説明

プラスチック材料製の容器を電子放射線によって殺菌する装置および方法

【課題】電荷担体の放射の一時的な不具合が生じた場合でも、容器の壁の適切な殺菌が保証されること。
【解決手段】個々の殺菌装置20の各々が、容器10を前記棒状の電荷担体案内装置26に対して容器10の長手方向Lに移動させるための移動装置14を有し、各々の容器10の該容器10に組み合わせられた電荷担体案内装置26に対する移動の経過を、互いに別個独立に制御することが可能であり、個々の殺菌装置20の加速電荷担体の不具合を検出する少なくとも1つの検出装置30を有し、前記移動装置14が、前記検出装置30によって殺菌装置20における加速電荷担体の不具合が検出された場合に、該殺菌装置20と該殺菌装置20によって殺菌される容器10との間の相対移動を停止および/または逆転させるようなやり方で、信号によって前記検出装置30へと接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器(特に、プラスチック材料製の容器)を殺菌する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器を殺菌するさまざまな方法が、先行技術から知られており、特にそれらの容器の内壁を殺菌することができる方法も、先行技術から知られている。この場合、殺菌を、例えば過酸化水素または過酢酸などの化学洗浄剤によって行なうことが通常である。しかしながら、近年では、化学洗浄剤を可能なかぎり使用せずに済ますための努力が行なわれている。したがって、例えば該当の容器の表面に電荷担体を作用させるなど、他のやり方で殺菌を実行する方法および装置が、先行技術において知られるようになっている。
【0003】
このやり方において、例えば特許文献1が、電子放射線によって容器を殺菌するための装置を記載する。この装置においては、電子の出口窓を下端に有する棒状体が容器へと導入され、このように発せられる電子が、容器の内壁に到達して容器を殺菌する。しかしながら、技術的な理由で、この形式の電子放射体において内部フラッシオーバ(いわゆるスパークであり、アークとも称される)が生じることがあり、その結果として、短い時間の間であるが、放射体の電圧をオフにしなければならない。電圧は、数ミリ秒〜10分の1秒程度で再び高まるが、この時間期間の間、電子放射線の放射が存在せず、あるいは存在してもその程度はわずかである。この形式の放射体が、例えば梱包材料の殺菌に使用される場合、殺菌を保証するために、一定の線量または最小限の線量を加えることが絶対に不可欠である。この場合、一方では容器そのものを殺菌する必要があり、他方では細菌類の伝染によって後に容器が通過するクリーンルームの無菌状態を危うくしないことも必要である。
【0004】
この場合、静止の放射線では、放射の時間が相応に長くなる可能性がある。梱包手段が放射体の傍らを連続的に通過して移動する装置(例えば、出願人の内部の先行技術から知られる充てん装置の場合など)において使用されるとき、滞留の時間が搬送速度によって厳しく制限される。
【0005】
この問題を解決しようとする手法が、特許文献2に記載されている。この場合には、処理経路が、上述の形式の放射線の不発(以下では、アークと称する)にもかかわらず、容器の表面の殺菌に必要な最小限の放射線が常に達成されるような長さとなるように選択される。欠点は、「正常な場合」に梱包材料が常に過度の放射線を受け、材料そのものが、例えばPETまたはPEポリマーのいわゆる黄変または結鎖の形態の悪影響を被る可能性にある。不発分の線量を供給するようにアークの後で放射の出力を増すことが可能であるが、その程度は、現時点において利用可能な調節の技術では限られており、特に上述のアークが容器の処理のまさに終わりにおいて生じた場合、実質的に不可能である。さらに、この種のやり方は、(鉛の)遮蔽を放射体の最大出力に合わせて構成することも必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2011/011079 A1
