説明

プラスチック用新規難燃化添加剤としてのホウリン酸塩、ホウ酸塩−リン酸塩及び金属ホウリン酸塩

本発明は、少なくとも1種のプラスチックK及びホウリン酸塩、ホウ酸塩−リン酸塩、金属ホウリン酸塩及びこれらの混合物から成る群から選択された少なくとも1種の化合物A0.1〜50質量%(全混合物に対して)を含有している混合物、この混合物の製造法及び難燃剤としてのこの混合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のプラスチックK、好ましくは熱可塑性プラスチック又は熱硬化性プラスチック及びホウリン酸塩(Borophosphat)、ホウ酸塩−リン酸塩(Borat-Phosphat)、金属ホウリン酸塩(Metalloborophosphat)及びこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物A0.1〜50質量%(全混合物に対して)を含有している混合物、少なくとも1種のプラスチックKと少なくとも1種の化合物Aとの混合によるこの混合物の製造法及びプラスチック中での難燃剤としてのこのような化合物Aの使用に関する。
【0002】
以下の概念「ホウリン酸塩」、「ホウ酸塩−リン酸塩」及び「金属ホウリン酸塩」の定義は、文献Structural Chemistry of Borophosphates, and Related Compounds, B.Ewald, Y.-X.Huang und R.Kniep, Z.Anorg.Chem. 2007, 633, 1517-1540に記載されている。
【0003】
ホウ酸塩−リン酸塩は、単離及び/又は縮合したボレートアニオンを単離及び/又は縮合したホスフェートアニオンと共に含有している。更に、任意の他のアニオン、例えばカーボネート、スルフェート、ハロゲニド、ヒドロキシド、シリケート等が存在することができる。
【0004】
ホウリン酸塩中では、少なくとも1個のボレート単位及びホスフェート単位が互いに縮合しており、この際、これと並んで他の単離及び/又は縮合したボレートアニオン並びに単離及び/又は縮合したホスフェートアニオンが存在することができる。更に、任意の他のアニオン、例えばカーボネート、スルフェート、ハロゲニド、ヒドロキシド、シリケート等が存在することができる。
【0005】
構造中に少なくともボレート単位1個当たりホスフェート単位1個及び構造のアニオン部中に配位数4を有する金属錯アニオン1個が存在する場合に、これは、構造単位の縮合度に無関係に、金属ホウリン酸塩である。更に、任意の他のアニオン、例えばカーボネート、スルフェート、ハロゲニド、ヒドロキシド、シリケート等が存在することができる。
【0006】
加えて、このボレート−、ホスフェート−メタレート−、ボロホスフェート−及び金属ボロホスフェートアニオンのオキソ/ヒドロオキソ配位子(O、OH)は、例えばハロゲン(F、Cl、Br、I)又は有機基、例えば線状、分枝した又は環状のアルキル基又は芳香族基によって置換されていることができる。更に、任意の他のアニオン、例えばカーボネート、スルフェート、ハロゲニド、ヒドロキシド、シリケート等が存在することができる。
【0007】
相応するホウ素含有化合物及びプラスチックとホウ素含有化合物を含有している混合物は、技術水準から既に公知である。同様に、相応するリン含有化合物、例えばポリリン酸アンモニウム(Clariant)及びこの混合物も公知である。
【0008】
DE19525341A1中には、ホウリン酸塩の製造法及び易可燃性の物質、例えば紙、木材、厚紙、繊維製品等の防火塗料又は含浸剤としてのそれらの使用が開示されている。ホウリン酸塩、例えばホウリン酸Caが、防炎のためにプラスチック中に導入されうることも開示されてはいる。この文献中には、プラスチックも、ホウリン酸Caと一緒の他の化合物及びこれらの個々の成分の量も開示されてはいない。
【0009】
WO95/25066は、結晶ホウリン酸塩、その製造及び特にプラスチック中での触媒又は難燃剤としての使用を開示している。化合物として、殊に、ホウリン酸カリウム、ホウリン酸カルシウム、Na[B19]*HO、Na[B3.90.1(OH)5.2]*3HO、リュネブルグ石[Mg(OH)(PO(HO)]、ホウリン酸ストロンチウム、ホウリン酸ニッケル及びBa[BP12]が挙げられている。プラスチック中での使用のための量は記載されていない。
【0010】
文献Structural Chemistry of Borophosphates, and Related Compounds, B.Ewald, Y.-X.Huang und R.Kniep, Z.Anorg.Chem. 2007, 633, 1517-1540中には、多数のホウリン酸塩、ホウ酸塩−リン酸塩及び金属ホウリン酸塩が開示されている。しかしながら、これら化合物が難燃剤として好適であることは開示されていない。
【0011】
文献R.Kniep, G.Goezel, B.Eisemann, C.Roehr, M.Asbrand und M.Kizilyalli, Angew.Chem.Int.Ed.Engl. 1994, 33, Nr.7, 749中には、同様に、式MII[BPO](ここで、MIIはCa又はSrである)及びBa[P12]の種々のホウリン酸塩が開示されているが、ここには、これら化合物がプラスチック中での難燃剤として好適であることは開示されていない。
【0012】
技術水準に対する本発明の課題は、公知プラスチックの欠点、例えば劣悪な機械特性値又は少なくとも2種以上の化合物を添加剤として一緒に混合しなければならない必要性を有しない、難燃化されたプラスチック、例えば熱可塑性又は熱硬化性プラスチックを提供することである。本発明のもう一つの課題は、難燃剤として単に少数の添加剤をきるだけ少量で含有し、技術水準から公知であるような複数の添加剤を含有する必要のない、難燃化されたプラスチックを提供することである。更に、本発明による混合物は、その方法で添加物の全含分を減少させるために、さもなければ2種の個々の化合物の添加によって得られるはずの複数の難燃化特性を1化合物中で組み合わせているべきである。こうして、例えば良好な機械特性が得られるべきである。
【0013】
更に、技術水準のいくつかの難燃剤は、熱可塑性プラスチックの高い加工温度に基づき、その用途が限定されている。即ちこれらは、加工温度の範囲の温度で既に分解する。即ちPBT及びPAの加工の際の温度は、200℃〜270℃又は250〜320℃までの温度でありうる。公知の難燃化添加剤、例えばAl(OH)は、この範囲内で既に著しく分解(水放出)することがありうる。
【0014】
これらの課題は、少なくとも1種のプラスチックK及びホウリン酸塩、ホウ酸塩−リン酸塩、金属ホウリン酸塩及びこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物A0.1〜50質量%(全混合物に対して)を含有している、本発明による混合物によって解決される。
【0015】
好ましい1実施形では、プラスチックとして少なくとも1種の熱可塑性プラスチック又は熱硬化性プラスチックが使用される。
【0016】
熱可塑性プラスチック又は熱硬化性プラスチックK
原則的に、任意の種類のプラスチック、好ましくは熱可塑性又は熱硬化性プラスチックにおける有利な作用効果が明らかである。好適な熱可塑性プラスチックの列挙が、例えば、Kunststoff-Taschenbuch(Hrsg.Saechtling), Auflage 1989(ここに、関連文献も挙げられている)中に存在する。このような熱可塑性プラスチックの製造法は、当業者にとっては自体公知である。
【0017】
本発明による混合物の好ましい1実施形で少なくとも1種のプラスチックKは、ポリオキシメチレンホモポリマー又は−コポリマー、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド、ビニル芳香族ポリマー、ポリアリーレンエーテル、エポキシ−樹脂及びこれらの混合物から成る群から選択される。これらの好ましい熱可塑性又は熱硬化性プラスチックを、次に説明する。
【0018】
ポリオキシメチレンホモポリマー又は−コポリマー
このようなポリマーは、当業者にとっては自体公知であり、文献中に記載されている。
【0019】
全く一般的にこれらポリマーは、ポリマー主鎖中に、少なくとも50モル%の繰返し単位−CHO−を有する。ホモポリマーは、一般に、特に好適な触媒の存在下でのホルムアルデヒド又はトリオキサンの重合によって製造される。
【0020】
この繰返し単位−CHO−と並んで、なお50モル%までの、有利には0.1〜20、殊に0.3〜10モル%、全く特別好ましくは2〜6モル%の繰返し単位:
【化1】

[式中、R〜Rは相互に無関係に、水素原子、C〜C−アルキル基又はC−原子数1〜4を有するハロゲン置換されたアルキル基であり、Rは−CH−、−CHO−、C〜C−アルキル−又はC〜C−ハロアルキル置換されたメチレン基又は相応するオキシメチレン基を表し、nは0〜3の範囲の値を有する]を有する、ポリオキシメチレンコポリマーが好ましい。有利に、これらの基は環状エーテルの開環によってコポリマー中に導入されうる。好ましい環状エーテルは、式:
【化2】

[式中、R〜R及びnは前記と同じものを表す]のものである。例えば、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ブチレンオキシド、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン及び1,3−ジオキセパンが環状エーテルとしてあげられ、同様に線状オリゴ−又はポリホルマール、例えばポリジオキソラン又はポリジオキセパンがコモノマーとして挙げられる。
【0021】
他の好適なプラスチックKは、例えばトリオキサン、前記の環状エーテル1種と第3のモノマー、特に、式:
【化3】

