説明

プラズマグリッド注入装置及びイオン注入方法

イオン注入方法は、プラズマをチャンバのプラズマ領域に供給するステップと、複数の開口を有する第1のグリッドプレートを正にバイアスするステップと、複数の開口を有する第2のグリッドプレートを負にバイアスするステップと、プラズマ領域のプラズマからのイオンを正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を基板に注入するステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、2009年6月23日に出願された係属中の米国仮出願番号第61/210,379号、発明の名称「PLASMA GRID IMPLANT SYSTEM FOR USE IN SOLAR CELL FABRICATIONS」に対して優先権を主張し、明細書に記載の如く、その全体は、引用することにより、本願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般的には、太陽電池の分野に関する。より詳しくは、本発明は、太陽電池及び他の大きな基板の注入用途に関する。
【背景技術】
【0003】
ウエハの従来のビームライン注入は、高出力密度で行うことができるが、それには、幾つかの問題がある。例えば、注入は、単一のビームレットに行われるだけである。さらに、注入は、大電力を用いて、小さなビームスポットで行われ、ウエハは、非常に熱くなる。その結果、生産性が低い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一側面では、プラズマグリッド注入装置を提供する。プラズマグリッド注入装置は、プラズマを供給するプラズマ源と、電源によって、DCモードで連続的に、あるいはパルスモードで、正にバイアスされ、プラズマ領域のプラズマからのイオンが通過することができる複数の開口を有する第1のグリッドプレートと、電源によって、DCモードで連続的に、あるいはパルスモードで、負にバイアスされ、第1のグリッドプレートを通過した後のイオンが通過することができる複数の開口を有する第2のグリッドプレートと、基板を、第2のグリッドプレートを通過した後のイオンを注入する基板の位置に支持する基板ホルダとを備える
【0005】
幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレート、第2のグリッドプレート及び基板ホルダのうちの少なくとも1つの位置は、均一注入位置と選択注入位置の間に調整され、均一注入位置は、基板ホルダ上の基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を可能にする位置であり、1回の横方向の均一イオン注入は、第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの組合せから形成され、選択注入位置は、基板ホルダ上の基板の複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を可能にする位置であり、複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入は、第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンから形成される。
【0006】
幾つかの実施の形態において、プラズマグリッド注入装置は、第2のグリッドプレートと基板ホルダの間に配置された第3のグリッドプレートを更に備え、第3のグリッドプレートは、第2のグリッドプレートを通過した後のイオンが通過することができる複数の開口を有する。幾つかの実施の形態において、第3のグリッドプレートは接地されている。幾つかの実施の形態において、第3のグリッドプレート及び基板ホルダのうちの少なくとも1つの位置は、均一注入位置と選択注入位置の間に調整され、均一注入位置は、基板ホルダ上の基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を可能にする位置であり、1回の横方向の均一イオン注入は、第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの組合せから形成され、選択注入位置は、基板ホルダ上の基板の複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を可能にする位置であり、複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入は、上記第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンから形成される。
【0007】
幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレート及び第2のグリッドプレートのうちの少なくとも1つの開口は、略丸穴である。幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレート及び第2のグリッドプレートのうちの少なくとも1つの開口は、細長いスロットである。 幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレート及び第2のグリッドプレートのうちの少なくとも1つの開口のそれぞれは、上端部と、下端部とを有し、下端部は、上端部よりも上記基板ホルダに近く、各開口の直径は、上端部から下端部に向かって徐々に拡大する。
【0008】
幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレート及び第2のグリッドプレートは、シリコン、グラファイト、シリコンカーバイド及びタングステンを含むグループから選択された材料からなる。幾つかの実施の形態において、プラズマグリッド注入装置は、チャンバ壁によって画定され、プラズマ領域、第1のグリッドプレート及び第2のグリッドプレートを収容するチャンバを更に備え、チャンバ壁は、イオンを、電界を用いて上記プラズマ領域に反発する。幾つかの実施の形態において、チャンバ壁には1つ以上の磁石が設けられている。
【0009】
本発明の他の側面では、イオン注入方法を提供する。イオン注入方法は、プラズマをチャンバのプラズマ領域に供給するステップと、複数の開口を有し、第1の位置に配置された第1のグリッドプレートを、正にバイアスするステップと、複数の開口を有し、第1の位置に配置された第2のグリッドプレートを、負にバイアスするステップと、プラズマ領域のプラズマからのイオンを、正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、第1の位置に配置された基板に注入するステップとを有する。
【0010】
幾つかの実施の形態において、イオン注入方法は、複数の開口が形成されたシャドウマスクが、基板から所定の距離離れて配置されており、負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、基板に注入する前に、シャドウマスクの開口を通して流すステップを更に有する。
【0011】
幾つかの実施の形態において、イオン注入方法は、複数の開口が形成されたフォトレジストマスクが、基板に接触して配置されており、負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、基板に注入する前に、フォトレジストマスクの開口を通して流すステップを更に有する。
【0012】
幾つかの実施の形態において、イオン注入方法は、第1のグリッドプレート、第2のグリッドプレート及び基板ホルダのうちの少なくとも1つの位置を、第2の位置に調整するステップと、第2の位置に調整の後、プラズマ領域にプラズマに供給するステップと、第2の位置に調整の後、プラズマ領域のプラズマからのイオンを、正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、第2の位置に調整の後、正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、第2の位置に調整の後、上記負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、基板に注入するステップとを更に有し、第1のグリッドプレート、第2のグリッドプレート及び基板ホルダの少なくとも1つが第1の位置にあるときに実行された注入は、基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を形成し、1回の横方向の均一イオン注入は、第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの組合せから形成され、第1のグリッドプレート、第2のグリッドプレート及び基板ホルダのうちの少なくとも1つが第2の位置にあるときに実行された注入は、基板の複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を形成し、複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入は、第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンから形成される。
【0013】
幾つかの実施の形態において、第2のグリッドプレートと基板の間には、第3のグリッドプレートが配置され、複数の開口を有し、第1の位置に配置された第3のグリッドプレートは、第2のグリッドプレートを通過した後のイオンが通過することができる複数の開口を有する。幾つかの実施の形態において、第3のグリッドプレートは接地されている。 幾つかの実施の形態において、イオン注入方法は、第1のグリッドプレート、第2のグリッドプレート、第3のグリッドプレート及び基板ホルダのうちの少なくとも1つの位置を、第2の位置に調整するステップと、第2の位置に調整の後、プラズマ領域にプラズマに供給するステップと、第2の位置に調整の後、プラズマ領域のプラズマからのイオンを、正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、第2の位置に調整の後、正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、第2の位置に調整の後、負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンのうちの少なくとも一部を、第3のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、第2の位置に調整の後、第3のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、基板に注入するステップとを更に有し、第1のグリッドプレート、第2のグリッドプレート、第3のグリッドプレート及び基板ホルダの少なくとも1つが第1の位置にあるときに実行された注入は、基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を形成し、1回の横方向の均一イオン注入は、第3のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの組合せから形成され、第1のグリッドプレート、第2のグリッドプレート、第3のグリッドプレート及び基板ホルダの少なくとも1つが第2の位置にあるときに実行された注入は、基板の複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を形成し、複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入は、第3のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンから形成される。
【0014】
幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレート及び第2のグリッドプレートのうちの少なくとも1つの開口は、略丸穴である。 幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレート及び第2のグリッドプレートのうちの少なくとも1つの開口は、細長いスロットである。幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレート及び第2のグリッドプレートのうちの少なくとも1つの開口のそれぞれは、上端部と、下端部とを有し、下端部は、上端部よりの上記基板ホルダに近く、各開口の直径は、上端部から下端部に向かって徐々に拡大する。
【0015】
幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレート及び第2のグリッドプレートは、シリコン、グラファイト、シリコンカーバイド及びタングステンを含むグループから選択された材料からなる。幾つかの実施の形態において、プラズマ領域、第1のグリッドプレート及び第2のグリッドプレートは、チャンバ壁によって画定されるチャンバに収容され、チャンバ壁は、イオンを、電界を用いてプラズマ領域に反発する。
【0016】
幾つかの実施の形態において、イオン注入方法は、プラズマにパルス電圧を印加するステップを更に有する。幾つかの実施の形態において、イオン注入方法は、基板にパルス電圧を印加するステップを更に有する。幾つかの実施の形態において、パルス電圧は、基板上の複数の異なる位置に向けられる。
【0017】
幾つかの実施の形態において、イオン注入方法は、基板にイオンを注入する前に、基板を、第1の複数の区分排気ステージを通過させるステップと、第1の複数の区分排気ステージから、基板を注入ステージに直接渡すステップと、基板にイオンを注入した後、注入ステージから、基板を、第2の複数の区分排気ステージに直接渡し、基板を第2の複数の区分排気ステージを通過させるステップとを有し、第1の複数の区分排気ステージの各ステージは、第1の複数の区分排気ステージの前のステージよりも圧力が低く、第2の複数の区分排気ステージの各ステージは、第2の複数の区分排気ステージの前のステージよりも圧力が高く、注入ステージは、第1の複数の及び第2の複数の区分排気ステージの全てのステージよりも圧力が低い。
