多芯でありながら、平行に並べた複数の芯線を個々に樹脂で被覆し、その被覆間を、薄肉の樹脂からなる可撓性のある連接部で、被覆を施された芯線に沿って連接させた多芯型ケーブルが提案されている。この連接部は個々の芯線をフラットな形状になるように並べて繋げており、力を加えていない状態では断面が図9のように一直線状に連なったものとなる。一方で、必要な箇所では薄肉の連接部を曲げて個々の芯線を丸く束ね、筒状のケーブルに収納し、図10のように断面円形状にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−135713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような連接ケーブルは、一般に被覆に用いられる樹脂で繋げただけでは、一旦筒状のケーブルに収納しただけで曲げ癖が付いてしまい、フラットな状態に戻せなくなる場合があった。特に、近年の電子機器内部の顕著な薄型化、複雑化に伴い、隙間を通すためのフラットな部分と曲げるための筒状部分とが複合して必要となるような場合に、予め連接ケーブルを断面円形のプラスチック製チューブに収納した形状を標準として取り回し、機器内でフラットにする必要がある箇所に用いるときには筒状のチューブを裂いて、一部だけをフラットにしたいような場合には、曲げ癖が付いてしまうとフラットにならず、狭い箇所への取り回しができなくなることがあった。
【0007】
そこでこの発明は、断面円形又は断面楕円形と断面扁平形状とに相互に変形できる連接部を有する多芯連接ケーブルにおいて、曲げ癖が残りにくく、上記チューブから開放した部分のように一旦連接部を曲げた場合でも曲げ癖が付きにくく、曲げていた部分が速やかに平面状に戻り、フラットケーブルとして取り扱えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、連接部の厚みを、光ファイバ素線とそれを被覆するプラスチック製のシースからなる光ファイバコードの外径の2分の1以下とし、
なおかつ、連接部を形成する樹脂として、デュロメーターD硬さが55以下である樹脂によって成形することにより、上記の課題を解決したのである。デュロメーターD硬さが55を超えると、硬すぎるために一旦曲げてしまうと容易には元の形状には戻らず、曲げ癖が付きやすいものとなってしまう。より好ましくは50以下である。一方、デュロメーターD硬さの下限は35であるとよい。35未満では柔らかすぎて、連接部のコシが無いために取り扱いが困難になってしまう。なお、この出願において光ファイバ素線とは、コア及びクラッドを共にプラスチックとする光ファイバをいう。個々の光ファイバ素線は互いに間隔を空けて平行に配置される位置関係となり、それらはシースと連接部によって接続される。
【0009】
また、上記のデュロメーターD硬さの条件を満たす範囲で、なおかつ、190℃におけるメルトフローレートを選択した樹脂を使用することにより、連接部のより適切な調製が可能となる。メルトフローレートは樹脂の流動性を示す値でもあるが、100g/10minを超えると、成形性が悪くなり、可撓性のある連接部を適切かつ均一な厚みに調製することが難しくなり、薄い箇所から破れが生じてしまうおそれがあるため、曲げからの回復が出来なくなるおそれがある。一方で、10g/10min未満であると、押出加工時に剪断発熱により樹脂の温度が高くなり、プラスチック光ファイバの光損失が悪化することで光伝送特性が悪化する。なお、一般的にケーブルの被覆に用いる樹脂のメルトフローレートは0.1〜5g/10minであり、この発明で用いる樹脂はそれよりも大きく値が外れたものである。また、上記のメルトフローレートの値は、JISK6922に従い、190℃、2.16kgの条件で測定した値である。
【0010】
上記の適切な物性に調製することに適した樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂や、低密度ポリエチレン(LDPE)若しくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はそれらポリエチレンと他の樹脂との混合樹脂が挙げられる。LDPEやLLDPEは、単独でデュロメーターD硬さが上記の条件を満たすものであるが、好適な樹脂との混合により、結晶性を下げて非晶質に近づけることで、曲げ癖をより付きにくくすることができる。また、LDPE及びLLDPEは、メルトフローレートが比較的高く、好適な樹脂を重量比で1割以上含むと成形性等の特性が好ましいものとなる。