[式中、Zは化学結合、−O−、−ORO−(ここで、R=C〜C−アルキレン又はC〜C−シクロアルキレン)である]の二官能性化合物1種との反応によって製造されるオキシメチレンターポリマーである。
【0022】
この種類の好ましいモノマーは、エチレンジグリシド、ジグリシジルエーテル及びモル比2:1のグリシジルとホルムアルデヒド、ジオキサン又はトリオキサンとからのジエーテル並びにグリシジル化合物2モルとC−原子数2〜8を有する脂肪族ジオール1モルとからのジエーテル、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、シクロブタン−1,3−ジオール、1,2−プロパンジオール及びシクロヘキサン−1,4−ジオールのジグリシジルエーテルが、いくつかの例として挙げられる。
【0023】
前記のホモポリマー及びコポリマーの製造法は、当業者にとっては公知であり、文献中に記載されている。
【0024】
好ましいポリオキシメチレンコポリマーは、低くても150℃の融点及び5000〜200000、有利には7000〜150000g/モルの範囲の分子量(重量平均値)Mwを有する。
【0025】
鎖末端にC−C−結合を有する末端基安定化されたポリオキシメチレンポリマーが特別好ましい。
【0026】
ポリカーボネート及びポリエステル
好適なポリカーボネートは自体公知である。それらは、例えばDE−B−1300266の方法に相応して界面重縮合によって、又はDE−A−1495703の方法により、ビフェニルカーボネートとビスフェノールとの反応によって得られている。好ましいビスフェノールは、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパンであり、一般に−以下のように−ビスフェノールAとも称される。
【0027】
ビスフェノールAの代わりに、他の芳香族ジヒドロキシ化合物、殊に2,2’−ジ(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,6−ジヒドロキシナフタリン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィット、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ジ−(4−ヒドロキシフェニル)エタン又は4,4−ジヒドロキシジフェニル並びに前記ジヒドロキシ化合物の混合物を使用することもできる。特別好ましいポリカーボネートは、ビスフェノールA又は前記芳香族ジヒドロキシ化合物30モル%までと一緒のビスフェノールAをベースとするものである。
【0028】
このポリカーボネートの相対粘度は、一般に1.1〜1.5、殊に1.28〜1.4の範囲内(23℃で、ジクロロメタン中の0.5質量%溶液中で測定)にある。
【0029】
好適なポリエステルは、同様に自体公知であり、文献中に記載されている。これらは、主鎖中に芳香族ジカルボン酸に由来する芳香環を有している。この芳香環は、例えば塩素及び臭素のようなハロゲンにより又はメチル−、エチル−、イソ−又はn−プロピル及びn−、イソ−又はt−ブチル基のようなC〜C−アルキル基により置換されていることもできる。
【0030】
ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、そのエステル又は他のエステル形成性誘導体そのものと脂肪族ジヒドロキシ化合物との反応によって、自体公知の方法で製造することができる。
【0031】
このようなポリアルキレンテレフタレートは自体公知であり、文献中に記載されている。これらは、主鎖中に芳香族ジカルボン酸に由来する芳香環1個を有する。この芳香環は、例えば塩素及び臭素のようなハロゲンによって、又はメチル−、エチル−、イソ−又はn−プロピル及びイソ−又はt−ブチル基のようなC〜C−アルキル基によって置換されていることもできる。
【0032】
これらのポリアルキレンテレフタレートは、芳香族ジカルボン酸、そのエステル又は他のエステル形成性誘導体と脂肪族ジヒドロキシ化合物との反応によって、自体公知の方法で製造することができる。
【0033】
好ましいジカルボン酸としては、2,6−ナフタリンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸又はこれらの混合物を挙げることができる。芳香族ジカルボン酸の30モル%まで、有利には10モル%を下回る分が、脂肪族又は脂環式ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸及びシクロヘキサンジカルボン酸で置換されていることができる。
【0034】
脂肪族ジヒドロキシ化合物の内、炭素原子数2〜6を有するジオール、殊に1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメチルアノール及びネオペンチルグリコール又はこれらの混合物が好ましい。
【0035】
特別好ましいポリエステル(A)としては、C−原子数2〜6を有するアルカンジオールに由来するポリアルキレンテレフタレートが挙げられる。その内、殊にポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート又はこれらの混合物が好ましく、この際、リサイクル物(Rezykkat)としてのポリエチレンテレフタレートを、(A)に対して50質量%まで使用することもできる。
【0036】
ポリエステル(A)の粘度数は、一般に60〜220、特に100〜150の範囲内にある(フェノール/o−ジクロロベンゼン混合物(質量比1:1)中の0.5質量%溶液中、25℃で測定)。
【0037】
そのカルボキシル末端基含分が100ミリモル/ポリエステルkgまで、好ましくは50ミリモル/kgまで、殊に40ミリモル/kgまでであるポリエステルが、特別好ましい。このようなポリエステルは、例えばDE−A4401055の方法によって製造することができる。カルボキシル末端基含分は、通常は、滴定法(例えば電位差測定法)によって測定される。
【0038】
他の基として、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する完全芳香族ポリエステルを挙げることができる。
【0039】
芳香族ジカルボン酸としては、既にポリアルキレンテレフタレートの場合に記載されている化合物が好適である。イソフタル酸5〜100モル%とテレフタル酸0〜95モル%とからの混合物、殊にテレフタル酸約80%とイソフタル酸20%との混合物からこれら双方の酸のほぼ当量の混合物までを使用することが好ましい。
【0040】
芳香族ジヒドロキシ化合物は、有利に、一般式:
【化4】