【特許文献2】EP 2141073 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、電荷担体によって容器を殺菌する装置および方法であって、たとえ上述の不発が生じた場合でも容器の壁の適切な殺菌が保証される装置および方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明によれば、独立請求項の主題によって達成される。好都合な実施形態およびさらなる発展が、従属請求項の主題を形成する。
【0009】
電荷担体によって容器を殺菌するための本発明による装置は、容器を所定の搬送経路に沿って搬送する第1の搬送装置を有する。さらに、この装置は、この搬送装置上に配置された複数の殺菌装置を備えており、これらの殺菌装置の各々が、電荷担体を生成するための電荷担体生成装置と、電荷担体を加速させる加速装置と、容器の開口を通って容器の中へと導入することができる棒状の電荷担体案内装置とを有する。さらに、電子案内装置が、電荷担体をこの電子案内装置から発する出口窓を有する。
【0010】
本発明によれば、個々の殺菌装置の各々が、容器を棒状の電荷担体案内装置に対して容器の長手方向に移動させるための移動装置を有し、各々の容器のこの容器に組み合わせられた電荷担体案内装置に対する移動の経過を、互いに別個独立に制御することが可能であり、当該装置が、個々の殺菌装置の加速電荷担体の一時的な不具合(特に、機能不良によって生じる)を検出する少なくとも1つの検出装置を有する。
【0011】
この場合において、移動装置が、検出装置によって殺菌装置における加速電荷担体の不具合が検出された場合に、この殺菌装置とこの殺菌装置によって殺菌される容器との間の相対移動を停止および/または逆転させるようなやり方で、前記1つ以上の検出装置へと(特に信号によって)動作可能に接続および組み合わせられる。
【0012】
このように、上述のアークが検出され、移動の経過が適切に調節され、この場合には相対移動が停止されるまたは逆方向にされることによって、補償される。駆動装置が、電動モータによる駆動部(例えば、リニアモータ)であると好都合であるが、空気式、磁気式、または油圧式の駆動部も使用可能である。
【0013】
さらに装置は、好都合には、出口窓に少なくとも或る時間にわたって気体の媒体を作用させる冷却装置を有する。この場合、この冷却装置は、気体の媒体を案内するために棒状の電荷担体案内装置に沿って延びるダクトを有することができる。搬送装置を、容器が連続的に搬送されるようなやり方で設計すると、好都合である。搬送装置を、個々の殺菌装置が配置される回転ホイールとすることが、特に好ましい。このように、容器を円形の経路にて搬送することが好ましい。
【0014】
さらなる好都合な実施形態の場合には、容器に対する棒状の電荷担体案内装置の移動が、この容器の輪郭に合わせられ、例えばこの容器の輪郭の断面が変化している場合に、容器と電荷担体案内装置(あるいは、電荷担体案内装置の出口窓)との間の相対速度も変化させることができる。
【0015】
さらなる好都合な実施形態の場合には、装置が、相対移動の方向に対して直角な方向に電荷担体を偏向させる(方向を変える)偏向装置(diverting device)を有することで、電荷担体が容器の内壁の方向に向けられる。
【0016】
したがって、上述の連続走行の装置の場合において、処理経路を必要な線量に合わせるべきではなく、処理時間および線量を、電荷担体案内装置と容器との間の相対移動の上述の調整によって行なうべきであることも提案される。この場合、梱包手段が、通常は所定の移動の経過にて運ばれ、この種のアークが生じた場合に速やかに停止させられ、必要であればこの場合にカバーされる距離だけ戻され、放射の出力の回復後にさらに移動させられる。移動装置が個々の容器を電荷担体案内装置に対して移動させることが好都合であり、すなわちこの設計の場合には、電荷担体案内装置そのものは、容器の長手方向に移動することがない。しかしながら、対照的に、電荷担体案内装置を容器に対して容器の長手方向に移動させ、容器そのものは移動させないことも、可能であると考えられる。さらに、これら2つの移動の組み合わせも可能である。このように、例えば通常の稼働の枠組みにおいては常に容器を移動させ、アークの発生の場合に、電荷担体案内装置を追加で移動させ、すなわち上述の不具合の補償が行なわれるようなやり方で移動させることができる。
【0017】
