プラスチック成形品の改質方法及びプラスチック成形品

【課題】プラスチック成形品に優れた耐摩耗性を付与することが可能なプラスチック成形品の改質方法を提供する。また、優れた耐摩耗性を有するプラスチック成形品を提供する。
【解決手段】ボールねじ10のナット14、リターンチューブ17、ねじ軸11、及びラビリンスシール19,19の少なくとも一つは、改質処理により二酸化ケイ素の微粒子が表層部に固定化されたプラスチック成形品で構成されている。この改質処理は、金属アルコキシドを含有する超臨界二酸化炭素をプラスチック成形品に接触させた後、プラスチック成形品に浸透した金属アルコキシド及び超臨界二酸化炭素のうち超臨界二酸化炭素のみを除去し、さらに水と相溶状態にある超臨界二酸化炭素を接触させてプラスチック成形品に浸透している金属アルコキシドを加水分解して金属水酸化物とし、さらに加熱して金属水酸化物を金属酸化物にするという処理である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界流体を用いたプラスチック成形品の改質方法、及び、改質されたプラスチック成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック成形品には、耐摩耗性の向上や着色を目的として、金属水酸化物や金属酸化物を添加する場合がある。従来、金属水酸化物や金属酸化物を含有するプラスチック成形品を製造する場合には、金属水酸化物の微粒子や金属酸化物の微粒子を混合したプラスチック原料を成形してプラスチック成形品を得ていた。このような方法でプラスチック成形品を製造した場合には、プラスチック成形品の全体に金属水酸化物や金属酸化物が均一に分散することとなる。
【特許文献1】特許第3709342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような方法でプラスチック成形品を製造する場合には、成形の前に、前記微粒子と粉末状のプラスチック原料とをコンパウンド化してペレットを製造する必要があるため、コンパウンドコストがより高くなるという問題があった。また、最初に生じるプラスチック成形品の表層部の摩耗を効果的に抑制するような考慮はなされていなかった。
【0004】
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、プラスチック成形品に優れた耐摩耗性を付与することが可能なプラスチック成形品の改質方法を提供することを課題とする。また、本発明は、優れた耐摩耗性を有するプラスチック成形品を提供することを併せて課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のプラスチック成形品の改質方法は、金属アルコキシドを含有する超臨界流体をプラスチック成形品に接触させて、前記プラスチック成形品に金属アルコキシド及び超臨界流体を浸透させる工程と、前記プラスチック成形品に浸透した金属アルコキシド及び超臨界流体のうち超臨界流体のみを前記プラスチック成形品から除去する工程と、超臨界流体が除去され金属アルコキシドが浸透している前記プラスチック成形品に、水と相溶状態にある超臨界流体を接触させて、前記プラスチック成形品に浸透している金属アルコキシドを加水分解して金属水酸化物とする工程と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る請求項2のプラスチック成形品の改質方法は、金属アルコキシドを含有する超臨界流体をプラスチック成形品に接触させて、前記プラスチック成形品に金属アルコキシド及び超臨界流体を浸透させる工程と、前記プラスチック成形品に浸透した金属アルコキシド及び超臨界流体のうち超臨界流体のみを前記プラスチック成形品から除去する工程と、超臨界流体が除去され金属アルコキシドが浸透している前記プラスチック成形品に、水と相溶状態にある超臨界流体を接触させて、前記プラスチック成形品に浸透している金属アルコキシドを加水分解して金属水酸化物とする工程と、金属水酸化物を含む前記プラスチック成形品を加熱して、その金属水酸化物を金属酸化物に変化させる工程と、を備えることを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明に係る請求項3のプラスチック成形品の改質方法は、請求項1又は請求項2に記載のプラスチック成形品の改質方法において、前記超臨界流体を超臨界二酸化炭素としたことを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項4のプラスチック成形品の改質方法は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック成形品の改質方法において、前記金属アルコキシドをシリコンアルコキシド,アルミニウムアルコキシド,及びチタンアルコキシドの少なくとも一つとしたことを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項5のプラスチック成形品は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチック成形品の改質方法により改質されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のプラスチック成形品の改質方法によれば、プラスチック成形品に優れた耐摩耗性を付与することができる。また、本発明のプラスチック成形品は、優れた耐摩耗性を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
