説明

プラスチック基板及びその製造方法

【課題】プラスチック基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】プラスチック基板の製造方法は、有機基板上120に反応性モノマーを含む保護膜用組成物132を塗布するステップと、反応性モノマーを高分子化して保護膜130を形成するステップとを含む。保護膜用組成物132は、アクリレート系の低温硬化型反応性モノマーを高分子化することを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板及びその製造方法に関し、さらに詳細には、プラスチック基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器形態の多様化に伴い、これに含まれる構成要素の形態も多様に変化しつつある。例えば、既存の無機物を利用した基板の代わりに有機物を利用した多様な基板が開発されている。
【0003】
最近、フレキシブル素子に対する関心が高まるにつれて、有機物を利用した基板がさらに好まれている。有機物を利用した基板は、無機物基板とは異なり、可撓性という特性があるから、フレキシブル素子への適用が有利である。しかしながら、有機物を利用した基板の化学的及び機械的特性は、さらに補完されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国特許公開第10−2007−0005422号
【特許文献2】韓国特許公開第10−1999−0001415号
【特許文献3】米国特許第6,268、695号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする一技術的課題は、化学的安定性及び機械的安定性の改善されたプラスチック基板及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、基板損傷の最小化したプラスチック基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するためのプラスチック基板及びその製造方法が提供される。
【0008】
本発明の実施の形態によるプラスチック基板の製造方法は、有機基板上に反応性モノマーを含む保護膜用組成物を塗布するステップと、前記反応性モノマーを高分子化して保護膜を形成するステップとを含む。前記反応性モノマーは、下記の式(1)〜(3)で表される化合物から選択される少なくとも一つであり得る。
【化1】

【0009】
一実施の形態において、前記反応性モノマーを高分子化するステップは、前記組成物内に下記の式(4)及び式(5)で表される化合物から選択される少なくとも一つを添加することを含んで良く、下記の式(4)中、Xは、水素、炭素数3個以下のアルキル基、及び、炭素数3個以下のアルケニル基から選択することができる。
【化2】

【0010】
一実施の形態において、前記組成物に下記の式(6)〜式(8)で表される化合物から選択される少なくとも一つを添加することをさらに含むことができる。下記の式(6)〜式(8)のR、R及びRは、1〜30個の炭素を含み、末端に3個以下のエポキシ基を有する芳香族(aromatic)又は脂肪族(aliphatic)グループの中から選択されることができる。
【化3】

【0011】
一実施の形態において、前記組成物は、前記組成物内に分散された無機ナノ粒子をさらに含むことができる。
【0012】
一実施の形態において、前記無機ナノ粒子は、前記組成物内で分散系を構成する。
【0013】
一実施の形態において、前記無機ナノ粒子は、100nm以下の直径を有することができる。
【0014】
一実施の形態において、前記組成物内の前記無機ナノ粒子の含有量は、5〜40wt%とし得る。
【0015】
一実施の形態において、前記無機ナノ粒子は、シリコンオキサイド、チタンオキサイド、シリコンナイトライド、シリコン、スメクタイト(smectite)、カオリナイト(kaolinite)、ディッカイト(dickite)、ナクライト(nacrite)、ハロイサイト(halloysite)、アンチゴライト(antigorite)、クリソタイル(chrysotile)、パイロフィライト(pyrophyllite)、モンモリロナイト(montmorillonite)、ヘクトライト(hectorite)、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、真珠雲母、滑石、バーミキュライト(vermiculite)、金雲母、ザンソフィライト及び緑泥石の中から選択される少なくとも一つを含むことができる。
【0016】
一実施の形態において、前記組成物は、ウェット工程により塗布し得る。
【0017】
一実施の形態において、前記ウェット工程は、スピンコート、ディップコート及びバーコート方式の中から選択される少なくとも一つを含むことができる。
【0018】
一実施の形態において、前記組成物は、重合開始剤をさらに含むことができる。前記重合開始剤は、光開始剤、熱開始剤、ラジカル開始剤及び酸開始剤の中から選択される少なくとも一つであり得る。
【0019】
一実施の形態において、前記基板上に塗布される組成物は、前記反応性モノマーが溶解される有機溶媒をさらに含み、前記有機溶媒は、前記高分子化するステップ及び/又は前記高分子化以後に除去し得る。
【0020】
本発明の実施の形態によるプラスチック基板は、有機基板と、前記有機基板上の無機物及び下記の式(1)〜(3)の化合物のうちの少なくとも一つを含む反応性モノマーにより形成される有機高分子を含む保護膜とを含む。
【化4】

