説明

プラスチック容器

【課題】ミシン目入りフィルム材の全体を容器本体から引き剥がす途中で、フィルム材がミシン目で裂けてしまうのを抑える。
【解決手段】ラミネートフィルム材3の第1の各ミシン目12は基本的なピッチP2を有しているが、第1ミシン目12の外縁部は、比較的長い非スリット部12cと、ラミネートフィルム材3の外縁に接した比較的短いスリット12dとで構成されており、ラミネートフィルム材3の外縁に接する短スリット部12dと次のスリット部12aとの間のピッチP1は、基本ピッチP2よりも長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック容器に関し、より詳しくは、内容物を個々独立して収容する複数の収容部を備え、この複数の収容部の各々が一枚のフィルム材で封止された容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、内視鏡写真撮影用フィルム材を収容するための容器として、上方に開放した複数の収容部をフィルム材で封止したプラスチック容器を開示している。具体的には、上方に開放した複数の収容部を備えた容器本体が、この複数の収容部を互いに連結する上端水平フランジを有し、この上端水平フランジの外縁は、隣接する収容部間に凹所が形成されていると共に、上端水平フランジの中央部分に開口が形成されており、これら外縁凹所及び中央開口を含む上端水平フランジが一枚のフィルム材で覆われて、このフィルム材を上端水平フランジに熱溶着することにより複数の収容部の各々が密封されている。また、このプラスチック容器は、フィルム材に第1のミシン目が設けられ、また、容器本体の上端フランジに、各収容部を個別的に分離することができる第2のミシン目が形成され、一部の収容部を分離させたときに、これと一緒にフィルム材も分離して当該フィルム材で密封された状態で一部の収容部を分離させることができるようになっている。
【0003】
上記の特許文献1は、全ての収容部に入っている内視鏡写真撮影用フィルムの全てを使用するために、一枚のフィルム材を一括して容器本体から剥離させるための操作を行ったときに、フィルム材の開封途中でフィルム材に設けられている第1のミシン目で引き裂かれるのを防止することを目的として、フィルム材の第1のミシン目のパターンと容器本体(上端フランジ)の第2のミシン目のパターンとを異ならせる提案を行っている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−194291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特許文献1と実質的に同じ目的を別のやり方で達成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、フィルム材の第1のミシン目に着目し、この第1のミシン目に工夫を施すことにより、一枚のミシン目入りフィルム材の全体を容器本体から引き剥がす一括開封の途中で、フィルム材が第1のミシン目で裂けてしまうのを抑えることを企図するものである。
【0007】
上記の技術的課題は、本発明の第1の観点によれば、
上方に開放した複数の収容部を上端水平フランジで互いに連結すると共に、該上端水平フランジにおける各収容部間の外縁が凹所で構成され、該外縁凹所を含む前記上端水平フランジの全体を覆う1枚のフィルム材を前記上端水平フランジに熱溶着することで前記複数の収容部の各々を封止したプラスチック容器において、
前記フィルム材に形成された第1のミシン目であって、前記収容部の各々に沿って延び且つ前記フィルム材の外縁に達する第1のミシン目を有し、
該第1のミシン目が、前記フィルム材の外縁に隣接した部位に他の部位よりも長い非スリット部を備えていることを特徴とするプラスチック容器を提供することにより達成される。
【0008】
これによれば、フィルム材を容器本体から全体的に剥離させるために、フィルム材の開封を始めたときに、フィルム材の外縁に隣接した部位の第1のミシン目が他の部位よりも長い非スリット部で構成されているため、フィルム材を引き上げたときに第1のミシン目から裂けるのを抑えることができる。
【0009】
また、本発明の第2の観点によれば、
上方に開放した複数の収容部を連結する上端水平フランジの全体を覆う1枚のフィルム材を前記上端水平フランジに熱溶着することで前記複数の収容部の各々を封止したプラスチック容器において、
前記フィルム材には、前記複数の収容部の各々に沿って延び且つ該フィルムの中央部分で互いに合流した第1のミシン目を有し、