まず、プラスチック成形品を金属水酸化物で改質する方法について説明する。金属水酸化物でプラスチック成形品を改質する方法は、第一浸漬処理工程,第一蒸発除去工程,第二浸漬処理工程,及び第二蒸発除去工程からなる。第一浸漬処理工程は、金属アルコキシドを含有する超臨界二酸化炭素の中にプラスチック成形品を浸漬する工程であり、該工程により、相溶状態の金属アルコキシド及び二酸化炭素がプラスチック成形品の表面から内側に浸透する。
なお、超臨界二酸化炭素とは、臨界温度以上の温度を有し且つ臨界圧力以上の圧力を有する領域にある二酸化炭素である。ちなみに、二酸化炭素の臨界温度は31℃で、臨界圧力は72.8気圧(7.39MPa)である。
【0010】
第一浸漬処理工程における浸漬温度は、二酸化炭素の臨界温度以上であり、より好ましくは二酸化炭素の臨界温度以上且つプラスチック成形品を構成するプラスチックのガラス転移温度未満である。プラスチック材料はガラス転移温度を超えると、分子主鎖のミクロブラウン運動が可能になるまで自由体積が増加し、超臨界状態の二酸化炭素はプラスチック内部まで、より浸透しやすくなる。そうすると、プラスチック中にあらかじめ添加されている熱安定剤等の各種添加剤が逆に抽出されてしまうことも考えられ、その結果、物性が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0011】
ただし、超臨界二酸化炭素のプラスチックへの浸透度は、温度が高い方が大きいので、浸漬温度をできるだけ高くした方が金属アルコキシドが浸透しやすい。浸漬温度は、プラスチック材料の融点やガラス転移温度を参考に決定することが好ましく、最高でも150℃程度である。これ以上の温度であると、プラスチックや金属アルコキシドの劣化が生じるおそれがある。
【0012】
また、第一浸漬処理工程における圧力は二酸化炭素の臨界圧力以上であり、より高い圧力である方が、二酸化炭素のプラスチックへの浸透度が向上し、改質の効率が向上するため好ましい。ただし、プラスチック成形品の改質に使用する処理装置を高圧に耐え得るようにする必要が生じるため、該処理装置が大掛かりで高額なものになってしまう。したがって、処理装置の操作性や設備費等を考慮すると、圧力は100気圧以上300気圧以下(10.13MPa以上30.4MPa以下)の範囲が適当である。
さらに、第一浸漬処理工程における浸漬時間は特に限定されるものではなく、プラスチック成形品の厚さや大きさ等を考慮して適宜設定される。
【0013】
さらに、超臨界二酸化炭素中の金属アルコキシドの濃度は、二酸化炭素の超臨界状態において概ね飽和溶解度となるように調整される。
なお、この浸漬処理を行うにあたって、処理装置内は二酸化炭素で置換しておくことが好ましい。酸素等が残存している状態で浸漬処理を行うと、処理中にプラスチックが酸化劣化するおそれがある。また、水分が残存していると、金属アルコキシドの加水分解が生じてしまうおそれがある。
【0014】
次に、第一蒸発除去工程について説明する。処理装置内の温度を、プラスチック成形品を構成するプラスチックのガラス転移温度未満とした後、二酸化炭素を徐々に排出することにより処理装置内の圧力をゆっくり下げて、大気圧に戻す。これにより、プラスチック成形品の中に浸透した金属アルコキシド及び二酸化炭素のうち二酸化炭素のみが蒸発して除去され、金属アルコキシドはプラスチック成形品中に残される。以上にような2つの工程によって、プラスチック成形品の内部(特に表層部)に金属アルコキシドの分子が浸透し、プラスチック分子間の自由体積に固定化される。
【0015】
超臨界状態でなくなると、プラスチック成形品に浸透しなかった金属アルコキシドは二酸化炭素から分離して処理装置の下部に蓄積するので、処理装置内からプラスチック成形品を取り出す。このとき、必要に応じて、プラスチック成形品の表面に付着した金属アルコキシドを洗浄によって除去してもよい。また、プラスチック成形品内に残存した微量の二酸化炭素を、真空乾燥等によって完全に除去してもよい。
なお、第一蒸発除去工程における処理装置内の温度は、プラスチック成形品を構成するプラスチックのガラス転移温度未満とすることが好ましい。ガラス転移温度以上であると、プラスチック成形品の中から二酸化炭素が除去される際に、プラスチック成形品に発泡が生じる可能性が高くなる。
【0016】
次に、第二浸漬処理工程について説明する。第二浸漬処理工程は、上記のようにして金属アルコキシドを浸透させたプラスチック成形品を、水と相溶状態にある超臨界二酸化炭素の中に浸漬する工程である。該工程により、プラスチック成形品に浸透している金属アルコキシドが加水分解されて金属水酸化物となり、その微粒子が析出する。なお、第二浸漬処理工程における処理条件や処理方法は、水と相溶状態にある超臨界二酸化炭素を用いる点を除いては、第一浸漬処理工程と同様である。
【0017】
次に、第二蒸発除去工程について説明する。前述の第一蒸発除去工程と同様に、処理装置内の温度を、プラスチック成形品を構成するプラスチックのガラス転移温度未満とした後、二酸化炭素を徐々に排出することにより処理装置内の圧力をゆっくり下げて、大気圧に戻す。これにより、プラスチック成形品の中に浸透した二酸化炭素及び水が蒸発して除去され、金属水酸化物はプラスチック成形品中に残される。この時、金属アルコキシドの加水分解の際に生成したアルコールも、二酸化炭素や水とともにプラスチック成形品から除去される。