【0021】
一実施の形態において、前記保護膜は、前記保護膜内に分散された無機ナノ粒子をさらに含むことができる。
【0022】
一実施の形態において、前記有機高分子は、下記の式(4)及び(5)の化合物の中から選択される少なくとも一つのモノマーをさらに含み、下記の式(4)中、Xは、水素、炭素数3個以下のアルキル基、及び、炭素数3個以下のアルケニル基から選択され得る。
【化5】

【0023】
一実施の形態において、前記有機高分子は、下記の式(6)〜式(8)の化合物中から選択される少なくとも一つのモノマーをさらに含み、下記の式(6)〜式(8)のR、R及びRは、1〜30個の炭素を含み、末端に3個以下のエポキシ基を含む芳香族(aromatic)又は脂肪族(aliphatic)グループの中から選択され得る。
【化6】

【0024】
一実施の形態において、前記保護膜の厚さは、0.1μm〜3μm以下であって良い。
【0025】
一実施の形態において、前記保護膜は、前記有機基板の上部面及び下部面上に配置することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施の形態によれば、基板上に形成された保護膜により基板の耐化学性及び硬直性が補完されうる。これにより、前記基板を使用する素子の安定性及び信頼性を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラスチック基板及びその形成方法を説明するための図である。
【図2】本発明の他の実施の形態によるプラスチック基板及びその形成方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施の形態によるプラスチック基板及びその製造方法が説明される。説明される実施の形態は、本発明の思想を当業者が容易に理解するために提供されるものであって、これによって本発明が限定されるものではない。本発明の実施の形態は、本発明の技術的思想及び範囲内で他の形態に変形できる。尚、本明細書にて「及び/又は」は、前後に羅列した構成要素のうちの少なくとも一つを含む意味として使用している。本明細書にて一構成要素が他の構成要素「上に」位置するというのは、一構成要素上に他の構成要素が直接位置するという意味はもちろん、前記一構成要素上に第3の構成要素がさらに位置し得るという意味も含む。本明細書の各構成要素又は部分などを第1、第2などの表現を使用して示しているが、これは、明確な説明のために使用された表現であって、これにより限定されるものではない。図面に表現された構成要素の厚さ及び相対的な厚さは、本発明の実施の形態を明確に表現するために誇張される場合があり得る。
【0029】
図1を参照して、本発明の一実施の形態によるプラスチック基板の製造方法を説明する。
【0030】
保護膜用組成物132を用意する。前記保護膜用組成物132を用意することは、アクリレート系の低温硬化型反応性モノマーを高分子化することを含むことができる。例えば、前記保護膜用組成物132を用意することは、下記の式(1)〜式(3)の化合物のうちの少なくとも一つを含む反応性モノマーを高分子化することを含むことができる。前記反応性モノマーを高分子化するために、下記の式(1)〜式(3)の中から選択された反応性モノマーは、有機溶媒に溶解することができる。前記有機溶媒は、コーティング特性に優れた溶媒の中から選択することができる。あるいは、選択される前記反応性モノマーの特性に応じて、前記有機溶媒を省略しても良い。
【化7】