【0011】
具体的な混合樹脂の例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)との重量比90:10〜40:60の混合樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と塩素化ポリエチレン(CPE)との重量比90:10〜40:60の混合樹脂が挙げられる。LDPEやLLDPEの混合樹脂の中でも特にこれら二つの混合樹脂は被覆除去性がよいため、連接部及びシースを剥がして光ファイバ素線を露出させ、多芯一括コネクタに繋げる際の取り付け作業性がよいという効果がある。
【0012】
LLDPEとEPDMとの混合樹脂では、EPDMの重量比が10より小さいと、硬すぎて曲げ癖がつきやすく、問題がほとんど解決できなくなってしまうとともに、成形性も悪くなってしまう。一方で、EPDMが60より多いと、押出加工時に剪断発熱により樹脂の温度が高くなり、光ファイバの光損失が増加し、光伝送特性が悪化する。すなわち、この限界値は上記のメルトフローレートが低すぎる場合に対応する。
【0013】
一方、LLDPEとCPEとの混合樹脂でも同様に、CPEの重量比が10より小さいと、硬すぎて曲げ癖がつきやすく、問題がほとんど解決できなくなってしまうとともに、成形性も悪くなってしまう。一方で、CPEが60より多いと、押出加工時に剪断発熱により樹脂の温度が高くなり、光ファイバの光損失が増加し、光伝送特性が悪化する。上記と同様、この限界値は上記のメルトフローレートが低すぎる場合に対応する。
【0014】
これらの樹脂は、連接部にのみ用いてもよいし、光ファイバ素線を覆うシースと連接部とを一体成形してもよい。
【0015】
上記のような樹脂を用いて曲げ癖をつきにくくした連接ケーブルは、一方で、曲げやすく、かつ曲げを戻しやすい形状であることが望ましい。具体的には、上記連接部は、被覆した二つの光ファイバコードの間を、シースを円と仮想して二つの円を繋ぐ接線のうち、交差しない接線のうちの一本に沿って連接したものであり、なおかつ、三本以上ある光ファイバコードを繋ぐ二以上の連接部のうち、少なくとも一箇所は、連続しない接線となっているものが望ましい。一方のみの接線に沿って連続したものであると、内曲げか外曲げの一方にしか対応できず、曲げが不自由になる。これは、連接部を全て外側に向くように連接ケーブルを束ねると、束ねた連接ケーブルを曲げたときに、外側となる連接部と内側となる連接部との曲率半径の差が大きくなりすぎ、連接部にかかる負荷が大きくなってしまうためである。
【0016】
より好ましくは、隣接する連接部の接点は、それらが接続している一の光ファイバコードに対して、180度の位置関係にある状態である。これはすなわち、連接部を断面扁平形状に延ばして広げたとき、連接部は上下位置に交互に設けてある状態である。ただし、連接される光ファイバコードが5芯以上となる場合には、一部の連接部同士が連続していてもよい。全ての連接部が交互に設けてあると、取り回しが困難になる場合があるためである。
【0017】
連接させる光ファイバコードは、3芯以上である。2芯では芯を束ねて筒状のチューブに収容することによる効果がほとんど無い。芯数は特に上限があるわけではないが、8芯以上である場合には、少なくとも隣接する連接部4つのうち1つは、上下位置が交互になっていると好ましい。上下位置が交互になっており、断面が線対称であると特に収容しやすく好ましい。なお、10芯を超えると個々の光ファイバコードが干渉しやすくなるため、現実的ではない。
【0018】
