説明

プラズマを利用する携帯型診断装置及び診断方法

【課題】プラズマを利用する携帯型診断装置を提供する。
【解決手段】
携帯型診断装置は、エネルギー入射粒子を大気圧で生成するプラズマ源と、質量分析器と、分析対象の直接試料を受け入れ、かつ前記プラズマ源と前記質量分析器との間に配置されるサンプリングインターフェース部と、バイオマーカ群の参照ライブラリを、これらのバイオマーカが質量スペクトルに関連付けられた状態で含むデータベースと、前記プラズマ源、前記質量分析器、及び前記データベースに動作可能に接続されるプロセッサと、を備える。プロセッサは、質量分析器から、エネルギー入射粒子と試料との衝突により生じる親イオン及びフラグメントイオンの試料質量スペクトルを取得し、試料質量スペクトルを参照ライブラリの質量スペクトルと比較して少なくとも1つのインジケータを確認し、レポートを、確認した少なくとも1つのインジケータに基づいて作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマを用いる携帯型診断装置及び診断方法に関する。本発明は更に、プラズマ、原子、イオン、及び光子を利用する携帯型診断装置及び診断方法に関する。
【0002】
本出願は、2008年7月23日出願の米国仮特許出願第61/129,844号の利益を主張するものであり;当該仮特許出願は本明細書において参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ヘルスケアの質は、患者に関する完全かつ正確な情報に基づいて保障される。
【0004】
現在、4つの主要な診断モダリティ:コンピュータ断層撮影法を含むX線撮影法、磁気共鳴画像撮影法、放射性医薬品を使う断層撮影法、及び超音波断層撮影法が病院において使用される。
【0005】
コンピュータ断層撮影法(CT)は、断層撮影法を用いた医療撮影方法である。デジタル幾何学処理を使用して被検査物の内部の3次元画像を、単一の回転軸の回りに撮影された大量の連続する2次元X線画像から生成する。CT(コンピュータ断層撮影法)から、操作することができる大量のデータを、ウィンドイング処理として知られる処理を施すことにより生成して、種々の構造を、X線ビームを阻止するこれらの構造の性質に基づいて明らかにする。
【0006】
磁気共鳴画像撮影法(MRI)は、放射線医療において主として使用され、身体の構造及び機能を可視化する医療撮影方法である。当該磁気共鳴画像撮影法から、どのような平面で切り出した身体の詳細画像も得られる。MRIから、コンピュータ断層撮影法(CT)から得られるよりもずっと大きいコントラストが、身体の異なる軟組織の間で得られるので、当該MRIが神経系撮影、筋骨格系撮影、心血管撮影、及び腫瘍撮影に特に有用になっている。CTとは異なり、当該MRIでは、イオン化照射を使用せず、(強力な)磁場を使用して(普通は)水素原子の核磁化の向きを体液内で揃える。
【0007】
放射性薬理学は、放射性の医薬品である「放射性医薬品」(radiopharmaceuticals)の分析及び調剤である。放射性医薬品は、核医療の分野において診断及び治療のトレーサとして使用される。
【0008】
超音波断層撮影法(ultrasonography)は、超音波を利用する医療診断撮像法であり、この医療診断撮像法を使用して、筋肉、腱、及び多くの内臓、これらのサイズ、構造、及び全ての病理学的病変をリアルタイム断層画像により可視化する。当該超音波断層撮影法は、出産前の定期検診時及び出産直前検診時に胎児を可視化するためにも使用される。超音波は、最新医療において最も広く利用される診断ツールのうちの1つの診断ツールである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
高齢者人口が増え、癌、アルツハイマー病、脳卒中、心不全などのような高齢者関連疾患の有病率が高まることにより、医療診断に関して益々高い要求が課せられている。これらの疾患は、先進工業国のヘルスケアシステムにとって最も大きな費用負担になることを意味する。費用の軽減のために、早期診断において支援し、そして最適治療の選択を推奨することができる検査法を開発する必要があるという非常に大きな危機感が生まれている。病院は、より少ない人数の医療スタッフしか必要とせず、かつ患者の病院滞在期間を短くする、コスト効率が高く、かつ更に特殊化された医療機器を購入しようと模索している。
【0010】
医療における近年の目覚ましい進歩にも拘わらず、最も多い癌による死亡率は、大幅に低減しているということがない。死亡率低減の主要な阻害要因を考えるに当たり、我々は、これらの代謝異常または代謝疾患に対処するための確実な方策を手元に依然として持っていない。
【0011】
従って、簡単な、携帯型の、非侵襲性の、迅速な、正確な、使用し易い、安価な、そして安全な診断装置でヘルスケアプロバイダーを助けて、例えば感染症、癌、悪性腫瘍、または代謝異常のような健康問題の危険または発症を自動的に、かつリアルタイムに診断することにより、ヘルスケアプロバイダーが決定をより早く下し、そして予後リスクまたは疾患リスクに対して迅速かつ適切に対処することができるようにする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、プラズマ、原子、イオン、及び光子を利用する分析装置に関するものであり、この分析装置は、臨床医及びヘルスケアプロバイダーに、感染症、癌または悪性腫瘍の発症の早期患者診断結果を、彼または彼女の生体組織(皮膚)、唾液、血液、または尿に関する信号変化を記録することによりリアルタイム、かつ自動的に提供する。当該分光分析装置は、早期診断、感染症検出、発症前の疾患検出、及び疾患予防を可能にする。当該分析装置は、予防の採算性を高め、そしてヘルスケアプロバイダーを支援することにより、より迅速に決断を下し、そして症候性で発症前の悪性腫瘍、感染症、または代謝異常に対して迅速かつ適切に処置をとることができるようになる。