【0018】
本発明の更なる他の側面では、プラズマグリッド注入装置を提供する。プラズマグリッド注入装置は、プラズマを供給するプラズマ源と、プラズマからのイオンが通過することができる複数の開口をそれぞれ有する複数のグリッドプレートを有するグリッドアセンブリと、基板を、グリッドプレートの複数の開口を通過した後のイオンを注入する位置に支持する基板ホルダとを備え、基板ホルダ及びグリッドプレートのうちの少なくとも1つは、均一注入位置と選択注入位置の間に調整され、均一注入位置は、基板ホルダ上の基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を可能にする位置であり、1回の横方向の均一イオン注入は、第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの組合せから形成され、選択注入位置は、基板ホルダ上の基板の複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を可能にする位置であり、複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入は、第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンから形成される。
【0019】
幾つかの実施の形態において、複数のグリッドプレートは、プラズマ領域のプラズマからのイオンが通過することができる複数の開口を有する第1のグリッドプレートと、第1のグリッドプレートを通過した後のイオンが通過することができる複数の開口を有する第2のグリッドプレートとを含む。幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレートは、電源によって、DCモードで連続的に、あるいはパルスモードで、正にバイアスされる。幾つかの実施の形態において、第2のグリッドプレートは、電源によって、DCモードで連続的に、あるいはパルスモードで、負にバイアスされる。幾つかの実施の形態において、複数のグリッドプレートは、第2のグリッドプレートを通過した後のイオンが通過することができる複数の開口を有する第3のグリッドプレートを更に含む。幾つかの実施の形態において、第3のグリッドプレートは、接地されている。幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレート、第2のグリッドプレート及び基板ホルダは、全てそれらが調整される位置を有する。
【0020】
本発明の更なる他の側面では、イオン注入方法を提供する。イオン注入方法は、プラズマをチャンバのプラズマ領域に供給するステップと、複数の開口をそれぞれ有する複数のグリッドプレートを有するグリッドアセンブリを配置するステップと、複数のグリッドプレートのそれぞれが第1の位置にある間に、プラズマ領域のプラズマからのイオンの第1のセットを、グリッドアセンブリのグリッドプレートのそれぞれの開口を通して流すステップと、基板が基板ホルダによって第1の位置に支持されている間に、グリッドプレートの開口を通して流されたイオンの第1のセットの少なくとも一部を、基板に均一に注入し、それによって、同じグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの第1のセットの組合せから、基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を形成するステップと、基板又はグリッドプレートの少なくとも1つの位置を、第2の位置に調整するステップと、第2の位置の調整の後、プラズマ領域のプラズマからのイオンの第2のセットを、グリッドアセンブリのグリッドプレートのそれぞれの開口を通して流すステップと、第2の位置の調整の後、グリッドプレートの開口を流されたイオンの第2のセットの少なくとも一部を、基板に選択的に注入し、それによって、同じグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの第2のセットの一部から、基板の複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を形成するステップとを有する。
【0021】
幾つかの実施の形態において、調整するステップでは、基板の位置を調整する。幾つかの実施の形態において、基板の位置を調整することは、基板をグリッドアセンブリに近づけることである。
【0022】
幾つかの実施の形態において、調整するステップでは、グリッドプレートのうちの1つの位置を調整する。幾つかの実施の形態において、グリッドプレートのうちの1つの位置を調整することは、グリッドプレートのうちの1つを基板に近づけることである。
【0023】
幾つかの実施の形態において、複数のグリッドプレートは、正にバイアスされた第1のグリッドプレートと、負にバイアスされた第2のグリッドプレートとを含む。幾つかの実施の形態において、複数のグリッドプレートは、接地された第3のグリッドプレートを更に含む。
【0024】
本発明の更なる他の側面では、イオン注入方法を提供する。イオン注入方法は、プラズマ発生器に第1の単一種類のドーパント材料を供給するステップと、プラズマ発生器において、第1の単一種類のドーパント材料を、第1の複数のドーパント種に分解するステップと、第1の複数のドーパント種を基板に注入するステップとを有する。
【0025】
幾つかの実施の形態において、基板は、1回の注入ステップで、第1の複数のドーパント種が注入される。幾つかの実施の形態において、ドーパント種のそれぞれは、基板に異なる深さで注入される。幾つかの実施の形態において、第1の単一種類のドーパント材料は、フォスフィンである。幾つかの実施の形態において、第1の複数のドーパント種は、P、P++、P+++、P、P及びPを含む。
【0026】
幾つかの実施の形態において、第1の単一種類のドーパント材料は、ホウ素又はヒ素である。幾つかの実施の形態において、異なる種類のドーパント材料の組合せを用いて、異なる複数のドーパント種を注入する。幾つかの実施の形態においては、異なる種類のドーパント材料は、ガス、液体、固体又はあらゆるそれらの組合せとして、前駆体の形で供給する。
【0027】
幾つかの実施の形態において、第2の単一種類のドーパント材料が、プラズマ発生器に供給され、プラズマ発生器は、第1の単一種類のドーパント材料を第1の複数のドーパント種に分解するのと同じ期間中に、第2の単一種類のドーパント材料を第2の複数のドーパント種に分解し、第2の複数のドーパント種は、第1の複数のドーパント種が基板に注入されているのと同じ期間中に、基板に注入される。幾つかの実施の形態において、第1の単一種類のドーパント材料及び第2の単一種類のドーパント材料は、それぞれ前駆体ガスである。幾つかの実施の形態において、第1の単一種類のドーパント材料は、アルシンであり、第2の単一種類のドーパント材料は、フォスフィンである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の原理に基づいて均一にドーピングされた太陽電池の一実施の形態の断面を示す側面図である。
【図2A】本発明の原理に基づいて太陽電池を選択的に注入する異なる方法の断面を示す側面図である。
【図2B】本発明の原理に基づいて太陽電池を選択的に注入する異なる方法の断面を示す側面図である。
【図2C】本発明の原理に基づいて太陽電池を選択的に注入する異なる方法の断面を示す側面図である。
【図3】本発明の原理に基づくコンタクトグリッド線を有する太陽電池の一実施の形態の断面を示す側面図である。
【図4】本発明の原理に基づくプラズマイオン注入装置の一実施の形態を示す図である。
【図5】本発明の原理に基づく均一注入による太陽電池の一実施の形態の断面を示す側面図を示すである。
【図6】本発明の原理に基づく均一注入及び選択注による太陽電池の他の実施の形態の断面を示す側面図である。
【図7】本発明の原理に基づくプラズマグリッド注入装置の一実施の形態の断面を示す側面図である。
【図8】本発明の原理に基づくプラズマグリッド注入装置の他の実施の形態の断面を示す三次元斜視図である。
【図9A】本発明の原理に基づく異なるグリッドプレート開口の断面を示す側面図である。
【図9B】本発明の原理に基づく異なるグリッドプレート開口の断面を示す側面図である。
【図10】本発明の原理に基づいてグリッドプレートを通過するプラズマイオンの一実施の形態の断面を示す側面図である。
【図11A】本発明の原理に基づく異なるグリッドプレート開口を示す平面図である。
【図11B】本発明の原理に基づく異なるグリッドプレート開口を示す平面図である。
【図12】本発明の原理に基づくロードロック注入システムの一実施の形態を示す平面図である。
【図13】本発明の原理に基づくマルチステージ区別排気注入システムの一実施の形態を示す断面図ある。
【図14】本発明の原理に基づくイオン注入方法の一実施の形態のプロセスフローチャートである。
【図15】本発明の原理に基づくイオン注入方法の他の実施の形態のプロセスフローチャートである。
【図16】本発明の原理に基づくイオン注入方法の更なる他の実施の形態のプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、当該技術分野の通常の知識を有する者が発明を行い、使用することができように、且つ特許出願及びその要件に従って説明を行う。当業者にとっては容易に明らかなように、以下に説明する実施の形態に様々な変更を加えることができるとともに、明細書中の一般的な原理は、他の実施の形態にも適用することができる。したがって、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではなく、ここに説明する原理及び特徴に基づいて最も広く解釈される。
【0030】
さらにまた、ある実施の形態の特徴と他の実施の形態の特徴は、組み合わせることができると考えられる。このイオン注入方法では、以下に説明する実施の形態を組み合わせた構成は、本発明の範囲内である。
【0031】
開示の様々な特徴は、フローチャートを用いて説明することができる。多くの場合、開示する特徴の一実施の形態を示す。しかしながら、当該技術分野の通常の知識を有する者が理解できるように、ここに説明する手順、処理及び手続は、絶えず、すなわち、ここに説明する必要性を満たすのに必要となる毎に繰り返されてもよい。さらに、方法における各ステップは、明示的に又は暗示的に示さない限り、図に示す順番と異なる順番で実行できると考えられる。
【0032】
本発明は、太陽電池の製造だけではなく、半導体及び他の表面、及び表面の近傍の修飾の用途に対しても調整される注入装置を目的とするものである。この注入装置は、太陽電池の製造に必要な緩い仕様に基づいて開発されている。注入装置は、正確なドーピングを行うことができ、また、太陽電池の性能に合わせて、固有の原子プロファイルを調整することができる(2009年6月11日に共同出願された米国特許出願番号第12/483,017号、発明の名称「FORMATION OF SOLAR CELL-SELECTIVE EMITTER USING IMPLANT AND ANNEAL METHOD」)の構成と、2008年6月11日に共同出願された米国仮特許出願番号第61/131,698号、発明の名称「FORMATION OF SOLAR CELL-SELECTIVE EMITTER USING IMPLANT AND ANNEAL METHOD」の構成とを引用することにより、本願に援用される。これらには、ドーピングレベル、コンタクトの抵抗、バスバー、フィンガ、金属/シリコン界面の接触抵抗及び裏面メタライゼーションの抵抗を変化させること、高効率太陽電池に適合させるために、金属グリッドコンタクトの下の所望の抵抗率(好ましくは10〜30Ω/□)、フィンガの間に所望の抵抗率(好ましくは100Ω/□)を実現することが含まれている(2009年6月11日に共同出願された米国特許出願番号第12/482,980号、発明の名称「SOLAR CELL FABRICATION USING IMPLANTATION」)の構成と、2008年6月11日に共同出願された米国仮特許出願番号第61/131,687号、発明の名称「SOLAR CELL FABRICATION USING IMPLANTATION」の構成と、2009年6月11日の共同出願された米国特許出願番号第12/482,685号、発明の名称「SOLAR CELL FABRICATION WITH FACETING AND ION IMPLANTATION」の構成と、2008年6月24日を共同出願した米国仮特許出願番号第61/133,028号、発明の名称「SOLAR CELL FABRICATION WITH FACETING AND ION IMPLANTATION」の構成とを引用することにより、本願に援用される。また、注入装置は、コンタクト金属の幅及び間隔だけでなく、太陽電池ウエハの厚さの将来の必要条件に適合する。
【0033】
