説明

プラスチック材料より成る管縮小部材

本発明は、所定の貫流方向で流体を貫流させるために設けられた内部容積(12)を有する、プラスチック材料より成る管縮小部材(10)に関し、該管縮小部材(10)は、第1の区分(14)と第2の区分(16)とから形成されていて、これらの第1の区分(14)と第2の区分(16)とが、互いに面一に隣接し合う内壁(18,20)を有しており、第1の区分(14)の内壁(18)が、内部容積(12)の、円筒形に形成された第1の部分容積(22)を画成しており、第2の区分(16)の内壁(20)が前記内部容積(12)の第2の部分容積(24)を画成しており、該第2の部分容積(24)が、前記第1の部分容積(22)に向かって次第に減少する横断面を有するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック材料より成る管縮小部材に関する。
【0002】
公知の管縮小部材は、種々異なる内径を有する2つの管を、流体の貫流ガイドが良好に得られるように接続するために用いられる。このために、公知の管縮小部材は、少なくとも3つの区分から成る構造を有しており、2つの外側の区分が、それぞれ接続しようとする管の内径に相当する円筒形の内径若しくは同一の内径を備えていて、中央の区分が、2つの異なる内径間の移行部を形成している。このような公知の構造に従って、公知の管縮小部材は、特に接続しようとする2つの管の内径差が著しく大きい場合に、所定のスペースを必要とし、ひいては、配管のための設置スペースが限定されている所定の使用条件下において、取付けが面倒で困難になる。
【0003】
発明の課題
そこで本発明の課題は、冒頭に述べた形式の管縮小部材を改良して、公知の解決策と比較して小型でコンパクトに構成され、特に敷設しようとする配管のために小さいスペースしか提供されない配管設置条件下において、異なる内径を有する2つの管を簡単に接続することができるようなものを提供することである。
【0004】
本発明の解決策
この課題は本発明によれば、所定の貫流方向で流体を貫流させるために設けられた内部容積を有する、プラスチック材料より成る管縮小部材において、該管縮小部材が、第1の区分と第2の区分とから形成されていて、これらの第1の区分と第2の区分とが、互いに面一に隣接し合う内壁を有しており、第1の区分の内壁が、内部容積の、円筒形に形成された第1の部分容積を画成しており、第2の区分の内壁が前記内部容積の第2の部分容積を画成しており、該第2の部分容積が、前記第1の部分容積に向かって次第に減少する横断面を有するように構成されていることによって解決された。
【0005】
本発明によれば、管縮小部材は、公知の解決策とは異なり、2つの区分だけより成っており、第2の区分が、第1の部分容積の方向に(若しくは第1の部分容積に向かって)次第に減少する横断面を有する、内部容積の第2の部分容積を画成している。第2の区分が、異なる大きさの2つの内径若しくは横断面間の移行部を形成するので、公知の解決策において設けられた第3の中央の区分を必要とすることがなく、しかも公知の管縮小部材に値して著しく縮小され、かつ良好な流れ特性を有する管減少部材が提供されており、このような良好な流れ特性によって特に圧力損失が著しく減少される。より大きい内径を有する管との接続部として用いられる第2の区分に内径減少部が設けられているので、第2の区分の全長が、内径を減少させるために提供され、かつ用いられる。
【0006】
第1の区分は、円筒形に構成された内部容積(若しくはほぼ円筒形に構成された内部容積)、つまり同一の横断面(若しくはほぼ同一の横断面)を有する内部容積を有している。
【0007】
第1の区分と第2の区分とは、互いに面一(同一面状)に隣接し合う内壁を有しており、従って例えば第1の区分の内壁が第2の区分の内壁に隣接しているか、若しくは第2の区分の内壁に面一に接続しており、ひいては、第1の区分の内壁と第2の区分の内壁との間の面一の移行部が提供されている。
【0008】
第1の区分と第2の区分とが、本発明に従って面一に接続されていることによって、有利な形式で第1の区分と第2の区分との領域における不都合な突起又は窪みに基づく不都合な流れガイドは避けられる。有利な形式で、第2の区分の内壁は、最適な流れガイドを得るために円錐形の内壁を有している。
【0009】
所定の流れ方向は、有利な形式で第2の区分を介した流入を含んでおり、第2の区分は、接続しようとする2つの管のうちの、より大きい内径若しくはより大きい横断面を有する方の管との接続若しくは結合のために設けられている。