【0013】
当該装置は、小型質量分析計に接続される小型大気圧ソフトイオン化源を利用する。量子放射エネルギー源は、高速質量分析計、例えば飛行時間(TOF)型質量分析計、四重極型質量分析計、またはイオントラップ型質量分析計に接続されて、患者由来の化学的/生物学的化合物のフィンガープリント及び定量的測定値を生成する。当該装置は、定量分析及び定性分析の両方を可能にして、着目物質の識別情報、及び代謝異常発症率、癌発症危険率、または感染症発生率(悪性腫瘍発生率)に関する診断情報を生成する。
【0014】
イオン源は、選択的イオン化法を選択的フラグメンテーションと組み合わせ、これにより特別な検出限界を実現する。感度を高め、かつバックグラウンドを低減することにより、検出限界を低くし、そして誤検出率を低くすることができる。異なる量子エネルギービーム(プラズマ、原子、光子、電子、またはイオン)だけでなく、様々な患者検体(皮膚、血液、尿、または唾液)の直接導入を利用することにより、構造の鮮明度、質量スペクトル、化学的及び生物学的情報を大きく強調し、そして特異度を極めて高めることができる。スペクトルは再現性が非常に高く、そして試料の前処理を必要としないので、分析が速くなる。事態を複雑化する母体はない。このように、潜在的なロス及び過剰なハンドリングを無くすと、結果を無効にし得る汚染を抑制することもできる。汚染はまた、直接試料導入法により最小化される。試料調製作業を無くすことにより、特に医療ヘルスケアプロバイダーにとって、更なる利点が得られる。試料調製作業を無くすことにより更に、露出を抑制することができるとともに簡易性を実現する。
【0015】
操作プロセスは、装置全体のセキュアな制御を実現し、かつ非専門職担当者による当該装置の使用を簡易化することができる。参照ライブラリ、及び生データの自動解釈によって、化学的及び生物学的化合物の定量化及び同定が可能になるだけでなく、悪性腫瘍または悪性腫瘍のリスクに関する診断情報を患者の試料(群)に基づいて提供することができる。
【0016】
更に詳細には、本発明によれば、プラズマを利用する携帯型診断装置が提供され、この携帯型診断装置は:
エネルギー入射粒子を生成する小型大気圧プラズマ源と;
小型高圧環境質量分析器と;
分析対象の試料を受け入れ、かつ前記プラズマ源と前記質量分析器との間に配置される大気圧直接試料導入インターフェース部と;
インジケータ群の参照ライブラリを、これらのインジケータが質量スペクトルに関連付けられた状態で含むデータベースと;
前記プラズマ源、前記質量分析器、及び前記データベースに動作可能に接続されるプロセッサと、を備え、前記プロセッサは:
前記質量分析器から、前記エネルギー入射粒子と前記試料との衝突により生じる親イオン及びフラグメントイオンの試料質量スペクトルを取得し;
前記試料質量スペクトルを前記参照ライブラリの質量スペクトルと比較して少なくとも1つのインジケータを確認し;そして、
レポートを、確認した前記少なくとも1つのインジケータに基づいて作成する、
ように構成される。
【0017】
本発明によれば、プラズマを利用する診断方法が提供され、この診断方法は:
エネルギー入射粒子ビームを分析対象の試料に照射する工程と;
前記エネルギー入射粒子と前記試料との衝突により生じる親イオン及びフラグメントイオンの試料質量スペクトルを記録する工程と;
前記試料質量スペクトルを参照ライブラリの質量スペクトルと比較して少なくとも1つのインジケータを確認する工程と;
レポートを、確認した前記少なくとも1つのインジケータに基づいて作成する工程と、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施形態について、例を通してのみ、添付の図面を参照しながら説明する。
【図1】本発明の例示的な実施形態によるイオンを利用する携帯型診断装置のブロック図である。
【図2A】図1の装置により使用することができる操作プロセスの1つの例のフロー図である。
【図2B】図1の装置により使用することができる操作プロセスの1つの例のフロー図である。
【図3】図2A及び図2Bの操作プロセスに使用することができるバックグラウンド周囲環境分析サブプロセスの1つの例のフロー図である。
【図4】高エネルギーヘリウム原子(約20eV)のような高エネルギー入射粒子を用いて得られる患者の検体プロファイルの1つの例のグラフであり、同じ患者の検体プロファイルが、低エネルギー窒素原子(約8eV)のような低エネルギー入射粒子を用いて得られ、そして健常者個体の参照検体プロファイルが、高エネルギーヘリウム原子(約20eV)のような高エネルギー入射粒子を用いて得られる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
詳細な説明及び図では、本明細書において定義される以下の用語を参照する:
