説明

プラスチック複合材料部材およびその製造方法

【課題】機械的特性に優れた自動車の組み立てに使用し得るポリウレタン発泡体層を含む複合材料部材を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリマーの基材に、接着層として、(1)イソシアネートと少なくとも一つのリン酸トリエステルからなるプレポリマーあるいは、(2)イソシアネートとリン酸トリエステルとの混合物(但しリン酸トリエステルの三つのエステル基の少なくとも一つはヒドロキシ官能性アルコキシレートであるもの)からなるポリイソシアネート重付加生成物を付着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリマー層およびポリウレタン層を含んでなる複合材料部材、その製造方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネートとイソシアネートに対して反応性の化合物、例えば、ポリオール、すなわち、少なくとも二つのヒドロキシル基を有する化合物、との反応から得られるポリイソシアネート重付加生成物、ならびにこの生成物と他のプラスチックとの複合材料部材は一般に既知である。高温および高湿によってこの複合材料部材が受ける応力により、ポリイソシアネート重付加生成物からの、プラスチックの望ましくない分離が生じることが多い。特に、自動車の組み立てにこの複合材料部材を使用する場合、それに対してこの種の応力を排除できず、他のプラスチックからのポリイソシアネート重付加生成物の分離、それによる複合材料部材の破壊は許容できない。
【0003】
複合材料部材の、および特にポリイソシアネート重付加生成物の製造において、出発成分、特にポリオール成分は、イソシアネートに対して反応性の出発物質を含有するが、安定した混合物を与えない、という問題が生じ得る。正確には、低温、例えば、20℃よりも低い温度で、個々のポリオールはポリオール成分中で凝集する、またはポリオール成分中で沈殿する傾向を有し得る。まさに、高品質な生成物の再現性のある製造にとって、この問題を回避することは重要である。
【0004】
DE−A第10022280号は、熱可塑性プラスチックおよびポリウレタンを含んでなる、そのような複合材料の、向上した接着性および耐湿潤老化特性を有する複合材料部材の製造方法を記載している。複合材を、例えば、計器パネルの製造に使用し、このパネルを、通常、例えば、熱可塑性プラスチック支持体、ポリウレタン(「PUR」)発泡体および付加的な外層、例えば、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、熱可塑性ポリオレフィン(「TPO」)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」)、熱可塑性ポリウレタン、吹き付けポリウレタンスキンなどの層で組み立てる。
【0005】
DE−A第10022280号に従って、ポリウレタン発泡体の製造にエステル基を含有するイソシアネート−ポリエステルプレポリマーを使用することで、向上した特性、特に、熱可塑性プラスチックとこの種のポリウレタン発泡体との間での優れた接着性が得られる。そのような複合材を、80℃および80%の相対湿度で80時間まで湿潤条件で保存した場合、熱可塑性プラスチックとポリウレタン発泡体との複合材は損傷を受けない。しかし、その後、複合材は分離する。
【0006】
複合材を製造する他の方法は、EP−A第1531173号に示されており、湿潤老化中の他の熱可塑性プラスチックに対する向上した接着性を有するポリウレタン発泡体の製造について、イソシアネート−ポリカーボネートプレポリマーを記載している。このポリエステルまたはポリカーボネートは、熱可塑性プラスチック支持体に対するPUR発泡体の接着性を実質的に向上させるが、これらの成分の溶解度が、ともに用いるポリエーテルポリオール中で非常に限られているため、イソシアネート側で使用する必要がある。
【特許文献1】DE−A第10022280号
【特許文献2】EP−A第1531173号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ本発明は、例えば、その優れた機械的特性により自動車の組み立てに使用し得る複合材料部材に関し、プラスチックとそれに接着するポリイソシアネート重付加生成物との間の接着性は、「交互気候試験」または「ブルーミング試験」といった試験法における長期保存中でさえ失われない。特に、本発明の複合材料部材は、安定した混合物を与える出発成分を用いて製造され、それゆえ、例えば、凝集および類似の分離が生じることなく、簡単におよび再現性良く使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明を、例示の目的であって限定目的でなく説明する。実施例または他に表示されている場合を除き、本明細書中の量、パーセント、OH価、官能価などで表示される全ての数字は、「約」という語によって全ての場合において修飾されるものとして理解される。ここに、ダルトン(Da)で示されている当量および分子量は、他に表示されていない限り、それぞれ数平均当量および数平均分子量である。
【0009】