さらに、選択エミッタ及び裏面電界(BSF)を形成することができ、性能を高めることができる(2009年6月11日に共同出願された米国特許出願番号第12/482,947号、発明の名称「APPLICATION SPECIFIC IMPLANT SYSTEM AND METHOD FOR USE IN SOLAR CELL FABRICATIONS」の構成と、2008年6月11日に共同出願した米国仮特許出願番号第61/131,688号、発明の名称「APPLICATIONS SPECIFIC IMPLANT SYSTEM AND METHOD FOR USE IN SOLAR CELL FABRICATIONS」)の構成と、2009年3月20日を共同出願した米国仮特許出願番号第61/210,545号、発明の名称「ADVANCED HIGH EFFICIENCY CRYSTALLINE SOLAR CELL FABRICATION METHOD」の構成と、2010年3月19日に共同出願した米国特許出願番号第12/728,105号、発明の名称「ADVANCED HIGH EFFICIENCY CRYSTALLINE SOLAR CELL FABRICATION METHOD」の構成とを引用することにより、本願に援用される。本発明は、シリコン、又は太陽電池の形成及び他の用途に用いられる他の材料に非常に薄い膜を蒸着させる場合だけではなく、シングル、すなわち単結晶シリコン、ポリ、すなわち多結晶シリコンを成長させる場合にも適用することができる。また、本発明は、多接合素子に適用することができ、また、接合の形成及び金属/半導体接合面の促進に用いられるあらゆる他の材料に対する原子種の配置まで拡張することができる。
【0034】
図5は、本発明の原理に基づく均一注入(homogeneous implant)による太陽電池500の一実施の形態の断面を示す側面図である。太陽電池500は、pドーピング領域510と、nドーピング領域520とを有する半導体ウエハからなる。nドーピング領域520は、均一にドーピングされ、均一エミッタを形成している。nドーピング領域520上には、反射防止コーティング560が配置されている。反射防止コーティング560は、好ましくは、70〜80nmの厚さを有する。半導体ウエハ上には、金属コンタクト550が堆積されており、金属コンタクト550は、好ましくは、3〜200μmの幅554を有し、1〜3mmの間隔552で配置されている。半導体ウエハには、nドーピング領域520とは反対側にpドーピング領域570が形成されており、pドーピング領域570は、均一BSFを形成している。pドーピング領域570の底面上には、不活性化層580(例えばSi又はAl)が配置され、不活性化層580の底面上には、後部金属コンタクト層590(例えばAg)が配置されている。
【0035】
図6は、太陽電池600の断面を示す側面図であり、太陽電池600は、太陽電池500に選択注入された領域が設けられている。これらの選択注入は、nドーピング選択エミッタ領域630と、選択金属シード注入655と、選択BSF領域675とを含む。
【0036】
幾つかの実施の形態において、本発明では、基板に負電位のパルスを印加することによって、ガスプラズマ中のイオンを基板に対して加速する。プラズマは、基板近傍のシース内に移行され、電位を印加することにより、プラズマ中に存在するイオンが加速されて、注入が行われる。基板のこのような等角ドーピングを用いて、均一ドーピング領域を形成することができ、また、マスク又は他の選択注入技術を用いることによる選択ドーピング領域(selectively doped regions)を形成することができる。同時に、パルス波形及びプラズマ成分を調整することによって、独立した表面濃度、プロファイルの形状及び接合の深さが得られるように、ドーパントプロファイルを調整することができる。さらにまた、ドーパント化学量論比及び分子ラジカルの比率を用いることによって、ドーパントプロファイルを、更に向上させることができる。また、基板をパルスでバイアスし、可能な基板裏面アンテナを用い、あるいは基板を動かすことにより、選択注入に必要とされる横方向の位置決めを良くすることができる。
【0037】
本発明は、基板サイズとは無関係であり、プラズマの均一性が保たれている限り、基板の複数の部分を同時に注入することができるイオン注入装置を提供する。この特徴により、ウエハ1000枚/時間(1000+ wph)を十分超える生産性が可能である。さらに、本発明は、非見通し線注入方法(non-line-of-sight implantation method)を提供し、したがって、収縮された領域、例えば、表面上にヒロック(hillocks)及び凹角形状(re-entrant features)を有するマルチ級シリコンのテクスチャ加工表面にドーピングすることができる。このような表面に対するドーピングは、ドーピングの不足が金属短絡を起こす可能性があるときには、重要である。
【0038】
本発明の1つの用途は、エミッタ及び裏面電界(BSF)をドーピングするための均一注入を行うことである。このステージでは、表面濃度、プロファイルの形状及び接合の深さを独立して制御することにより、太陽電池の光変換特性を満たす重要な役割を果たすことができる。このような注入能力により、現在の拡散法では一般的である「不感層」の形成を防止する。これらの不感層は、拡散を用いて電気的な接合を形成する際に、表面近傍に集められる不活性の過剰なドーパントの結果として形成される。本発明のイオン注入で実行されるプロファイル管理により、このような欠点を避けることができる。
【0039】
図1は、本発明の原理に基づいて均一にドーピングされた太陽電池100の一実施の形態の断面を示す側面図である。太陽電池100は、半導体基板110、例えばシリコンウエハを備える。太陽電池100が電子正孔対を発生する領域120を形成する場合、ドーピングレベルは、少なくとも100Ω/□が好ましい。一般的に、この領域120の過剰なドーパントは、このような電荷キャリアの発生及び輸送を妨げる。このドーピングは、通常、低エネルギ注入、例えばホウ素、BF、リン、ヒ素、アンチモン及び他の同様なドーパントの150keV未満での注入である。このような注入は、低濃度で行われる。好ましい実施の形態において、これらの注入の濃度は、1E15cm−2未満である。太陽電池用途の場合、有効範囲の均一性の必要条件は、5〜10%と推定される。同様の均一性が、プラズマの均一性でも必要とされる。単一ウエハシステムの利点を実現するためには、各太陽電池は独立して注入されると思われる。この特徴により、注入の重要な能力が得られ、それによって、選択エミッタに対するドーパントの配置及び活性化を調整することができ、従来の不感層の形成の問題を回避することができる。
【0040】
図2A〜2Cは、本発明の原理に基づいて選択的に注入し、選択エミッタ領域230を形成した太陽電池200の断面を示す側面図である。太陽電池200は、半導体基板210を備え、半導体基板210は、均一にドーピングされ、均一エミッタ領域220が形成されており、この均一エミッタ領域220は、図1に示す領域120と同じである。
【0041】
図2Aは、半導体基板210内に選択エミッタ領域230を形成するために用いられるシャドウマスク方法を説明するための図である。シャドウマスク方法において、プラズマ注入技術の装置内で物理的なシャドウマスク242を用いて、イオンビーム240を、必要とされる正確な寸法に画定する。ここで、シャドウマスク242のアスペクト比は、典型的な高エネルギプラズマイオンが1:10のアスペクト比を簡単に貫通できると推定されるように、また、低エネルギプラズマ堆積方法によって示されているように、重要である。半導体基板210の近傍にシャドウマスク242を調整することにより、100μm幅のグリッド線よりも約+/−10〜30μm広いドーピング領域を、グリッド線の下に設ける構成に対して有利に潜在的なビームの揺らぎを用いることができる。この調整により、後続のグリッド線の印刷及び位置合せを容易に行うことができ、あらゆる潜在的な電気リークを最少にするオーバラップ領域を設けることができる。好ましい実施の形態において、シャドウマスク242に用いる材料は、処理に無害であり、好ましくは、注入方法に影響を与えないために、導電性である。このような材料のスパッタリングは、このシャドウマスク242の寿命及び使用方法を決定し、したがって、標準の交換条件で、消耗部品であるシャドウマスク242を破棄する。また、イオンビーム240が通過する切欠きの形状及び表面条件は、汚染及びスパッタ率を最小にするための重要な考慮点である。太陽電池業界で既に一般的となっている典型的な成形は、シャドウマスク242の製造に用いることができる。
【0042】
図2Bは、半導体基板210に選択エミッタ領域230を形成するために用いるウエハマスク方法を説明するための図である。ここでは、マスク244は、半導体ウエハである半導体基板210に接触して配置される。このようなマスク244は、注入ステップの前のウエハのハード又はソフトマスクである。ウエハマスク方法は、リソグラフィ、密着印刷又はより一般的なスクリーン印刷ステップを用いることによって、行うことができる。また、ウエハマスク方法は、コンタクト堆積の形成に用いられる既存のマスク及び開口処理ステップを利用することができる。この注入方法の分布出力密度により、結果として、過去の注入方法で用いられなかったマスク材料を利用することができる。このような材料の一例としては、伝統的に、基板製造及び他の低温マスク材料で用いられていたレジストがある。
【0043】
図2Cは、半導体基板210に選択エミッタ領域230を形成するための局所プラズマビーム成形方法を説明するための図である。ここで、プラズマが選択的に半導体基板のある領域に向かうように、ビームの必要なパルス駆動及び想定される裏面アンテナを、閉ループ制御に入れることができる。幾つかの実施の形態において、更なるグリッド構造、例えば以下により詳細に説明する構造を用い、負及び/又は正の電圧を印加することによって、プラズマビームの形状を更に最適化して、このような成形を実行することができる。図2Cに示すように、選択エミッタ領域230は、半導体ウエハである半導体基板210の裏面の電圧246が直接印加された位置に位置合わせされる。この方法は、より薄いウエハに適している。あるいは、プラズマのパルス駆動と半導体基板の可能な位置決めを組み合わせて用いることにより、高濃度ドーピング領域及び低濃度ドーピング領域を生成することができる。これらの領域をオーバラップさせることにより、光変換に適した低濃度ドーピング領域から、電気コンタクトグリッド線に適した高濃度ドーピング選択注入領域までの正孔の制御された流れを最適化することができる。半導体基板を、正確に制御された動きに基づいて、イオンビームの下で動かしながら、高濃度ドーピング領域と低濃度ドーピング領域をオーバラップさせることができる。これらの異なる領域は、明確な境界を有さず、ドーピングレベルを緩やかに変化させることにより、基板内の電荷の流れを良くすることができる。
【0044】
図3は、本発明の原理に基づくコンタクトグリッド線(以下、単にコンタクト線ともいう。)350を有する太陽電池300の一実施の形態の断面を示す側面図である。太陽電池300は、ウエハからなる。幾つかの実施の形態において、ウエハは、156×156mmのウエハである。好ましくは、ウエハは、半導体材料、例えばシリコン(単結晶又は多結晶)で形成されており、pn接合を有する。pn接合は、p型ドーピング領域310とn型ドーピング領域320の間に形成されている。ウエハの表面上には、金属製のコンタクト線350が印刷又は形成されている。また、コンタクト線350は、金属以外の導電材料から形成できると考えられる。幾つかの実施の形態において、また、ウエハの表面上には、コンタクト線350から電荷を集めて外部負荷に運ぶ導電性のフィンガ(図示せず)が配置されている。
【0045】
動作において、光が、コンタクト線350の間の露出した表面を通過して、ウエハの半導体材料内に入射すると、光は、通常、n型ドーピング領域320内で、電子正孔対に変換される。電子は一方向に流れて、コンタクト線350に引きつけられ、一方、正孔は、他の方向に、すなわちp型ドーピング領域310の方向に流れる。ドーパントがより多い特定の領域ほど、その領域内により多くの電子正孔対が再捕獲され、結果として、より多くの電気が損失される。したがって、異なる領域に対して、ドーピングのレベルを制御することは有益である。光が電子正孔対に変換される領域のドーピングのレベルは、比較的低くなければならない。電荷がコンタクト線350に通り抜ける領域のドーピングのレベルは、高くなければならない。n型ドーピング領域320は、n型ドーパントが低レベルで均一にドーピングされた領域(以下、均一エミッタ領域320ともいう。)を表している。ウエハの表面近傍のコンタクト線350の下に配置された領域330は、n型ドーパントが比較的高いレベルで選択的にドーピングされた領域(以下、選択エミッタ領域330ともいう。)を表している。
【0046】
n型ドーピング領域320のドーパント濃度を最小にし(それによって、抵抗率を最大にし)、選択エミッタ領域330のドーパント濃度を最大にする(それによって、抵抗率を最小にする)結果として、均一エミッタ領域320から発生した電子をコンタクト線350に転送する太陽電池300の性能を高め、一方、電子正孔対の再結合により電気を損失するリスクを軽減する。さらに、コンタクト線350をより太くすることによって、より多くの電気を導通することができるが、また、コンタクト線350を太くすることは、太陽電池300に入射して電子に変換される光を遮蔽する。コンタクト線350近傍の選択エミッタ領域330のドーパント濃度を最大にすることによって、コンタクト線350を実際に細くすることができ、それによって、太陽電池300により多くの光を入射させることができ、その一方で、電子正孔対発生領域から電子をコンタクト線350に転送する太陽電池300の性能を向上させることができる。
【0047】
幾つかの実施の形態において、均一エミッタ領域320は、約80Ω/□〜約160Ω/□のシート抵抗を有し、一方、選択エミッタ領域330は、約10Ω/□〜約40Ω/□のシート抵抗を有する。幾つかの実施の形態において、均一エミッタ領域320は、約100Ω/□のシート抵抗を有し、一方、選択エミッタ領域330は、約25Ω/□未満のシート抵抗を有する。
【0048】
幾つかの実施の形態において、選択エミッタ領域330は、互いに横方向に約1mm〜約3mmの間隔が空けられている。しかしながら、他の間隔も本発明の範囲内であると考えられる。さらに、太陽電池業界では、選択エミッタ用途の場合、注入されるコンタクトグリッド線350の幅は、200μmから50μm未満になることが必要であると予測されている。
【0049】