検体(Analyte):分析対象の試料であり、当該試料は固体、液体、またはガスである。検体の例として、生体組織(皮膚)、唾液、血液、または尿を挙げることができる。他の例として、空気または土壌試料などを挙げることができる。
【0020】
検体イオン(Analyte ion):エネルギー入射粒子と検体との衝突から生じるイオン。これらのイオンは、親イオンまたは分裂によって発生する種々のイオンとすることができる。
【0021】
検体プロファイル(Analyte profile):エネルギー入射粒子と検体とが衝突することにより得られる質量スペクトル。
【0022】
試料スペクトル(Sample spectrum):エネルギー入射粒子と検体とが衝突することにより得られ、かつバックグラウンドスペクトルを含む質量スペクトル。
【0023】
親イオンパターン(Parent ion pattern):低エネルギー入射粒子と検体とが衝突することにより得られる質量スペクトル。このスペクトルは、電子が検体分子内から失われることにより得られる。
【0024】
フラグメントイオンパターン(Fragmentation ion pattern):高エネルギー入射粒子と検体とが衝突することにより得られる質量スペクトル。このスペクトルは、親イオンが分解することにより、または当該親イオンが不安定になることにより得られる。
【0025】
バイオマーカ(Biomarkers):感染症または発癌性疾患に観察される特定分子。
【0026】
概括すると、本発明の非限定的な例示としての実施形態は、プラズマ、原子、イオン、電子、及び光子を利用する携帯型診断装置を提供し、この診断装置は、臨床医及びヘルスケアプロバイダーに、感染症、代謝異常、癌または悪性腫瘍の発症の早期患者診断を、彼の、または彼女の生体組織(皮膚)、唾液、血液、または尿の化学的及び/又は生物学的兆候(群)を調査し、記録し、そして種々の医学的症状に対応して取得されるスペクトルを自動的に分析することにより、リアルタイムに、かつ自動的に提供する。
【0027】
図1を参照すると、本発明の1つの例示的な例によるプラズマ、原子、イオン、電子、及び光子を利用する携帯型診断装置100が示される。診断装置100は普通、連続駆動またはパルス駆動小型大気圧プラズマ源102と、直接試料導入インターフェース104と、分析チャンバ106と、関連メモリ118を有するプロセッサ116と、データベース120と、ログ122と、ユーザインターフェース124と、入力/出力インターフェース126と、そして電源128と、を備える。分析チャンバ106は、小型真空チャンバ108と、圧力計109と、高圧イオン検出器110と、イオン抽出/輸送レンズ112と、そして小型高圧環境質量分析器114と、を含む。
【0028】
プラズマ源102は、例えばca.0.175cm以下の容積を有することができ、この場合、ガス密度はca.1013〜1015粒子/mmであり、そして下流の流量はca.1016〜1019粒子/秒である。選択される用途によって変わるが、プロセッサ116は、エネルギー入射粒子ビームを生成するプラズマ源102の設定を調整し、このエネルギー入射粒子ビームは、量子エネルギーを検体に移行して、自由(ラジカル)イオンを生成する。プラズマ源102は、例えばアーク放電プロセス、化学プロセス、ぺニング(Penning)またはニールス−ベルナス(Niers−Bernas)イオン化プロセスのような技術を利用することができる。また、高速原子衝突法、レーザ、及び紫外線ランプを使用してもよい。
【0029】
直接試料導入インターフェース104は、プラズマ源102と分析チャンバ106との間の自由大気インターフェースから成る。前処置を必要としない患者検体、すなわち生体組織(皮膚)、血液滴、唾液、または尿(ウェットコットン)を直接試料導入インターフェース104に、プラズマ源102が放出するエネルギービームと直交する方向に直接導入する。前処置を行なわないことにより、ロスを伴う試料廃棄及び過剰なハンドリングを最小化するという利点が得られる。前処置を行なわないことにより更に、結果を無効にし得る汚染のリスクを抑制することができる。別の実施形態では、直接試料導入インターフェース104にニードル機構を設けて、血液試料を自動的に採取することができる。当該直接試料導入インターフェース104に更に、ジェット水流またはアルコールジェット、及び熱インターフェースを設けて、汚染クリーニング及び殺菌を行なうことができる。
【0030】
エネルギービームが、直接試料導入インターフェース104に直接導入された検体と衝突することにより発生するイオンは、患者の複雑な化学反応系/生物学的反応系のフィンガープリントを生成し、そして抽出され、そしてイオン抽出/輸送レンズ112を通って、大きい電界差を利用する関連高圧イオン検出器110を有する質量分析器114に輸送される。分析チャンバ106内に配置される質量分析器114は、親イオンパターン及び/又はフラグメントイオンパターンを分析し、そして記録し、これらのイオンパターンは、所定のエネルギーレベル及び所定の試料に関して再現可能である。質量分析器114は、高圧環境で、例えば10−4〜10−1ミリバール(mbar)で動作する、例えば小型高性能イオントラップ型質量分析計、四重極型質量分析計、または飛行時間(TOF)型質量分析計のような技術を利用することができる。
【0031】