【0018】
このような工程により、プラスチック成形品の内部(特に表層部)に析出した金属水酸化物の微粒子が、プラスチック分子間の自由体積に固定化される。これにより、プラスチック成形品の表層部に金属水酸化物が高濃度で存在することとなるので、プラスチック成形品に優れた耐摩耗性が付与される。金属水酸化物を含有するプラスチック成形品を前述のような従来の方法(金属水酸化物の微粒子を混合したプラスチック原料を成形する方法)によって製造した場合には、プラスチック成形品の全体に金属水酸化物が均一に分散することとなり、このように局部的に分散されたプラスチック成形品を製造することは不可能であったが、上記のようにすれば容易に製造することができる。
【0019】
また、元々有していた自由体積に金属水酸化物が固定されていることから、金属水酸化物が外部に滲出することはほとんどないので、耐摩耗性が半永久的に持続する(耐摩耗性の低下が生じにくく優れた耐摩耗性が長期間にわたって持続される)。また、金属水酸化物により表層部の機械的強度が向上すると同時に、金属水酸化物が外部に滲出することはほとんどないことから、その機械的強度の低下が起こるおそれがほとんどない。
【0020】
次に、プラスチック成形品を金属酸化物で改質する方法について説明する。金属酸化物でプラスチック成形品を改質する方法は、第一浸漬処理工程,第一蒸発除去工程,第二浸漬処理工程,第二蒸発除去工程,及び加熱工程からなる。第一浸漬処理工程から第二蒸発除去工程までの工程については、前述のプラスチック成形品を金属水酸化物で改質する方法と同様であるので、その説明は省略し、加熱工程のみ説明する。
【0021】
第一浸漬処理工程から第二蒸発除去工程までの操作で得られたプラスチック成形品を加熱処理すると、プラスチック成形品に含まれる金属水酸化物が金属酸化物に変化する。これにより、表層部に金属酸化物が分散したプラスチック成形品が得られる。プラスチック成形品の表層部に金属酸化物が高濃度で存在することとなるので、プラスチック成形品に優れた耐摩耗性が付与される。金属酸化物を含有するプラスチック成形品を前述のような従来の方法(金属酸化物の微粒子を混合したプラスチック原料を成形する方法)によって製造した場合には、プラスチック成形品の全体に金属酸化物が均一に分散することとなり、このように局部的に分散されたプラスチック成形品を製造することは不可能であったが、上記のようにすれば容易に製造することができる。
【0022】
また、元々有していた自由体積に金属酸化物が固定されていることから、金属酸化物が外部に滲出することはほとんどないので、耐摩耗性が半永久的に持続する(耐摩耗性の低下が生じにくく優れた耐摩耗性が長期間にわたって持続される)。また、金属酸化物により表層部の機械的強度が向上すると同時に、金属酸化物が外部に滲出することはほとんどないことから、その機械的強度の低下が起こるおそれがほとんどない。
【0023】
この加熱工程は、プラスチック成形品の熱劣化や酸化劣化を防止するために、アルゴン,窒素等の不活性ガス中や真空中で行うことが好ましい。また、加熱温度は、金属水酸化物が金属酸化物に変化する最低温度に近い、できるだけ低温であることが好ましく、金属の種類によって適宜設定される。
金属アルコキシドの種類は特に限定されるものではないが、超臨界流体に対して溶解性を示すものが好ましい。さらに、常温で液体の金属アルコキシド、又は、第一浸漬処理工程における浸漬温度以下の融点を持つ固体の金属アルコキシドが好ましい。また、取り扱い性を考慮すると、水と適度な反応性を有するものが好ましい。
【0024】
金属アルコキシドの具体例としては、テトラ−n−プロポキシチタン,テトラ−i−プロポキシチタン,テトラ−n−ブトキシチタン,テトラ−t−ブトキシチタン,テトラオクチルチタン等のチタンアルコキシドや、トリ−t−ブトキシアルミニウム等のアルミニウムアルコキシドや、テトラ−n−プロポキシシラン,テトラ−i−プロポキシシラン,テトラ−n−ブトキシシラン,テトラ−i−ブトキシシラン,テトラ−sec−ブトキシシラン,テトラ−t−ブトキシシラン等のシリコンアルコキシドがあげられる。チタン,アルミニウム,シリコン以外の金属のアルコキシドでも使用可能であり、その場合には、水との反応性を考えると炭素数が3以上のアルコキシ基を有するものが好ましい。炭素数が2以下のアルコキシ基を有するものは、水との反応が急激に起こるため取り扱いが困難であるとともに、処理中に空気中の水分等と反応して一部が金属水酸化物に化学変化することも考えられるので、好ましくない。これらの金属アルコキシドは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
なお、金属アルコキシドの代わりに、加水分解することにより金属水酸化物となる金属アミン化合物を用いてもよい。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては、超臨界流体として超臨界二酸化炭素を用いた例をあげて説明したが、本発明には、他の種類の様々な超臨界流体を用いることができる。例えば、二酸化窒素,アンモニア,エタン,プロパン,エチレン,メタノール,エタノール等があげられる。ただし、二酸化炭素は比較的穏和な条件で超臨界流体となり、しかも毒性がなく不燃性であるため最も好ましい。
【0026】