この発明を用いる光ファイバ素線の外径は0.25mm以上3mm以下であると好ましい。0.25mmより細いと取り扱いや接続のしやすさ等のプラスチック光ファイバのメリットを損ねてしまう。一方で、3mmを超えると曲げにくくなりすぎてこの発明にかかる連接ケーブルのメリットがほとんど活かせなくなる。また、上記光ファイバ素線を被覆するシースの厚みは0.1mm以上0.5mm以下であると好ましい。0.1mm未満では被覆の効果が十分でなく、一方で0.5mmを超えると無駄に光ファイバコードが太くなりすぎて取り回しを阻害することとなってしまう。従って、上記光ファイバ素線と上記シースからなる光ファイバコードの外径dは、0.45mm以上4mm以下が好ましい範囲となる。
【0019】
また、連接部の厚みTは、曲げを容易にするために、0.5mm以下であると好ましい。一方で、厚みTは0.1mm以上でないと、曲げる際に破れが生じる可能性が無視できないものとなってくる。好ましくは0.2mm以上である。また、収容時の取り回しを容易にするため、上記光ファイバコードとの関係では、厚みTが光ファイバコードの外径dの2分の1以下である必要があり、好ましくは外径dの6分の1以下である。
【0020】
さらに、連接部により離れている光ファイバ素線の中心間距離Lは光ファイバコードの外径dの1倍以上3倍以下であるとよい。好ましくは1.5倍以上である。
【発明の効果】
【0021】
上記条件を満たす樹脂により連接部を形成させた連接ケーブルにより、曲げ癖が付きにくく、扁平状な部分と筒状の部分とを使い分けての取り回しが容易になり、狭く複雑な電子機器の内部における信号ケーブルの配置が容易となる。直線部分や狭い部分には扁平状となる部分により配線を行い、扁平状のままでは曲げが難しくなる方向への曲がり部分は筒状部分により配線を行うことで、複雑かつ狭い電子機器内でも有効な取り回しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第一の実施形態にかかる四芯からなる連接ケーブルの概略図
【図2】図1のA−A断面図(外力を加えない扁平形状での断面図)
【図3】図1のB−B断面図(チューブによる筒状形状での断面図)
【図4】第一の実施形態にかかる連接ケーブルのチューブへの別の収容方法を示す断面図
【図5】複数の連接ケーブルを一つのチューブに収容した断面図
【図6】第一の実施形態にかかる連接ケーブルを平面から立ち上がる方向に曲げた際の概略図
【図7】第二の実施形態にかかる六芯からなる連接ケーブルの断面図
【図8】第三の実施形態にかかる五芯からなる連接ケーブルの断面図
【図9】第四の実施形態にかかる連接部を一直線上に連なるように形成させた連接ケーブルの断面図
【図10】第四の実施形態にかかる連接ケーブルをチューブに収容した断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明を実施する具体的な実施形態について説明する。
この発明にかかる光ファイバ連接ケーブルは、個々の光ファイバ素線11を樹脂で被覆し、その被覆したシース12の間を、薄肉の樹脂からなり可撓性のある連接部14で連接させた多芯型ケーブルであり、その連接部14に、デュロメーターD硬さが55以下の樹脂を用いたものである。その第一の実施形態を図1〜図3に示す。図1はこの第一の実施形態の連接ケーブルの、断面筒状部分と断面扁平形状とを切り替える部分の概略図である。図2は、この実施形態にかかる連接ケーブルの、断面扁平形状となる部分(図1中のA−A)の断面図である。図3は、この実施形態にかかる連接ケーブルの、断面円形となる部分(図1中のB−B)の断面図である。
【0024】
この第一の実施形態では、四本の光ファイバ素線11を個々に被覆したシース12を有しており、外部から力を加えていない開放状態では、この光ファイバ素線11とそれを被覆するシース12からなる光ファイバコード13が、図1及び2に示すように一列に並ぶ。これら個々の光ファイバコード13を繋ぐ連接部14は、内側の二本の光ファイバコード13a、13aを繋ぐ連接部14aと、内側の光ファイバコード13a及び外側の光ファイバコード13bを繋ぐ連接部14bとが、上下方向に交互に設けて、連接ケーブル10を形成している。
【0025】
上記連接部14を形成する方法としては、このシース12と連接部14とは同一の樹脂で一体となるように押出成形しても良いし、一旦プラスチックの光ファイバ素線11を被覆専用の樹脂で被覆してシース12を形成させた後、本願発明で用いるデュロメーターD硬さの条件を満たす樹脂で連接部14を形成してもよい。