衝突中に、電子が放出されると連続体の中に進入してイオン化を起こす。放出電子は、核種により、すなわち衝突に関与する検体及び量子転移エネルギービームの性質により定義される或る範囲の運動エネルギーをとることができる。フラグメントイオン(分裂イオン)の生成は、励起エネルギーによって、そして試料(すなわち、検体または患者検体)の性質によって影響される。プラズマ源102によって、分裂を正確に制御することができ、そして非常に再現性の高い質量スペクトルを生成することができる。親イオン及びフラグメントイオンを使用して、複雑な混合物の成分を同定する。
【0032】
分析チャンバ106は、小型差動ポンプチャンバ、例えばca. 1.6 Iの差動ポンプチャンバから成り、この差動ポンプチャンバは質量分析器114を、例えば10−4〜10−1ミリバール(mbar)の圧力に、小型真空ポンプ108を使用して保持する。分析チャンバ106は更に、高圧イオン検出器110と、そして静電レンズであるイオン抽出/輸送レンズ112と、を含む。イオン抽出/輸送レンズ112は、大きい電圧差でバイアスされる2つのプレート電極から成り、これらのプレート電極を、直接試料導入インターフェース104の下流で使用して検体イオンを抽出する。これらの抽出電極の下流の軸上の細い同軸シリンダ群を使用して、抽出された検体イオンを質量分析器114の入口に輸送し、そして集束させることにより、イオンビームの組成を求める。
【0033】
質量分析器114によって記録されるスペクトルのピーク群は、イオン化試料の異なる質量依存速度(すなわち、異なる質量対電荷比(m/z))に対応し、そして以下に更に詳細に説明する診断プロセスを使用して分析される。診断プロセスでは、親イオン及びフラグメントイオンの質量スペクトル、及びこれらのイオンの相対存在度を使用し、これらの相対存在度は、質量分析器114から供給されて、試料の検体組成の定量化及び同定の両方を行なうことにより患者の検体プロファイルを作成する。
【0034】
診断を行なうために、患者に関して作成された検体プロファイルを、データベース120に保存されている、参照ライブラリの健常者の検体プロファイルと比較して、異常ピーク群を特定する。これらのピークは、まず、質量対電荷比(m/z)を計算し、そしてスペクトルを合計イオン電流に対して正規化することにより特定することができる。次に、バックグラウンドを、スペクトル、及び自動ピーク検出プロセスで検出されるピーク群からフィルタ除去する。当該ピーク検出プロセスによって、各ピークの評価が、スペクトルに対する当該ピークの影響度に関して、すなわちスペクトル中の各ピークの相対存在度に関して可能になる。このプロセスでは、スペクトルデコンボリュ−ションサブプロセスを取り入れることもでき、このサブプロセスでは、元素間の差異または干渉、及び同位体比を考慮に入れる。
【0035】
次に、特定されたピーク群を使用して参照ライブラリを検索することにより、関連バイオマーカを見つけ出す。参照ライブラリは、必要な検出限界を十分下回る種々の濃度に亘る化学的参照材料及び生物学的参照材料を含む。当該参照ライブラリは更に、疾患の化学データベース及び生物学的データベースを、新規の化学サブライブラリ及び生物学的サブライブラリを作成する機能と共に含む。これらの参照材料は、例えば連邦パートナー、州パートナー、及びヘルスケアプロバイダーパートナーにより提供することができる。
【0036】
任意であるが、種々の検査結果、誤判断症状、警告症状などをログ122に記録することができる。
【0037】
ユーザインターフェース124を使用して、診断装置100を自動的に作動させ、診断装置100の操作に関する指令をユーザに伝達し、そして例えば、ユーザメニュー、警告、及び診断結果のような種々の情報を表示することができる。
【0038】
入力/出力インターフェース126を使用して、例えばライブラリを更新する、ログをエキスポートする、または診断結果を別のシステムまたは記憶媒体に供給することができる。
【0039】
電源128は、例えば診断装置100の携行を可能にするバッテリ(9,12,または24ボルトバッテリのような)とすることができる。電源128には、110または220ボルトAC電源から直接給電を受けることができる機能を付与することもできる。
【0040】
次に、図2A及び図2Bを参照すると、図1の診断装置100のプロセッサ116によって実行することができる動作プロセス200の1つの例のフロー図が示される。プロセス200のステップは、ブロック202〜240で示される。
【0041】
プロセス200はブロック202から始まり、このブロック202では、スタートアップシーケンスが開始される、すなわちプラズマ源102に電力を供給し、そしてプラズマ源102を安定させ、真空ポンプを作動させ(ブロック108)、そして一旦、圧力計130が分析チャンバ106内の約10−2ミリバールの圧力を読み出すと、イオン抽出/輸送レンズ112及び質量分析器114に電力を供給する。補完サブプロセスをこの時点で実行して、診断装置100の種々の構成部品が正しく機能することを検証することができることを理解されたい。
【0042】
ブロック204では、プロセス200は、バックグラウンド(すなわち、診断装置100が使用される環境)テストを実行して、汚染が生じているかどうかを判断する。これにより、診断装置100を室内空気品質モニタまたは環境モニタとして使用することもできる。バックグラウンドテストについて以下に更に詳細に説明する。
【0043】