また、本発明のプラスチック成形品の改質方法を好適に適用可能なプラスチックとしては、第一及び第二蒸発除去工程におけるプラスチック成形品の発泡を防止するために、ガラス転移温度(Tg)が超臨界流体の臨界温度よりも高いものが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(Tg69℃),ポリブチレンフタレート(Tg45℃)等のポリエステル系樹脂や、ポリアミド6(Tg53℃),ポリアミド66(Tg57℃)等のポリアミド系樹脂があげられる。また、ポリスチレン(Tg100℃),ポリカーボネート(Tg145℃)等があげられる。
【0027】
ただし、ガラス転移温度(Tg)が超臨界流体の臨界温度以下であるものであっても、本発明のプラスチック成形品の改質方法を適用可能である場合がある。ガラス転移温度(Tg)が超臨界二酸化炭素の臨界温度以下であるプラスチックとしては、例えば、ポリエチレン(Tg−125℃),ポリオキシメチレン(Tg−82℃),ポリプロピレン(Tg−8℃),ポリメチルアクリレート(Tg10℃)があげられる。
【0028】
さらに、これらのプラスチックの他に、優れた摺動性を有する超高分子量ポリオレフィンの存在下において多段階的な重合法で得られた低分子量乃至高分子量ポリオレフィンからなる高摺動性特殊ポリオレフィン樹脂も好適である。また、ポリフェニレンサルファイド(PPS),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)や、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP),テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE),ポリビニリデンフルオライド(PVDF),ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等のフッ素樹脂も、摺動性に優れるため好適である。これらのプラスチックの中では、前述の高摺動性特殊ポリオレフィン樹脂や、PFA、FEP、ETFE等のフッ素樹脂が、摺動性が特に優れるので最も好適である。
【0029】
ここで、高摺動性特殊ポリオレフィン樹脂について説明する。高摺動性特殊ポリオレフィン樹脂は、超高分子量ポリオレフィンと、低分子量乃至高分子量ポリオレフィンと、を含有してなるものであり、チーグラー型触媒の存在下でオレフィンを重合させて超高分子量ポリオレフィンを生成し、次いで水素存在下でさらにオレフィンを多段階的に重合させて低分子量乃至高分子量のポリオレフィンを生成させることにより製造される。
【0030】
このようにして製造することで、高摺動性特殊ポリオレフィン樹脂は、超高分子量ポリオレフィンと低分子量乃至高分子量ポリオレフィンとを単純に混合したときのような層状構造にはならず、超高分子量ポリオレフィンが低分子量乃至高分子量ポリオレフィンの間に均一にミクロ分散し、場合によっては、一部で互いに結合状態を作ることにより分散状態が安定に保たれている。このように超高分子量ポリオレフィンがミクロ分散していると、射出成形性が維持されつつ、超高分子量ポリオレフィンの持つ卓越した耐摩耗性が同時に発現される。
【0031】
これらの超高分子量ポリオレフィン及び低分子量乃至高分子量ポリオレフィンは、例えばエチレン,プロピレン,1−ブテン,1−ペンテン,1−ヘキセン,1−オクテン,1−デセン,1−ドデセン,4−メチル−1−ペンテン,3−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体からなる。この中では、エチレンの単独重合体、又は、エチレンと他のα−オレフィンとからなりエチレンを主成分とする共重合体が望ましい。
【0032】
また、高摺動性特殊ポリオレフィン樹脂において、超高分子量ポリオレフィンの割合は、実質15〜40質量%であり、より好ましくは20〜35質量%である。超高分子量ポリオレフィンの量が15質量%未満であると、耐摩耗性等の改善効果が十分とは言えず、実用性が低い。また、超高分子量ポリオレフィンの割合が40質量%を超えると、溶融時の粘度が高く、射出成形による成形が困難であるとともに、超高分子量ポリオレフィンの絶対量が多くなりミクロ分散しにくくなるので、種々の物性が低下する。
これらのプラスチックは、ガラス繊維等の充填材や、熱安定剤等の各種添加剤を含有するものでも差し支えない。ただし、各種添加剤は、改質の処理条件によっては、抽出されることも予想されるので、処理温度や処理圧力には注意を要する。なお、各種添加剤は、あらかじめ金属アルコキシドとともに超臨界流体に添加しておいてもよい。
【0033】
次に、前述のようにして改質したプラスチック成形品を、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング,XYテーブル等の転動装置の構成部品として使用した例を説明する。転動装置とは、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、転動体の転動を介して内方部材及び外方部材の一方が他方に対して相対運動する装置である。
【0034】
転動装置の構成部品とは、転動装置を構成する部品を意味し、例えば内方部材,外方部材,転動体,セパレータ,保持器,密封装置があげられる。また、転動装置が、リニアガイド装置による直動案内機構が組み合わされてテーブル体が基台に対してX軸方向及びY軸方向の2方向へ移動可能とされたXYテーブルである場合には、リニアガイド装置を構成する案内レール,スライダとともにテーブル体も構成部品である。