本発明は、リン酸エステル基を含有するイソシアネートプレポリマーを用いて、ポリウレタン発泡体を製造する。驚くべきことに、その結果、PUR発泡体と熱可塑性プラスチックとの間の接着性を向上させることが、長期間の応力および交互温度での長期にわたる応力サイクルを伴う湿潤保存の過酷な条件下でさえも可能であった。これは、リン酸エステル基が加水分解に対して敏感であることを考慮すると、なおさら意外である。さらに、ポリエステルポリオール中への優れた溶解性により、このリン酸エステルは、意外にもポリオール処方側へも使用することができ、また、熱可塑性プラスチックへの優れた接着効果をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
それゆえ、本発明は、
層として、
i)熱可塑性ポリマー
を含有し、それに接着して、
層として、
ii)下記を含有する反応混合物の反応生成物
a)(i)少なくとも一つのイソシアネートと、少なくとも一つのリン酸トリエステルであって該三つのエステル基の少なくとも一つはヒドロキシ官能性アルコキシレートであるもの、との反応から得られる、イソシアネート基を含有するプレポリマーであって、5〜45%のイソシアネート基含量を有するプレポリマー、および
(ii)有機ジイソシアネート
からなる群から選択されるイソシアネート、
b)a)(i)を使用する場合は、イソシアネートに対して反応性の化合物、または
a)(ii)を使用する場合は、イソシアネートに対して反応性の化合物と、少なくとも一つのリン酸トリエステルであって該三つのエステル基の少なくとも一つはヒドロキシ官能性アルコキシレートであるもの、との混合物、および
任意に、
c)触媒
d)発泡剤
e)補助物質および/または添加剤
が付着した、複合材料部材を提供する。
【0011】
本発明による複合材料部材は、熱可塑性ポリマーの付加的な層iii)を含有してよく、それは層ii)に付着する。この層iii)は、好ましくは装飾層として働く。
【0012】
本発明による複合材料部材は、熱可塑性ポリマー層(i)として、例えばポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレン無水マレイン酸(SMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−アクリレート(ASA)、ポリカーボネート(PC)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)およびポリカーボネート/スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン(PC/ABSブレンド)などの、通常の熱可塑性ポリマーを含有し得る。この層(i)は、好ましくは0.2〜5mm、より好ましくは0.2〜3mmの厚さを有する。
【0013】
付加的な任意の熱可塑性ポリマー層(iii)は、例えば、PVC、ASA、SMA、TPU、ポリエチレン、ポリプロピレン、PC/ABSまたはTPOをプラスチックとして含有する。この層は、好ましくは0.1〜1.5mmの厚さを有する。それを、好ましくはプラスチックフィルムの形態で用い得る。この種のフィルムは市販のものであって、その製造は一般に既知である。フィルムを、複数のプラスチック層(多層フィルム)、例えば、一つの層はASAプラスチックを含有し、一つの層はポリカーボネートプラスチックを含有するように作ってもよい。
【0014】
本発明によれば、ポリイソシアネート重付加生成物(ii)、例えば、ポリウレタンの層は、任意に、イソシアヌレートおよび/またはウレア構造を含有してもよく、その層を、プラスチック層(i)に接着的に付着させる。このポリイソシアネート重付加生成物、好ましくはポリウレタンは、中実または好ましくは気泡形態、例えば、軟質発泡体、半硬質発泡体または硬質発泡体、特に好ましくは半硬質発泡体として存在してよく、その製造は、通常、一般に既知の方法で行われる。
【0015】
以下の化合物:
リン酸ジブチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ジオクチル、リン酸ビスシクロヘキシル
を、ii)a)およびb)で使用するリン酸トリエステルのための出発化合物の例として述べ得る。
【0016】
これらは、例えば、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドなどのオキシランとのアルコキシル化により、リン酸トリエステルへと変換される。好ましいアルコキシル化剤は、メチルオキシラン、エチレンオキシドおよびエチルオキシランである。
【0017】
以下の反応式:
【化1】




n=1〜20
を、例として述べ得る。
【0018】
1〜10のアルコキシレート繰り返し単位を有するリン酸トリエステルが好ましい。
【0019】
本発明による複合材料部材の製造を、熱可塑性ポリマー層(i)の存在下で、成分a)、b)および任意にc)、d)およびe)を反応させることによって行い得る。
【0020】