【0031】
一実施の形態において、前記反応性モノマーを高分子化する効率性を高めるために、アンハイドライド系及び/又はエポキシ系の化合物をさらに添加することができる。例えば、前記有機高分子は、下記の式(4)及び式(5)の化合物から選択される少なくとも一つ、及び/又は、下記の式(6)〜式(8)の化合物から選択される少なくとも一つをさらに含んでもよい。
【化8】

【0032】
前記式(4)中、Xは、水素、炭素数3個以下のアルキル基、及び、炭素数3個以下のアルケニル基から選択することができる。前記式(6)〜式(8)中、前記R、R及びRは、炭素数1〜30個の芳香族(aromatic)又は脂肪族(aliphatic)グループから選択されるもので、前記芳香族又は脂肪族グループは、末端に3個以下のエポキシ基を含むことができる。
【0033】
一実施の形態において、前記保護膜用組成物132に無機ナノ粒子134を添加することができる。前記無機ナノ粒子134は、前記保護膜用組成物132内で分散系を構成することができる。例えば、前記無機ナノ粒子134は、前記有機高分子と化学的に結合されずに、前記有機高分子と混合された状態で存在し得る。
【0034】
前記無機ナノ粒子134は、可視光透光度の高い物質の中から選択される少なくとも一つであって良い。例えば、前記無機ナノ粒子134は、シリコンオキサイド、チタンオキサイド、シリコンナイトライド、シリコン、スメクタイト(smectite)、カオリナイト(kaolinite)、ディッカイト(dickite)、ナクライト(nacrite)、ハロイサイト(halloysite)、アンチゴライト(antigorite)、クリソタイル(chrysotile)、パイロフィライト(pyrophyllite)、モンモリロナイト(montmorillonite)、ヘクトライト(hectorite)、テトラシリシックマイカ(tetrasilicicmica)、ナトリウムテニオライト(sodiumtaeniolite)、白雲母(muscovite)、真珠雲母(margarite)、滑石(talc)、バーミキュライト(vermiculite)、金雲母(phlogophite)、ザンソフィライト(xanthophyllite)及び緑泥石(chlorite)の中から選択される少なくとも一つを含むことができる。
【0035】
前記無機ナノ粒子134は、平均粒子直径が可視光の波長(約400〜700nm)より十分に小さくすることができる。前記無機ナノ粒子134の平均粒子直径は、100nm以下とし得る。例えば、前記無機ナノ粒子134の平均粒子直径は、50nm以下であり得る。前記保護膜用組成物132内の前記無機ナノ粒子134の含有量、すなわち、前記保護膜用組成物132と前記無機ナノ粒子134との総重量のうちの、前記無機ナノ粒子134の重量比は、5〜40wt.%とすることができる。
【0036】
図1に示すように、基板120上に前記保護膜用組成物132及び無機ナノ粒子134が塗布される。前記保護膜用組成物132及び無機ナノ粒子134は、ウェット工程により前記基板120上に塗布されうる。例えば、前記保護膜用組成物132は、スピンコート、ディップコート及びバーコート方式の中から選択される少なくとも一つの工程を行って、前記基板120上に塗布し得る。前記保護膜用組成物132及び無機ナノ粒子134は、ウェット工程により前記基板120上に塗布することによって、前記保護膜用組成物132の塗布時に発生しうる前記基板120の損傷が最小化できる。
【0037】
前記基板120は、有機化合物を含む基板であって良い。例えば、前記基板120は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate,PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone,PEEK)、ポリカーボネート(polycarbonate,PC)、ポリイミド(polyimide,PI)、ポリエーテルスルホン(polyether sulfone,PES)、ポリアリレート(polyarylite)及びサイクリックオレフィンコポリマー(cyclic olefin copolymer,COC)の中から選択される少なくとも一つを含むことができる。
【0038】