[式中、ZはC−原子数8までを有するアルキレン−又はシクロアルキレン基、C−原子数12までを有するアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素又は硫黄原子又は化学結合を表し、mは0〜2の値を有する]を有する。このジヒドロキシ化合物は、フェニレン基に、C〜C−アルキル−又はアルコキシ基及び弗素、塩素又は臭素を置換基として有していることもできる。
【0041】
この化合物の母体としては、例えば次のものが挙げられる:ジヒドロキシジフェニル、ジ(ヒドロキシフェニル)アルカン、ジ−(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ジ−(ヒドロキシフェニル)エーテル、ジ−(ヒドロキシフェニル)ケトン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、a,a’−ジ−(ヒドロキシフェニル)−ジアルキルベンゼン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホン、ジ−(ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、レゾルシン及びヒドロキノン並びにこれらの核アルキル化又は核ハロゲン化された誘導体。
【0042】
これらの内、次のものが好ましい:4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,4−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、a,a’−ジ−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ジ−(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン及び2,2−ジ−(3’−クロロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン並びに殊に2,2−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ジ(3’,5’−ジクロロジヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、3,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン及び2,2−ジ(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン又はこれらの混合物。
【0043】
勿論、ポリアルキレンテレフタレートと完全芳香族ポリエステルとからの混合物を使用することもできる。これらは一般に、ポリアルキレンテレフタレート20〜98質量%及び完全芳香族ポリエステル2〜80質量%を含有する。
【0044】
勿論、ポリエステルブロックコポリマー、例えばコポリエーテルエステルを使用することもできる。このような生成物は自体公知であり、文献中に、例えばUS−A3651014中に記載されている。市場でも相応する製品、例えばHytrel(登録商標)(DuPont)が入手される。
【0045】
好ましいジカルボン酸としては、ナフタリンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸又はこれらの混合物が挙げられる。芳香族ジカルボン酸の10モル%までが、脂肪族又は脂環式ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸及びシクロヘキサンジカルボン酸で置換されることができる。脂肪族ジヒドロキシ化合物の内で、炭素原子数2〜6を有するジオール、殊に1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール及びネオペンチルグリコール又はこれらの混合物が好ましい。
【0046】
特別好ましいポリエステルとしては、C−原子数2〜6を有するアルカンジオールに由来するポリアルキレンテレフタレートが挙げられる。この内、殊にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレートが好ましい。
【0047】
このポリエステルの粘度数は、一般に60〜200ml/gの範囲内(23℃で、フェノール/o−ジクロロベンゼン混合物(質量比1:1)中の0.5質量%溶液中で測定)にある。
【0048】
ポリオレフィン
ここに、全く一般的にポリエチレン及びポリプロピレン並びにエチレン又はプロピレンをベースとする、場合による高いα−オレフィンとのコポリマーを挙げることができる。相応する製品は、Lupolen(登録商標)もしくはHostalen(登録商標)/Moplen(登録商標)なる商品名で、BASELLから入手されている。
【0049】
好ましい1実施形では、ポリオレフィンとして、エチレンとアクリル酸ビニルとから構成されたコポリマー少なくとも1種が使用される。これらは、例えばケーブルの被覆で使用される。これらのコポリマーは、当業者にとっては公知である。
【0050】
ポリ(メタ)アクリレート
ここに、殊にポリメチルメタクリレート(PMMA)並びに40質量%までの他の共重合可能なモノマーを有する、メチルアクリル酸メチルをベースとするコポリマーが挙げられ、例えばこれは、Plexiglas(登録商標)なる名称で入手される。
【0051】
ポリアミド
好適なポリアミドは、一般に70〜350、特に110〜240ml/gの粘度数(ISO 307に従い、25℃で96質量%硫酸中の0.5質量%溶液中で測定)を有する。
【0052】
例えば、米国特許第2071250、2071251、2130523、2130948、2241322、2312966、2512606及び3393210明細書中に記載されているような、最低でも5000の分子量(重量平均)を有する半結晶又は非晶質の樹脂が好ましい。
【0053】
この例は、環員数7〜13を有するラクタム、例えばポリカプロラクタム、ポリカプリルラクタム及びポリラウリンラクタムに由来するポリアミド並びにジカルボン酸とジアミンとの反応により得られるポリアミドである。ジカルボン酸としては、炭素原子数6〜12、殊に炭素原子数6〜10を有するアルカンジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が使用可能である。ここには、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸及びテレフタ酸及び/又はイソフタル酸のみが酸として挙げられる。
【0054】
ジアミンとしては、特別に、炭素原子数4〜12,殊に6〜8を有するアルカンジアミン並びにm−キシリレンジアミン、ジ−(4−アミノフェニル)メタン、ジ−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ジ−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ−(4−アミノシクロヘキシル)プロパン又は3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンが好適である。
【0055】
好ましいポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジピン酸アミド、ポリヘキサメチレンセバシン酸アミド及びポリカプロラクタム並びに殊にカプロラクタム−単位5〜95質量%の分率を有するコポリアミド6/66である。
【0056】
更に、例えば1,4−ジアミノブタンとアジピン酸との高温度での縮合によって得られるポリアミド(ポリアミド4,6)も挙げられる。この構造のポリアミドの製造法は、例えばEP−A38094、EP−A38582及びEP−A39524中に記載されている。
【0057】
更に、2種以上の前記モノマーの共重合によって得られるポリアミド又は複数のポリアミドの混合物が好適であり、ここで、この混合比は任意である。
【0058】
更に、部分芳香族コポリアミド、例えばそのトリアミン含有率が0.5質量%を下回る、特に0.3質量%を下回る、PA6/6T及びPA66/6Tが特別有利であることが立証されている(EP−A299444参照)。
【0059】
他の好適なポリアミドは、次のものから成る群から選ばれる:例えば9−アミノ−ノナン酸から製造されるポリアミド−9、例えば10−アミノ−デカン酸から製造されるポリアミド−10、例えばヘキサメチレンジアミン/アゼライン酸から製造されるPA6/9、例えばヘキサメチレンジアミン/ドデカンジ酸から製造されるPA6/12、例えば11−アミノウンデカン酸から製造されるPA11、例えばラウリンラクタム又はオメガ−アミノデカン酸から製造されるPA12、例えばテトラメチレンジアミン/アジピン酸から製造されるPA4/6、例えばドデカンジアミン/ドデカンジ酸から製造されるPA12/12、例えばカプロラクタム/ラウリンラクタムから製造されるPA6/12及びこれらの混合物。ポリアミド−10は例えば から製造されうる。これらポリアミドは当業者にとっては自体公知である。
【0060】
低いトリアミン含分を有する好ましい部分芳香族コポリアミドの製造は、EP−A129195及び129196中に記載の方法に従って行うことができる。
【0061】
勿論、このようなポリマーの混合物(ブレンド)を使用することもできる。
【0062】
ビニル芳香族ポリマー
自体公知で、市場で入手可能なこのポリマーの重量平均分子量Mwは、一般に1500〜2000000/モルの範囲、有利には70000〜1000000/モルの範囲内にある。
【0063】
ここで、代表としてスチレン、クロロスチレン、[α]−メチルスチレン及びp−メチルスチレンからのビニル芳香族ポリマーが挙げられ;下位割合で(特に50質量%を超えない、殊に35質量%を超えない)、コモノマー、例えば(メタ)アクリロニトリル又は(メタ)アクリル酸エステルも、この構成に関与していることができる。特別好ましいビニル芳香族ポリマーは、ポリスチレン及び耐衝撃性改良されたポリスチレンである。これらポリマーの混合物も使用できることは明らかである。製造は、有利にEP−A−302485中に記載の方法に従って行われる。
【0064】
好ましいASA−ポリマーは、

11〜C10−アルキルアクリレート 95〜99.9質量%及び
12 オレフィン系の非共役二重結合2個を有する二官能性モノマー 0.1〜5質量%
をベースとするグラフトベース 50〜90質量%及び

21 一般式Iのスチレン又は置換スチレン又はこれらの混合物 20〜90質量%及び
22 アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル又はこれらの混合物 10〜80質量%
からのグラフトシェル 10〜50質量%
からのグラフトポリマーからの軟質−又はゴム相から、
31 一般式Iのスチレン及び/又は置換スチレン 50〜90質量%、特に55〜90、殊に65〜85質量%及び
32 アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリル 10〜50質量%、特に10〜45、殊に15〜35質量%
からのSAN−コポリマーA)をベースとする硬質マトリックス
と混合されて、構成されている。
【0065】
成分A)は、−20℃を下回る、殊に−30℃を下回るガラス転移温度を有するエラストマーである。
【0066】
このエラストマーの製造のために、主モノマーA11)として、C−原子数2〜10、殊にC−原子数4〜8を有するアクリル酸のエステルが使用される。特別好ましいモノマーとしては、ここに、t−、イソ−及びn−ブチルアクリレート並びに2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられ、この内、最後に挙げられている2つのものが特別好ましい。アクリル酸のこれらエステルと並んで、合計質量A11+A12に対して0.1〜5、殊に1〜4質量%の、少なくとも2つのオレフィン系非共役二重結合を有する多官能性モノマーが使用される。これらの内、二官能性化合物、即ち非共役二重結合2個を有する化合物が好ましく使用される。ここに例として、ジビニルベンゼン、フマル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、トリシクロデセニルアクリレート及びジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレートが挙げられ、この内、最後に記載の2つのものが特別好ましい。
【0067】
グラフトベースAの製造法は自体公知であり、例えばDE−B1260135中に記載されている。相応する生成物は、市場で入手可能でもある。
【0068】
いくつかの場合に、乳化重合による製造が特別有利であると立証されている。正確な重合条件、殊に、乳化剤の種類、配合及び量は、少なくとも部分的に架橋されているアクリル酸エステルのラテックスが約200〜700、殊に250〜600nmの範囲の平均粒度(重量平均)を有するように、選択されることが有利である。このラテックスは、狭い粒度分布を有する、即ち商Q=(d90−d10)/d50は、0.5より小さい、殊に0.35より小さいことが有利である。
【0069】
グラフトポリマーA+AのグラフトベースAの分率は、A+Aの合計質量に対して50〜90、特に55〜85、殊に60〜80質量%である。
【0070】
グラフトベースA上にグラフトシェルAがグラフト結合されており、これは、
21 一般式:
【化5】