次に、ブロック206では、プロセス200は、バックグラウンドテストに合格したかどうかを検証する。バックグラウンドテストに不合格になった場合、診断装置100は環境の化学的汚染物質及び生物学的汚染物質を分析及び同定し、そしてエンドユーザに警告を発し、次にブロック208で、装置の電源を遮断する。バックグラウンドテストに合格した場合、プロセスはブロック210に進む。
【0044】
ブロック210では、バックグラウンドに含まれる種々の成分の質量を求め、そしてブロック212では、プロセスは、バックグラウンドスペクトルのピーク群に質量シフトがあるかどうかを検証する。バックグラウンドスペクトルがシフトしている場合、ブロック214では、これらのシフトを計算し、そして質量分析器114を校正し、その後、プロセス200はブロック210に戻る。ピーク群に質量シフトがない場合、プロセス200はブロック216に進む。
【0045】
ブロック216では、ユーザインターフェース124は、診断装置100が準備OKであることを通知する。
【0046】
次に、ブロック218では、プロセス200は、患者の識別情報を、或る識別番号を参照することにより、または患者に関する情報を、ユーザインターフェース124を使用して入力することにより検索する。一旦、患者が特定されると、プロセス200は次に、ブロック220で、行なおうとしている分析の種類を検索する、すなわち皮膚、血液、尿、または唾液のいずれであるかを検索する。
【0047】
ブロック222では、プロセス200は、試料が、直接試料導入インターフェース部104に導入されていることを検出し、そして次に、試料スペクトルを記録する。別の構成として、記録は手作業で行なうことができる。次に、記録スペクトルをデータベース120に患者の識別情報と一緒に保存し、そしてログ122を更新する。
【0048】
次に、ブロック224では、スタートアップ時に記録されたバックグラウンドスペクトルを、記録されている試料スペクトルから減算する。結果として得られるスペクトル、すなわち検体プロファイルのピーク群をブロック226で分析し、そして特定する。このブロックに続くブロック228では、特定されたピーク群を、データベース120に保存されている健常患者の検体プロファイルのピーク群と比較して、患者の生物学的及び化学的フィンガープリント(すなわち、検体プロファイル)の異常ピーク群を、ブロック230で特定する。
【0049】
ブロック232では、プロセス200は、参照ライブラリを全て検索して、ブロック220で特定された所定の試料の種類に対応し、かつ各パターンが1つの所定の症状に対応する同様のピークパターン及び質量パターンを有する1つ以上のスペクトルを特定する。ピークパターン及び質量パターンの各要素は単独で、または組み合わされて、発症している症状の確率に関連付けられる1つ以上のバイオマーカに対応する。
【0050】
ブロック234では、プロセス200は、ブロック232で特定された1つ以上の症状を使用して診断を下す。これは、特定された異常ピーク群との各パターンの一致度だけでなく、各症状に関連付けられる確率を考慮に入れて行なうことができる。更に、複数種類の試料を、すなわち皮膚、血液、尿、または唾液を分析した場合、各分析の結果を組み合わせて更に正確な診断を、構造の鮮明度、質量スペクトル、または化学的情報を強調することにより下し、そして感度及び特異度を高め、そして前診断を確実に行なう、または完了することができる。診断結果は、例えば検出質量または検出分子群、異常ピーク群、これらのピークの存在度、これらの同定されたピークのパターン群を、対応する症状及び確率とともに含むテーブルの形式をとることができる。次に、診断結果をデータベース120に、患者の情報と一緒に保存することができ、そしてログ122を更新する。
【0051】
基本的に、親イオン及びフラグメントイオンに対応する質量スペクトル、及びこれらのイオンの相対存在度は、患者試料の化学的組成及び生物学的組成の定量化及び同定の両方に使用される。得られた質量スペクトルをまず、健常者プロファイルの質量スペクトルと比較して、異常点を削除する。次に、発見された異常点を既知のバイオマーカ群のライブラリと比較する。スペクトルへの各影響度を、元素間の差異または干渉、及び同位体比を考慮に入れて見積もる。次に、結果として得られるバイオマーカの存在度によって、適切な診断結果を導き出すことができる。これらのバイオマーカを、同様のプロファイルを有する個体のバイオマーカ群と比較することもできる。
【0052】
異なる量子エネルギーを持つ異なるビーム(すなわち、プラズマビーム、原子ビーム、光子ビーム、電子ビーム、またはイオンビーム)だけでなく、異なる患者検体(すなわち、皮膚、血液、尿、または唾液)を使用することにより、構造の鮮明度、質量スペクトル、化学的情報または生物学的情報を大きく強調することができるので、感度、特異度を極めて高めることができ、そして前診断を極めて確実に行なう、または完了することができる。
【0053】
図4を参照すると、高エネルギーヘリウム原子(約20eV)403のような高エネルギー入射粒子を用いて得られる患者の検体プロファイルのグラフ400の1つの例が示され、同じ患者の検体プロファイルが、低エネルギー窒素原子(約8eV)402のような低エネルギー入射粒子を用いて得られ、そして健常者個体の参照検体プロファイルが、高エネルギーヘリウム原子(約20eV)401のような高エネルギー入射粒子を用いて得られる。グラフ400から、患者の検体プロファイル402及び403が共に、未知のバイオマーカを表わす異常ピーク410の存在を示唆していることを観察することができる。次に、ピーク410の質量対電荷比、強度、及び同位体比を使用して、参照ライブラリを検索することにより、特定された異常ピーク410に対応するバイオマーカを同定し、そして汚染度または疾患段階を判断する。