ここで述べた工程に加え、あるいはここで述べた工程に代えて、そのような電荷担体の放射の不具合に、電荷担体の横方向への偏向を変えることによって対処することも可能であると考えられる。例えば、このように、アークの発生を受けた後の横コイルによる意図的な操作によって、電荷担体の偏向を、未殺菌領域にも電荷担体が作用するようなやり方で変更することができる。
【0018】
上述のように、電荷担体が電子であることが好ましい。しかしながら、搬送経路に沿った容器の移動は、この種のアークの発生の場合にも変更されないことが好都合である。
【0019】
好都合な実施形態の場合には、制御装置が、殺菌装置を、少なくとも電荷担体案内装置が再び容器から引き出されるときに電荷担体の放射を発するようなやり方で制御する。この場合、加速電荷担体の不具合が検出された場合に、容器に対する電荷担体案内装置の相対移動が停止され、あるいは電荷担体案内装置が少なくとも局所的に容器へと再び導入される。
【0020】
したがって、この設計においては、容器の上述の内面の殺菌を、反対方向への移動の最中に、すなわち放射フィンガを容器から引き出す際に、行なうことが提案される。特に、この反対方向への移動は、この場合には殺菌が容器の底から行なわれるため、殺菌にきわめて効果的である。このように、細菌類の容器への進入を阻止する電荷担体の雲を、容器からの放射フィンガの引き出しの直後に達成することもできる。殺菌の本質的な部分が反対方向への移動の最中に生じ、すなわち電荷担体案内装置を容器から引き出す際に生じるよう、移動装置について、電荷担体案内装置の容器への移動が、容器からの電荷担体案内装置の移動よりも迅速であることが好都合である。
【0021】
このように、個々の電荷担体案内装置(以下では、放射フィンガとも称される)を、ターンテーブル上に配置することが可能である。処理対象の容器が、入口スターホイールおよび出口スターホイールによってターンテーブルへと出し入れされる。容器を、ターンテーブルにおいてそれぞれの放射フィンガの下方の中心に配置することが好ましい。放射の出力に従ってあらかじめ定められる移動の経過および瓶の形状に応じて、今や容器が上方へと動かされ、放射フィンガが容器へと沈み、その後に容器が再び下方へと動かされる。この場合に、上述のように、容器の上方移動は電気駆動部によって制御され、好都合には放射線の放射体の調節回路へと接続される。アークの場合、電圧が再び生成されるまで、駆動部が容器の移動を速やかに停止させる。
【0022】
したがって、さらなる好都合な実施形態の場合には、装置が、容器を第1の搬送装置から所定の受け渡し位置へと移動させる第2の搬送装置を有する。さらに、容器を容器の殺菌のための上述の装置へと受け渡すさらなる搬送装置(特に、搬送スターホイールの形態である)を設けることが好都合である。さらなる好都合な実施形態の場合には、出口窓が容器の内部に位置している時間期間を、変化させることが可能である。このように、容器が全体として殺菌される処理角度を変化させることができることも好都合である。
【0023】
このように、放射フィンガを容器から引き出した後で、さらなる搬送装置への受け渡しまでの容器の可変の搬送経路を設けることも好都合である。
【0024】
さらなる好都合な実施形態の場合には、装置がクリーンルームを有し、プラスチック材料製の容器がクリーンルーム内を搬送される。したがって、この場合には、電荷担体による容器の殺菌が、特に上述のクリーンルームを通過する容器の搬送の最中に実行される。好都合な実施形態の場合には、このクリーンルームが、局所的には上述の搬送装置によっても形成される。このように、例えば、搬送装置をホイールの形態に設計することができ、その場合には、例えばこのホイールの壁が同時に上述のクリーンルームの境界の壁も構成する。
【0025】
上述のように、搬送装置を回転キャリアの形態に設計することが好都合である。
【0026】
さらに本発明は、容器を殺菌する方法であって、容器が搬送装置によって所定の搬送経路に沿って運ばれ、この搬送の最中に容器の少なくとも1つの内壁が電荷担体を作用させることによって殺菌される方法に関する。この場合に、電荷担体は、容器の殺菌のために生成されて棒状の電荷担体案内装置の内側において加速装置によって加速され、電荷担体案内装置は、容器の長手方向に沿った電荷担体案内装置と容器との間の相対移動によって容器へと所定の移動の経過にて導入され、その後に容器から取り出され、電荷担体案内装置が少なくとも局所的に容器の内側に位置しているときに、容器の内壁へと電荷担体が作用させられる。