[式中、RはC−原子数1〜8を有するアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表し、RはC−原子数1〜8を有するアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表し、nは0、1、2又は3の値である]のスチレン又は置換スチレン 20〜90、特に30〜90、殊に30〜80質量%と
22 アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル又はこれらの混合物 10〜80、特に10〜70、殊に20〜70質量%と
の共重合によって得られる。
【0071】
置換スチレンの例は、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン及びp−クロロ−α−メチルスチレンであり、この内、α−メチルスチレンが好ましく使用される。
【0072】
好ましいアクリル酸−もしくはメタクリル酸エステルは、それらのホモポリマーもしくは成分A22)の他のモノマーとのコポリマーが、20℃より高いガラス転移温度を有するものである;但し、原則的には、他のアクリル酸エステルを、特に全体として20℃より高い成分Aのガラス転移温度Tgが生じるような量で使用することもできる。
【0073】
アクリル酸又はメタクリル酸とC〜C−アルコールとのエステル及びエポキシ基含有エステル、例えばグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートが特別好ましい。全く特別好ましい例としては、メチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート及びn−ブチルアクリレートが挙げられ、この際、後者は、非常に低いTgを有するポリマーを形成するその特性に基づき、高すぎない割合で使用されることが有利である。
【0074】
グラフトシェルA)は、1又は複数の、例えば全組成がそれによって悪影響されない2又は3つの方法工程で製造することができる。
【0075】
有利には、このグラフトシェルは、例えばDE−PS1260135、DE−OS3227555、DE−OS3149357及びDE−OS3414118中に記載されているように、エマルジヨン中で製造される。
【0076】
選択条件に応じて、このグラフト共重合の際に、特定割合のスチレン又は置換スチレン誘導体と(メタ)アクリロニトリル又は(メタ)アクリル酸エステルとの遊離コポリマーが生じる。
【0077】
グラフトポリマーA+Aは、一般に100〜1000nm、特別に200〜700nmの平均粒径(d50−重量平均値)を有する。従って、エラストマーD)の製造の際及びグラフト化の際の条件は、この範囲内の粒径が生じるように選択することが有利である。このための手段は公知であり、例えばDE−PS1260135及びDE−OS2826925中、並びにJournal of Applied Polymer Science, Vol.9 (1965), S.2929-2938中に記載されている。エラストマーのラテックスの粒径増大は、例えば凝集によって行うことができる。
【0078】
この発明の範囲内で、成分A)の製造のためのグラフト重合の際に生じる、遊離のグラフトされていないホモポリマー及びコポリマーも、グラフトポリマー(A+A)に数えられる。
【0079】
次に、好ましいいくつかのグラフトポリマーを列挙する:
1:
11 n−ブチルアクリレート98質量% 及び
12 ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート2質量%
からのグラフトベースA 60質量%及び
21 スチレン75質量% 及び
22 アクリロニトリル25質量%
からのグラフトシェルA 40質量%
2:
スチレンからの第1段グラフトシェル 5質量%及び
21 スチレン 75質量% 及び
22 アクリロニトリル 25質量%
からの第2段グラフト 35質量%
を有している、1におけると同様なグラフトベース
3:
スチレンからの第1段グラフト 13質量%及び
質量比3:1のスチレンとアクリロニトリルとからの第2段グラフト 27質量%
を有している、1におけると同様なグラフトベース。
【0080】
成分A)として含有される生成物は、例えばDE−AS1001001及びDE−AS1003436中に記載の方法によって製造することができる。市場でもこのようなコポリマーは入手可能である。光散乱により測定されるこの重量平均分子量は、有利には50000〜500000、殊に100000〜250000g/モルの範囲に存在する。
【0081】
(A+A):Aの質量比は、1:2.5〜2.5:1、有利には1:2〜2:1、殊に1:1.5〜1.5:1の範囲内にある。
【0082】
成分A)としての好適なSAN−ポリマーは、既に記載されている(A31及びA32参照)。
【0083】
DIN53727に従い、23℃でジメチルホルムアミド中の0.5%溶液で測定されるSAN−ポリマーの粘度数は、一般に40〜100、特に50〜80ml/gの範囲にある。本発明による多相ポリマー混合物中のポリマー(A)としてのABS−ポリマーは、前記のASA−ポリマーについて記載されていると同様な構造を有している。ASA−ポリマーの場合のグラフトベースのアクリレートゴムA)の代わりに、通常は共役ジエンが使用されるので、グラフトベースAに関しては、有利に、次の組成物が明らかである:
41 共役ジエン 70〜100質量%及び
42 2個のオレフィン系非共役二重結合を有する2官能性のモノマー又はビニル芳香族化合物又は双方の混合物 0〜30質量%
グラフトシェルA及びSAN−コポリマーA)の硬質マトリックスは、この組成中に不変のまま留まっている。このような生成物は、市場で入手可能である。その製造法は、当業者にとっては公知である。
【0084】
(A+A):Aの質量比は、3:1〜1:3、特に2:1〜1:2の範囲内にある。
【0085】
熱可塑性プラスチック成形材料の特別好ましい組成物は、成分A)として、
) ポリブチレンテレフタレート 10〜90質量%
) ポリエチレンテレフタレート 0〜40質量%
) ASA−又はABS−ポリマー又はこれらの混合物 1〜40質量%
からの混合物を含有する。
【0086】
このような製品は、BASF SEからUltradur(登録商標)Sとして入手される。
【0087】
成分A)の他の好ましい組成物は、
) ポリカーボネート 10〜90質量%
) ポリエステル、特にポリブチレンテレフタレート 0〜40質量%
) ASA−又はABS−ポリマー又はこれらの混合物 1〜40質量%
を含有する。
【0088】
このような製品は、BASF SEからTerblend(登録商標)として入手される。
【0089】
もう一つの本発明による好ましいビニル芳香族ポリマーは、種々のモノマー アクリロニトリル、1,3−ブタジエン及びスチレンから構成されているコポリマーである。このアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマー(ABS−コポリマー)は、当業者にとっては公知である。その場合にその量比は、アクリロニトリル15から35質量%まで、ブタジエン5から30質量%まで及びスチレン40から60質量%まで(それぞれ、コポリマーに対する)変動することができる。
【0090】
ポリアリーレンエーテル
ポリアリーレンエーテルA)とは、好ましくはポリアリーレンエーテルそれ自体とも、ポリアリーレンエーテルスルフィド、ポリアリーレンエーテルスルフォン又はポリアリーレンエーテルケトンとも理解される。これらのアリーレン基は、同じ又は異なるものであってよく、相互に無関係に、C−原子数6〜18を有する芳香族基を表す。好適なアリーレン基の例は、フェニレン、ビスフェニレン、ターフェニレン、1,5−ナフチレン、1,6−ナフチレン、1,5−アンスリレン、9,10−アンスリレン又は2,6−アンスリレンである。この内、1,4−フェニレン及び4,4’−ビフェニレンが好ましい。これら芳香族基は置換されていないことが有利である。しかしながら、これらは1個又は複数の置換基を有していることができる。好適な置換基は、例えばアルキル−、アリールアルキル−、アリール−、ニトロ−、シアノ又はアルコキシ基並びにヘテロ芳香族基、例えばピリジン及びハロゲン原子である。好ましい置換基には、炭素原子数10までを有するアルキル基、例えばメチル、エチル、i−プロピル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、C〜C10−アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ,n−プロポキシ、n−ブトキシ、炭素原子数20までを有するアリール基、例えばフェニル又はナフチル並びに弗素又は塩素が挙げられる。これらは、−O−と並んで、例えば−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−N=N−、−COO−、アルキレン基又は化学結合を介して相互に結合していることができる。これらのポリアリーレンエーテル(B)中で、アリーレン基は種々異なる基を介して相互に結合されていることもできる。
【0091】
好ましいポリアリーレンエーテルには、一般式I:
【化6】

の繰り返し単位を有するものが数えられる。
【0092】
同様に、これの核置換された誘導体も使用できる。置換基としては、特にC〜C−アルキル、例えばメチル、エチル又はt−ブチル、C〜C−アルコキシ、例えばメトキシ又はエトキシ、アリール、殊にフェニル、塩素又は弗素がこれに該当する。変数Xは、−SO−、−SO−、−S−、−O−、−CO−,−N=N−、−RC=CR−、−CR−又は化学結合であることができる。変数Zは、−SO−、−SO−、−CO−、−O−、−N=N−又は−RC=CR−を表すことができる。この場合に、R及びRは、それぞれ水素、C〜C−アルキル、例えばメチル、n−プロピル又はn−ヘキシル、C〜C−アルコキシを表し、特に、メトキシ、エトキシ又はブトキシ又はアリール、殊にフェニルを表す。基R及びRは、それぞれ水素又はC〜C−アルキル基、殊にメチルを表すことができる。しかしながら、これらは、相互に結合してC〜C10−シクロアルキル環、好ましくはシクロペンチル−又はシクロヘキシル環(これ自体は、1個以上のアルキル基、特にメチルで置換されていることができる)を形成していることもできる。更に、R及びRは、C〜C−アルコキシ基、例えばメトキシ又はエトキシ又はアリール基、殊にフェニルを表すこともできる。前記の基は、それら自体がそれぞれ塩素又は弗素で置換されていることができる。
【0093】
次に、好ましい繰り返し単位Iのいくつかを挙げる:
【化7】

【0094】
【化8】

【0095】
【化9】

【0096】
全く特別に、繰り返し単位として(I)、(I)、(I24)又は(I25)を含有するポリアリーレンエーテルが好ましい。これには、例えば、構造単位(h)0〜100モル%、好ましくは5〜95モル%及び構造単位(I)0〜100モル%、好ましくは5〜95モル%を含有するポリアリーレンエーテルスルホンが数えられる。
【0097】
ポリアリーレンエーテルは、その中にポリアリーレンエーテルセグメント及び他の熱可塑性ポリマー、例えばポリアミド、ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリシロキサン、ポリイミド又はポリエーテルイミドのセグメントが存在する、コポリマー又はブロックコポリマーであることもできる。このコポリマー中のブロック又はグラフトアームの分子量は、一般に1000〜30000g/モルの範囲内にある。種々異なる構造のブロックが、交互に又はランダムに配置されていることができる。コポリマー又はブロックコポリマー中のポリアリーレンエーテルセグメントの質量分率は一般に、少なくとも3、有利には少なくとも10質量%である。ポリアリーレンエーテルスルホン又は−ケトンの質量分率は、97質量%までであることができる。90質量%までのポリアリーレンエーテルセグメントの質量分率を有するコポリマー又はブロックコポリマーが好ましい。ポリアリーレンエーテルセグメント20〜80質量%を有するコポリマー又はブロックコポリマーが特別好ましい。
【0098】
一般に、ポリアリーレンエーテルは、10000〜60000g/モルの範囲の平均分子量Mn(数平均)及び30〜150ml/gの粘度数を有する。この粘度数は、ポリアリーレンエーテル(A)又は(B)の可溶性に応じて、1質量%N−メチルピロリドン溶液中で、フェノールとo−ジクロロベンゼンとからの混合物中で、又は96%硫酸中で、その都度20℃又は25℃で測定される。
【0099】
これらポリアリーレンエーテルは、自体公知であるか又は自体公知の方法で製造することができる。
【0100】
従って、例えばポリフェニレンエーテルは、フェノールの酸化性カップリングによって製造することができる。ポリアリーレンエーテルスルホン又は−ケトンは、例えば芳香族ビスハロゲン化合物と芳香族ビスフェノールのアルカリ金属複塩とのの縮合によって生じる。これらは、例えば触媒の存在下での、芳香族ハロゲンフェノールのアルカリ金属塩の自己縮合によって製造することもできる。
【0101】
モノマーを、融液として又は不活性の高沸点溶剤中で重合させることが好ましい。これには、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、キシレン及びトリクロロベンゼンが数えられる。これと並んで、スルホン又はスルホキシドも、その内で、特にジメチルスルホン、ジエチルスルホン、1,1−ジオキシソテトラヒドロチオフェン(スルホラン)又はジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシド又はジエチルスルホキシド、好ましくはジメチルスルホキシドもこれに該当する。N−アルキルピロリドン、殊にN−メチルピロリドンも好ましい溶剤に数えられる。更に、N−置換された酸アミド、例えばN,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセタミドを使用することができる。種々の溶剤の混合物を使用することも可能である。
【0102】
ポリアリーレンエーテルスルホン又は−ケトンの合成のために好ましい方法条件は、例えばEP−A−113112及び135130中に記載されている。
【0103】
好ましいポリアリーレンエーテルは、一般に、低くても320℃の融点(ポリアリーレンエーテルスルホン)又は低くても370℃の融点(ポリアリーレンエーテルケトン)を有する。
【0104】
本発明によれば、成形材料は、ポリアリーレンエーテルスルホン又は−ケトンを含有していることができ、これは反応性化合物との反応により得られている。この反応性化合物は、1個のC−C−二重結合又は三重結合と並んで、1個以上のカルボニル−、カルボン酸−、カルボキシレート−、酸アンヒドリド−、酸イミド−、カルボン酸エステル−、アミノ−、ヒドロキシル−、エポキシ−、オキサゾリン−、ウレタン−、尿素−、ラクタム又はハロゲンベンジル基を含有している。
【0105】
好適な典型的な化合物は、例えばマレイン酸、メチルマレイン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、これらの無水物及びイミド、フマル酸、これらの酸と例えばC〜C10−アルカノールとのモノ−又はジエステル、これらの酸のモノ−又はジアミド、例えばN−フェニルマレインイミド、マレイン酸ヒドラジドである。好ましくは、α,β−不飽和ジカルボン酸もしくはこれらの下記の一般構造IV及びV:
【化10】