個別に形成させると製造の工程が増えるという欠点があるが、シース12と連接部14とがそれぞれに適した樹脂から構成されるため、物性上より優れた連接ケーブル10となる。
【0026】
上記連接部14の厚みTは、0.5mm以下であるとよく、シース12の外径dの2分の1以下である必要がある。それより厚いと光ファイバ素線11を束ねるために連接部14を適切な角度にまで曲げることが困難になってしまうからである。一方、厚みTは少なくとも0.1mm以上である必要がある。0.1mm未満では薄すぎて強度に問題があり、破れが生じる可能性があるためである。
【0027】
また、上記連接部14の長さ(中心間距離L)は、シース12の外径dの1倍以上3倍以下である必要があり、1.5倍以上であると好ましい。1倍未満であると遊びが少なすぎて、光ファイバ素線11を束ねるために連接部14を十分に曲げることが困難となる可能性が高くなる。一方で、3倍を超えると無駄に光ファイバ素線11間が開きすぎてしまい、連接部14を曲げたときに邪魔となり、チューブ16への収容が難しくなったり、無駄にチューブ16を太くせざるを得なくなり、かえって機器内部での取り回しが困難になってしまう。
【0028】
なお、個々の中心間距離Lは等ピッチであると好ましいが、上記の値の範囲であれば異なっていてもよい。
【0029】
また、個々の光ファイバ素線11は同一のものであると好ましいが、必ずしも同一でなくてもよい。光ファイバ素線11の径が異なる場合、上記の外径dを基準としたサイズは、最大の径を有する光ファイバコード13の外径dを基準にするとよい。
【0030】
さらに、この発明で上記の寸法からなる連接部14を形成させる樹脂は、デュロメーターD硬さが55以下である。単純に被覆に用いる樹脂をそのまま転用するのではなく、この条件を満たす樹脂を用いることによって、形成された連接部は曲げ癖が付きにくく、個々のコード13を束ねていたとしても、開放により速やかに扁平形状に戻すことができるようになる。
【0031】
さらにまた、上記連接部14を形成させる樹脂は、上記のデュロメーターD硬さの条件に加えて、190℃におけるメルトフローレートが10g/10min以上、100g/10min以下である条件を満たすものであると好ましい。メルトフローレートの値がこの条件を満たすことで、上記のサイズの条件下における成形性がよくなり、かつ、光ファイバの光損失の増加を避けることができる。
【0032】
上記樹脂の具体的な曲げ癖の付きにくさとしては、厚さ1mmのシートとしたときに、内径25mmφの筒に60分保持し、解放後60分経過後に扁平形状へ戻りつつあるシートの曲率半径が80mm以上となるものであれば好ましい。なお、この曲率半径は大きいほど好ましく、無限大、すなわち完全な平面に戻るのが最も好ましい。
【0033】
このような値を満たす樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂や、LDPE若しくはLLDPE又はそれらとその他の樹脂との混合樹脂が挙げられる。LDPE又はLLDPEと混合する樹脂としては、EPDMやCPEが挙げられる。特に、LDPEやLLDPEに適切な樹脂を混合することで、上記の樹脂に求められる物性を満足しやすいものとなる。
【0034】
このように形成された連接ケーブル10を、チューブ16に収容する。上記連接ケーブル10は、断面扁平形状のままでは、扁平状部と同一平面で曲げようとしても、曲げの内側と外側との曲率半径が違いすぎてほとんど曲げることができない。しかし、上記の通り、図1及び図3に示すような断面円形のチューブや断面楕円形のチューブに収納し、又はスパイラル状の結束具や抜け止めのついた結束具などでコードを結束し、断面円形又は断面楕円形とすることで、角度自在に曲げることができるようになる。収容する際には、図3の断面図に示すように、連接部14を曲げてコード13を束ねる。ここで連接部14の曲げ方は、より多くの連接部が束の中央に集まるようにするとよい。束の中心に近いほど、曲げる際の内側と外側との曲率半径の差が小さくなり望ましいが、一方で、中心に連接部が集まりすぎると、束の見かけの外径を小さくすることを阻害してしまう。しかし、少なくとも一部の連接部を交互に設けることで、この問題は解決される。