該第1のミシン目の合流した部分に隣接して他の部位よりも長い非スリット部が設けられていることを特徴とするプラスチック容器を提供することにより達成される。
【0010】
これによれば、フィルム材を容器本体から全体的に剥離させるために、フィルム材の開封を始めてフィルム材が中央部分に達したときに、第1のミシン目が合流する部位に隣接して長い非スリット部の存在によりフィルム材の中央部分の第1スリットの合流部分で裂けるのを抑えることができる。
【0011】
本発明の他の目的及びその作用効果は、以下の好ましい適用例の説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例を説明する前に、以下に、添付の図面に基づいて本発明が適用可能な好ましい適用例を説明する。
【0013】
第1適用例(図1〜図4)
【0014】
図1に示す参照符号1は本発明の第1適用例のプラスチック容器を示し、プラスチック容器1は、プラスチック成型品の容器本体2と、一枚のラミネートフィルム材3とで構成されている。
【0015】
図2は、ラミネートフィルム材3を取り除いた状態の容器本体2の斜視図である。容器本体2は、上方に開放した有底の5つの収容部4を有し、この5つの収容部4は横断面略三角形状に形作られており、各収容部4にこれと略相似形の横断面略三角形状に成形した固形ルウ5が収容される。固形ルウ5は、この適用例ではカレーであるが、これに代えてシチューであってもよく、また、液体のルウ又は粉体のルウであってもよい。固形ルウ5は、例えば1人前、2人前というように所定の人数分の分量であるのがよく、この適用例では1人前の分量に調整されている。
【0016】
図2に基づいて容器本体2の構成を詳しく説明する。容器本体2は、平面視したときに、手のひらに載る程度の大きさの略円形の形状を有し、これを5等分することで個々に独立した収容部4が形成されている。各収容部4の上端開口の回りは上端水平フランジ6が設けられており、この上端水平フランジ6によって各収容部4が相互に連結されている。
【0017】
すなわち、上端水平フランジ6は、容器本体2の上端において容器本体2の外周に沿って延びる外周フランジ部6aと、内周に位置する内周フランジ部6bと、外周フランジ部6aと内周フランジ部6bとを連結し且つ隣接する収容部4、4間に位置する連結フランジ部6cとで構成されている。内周フランジ部6bは、その中央部分に星形開口7を有するのが好ましく、他方、外周フランジ部6aの外縁は、好ましくは、隣接する収容部4、4が外方に向けてアーチ状に窪んだフランジ外縁凹所8を備えているのがよい。
【0018】
上記の上端水平フランジ6には、好ましくは、上方に向けて突出したシール用突条9が形成されている。このシール用突条9は、各収容部4の略三角形状の上端開口に沿って略三角形状に連続的に延びており、この上にラミネートフィルム材10が熱溶着される。
【0019】
ラミネートフィルム材10は、図1から分かるように、平面視したときに略円形の形状を有し、上述したフランジ外縁凹所8及び中央星形開口7の部分はラミネートフィルム材10だけが存在している。このラミネートフィルム材10は、図3から最も良く理解できるように、容器本体2の外周フランジ部6aの外周縁から外方に僅かな寸法Lだけ突出する外形寸法を有している。
【0020】
ラミネートフィルム材10は、基材に酸素、HOのバリア層を積層したフィルム材であるのがよく、例えば、バリア層としてのアルミニウム(AL)層と、基材層としてポリエチレンテレフタレート(PET)及び/又はナイロン(NY)層を備えているのがよい。具体的には、この適用例では、PET層/AL層/NY層/ポリエチレン(PE)層の積層フィルム材で構成されている。この適用例で使用したラミネートフィルム材10の肉厚は約90μmであったが、実用上、60〜100μmのラミネートフィルム材であれば採用可能である。ラミネートフィルム材10は、図1から分かるように、好ましくはリップ11を備えている。
【0021】
図3を参照して、容器本体2の上端水平フランジ6に好ましくはシール用突条9を設けた場合、シール用突条9の幅寸法Wは0.5〜1.5mmであるのが好ましく、第1適用例でのシール用突条9の幅寸法Wは約0.7mmである。前述したように、このシール用突条9の上に上記のラミネートフィルム材10が熱溶着されるが、シール強度は、シール用突条9の幅Wが15mmで換算したときに約4〜20Nであるのが好ましい。この適用例では、シール用突条9の幅Wが15mmで換算したときに平均値シール強度が7〜15Nである。シール強度が上記4Nよりも小さいと物流段階で剥離する可能性があり、他方、上記20Nよりも大きいと開封性が阻害される可能性がある。