【0054】
次に、ブロック236では、プロセス200は、新規分析を行なうべきかどうかを尋ねる。新規分析を行なうべき場合、プロセス200はブロック238に進み、新規分析を行なうべきではない場合、プロセス200は終了する。
【0055】
ブロック238では、プロセス200はユーザに、直接試料導入インターフェース部104をクリーニングするように要求する。別の実施形態では、直接試料導入インターフェース部104に、例えばアルコール、水、または熱を使用するクリーニング機構を設けることができ、このクリーニング機構は、プロセス200により作動させることができ、そして最後の分析が行なわれることに起因する汚染を全て自動的にクリーニングする。ニードルを自動的に交換することもできる。次に、プロセス200はブロック240に進む。
【0056】
最後に、ブロック240では、プロセス200は、新規分析が同じ患者に関するものであるかどうかを尋ねる。新規分析が同じ患者に関するものである場合、プロセス200はブロック220に進み、このブロック220では、試料の種類を選択し、新規分析が同じ患者に関するものではない場合、プロセス200はブロック218に進み、このブロック218では、新規患者に関する情報を入力する。
【0057】
次に、図3を参照すると、プロセス200が図2Aのブロック204で実行することができるバックグラウンド分析サブプロセス300の1つの例のフロー図が示される。サブプロセス300のステップ群は、ブロック302〜326により示される。
【0058】
サブプロセス300はブロック302から始まり、このブロック302では、バックグラウンドスペクトルを記録する。このブロック302に続くブロック304では、サブプロセス300はバックグラウンドが正常であるかどうかを、記録されているバックグラウンドスペクトルを、データベース120に保存されている参照バックグラウンドスペクトルと比較することにより検証する。バックグラウンドスペクトルが正常である場合、サブプロセス300はブロック306に進み、このブロック306では、バックグラウンドテストを「PASS(合格)」に設定する。次に、サブプロセス300は制御を図2Aのプロセス200に返し、このプロセス200が次に、ブロック206に進む。バックグラウンドスペクトルが正常ではない場合、サブプロセス300はブロック308に進む。
【0059】
ブロック308では、サブプロセス300は、バックグラウンドが異常であるとの判断が、3回されたかどうかを検証する。バックグラウンドが異常であるとの判断が、3回されていない場合、サブプロセス300は、ブロック310に進み、このブロック310では、当該サブプロセス300を、ブロック302に戻ってバックグラウンドスペクトルを新たに記録する前に、例えば数分(例えば、1〜5分)に亘って待機することにより中断する。バックグラウンドが異常であるとの判断が、3回された場合、サブプロセス300は、ブロック312に進み、このブロック312では、異常なバックグラウンドの存在を、ユーザインターフェース124を介してレポートする。検出された化合物及び汚染物質だけでなく、これらの物質の割合のリストを通知することもできる。これらの物質は、バックグラウンドスペクトルに観測される異常ピーク群を参照データベース120に保存されているスペクトルと比較することにより特定することができる。
【0060】
ブロック314では、サブプロセス300はユーザに、直接試料導入インターフェース部104をクリーニングするように要求する。別の実施形態では、直接試料導入インターフェース部104に、例えばアルコール、水、または熱を使用するクリーニング機構を設けることができ、このクリーニング機構は、サブプロセス300により作動させることができ、そして最後の分析が行なわれることに起因する汚染を全て自動的にクリーニングする。ニードルを自動的に交換することもできる。
【0061】
ブロック316では、サブプロセス300を、バックグラウンドスペクトルを記録するブロック318に進む前に数分(例えば、1〜3分)に亘って中断する。
【0062】
次に、ブロック320では、サブプロセス300は、バックグラウンドスペクトルが参照バックグラウンドの許容範囲に、例えば25%に収まるかどうかを検証し、そして危険な化合物または汚染物質が検出されなかったことを確認する。バックグラウンドスペクトルが参照バックグラウンドの許容範囲に収まる場合、サブプロセス300は、ブロック306に進み、そうでない場合には、サブプロセス300はブロック322に進む。
【0063】