【0010】
本発明の実施態様によれば、特に不都合な渦流を効果的に避ける最適な流れガイドに関連して、第1の部分容積が、第1の部分容積に隣接する上面を有する円錐台形に構成されている。
【0011】
本発明の特別な実施態様によれば、第1の区分と第2の区分とが、管縮小部材の中央の長手方向軸線を中心にしてほぼ回転対称的に構成されている。この実施態様に従って構成された管縮小部材は、有利な形式で、プラスチック未加工品より成る公知の「回転切削」による切削加工で製作される。
【0012】
有利な形式で、第1の区分は外周壁を有しており、該外周壁に、窪みを有する段部が形成されている。本発明によれば、中央の長手方向軸線を中心にして回転対称的に配置された段部に、接続部材が当接せしめられるようになっており、この接続部材は、第1の区分の周囲において、管縮小部材を介して接続しようとする2つの管のうちの一方の管と、管縮小部材の第1の区分とを接続するために設けられている。この場合、管縮小部材の第1の区分は、有利な形式で、接続しようとする2つの管のうちの、より小さい内径若しくはより小さい横断面を有する管を接続するために設けられている。
【0013】
本発明に従って設けられた窪みは、特に引っ張り負荷時に切欠効果によって発生する応力のピークを効果的に減少させるために設けられている。段部は、第1の区分の一方の端面に対して、50mm乃至70mmの範囲の間隔を有している。
【0014】
本発明の別の実施態様によれば、第1の区分の端部領域は、第2の区分の外径よりも小さい外径を有しており、端部領域の外径は、70mm乃至80mmの範囲の大きさを有していて、第2の区分の外径が、85mm乃至165mmの範囲の大きさを有している。本発明によれば、前記端部領域は、管縮小部材によって接続しようとする2つの管のうちの、より小さい内径若しくはより小さい横断面を有する方の管との接続のために設けられている。
【0015】
有利な形式で、第1の部分容積が、60mm乃至65mmの直径を有する円形の横断面を有している。第2の部分容積が、直径60mm乃至65mmの円形の最小横断面及び、直径70mm乃至140mmの円形の最大横断面を有している。
【0016】
本発明によれば、管縮小部材は、120mm乃至180mmの範囲の全長を有しており、第1の区分が、50mm乃至80mの範囲の長さを有している。
【0017】
本発明によれば、少なくとも2つの管より成る装置において、該装置の端部区分が、本発明による前記管縮小部材によって接続されている。
【0018】
以下に本発明の実施例を添付の図面を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の1実施例による管縮小部材の概略的な断面図である。
【図2】本発明の別の実施例による管縮小部材の概略的な断面図である。
【図3】本発明による管縮小部材と、接続しようとする2つの管の2つの端部区分と2つの接続エレメントとを有する装置の概略的な断面図である。
【0020】
図1は、プラスチック材料より成る本発明による管縮小部材10の1実施例の概略的な断面図である。管縮小部材10は内部容積12を有しており、該内部容積12は、流体を貫流させるために設けられている。管縮小部材10は、第1の区分14と第2の区分16とから構成されており、該第1の区分14及び第2の区分16は、流れを良好にガイドするために、互いに面一(同一平面状)に隣接する内壁18,20を有している。第1の区分14の内壁18は、内部容積12の円筒形に形成された第1の部分容積22を画成していて、第2の区分16の内壁20は、内部容積12の第2の部分容積24を画成しており、該第2の部分容積24は、第1の部分容積22に向かって次第に減少し、かつ第1の部分容積22に隣接する上面を有する円錐台形の横断面を形成していて、有利な形式で流れガイドを伴っており、第2の部分容積24は、第1の円筒形の部分容積22に相当するか若しくはほぼ相当する小さい横断面26を有している。
【0021】
管縮小部材10は、流体を貫流方向に貫流させるために設けられており、この場合、流体は第2の区分16を介して流入する。第1の区分14は端部領域29を有しており、該端部領域29は、管縮小部材によって接続しようとする2つの管のうちの、より小さい内径若しくはより小さい横断面を有する、一方の管に接続するために設けられている。第2の区分16は、接続しようとする2つの管のうちの、より大きい内径若しくはより大きい横断面を有する、他方の管に接続するために設けられている。