プラズマ注入装置を用いて、表面近傍に金属/シリサイドを形成することにより、コンタクト堆積の仕事関数の形成及び調整と、バンドギャップ設計とを行うことができる。ウエハの表面近傍の位置に、金属の化学種(例えばTa、Ti等)を非常に少ないドーズ量で注入することによって、金属/シリコンコンタクトは、著しく改善される。このようなシード注入又は仕事関数調整注入によって、コンタクト特性を高めることができる。
【0050】
図4は、本発明の原理に基づくプラズマイオン注入装置400の一実施の形態を示すブロック図である。このプラズマイオン注入装置400は、2009年6月10日に出願された米国仮出願番号第61/185,596号、発明の名称「APPLICATION SPECIFIC PLASMA IMPLANT SYSTEM FOR USE IN SOLAR CELL FABRICATIONS」に開示されており、明細書に記載の如く、その全体は、引用によって、本願に援用される。プラズマイオン注入装置400は、真空チャンバ410と、ガス入力装置420と、プラズマ発生器430と、1つ以上の真空ポンプ450と、高電圧パルス発生器480とを備える。ガス入力装置420、プラズマ発生器430及び真空ポンプ450は、協働して、真空チャンバ410内のターゲット基板440の近くの位置にプラズマ460を供給する。高電圧パルス発生器480を用いて、ターゲット基板440を負にバイアスする。利用できるパルス発生器の例としては、真空管パルス発生器、例えばプレーナ型三極管、電力用四極管及びホバートロン(hobertron)がある。他のパルス発生器も同様に用いることができると考えられる。ターゲット基板440に高負電圧パルスを印加した結果、プラズマ460とターゲット基板440間にシースが形成され、プラズマ460からのイオン470は、ターゲット基板440に向けて加速される。
【0051】
このプラズマイオン注入技術により、あらゆる質量分析器を必要としない。このプラズマイオン注入技術は、許容可能な出力密度及び優れた生産性を提供する。このプラズマイオン注入装置400は、太陽電池の用途に対して固有の性能を有する。太陽電池業界で必要とされる生産性を満たすために、複数のピースの同時注入が考えられる。0.25mの総面積を有する156×156mmの擬似正方形の典型的な4ピース基板の場合、このようなプラズマイオン注入装置400は、好ましくは、0.3mの高さ及び0.5cmのシースを有する大きなプラズマと、最大15Aのプラズマピーク電流を発生する総高1mのチャンバとを有する。このプラズマイオン注入装置400は、太陽電池の分野に必要な可変で150kV未満のパルスエネルギを満たすのに役に立つ。これらの電源は、プラグコンパティブルであり、用いられる化学種及び質量に応じて、必要な浸透の深さを提供する。
【0052】
幾つかの実施の形態において、プラズマイオン注入装置400は、複数のドーパントのあらゆる相互汚染を避けるために、1つの化学種の注入に用いられる。さらに、幾つかの実施の形態において、真空チャンバ410の内部は、金属又は他の物質の不必要な汚染の可能性を最小にするために、適切な材料で覆われている。
【0053】
好ましくは、部品、例えば真空チャンバと、マルチパスロードロックと、ガス供給装置と、自動化及び工場インタフェースとは、このような特定用途向け装置と直列に、あるいは典型的な大量太陽電池製造装置と直列に設けられている。好ましい実施の形態において、プラズマイオン注入装置400は、太陽電池製造ラインの自動化に適した1時間当たりウエハ1000枚以上(1000+)の生産能力で稼働する。
【0054】
ドーパントプロファイルは、太陽電池(PV)製造に必要な調整に適したパルス波形調整を通じて、変更することができる。1つの方法は、パシベーションパルス整形回路機構を用いることである。ドーパントプロファイルは、マイクロ波又はRF結合を特別に用いて実現できるプラズマ含有量の調整を用いることによって、あるいは、プラズマ条件を変更するために、したがって物質の電離を制御するために、ドーパントの化学量論比に、及びプラズマに存在するラジカルの分子比に影響を及ぼすことができるあらゆる多様な一般的なプラズマ形成技術をプラズマに用いることによって、更に調整することができる。例えば、固体リンを用いる場合、その様々な成分(例えばP、P++、P+++、P、P、P等)を用いて、表面近傍の調整を行うことを保証することができる。このような調整は、他のドーパント、例えばp型ホウ素に対しても用いることができる。
【0055】
プラズマ注入技術の直接的な副作用は、水素(例えばドーパントのソースがPH又はBである場合)の発生である。水素は、同時に且つより高いエネルギで注入され、品質が劣った太陽電池材料に対して固有で要求されるオートゲッタリング効果を与えるのに役立つ。
【0056】
また、プラズマのパルス駆動中に、エネルギを明確に又は連続して変えることにより、必要なプロファイルを形成し、表面濃度、原子プロファイルの成形及び接合の深さを独立して管理することができる。これは、別の及び既知のステップであってもよく、あるいは、所望のプロファイルと対比するために、必要とされるエネルギで適切な休止まで連続させることができる。
【0057】
このプラズマイオン注入装置の平均分布出力密度は、それ自体を、非常に薄いウエハ(すなわち、20μm未満のウエハ)の注入に適合させ、また、より厚いウエハが、処理を通して100℃未満の温度に留まることを保証する。このような分布出力密度により、高温を使用する拡散、及び高い平均分布出力密度を使用する定方向注入の前には考えられなかった様々なハードマスク(例えばレジスト)材料を利用することができる。所望のPV用途に応じて、本発明の平均分布出力密度は、高い(300℃以上の)及び低い(100℃未満の)基板温度で、パルスの周波数及び継続時間を調整することによって、調整することができる。
【0058】
後続の拡散は必要でない。可能な限り500℃に近い低温アニールにより、十分に活性化することができ、太陽電池の製造のためのダメージアニールを行うことができる。プラズマ注入は、その高い生産性のために、高いドーズ量で行うことができ、したがって、ドーパントの一部だけを活性化する場合、所望の抵抗率及び性能を実現することができる。
【0059】
幾つかの実施の形態において、様々な材料又は化合物を用いて、太陽電池製造における表面パシベーションを行う。例えば、幾つかの実施の形態において、Si又はSiOは、高温で、あるいはパイロジェニック成長法を用いて、堆積及び/又は成長される。このようなパイロジェニック成長法は、一般的な化学及び分子構成に限定されており、変更することはできない。しかしながら、本発明のプラズマ注入技術を用いることにより、分子構成は、パシベーション特性を改良するために、調整することはできる。SiNを形成し、又は過剰に窒素を導入することにより、このパシベーション膜のパシベーション特性を改良することができる。
【0060】
上述のプラズマイオン注入装置の効果にもかかわらず、本発明は、更に有益な注入装置を、プラズマグリッド注入装置の形で提供する。プラズマグリッド注入装置は、ビームライン注入の有益な出力密度を提供するが、一方、プラズマ注入技術の生産性を提供する。
【0061】
図7は、本発明の原理に基づくプラズマグリッド注入装置700の一実施の形態の断面を示す側面図である。プラズマグリッド注入装置700は、チャンバ710を備え、チャンバ710は、第1のグリッドプレート750と、第2のグリッドプレート755と、第3のグリッドプレート757とを収容している。第1、第2及び第3のグリッドプレート750、755、757は、これらには限定されないが、グラファイト、シリコンカーバイド及びタングステンを含む様々な異なる材料で形成することができる。グリッドプレート750、755、757のそれぞれは、イオンを通過させる複数の開口を有する。プラズマ源は、プラズマをチャンバ710のプラズマ領域に供給する。図7において、このプラズマ領域は、第1のグリッドプレート750の上方に位置する。幾つかの実施の形態において、チャンバ壁は、イオンを、電界を用いてプラズマ領域に反発する。例えば、幾つかの実施の形態において、チャンバ710の壁には、1つ以上の磁石790が設けられている。磁界は、プラズマを壁から押しのけるのに用いられ、それによって、プラズマとチャンバ壁間にギャップを維持し、壁材料がプラズマでスパッタリングされるのを防止する。ターゲット基板は、グリッドプレートとは反対側に配置される。図7において、ターゲット基板は、第3のグリッドプレート757の下方に配置される。以下詳細に説明するように、ターゲット基板は、好ましくは、調整可能な基板ホルダによって支持され、それによって、ターゲット基板は、均一注入位置740aと選択注入位置740b間に調整することができる。
【0062】
このプラズマグリッド注入装置700の主な特徴は、第1のグリッドプレート750にDC又はパルス電圧を印加することによってターゲット基板に向けて加速されたプラズマイオンを用いることである。これらのイオンは、ターゲット基板に注入される。ターゲット基板及び他の材料にイオンが衝突することによって生じる二次電子の悪い影響は、第1のグリッドプレート750に対して負にバイアスされた第2のグリッドプレート755を用いることによって避けられる。この負にバイアスされた第2のグリッドプレート755は、ターゲット基板から離れる電子を抑制する。幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレート750は、80kVにバイアスされ、第2のグリッドプレート755は、−2kVにバイアスされる。しかしながら、他のバイアス電圧を採用できると考えられる。第3のグリッドプレート757は、ビーム画定グリッドとして機能し、好ましくは、接地されている。第3のグリッドプレート757は、注入の最終的な解像度を決定するために、ターゲット基板の表面に接触して、あるいは非常に近く配置される。選択注入が必要な場合、第3のグリッドプレート757は、ビーム画定マスクとして機能することができ、必要とされる重要な位置合せを行う。第3のグリッドプレート757は、ビームを画定する選択注入を実行するために、図2Aの実施の形態に示すシャドウマスク又は図2Bの実施の形態に示すウエハマスクに基づいて構成することができる。さらに、第3のグリッドプレート757は、マスクを必要としないビーム成形、例えば図2Cの実施の形態に示すパルスビーム成形を含むあらゆる形式のビーム成形によって、置換又は補足することができる。
【0063】
グリッドプレート750、755、757は、様々な方法で間隔を空けることができると考えられる。一実施の形態において、第1のグリッドプレート750は、第2のグリッドプレート755から約12mmの距離離され、第2のグリッドプレート755は、第3のグリッドプレート757から約3mmの距離離される。しかしながら、他の寸法も用いることができる。
【0064】
一般的に、幾つかのグリッド配置、例えば三極管、四極管及び他の配置を想定することができ、これらのグリッド配置は、イオンビームレットを光学的に制御するのに用いられる。均一注入の場合、ビーム画定マスクは無くすことができ、ウエハの均一な有効範囲が得られる。シャドウマスクによる選択注入の場合と、均一注入の場合とで、ウエハの位置を変えることによって、複数のグリッドビーム鮮明度の効果を得ることができる。例えば、選択注入の場合、ウエハ740bは、複数のグリッドプレート(750、755、757)のアセンブリの近くに移動され、一方、均一注入の場合、ウエハ740aは、グリッドプレート(750、755、757)のアセンブリから均一なビームが得られるように、十分遠くに移動され、そして、均一なビームは、ビームレット776の空間電荷拡大の結果として、形成される。このグリッドプレートのアセンブリを用いて、更にビームレット776の焦点を基板上の既知の形状に合わせることができ、例えば、グリッドプレートの互いの位置を調整することによって、シャドウマスク又はあらゆる他の基板マスクの必要性を無くすことができる。このグリッドプレートアセンブリの配置によって、イオンの加速用に、DC又はパルスバイアスを用いることができ、エネルギ範囲を制限することによって、プラズマ注入技術を妨げる逆流電子を最小にすることができ、パルス発生器/PSUのコストを抑制することができる。これは、非常に、必要な電源を簡単にする。
【0065】
さらに、本発明は、プラズマ形成をイオン加速から分離することによって、グリッドプレート750、755、757よりも上のプラズマ形成に、独立した方法を用いることができる。グリッドプレート750、755、757により、ある程度のビーム鮮明度を得ることができる。例えば、抽出されたイオンビームは、選択エミッタ用途における特定の大きさに集中させることができる。
【0066】
プラズマグリッド注入装置700のチャンバ710は、プラズマを形成して、拡大することができる。上述したように、第1のグリッドプレート750は、グラウンドに対して正電位である。このバイアスグリッドプレート(電極)を成形加工して、その開口のそれぞれ上に形成されるメニスカス780の形状を管理することによって、イオンは抽出されて、光学的に成形される。
【0067】
上述したように、第2のグリッドプレート755は、負にバイアスされ、逆流電子を阻止する。基板の位置740bで示すように、基板及び第3のグリッドプレート757(シャドウマスク又はウエハマスクとして構成されているかにかかわらず)は、グリッドアセンブリによるパターン鮮明度を利用するために、第2のグリッドプレート755の非常に近く配置することができる。この位置において、抽出されたイオンは、鮮明なビームレットの形であり、位置740bの基板の選択領域に注入される。また、基板は、シャドウマスクを用いて又は用いないで均一注入を実行するために、第1及び第2のグリッドプレート750、755から離れた位置、例えば基板の位置740aに配置することができる。基板の位置740aに示すように、ビームレット776は、空間電荷拡大により、合流している。あるいは、均一注入と選択注入の両方に対して1つの位置を用いるようにしてもよく、選択注入は、必要な選択性を提供するシャドウマスク又はウエハマスクの存在の下で、実行される。