【0035】
ここで、内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
【0036】
〔使用例1〕
図1は、軸方向に平行な面で破断したボールねじの断面図であり、図2は図1のボールねじのI−I断面図である。
このボールねじ10は、螺旋状のねじ溝12を外周面に有するねじ軸11と、ねじ軸11のねじ溝12に対向する螺旋状のねじ溝16を内周面に有しねじ軸11に螺合される円筒状のナット14と、ねじ軸11のねじ溝12とナット14のねじ溝16とで形成される螺旋状のボール転動路に転動自在に装填された多数のボール(転動体)13と、を備えている。そして、ナット14は、多数のボール13を介してねじ軸11に螺合されており、ねじ軸11又はナット14が回転すると、ボール13の転動を介してナット14がねじ軸11に対して軸方向に相対移動するようになっている。
【0037】
このナット14の外面の一部は平坦に削られていて、この軸方向に平行な平面上に略コ字状に屈曲したリターンチューブ17が固定されている。すなわち、ナット14には、この平面に開口しナット14のねじ溝16と連通する一対の貫通孔18,18が設けられていて、リターンチューブ17の両端部がこの両貫通孔18,18に前記平面側から挿入されている。そして、貫通孔18,18の外に位置するリターンチューブ17の中央部分が、前記平面上に配されている。なお、1つのナットに2本以上のリターンチューブを取り付けてもよく、その際には、2対以上の貫通孔を設ける。
【0038】
ボール転動路内を転動するボール13は、このリターンチューブ17を通って循環されるようになっている。すなわち、ボール13はボール転動路内を移動しねじ軸11の回りを複数回回ってから、ボール転動路の一端(リターンチューブ17とボール転動路との交点)において、リターンチューブ17の一方の端部(開口部)からリターンチューブ17内にすくい上げられる。すくい上げられたボール13は、リターンチューブ17の中を通って、リターンチューブ17の他方の端部(開口部)からボール転動路の他端に戻される。
【0039】
このようなボールねじ10において、ナット14、ねじ軸11、リターンチューブ17、及びラビリンスシール19,19(ナット14の両端面部に備えられているもの)の少なくとも一つは、前述のような超臨界流体を用いた改質処理により、二酸化ケイ素の微粒子が表層部に固定化されたプラスチック成形品で構成されている。このため、ボールねじ10は、優れた耐摩耗性を有している。
なお、ボール13についても、同様のプラスチック成形品で構成してもよいが、二酸化ケイ素の微粒子を含有しない同種の樹脂や、ガラス,セラミックスで構成してもよい。
【0040】
〔使用例2〕
図3は、リニアガイド装置の構成を示す斜視図であり、図4は、軸方向に垂直な面で破断した断面図である。また、図5は、リニアガイド装置のスライダの一部分を示す断面図である。
リニアガイド装置20は、角形の案内レール21と、案内レール21の上に軸方向に相対移動可能に跨架された横断面形状がほぼコ字形のスライダ24と、を備えている。このスライダ24は、スライダ本体25の軸方向の両端部にエンドキャップ26,26が着脱可能に固着されて構成されている。
【0041】
また、案内レール21の両側面には、断面ほぼ半円形の凹溝である転動体転動溝22,22が軸方向に形成されている。なお、転動体転動溝22の溝底には、転動体23の脱落を防ぐ保持器のための逃げ溝が、軸方向に形成されている。
一方、スライダ本体25は、両袖部25a,25aと水平部25bとからなり、両袖部25a,25aの内側には、案内レール21の転動体転動溝22,22に対向する断面ほぼ半円形の負荷転動体転動溝27,27が形成されている。
【0042】
そして、案内レール21の転動体転動溝22とスライダ24の負荷転動体転動溝27とで負荷転動体転動路が構成されている。また、スライダ本体25の袖部25aの肉厚内に、負荷転動体転動路に平行な軸方向に延びる断面円形の貫通孔からなる転動体戻し路28,28が形成されている。
エンドキャップ26は、断面円形の半ドーナツ状の湾曲路29が上下二段に形成されており(図5を参照)、湾曲路29の両端がスライダ本体25との接合面(裏面)に開口している。このエンドキャップ26をスライダ本体25に取り付けると、湾曲路29によって、スライダ本体25の負荷転動体転動路と転動体戻し路28とが連通される。そして、上記の負荷転動体転動路と転動体戻し路28と湾曲路29とで構成される転動体無限循環経路に、多数の転動体23が転動自在に装填されている。
【0043】
案内レール21上をスライダ24が移動すると、転動体23は負荷転動体転動路内を転動しつつスライダ24の移動方向にスライダ24よりも遅い速度で移動し、一端側の湾曲路29でUターンして転動体戻し路28を逆方向に転動しつつ移動し、他端側の湾曲路29で逆Uターンして負荷転動体転動路内に戻るという循環を繰り返す。
このようなリニアガイド装置20において、案内レール21,スライダ本体25,及びエンドキャップ26の少なくとも一つは、前述のような超臨界流体を用いた改質処理により二酸化ケイ素の微粒子が表層部に固定化されたプラスチック成形品で構成されている。このため、リニアガイド装置20は、優れた耐摩耗性を有している。