【0022】
容器本体2の各収容部4に上述した固形ルウ5を入れた後に、ラミネートフィルム材10を熱溶着することにより容器本体2は密封状態となる。
【0023】
略円形のラミネートフィルム材3には、図1から最もよく分かるように第1のミシン目12が設けられ、この第1のミシン目12は、略円形のラミネートフィルム材10を5等分するように入れられている。同様に、図2から最も良く分かるように、容器本体2にも、その上端水平フランジ6に5本の第2のミシン目13が入れられており、各第2のミシン目13は、連結フランジ部6cの幅方向中間部分を通り且つ連結フランジ部6cの長手方向に延びて一端が外縁凹所8に達し、他端が中央星形開口7に至っている。容器本体2の第2のミシン目13とラミネートフィルム材3の第1のミシン目12とは実質的に同一箇所に設けられている。ラミネートフィルム材3を容器本体2に熱溶着した後に、一つの工程で第1、第2のミシン目12と13を形成してもよいが、これに代えて、ラミネートフィルム材3と容器本体2の各々に第1、第2のミシン目12、13を形成した後に、これらが互いに重なるようにしてラミネートフィルム材3を容器本体2に熱溶着するようにしてもよい。
【0024】
消費者がプラスチック容器1に収容されている固形ルウ5を使って調理するときには、例えば1人前のカレーを作るのであれば、任意の一つの収容部4(図4)を第1、第2のミシン目12、13に沿って切り離して分離させ、次いで、切り離した収容部4を密封している略三角形状のラミネートフィルム材10の外縁、典型的には任意のコーナ部分を引き上げてこれを剥離させることで、その中に入っている固形ルウ5を取り出すことができる。
【0025】
ラミネートフィルム材10を剥離させるのに、切り離した一つの収容部4の上端水平フランジ6から外方に突出した部分、典型的には、平面視略三角形の収容部4の3つのコーナ部分に対応する3つの片10aのいずれか一つを摘んで引き上げることで、ラミネートフィルム材10を剥離させることができる。このような態様で使用した場合には、他の4つの固形ルウ5は未開封の状態を維持できるだけでなく、一部が欠落してはいるが、残る4つの収容部4が互いに連結した一つの容器本体2の形態で保管することができる。
【0026】
図3を参照して、好ましくは上端水平フランジ6に形成した略三角形状の各シール用突条9に関し、その3つのコーナ部分に、外方に突出した烏口状の剥離助勢部9aを形成するのが好ましい。このように、各シール用突条9の3つのコーナ部分に剥離助勢部9aを形成することにより、図4を参照して上述したように一つの収容部4を切り離した場合に、ラミネートフィルム材10の任意のコーナ部分の片10aを摘んで引き上げてラミネートフィルム材10を剥離させるのが容易になる。
【0027】
プラスチック容器1に収容されている5つの固形ルウ5の全てを使用する場合、つまり、ラミネートフィルム材3の全てを一括して容器本体2から取り去る場合、リップ11を摘んで引き上げたときに、ラミネートフィルム材10が第1のミシン目12で切り裂かれることなく全体的に一体化した状態で容器本体2から剥離するのが好ましいことは言うまでもない。
【0028】
再び図3を参照して、リップ11の配置位置との関係で、この図3の矢印Aで示す部位の剥離助勢部9aは、ラミネートフィルム材10が第1のミシン目12で切り裂かれることなく全体的に一体化した状態で剥離するのに役立つ。
【0029】
この点について詳しく説明すると、リップ11を引き上げると、これに近接する収容部4の周囲のシール用突条9からラミネートフィルム材3の剥離が始まり、そして、このシール用突条9に隣接するミシン目12を越えて、両隣りシール用突条9、9に出会う。この様子を図3に一点鎖線Xで示してある。リップ11の引き上げに伴って最初に剥離が始まるシール用突条9の両隣りのシール用突条9に関し、ラミネートフィルム材3を剥離させる力が最初に加わるコーナ部分A、Aが剥離助勢部9aで構成されていると、この剥離助勢部9aによってラミネートフィルム材3の剥離を促進することができ、これによりラミネートフィルム材3の一括開封時の途中で、ラミネートフィルム材3が第1のミシン目12で引き裂かれるのを抑えることができる。したがって、リップ11を摘んでラミネートフィルム材3を引き上げることで、その初期段階でのラミネートフィルム材3がミシン目12で裂けてしまうのを抑えながらラミネートフィルム材3を容器本体2から取り除くことができる。
【0030】