【0068】
開口を通過したイオンビームは、その性質によって、すなわちプラズマの典型的な平衡状態が凸であるので、発散される。イオンは、同じ極性の電荷であるので、互いに反発し、プラズマ内での熱運動に起因して、ランダムな方向の速度を有する。したがって、イオンのエミッタンスとイオンビームに対するシステムアクセプタンスの両方を制御するためには、グリッドプレートの開口及びプラズマ条件を注意深く設計することが必要である。エミッタンスは、ビーム質の尺度である。通常、高品質ビームは、低エミッタンスを有し、それは、伝播中におけるイオンの最少の損失を意味する。これは、システム固有の位相空間境界に対して、ビームがこの境界内に適合し、すなわち良好なアクセプタンスを有するように、バランスをとられなければならない。
【0069】
本発明のプラズマグリッド注入装置700におけるイオン発散の制御は、主に、プラズマ境界における次のメニスカス780の形状を、イオンが第1のグリッドプレート電極750に入力するように調整することによって、行われる。このような成形は、それぞれの電極間の電位差と、開口の形状及びそれぞれの電極間の間隔と、プラズマの温度と、どれくらいのプラズマガスを用いるかと、プラズマ及びイオン種の密度と、流し出す電流とを調整することによって、制御することができる。図7のメニスカス780が凹ドーム形の場合、第2のグリッドプレート755は、第1のグリッドプレート750に対して負電位を有しなければならず、プラズマイオン密度は、プラズマ境界よりも低くなければならない。図7には、ドーム形を有するメニスカス780を示しているが、メニスカス780は、これに限定されないが、ドーム形に完全に反対の形状を含む他の形状の形でも管理することができると考えられる。メニスカス780の形状を用いて、得られるイオン注入ビームを成形することができる。ドーム形のメニスカス、例えば図7に示すメニスカス780は、通常、細くなるビームを生じるのに対して、逆ドーム形のメニスカスは、通常、拡大するビームを生じる。
【0070】
図8は、プラズマグリッド注入装置700と同様の、本発明の原理に基づくプラズマグリッド注入装置800の他の実施の形態の断面を示す三次元斜視図である。プラズマグリッド注入装置800は、チャンバ810を備え、チャンバ810は、第1のグリッドプレート850と、第2のグリッドプレート855と、第3のグリッドプレート857とを収納している。グリッドプレート850、855、857は、これらには限定されないが、シリコン、グラファイト、シリコンカーバイド及びタングステンを含む様々な異なる材料から形成することができる。各グリッドプレート850、855、857は、イオンが通過することができるように構成された複数の開口を有する。プラズマ源は、プラズマを、チャンバ810のプラズマ領域に供給する。図8において、このプラズマ領域は、第1のグリッドプレート850の上方に位置する。幾つかの実施の形態において、プラズマガスは、ガス入口820を介してプラズマ領域に供給される。幾つかの実施の形態において、チャンバ810の内部は、吸引孔830を介して減圧される。幾つかの実施の形態において、チャンバ810の外壁の周りには、絶縁体895が配置されている。幾つかの実施の形態において、チャンバ壁は、上述したように、電界を用いて、イオンをプラズマ領域に反発するように構成されている。
【0071】
ターゲットウエハ840は、グリッドプレートに対してプラズマ領域とは反対側に配置される。図8において、ターゲットウエハ840は、第3のグリッドプレート857の下方に配置される。上述したように、幾つかの実施の形態において、ターゲットウエハ840は、調整可能な基板ホルダによって支持され、それによって、ターゲットウエハ840は、均一注入位置(グリッドプレートに近い位置)と選択注入位置(グリッドプレートから離れた遠い位置)の間に調整することができる。プラズマイオンは、第1のグリッドプレート850にDC又はパルス電圧を印加することによって、イオンビーム870の形で、ターゲットウエハ840に向けて加速される。これらのイオンは、ターゲットウエハ840に注入される。ターゲットウエハ840及び他の材料にイオンが衝突することによって生じる二次電子の悪い影響は、第1のグリッドプレート850に対して負にバイアスされた第2のグリッドプレート855を用いることによって避けられる。この負にバイアスされた第2のグリッドプレート855は、ターゲットウエハ840から離れる電子を抑制する。幾つかの実施の形態において、第1のグリッドプレート850は、80kVにバイアスされ、第2のグリッドプレート855は、−2kVにバイアスされる。しかしながら、他のバイアス電圧も採用できると考えられる。第3のグリッドプレート857は、ビーム画定グリッドとして機能し、好ましくは接地されている。第3のグリッドプレート857は、注入の最終的な鮮明度を決定するために、基板の表面に接触して、あるいは非常に近く配置される。選択注入が必要な場合、この第3のグリッドプレート857は、ビーム画定マスクとして機能することができ、必要とされる重要な位置合せを行う。第3のグリッドプレート857は、ビーム画定選択注入を実行するために、図2Aの実施の形態に示すシャドウマスク又は図2Bの実施の形態に示すウエハマスクに基づいて構成することができる。さらに、第3のグリッドプレート857は、マスクを必要としないビーム成形、例えば図2Cの実施の形態に示すパルスビーム成形を含むあらゆる形式のビーム成形によって、置換又は補足することができる。
【0072】
グリッドプレートの開口は、様々な異なる方法で形成することができると考えられる。図9A〜9Bは、イオンビームが通過する異なるグリッドプレート開口の断面を示す側面図である。図9Aにおいて、グリッドプレート950aは、均一の幅を有する開口965aを備える。グリッドプレート950aが正にバイアスされたとき、その周りに電界が形成される。この電界は、等電位線(electric field lines)951a、953aによって示され、等電位線951a、953aは、グリッドプレート950aの輪郭をなぞっている。イオンビームが開口965aを通過するときに、等電位線951a、953aは、イオンが進むパスを規定する。この結果、イオンが開口965aを通過するときに、電界は、イオンを絞り、それによって、得られるイオンビームの幅は狭くなる。図9Bにおいて、グリッドプレート950bは、上から下に向かって拡大した幅を有する開口965bを備える。図9Aのグリッドプレート950aと同様に、グリッドプレート950bが正にバイアスされたとき、その周りに電界が形成される。この電界は、等電位線951b、953bによって示され、等電位線951b、953bは、グリッドプレート950bの輪郭をなぞっている。イオンビームが開口965bを通過するとき、等電位線951b、953bは、イオンが進むパスを規定する。開口965bの幅は、イオンが開口965bに入力する点からイオンが開口965bを出る点に向かって拡大しているので、この開口形状は、均一な形状よりも大きな表面積を網羅できるイオンビームを生じる。
【0073】
図10は、本発明の原理に基づいてグリッドプレートを通過するプラズマイオンの一実施の形態の断面を示す側面図である。図7〜8と同様に、プラズマ1060は、上述したように、正にバイアスされた第1のグリッドプレート電極1050及び負にバイアスされた第2のグリッドプレート電極1055の上方に生成される。プラズマイオンが第1のグリッドプレート電極1050の開口に入力するとき、プラズマ境界にメニスカス1080が形成される。イオンビーム1070は、第1のグリッドプレート電極1050を通過し、そして、第2のグリッドプレート電極1055を通過した後、グリッドプレートアセンブリの下方に配置されたターゲット基板にイオンが注入される。グリッドプレートの上面及び底面は、様々な方法で、イオンビーム1070を管理するように形成することができる。例えば、幾つかの実施の形態において、第2のグリッドプレート1055の開口の入口を、第1のグリッドプレート1050の開口の出口により近く持っていくことができるように、第1のグリッドプレート105の底面1052は、凹形状の内向きに角度をつけることができ、第2のグリッドプレート1055の上面1054は、凸形状の外向きに角度をつけることができる。
【0074】
図11A〜11Bは、本発明の原理に基づく異なるグリッドプレート開口を示す平面図である。図11Aは、それに形成された複数の開口1165aを有するグリッドプレート1050aを示す。これらの開口1165aは、略円形である。図11Bは、それに形成された複数の開口1165bを有するグリッドプレート1050bを示す。これらの開口1165bは、略細長くて長方形のスロットである。幾つかの実施の形態において、細長いスロット1165bは、プラズマビームレットの利用率を最大にし、最後のビームを画定するグリッドの画像を生成するために、1〜2mmの間隔の10cm代の長さ×100μmの幅の寸法を有する。しかしながら、間隔をより大きくすることも考えられ、それによる空間電荷ビーム拡大を利用して、必要な有効範囲を与える均一ビームを得る。開口は、円形及び長方形の他に、他の形状に形成することができると考えられる。グリッドプレートの開口の形状及び寸法は、特定の注入に必要とされる一連のビームレットの形状及び寸法によって定まる。ビームの光学計算及び問題点、例えばエミッタンス及び空間電荷効果は、このような開口の形状及び製造に使用される材料を規定する。第1のグリッドプレートの開口は、特に、グリッドプレート開口で得られるプラズマのメニスカスの形状を維持するために重要である。このメニスカスの形状は、イオンビームの後続の光学特性にとって重要である。第2のグリッドプレートの位置、形状及び印加する負電位場及びメニスカスの形状に対する干渉のその可能性は、イオンビームを、最小限のイオン光学効果で通過させることを保証するために重要であり、一方、逆方向の電子の流れを防止するのに、依然として十分である。
【0075】
2、3個以上のグリッドプレートの組合せにより、グリッドプレートに電圧を加えるDC又はパルス電源装置を単純化することができる。これらの用途の場合、加速電位は、略−5kVの負にバイアスされたグリッドプレートに対して150kV未満であると想定される。適正な真空中の第1のグリッドプレートと第2のグリッドプレート間の間隔は、好ましくは、数cmのオーダであり、第2のグリッドプレートと第3のグリッドプレート間の間隔は、好ましくは、数mmのオーダである。特定の計算及び真空中の距離を用いて、印加電圧を計算することができる。
【0076】
また、第2のグリッドプレート電極は、注入接合プロファイルを最適化するために、抽出イオン特性を最適化、例えば所望のイオン種の密度及びイオンエネルギを高めるパルス整形回路に接続することができる。また、チャンバのプラズマ源は、上述したように、抽出イオン特性を最適化するために、同様のパルス整形回路を用いて、第2のグリッドプレート電極の変調と同時に、パルスでバイアスして変調することができる。
【0077】
イオン注入装置を複雑なマルチモジュールシステム化したシングルビーム(拡大ビームを含む)及び走査機構とは対照的に、本発明のプラズマグリッド注入装置は、それ自体を注入チャンバの構成内に入れた簡単な配置を有する。このような簡単なイオンビーム発生(プラズマによる)及びイオン加速(グリッドプレートアセンブリによる)は、一般的なウエハハンドリングプラットホームと組み合わせることができる単一チャンバアセンブリ内に構成することができる。このようなプラットホームは、製造ラインの他のプロセス、例えば真空蒸着、エッチング及びメタライゼーションをサポートすることができる。図12は、本発明の原理に基づくロードロック注入システム1200の一実施の形態を示す平面図である。ターゲットウエハは、真空チャンバ1210にロードすることができ、そして、真空チャンバ1210において、ロボットは、ターゲットウエハを、真空の下で、幾つかのロードロックチャンバのうちの1つに移動することができる。例えば、ターゲットウエハは、幾つかの注入装置のうちの1つの注入装置1220、例えばプラズマグリッド注入装置700に移動することができる。また、ターゲットウエハは、窒化処理チャンバ1230又は酸化処理及びアニールチャンバ1240、例えばRTPアニールチャンバに移動することができる。
【0078】
さらにまた、このようなプラットホームは、特定のロード―ロック機構を必要としないマルチステージ真空排気方式をサポートすることができる。図13は、本発明の原理に基づいて、注入システム1300を区別して排気するマルチステージの一実施の形態を示す断面図である。注入システム1300において、ターゲットウエハ1380は、注入ステージに到着する前後に、マルチステージを介して移動される。幾つかの実施の形態において、ターゲットウエハ1380は、コンベヤベルト1390によって移動される。しかしながら、他の移転手段を使用することができると考えられる。図13において、ターゲットウエハ1380は、右から左に移動し、次第により強い真空度を印加する各ステージ、すなわちステージ1310、ステージ1320、ステージ1330を通過した後、ステージ1340に到着する。ステージ1310は、より低い真空度V1(例えば0.1mbの圧力になる)を印加する。ステージ1320は、ステージ1310よりも高い真空度V2(例えば0.01mbの圧力になる)を印加する。ステージ1330は、更にステージ1320よりも高い真空度V3(例えば10−4mbの圧力になる)を印加する。最後のステージ1340は、最高の真空度V4を印加する。ステージ1340では、上述した、複数のグリッドプレートアセンブリ(例えば、グリッドプレート1342、1344)を採用したプラズマグリッド注入装置を用いる。一旦、注入ステージが完了すると、ターゲットウエハ1380は、次第により低い真空度を印加するステージ1350、ステージ1360を通過して、最終的にステージ1370に移動する。
【0079】