PU生成物を製造するために、化合物(a)とイソシアネートに対して反応性の化合物(b)と任意に(d)とを、(b)と任意に(d)との反応性水素原子の合計に対する(a)のNCO基の当量比が、好ましくは0.3〜1.8:1、より好ましくは0.4〜1.0:1およびもっとも好ましくは0.4〜0.6:1であるような量で反応させる。生成物(ii)が少なくとも複数の結合イソシアヌレート基を含有する場合、1.5〜60:1、より好ましくは1.5〜8:1の反応性水素原子の合計に対するNCO基の比率を用いることが通常である。
【0021】
前記生成物を形成する反応を、例えば、手動混合によって、高圧機もしくは低圧機によって、またはRIM(反応射出成形)法によって、一般に開放または好ましくは密閉の金型内で行い得る。適当な加工機は市販のものである(例えば、Elastogran、Hennecke、Krauss Maffei製など)。
【0022】
(ii)としての中実生成物の製造にとって、無気泡成形品を得るために加工する前に、中実のポリイソシアネート重付加生成物を製造するための成分を、真空を利用して脱気する場合が好都合であることが証明された。ポリウレタン(PU)機を用いる加工にとって、加工する間は、供給タンクが減圧下にある場合もまた好都合である。
【0023】
例えば、出発成分を、用途に応じて、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜80℃の温度で混合し金型内へ導入する。すでに説明したように、混合を、攪拌機もしくはパドルスクリューを用いて機械的に行うことができ、あるいは通常の高圧ミキシングヘッド中で行うことができる。
【0024】
反応混合物の反応を、例えば、通常の金型、好ましくは温度制御が可能な、密閉された金型内で行い得る。特に、出来る限り滑らかな生成物の製造において、出来る限り滑らかな表面を有し、または規定パターンを有し、および好ましくは表面不整、亀裂、かき傷または不純物のない表面を有する金型を、金型として好ましく用いる。金型の表面を、例えば、研磨によって処理してよい。
【0025】
通常および市販の金型は、その表面が、例えば、鋼、アルミニウム、エナメル、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON(登録商標))、エポキシ樹脂または他の高分子の材料であってよく、それを複合材料部材の製造のための金型として使用することができ、その表面を、任意に、クロムめっき、例えば、硬質クロムめっきする。金型は、好ましくは、好ましい温度が設定できるように温度制御可能であり、密閉可能であり、および好ましくは適当に生成物に圧力をかけるために装備されているべきである。
【0026】
ポリイソシアネート重付加生成物への変換は、金型温度(好ましくは出発成分の温度でもあり得る)が好ましくは20〜120℃、より好ましくは25〜100℃、もっとも好ましくは25〜40℃で、好ましくは0.5〜30分、より好ましくは1〜5分の間行われる。金型内での反応は、本発明に従って(i)との直接接触で行われる。これを、例えば、反応前に、(i)を金型内に設置し、(i)がフィルムである場合は、好ましくは折り重ねずに設置し、その後、前記のように反応混合物を金型内へ(i)の上に供給し、その後、金型を、好ましくは密閉することで達成し得る。反応混合物の成分(e)としての繊維を、反応混合物としてでも、マットまたは織布の形態としてでも使用し得る。マットまたは織布を、成分(e)として使用する場合、例えば、反応混合物中に供給する前に、これらを金型内で(i)の上に設置することができ、その後、この場合、マットまたは織布に加えて何れの繊維(e)をも含有する必要のない反応混合物を、金型内へと供給する。
【0027】
既知の(環式)脂肪族および/または特に芳香族ポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートを、イソシアネートとして使用し得る。本発明による複合材料部材を製造するため、芳香族ジイソシアネートが特に適当であり、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびトルエンジイソシアネート(TDI)が好ましい。
【0028】
イソシアネートに対して反応性の化合物として、既知の化合物、例えば、ポリエーテルポリアルコール、ポリエステルポリアルコールおよび/またはポリカーボネートジオール、好ましくはポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリアルコールを使用することができ、それは、好ましくは分子量500〜10,000、より好ましくは1,000〜6,000、および好ましくはイソシアネート基に対して2〜6の官能価を有する。さらに、該化合物は、連鎖延長剤および/または架橋剤との混合物中で使用してもよい。連鎖延長剤は、分子量60〜499を有する、主に二官能性アルコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールである。架橋剤は、分子量60〜499および三個以上の活性水素原子を有する化合物であり、好ましくはアミンおよび特に好ましくはアルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンおよび/またはペンタエリスリトールである。
【0029】