なお、転動体23についても、同様のプラスチック成形品で構成してもよいが、二酸化ケイ素の微粒子を含有しない同種の樹脂や、ガラス,セラミックスで構成してもよい。
【0044】
〔使用例3〕
図6は、ボールねじ一体型直動案内ユニット(モノキャリア)の構成を示す側面図であり、図7は、図6のボールねじ一体型直動案内ユニットのII−II断面図である。また、図8は、図7のIII −III 断面図である。
図6のボールねじ一体型直動案内ユニット30は、ボールねじと、リニアガイドと、が一体化されたものである。
【0045】
ボールねじは、ねじ軸(内方部材)34と、このねじ軸34に外嵌されてねじ軸34の軸方向に沿って移動可能なナット(外方部材)33と、を備えている。ねじ軸34は、案内レール31の両端部の軸受板31B,31B及び一方の軸受板31Bに並設されたベアリングハウジング31Cにそれぞれ設けられた軸受(図示せず)によって、回転可能に支持されている。
また、ねじ軸34の外周面に設けられたねじ溝34aとナット33の内周面に設けられたねじ溝33aとの間には、螺旋状通路が形成されている。この螺旋状通路には転動体としての多数の玉B1が転動可能に装填されており、ねじ軸34の回転により、ナット33が玉B1の転動を介して直線移動するようになっている。
【0046】
なお、ナット33には、ねじ軸34に平行な直線状の貫通孔からなる転動体戻り通路33bが、ねじ軸34を取り囲むようにして4本形成されている。また、このナット33の両端部に取り付けられたエンドキャップ32には、ナット33との接合端面に、ねじ軸34の4条のねじ溝34aと4つの転動体戻り通路33bとをそれぞれ連通させる4本の湾曲路(図示せず)が形成されている。これにより、上記螺旋状通路を転動した玉B1は、湾曲路及び転動体戻り通路33bを通って循環し、上記螺旋状通路を繰り返し転動するようになっている。
【0047】
一方、リニアガイドは、断面凹状をなす案内レール(外方部材)31を備えており、案内レール31の凹部31Aにはナット(内方部材)33が収納されている。この案内レール31の凹部31Aの両側内面には、それぞれ軸方向に延びる転動体転動溝31aが形成されており、ナット33の両側外面にはそれぞれ転動体転動溝31aに対向する転動体転動溝33cが形成されている。なお、転動体転動溝31a,33cは例えば2列、3列以上でもよい。
【0048】
これら向き合った両転動体転動溝31a,33cの間には、転動体としての多数の玉B2が転動自在に装填され、これらの玉B2の転動を介して、ナット33が案内レール31に案内され軸方向に沿って移動可能となっている。なお、ナット33の肉厚内には、両転動体転動溝31a,33cと平行な転動体通路33dが形成され、また、このナット33の両端部に取り付けられたエンドキャップ32には、転動体通路33dと両転動体転動溝31a,33cとを連通する転動体循環路32aが内部に形成されている。これにより、玉B2が循環可能になっている。
【0049】
このようなボールねじ一体型直動案内ユニット30において、ナット33,エンドキャップ32,ねじ軸34,及び案内レール31(凹部31A,軸受板31B,ベアリングハウジング31C)の少なくとも一つは、前述のような超臨界流体を用いた改質処理により二酸化ケイ素の微粒子が表層部に固定化されたプラスチック成形品で構成されている。このため、ボールねじ一体型直動案内ユニット30は、優れた耐摩耗性を有している。
なお、玉B1,B2についても、同様のプラスチック成形品で構成してもよいが、二酸化ケイ素の微粒子を含有しない同種の樹脂や、ガラス,セラミックスで構成してもよい。
【0050】
〔使用例4〕
図9は、深溝玉軸受の構成を示す縦断面図である。
この深溝玉軸受40は、内輪41と、外輪42と、内輪41及び外輪42の間に転動自在に配された複数の転動体43と、内輪41及び外輪42の間に複数の転動体43を保持する保持器44と、を備えている。
【0051】
このような深溝玉軸受40において、内輪41,外輪42,及び保持器44の少なくとも一つは、前述のような超臨界流体を用いた改質処理により二酸化ケイ素の微粒子が表層部に固定化されたプラスチック成形品で構成されている。このため、深溝玉軸受40は、優れた耐摩耗性を有している。
なお、転動体43についても、同様のプラスチック成形品で構成してもよいが、二酸化ケイ素の微粒子を含有しない同種の樹脂や、ガラス,セラミックスで構成してもよい。
【0052】
また、本使用例においては、転がり軸受として深溝玉軸受を例示して説明したが、本発明は他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0053】
さらに、保持器44の種類は特に限定されるものではなく、転がり軸受の種類に合わせて適宜選択できる。例えば、玉軸受用保持器としては、図10に示す一般タイプの保持器、図11に示す冠型保持器、図12に示すアンギュラ軸受用保持器、図示しないスラスト玉軸受用保持器等があげられる。また、ころ軸受用保持器としては、図13に示す円すいころ軸受用保持器、図14に示す球面ころ軸受用保持器、図示しない円筒ころ軸受用保持器、図示しないスラストころ軸受用保持器、図示しないスラスト球面ころ軸受用保持器等があげられる。
【0054】
〔使用例5〕
図15は樹脂製プーリの正面図であり、図16は図15の樹脂製プーリのA−A断面図である。