真空チャンバと、マルチパスロードロック又はマルチステージ区分排気パススルーと、ガス供給装置と、自動化及び工場インタフェースとは、特定用途向け注入装置と直列に構成することができ、あるいは、典型的な大量太陽電池製造システムと直列に構成することができる。好ましくは、注入システム1300の生産能力は、太陽電池製造ラインの自動化に適した1時間当たりウエハ1000枚以上である。
【0080】
エミッタ及び裏面電界(BSF)をドーピングするための均一注入の場合、表面濃度、プロファイル形状及び接合の深さを独立して制御することにより、太陽電池の光変換特性を満たす重要な役割を果たすことができる。このような注入能力は、現在の拡散法では一般的なエミッタの『不感層』の形成を防止する。これらの不感層は、拡散を用いて電気的な接合を形成する際に、表面近傍に集められる不活性の過剰なドーパントの結果として形成される。イオン注入によって実現されるプロファイルの管理により、このような欠点を避けることができる。BSF注入を用いて、一連の不整合問題を有するアルミニウムメタライゼーションの現在の方法を置き換えることができる。また、このようなBSF注入の制御は、バックコンタクトの形成において、重要な利点を与える。
【0081】
太陽電池が正孔対を発生する領域を形成する場合、ドーピングレベルとしては、好ましくは、少なくとも100Ω/□を用いる。一般的に、この領域の過剰なドーパントは、このような電荷キャリアの発生及び輸送を妨げる。この領域は、通常、低エネルギ注入、例えばホウ素、BF、リン、ヒ素、アンチモン及び他の同様なn型又はp型ドーパントが150keV未満で注入される。このような注入は、1E16cm−2未満のドーズ量で実行される。太陽電池用途の場合、有効範囲の均一性の必要条件は、5〜10%と推定される。同様の均一性が、プラズマの均一性でも必要とされる。単一ウエハシステムの利点を実現するためには、各太陽電池は独立して注入されると思われ、それは、注入の重要な能力であり、それによって、選択エミッタ領域に対するドーパントの配置及び活性化を調整して、従来の不感層形成の問題を回避することができる。注入が片面プロセスであるとき、太陽電池のエッジのエッチング又は切断は必要でない。
【0082】
この性能は、ターゲット基板を、グリッドアセンブリ電極の下方に、ビームレットが、均一ビームに空間電荷拡大するのに起因して収束する十分に遠い距離に配置したときだけ、達成される。この位置決めは、ターゲット基板をグリッドアセンブリに及びから離して移動するエレベータを用いることによって、実行することができる。プラズマ強度を変化させ、及び第2のグリッドプレート上の電位を変化させ、また、ときには第1のグリッドプレート上の電位を変化させることにより、ビームの均一性を5%(1σ)未満とする。
【0083】
上述したように、本発明の他の用途は、選択的に注入された領域を生成するための何らかのマスキングを用いることである。このような領域は、選択エミッタ又は選択BSFであるかに応じて、n型又はp型とすることができる。また、それは、全てのバックコンタクト太陽電池の一連の櫛形交番ドーピング(n/p/n/p・・・等)領域とすることができる。この用途の場合、ターゲット基板に加えるマスクは、グリッドアセンブリに非常に近く保持することができ、そこでは、ビームレットは、より区別可能であり、間隔を空けて配置されている。あるいは、必要とされる注入選択性を与えるために、ウエハにシャドウマスクを設けてもよい。グリッドプレートの開口の寸法は、イオンビームを最大に利用するために、基板マスクと一致させることができる。これは、ウエハ上に選択性を保証するマスクが存在するときには、重要でない。
【0084】
他の実施の形態において、本発明のプラズマグリッド注入装置は、金属/半導体コンタクト領域の仕事関数の形成及び調整と、バンドギャップ設計とに用いられる。このステップでは、表面に非常に近い位置に、金属の化学種を注入することによって、金属/シリコンコンタクトは、著しく改善される。同様の装置は、上述したように、選択ドーピング注入の後のグリッド線注入にも用いることができる。このようなシード注入又は仕事関数調整注入によって、コンタクト特性を高めることができる。
【0085】
また、ドーパント原子プロファイルの制御は、プラズマで利用可能な複数の化学種の発生率によって行うことができる。各プラズマ条件は、割合を変えて混合した荷電化学種を有する。このような割合は、制御することができ、再現可能である。このような混合化学種は、所望の原子の分子状態及び多重荷電状態であり、同じ電位バイアスが印加された場合でも、異なるエネルギを有する。例えば、一種類のドーパント材料をプラズマ発生器に供給することができ、そこで、ドーパント材料は、複数のドーパント種に分解される。そして、ターゲット基板に、複数のドーパント種が注入される。例えば、プラズマガス、例えばフォスフィンを用い、フォスフィンは、分解することにより形成されるドーパント種(P、P++、P+++、P、P、P等)の電荷が異なり、生じる量が異なるので、異なる種類の注入を1回の注入ステップだけで行うことができる。各ドーパント種の量(すなわち、全体のイオンビームと比較したそのパーセンテージ)は、プラズマの条件、例えば用いる電力を調整することによって、調整することができる。この点で、ユーザは、ドーパントの分解を管理することができ、要望の割合(例えば、80%のP、10%のP++、5%のP+++、3%のP等)に調整することができる。各化学種は、エネルギが異なるので、異なる深さでウエハに注入される。この特徴は、製造に理想的な所望の形状になる複数の原子プロファイルを形成するために用いることができる。
【0086】
プラズマを収容するチャンバ領域と基板を収容するチャンバ領域間に制限された開口を有する本発明のグリッドプレートを用いることにより、有効な区分排気領域を保証する。プラズマ領域の真空度は、プラズマの形成及びあらゆる他の不必要な化学種の存在を最小にする目的で、制御しなければならない。しかしながら、また、区分排気された基板チャンバも、真空度が、基板表面の気体放出の衝突及びガスのロードロッキングバーストのために幾分変化するので、重要である。また、このグリッドアセンブリは、フリーラジカルと、逆に基板の表面に影響を及ぼす可能性がある他の潜在的な空気中の炭化水素とを防止する。
【0087】
ビームレットの形成と、自然な空間電荷ビームの拡大の結果としてのそれらの後続の拡大とを用いて、横方向の選択領域注入、すなわち均一注入を行うことができる。上述したように、選択注入の場合、ターゲット基板と、画定グリッド又はシャドウマスクとは第3のグリッドプレートに非常に近く配置することができ、あるいは均一注入に関しては、同じ位置とすることができる。グリッドに対して基板が接近する最小距離は、グリッドアセンブリに維持する電圧及び印加した電位によって、決定される。ビームを画定するシャドウマスクの役割は、注入領域の位置決めの忠実度を保証することである。このマスクを用いて、基板に対するマスクの位置合せを向上させることができ、したがって、選択注入領域と、スクリーン印刷又はジェットインク印刷される後続の金属グリッド線との高い重なり度合いを保証する。
【0088】
基板のこのような等角ドーピングを用いて、均一領域と、マスク及び他の独特の選択ドーピング技術を用いることによる選択エミッタ領域との両方を形成することができる。同時に、ドーパントプロファイルは、直流電圧と、露光時間と、ビーム及びプラズマ成分調整の下での基板の移動とによって、独立した表面濃度、プロファイルの形状及び接合の深さが得られるように、調整することができる。さらにまた、ドーパント理論混合比及びプラズマに存在する分子ラジカルの比を用いて、ドーパントプロファイルを、更に向上させることができる。この方法は、選択注入に必要とされる横方向の位置決め利点を与える基板のパルス駆動と、可能な基板裏面アンテナ又は基板の移動を用いることを排除するものではない。
【0089】
本発明の注入装置は、基板サイズから独立して構成することができる。さらに、プラズマの均一性が保たれている限り、基板の複数の部分を同時に注入することができ、それによって、ウエハ1000枚/時間を十分超える生産性が可能である。
【0090】
さらに、本発明は、非見通し線注入方法を提供し、したがって、収縮された領域、例えば表面上にヒロック及び凹角の形状を有することができるマルチ級金属シリコンのテクスチャ加工表面にドーピングすることができる。このような領域をドーピングすることは、ドーピングの不足が金属短絡を起こす可能性があるときには、重要である。ターゲット基板のパルス駆動を採用して、イオンを収縮されたこれらの領域に案内することができる。
【0091】
本発明の注入装置は、太陽電池の用途に対して固有の性能を有する。太陽電池業界で必要とされる生産性を満たすために、複数のピースの同時の均一注入を採用することができ、その後、マスクにより選択注入を行うことができる。しかしながら、このような注入は、あらゆる順番で行うことができる。0.25mの総面積を有する156×156mmの擬似正方形の典型的な4ピース基板の場合、このようなプラズマイオン注入装置は、好ましくは、幅1.2m×高さ0.4mの寸法を有するチャンバを備える。これにより、基板上の注入の均一性を保証するプラズマ及びグリッドオーバフロー領域を可能にする。このような注入装置は、上述したように、マルチステージ区分排気非ロードロック設備と共に用いることができ、基板を、コンベヤ又は他の搬送機構によって大気側から真空側に及び真空側から大気側に移動させることができ、それは、全システムを単純化し、材料費を削減する。
【0092】
本発明の注入装置は、90kVの高電圧バイアスで、以下の式から導かれる少なくとも0.5mA/cmの平均イオン電流密度を発生することになっている:
=(D・Ze(1+γSE)A)/(fΔt・T)×a×b
ここで、典型的なプラズマシステムを考える:
D=ドーズ量[cm−2
f=パルス周波数[s]
t=パルス幅[μs]
Ip=ピーク電流[A]
T=注入時間[s]
Z=荷電状態
e=電子電荷[A−s]
γSE=二次電子放出係数
A=表面積[cm−2
a=ドーパントの理論混合比
b=プラズマ中のラジカルの分子比
一具体例として、PHのガス、1E16cm−2のドーズ量、0.25のドーパントの理論混合比及び0.3のプラズマ中のラジカルの分子比を与える。
【0093】
本発明の注入装置は、複数の化学種に対しても、ドーパントのあらゆる相互汚染を防止するように用いることができる。さらに、幾つかの実施の形態において、チャンバの内壁は、金属汚染及び他の不必要な汚染の可能性を最小にして、清浄、手入れ及び交換を少なくするために、適切な材料で覆われている。さらに、上述したように、周囲の材料からプラズマ又はイオンの相互干渉を制限するために、閉込め型場、例えば電界を、チャンバの内壁に加えることができる。幾つかの実施の形態において、ターゲット基板に必要とされる化学種だけを通過できるように、イオンビームは曲げることができ、固有の場を印加することができる。
【0094】
上述したように、太陽電池のプロファイルは、本発明のプラズマ含有量の調整を用いることによって、更に調整することができ、それは、プラズマ強度及び温度を変更するために、プラズマに結合するマイクロ波又はRFを特別に用いることによって達成することができ、したがって、構成物質の分解を制御することができる。この調整は、ドーパントの理論混合比及びプラズマに存在するラジカルの分子比に影響を及ぼす可能性がある。例えば、固体リンを用いた場合、その様々な成分、例えばP、P++、P+++、P、P、P等を用いて、表面近傍の調整を行うことを保証することができる。この調整は、同様に、他のドーパント、例えばn型ホウ素に対して用いることができる。
【0095】
ドーパントの適切なソース、例えばPH又はBを用いた場合、本発明のプラズマ注入技術の他の利点は、水素の発生である。水素は、他のドーパントと同時に、より高いエネルギで注入され、品質が劣った太陽電池材料に対して固有で役立つオートゲッタリング効果及び表面パシベーション効果を与えるのに役立つ。
【0096】
また、プラズマを加速するエネルギを、別のステップで又は連続して変えることにより、必要とされるプロファイルを形成し、独立した表面濃度を生成し、原子プロファイルの成形及び接合の深さを管理することができる。これは、別の及び既知のステップであってもよく、あるいは、所望のプロファイルと対比するために、必要とされるエネルギで、適切な休止まで連続させることができる。
【0097】
本発明によって生成された平均分布出力密度は、ウエハが独立しているか、あるいは他の基板上に搭載されているかどうかにかかわらず、それ自体を、非常に薄いウエハ(例えば、20μm未満)の注入に適合させ、より厚いウエハが、プロセスを通して100℃未満の温度に留まることを保証する。また、分布出力密度は、非シリコンに基づく基板、例えばCdTe、CIGS及びa−Si薄膜基板の処理を可能にし、それは、低い基板温度動作を必要とする。特にウエハの厚さが薄いとき、ウエハの冷却及び加熱が必要とされ、それは、典型的な裏面水冷又は気体冷却又は他の同様の方法の形で行うことができる。
【0098】
このような分布出力密度により、拡散(高温)及び定方向注入(高い瞬間出力密度)の前には考えられなかった様々なハードマスク(例えば、レジスト)材料を利用することができる。
【0099】
本発明の他の利点は、後続の拡散が必要でないということであり、したがって、可能な限り500℃に近い低温アニールにより、十分に活性化することができ、太陽電池の製造に用いることができるダメージアニールを行うことができる。プラズマグリッド注入は、その高い生産性のために、高いドーズ量で行うことができる。したがって、ドーパントの一部を活性化する場合、また、所望の抵抗率及び性能を達成することができる。また、自動アニーリングを用いることができ、ビームの電力を用いて、基板を、自己アニーリングが起こることができるこのような所望の温度まで加熱することができる。さらにまた、基板、マスク及びグリッドアセンブリの高温のバランスをとることは、注入装置の一般的な動作、制御及び測定における主要な利点とすることができる。
【0100】