【0027】
本発明によれば、検出装置が電荷担体の放射の一時的な不具合を検出し、電荷担体の放射の不具合を受けて、容器と電荷担体案内装置との間の相対移動を停止させ、さらには/あるいは移動の方向を反転させる。
【0028】
容器を搬送経路に沿って連続的に搬送すると好都合である。
【0029】
好ましい方法の場合には、容器の殺菌が、電荷担体案内装置が容器から引き出されるときに実行される。開発作業の枠組みにおいて、本出願の出願人は、特に容器の内壁の殺菌を放射フィンガの引き出しのプロセスのこの部分においてきわめて好都合な様相で達成できることを明らかにした。このように、この方法において、容器が「下方から」殺菌され、すなわち容器の底部から殺菌される。
【0030】
さらなる好都合な方法の場合には、電荷担体案内装置が容器内に存在する時間期間が、電荷担体の放射の不具合の発生の場合に延長される。
【0031】
本発明が、容器の他の構成要素の殺菌にも適用可能であり、特に容器の外壁および容器の蓋の殺菌に適用可能であることを、指摘しておく。本出願の出願人は、この種の装置についても保護を請求する権利を保持する。
【0032】
容器の構成要素(特に、容器の外壁および/または容器の蓋)を電荷担体によって殺菌するためのこの種の装置は、容器の構成要素を所定の搬送経路に沿って搬送する第1の搬送装置と、特に搬送経路に対向して不動の様相に配置された少なくとも1つの殺菌装置とを有し、殺菌装置が、電荷担体を生成するための電荷担体生成装置と、電荷担体を加速させるための加速装置と、電荷担体を発する出口窓とを有し、出口窓を容器の構成要素へと向けることができる。
【0033】
この場合に、装置が、殺菌装置の加速電荷担体の不具合を検出する少なくとも1つの検出装置を有し、搬送装置が、加速電荷担体の不具合が検出装置によって検出されたときに容器の搬送の移動が停止され、さらには/あるいは反転されるようなやり方で、検出装置に組み合わせられる。この場合に、容器を搬送する搬送装置そのものを停止させ、あるいは容器を搬送する搬送装置そのものの移動の方向を反転させることが可能であり、そのようにすることが好ましいと考えられる。しかしながら、容器の移動を、容器ロックまたは蓋ロックなどの追加の手段によって停止させ、あるいは反転させることも、可能であると考えられる。
【0034】
容器の構成要素(特に、容器の外壁および/または容器の蓋)を殺菌する適切な方法において、容器の構成要素が搬送装置によって所定の搬送経路に沿って搬送され、この搬送の最中に、容器の構成要素の少なくとも一領域が、電荷担体を作用させることによって殺菌され、その場合に、電荷担体が容器の構成要素を殺菌するために生成され、加速装置によって加速される。本発明によれば、検出装置が電荷担体の放射の一時的な不具合を検出し、電荷担体の放射の不具合を受けて、容器と電荷担体案内装置との間の相対移動を停止させ、さらには/あるいは移動の方向を反転させる。
【0035】
したがって、容器の他の構成要素に関して、電荷担体の放射の不具合を、この場合には特に搬送経路に沿った容器の搬送の移動ではない搬送の移動を停止させ、あるいは少なくとも短い時間だけ反転させることによって、補償することも提案される。
【0036】
この場合に、例えば蓋を、例えば表面放射体であってよい放射装置の下方または間を通って積極的に移動させることができる。この場合に、これらの表面放射体を、これらの表面放射体を過ぎて連続的に搬送される容器の構成要素(例えば、蓋)のための適切な線量に合わせて設計することが好都合である。
【0037】
容器(特に、容器の外壁)の殺菌の場合には、容器を、例えば分割遅延スターホイールによって、この場合にはやはり好ましくは表面放射体である殺菌装置を過ぎて搬送することができる。この場合にも、容器の搬送は、好都合には連続的に実行される。しかしながら、容器を搬送経路に沿って時限の様相で搬送することも可能であると考えられる。
【0038】