上記第1適用例では、好ましくは全てのシール用突条9のコーナ部分に烏口状の剥離助勢部9aを設けてあるが、この第1適用例の変形例のプラスチック容器1Aを図5に示してある。この図5から理解できるように、第1適用例の変形例1Aでは、リップ11との関係で、これに近接してラミネートフィルム材3が剥離を開始するシール用突条9、つまりリップ11に近接したシール用突条9とミシン目12を挟んで両隣りに位置するシール用突条9のうち、一括開封でリップ11を引き上げたときに最初に剥離力が作用するコーナ部分Aだけに烏口状の剥離助勢部9aを設けるようにしてあり、各シール用突条9の他のコーナ部分は、略三角形の収容部4の開口のコーナ部分に沿って湾曲した形状に作られている。
【0031】
第2適用例(図6)
【0032】
第2適用例のプラスチック容器20の容器本体21は平面視したときに矩形、具体的には略正方形の形状を有する。この第2適用例以降の適用例の説明において上記第1適用例と実質的に同じ要素には同一の参照符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0033】
この平面視略正方形の容器本体21は、これを4等分した横断面略正方形の収容部4を4つ有し、各収容部4の回りのシール用突条9も平面視略正方形である。この平面視略正方形の収容部4には、これと略相似形の上記の固形ルウ5が収容される(図6では作図上の理由から固形ルウ5の図示を省略してある)。容器本体21を密封するラミネートフィルム材3は略正方形であり、第1適用例と同様に容器本体2の上端水平フランジ6の外周縁よりも外方に若干突出する大きさを備えている。
【0034】
ラミネートフィルム材3は、略正方形の容器本体21の一つのコーナ部分Bに対応した位置だけにリップ11が設けられ、このリップ11の配置位置に関連して、リップ11を引き上げてラミネートフィルム材3を剥離させたときに、最初に出会う第1のミシン目12を越えて初めて出会うシール用突条9のコーナ部分A、Aの各々だけに好ましくは烏口状の剥離助勢部9aが形成されている。これにより、プラスチック容器20に収容されている4つの固形ルウ(図示せず)を容器本体2から取り出す際に、リップ11を引き上げてラミネートフィルム材3を剥離させるときに、このラミネートフィルム材3がミシン目12で引き裂かれるのを抑えながらラミネートフィルム材3を全体的に容器本体21から取り除くことができる。
【0035】
また、図6に矢印Cで指し示す部位、つまりラミネートフィルム材3の全体を剥離している途中で、次にシール用突条9と出会う部位に剥離助勢部9aを設けるのが好ましい。このように、連鎖的に次々と剥離が開始されるシール用突条9に対して、当該シール用突条9の最初に剥離力が作用する部位に剥離助勢部9aを設けることで、ラミネートフィルム材3を一括して剥離させる途中で次々と出会うシール用突条9での初期の剥離動作を円滑にすることで、ラミネートフィルム材3の全体を開封している途中でラミネートフィルム材3がミシン目12で裂けてしまうのを効果的に抑えることができる。
【0036】
再び図6を参照して、参照符号Bで示す部位、つまりラミネートフィルム材3のリップ11を引き上げて一括開封するときに、真っ先に剥離力が作用するコーナ部分Bにも烏口状の剥離助勢部9aを設けるのが好ましい。これによれば、ラミネートフィルム材3の一括開封での初期の剥離動作を円滑にすることができる。
【0037】
図7は、第2適用例の変形例のプラスチック容器20Aを示す。この変形例のプラスチック容器20Aでは、4つの横断面略正方形の収容部4の各々の回りに形成された4つの平面視略正方形のシール用突条9の各コーナ部分の全てに好ましくは烏口状の剥離助勢部9aが設けられ、また、略正方形のラミネートフィルム材3の4つのコーナ部分の全てにリップ11が設けられている。
【0038】
これによれば、4つのリップ11のいずれのリップ11を引き上げても上述した作用効果を奏することができるだけでなく、図4を参照して第1適用例でも説明したように、いずれかの収容部4をミシン目12(13)を切り裂くことで分離させたときに、この切り離した収容部4の4つのコーナ部分のいずれの部分から剥離を開始したとしても、これに関連した烏口状の剥離助勢部9aによってラミネートフィルム材3の一括開封時の初期の剥離動作を円滑にすることができる。もっとも、この変形例20Aでは、全ての収容部4の各々に関連した4つのリップ11を備えていることから、平面視略正方形の容器本体21の中央部分Dに位置するシール用突条9のコーナ部分に烏口状の剥離助勢部9aを形成しないで、図6に図示のように円弧状のままであってもよい。