【0035】
上記の連接ケーブル10の全体を予めチューブ16に収めておいてもよいし、必要に応じて一部をチューブ16に収容してもよい。予めチューブ16に収めておき、必要に応じてチューブ16を破いて連接ケーブル10を露出させる方が、機器内への取り付けが簡便にできる。また、この発明にかかる連接ケーブルの連接部は上記の条件を満たすものであるため、チューブ16から開放されると、ほとんど曲げ癖を残すことなく、扁平形状に戻る。一方で、扁平形状のまま取り回すべき部分が長い場合などには、連接ケーブル10を扁平形状のまま配線し、必要な曲げ部分のみチューブに収容して曲げ形状を作るとよい。
【0036】
なお、図4のように、外側に連接部14がより多く配されるように曲げて収容することも可能である。ただし、この収容方法は、図3のように中心側に連接部14が配される構造よりも曲率半径の差が大きく、連接部14にかかる負担がやや大きくなる。
【0037】
チューブ16の内径は、少なくとも連接部で変形させた連接ケーブル10が収容できるものである必要がある。一方で、内径が大きすぎると光ファイバ素線11を束ねることができず、チューブ16の内部で連接ケーブル10が開放状態に近くなってしまう。この第一の実施形態のように四芯からなる場合、内径は中心間距離Lの2倍以下であると好ましい。
【0038】
また、チューブ16に覆われた部分(図1の奥側に相当する。)と、断面扁平状の開放状態とした部分(図1の手前側に相当する。)との間の変形部17は、樹脂テープなどで覆っておくとよい。
【0039】
この第一の実施形態にかかる連接ケーブル10は、単独で一つのチューブ16に収容してもよいが、伝送量を確保するために、複数の連接ケーブル10を束ね、互いに外側のコード13bを連接部14bで挟むようにしてまとめ、それらを一括して収容する断面円形又は断面楕円形のチューブ19に収容してもよい。断面楕円形のチューブ19に連接ケーブル10を四本束ねて収容した状態の断面図を図5に示す。中央の連接部14aと両端の連接部14b,14bとが互い違いの構造となっていることにより、曲げた連接ケーブル10同士を深く噛み合わせることができるので、複数の連接ケーブルを一本のチューブに収容する際には、従来の連接ケーブルを束ねて収容する場合よりも、チューブの径を小さくすることができる。
【0040】
この実施形態にかかる連接ケーブル10は、連接部14の扁平状部と同一平面方向への曲げを行う場合に、そのまま曲げてしまうと、曲げの内側になる部分と曲げの外側になる部分との曲率半径が違いすぎて、連接ケーブル10に大きな負荷がかかり、破断するおそれがある。そこで図1奥に示すように、連接部14を曲げて左右対称となるようにチューブ16に収容するとよい。この曲げは図3における左右方向への曲げになり、二つの連接部14b、14bがチューブ16の中心付近で近接しているため、曲げの内側になって収縮させる力がかかる連接部14bと曲げの外側になって伸ばす力がかかる連接部14aとの差が小さく、曲げやすい。一方、連接部14の扁平状部により形成される平面から立ち上がる方向への曲げを行う場合には、個々の光ファイバコード13が曲げられる範囲であれば自在に曲げることができる。この場合の曲げた状態の例を図6に示す。
【0041】
次に、第二の実施形態にかかる連接ケーブル20について説明する。図7はこの実施形態にかかる連接ケーブル20の断面図である。これは六芯の光ファイバコード21を連接部22で繋げたものである。個々の連接部22は、第一の実施形態と同様に、個々のコードの断面を円形としたときの接線に相当する位置に設けてある。このうち、中央の二つの光ファイバコード21同士を繋ぐ連接部22aと、その両隣の連接部22bが交互になるように形成されており、両端の連接部22cは、隣の連接部22bと一繋がりに形成されている。この連接部22aと連接部22bとが交互に設けられていることにより、全ての連接部22が一連のものとなっている場合よりも曲げやすく、曲げ癖も付きにくいものとなる。
【0042】