アークの発生の場合に、分割遅延スターホイールシステムが速やかに反応し、好都合には容器を移動方向とは反対の方向または搬送方向とは反対の方向に後方へと枢動させ、あるいは該当の容器を短い時間だけ停止させることができる。
【0039】
上述のように、殺菌対象の容器は、特に瓶であるが、本発明をプラスチック材料製の容器へと成形することができるプラスチック材料製の予備成形物の殺菌にも適用できると考えられる。
【0040】
さらなる利点および実施形態が、添付の図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による装置の概略図である。
【図2】殺菌装置の概略図である。
【図3a】殺菌プロセスの一例の図である。
【図3b】殺菌プロセスの一例の図である。
【図3c】殺菌プロセスの一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明による装置1の大まかな概略図である。この装置は、殺菌対象の容器10を搬送装置2(特に、回転軸Dを中心にして回転できるホイールである)へと供給する供給スターホイールなどの搬送装置32を有する。参照番号34は、好都合にはやはり搬送スターホイールの形態に設計され、搬送装置から殺菌済みの容器10を取り出すさらなる搬送装置34を指す。したがって、容器10が供給される外周における角度および容器10が取り出される外周における角度は、固定されている。参照符号Pは、殺菌の最中の容器10の搬送経路を指す。
【0043】
参照符号P1は、電荷担体案内装置が容器から完全に引き出される位置を指し、参照符号P2は、殺菌済みの容器が放出される受け渡し位置を指す。参照符号dは、外周における角度を指すと同時に、通常の稼働において電荷担体案内装置26が容器10からすでに引き出されているが、容器10が依然として搬送装置2によって運ばれている。不具合が発生した場合、この外周における角度dを、たとえ遅延の場合でも容器10から電荷担体案内装置26を引き出すために充分な時間が依然として残るように、小さくすることができる。
【0044】
やはり搬送経路Pに沿って運ばれ、この搬送の最中に容器10の内壁を殺菌する複数の殺菌装置20が、搬送装置2上に配置されている。さらに、装置1は、クリーンルーム40を有し、クリーンルーム40の内部で容器10の殺菌が行なわれる。この場合、図1に示されるとおり、このクリーンルームを、設備全体を囲むハウジングによって形成することができるが、クリーンルームがダクトの様相で容器10の搬送経路Pを囲むことも、可能であると考えられる。
【0045】
図2は、殺菌装置20の概略図である。この殺菌装置20は、電荷担体(特に、電子)を生成する電荷担体生成装置22を有する。これらの電荷担体が、加速装置24によって出口窓28の方向に加速させられ、この出口窓28が、この場合には、棒状の電荷担体案内装置26の下端に配置されている。
【0046】
この出口窓28は、例えば電子を電子雲の形態で発することができるチタニウム窓であってよい。参照番号30は、アークまたは電荷担体の放射の不具合を検出するために使用される検出装置を、概略図式的に指す。この場合に、この検出装置が、アークまたは不具合が生じた時間期間も検出することが可能である。さらに、この種のアークの発生を、例えば装置制御手段に記録することも可能である。
【0047】
参照番号12は、容器10を例えば容器のキャリアリングの下方において把持する保持装置を指す。この場合、この保持装置12は、容器10を容器の長手方向Lに沿って移動させる移動装置14上に配置されている。この移動の結果として、電荷担体案内装置26、したがって出口窓28を、或る程度深くまで容器10へと沈めることが可能になる。したがって、出口窓28から発せられる電子を容器の内壁10aに衝突させ、殺菌することができる。参照番号16は、移動装置が配置されるキャリアを指す。移動装置は、例えばリニアモータであってよい。参照番号42は、移動装置14を制御し、したがって長手方向Lのプラスチック材料製の容器10の移動を制御する制御装置を指す。この場合、この制御装置42は、信号によって検出装置30にも接続され、このように電子放射線の不具合の検出を受けて容器の移動を支配でき、特に容器の移動を停止させ、あるいは逆方向にすることができる。
【0048】