この樹脂製プーリ50は、転がり軸受51と樹脂部52とからなる。転がり軸受51は、内輪,外輪,転動体,保持器,及び接触ゴムシールとからなる深溝玉軸受である。また、樹脂部52は、ガラス繊維等の強化繊維を含有するポリアミド66で構成されており、外輪の外周面に射出成形等により一体的に取り付けられている。
【0055】
樹脂部52は、転がり軸受51が嵌合される内径側円筒部52aと、外径側円筒部52bと、両円筒部52a,52bを連結する円板部52cと、樹脂部52を補強するための複数のリブ52dと、からなる。そして、外径側円筒部52bの外周面52eが、図示しない駆動用ベルトのベルト案内面をなす。
このような樹脂製プーリ50において、樹脂部52は、前述のような超臨界流体を用いた改質処理により二酸化ケイ素の微粒子が表層部に固定化されたプラスチック成形品で構成されている。このため、樹脂製プーリ50は、優れた耐摩耗性を有している。
【0056】
〔使用例6〕
図17は電動パワーステアリング装置のハウジング部分の断面図であり、図18はハウジング内のウォームホイールギア及びウォームギアのみを示した斜視図である。
電動パワーステアリング装置のハウジング71内に備えられているウォームホイールギア81及びウォームギア82は、図示しない入力軸の回転に伴って生じた電動モータ73の回転駆動力を出力軸74に伝達する機能を有している。なお、このウォームホイールギア81及びウォームギア82は、ガラス繊維で強化されたポリアミド66で構成されている。
【0057】
ウォームホイールギア81及びウォームギア82は、前述のような超臨界流体を用いた改質処理により二酸化ケイ素の微粒子が表層部に固定化されたプラスチック成形品で構成されている。このため、ウォームホイールギア81及びウォームギア82は、優れた耐摩耗性を有している。よって、ウォームホイールギア81及びウォームギア82に高面圧が負荷されるような厳しい使用条件下で電動パワーステアリング装置が使用されても、ウォームホイールギア81及びウォームギア82の耐久性,信頼性等の性能が優れており、その結果、電動パワーステアリング装置が長寿命となる。
【0058】
〔樹脂製プーリの耐摩耗性試験について〕
図15,16の樹脂製プーリ50とほぼ同様の構成の樹脂製プーリを用意して、その耐摩耗性を評価した。この樹脂製プーリは、その樹脂部が、ガラス繊維を30質量%含有するポリアミド66(宇部興産株式会社製のUBEナイロン2020GU6)で構成されており、前述のような超臨界流体を用いた改質処理により二酸化ケイ素の微粒子が表層部に固定化されている。
【0059】
超臨界流体を用いた改質処理は、以下のようにして行った。超臨界流体として超臨界二酸化炭素、金属アルコキシドとしてテトラ−t−ブトキシシラン(高純度化学研究所製)を用い、温度150℃、圧力15MPaで1時間浸漬処理を行って、樹脂製プーリの樹脂部に金属アルコキシドを浸透させた。樹脂製プーリの樹脂部から二酸化炭素を蒸発除去させた後に、水と相溶状態にある超臨界二酸化炭素の中に浸漬して、金属アルコキシドを加水分解し金属水酸化物(Si(OH)4 )とした。この処理の条件は、温度90℃、圧力1.5MPa、処理時間2時間である。さらに、窒素ガス中210℃で5時間加熱処理を行い、金属水酸化物を金属酸化物(SiO2 )に変化させた。
このようにして得られた樹脂製プーリの樹脂部を破断して断面を観察したところ、表面(ベルト案内面)から深さ約30μmの部分までに、シリカの微粒子が点在していた。
【0060】
次に、この樹脂製プーリの耐摩耗性を評価した。比較のため、前述のような超臨界流体を用いた改質処理を施していない樹脂製プーリについても、同様の評価を行った。
耐摩耗性の評価は、図19に示すような耐摩耗性試験機を用いて行った。この耐摩耗性試験機100は駆動輪101と従動輪102とを備え、駆動輪101と従動輪102とは架け渡されたベルト103により連結されている。そして、図示しない駆動モータにより駆動される駆動輪101の回転が、ベルト103により従動輪102に伝達されて、従動輪102が回転するようになっている。
【0061】
駆動輪101と従動輪102との間の位置には、試験対象である樹脂製プーリ105が回転可能に設置されていて、樹脂部のベルト案内面105aがベルト103の外周面に接触している。
なお、この樹脂製プーリ105の転がり軸受にはベルト103に向く方向の980Nの荷重が負荷されており、この荷重によって樹脂製プーリ105のベルト案内面105aはベルト103に押し付けられている。そして、駆動輪101が回転するとベルト103及び従動輪102が回転し、ベルト案内面105aがベルト103に押し付けられている樹脂製プーリ105も回転する。
【0062】
なお、この耐摩耗性試験機100は恒温槽110内に設置されており、恒温槽110内は120℃に保持されている。また、恒温槽110内の空気中には、関東ローム粉JIS#8を浮遊させてある。関東ローム粉の量は、恒温槽110の空間容積の0.05体積%である。この恒温槽110中の雰囲気は、悪路を走行中の自動車の補機類に使用されている樹脂製プーリがおかれる雰囲気を再現したものである。
【0063】
樹脂製プーリ105を回転速度8000min-1で100時間回転させた後に、樹脂部のベルト案内面105aの摩耗量(摩耗によって生じた凹部の深さ)を測定した。その結果、前述のような改質処理が施された実施例の樹脂製プーリの場合は、摩耗量が30μmであった。これに対して、改質処理が施されていない比較例の樹脂製プーリの場合は、摩耗量が100μmであった。この結果から、シリカ微粒子を表層部に固定化した樹脂製プーリは、耐摩耗性が優れていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】改質されたプラスチック成形品の使用例を説明するボールねじの断面図である。