さらに、第三の実施形態にかかる連接ケーブル25について説明する。図8はこの実施形態にかかる連接ケーブル25の断面図である。これは五芯の光ファイバコード26を連接部27で繋げたものである。個々の連接部27の個々のコードに対する位置は上記第一、第二の実施形態と同様である。このうち、中央の光ファイバコード26aに繋がる二つの連接部27aは一繋がりに連続して形成されており、これらと、両端の連接部27bとが交互になるように形成されている。収容する際には、中央の連接部27aが外側に、両端の連接部27bが内側に折り込まれるように連接部を曲げると、個々の連接部同士が干渉しにくく、かつ、連接ケーブル25全体をチューブに収容して曲げたときにかかる力が比較的小さくて済み、曲げ癖も付きにくくなる。
【0043】
これらの第二、第三の実施形態において、連接部22a,22b,22c,27a,27bを構成する樹脂、厚みT、及び中心間距離Lの好ましい条件は第一の実施形態の連接部14と同様となる。
【0044】
さらに、第四の実施形態にかかる連接ケーブル30について説明する。この連接ケーブル30の形態自体は公知のものであるが、この発明にかかる連接ケーブルは、その連接部を上記の第一の実施形態と同様の条件を満たす樹脂によって形成することで、曲げ癖を付きにくくしたものである。
【0045】
図9はこの第四の実施形態にかかる連接ケーブル30の断面図である。4芯の光ファイバコード31を連接部32で繋げた形状となっている。個々の連接部32は、個々の光ファイバ素線33の中心を通る平面を形成するように設けてある。すなわち、シース34の表面同士を繋いでいるものの、位置関係上は個々の光ファイバ素線33同士を繋げるように形成されている。
【0046】
図10は、この第四の実施形態にかかる連接ケーブル30を構成する光ファイバコード31を束ねるために連接部32を曲げて、チューブ16に収容した状態の断面図である。筒状にしてから曲げたときの個々の連接部32にかかる力はほぼ均等になるが、第一の実施形態に比べると曲率半径が小さくなるので、比較的曲げ癖がつきやすい傾向にある。
【0047】
この第四の実施形態にかかる連接ケーブル30は、チューブ16への収容にあたり、第一の実施形態にかかる連接ケーブル10と比べて、必要とするチューブ16の内径を81%にまで縮小できる。ただし、上記連接ケーブルが2本以上の場合には、第一の実施形態にかかる連接ケーブル10の方が第四の実施形態よりも互いにケーブルを深くかみ合わせることができるため、必要とする内径を小さくできる。連接ケーブルが2本の場合は、第一の実施形態では第四の実施形態の場合の88%、4本の場合は85%にまで内径を縮小できる。すなわち、コード13の接線の位置に連接部を設け、なおかつそれを交互に設けることで、特に複数の連接ケーブルを一本のチューブに収容する場合に、径を細くすることができるという利点が発揮される。
【実施例】
【0048】
以下、この発明を具体的に実施した例について説明する。まず、用いる樹脂についての検討を行った。まず、用いる樹脂について説明する。実施例1として、低密度ポリエチレン(LDPE)の単体を、実施例2として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の単体を用いた。実施例3及び4には、比重の異なるポリ塩化ビニル樹脂を用いた。実施例5〜7として、LLDPEとEPDMとの、重量混合比90:10、70:30、50:50混合樹脂を用いた。EPDM中のエチレン:プロピレン:ジエンの重量混合比は77:13:10である。混合は、ペレットのまま混ぜてそのまま押し出すドライブレンドで行った。また、これに用いるEPDMの単体での試験を参考例1として付した。さらに、実施例8〜10として、LLDPEとCPEとの、重量混合比90:10、70:30、50:50混合樹脂を用いた。この混合は、150℃でニーダー混練り後ペレット化して行った。また、これに用いるCPEの単体での試験を参考例2として付した。また、比較例として、ポリプロピレンの単独樹脂についても検証を行った、
【0049】
上記のそれぞれの樹脂について、JISK7215に従いデュロメーターD硬さを測定した。また、JISK6922に従いメルトフローレートを190℃、2.16kgの条件で測定した。さらに、引張強さ及び引張伸びをJISK7113に準拠し、試験片:2号形試験片、試験速度:45〜55mm/minで測定した。
【0050】
【表1】