図3a〜3cは、本発明による殺菌プロセスを示す。この場合、通常の手順、すなわち殺菌装置に不具合が生じない場合の手順が、図3aに示されている。この場合には、最初に容器10が持ち上げられ、結果として電荷担体案内装置26が容器の開口10bを通って容器の内部へと挿入される。その後に、電荷担体案内装置は、再び容器10から引き出される。特に、この引き出しのプロセスが、この場合には殺菌処理のために特に重要である。
【0049】
図3bに示した状況の場合には、アークの発生が時点Aにおいて検出されている。これを受けて、長手方向Lの容器10の移動が停止され、したがって出口窓28が、所定の時間にわたって方向Lの所定の高さにおいて容器に対向した状態にとどまる(時間期間B)。この場合に、機能が完全に再生され、したがって特に再び電子が適切な密度で存在するようになるまで、容器10の移動を停止させることができる。しかしながら、停止の段階を、これよりも或る程度長く設定することも可能であると考えられ、そのような設定も、特に容器の殺菌に必要な線量に応じて決めることができる。
【0050】
さらに、受け渡しの外周における角度に達するときに電荷担体案内装置が完全に容器から引き出され、したがって容器を取り出すことができるように、制御装置が、停止時間の終了後に容器10をより速く(この場合には下方へと)移動させるようなやり方で、移動装置14を制御することも好ましい。しかしながら、この容器の長手方向Lの変更された移動(電荷担体案内装置26に対する移動)の最中に、容器10は、依然として搬送装置によって搬送経路に沿って(好ましくは一定の搬送速度で)運ばれている。このように、一方と他方、すなわち搬送経路Pに沿った容器10の移動と、容器の該容器に組み合わせられた殺菌装置に対する相対移動とが、互いに切り離されることが好ましい。
【0051】
図3cは、電荷担体の不具合の発生の場合に考えられるさらなる手順を示す。この場合には、容器が、時点Aにおける不具合の発生の後に時間期間Cにおいて再び上方へとわずかに持ち上げられ、したがって電荷担体案内装置が再び容器へとより深く挿入される。その後に、容器が再び下方へと引き出される。
【0052】
図3bおよび3cに示した2つの手順を組み合わせ、例えば最初に長手方向Lの相対移動を停止させ、次いで逆方向にすることも、可能であると考えられる。しかしながら、電子放射線の不具合に対する反応を、不具合の時点における容器の電荷担体案内装置に対する相対位置に応じた様相で選択することも、可能であると考えられる。このように、例えば、電荷担体案内装置を容器から取り出す直前に容器の長手方向Lの移動を短い時間だけ停止させることが、充分な線量を保証するために充分であるかもしれない。
【0053】
本出願の出願人は、本出願の出願書類に開示されたすべての特徴を、それらが単独または組み合わせにおいて先行技術と比べて新規である限りにおいて、本発明に必須であるとして請求する権利を留保する。
【符号の説明】
【0054】
1 装置
2 搬送装置
10 容器
10a 容器の内壁
10b 容器の開口
12 保持装置
14 移動装置
16 キャリア
20 殺菌装置
22 電荷担体生成装置
24 加速装置
26 電荷担体案内装置
28 出口窓
30 検出装置
32 搬送装置(入口スターホイール)
34 搬送装置(出口スターホイール)
40 クリーンルーム
42 制御装置
P 搬送経路
L 長手方向
A,B,C 時点、時間期間
d 外周における角度
Pl,P2 位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(10)を所定の搬送経路(P)に沿って搬送する第1の搬送装置(2)と、該搬送装置(2)上に配置された複数の殺菌装置(20)とを備えており、該殺菌装置(20)の各々が、電荷担体を生成するための電荷担体生成装置(22)と、電荷担体を加速させる加速装置(24)と、容器(10)の開口を通って容器の中へと導入することができる棒状の電荷担体案内装置(26)とを有し、前記電子案内装置(26)が、電荷担体を該電子案内装置(26)から発する出口窓(28)を有する、電荷担体によって容器(10)を殺菌するための装置(1)であって、