触媒(c)として、例えば、成分(a)と成分(b)との反応を強く促進する通常の化合物を使用し得る。例えば、この目的のために一般に既知の第三級アミンおよび/または有機金属化合物、特に錫化合物が適当である。曇りができるだけ少なくなる、即ち、反応生成物(ii)からの揮発性化合物の放出ができるだけ少なくなる触媒を、触媒として、例えば、酢酸カリウムおよび/またはリチウム塩および/または少なくとも一つの官能性ヒドロキシル基を有する第三級アミンを、好ましく使用する。
【0030】
例えば、ポリウレタンの軟質、半硬質または硬質の発泡体などの発泡生成物(ii)は、ウレアおよび/またはイソシアヌレート構造を任意に有し得るが、その製造にとって、化学的または物理的作用を有する一般に既知の化合物を、発泡剤(d)として使用し得る。水は、イソシアネート基との反応により二酸化炭素を形成し、それを、化学的作用を有する発泡剤として好ましく使用できる。物理的発泡剤、即ち、ポリウレタン形成条件下で気化する不活性化合物の例は、例えば、(環式)脂肪族炭化水素、好ましくは4〜8個、より好ましくは4〜6個、もっとも好ましくは5個の炭素原子を有するもの、部分的にハロゲン化された炭化水素またはエーテル、ケトンもしくはアセテートである。使用する発泡剤の量は、発泡体の所望の密度に依存する。異なる発泡剤を、個々にまたは互いの混合物中で使用し得る。
【0031】
反応は、任意に、(e)補助物質および/または添加剤、例えば、充填剤、繊維、例えば、織布および/またはマットの形態で、気泡調整剤、界面活性化合物および/または酸化、熱もしくは微生物の分解または老化に対する安定剤などの存在下で行われる。
【0032】
少なくとも一つのイソシアネートと40〜700mgKOH/gのヒドロキシル価を有するリン酸トリエステルとの反応から得られるプレポリマーの使用が好ましく、該プレポリマーは5〜45%のイソシアネート基含量を有する。プレポリマー中でリン酸トリエステルを使用することによって、これらは、安定した方法でイソシアネート成分中に溶け込む。それゆえ、リン酸トリエステルのいかなる凝集または沈殿も、例えば、ポリオール成分中で発生し得ない。
【0033】
しかしながら、リン酸トリエステルを「ポリオール成分」中で使用してもよい。この異なった場合でも安定したポリウレタン系を提供する。リン酸トリエステルの凝集または沈殿は生じない。
【0034】
冒頭で記載したリン酸トリエステルの使用により、本発明による複合材料部材は、(i)と(ii)との間の接着性、即ち、熱可塑性プラスチック支持体材料に対する、特に、PC/ABSおよびSMAでできた支持体材料に対する接着性が、著しく向上することを示す。この向上した接着性は、支持体から前記発泡体を引き剥がそうとした場合、支持体の全表面上にわたって発泡体が残存することを確実とする。リン酸トリエステルの使用により、(i)と(ii)との間の接着性を、DIN53357Aに従って、初期状態ならびに温暖および温湿潤条件での保存後に測定した場合、剥離力が2.5N/cm以上に達する接着性を得ることができた。これはまた、特に長期の湿潤老化、および二重交互気候試験およびブルーミング試験による応力を受けた後に当てはまる。
【0035】
本発明による複合材料部材を、車両、航空機または不動産の建造物の構成部品として、例えば、計器パネル、ドアトリム、荷物棚、コンソール、肘掛けまたはドアミラーとして好ましく使用する。
【0036】
本発明を以下の実施例に基づいて、より詳細に説明する。
【実施例】
【0037】
出発物質の説明
ポリオール1:OH価35および少なくとも80%の第一級OH基を有するポリエーテルポリオールであって、開始剤としてのグリセリンへのプロピレンオキシド/エチレンオキシド(82/18)の付加によって生成される。
【0038】
ポリオール2:OH価28および少なくとも80%の第一級OH基を有するポリエーテルポリオールであって、開始剤としてのグリセリンへのプロピレン/エチレンオキシド(82/18)の付加によって生成され、スチレン/アクリロニトリル(40%/60%)のグラフト化充填剤を20wt%の含量で有する。
【0039】
リン酸エステル1:
3.36molのプロピレンオキシドを1molのリン酸ジブチルに添加する(OH価:138.4mgKOH/g)。
【0040】
リン酸エステル2:
1.80molのプロピレンオキシドを1molのリン酸ビス(2−エチルヘキシル)に添加する(OH価:131.0mgKOH/g)。
【0041】
ポリイソシアネート1:
ジフェニルメタン系列に由来するポリイソシアネートは、アニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化によって得られ、31.5wt%のイソシアネート含量および25℃で200mPa・sの粘度を有する。
【0042】
ポリイソシアネート2:
640gの4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン
80gの2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン
112gのポリイソシアネート1
NCO含量:32.4%
【0043】
ポリイソシアネートプレポリマー1:
576gの4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン
72gの2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン
72gのポリイソシアネート1
100gのリン酸エステル1
を95℃まで2時間加熱する。
NCO含量:27.5%
粘度:25℃で75mPa・s
【0044】
ポリイソシアネートプレポリマー2:
256gの4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン
32gの2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン
112gのポリイソシアネート1
100gのリン酸エステル1
を95℃まで2時間加熱する。
NCO含量:22.8%
粘度:25℃で165mPa・s
【0045】
ポリイソシアネートプレポリマー3:
256gの4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン
32gの2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン
112gのポリイソシアネート1
100gのリン酸エステル2
を95℃まで2時間加熱する。
NCO含量:23.2%
粘度:25℃で134mPa・s
【0046】
発泡例
ポリウレタン成形発泡体を、以下の表Iに示される処方で製造した。この目的のため、ポリオール、水および活性剤を前もって混合した。イソシアネートを添加し、反応混合物を10秒間1200rpmで均質化し、40℃の温度でシート金型(寸法200×200×20mm)に注ぎ、その底部には、厚さ3mmを有する、ポリカーボネート/ABS系の100×150mm熱射出成形シート、DOW(Schwalbach)製PULSE630GF型を予め中央に取り付けていた。






















【0047】
【表1】

【0048】
発泡体と熱可塑性プラスチックとの間の接着性の調査
試験片を、室温(RT)で24時間保存後、湿潤老化試験下に置いた。
A)交互気候試験(KWT)
1.温度変化率 最小1K/分
2.温度限界での定常時間 4時間
3.温度限界 +80℃および−40℃
4.+80℃での相対湿度 80%
5.試験手順:
1周期の間に、試験片を室温(「RT」)から80℃まで加熱し、80℃で4時間保持し、−40℃へ冷却し、−40℃で4時間保持し、室温まで加熱する(周期時間:12時間)。
【0049】
そのテスト系列では、12時間の試験時間を24周期の形態で合計288時間、試験片に応力を与えた(二重KWT)。
【0050】
B)ブルーミング試験
以下の条件下で試験片を保存:
時間:500時間
温度:70℃
湿度:85%
【0051】
二重交互気候試験(KWT)およびブルーミング試験の結果:
試験/接着性 二重KWT ブルーミング試験
複合材1 2−3 3
複合材2 2−3 3
複合材3 2−3 3
複合材4
本発明によらない試験
【0052】
接着性基準
評価: 1=非常に良い
2=良い(剥がすことが困難/一部分を剥がすことができる)
3=可(指の爪で剥がすことが可能)
4=弱い(部分的な剥離)
5=接着性が無い(全体的な剥離)
【0053】
本発明による複合材料部材は、二重KWT(合計時間288時間)後のポリウレタンと熱可塑性プラスチック支持体との間の許容し得る接着性に対し、申し分ないことを示し、それゆえ、該複合材料部材は長期間試験の要求を満たす。
【0054】
合計時間が500時間のブルーミング試験においても、同様の結論が得られた。
【0055】
例示目的で本発明を上記に詳しく説明したが、そのような詳細は単なる例示目的にすぎず、請求の範囲によって限定され得ることを除き、本発明の意図および範囲から逸脱せずに当業者によって変更され得るものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層として、
i)少なくとも一つの熱可塑性ポリマー
を含んでなり、それに接着して、
層として、
ii)下記を含んでなる反応混合物の反応生成物
a)(i)少なくとも一つのイソシアネートと、少なくとも一つのリン酸トリエステルであって該三つのエステル基の少なくとも一つはヒドロキシ官能性アルコキシレートであるもの、との反応から得られたイソシアネート基を含有するプレポリマーであって、約5〜約45%のイソシアネート基含量を有するプレポリマー、および
(ii)有機ジイソシアネート
からなる群から選択されるイソシアネート、
b)a)(i)の場合は、イソシアネートに対して反応性の化合物、または
a)(ii)の場合は、イソシアネートに対して反応性の化合物と、少なくとも一つのリン酸トリエステルであって該三つのエステル基の少なくとも一つはヒドロキシ官能性アルコキシレートであるもの、との混合物、および
任意に、一以上の
c)触媒
d)発泡剤
e)補助物質および/または添加剤
が付着した、複合材料部材。
【請求項2】
熱可塑性ポリマーの層(i)、およびそれに接着するポリイソシアネート重付加生成物の層(ii)を含有する、請求項1に記載の複合材料部材の製造方法であって、