【0039】
第3、第4適用例(図8、図9)
【0040】
図8は第3適用例のプラスチック容器の容器本体31を示し、図9は第4適用例のプラスチック容器の容器本体41を示すものであり、この第3、第4の適用例として、図2を参照して説明した第1適用例の容器本体2に対応して図示してあるが、上記の第2の適用例に対応した容器本体であってもよい。
【0041】
図8から理解できるように、第3適用例の容器本体31に形成された略三角形状の全てのシール用突条9のコーナ部分は円弧状である。また、図9から理解できるように、第4適用例の容器本体41にあっては、上端フランジ6は平らな面で構成され、上述したシール用突条9は設けられておらず、この平らな上端フランジ6に対して、上述したラミネートフィルム材3は5つの収容部4を連続して取り囲む箇所が熱溶着される。
【0042】
第1実施例(図10)
【0043】
この第1実施例及び他の実施例の説明では、上述した第1適用例を例に説明するが、これに限定されず上述した全ての適用例に対して適用可能である。
【0044】
図10を参照して、ラミネートフィルム材3の第1の各ミシン目12は、言うまでもないことであるが、スリット部12aと、互いに隣接するスリット部12a、12a間に位置する非スリット部12bとで構成されており、隣接するスリット部12aと12aとの間つまりスリット部12aの基本的なピッチをP2で示してある。そして、第1の各ミシン目12の内端はスリット12aで構成され、そして、5本の第1のミシン目12の内端スリット12aは合流している。他方、各ミシン目12の外縁部は、比較的長い非スリット部12cと、ラミネートフィルム材3の外縁に接した、好ましくは比較的短いスリット12dとで構成されている。すなわち、ラミネートフィルム材3の外縁に接する短スリット部12dと次のスリット部12aとの間のピッチP1は、上述した基本のピッチP2よりも長くなるように設定されている。この長ピッチP2の部分は、前述したフランジ6の外縁凹所8の部位に形成されており、このような構成を採用することにより、ラミネートフィルム材3を例えば容器本体2に熱溶着した後に、一つの工程で、ラミネートフィルム材3と例えば容器本体2とに第1、第2のミシン目12、13を形成することができる。なお、ミシン目12の外縁に位置する比較的短いスリット12dの長さ寸法は任意であり、例えば、ミシン目12の基本的なスリット12aの長さ寸法を有していてもよい。
【0045】
すなわち、図2を参照して、容器本体2の上端水平フランジ6の中央星形開口7から外縁凹所8に至るミシン目13は等ピッチ(図10のP2)であり、また、好ましくは、第2の各ミシン目13の外縁スリットが外縁凹所8に接しているのがよく、また、内端スリットも中央星形開口7に接しているのがよい。これにより、任意の収容部4を切り離すのに、第2のミシン目13に沿った容器本体2の切断が容易になると共に、中央星形開口7及び/又は外縁凹所8の部分で約束された規則的な切断が可能になる。
【0046】
再び図10に戻って、この図10に例示した第1のミシン目12の構成は、第1の全てのミシン目12に採用してもよいが、リップ11との関係で、このリップ11に隣接した第1のミシン目12、12に限定して採用してもよい。
【0047】
図10に図示の第1のミシン目12を採用することにより、リップ11を引き上げてラミネートフィルム材3の全体を一体的に剥離させるときに、第1のミシン目12の外縁部に設けた好ましくは比較的長い非スリット部12cが存在することにより、リップ11の引き上げに伴ってミシン目12の外縁が裂けて、これに伴い第1のミシン目12に沿って裂けるのを抑えることができ、ラミネートフィルム材3を全体的に一体化した状態で開封するのを助けることができる。この非スリット部12cは、この目的を達成できるのであればその長さ寸法は短くてもよく、例えば他の非スリット部12bと同様の比較的短くてもよい。
【0048】
第2実施例(図11)
【0049】
上記の第1実施例では、第1のミシン目12の外縁に短スリット部12dを設けたが、この第2実施例では、第1のミシン目12の外縁が非スリット部12bで構成されており、これにより上記第1実施例と実質的に同じ作用効果を奏することができる。この作用効果を奏することができるのであれば、この外縁の非スリット部12bの長さ寸法は任意であり比較的長くてもよい。
【0050】
勿論のことであるが、図11に例示した第1のミシン目12の構成は、第1の全てのミシン目12に採用してもよいが、リップ11との関係で、このリップ11に隣接した第1のミシン目12、12に限定して採用してもよい。