[式中、R、R、R及びRは相互に無関係に、水素及びC〜C18−アルキル基であることができる]の無水物、ジ−エステル及びモノ−エステルが使用される。
【0106】
特別好適な化合物は、無水マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸である。
【0107】
ポリマー及び反応性化合物を、例えば芳香族溶剤中で相互に反応させることができる。クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン及びN−メチルピロリドンは特別好適な溶剤であると立証されている。この場合には一般に、慣用のラジカル開始剤が使用される。この反応は一般に、75〜150℃で実施される。反応生成物は、慣用の沈殿剤、例えば低分子量のアルコール及びケトンを用いる沈殿によって、又は溶剤の除去(例えばベント式押出機、薄膜蒸発器中で)によって取得することができる。
【0108】
しかしながら反応成分を、例えば270〜350℃の温度で融液として、連続的又は回分法で作動する混合装置(例えば、1本−又は2本スクリュウ押出機、ニーダー)中で反応させることもできる。
【0109】
この場合には、反応性化合物が、特に液体形で、殊に混合装置の練和帯域内で、ポリマーの融液に配量添加される。
【0110】
非変性ポリアリーレンエーテルスルホン又は−ケトンの80〜99.9質量%、殊に90〜99質量%と反応性化合物0.1〜20質量%、殊に1〜10質量%との反応によって得られている、変性されたポリアリーレンエーテルスルホン又は−ケトンを使用することが好ましい。
【0111】
無水マレイン酸0.1〜1.5質量%を有する成分として、グラフトされたポリアリーレンエーテルスルホンが特別好ましい。この場合に、単位I5〜95モル%及び単位I5〜95モル%を含有しているポリアリーレン−エーテルスルホンが好ましい。
【0112】
式I及びIの単位80〜95、特に85〜95モル%を有し、相応して式I又はIの単位5〜20、特に5〜15モル%を有する、ポリアリーレンエーテルスルホンが、ここに特別に挙げられる。
【0113】
ラジカル開始剤として、一般に、専門文献(例えばJ.K.Kochi, "Free Radicals", J.Wiley, New York, 1973)中に記載の化合物を使用することができる。
【0114】
通常、ラジカル開始剤は、使用ポリアリーレンエーテルスルホン又は−ケトンに対して約0.01〜約1質量%の量で使用される。勿論、種々のラジカル開始剤の混合物を使用することもできる。
【0115】
相応して変性されたポリフェニレンエーテルが、特にWO87/00540から公知であり、これは、殊にポリアミドと混合して使用することができる。
【0116】
本発明によれば、熱硬化性プラスチックとして、エポキシ−樹脂が好ましく使用される。エポキシ−樹脂は、当業者にとっては自体公知である。
【0117】
本発明の範囲でエポキシ樹脂とは、エポキシ基を含有している芳香族及び/又はヘテロ芳香族化合物を包含している、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂、エポキシ−コンポジット(Epoxy-Komposite)又はエポキシブレンドであると理解される。これらの芳香族及び/又はヘテロ芳香族化合物は、その中に、少なくとも2個の一般式(A):
【化11】

のエポキシ基(これらは、直接1個の炭素−、酸素−、窒素−又は硫黄原子に結合していて、式中のRは水素又はメチルを表す)を有する多官能性のエポキシ化合物を含有していることができる。
【0118】
多官能性の芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ化合物の例は、次のものである:
I)分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有する芳香族及び/又はヘテロ芳香族化合物とエピクロロヒドリン−、グリセロールジクロロヒドリン及び/又はβ−メチルエピクロロヒドリンとの反応によって得られる、ポリグリシジル−エステル及びポリ(β−メチルグリシジル)エステル。この反応は塩基の存在下に実施される。分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有する好適な芳香族及び/又はヘテロ芳香族化合物は、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸及びピロメリット酸である。
II)アルカリ性条件下又は酸触媒の存在下での、少なくとも2個の遊離フェノール系ヒドロキシル基を有する芳香族及び/又はヘテロ芳香族化合物と好適な置換されたエピクロロヒドリンとの反応及び引き続くアルカリ性条件下での処理によって得られる、ポリグリシジル−エーテル又はポリ(β−メチルグリシジル)エーテル。このタイプのエーテルは、例えば単核のフェノール、例えばレゾルシノール又はヒドロキノンから得られるか又はこれらは多核フェノール、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン又は4,4’−ジヒドロキシフニルスルホンをベースとしている;又はこれらエーテルは酸性条件下に得られるフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物、例えばフェノール−ノボラック(登録商標)をベースとしている。
III)エピクロロヒドリンと少なくとも2個のアミノ−水素原子を含有している芳香族及び/又はヘテロ芳香族アミンとの作用生成物の脱塩化水素によって得られる、ポリ(N−グリシジル)−化合物。これらのアミンは、例えばアニリン、トルイジン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、m−キシレンジアミン又はビス(4−メチルアミノフェニル)メタン及び更にN,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール又はN,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノールである。
IV)ポリ(S−グリシジル)−化合物、例えば芳香族及び/又はヘテロ芳香族ジチオール、例えばビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルから得られるジ−S−グリシジル−誘導体。
【0119】
多官能性芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ化合物は公知である。これらの多くは市場で入手される:Huntsman Advanced Materialsから(商品名Araldite(登録商標))、Dow Chemicalsから(商品名DER(登録商標))、Mitsubishi Gas Chemical Companyから(商品名Tetrad(登録商標))、Shellから(商品名Cardura(登録商標))及びHexion Specialty Chemicalsから(Hexion(登録商標)、Tactix(登録商標)、Epon(登録商標)及びEpikot(登録商標))。好適な多官能性エポキシドの例は、次のものである:

【0120】
所望の場合には、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ化合物又は種々の構造の混合物を使用することもできる。
【0121】
好適な多官能性の、芳香族及び/又はヘテロ芳香族化合物は、一般式:
【化12】

の基少なくとも2個を包含する。
【0122】
特別好ましい成分は、次のタイプの化合物又は及び/又はこれらの混合物で記載される:
【化13】

[式中、X、X及びXは、フェニレン又はナフチレンであり、これらは非置換であるか又は置換されていてよく、Xは付加的に、式:
【化14】

の非置換の又は置換された基である]。
【0123】
上記の基の好適な置換基は、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−S(=O)=、−S(O)−、−C(CF−、アルキル、アルキレン、アリール、アリーレン、アルコキシ、アリールオキシ又はハロゲンである。同じ又は異なる置換基が1個又は2個存在することができ、この際、これらの置換基は場合により更に置換されている。
【0124】
好適なアルキル基の例は、C〜C18−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルへキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル又はn−オクタデシル及びこれらの分枝した異性体である。
【0125】
例示のアルキレン−及びアルコキシ−基は、前記のアルキル基から、もう一つの水素原子の離脱によって、又は一つの酸素原子の付加によって得ることができる。
【0126】
好適なアリール−基の例は、炭素原子数6〜20を有するもの、例えばフェニレン、ビフェニレン又はナフチレンである。
【0127】
好適なアリーレン−及びアリールオキシ−基は、形式的に前記のアリール基から、もう一つの水素原子の離脱によって、又は一つの酸素原子の付加によって得ることができる。次式のX、X及びX
【化15】