a)(i)少なくとも一つのイソシアネートと、少なくとも一つのリン酸トリエステルであって該三つのエステル基の少なくとも一つはヒドロキシ官能性アルコキシレートであるもの、との反応から得られるイソシアネート基を含有するプレポリマーであって、約5〜約45%のイソシアネート基含量を有するプレポリマー、および
(ii)有機ジイソシアネート
からなる群から選択されるイソシアネート、
b)a)(i)の場合は、イソシアネートに対して反応性の化合物、または
a)(ii)の場合は、イソシアネートに対して反応性の化合物と、少なくとも一つのリン酸トリエステルであって該三つのエステル基の少なくとも一つはヒドロキシ官能性アルコキシレートであるもの、との混合物、および
任意に、一以上の
c)触媒
d)発泡剤
e)補助物質および/または添加剤
を層(i)の存在下で反応させる、方法。
【請求項3】
車両、航空機および不動産建築物の構成部品の製造方法であって、請求項1に記載の複合材料部材を使用することを含む方法。
【請求項4】
車両、航空機および不動産建築物の構成部品の製造方法であって、請求項2の記載に従って作られた複合材料部材を使用することを含む方法。
【請求項5】
少なくとも一つの熱可塑性ポリマーが、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレン無水マレイン酸(SMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−アクリレート(ASA)、ポリカーボネート(PC)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)およびポリカーボネート/スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン(PC/ABSブレンド)からなる群から選択される、請求項1に記載の複合材料部材。
【請求項6】
層(i)が約0.2〜約5mmの厚さを有する、請求項1に記載の複合材料部材。
【請求項7】
層(i)が約0.2〜約3mmの厚さを有する、請求項1に記載の複合材料部材。
【請求項8】
熱可塑性ポリマーの付加的な層iii)をさらに含む複合材料部材であって、層iii)が層ii)に付着する、請求項1に記載の複合材料部材。
【請求項9】
層iii)の熱可塑性ポリマーが、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−アクリレート(ASA)、スチレン無水マレイン酸(SMA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート/スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン(PC/ABS)および熱可塑性ポリオレフィン(TPO)からなる群から選択される、請求項8に記載の複合材料部材。
【請求項10】
少なくとも一つの熱可塑性ポリマーが、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレン無水マレイン酸(SMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−アクリレート(ASA)、ポリカーボネート(PC)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)およびポリカーボネート/スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン(PC/ABSブレンド)からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
層(i)が約0.2〜約5mmの厚さを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
層(i)が約0.2〜約3mmの厚さを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
熱可塑性ポリマーの付加的な層iii)をさらに用いる方法であって、層iii)が層ii)に付着する、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
層iii)の熱可塑性ポリマーが、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−アクリレート(ASA)、スチレン無水マレイン酸(SMA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート/スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン(PC/ABS)および熱可塑性ポリオレフィン(TPO)からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。

【公開番号】特開2008−138196(P2008−138196A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−291443(P2007−291443)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】