また、独特なプラズマグリッド注入装置の高い生産性を利用して、接合−ドーピング用途に関連したSiNx堆積の集積モジュールは、真空を弱めることなく、実現することができる。本発明のプラズマグリッド注入装置を用いて、表面パシベーションを実現することができる。注入と堆積の違いは、イオンのエネルギである。エネルギがより低いほど、イオンは、表面上により留まる。本発明は、非常に低いエネルギ注入を用いることにより、ウエハの表面上に不活性化層、例えば窒化皮膜を形成することができる。現在用いられる技術は、化学プロセスである。本発明は、不活性ガス、例えばシリコン又は窒素をチャンバのプラズマ領域に流し出すことによって、簡単に不活性化層の用途を可能にする。
【0101】
図14は、本発明の原理に基づくイオン注入方法1400の一実施の形態を示すプロセスフローチャートである。ステップ1410において、プラズマを、チャンバのプラズマ領域に供給する。第1のグリッドプレート及び第2のグリッドプレートを、チャンバ内に配置する。ステップ1420において、第2のグリッドプレートを負にバイアスする。第2のグリッドプレートは、複数の開口を有し、第1の位置に配置される。ステップ1430において、第1のグリッドプレートを正にバイアスする。第1のグリッドプレートは、複数の開口を有し、第1の位置に配置される。図14では、第1のグリッドプレートを正にバイアスするステップの前に、第2のグリッドプレートを負にバイアスするステップを示しているが、幾つかの実施の形態においては、第1のグリッドプレートのバイアスは、第2のグリッドプレートのバイアス前に又は同時に開始される。ステップ1440において、プラズマ領域のプラズマからのイオンは、正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流される。ステップ1450において、正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部は、負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流される。ステップ1460において、基板を第1の位置に配置することによって、負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を基板に注入する。そして、均一イオン注入と選択イオン注入の両方を実行するために、調整するグリッドプレート及び/又は基板を配置することによって、プロセスを繰り返すことができる。
【0102】
図15は、本発明の原理に基づくイオン注入方法1500の他の実施の形態を示すプロセスフローチャートである。ステップ1510において、プラズマを、チャンバのプラズマ領域に供給する。ステップ1520において、複数のグリッドプレートを備えるグリッドアセンブリを配置する。各グリッドプレートは、複数の開口を有する。ステップ1530において、グリッドプレートのそれぞれが第1の位置にある間、プラズマ領域のプラズマからのイオンの第1のセットは、グリッドアセンブリのグリッドプレートのそれぞれの開口を通して流される。ステップ1540において、基板を基板ホルダによって第1の位置に支持している間に、グリッドプレートの開口を通して流されたイオンの第1のセットの少なくとも一部を、基板に均一に注入し、それによって、同じグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの第1のセットの組合せから、基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を構成する。ステップ1550において、基板の位置又はグリッドプレートのうちの少なくとも1つを、第2の位置に調整する。ステップ1560において、プラズマ領域のプラズマからのイオンの第2のセットは、第2の位置に調整された後のグリッドアセンブリのグリッドプレートのそれぞれの開口を通して流される。ステップ1570において、上記基板は、第2の位置に調整された後のグリッドプレートで開口を通して流されたイオンの第2のセットの少なくとも一部を、基板に選択的に注入し、それによって、同じグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの第2のセットの一部から、基板上で複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を構成する。
【0103】
図16は、本発明の原理に基づくイオン注入方法1600の更に別の実施の形態を示すプロセスフローチャートである。ステップ1610において、一種類のドーパント材料を、プラズマ発生器に供給する。ステップ1620において、プラズマ発生器は、一種類のドーパント材料を複数のドーパント種に分解する。ステップ1630において、複数のドーパント種を基板に注入する。
【0104】
幾つかの実施の形態においては、異なる種類のドーパント材料の組合せを用いて、異なる複数のドーパント種を注入する。幾つかの実施の形態においては、異なる種類のドーパント材料は、ガス、液体、固体又はあらゆるそれらの組合せとして、前駆体の形で供給することができる。
【0105】
本発明を、構成の原理及び発明の動作の理解を容易にするために、詳細を組み入れた特定の実施の形態について説明した。特定の実施の形態及びその詳細に対するこのような参照は、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲によって定義されるような発明の精神と範囲から逸脱することなく、説明のために選択した実施の形態に他の様々な変更を加えてもよいことは、当業者にとって容易に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを供給するプラズマ源と、
電源によって正にバイアスされ、プラズマ領域のプラズマからのイオンが通過することができる複数の開口を有する第1のグリッドプレートと、
電源によって負にバイアスされ、上記第1のグリッドプレートを通過した後のイオンが通過することができる複数の開口を有する第2のグリッドプレートと、
基板を、上記第2のグリッドプレートを通過した後のイオンを注入する基板の位置に支持する基板ホルダとを備えるプラズマグリッド注入装置。
【請求項2】
上記第1のグリッドプレートは、電源によって正にバイアスされ、
上記第2のグリッドプレートは、電源によって負にバイアスされることを特徴とする請求項1記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項3】
上記第1のグリッドプレート、上記第2のグリッドプレート及び上記基板ホルダのうちの少なくとも1つの位置は、均一注入位置と選択注入位置の間に調整され、
上記均一注入位置は、上記基板ホルダ上の基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を可能にする位置であり、該1回の横方向の均一イオン注入は、上記第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの組合せから形成され、
上記選択注入位置は、上記基板ホルダ上の基板の複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を可能にする位置であり、該複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入は、上記第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンから形成されることを特徴とする請求項1記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項4】
上記第2のグリッドプレートと上記基板ホルダの間に配置された第3のグリッドプレートを更に備え、
上記第3のグリッドプレートは、上記第2のグリッドプレートを通過した後のイオンが通過することができる複数の開口を有することを特徴とする請求項1記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項5】
上記第3のグリッドプレートは接地されていることを特徴とする請求項4記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項6】
上記第3のグリッドプレート及び上記基板ホルダのうちの少なくとも1つの位置は、均一注入位置と選択注入位置の間に調整され、
上記均一注入位置は、上記基板ホルダ上の基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を可能にする位置であり、該1回の横方向の均一イオン注入は、上記第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの組合せから形成され、
上記選択注入位置は、上記基板ホルダ上の基板の複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を可能にする位置であり、該複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入は、上記第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンから形成されることを特徴とする請求項4記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項7】
上記第1のグリッドプレート及び上記第2のグリッドプレートのうちの少なくとも1つの開口は、略丸穴であることを特徴とする請求項1記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項8】
上記第1のグリッドプレート及び上記第2のグリッドプレートのうちの少なくとも1つの開口は、細長いスロットであることを特徴とする請求項1記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項9】
上記第1のグリッドプレート及び上記第2のグリッドプレートのうちの少なくとも1つの開口のそれぞれは、上端部と、下端部とを有し、該下端部は、該上端部よりも上記基板ホルダに近く、
上記各開口の直径は、上記上端部から上記下端部に向かって徐々に拡大することを特徴とする請求項1記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項10】
上記第1のグリッドプレート及び上記第2のグリッドプレートは、シリコン、グラファイト、シリコンカーバイド及びタングステンを含むグループから選択された材料からなることを特徴とする請求項1記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項11】
チャンバ壁によって画定され、上記プラズマ領域、上記第1のグリッドプレート及び上記第2のグリッドプレートを収容するチャンバを更に備え、
上記チャンバ壁は、イオンを、電界を用いて上記プラズマ領域に反発することを特徴とする請求項1記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項12】
上記チャンバ壁には1つ以上の磁石が設けられていることを特徴とする請求項11記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項13】
プラズマをチャンバのプラズマ領域に供給するステップと、
複数の開口を有し、第1の位置に配置された第1のグリッドプレートを、正にバイアスするステップと、
複数の開口を有し、第1の位置に配置された第2のグリッドプレートを、負にバイアスするステップと、
上記プラズマ領域のプラズマからのイオンを、上記正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、
上記正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、上記負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、
上記負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、第1の位置に配置された基板に注入するステップとを有するイオン注入方法。
【請求項14】
複数の開口が形成されたシャドウマスクが、上記基板から所定の距離離れて配置されており、
上記負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、上記基板に注入する前に、上記シャドウマスクの開口を通して流すステップを更に有する請求項13記載のイオン注入方法。
【請求項15】
複数の開口が形成されたフォトレジストマスクが、上記基板に接触して配置されており、
上記負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、上記基板に注入する前に、上記フォトレジストマスクの開口を通して流すステップを更に有する請求項13記載のイオン注入方法。
【請求項16】
上記第1のグリッドプレート、上記第2のグリッドプレート及び上記基板ホルダのうちの少なくとも1つの位置を、第2の位置に調整するステップと、
上記第2の位置に調整の後、上記プラズマ領域にプラズマに供給するステップと、
上記第2の位置に調整の後、上記プラズマ領域のプラズマからのイオンを、上記正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、
上記第2の位置に調整の後、上記正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、上記負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、
上記第2の位置に調整の後、上記負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、基板に注入するステップとを更に有し、