【0051】
第3実施例(図12)
【0052】
上記第2実施例では、第1のミシン目12の外縁を非スリット部12bで構成したが、ラミネートフィルム材3の外縁に略三角形状の切欠き14を設け、この切欠き14の次に非スリット部12bが続くようにしてもよい。この非スリット部12bの長さ寸法は、リップ11の引き上げに伴ってミシン目12の外縁が裂けて、これに伴い第1のミシン目12に沿って裂けるのを抑えることができるのであれば、任意であり、比較的長くても短くてもよい。
【0053】
切欠き14は、収容部4を個別的に分離させるときにラミネートフィルム材3をその第1のミシン目12に沿って切断するのに役立つものであるが、リップ11を引き上げてラミネートフィルム材3を全体的に一体化した状態で開封するときに、切欠き14に接した非スリット部12bの存在により、ラミネートフィルム材3が第1のミシン目12に沿って裂けるのを抑えることができる。
【0054】
第1の各ミシン目12に切欠き14を設けることは望ましいことであるが、この切欠き14に続いて非スリット部12bを設ける構成は、全てのミシン目12に採用してもよいが、リップ11との関係で、このリップ11に隣接したミシン目12、12に限定して採用してもよい。
【0055】
第4実施例(図13)
【0056】
上述した適用例の全ては、上端水平フランジ6の中央開口7を塞ぐようにしてラミネートフィルム材3が設けられている。すなわち、ラミネートフィルム材3の中央部分には開口が設けられておらず、第1の全てのミシン目12が合流した形態になっている。
【0057】
図13を参照した第4実施例は、この中央部分に関するものであり、この第4実施例を上述した第1乃至第3実施例と組み合わせて実施してもよいし、この第4実施例だけ単独に実施してもよい。
【0058】
図13を参照して、第1の5本のミシン目12は、スリット部12aが合流しているが、この合流したスリット部12aに隣接した非スリット部は、好ましくは比較的長い非スリット部12cで構成されている。この非スリット部12cに関しても、ラミネートフィルム材3の一括開封の際に、ミシン目12の内端が裂けて、これに伴いラミネートフィルム材3の開封途中で裂けてしまうのを防止できるのであれば、その長さ寸法は、例えば他の非スリット部12bと同様に短くてもよい。これにより、リップ11を引き上げてラミネートフィルム材3を全体的に一体化した状態で開封するときに、引き上げたラミネートフィルム材3が中央開口7を通過する前後で、互いに合流したスリット部12aに隣接した比較的長い非スリット部12cの存在により、ラミネートフィルム材3の中央部分で第1のミシン目12に沿って裂けるのを抑えることができる。
【0059】
前述した、本発明の第1乃至第3実施例を適用した第1乃至第4の適用例では、ラミネートフィルム材3にリップ11を設けた例を説明したが、第1適用例に対応する図14に例示するように、ラミネートフィルム材3を取り去るのに引き上げるべき箇所を指し示す例えば矢印15をラミネートフィルム材3に付してもよい。
【0060】
また、前記第1乃至第4の適用例は、ラミネートフィルム材3及び容器本体2、21、31に共にミシン目12、13を入れた例で説明したが、変形例として、ラミネートフィルム材3だけに弱化線12を入れ、容器本体2、21、31、41は弱化線13無しであってもよい。この場合には、例えば一つだけ収容部4を分離させるときにはハサミなどの切断具を使えばよい。
【0061】
また、前記第1適用例などを参照して説明した5つの収容部4を備えた容器本体2、41に関し、その中央部分に中央星形開口7を設けたが、この中央星形開口7の代わりに、図15に示すように5つの角部をラウンドさせた五角形の形状の中央開口7であってもよい。この略五角形の中央開口7にあっては、五角形の各辺が第1のミシン目13の延び方向と直角に交差するように設計するのがよい。
【0062】
同様に、前記第2適用例などを参照して説明した4つの収容部4を備えた容器本体21にあっても、その中央開口7を図16に示すように4つの角部をラウンドさせた正方形の形状の中央開口7であってもよい。この略正方形の中央開口7にあっても、略正方形の各辺が第1のミシン目13の延び方向と直角に交差するように設計するのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1適用例のプラスチック容器の斜視図である。
【図2】図1のプラスチック容器からラミネートフィルム材を取り除いた斜視図である。