前記反応性モノマーが高分子化されると保護膜130が形成可能である。前記高分子化は、前記反応性モノマーの架橋反応により行うことができる。前記反応性モノマーを高分子化するために、重合開始剤をさらに添加できる。前記重合開始剤は、前記反応モノマーの高分子化を促進することができる。前記重合開始剤は、光開始剤、熱開始剤、レドックス開始剤及び酸開始剤の中から選択される少なくとも一つを含むことができる。前記光開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−ペンチル−ケトン(1−hydroxy−cyclohexyl−phenyl−ketone、イルガキュア(Irgacure、商品名)907)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−ワン(2−methyl−1[4−(methylthio)phenyl]−2−morpholinopropane−1−one,Irgacure 184C)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(2−Hydroxy−2−methyl−1−phenyl−propane−1−one、ダロカー(Darocur、商品名)1173)、イルガキュア184Cとベンゾフェノン(benzophenone)との混合開始剤(Irgacure 500)、イルガキュア184Cとイルガキュア1173との混合された開始剤(Irgacure 1000)、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(2−hydroxy−1−[4−(2−hydroxyethoxy)phenyl]−2−methyl−1propanone、Irgacure 2959)、ベンゾイルギ酸メチル(methylbenzoylformate、Darocur MBF)、α,α−ジメトキシ−アルファ−フェニルアセトフェノン(α,α−dimethoxy−α−phenylacetophenone、Irgacure 651)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−4−モルホリニル]フェニル]−1−ブタノン(2−benzyl−2−(dimethylamino)−1−[4−(morpholinyl)phenyl]−1−butanone、Irgacure 369)、イルガキュア369とイルガキュア651との混合開始剤(Irgacure 1300)、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキサイド(diphenyl(2,4,6−trimethylbenzoyl)−phosphine oxide、Darocur TPO)、ダロカーTPOとダロカー1173との混合開始剤(Darocur 4265)、ホスフィンオキサイド(phosphine oxide)、フェニルビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)(phenylbis(2,4,6−trimethyl benzoyl)、Irgacure 819)、イルガキュア819とダロカー1173との混合開始剤(Irgacure 2005)、イルガキュア819とダロカー1173との混合開始剤(Irgacure 2010)、イルガキュア819とダロカー1173との混合開始剤(Irgacure 2020)、ビス(エータ5−2,4,−シクロペンタジエン−1−イル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタン(bis(.eta.5−2,4−cyclopentadien−1−yl)bis[2,6−difluoro−3−(1H−pyrrol−1−yl)phenyl]titanium、Irgacure 784)及びベンゾフェノンの含有された混合開始剤(HSP 188)の中から何れか少なくとも一つを含むことができ、前記熱開始剤は、ベンゾイルパーオキサイド(benzoyl peroxide、BP)、アセチルパーオキサイド(acetyl peroxide、AP)、ジアウリルパーオキサイド(diauryl peroxide、DP)、ジ-tert−ブチルパーオキサイド(di−tert−butyl peroxide、t−BTP)、クミルヒドロパーオキサイド(cumyl hydroperoxide、CHP)、ハイドロジェンパーオキサイド(hydrogen peroxide、HP)、過酸化カリウム(potassium peroxide、PP)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル(2,2´−azobisisobutyronitrile、AIBN)及びアゾ化合物(azocompound)の中から何れか少なくとも一つを含むことができ、前記レドックス開始剤は、アルキル銀(silver alkyls)及び過硫酸塩(K)の中から何れか少なくとも一つを含むことができる。