【0022】
管縮小部材10は、公知の回転切削によって製作された管縮小部材10であって、この管縮小部材10は、中央の長手方向軸線48を中心にして回転対称的に構成されていて、第1の区分14は、窪み32を備えた段部30が形成されている外周壁28を有しており、前記窪み32は、2mmの曲率半径R(例えば1mm乃至4mmの範囲内であってもよい)と、約1mmの相応の深さTを有している。この窪み32は図1の下方に拡大して示されている。
【0023】
段部30は、第1の区分14の端面35に対して約61mm(有利には+1mmの公差を有する)の間隔Dsを有していて、さらに第2の区分に対して約5mm(有利には+1mmの公差を有する)の最小の間隔Daを有している。第1の部分容積22と第2の部分容積24との間の移行部は、5mmの曲率半径を有している。
【0024】
第1の区分14の端部領域29は、約75mm(有利には−0.2mmの公差を有する)の大きさを有する外径dを有しており、本発明によれば、この外径寸法は、例えば70mm乃至80mmの範囲内であってもよい。第2の区分16の外径dは、約90mm(有利には−0.2mmの公差を有する)の大きさを有しており、この外径寸法は、本発明によれば85mm乃至165mmの範囲内であってもよい。
【0025】
第1の円筒形の部分容積22は、61.4mm(有利な形式で−0.3mmの公差を有する)の直径dを有する円形の横断面を有しており、この直径寸法は、本発明によれば例えば、60mm乃至65mmの範囲内であってもよい。第2の部分容積24は、73.6mmの(有利には−0.3mmの公差を有する)直径dを有する円形の横断面34を有しており、この直径寸法は、70mm乃至140mmの範囲内であってもよい。
【0026】
管縮小部材10は、約132mm(有利には+2mmの公差を有する)の全長Lgを有しており、この全長Lgは、本発明によれば120mm乃至180mmの範囲内であってもよい。第1の区分14は、約70mm(有利には+1mmの公差を有する)の長さL1を有しており、この長さ寸法は、本発明によれば50mm乃至80mmの範囲内であってもよい。
【0027】
図2は、本発明の別の実施例による管縮小部材10の概略的な断面図を示す。この別の実施例において、第2の区分16は、図1に示した管縮小部材10と比較して、著しく大きい直径(約160mm)を有している。第2の部分容積24は、130.8mmの直径を有する最大の円形の横断面34を有している。この実施例では全長Lgも増大されている。全長Lgは、約165mmであって、第1の区分は、約70.5mmの長さL1を有している。窪み32は3mmの曲率半径を有している。
【0028】
図3には、本発明による1つの管減少部材10と、接続しようとする2つの管の2つの終端区分36,38と、2つの接続部材40,42とを有する装置が示されている。
【0029】
図3には、管縮小部材10の第1若しくは第2の区分14,16と、プラスチック材料より成る2つの管の終端区分36,38とを、プラスチック材料より成る第1及び第2の接続部材40,42を介して接続する前の状態が示されている。第1及び第2の接続部材40,42内に端部区分36,38が部分的に収容されている。第1の接続部材40は、一方の端面44が、管減少部材10の第1の区分14の本発明による段部30に当接している。管減少部材10の第1の区分14と端部区分36との間、若しくは管減少部材10の第2の区分16と終端区分38との間で、各接続部材40,42は、熱線46としての給電可能な加熱装置46を有しており、この熱線46は、端部区分36,38と管減少部材10との間で素材結合式(stoffschluessig;材料同士の結合)の気密な接続を得るために、熱線46の周囲において加熱若しくは熱することによって、接続部材0.42のプラスチック材料を溶融することができる。