【0128】
【化16】

[式中、Yは直接結合又は基−O−、−S−又は−C(=O)−O−であり、
は直接結合又は基−SO−、−CO−、−S−、−SO−、−CH−、−C(CH−又は−C(CF−であり、nは1〜10である]を有する基が好ましい。
【0129】
芳香族基は、非置換であるか又は先に詳述されているように、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ又はハロゲンの1個以上で置換されている。
【0130】
次の化合物が、特別好ましい:
【化17】

【0131】
【化18】

【0132】
好ましい1実施形によれば、硬化性成分が、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂−組成物中に、又は芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂−組成物及び他の重合可能なモノマーを含有している組成物中に存在することもできる。好適な硬化剤−化合物は、いずれも当業者に公知の、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂用の硬化剤−化合物であることができる。アミン−及びアンヒドリド−硬化剤が特別好ましく、同様にポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、DDMのアルキル置換誘導体、イソフロンジアミン(IPD)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4,4’−メチレンジアニリン(MDA)又はm−フェニレンジアミン(MPDA)、ポリアミド、アルキル/アルケニルイミダゾール、ジシアンジアミド(DICY)、1,6−ヘキサメチレン−ビス−シアノグアニジン又は酸−無水物、例えばドデセニル−コハク酸−無水物、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸及びこれらの誘導体が特別好ましい。
【0133】
化合物A
本発明による混合物は、少なくとも1種のプラスチックKと並んで、ホウリン酸塩、ホウ酸塩−リン酸塩、金属ホウリン酸塩及びこれらの混合物から成る群から選択される化合物A少なくとも1種0.1〜50質量%(全混合物に対して)を含有している。
【0134】
プラスチックKとして好ましく使用される熱可塑性プラスチックの加工温度を上回る、例えば0〜1500℃、好ましくは100〜900℃、特別好ましくは101〜700℃、全く特別好ましくは150〜600℃の分解温度を有する、前記の群から選択される化合物Aを使用することが好ましい。好ましい熱可塑性プラスチックK、殊にポリエステル、例えばポリブチレンテレフタレート又はポリアミド、例えばポリアミド−6、ポリアミド−66に対して好ましく使用される化合物Aは、一般に、150℃を上回る、好ましくは200℃を上回る、特別好ましくは250℃を上回る、殊に280℃を上回る分解温度を有すべきである。
【0135】
ハロゲン不含である化合物Aが特別好ましく使用される。
【0136】
通常条件下に非晶質の粉末、結晶として又はガラス状で存在する化合物Aが、更に好ましく使用される。
【0137】
本発明のもう一つの特別好ましい変法では、OH基、水、有機分子又はこれらの組み合わせ(これらは、燃焼時に放出される)を含有している化合物Aが使用される。
【0138】
本発明による混合物の好ましい実施形で少なくとも1種の化合物Aは、次の群から選択されるホウリン酸塩である:

【0139】

【0140】

【0141】

【0142】
本発明による混合物の特別好ましい1実施形で少なくとも1種の化合物Aは、前記の群から選択されたハロゲン不含のホウリン酸塩である。
【0143】
本発明による混合物のもう一つの特別好ましい実施形で少なくとも1種の化合物Aは、OH基、水、有機分子又はこれらの組み合わせ(これらは燃焼時に放出されうる)を含有しているホウリン酸塩である。
【0144】
本発明による混合物のもう一つの特別好ましい実施形で少なくとも1種の化合物Aは、全く特別に、群:

から選択される、化合物のカチオン部中に金属原子を含有しないホウリン酸塩である。
【0145】
本発明による混合物のもう一つの特別好ましい実施形で少なくとも1種の化合物Aは、全く特別に、次の群:

から選択される金属原子を含有しないホウリン酸塩を含有している。
【0146】
本発明による混合物のもう一つの特別好ましい実施形で少なくとも1種の化合物Aは、群:

から選択されるホウリン酸塩である。
【0147】
本発明により使用可能なホウリン酸塩は、例えば、文献Struktural Chemistry of Borophosphates and Related Compounds, B.Ewald, Y.-X.Huang und R.Kniep, Z.Anorg.Chem. 2007, 633, 1517-1540及び殊にこの中に引用されている文献中に開示されている当業者に公知の全ての方法によって、製造することができる。
【0148】
本発明による混合物のもう一つの好ましい実施形で少なくとも1種の化合物Aは、群:

から選択されるホウ酸塩−リン酸塩である。
【0149】
本発明により使用可能なホウ酸塩−リン酸塩は、例えば、文献Struktural Chemistry of Borophosphates and Related Compounds, B.Ewald,Y.-X.Huang und R.Kniep, Z.Anorg.Chem. 2007, 633, 1517-1540及び殊にこの中に引用されている文献中に開示されている当業者に公知の全ての方法によって、製造することができる。
【0150】
本発明による混合物中には、化合物Aとして、アニオン部中に、Be、Zn、Co及びこれらの混合物から成る群から選択される1個の金属を含有している金属ホウリン酸塩が存在することが特別好ましい。
【0151】
本発明による混合物の特別好ましい実施形で少なくとも1種の化合物Aは、群:

から選択される金属ホウリン酸塩である。
【0152】
本発明による混合物中には、少なくとも1種の化合物Aが、一般に、0.1〜50.0質量%、好ましくは1.0〜30.0質量%、特別好ましくは2.0〜15.0質量%(それぞれ、全混合物に対して)の量で存在する。
【0153】
少なくとも1種のプラスチックKは、本発明による混合物中に、一般に、50.0〜99.9質量%、好ましくは70.0〜99.0質量%、特別好ましくは85.0〜98.0質量%(それぞれ、全混合物に対して)の量で存在する。
【0154】
少なくとも1種の化合物A及び少なくとも1種のプラスチックK並びに場合により更に存在する添加剤の量の合計は、いずれの場合にも100質量%である。
【0155】
本発明による混合物中に存在する少なくとも1種の化合物Aは、例えば技術水準から公知のAl(OH)及びP−源からの組み合わせに比べて、難燃化添加剤の合計量を、明らかに減少させることを可能とする。
【0156】
本発明により使用可能な化合物Aは、一般に特別高い熱安定性を示す。例えば本発明による化合物K[BP(OH)]は、約340℃までの熱安定性を有し、化合物(C10)[BPO]は、約310℃までの熱安定性を有し、アミン含有ホウリン酸塩は、470℃まで又は500℃までの熱安定性を有する(例えばPreparation and Characterization of templated borophosphates and metalloborophosphates, Ya-Xi Huang, Dissertation, TU Dresden, 2004又はBorophosphate der Haupt-und Nebengruppenmetalle: Synthese, Charakterisierung und Strukturchemische Klas-sifizierung, Bastian Ewald, Dissertation TU Dresden, 2006参照)。これらの分解温度は、高融点熱可塑性プラスチック、例えばPA、PBT中での使用を可能とする。分解の際の、揮発性、燃焼窒息性の又は冷却性の成分の放出は、所望のように燃焼時に初めて行われ、プラスチックの加工時には行われない。
【0157】
本発明は、本発明による混合物にも関し、ここでは、付加的に、リン含有化合物、窒素含有化合物、金属水酸化物、金属酸化物、ホウ素含有化合物、珪酸塩、二酸化珪素、硫酸塩、炭酸塩及びこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の難燃剤が存在する。
【0158】
本発明による方法の好ましい1実施形でリン含有化合物少なくとも1種は、一般式(VI)の金属ホスフィン−塩、一般式(VII)のそのポリマー:
【化19】