ブロック322では、サブプロセス300は、バックグラウンドが参照バックグラウンドの許容範囲に収まらないとの判断が、3回されたかどうかを検証する。バックグラウンドが参照バックグラウンドの許容範囲に収まらないとの判断が、3回されていない場合、サブプロセス300は、ブロック316に進む。バックグラウンドが参照バックグラウンドの許容範囲に収まらないとの判断が、3回された場合、サブプロセス300はブロック324に進み、このブロック324では、環境汚染が生じていることを、ユーザインターフェース124を介してレポートする。検出された化合物及び汚染物質だけでなく、これらの物質の割合のリストを通知することもできる。更に、仮に、検出された化合物及び汚染物質、またはこれらの物質の割合が危険であることが判明した場合、サブプロセス300はユーザに指示して汚染ゾーンから排気を行なわせ、そして別の実施形態では、アラームを鳴動させる、そして/または危険を別のシステムに入力/出力インターフェース126を使用して通知することができる。次に、サブプロセス300はブロック326に進み、このブロック326では、バックグラウンド分析結果を「FAIL(不合格)」に設定する。次に、サブプロセス300は、制御を図2Aのプロセス200に返し、このプロセス200が次に、ブロック206に進む。
【0064】
ブロック308及び322におけるバックグラウンドテストの繰り返し回数だけでなく、ブロック310及び316における待機時間、更にはブロック320における範囲は調整することができることを理解されたい。
【0065】
記載した診断装置100は、適切なスペクトルライブラリがデータベース120に、生物学的または化学的汚染領域のリアルタイムアナライザーとして含まれているとすると、次の用途に使用することができることも理解されたい:
−インドアエアクオリティー(室内空気質):病院、学校、私有及び公共建築物、工場、モール、飛行機、列車などにおける化学的及び生物学的汚染物質の検出;
−環境影響評価:土壌、水、または空気汚染;
−鉱業:土壌の鉱物の含有量の調査及び分析;
−食品産業:食品組成の分析、及び生産工程における汚染物質の検出;
−国土安全保障:空港、港湾などの制限領域のモニタリング;
−法医学、医薬品、化粧品などのような他の分野。
【0066】
バイオマーカの同定に使用されているピークパターン及び質量パターンについて参照してきたが、これらのパターンを使用してインジケータを同定することもでき、このインジケータは、用途によって変わるが、バイオマーカ、化学化合物、化学元素、鉱物などとすることができることを理解されたい。更に、用途によって変わるが、診断結果は、汚染物質、鉱物組成、オイル含有などを列挙したレポートとすることができる。
【0067】
本発明について、特定の実施形態、及び特定の実施形態の例を通して説明してきたが、この技術分野の当業者には、変更を本特定の実施形態に、本発明の範囲から逸脱しない限り加え得ることが明白であることに注目されたい。
【符号の説明】
【0068】
100…携帯型診断装置、102…小型大気圧プラズマ源、104…直接試料導入インターフェース、106…分析チャンバ、108…小型真空チャンバ、109…圧力計、110…高圧イオン検出器、112…イオン抽出/輸送レンズ、114…小型高圧環境質量分析器、116…プロセッサ、118…関連メモリ、120…データベース、122…ログ、124…ユーザインターフェース、126…入力/出力インターフェース、128…電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを利用する携帯型診断装置であって:
エネルギー入射粒子を生成する小型大気圧プラズマ源と;
小型高圧環境質量分析器と;
分析対象の試料を受け入れ、かつ前記プラズマ源と前記質量分析器との間に配置される大気圧直接試料導入インターフェース部と;
インジケータ群の参照ライブラリを、これらのインジケータが質量スペクトルに関連付けられた状態で含むデータベースと;
前記プラズマ源、前記質量分析器、及び前記データベースに動作可能に接続されるプロセッサと、を備え、前記プロセッサは:
前記質量分析器から、前記エネルギー入射粒子と前記試料との衝突により生じる親イオン及びフラグメントイオンの試料質量スペクトルを取得し;
前記試料質量スペクトルを前記参照ライブラリの質量スペクトルと比較して少なくとも1つのインジケータを確認し;そして、
レポートを、確認した前記少なくとも1つのインジケータに基づいて作成する、
ように構成される、携帯型診断装置。
【請求項2】
前記プロセッサは更に、バックグラウンドスペクトルを前記試料スペクトルから減算するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記試料は、生体組織、唾液、血液、及び尿から成るグループから選択される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記大気圧直接試料導入インターフェース部は、血液試料を採取するニードル機構を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのインジケータはバイオマーカであり、そして前記レポートは、前記試料が採取されたときの試料の採取先の個体の少なくとも1つの症状を含む診断結果であり、前記少なくとも1つの症状は少なくとも1つのバイオマーカに関連付けられる、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記参照ライブラリは、感染症、代謝異常、癌、悪性腫瘍、及びこれらの疾患の組み合わせから成るグループから選択される症状に関連付けられるバイオマーカ群のリストを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記参照ライブラリの前記質量スペクトルとの前記試料質量スペクトルの比較では、前記試料質量スペクトルを前記参照ライブラリの健常者個体の質量スペクトルと比較