各熱線46の端部は、接続部材40,42のそれぞれ1つの接続エレメント49(概略的に示されている)内に収容されており、この接続エレメント49は、このために設けられた一般的な電源に接続され、熱線46に給電することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 管縮小部材、 12 内部容積、 14 第1の区分、 16 第2の区分、 18 第1の区分の内壁、 20 第2の区分の内壁、 22 第1の部分容積、 24 第2の部分容積、 26 第2の部分容積の横断面、 28 第1の区分の外周壁、 29 端部領域、 30 段部、 32 窪み、 34 第2の部分容積の横断面、 35 第1の区分の端面、 36,38 管の端部区分、 40,42 接続部材、 44 接続部材の端面、 46 熱線、加熱装置、 48 中央の長手方向軸線、 49 接続エレメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の貫流方向で流体を貫流させるために設けられた内部容積(12)を有する、プラスチック材料より成る管縮小部材(10)において、該管縮小部材(10)が、第1の区分(14)と第2の区分(16)とから形成されていて、これらの第1の区分(14)と第2の区分(16)とが、互いに面一に隣接し合う内壁(18,20)を有しており、第1の区分(14)の内壁(18)が、内部容積(12)の、円筒形に形成された第1の部分容積(22)を画成しており、第2の区分(16)の内壁(20)が前記内部容積(12)の第2の部分容積(24)を画成しており、該第2の部分容積(24)が、前記第1の部分容積(22)に向かって次第に減少する横断面を有するように構成されていることを特徴とする、プラスチック材料より成る管縮小部材(10)。
【請求項2】
第2の部分容積(24)が、第1の部分容積(22)に隣接する上面を有する円錐台形に構成されている、請求項1記載の管縮小部材(10)。
【請求項3】
第1の区分(14)と第2の区分(16)とが、管縮小部材(10)の中央の長手方向軸線(48)を中心にしてほぼ回転対称的に構成されている、請求項1又は2記載の管縮小部材(10)。
【請求項4】
第1の区分(14)が外周壁(28)を有しており、該外周壁(28)に、窪み(32)を有する段部(30)が形成されている、請求項3記載の管縮小部材(10)。
【請求項5】
前記段部(30)が、第1の区分(14)の端面(35)に対して50mm乃至70mmの範囲内の間隔を有している、請求項4記載の管縮小部材(10)。
【請求項6】
第1の区分(14)の端部領域(29)が、第2の区分(16)の外径よりも小さい外径を有しており、前記端部領域(29)の外径が、70mm乃至80mmの範囲の大きさを有していて、第2の区分(16)の外径が、85mm乃至165mmの範囲の大きさを有している、請求項3から5までのいずれか1項記載の管縮小部材(10)。
【請求項7】
前記第1の部分容積(22)が、60mm乃至65mmの直径を有する円形の横断面を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の管縮小部材(10)。
【請求項8】
第2の部分容積(24)が、直径60mm乃至65mmの円形の最小横断面(26)及び、直径70mm乃至140mmの円形の最大横断面(34)を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の管縮小部材(10)。
【請求項9】
管縮小部材(10)が、120mm乃至180mmの範囲の全長を有しており、第1の区分(14)が、50mm乃至80mの範囲の長さを有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の管縮小部材(10)。
【請求項10】
少なくとも2つの管より成る装置において、該装置の端部区分(36,38)が、請求項1から9までのいずれか1項記載の管縮小部材(10)によって接続されていることを特徴とする、少なくとも2つの管より成る装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−525600(P2011−525600A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515181(P2011−515181)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004480
【国際公開番号】WO2009/156107
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(390040394)レーアウ アクチエンゲゼルシヤフト ウント コンパニー (9)
【氏名又は名称原語表記】REHAU AG+Co
【住所又は居所原語表記】Rheniumhaus,D−95111 Rehau,BRD
【Fターム(参考)】