[式中、R、R、R、M、m、n及びxは相互に無関係に、
、Rは相互に無関係に、水素、線状又は分枝したC〜C20−アルキル基、置換又は非置換のC〜C22−アリール基を表し、
は相互に無関係に、線状又は分枝したC〜C10−アルキル基、置換又は非置換のC〜C22−アリール基、−アルキル基又は−アリールアルキル基を表し、
Mは相互に無関係に、アルカリ土類金属、例えばBe、Mg、Ca、Ba、Sr、アルカリ金属、例えばLi、Na、K、Rb、Cs又はAl、Zn、Ti、Zr、Si、Sn又は窒素含有化合物、例えばメラミン、ピペラジン、第1級アルキルアミン、第2級アルキルアミン、第3級アルキルアミン、メラム、メレムを表し、
mは相互に無関係に、1〜4、例えば1、2、3、4であり、nは相互に無関係に、1〜3、例えば1、2、3であり、xは相互に無関係に、1又は2である]及びそれらの混合物から成る群から選択される。
【0159】
記載のリン含有化合物は、本発明による混合物中に、全混合物に対して0.1〜50質量%の量で存在することが好ましい。
【0160】
本発明による方法のもう一つの好ましい実施形で少なくとも1個の窒素を含有する化合物は、メラミンシアヌレート、メラミンボレート、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンアンモニウムポリホスフェート、メラミンアンモニウムピロホスフェート及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0161】
本発明による混合物中に、記載の窒素含有化合物が、全混合物に対して0.1〜50質量%の量で存在することが好ましい。
【0162】
好適な金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、三水酸化アルミニウム及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0163】
好適な金属酸化物は、酸化亜鉛、三酸化モリブデン、酸化アンチモン、オキシ水酸化アルミニウム及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0164】
好適なホウ素含有化合物は、ホウ酸亜鉛である。
【0165】
好適な珪酸塩は、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0166】
好適な硫酸塩は硫酸カルシウムである。
【0167】
好適な炭酸塩は、炭酸マグネシウムである。
【0168】
前記の金属水酸化物、金属酸化物、ホウ素含有化合物、珪酸塩、二酸化珪素、硫酸塩、炭酸塩及びこれらの混合物は、本発明による混合物中に、0.1〜10質量%(それぞれ、全混合物に対して)の量で存在することが好ましい。
【0169】
従って本発明は、特別好ましい本発明による混合物に関し、この際、少なくとも1種の付加的な難燃剤は、次のものから成る群から選択される:トリフェニルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンアンモニウムポリホスフェート、メラミンアンモニウムピロホスフェート、メラミンボレート、トリフェニルホルフェート、レゾルシノール−ビス−(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノール−A−ビス−(ジフェニルホスフェート)、レゾルシナール−ビス−(2,6−ジキシリレニルホスフェート)、水酸化アルミニウム、オキシ水酸化アルミニウム、二水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、三酸化モリブデン、酸化アンチモン、三水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ジヒドロキサホスファフェナントレン、ジヒドロキサホスファフェナントレン−ヒドロキノン、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム、ポリメチルフェニルシロキサン、ブチルペルフルオロスルホン酸カリウム及びこれらの混合物。
【0170】
本発明による混合物は、もう一つの実施形では、滴下防止剤(Antitropfmittel)、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含有することができる。
【0171】
従って本発明は、付加的に滴下防止剤、好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含有する本発明の混合物にも関する。
【0172】
滴下防止剤、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、本発明による混合物中に、0〜5質量%、特別好ましくは0.1〜5質量%(それぞれ全混合物に対して)の量で存在することが好ましい。
【0173】
従って本発明は、ホウリン酸塩、ホウ酸塩−リン酸塩、金属ホウリン酸塩及びこれらの混合物から成る群から選択された化合物を、熱可塑性プラスチック中での難燃剤としての使用することにも関する。これらの化合物、熱可塑性プラスチック、量、他の詳細及び好ましい実施形に関しては、本発明による混合物に関する前記言及が当て嵌まる。
【0174】
本発明は、好ましい本発明による使用に関し、この際には、付加的に、リン含有化合物、窒素含有化合物、金属水酸化物、金属酸化物、ホウ素含有化合物、珪酸塩、二酸化珪素、硫酸塩、炭酸塩及びこれらの混合物から成る群から選択された少なくとも1種の難燃剤が存在する。
【0175】
これらの化合物、好ましい実施形及び量に関しては、本発明による混合物に関する前記言及がこれに当て嵌まる。
【0176】
好ましい1実施形で本発明は、本発明による使用に関し、この際、少なくとも1種の付加的な難燃剤は、次のものから成る群から選択される:トリフェニルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンアンモニウムポリホスフェート、メラミンアンモニウムピロホスフェート、メラミンボレート、トリフェニルホスフェート、レゾルシノール−ビス−(ジフェニルホスフェート)、ビス−フェノール−A−ビス−(ジフェニルホスフェート)、レゾルシナール−ビス−(2,6−ジキシレニルホスフェート)、水酸化アルミニウム、オキシ水酸化アルミニウム、二水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、三酸化モリブデン、酸化アンチモン、三水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ジヒドロオキサホスファフェナントレン、ジヒドロキサホスファフェナントレン−ヒドロキノン、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム、ポリメチルフェニルシロキサン、ブチルペルフルオロスルホン酸カリウム及びこれらの混合物。
【0177】
本発明による混合物中には、少なくとも1種のプラスチックK及び少なくとも1種の化合物Aと並んで、他の慣用の添加剤、例えば、着色剤、耐衝撃性改良剤、熱−及び光安定剤、滑剤及び離型剤、例えばポリエチレンワックスが、慣用量で、補強物質、例えばガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維及び/又は充填剤、石膏繊維、合成珪酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイ灰石、タルク及びチョーク及び/又は低分子量ポリマーが存在することができる。
【0178】
着色剤とは、一般に、無機及び有機着色剤に、並びに天然及び合成着色剤に分類可能であるDIN 55944による全ての着色性物質である(Roempps Chemie Lexikon, 1981, 8.Auflage, S.1237参照)。本発明により好適な着色剤は、例えば、黒色−、白色−、赤色−、緑色−、黄色−及び褐色顔料から成る群から選択され、有利には粉末形で使用される。プラスチック混合物中で使用可能な着色剤、殊に着色顔料は、当業者にとっては公知である。この着色剤は、本発明による混合物中に、例えば0.001〜60、有利には0.01〜30、殊に0.1〜10、全く特別には0.2〜5質量%(それぞれ、全混合物に対して)の量で含有される。
【0179】
好適な耐衝撃性改良剤は、当業者にとっては公知であり、本発明による混合物中に、例えば20質量%まで、好ましくは15質量%まで(それぞれ、全混合物に対して)の量で含有されている。慣用のゴム、例えば反応性基を有するエチレンコポリマー、アクリレートゴム及び共役ジエンのポリマー、例えばポリブタジエンゴム及びポリイソプレンゴムが好適である。ジエンポリマーは、自体公知の方法で、部分的に又は完全に水素化されていることができる。更に例えば次のものがこれに該当する:アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化されたスチレンブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン−ゴム、ポリブチレン−及びポリオクテナマーゴム、イオノマー、ビニル芳香族モノマーとジエン、例えばブタジエン又はイソプレン(自体EP−A62282から公知)とからの、構造M1M2−、M1M2M1M2−又はM1M2M1−を有するブロックコポリマー(ここで、これらのブロックポリマーは、セグメントをランダム分布で含有していることもできる)並びに星形−ブロック−コポリマー。共役ジエンのポリマー、例えばポリブタジエンゴム又はポリイソプレンゴムが特別好適であると立証されている。このような合成ゴムは、当業者にとっては慣用であり、"Ullmanns Encyklopaedie der Technishen Chemie", 4.Auflage, Bd.13, 595-634頁, Verlag Chemie GmbH, Weinheim 1977中にまとめて記載されている。
【0180】
本発明は、少なくとも1種のプラスチックKと少なくとも1種の化合物Aとの、及び場合による本発明による混合物中に存在しうる更なる添加剤との混合によって、本発明による混合物を製造する方法にも関する。
【0181】
この混合は、当業者に公知の全ての方法により、例えば強力ミキサー中で、又は成分の同時押出しによって行うことができる。
【0182】
混合のための好適な装置は、例えばWolfgang Pietsch: Agglomeration Process-Phenomena, Technologies, Equipment, Wiley-VCH, Weinheim 2002, Kapitel7.4.2: High Shear Mixers, 171-187頁中に記載されているような強力ミキサーである。
【0183】
混合装置の好適な周速度は、0.5m/s〜15m/s、有利には1m/s〜10m/sである。
【0184】
ミキサー中の滞留時間は、通常は1〜60分、有利には2〜30分である。
【0185】
ミキサー中の温度は、一般に10〜120℃、有利には20〜100℃である。
【0186】
圧力は、通常は0.5〜1.1バール、有利には0.9〜1.1バールである。
【0187】
本発明による混合物の製造のための同時押出しの方法は、当業者にとっては公知であり、例えばDE1020050327000中に記載されている。本発明による混合物の製造のためのこの混合は、射出成形によって行うこともできる。
【0188】
次の実施例につき、本発明を詳述する:

1.ポリアミド66中のホウリン酸塩、ホウ酸塩−リン酸塩及び金属ホウリン酸塩
次の例は、ガラス繊維及びステアリン酸アルミニウムと共に、Clariantからの難燃剤Exolit OP1312(登録商標)(アルキルホスフィネート+メラミンポリホスフェート+ホウ酸Znからの混合物)並びにCibaからの酸化防止剤Irganox 1098(登録商標)を含有している、難燃化されたPA66から導びかれている。
【0189】
例1.1a−f、1.2a−f及び1.3a−fにおける難燃化された組成物は、それぞれ、群:Zn[BPO(OH)]、Ca[BPO]、Na[B19]・HO(WO9525066)、MgBPO、ZnBPO、Al[B(OH)]からの化合物BPO 1種を含有している。
【0190】
【表1】

【0191】
【表2】

【0192】
【表3】

【0193】
【表4】

【0194】
次の例は、ガラス繊維及びステアリン酸Caと共に、難燃剤としての赤リン(Italmatch S.r.l.又はExolit RP601B(c))を含有している、難燃化されたPA6から導かれている。例2.1a−f及び2.2a−f中の難燃化された組成物は、それぞれ、群:Zn[BPO(OH)]、Ca[BPO]、Na[B19]・HO(WO9525066)、MgBPO、ZnBPO、Al[B(OH)]からの化合物BPOを含有している。
【0195】
【表5】