【0039】
一実施の形態において、前記保護膜用組成物132に添加剤をさらに添加し得る。例えば、前記保護膜用組成物132に紫外線安定剤、酸化防止剤及び帯電防止剤の中から選択される少なくとも一つをさらに添加し得る。
【0040】
前記基板120上に塗布された前記保護膜用組成物132が前記有機溶媒を含む場合、前記有機溶媒を除去する工程をさらに行うことができる。例えば、前記有機溶媒を除去する工程は、前記保護膜用組成物132を120〜150℃の温度に加熱することを含むことができる。
【0041】
前記保護膜130の厚さは、0.1μm以上であり得る。例えば、前記保護膜130の厚さは、1〜3μmであり得る。
【0042】
本発明の一実施の形態によれば、前記保護膜130の形成工程は、繰り返して行ってもよい。前記保護膜130の厚さを調節できる。これにより、前記保護膜130を含むプラスチック基板の厚さ及び硬直性などが、必要により調節できる。
【0043】
図2を参照して、本発明の一実施の形態の変形例を説明する。図2に示すように、基板120の下部面及び上部面の上に保護膜110、130を形成することができる。図示していないが、前記保護膜110、130は、前記基板120の全面を覆うように形成することができる。前記基板120上の保護膜110、130は、保護膜用組成物112、132と該保護膜用組成物112、132内に分散された無機ナノ粒子114、134とを含むことができる。
【0044】
前記保護膜110、130の形成される位置は、前記保護膜110、130の形成方法及び/又は前記基板120の用途によって多様に選択し得る。例えば、ディップコートにより前記基板120上に保護膜110、130を形成する場合、前記基板120の下部面及び上部面の上に同時に前記保護膜110、130を形成できる。あるいは、複数のスピンコート工程を行って、前記基板120の下部面及び上部面に前記保護膜110,130を形成することもできる。
【0045】
また、図1を参照して、本発明の一実施の形態によるプラスチック基板を説明する。ここでは、前述で説明した事項は記載を省略する。
【0046】
図1に示すように、基板120上に保護膜130が配置されている。前記保護膜130は、硬化された保護膜用組成物132と前記保護膜用組成物132内に分散された無機ナノ粒子134とを含むことができる。前記無機ナノ粒子134は、前記保護膜用組成物132と化学的に結合せずに、混合された状態で前記保護膜130内に存在できる。
【0047】
前記保護膜130により前記基板120の耐化学性を向上させることができる。具体的に説明すると、前記保護膜130により前記基板120内への水分及び酸素の浸透を抑制できる。これにより、前記基板120の安定性及び信頼性を向上させることができる。また、前記保護膜130により前記基板120の硬直性を向上させることができる。例えば、プラスチック基板の場合、厚さが1/2に減少すると、硬直性は1/8に減少して、工程の信頼性及び安定性が大きく低下し得る。しかしながら、本発明の実施の形態によって、前記保護膜130が前記基板120上に配置されると、前記基板120の硬直性が向上して後続工程の信頼性及び安定性を大きく向上させることができる。
【0048】
前記保護膜110,130は、図2に示すように、前記基板120の下部面及び上部面の上に形成可能である。これにより、前記基板120の下部面及び上部面の耐化学性及び硬直性をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0049】
120 基板
110,130 保護膜
112,132 保護膜用組成物
114,134 無機ナノ粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機基板上に反応性モノマーを含む保護膜用組成物を塗布するステップと、
前記反応性モノマーを高分子化して保護膜を形成するステップとを含み、
前記反応性モノマーは、下記の式(1)〜(3)で表される化合物から選択される少なくとも一つを有するプラスチック基板の製造方法。
【化1】