【0051】
これらの樹脂について、厚さ1mm長さ50mmの連接部を模した試験片を作製し、その長さ方向に曲率半径で25mmφとなるように曲げ圧力を加えて60分間保持した。解放後、60分経過後における試験片の曲率半径を測定した。その値を表1に示す。デュロメーターD硬さが55を上回る比較例では、曲率半径は小さいままとなり、曲げ癖がはっきりと付いてしまった。また、実施例の中でも、比較的メルトフローレートの高い実施例1及び2は、ある程度曲率半径が戻ったものの、実施例3以降の樹脂と比べると、やや曲げ癖が残りやすい傾向にあることが示された。また、実施例5〜7及び実施例8〜10の全体的傾向として、デュロメーターD硬さの条件を満たした上で、メルトフローレートの値が低いほど、曲率半径が大きくなり曲げ癖が付きにくいことが示された。また、実施例5〜7から、デュロメーターD硬さが大幅に小さくなると、はっきりと曲げ癖が付きにくくなることが示された。
【符号の説明】
【0052】
10 連接ケーブル
11 光ファイバ素線
12 シース
13 光ファイバコード
13a 内側の光ファイバコード
13b 外側の光ファイバコード
14 連接部
14a (内側の光ファイバコード同士を繋ぐ)連接部
14b (内側と外側との光ファイバコードを繋ぐ)連接部
16 (断面円形状の)チューブ
17 変形部
19 (断面楕円状の)チューブ
20 (第二の実施形態にかかる)連接ケーブル
21 光ファイバコード
22a (中央の)連接部
22b (中央に隣接する)連接部
22c (両端の)連接部
25 (第三の実施形態にかかる)連接ケーブル
26 光ファイバコード
27a (内側の)連接部
27b (外側の)連接部
30 (第四の実施形態にかかる)連接ケーブル
31 光ファイバコード
32 連接部
33 光ファイバ素線
34 シース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3本以上のプラスチック製の光ファイバ素線が間隔を空けて平行に配置され、それら個々の光ファイバ素線は樹脂製のシースで被覆されており、かつ、その光ファイバ素線とシースとからなる光ファイバコード同士をその光ファイバコードに沿って接続する樹脂製の連接部を有する連接ケーブルであって、
その連接部の厚みを上記シースの外径の2分の1以下とし、その連接部を形成する樹脂が、デュロメーターD硬さが55以下の樹脂であることを特徴とする連接ケーブル。
【請求項2】
上記連接部を形成する樹脂の190℃におけるメルトフローレートが10g/10min以上、100g/10min以下であることを特徴とする請求項1に記載の連接ケーブル。
【請求項3】
上記連接部を形成する樹脂がポリ塩化ビニル樹脂、低密度ポリエチレン、又は直鎖状低密度ポリエチレンである請求項1又は2に記載の連接ケーブル。
【請求項4】
上記連接部を形成する樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレン、又は低密度ポリエチレンと、エチレン−プロピレン−ジエンゴムとを重量比90:10〜40:60で混合した混合樹脂である請求項1又は2に記載の連接ケーブル。
【請求項5】
上記連接部を形成する樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレン、又は低密度ポリエチレンと、塩素化ポリエチレンとを重量比90:10〜40:60で混合した混合樹脂である請求項1又は2に記載の連接ケーブル。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の連接ケーブルの長さ方向の少なくとも一部を、断面円形状又は断面楕円状のチューブに収容したケーブル。
【請求項7】
請求項6に記載のケーブルを用い、少なくとも上記チューブに覆われていない扁平状部分を配置し、前記扁平状部分と同一平面方向への曲がり部分には上記チューブにより断面円形状又は断面楕円状とした部分を配置する機器内配線方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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