【0196】
【表6】

【0197】
【表7】

【0198】
2.ポリブチレン−テレフタレート(PBT)中のホウリン酸塩、ホウ酸塩−リン酸塩及び金属ホウリン酸塩
次の例は、ガラス繊維と共に、Clariantからの難燃剤Exolit OP1200(登録商標)(アルミニウムジエチルホスフィネート及びメラミンシアヌレートからの2:1−混合物)を含有している、難燃化されたPBT(比較例3)から導かれている。例3.1a−f、3.2a−f及び3.3a−fは、それぞれ、群:Zn[BPO(OH)]、Ca[BPO]、Na[B19]・HO(WO9525066)、MgBPO、ZnBPO、Al[B(OH)]からの化合物BPO 1種を含有している。
【0199】
【表8】

【0200】
【表9】

【0201】
【表10】

【0202】
【表11】

【0203】
3.ポリ−(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)(ABS)中のホウリン酸塩、ホウ酸塩−リン酸塩及び金属ホウリン酸塩
ポリマー(成分A、a−I)として、市販のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマー(ABS)、スチレン−アクリロニトリル−コポリマー硬質相及び粒子状のブタジエン−グラフトゴムを含有しているBASF SEからのTerluran(登録商標)を使用する。
【0204】
次の例は、膨脹グラファイト(Blaehgraphit)及びポリテトラフルオロエチレンと共に、Disflamol(登録商標)TP、Lanxess Aktiengesellschaftのトリフェニルホスフェートを含有している、難燃化されたABSから導かれている(比較例4)。例4.1a−f及び4.2a−fは、それぞれ、

からの化合物BPO 1種を含有している。
【0205】
難燃剤(成分B、b−I)として、465μmの平均粒度D50、少なくとも150ml/gの自由膨脹性(約300℃で開始)及び20℃で0.5g/mlの嵩密度を有する、Firma Nordmann, Rassmann, GmbHの膨脹グラファイトNord−Min(登録商標)503を使用する。
【0206】
成分B2)として、
b2−I:Disflamol(登録商標)TP、Lanxess Aktiengesellschaftのトリフェニルホスフェートを使用する。
【0207】
成分B3)として、
b3−I:ポリテトラフルオロエチレンPTFE TE−3893、60質量%のPTFE−含有率(分散液の全質量に対して)を有する、Fa.C.H.ErbloehのTeflon(登録商標)分散液を使用する。
【0208】
更なる成分BPOとして、群:Zn[BPO(OH)]、Ca[BPO]、Na[B19]・HO(WO9525066)、MgBPO、ZnBPO、Fe[B(OH)]からの化合物1種を使用する。
【0209】
【表12】

【0210】
【表13】

【0211】
第1表中に挙げられている燃焼特性の測定のために、成分A)〜D)(それぞれ、第1表中の質量部)を、DSMミディエクストルーダー(DSM MIdiextruder)上で均質化し、射出成形系(Spritzgussaufsatz)を用いて、溶融温度240℃及び型表面温度80℃で押出して、UL94垂直燃焼標準による、1.6mmの厚さを有する試験体にする。
【0212】
【表14】

【0213】
残炎時間t[s]
UL94垂直燃焼標準による燃焼試験において、厚さ1.6mmを有する試験体で、10秒の第1燃焼時間の後に、第1の残炎時間tを測定する。炎の消失後2秒に引き続く10秒の第2燃焼時間の後に、第2の残炎時間tを測定する。残炎時間tとtとの合計から、残炎時間tが生じる(それぞれ、二つの試験体で測定された残炎時間の平均で記載される)。
【0214】
4.ポリアミド(PA)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)中のホウリン酸塩
PA−及びPBT−処方物、易燃性試験法
難燃剤としてのホウリン酸塩(BPO) Mg[BO][PO](MgBPO)及びZn[BO][PO](ZnBPO)を、PA66−系中でもPBT−系
中でも試験する。
【0215】
これらの系中に含有される他の難燃化添加剤及び相応するポリマーの組成を、第2表中に記載する。
【0216】
【表15】

【0217】
本発明によるBPO−化合物を、Exolit量の25質量%までを置換するために、かつ付加的にExolite OP 1240に対する単一の相乗剤として、又は第2相乗剤と組み合わせて使用する。これら物質を17mlミニエクストルーダー中で混合させ、引き続き射出成形によって、0.8mm厚さの試験バー2本を製造する。この方法条件を第3表中にまとめる。
【0218】
【表16】

【0219】
組成物の難燃化作用効果を測定するために、垂直UL94試験を使用する。種々異なる厚さを有する帯状試験体に点火し、その燃焼挙動に関して評価する。0.8mmでのV0は、滴下なしでの短時間燃焼時間を示し、この試験の範囲で、基準点(Bezugspunkt)として設定される。V1は10秒を上回る燃焼時間を示し、V2は燃焼したポリマーの滴下を示す。難燃化添加剤なしのPAマトリックス又はPBTマトリックスは、完全に燃焼し、V−級と分類される。
【0220】
結果及び評価
使用された双方の化合物MgBPO及びZnBPOは、PA66及びPBTとの良好なマトリックス−相容性を示している。
【0221】
PA又はPBTを含有している組成物及び相応するUL94試験結果が、第4及び第5表中に示されている。全ての量記載は「質量%」である。
【0222】
【表17】

【0223】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のプラスチックK及び全混合物に対して0.1〜50質量%の、ホウリン酸塩、ホウ酸塩−リン酸塩、金属ホウリン酸塩及びこれらの混合物から成る群から選択された少なくとも1種の化合物Aを含有している、混合物。
【請求項2】
少なくとも1種の化合物Aは、



から成る群から選択されたホウリン酸塩であることを特徴とする、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
少なくとも1種の化合物Aは、

から成る群から選択されたホウ酸塩−リン酸塩であることを特徴とする、請求項1に記載の混合物。
【請求項4】
金属ホウリン酸塩は、アニオン部中に群Be、Zn、Co及びこれらの混合物から選択された金属を含有していることを特徴とする、請求項1に記載の混合物。
【請求項5】
少なくとも1種の化合物Aは、

から成る群から選択された金属ホウリン酸塩であることを特徴とする、請求項1に記載の混合物。
【請求項6】
少なくとも1種のプラスチックKは、ポリオキシメチレン−ホモポリマー又はコポリマー、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド、ビニル芳香族ポリマー、ポリアリーレンエーテル、エポキシ樹脂及びこれらの混合物から成る群から選択されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の混合物。
【請求項7】
付加的に、リン含有化合物、窒素含有化合物、金属水酸化物、金属酸化物、ホウ素含有化合物、珪酸塩、二酸化珪素、硫酸塩、炭酸塩及びこれらの混合物から成る群から選択された少なくとも1種の難燃剤が存在していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の混合物。
【請求項8】
少なくとも1種の付加的な難燃剤は、トリフェニルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンアンモニウムポリホスフェート、メラミンアンモニウムピロホスフェート、メラミンボレート、トリフェニルホスフェート、レゾルシノール−ビス−(ジフェニルホスフェート)、ビス−フェノール−A−ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシナール−ビス−(2,6−ジキシリレニルホスフェート)、水酸化アルミニウム、オキシ水酸化アルミニウム、二水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、三酸化モリブデン、酸化アンチモン、三水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ジヒドロオキサホスファフェナントレン、ジヒドロオキサホスファフェナントレン−ヒドロキノン、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム、ポリメチルフェニルシロキサン、ブチルペルフルオロスルホン酸カリウム及びこれらの混合物から成る群から選択されていることを特徴とする、請求項7に記載の混合物。
【請求項9】
滴下防止剤を含有していることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の混合物。
【請求項10】
プラスチック中での難燃剤としての、ホウリン酸塩、ホウ酸塩−リン酸塩、金属ホウリン酸塩及びこれらの混合物から成る群から選択された化合物の使用。
【請求項11】
付加的に、リン含有化合物、窒素含有化合物、金属水酸化物、金属酸化物、ホウ素含有化合物、珪酸塩、二酸化珪素、硫酸塩、炭酸塩及びこれらの混合物から成る群から選択された難燃剤少なくとも1種が存在していることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
少なくとも1種の付加的な難燃剤は、トリフェニルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンアンモニウムポリホスフェート、メラミンアンモニウムピロホスフェート、メラミンボレート、トリフェニルホスフェート、レゾルシノール−ビス−(ジフェニルホスフェート)、ビス−フェノール−A−ビス−(ジフェニルホスフェート)、レゾルシナール−ビス−(2,6−ジキシリレニルホスフェート)、水酸化アルミニウム、オキシ水酸化アルミニウム、二水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、三酸化モリブデン、酸化アンチモン、三水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ジヒドロオキサホスファフェナントレン、ジヒドロオキサホスファフェナントレン−ヒドロキノン、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム、ポリメチルフェニルシロキサン、ブチルペルフルオロスルホン酸カリウム及びこれらの混合物から成る群から選択されていることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
少なくとも1種のプラスチックKと少なくとも1種の化合物Aとを混合することによる、請求項1から9までのいずれか1項に記載の混合物を製造する方法。

【公表番号】特表2012−531514(P2012−531514A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518907(P2012−518907)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059366
【国際公開番号】WO2011/000913
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】