個々の殺菌装置(20)の各々が、容器(10)を前記棒状の電荷担体案内装置(26)に対して容器(10)の長手方向(L)に移動させるための移動装置(14)を有し、各々の容器(10)の該容器(10)に組み合わせられた電荷担体案内装置(26)に対する移動の経過を、互いに別個独立に制御することが可能であり、当該装置(1)が、個々の殺菌装置(20)における加速電荷担体の不具合を検出する少なくとも1つの検出装置(30)を有し、前記移動装置(14)が、前記検出装置(30)によって殺菌装置(20)における加速電荷担体の不具合が検出された場合に、該殺菌装置(20)と該殺菌装置(20)によって殺菌される容器(10)との間の相対移動を停止および/または逆転させるようなやり方で、信号によって前記検出装置(30)へと接続されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記装置(1)は、制御装置(42)を有し、制御装置(42)が、前記殺菌装置(20)を、少なくとも前記電荷担体案内装置(26)が容器(10)から引き出されるときに電荷担体を発し、加速電荷担体の不具合が検出された場合に、容器(10)に対する前記電荷担体案内装置(26)の相対移動を停止させ、さらには/あるいは前記電荷担体案内装置(26)を少なくとも局所的に容器(10)へと再び導入するようなやり方で制御することを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
容器(10)を前記第1の搬送装置(2)から所定の受け渡し位置(P2)へと受け渡す第2の搬送装置(34)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記出口窓が容器(10)の内部に位置している時間期間を、変化させることができることを特徴とする請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
クリーンルーム(40)を有し、該クリーンルーム(40)の内部をプラスチック材料製の容器(10)が運ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記搬送装置(2)が、回転式のキャリア(2)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
容器(10)が搬送装置(2)によって所定の搬送経路(P)に沿って運ばれ、この搬送の最中に容器(10)の少なくとも1つの内壁(10a)が電荷担体を作用させることによって殺菌され、電荷担体は、容器(10)の殺菌のために生成されて棒状の電荷担体案内装置(26)の内側において加速装置(24)によって加速され、前記電荷担体案内装置(26)は、容器(10)の長手方向(L)に沿った前記電荷担体案内装置(26)と容器(10)との間の相対移動によって容器(10)へと所定の移動の経過にて導入され、その後に容器(10)から取り出され、前記電荷担体案内装置(26)が少なくとも局所的に容器(10)の内側に位置しているときに、容器(10)の内壁へと電荷担体が作用させられる、容器(10)を殺菌する方法であって、
検出装置(30)が電荷担体の放射の一時的な不具合を検出し、電荷担体の放射の不具合を受けて、容器(10)と前記電荷担体案内装置との間の相対移動を停止させ、さらには/あるいは移動方向を逆にすることを特徴とする方法。
【請求項8】
容器(10)の殺菌が、前記電荷担体案内装置(26)が容器(10)から引き出されるときに実行されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電荷担体案内装置(26)が容器(10)内に存在する時間期間を、不具合の発生の場合に延長することを特徴とする請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【公開番号】特開2013−107704(P2013−107704A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−230053(P2012−230053)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【出願人】(508120916)クロネス アーゲー (65)
【Fターム(参考)】