し、異常ピーク群を、これらの異常ピークが質量に関連付けられた状態で特定し、そして同様のピーク群、及び関連する質量を有する少なくとも1つのバイオマーカを同定する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記質量分析器は分析チャンバ内に配置され、前記分析チャンバは更に、圧力計に動作可能に接続される真空ポンプを含み、前記真空ポンプ及び前記圧力計は連携動作して、前記質量分析器を所定の圧力に維持する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記分析チャンバは更に、複数のイオン抽出/輸送レンズに動作可能に接続される高圧イオン検出器を含み、前記高圧イオン検出器及び前記複数のイオン抽出/輸送レンズは連携動作して、親イオン及びフラグメントイオンを抽出し、そして抽出した前記親イオン及びフラグメントイオンを前記質量分析器の入口に集束させる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記エネルギー入射粒子は、プラズマ、原子、光子、電子、及びイオンから成るグループから選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記試料は、鉱物、土壌、水、及び空気から成るグループから選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記参照ライブラリは、化学的汚染物質、生物学的汚染物質、及びこれらの汚染物質の組み合わせから成るグループから選択される汚染物質を示唆するインジケータ群のリストを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記直接試料導入インターフェース部は殺菌機構を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
プラズマを利用する診断方法であって:
エネルギー入射粒子ビームを分析対象の試料に照射する工程と;
前記エネルギー入射粒子と前記試料との衝突により生じる親イオン及びフラグメントイオンの試料質量スペクトルを記録する工程と;
前記試料質量スペクトルを参照ライブラリの質量スペクトルと比較して少なくとも1つのインジケータを確認する工程と;
レポートを、確認した前記少なくとも1つのインジケータに基づいて作成する工程と、
を含む、診断方法。
【請求項15】
更に、バックグラウンドスペクトルを前記試料のバックグラウンドから減算する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記試料は、生体組織、唾液、血液、及び尿から成るグループから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのインジケータはバイオマーカであり、そして前記レポートは、前記試料が採取されたときの試料の採取先の個体の少なくとも1つの関連症状を含む診断結果であり、前記少なくとも1つの症状は、少なくとも1つのバイオマーカに関連付けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記参照ライブラリは、感染症、代謝異常、癌、悪性腫瘍、及びこれらの疾患の組み合わせから成るグループから選択される症状に関連付けられるバイオマーカ群のリストを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記試料質量スペクトルを前記参照ライブラリの前記質量スペクトルと比較する工程は、前記試料質量スペクトルを前記参照ライブラリの健常者個体の質量スペクトルと比較する工程と、異常ピーク群を、これらの異常ピークが質量に関連付けられた状態で特定する工程と、そして同様のピーク群、及び関連する質量を有する少なくとも1つのバイオマーカを同定する工程と、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記エネルギー入射粒子は、プラズマ、原子、光子、電子、及びイオンから成るグループから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記試料は、鉱物、土壌、水、及び空気から成るグループから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記参照ライブラリは、化学的汚染物質、生物学的汚染物質、及びこれらの汚染物質の組み合わせから成るグループから選択される汚染物質を示唆するインジケータ群のリストを含む、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−528790(P2011−528790A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518996(P2011−518996)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001045
【国際公開番号】WO2010/009555
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(511019421)ピー デバイシズ インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】