【図3】図1のプラスチック容器の平面図であり、ラミネートフィルム材を仮想線で示してある。
【図4】図1のプラスチック容器から1つだけ切り離した収納部の斜視図である。
【図5】第1適用例の変形例を示す、図3に対応した平面図である。
【図6】第2適用例のプラスチック容器の平面図であり、ラミネートフィルム材を仮想線で示してある。
【図7】第2適用例の変形例のプラスチック容器の平面図であり、ラミネートフィルム材を仮想線で示してある。
【図8】第3適用例のプラスチック容器の容器本体の斜視図である。
【図9】第4適用例のプラスチック容器の容器本体の斜視図である。
【図10】第1実施例のラミネートフィルムの要部を説明するためのプラスチック容器の部分平面図である。
【図11】第2実施例のラミネートフィルムの要部を説明するためのプラスチック容器の部分平面図である。
【図12】第3実施例のラミネートフィルムの要部を説明するためのプラスチック容器の部分平面図である。
【図13】第4実施例のラミネートフィルムの要部を説明するためのプラスチック容器の部分平面図である。
【図14】第1乃至第4の適用例の変形例を説明するための図である。
【図15】5つの収容部を備えた容器本体の中央開口の変形例を説明するための図である。
【図16】4つの収容部を備えた容器本体の中央開口の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0064】
1 第1適用例のプラスチック容器
2 容器本体
3 ラミネートフィルム材
4 収容部
5 固形ルウ(カレー)
6 上端水平フランジ
7 容器本体の中央開口
8 上端水平フランジの外縁凹所
9 シール用突条
9a 烏口状の剥離助勢部
10 ラミネートフィルム材
11 シール材のリップ
12 ラミネートフィルム材のミシン目(第1のミシン目)
12a ラミネートフィルム材のミシン目の基本的なスリット部
12b 基本的な非スリット部
12c 長い非スリット部
12d 外縁の短スリット部
13 容器本体のミシン目(第2のミシン目)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開放した複数の収容部を上端水平フランジで互いに連結すると共に、該上端水平フランジにおける各収容部間の外縁が凹所で構成され、該外縁凹所を含む前記上端水平フランジの全体を覆う1枚のフィルム材を前記上端水平フランジに熱溶着することで前記複数の収容部の各々を封止したプラスチック容器において、
前記フィルム材に形成された第1のミシン目であって、前記収容部の各々に沿って延び且つ前記フィルム材の外縁に達する第1のミシン目を有し、
該第1のミシン目が、前記フィルム材の外縁に隣接した部位に他の部位よりも長い非スリット部を備えていることを特徴とするプラスチック容器。
【請求項2】
前記第1のミシン目が、前記フィルム材の外縁に接するスリット部を備えている、請求項1に記載のプラスチック容器。
【請求項3】
前記フィルム材の外縁に、前記第1のミシン目の各々の外縁に接した切欠きが形成され、
該切欠きに続いて前記長い非スリット部が設けられている、請求項1に記載のプラスチック容器。
【請求項4】
上方に開放した複数の収容部を連結する上端水平フランジの全体を覆う1枚のフィルム材を前記上端水平フランジに熱溶着することで前記複数の収容部の各々を封止したプラスチック容器において、
前記フィルム材には、前記複数の収容部の各々に沿って延び且つ該フィルムの中央部分で互いに合流した第1のミシン目を有し、
該第1のミシン目の合流した部分に隣接して他の部位よりも長い非スリット部が設けられていることを特徴とするプラスチック容器。
【請求項5】
前記複数の収容部を備えた容器本体の前記上端水平フランジに、前記フィルム材の第1のミシン目に沿って第2のミシン目が形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項6】
前記フィルム材を前記容器本体に熱溶着した後に、一つの工程で前記フィルムの第1のミシン目と前記容器本体の第2のミシン目が形成される、請求項5に記載のプラスチック容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2007−186259(P2007−186259A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336402(P2006−336402)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】