【図2】図1のボールねじのI−I断面図である。
【図3】改質されたプラスチック成形品の別の使用例を説明するリニアガイド装置の斜視図である。
【図4】図3のリニアガイド装置を軸方向に垂直な面で破断した断面図である。
【図5】図3のリニアガイド装置のスライダの一部分を示す断面図である。
【図6】改質されたプラスチック成形品の別の使用例を説明するボールねじ一体型直動案内ユニットの側面図である。
【図7】図6のII−II断面図である。
【図8】図7のIII −III 断面図である。
【図9】改質されたプラスチック成形品の別の使用例を説明する深溝玉軸受の断面図である。
【図10】転がり軸受に使用される一般タイプの保持器の斜視図である。
【図11】転がり軸受に使用される冠型保持器の斜視図である。
【図12】転がり軸受に使用されるアンギュラ軸受用保持器の斜視図である。
【図13】転がり軸受に使用される円すいころ軸受用保持器の斜視図である。
【図14】転がり軸受に使用される球面ころ軸受用保持器の斜視図である。
【図15】改質されたプラスチック成形品の別の使用例を説明する樹脂製プーリの正面図である。
【図16】図15の樹脂製プーリのA−A断面図である。
【図17】改質されたプラスチック成形品の別の使用例を説明する電動パワーステアリング装置のハウジング部分の断面図である。
【図18】ウォームホイールギア及びウォームギアの斜視図である。
【図19】樹脂製プーリの耐摩耗性を評価する耐摩耗性試験機の図である。
【符号の説明】
【0065】
10 ボールねじ
11 ねじ軸
12,16 ねじ溝
13 ボール
14 ナット
17 リターンチューブ
18 貫通孔
19 ラビリンスシール
20 リニアガイド
21 案内レール
22 転動体転動溝
23 転動体
24 スライダ
25 スライダ本体
25a 袖部
25b 水平部
26 エンドキャップ
27 負荷転動体転動溝
28 転動体戻し路
29 湾曲路
30 一体型直動案内ユニット
31 案内レール
31A 凹部
31B 軸受板
31C ベアリングハウジング
31a 転動体転動溝
32 エンドキャップ
32a 転動体循環路
33 ナット
33a ねじ溝
33b 転動体戻り通路
33c 転動体転動溝
33d 転動体通路
34 ねじ軸
34a ねじ溝
B1,B2 玉
40 深溝玉軸受
41 内輪
42 外輪
43 転動体
44 保持器
50 樹脂製プーリ
51 転がり軸受
52 樹脂部
52a 内径側円筒部
52b 外径側円筒部
52c 円板部
52d リブ
52e 外周面
81 ウォームホイールギア
82 ウォームギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属アルコキシドを含有する超臨界流体をプラスチック成形品に接触させて、前記プラスチック成形品に金属アルコキシド及び超臨界流体を浸透させる工程と、
前記プラスチック成形品に浸透した金属アルコキシド及び超臨界流体のうち超臨界流体のみを前記プラスチック成形品から除去する工程と、
超臨界流体が除去され金属アルコキシドが浸透している前記プラスチック成形品に、水と相溶状態にある超臨界流体を接触させて、前記プラスチック成形品に浸透している金属アルコキシドを加水分解して金属水酸化物とする工程と、
を備えることを特徴とするプラスチック成形品の改質方法。
【請求項2】
金属アルコキシドを含有する超臨界流体をプラスチック成形品に接触させて、前記プラスチック成形品に金属アルコキシド及び超臨界流体を浸透させる工程と、
前記プラスチック成形品に浸透した金属アルコキシド及び超臨界流体のうち超臨界流体のみを前記プラスチック成形品から除去する工程と、
超臨界流体が除去され金属アルコキシドが浸透している前記プラスチック成形品に、水と相溶状態にある超臨界流体を接触させて、前記プラスチック成形品に浸透している金属アルコキシドを加水分解して金属水酸化物とする工程と、
金属水酸化物を含む前記プラスチック成形品を加熱して、その金属水酸化物を金属酸化物に変化させる工程と、
を備えることを特徴とするプラスチック成形品の改質方法。
【請求項3】
前記超臨界流体を超臨界二酸化炭素としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプラスチック成形品の改質方法。
【請求項4】
前記金属アルコキシドをシリコンアルコキシド,アルミニウムアルコキシド,及びチタンアルコキシドの少なくとも一つとしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック成形品の改質方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチック成形品の改質方法により改質されたプラスチック成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−214553(P2008−214553A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56170(P2007−56170)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】