【請求項2】
前記反応性モノマーを高分子化するステップは、前記組成物内に下記の式(4)及び式(5)の化合物中から選択された少なくとも一つを添加することを含み、下記の式(4)中、Xは、水素、炭素数3個以下のアルキル基及び炭素数3個以下のアルケニル基から選択される請求項1に記載のプラスチック基板の製造方法。
【化2】

【請求項3】
前記反応性モノマーを高分子化するステップは、下記の式(6)〜式(8)の化合物中から選択される少なくとも一つを添加することをさらに含み、
下記の式(6)〜式(8)のR、R及びRは、1〜30個の炭素を含み、末端に3個以下のエポキシ基を含む芳香族(aromatic)又は脂肪族(aliphatic)グループの中から選択される請求項1又は2に記載のプラスチック基板の製造方法。
【化3】

【請求項4】
前記組成物は、前記組成物内に分散された無機ナノ粒子をさらに含む請求項1〜3の何れかに記載のプラスチック基板の製造方法。
【請求項5】
前記無機ナノ粒子は、前記組成物内で分散系を構成する請求項4に記載のプラスチック基板の製造方法。
【請求項6】
前記無機ナノ粒子は、100nm以下の直径を有する請求項4又は5に記載のプラスチック基板の製造方法。
【請求項7】
前記組成物内の前記無機ナノ粒子の含有量は、5〜40wt%である請求項4〜6の何れかに記載のプラスチック基板の製造方法。
【請求項8】
前記無機ナノ粒子は、シリコンオキサイド、チタンオキサイド、シリコンナイトライド、シリコン、スメクタイト(smectite)、カオリナイト(kaolinite)、ディッカイト(dickite)、ナクライト(nacrite)、ハロイサイト(halloysite)、アンチゴライト(antigorite)、クリソタイル(chrysotile)、パイロフィライト(pyrophyllite)、モンモリロナイト(montmorillonite)、ヘクトライト(hectorite)、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、真珠雲母、滑石、バーミキュライト(vermiculite)、金雲母、ザンソフィライト及び緑泥石の中から選択される少なくとも一つを含む請求項4〜7の何れかに記載のプラスチック基板の製造方法。
【請求項9】
前記組成物は、ウェット工程により塗布される請求項1〜8の何れかに記載のプラスチック基板の製造方法。
【請求項10】
前記ウェット工程は、スピンコート、ディップコート及びバーコート方式の中から選択される少なくとも一つを含む請求項9に記載のプラスチック基板の製造方法。
【請求項11】
前記組成物は、重合開始剤をさらに含み、
前記重合開始剤は、光開始剤、熱開始剤、レドックス開始剤及び酸開始剤の中から選択される少なくとも一つを含む請求項1〜10の何れかに記載のプラスチック基板の製造方法。
【請求項12】
前記基板上に塗布される組成物は、前記反応性モノマーが溶解される有機溶媒をさらに含み、
前記有機溶媒は、前記高分子化するステップ及び/又は前記高分子化以後に除去される請求項1〜11の何れかに記載のプラスチック基板の製造方法。
【請求項13】
有機基板と、
前記有機基板上の、無機物及び下記の式(1)〜(3)のうちの少なくとも一つを含む反応性モノマーにより形成される有機高分子を含む保護膜とを有するプラスチック基板。
【化4】

【請求項14】
前記保護膜は、前記保護膜内に分散された無機ナノ粒子をさらに含む請求項13に記載のプラスチック基板。
【請求項15】
前記有機高分子は、下記の式(4)及び(5)の化合物の中から選択される少なくとも一つのモノマーをさらに含み、下記の式(4)中、Xは、水素、炭素数3個以下のアルキル基、及び、炭素数3個以下のアルケニル基から選択される請求項13又は14に記載のプラスチック基板。
【化5】

【請求項16】
前記有機高分子は、下記の式(6)〜式(8)の化合物中から選択される少なくとも一つのモノマーをさらに含み、
下記の式(6)〜式(8)のR、R及びRは、1〜30個の炭素を含み、末端に3個以下のエポキシグループを含む芳香族(aromatic)又は脂肪族(aliphatic)グループの中から選択される請求項13〜15の何れかに記載のプラスチック基板。
【化6】

【請求項17】
前記保護膜の厚さは、0.1μm〜3μmである請求項13〜16の何れかに記載のプラスチック基板。
【請求項18】
前記保護膜は、前記有機基板の上部面及び下部面の上に配置される請求項13〜17の何れかに記載のプラスチック基板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−66376(P2011−66376A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3819(P2010−3819)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】