上記第1のグリッドプレート、上記第2のグリッドプレート及び上記基板ホルダの少なくとも1つが上記第1の位置にあるときに実行された上記注入は、上記基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を形成し、該1回の横方向の均一イオン注入は、上記第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの組合せから形成され、
上記第1のグリッドプレート、上記第2のグリッドプレート及び上記基板ホルダのうちの少なくとも1つが上記第2の位置にあるときに実行された上記注入は、上記基板の複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を形成し、該複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入は、上記第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンから形成されることを特徴とする請求項13記載のイオン注入方法。
【請求項17】
上記第2のグリッドプレートと上記基板の間には、第3のグリッドプレートが配置され、
複数の開口を有し、上記第1の位置に配置された上記第3のグリッドプレートは、上記第2のグリッドプレートを通過した後のイオンが通過することができる複数の開口を有することを特徴とする請求項13記載のイオン注入方法。
【請求項18】
上記第3のグリッドプレートは接地されていることを特徴とする請求項17記載のイオン注入方法。
【請求項19】
上記第1のグリッドプレート、上記第2のグリッドプレート、上記第3のグリッドプレート及び上記基板ホルダのうちの少なくとも1つの位置を、第2の位置に調整するステップと、
上記第2の位置に調整の後、上記プラズマ領域にプラズマに供給するステップと、
上記第2の位置に調整の後、上記プラズマ領域のプラズマからのイオンを、上記正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、
上記第2の位置に調整の後、上記正にバイアスされた第1のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、上記負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、
上記第2の位置に調整の後、上記負にバイアスされた第2のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンのうちの少なくとも一部を、上記第3のグリッドプレートの開口を通して流すステップと、
上記第2の位置に調整の後、上記第3のグリッドプレートの開口を通して流されたイオンの少なくとも一部を、基板に注入するステップとを更に有し、
上記第1のグリッドプレート、上記第2のグリッドプレート、上記第3のグリッドプレート及び上記基板ホルダの少なくとも1つが上記第1の位置にあるときに実行された上記注入は、上記基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を形成し、該1回の横方向の均一イオン注入は、上記第3のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの組合せから形成され、
上記第1のグリッドプレート、上記第2のグリッドプレート、上記第3のグリッドプレート及び上記基板ホルダの少なくとも1つが上記第2の位置にあるときに実行された上記注入は、上記基板の複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を形成し、該複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入は、上記第3のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンから形成されることを特徴とする請求項17記載のイオン注入方法。
【請求項20】
上記第1のグリッドプレート及び上記第2のグリッドプレートのうちの少なくとも1つの開口は、略丸穴であることを特徴とする請求項13記載のイオン注入方法。
【請求項21】
上記第1のグリッドプレート及び上記第2のグリッドプレートのうちの少なくとも1つの開口は、細長いスロットであることを特徴とする請求項13記載のイオン注入方法。
【請求項22】
上記第1のグリッドプレート及び上記第2のグリッドプレートのうちの少なくとも1つの開口のそれぞれは、上端部と、下端部とを有し、該下端部は、該上端部よりの上記基板ホルダに近く、
上記各開口の直径は、上記上端部から上記下端部に向かって徐々に拡大することを特徴とする請求項13記載のイオン注入方法。
【請求項23】
上記第1のグリッドプレート及び上記第2のグリッドプレートは、シリコン、グラファイト、シリコンカーバイド及びタングステンを含むグループから選択された材料からなることを特徴とする請求項13記載のイオン注入方法。
【請求項24】
上記プラズマ領域、上記第1のグリッドプレート及び上記第2のグリッドプレートは、チャンバ壁によって画定されるチャンバに収容され、
上記チャンバ壁は、イオンを、電界を用いて上記プラズマ領域に反発することを特徴とする請求項13記載のイオン注入方法。
【請求項25】
上記プラズマにパルス電圧を印加するステップを更に有する請求項13記載のイオン注入方法。
【請求項26】
上記基板にパルス電圧を印加するステップを更に有する請求項13記載のイオン注入方法。
【請求項27】
上記パルス電圧は、上記基板上の複数の異なる位置に向けられることを特徴とする請求項26記載のイオン注入方法。
【請求項28】
上記基板にイオンを注入する前に、該基板を、第1の複数の区分排気ステージを通過させるステップと、
上記第1の複数の区分排気ステージから、上記基板を注入ステージに直接渡すステップと、
上記基板にイオンを注入した後、上記注入ステージから、該基板を、第2の複数の区分排気ステージに直接渡し、該基板を該第2の複数の区分排気ステージを通過させるステップとを有し、
上記第1の複数の区分排気ステージの各ステージは、該第1の複数の区分排気ステージの前のステージよりも圧力が低く、
上記第2の複数の区分排気ステージの各ステージは、該第2の複数の区分排気ステージの前のステージよりも圧力が高く、
上記注入ステージは、上記第1の複数の及び上記第2の複数の区分排気ステージの全てのステージよりも圧力が低いことを特徴とする請求項13記載のイオン注入方法。
【請求項29】
プラズマを供給するプラズマ源と、
上記プラズマからのイオンが通過することができる複数の開口をそれぞれ有する複数のグリッドプレートを有するグリッドアセンブリと、
基板を、上記グリッドプレートの複数の開口を通過した後のイオンを注入する位置に支持する基板ホルダとを備え、
上記基板ホルダ及び上記グリッドプレートのうちの少なくとも1つは、均一注入位置と選択注入位置の間に調整され、
上記均一注入位置は、上記基板ホルダ上の基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を可能にする位置であり、該1回の横方向の均一イオン注入は、上記第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの組合せから形成され、
上記選択注入位置は、上記基板ホルダ上の基板の複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を可能にする位置であり、該複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入は、上記第2のグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンから形成されることを特徴とするプラズマグリッド注入装置。
【請求項30】
上記複数のグリッドプレートは、
プラズマ領域のプラズマからのイオンが通過することができる複数の開口を有する第1のグリッドプレートと、
上記第1のグリッドプレートを通過した後のイオンが通過することができる複数の開口を有する第2のグリッドプレートとを含むことを特徴とする請求項29記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項31】
上記第1のグリッドプレートは、電源によって、DCモードで連続的に、あるいはパルスモードで、正にバイアスされることを特徴とする請求項30記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項32】
上記第2のグリッドプレートは、電源によって、DCモードで連続的に、あるいはパルスモードで、負にバイアスされることを特徴とする請求項31記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項33】
上記複数のグリッドプレートは、上記第2のグリッドプレートを通過した後のイオンが通過することができる複数の開口を有する第3のグリッドプレートを更に含むことを特徴とする請求項32記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項34】
上記第3のグリッドプレートは、接地されていることを特徴とする請求項33記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項35】
上記第1のグリッドプレート、上記第2のグリッドプレート及び上記基板ホルダは、全てそれらが調整される位置を有することを特徴とする請求項30記載のプラズマグリッド注入装置。
【請求項36】
プラズマをチャンバのプラズマ領域に供給するステップと、
複数の開口をそれぞれ有する複数のグリッドプレートを有するグリッドアセンブリを配置するステップと、
上記複数のグリッドプレートのそれぞれが第1の位置にある間に、上記プラズマ領域のプラズマからのイオンの第1のセットを、上記グリッドアセンブリのグリッドプレートのそれぞれの開口を通して流すステップと、
基板が基板ホルダによって第1の位置に支持されている間に、上記グリッドプレートの開口を通して流されたイオンの第1のセットの少なくとも一部を、該基板に均一に注入し、それによって、同じグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの第1のセットの組合せから、基板全体で1回の横方向の均一イオン注入を形成するステップと、
上記基板又は上記グリッドプレートの少なくとも1つの位置を、第2の位置に調整するステップと、
上記第2の位置の調整の後、上記プラズマ領域のプラズマからのイオンの第2のセットを、上記グリッドアセンブリのグリッドプレートのそれぞれの開口を通して流すステップと、
上記第2の位置の調整の後、上記グリッドプレートの開口を流されたイオンの第2のセットの少なくとも一部を、上記基板に選択的に注入し、それによって、同じグリッドプレートの異なる開口を通過したイオンの第2のセットの一部から、該基板の複数回の横方向に間隔を空けられた別々のイオン注入を形成するステップとを有するイオン注入方法。
【請求項37】
上記調整するステップでは、上記基板の位置を調整することを特徴とする請求項36記載のイオン注入方法。
【請求項38】
上記基板の位置を調整することは、該基板を上記グリッドアセンブリに近づけることであることを特徴とする請求項37記載のイオン注入方法。
【請求項39】
上記調整するステップでは、上記グリッドプレートのうちの1つの位置を調整することを特徴とする請求項36記載のイオン注入方法。
【請求項40】
上記グリッドプレートのうちの1つの位置を調整することは、該グリッドプレートのうちの1つを上記基板に近づけることであることを特徴とする請求項39記載のイオン注入方法。
【請求項41】
上記複数のグリッドプレートは、正にバイアスされた第1のグリッドプレートと、負にバイアスされた第2のグリッドプレートとを含むことを特徴とする請求項36記載のイオン注入方法。
【請求項42】
上記複数のグリッドプレートは、接地された第3のグリッドプレートを更に含むことを特徴とする請求項41記載のイオン注入方法。
【請求項43】
プラズマ発生器に第1の単一種類のドーパント材料を供給するステップと、
上記プラズマ発生器において、上記第1の単一種類のドーパント材料を、第1の複数のドーパント種に分解するステップと、
上記第1の複数のドーパント種を基板に注入するステップとを有するイオン注入方法。
【請求項44】
上記基板は、1回の注入ステップで、上記第1の複数のドーパント種が注入されることを特徴とする請求項43記載のイオン注入方法。
【請求項45】
上記ドーパント種のそれぞれは、上記基板に異なる深さで注入されることを特徴とする請求項43記載のイオン注入方法。
【請求項46】
上記第1の単一種類のドーパント材料は、フォスフィンであることを特徴とする請求項43記載のイオン注入方法。
【請求項47】
上記第1の複数のドーパント種は、P、P++、P+++、P、P及びPを含むことを特徴とする請求項46記載のイオン注入方法。
【請求項48】
上記第1の単一種類のドーパント材料は、ホウ素又はヒ素であることを特徴とする請求項43記載のイオン注入方法。
【請求項49】
第2の単一種類のドーパント材料が、上記プラズマ発生器に供給され、
上記プラズマ発生器は、上記第1の単一種類のドーパント材料を上記第1の複数のドーパント種に分解するのと同じ期間中に、上記第2の単一種類のドーパント材料を第2の複数のドーパント種に分解し、
上記第2の複数のドーパント種は、上記第1の複数のドーパント種が上記基板に注入されているのと同じ期間中に、該基板に注入されることを特徴とする請求項43記載のイオン注入方法。
【請求項50】
上記第1の単一種類のドーパント材料及び上記第2の単一種類のドーパント材料は、それぞれ前駆体ガスであることを特徴とする請求項49記載のイオン注入方法。
【請求項51】
上記第1の単一種類のドーパント材料は、アルシンであり、上記第2の単一種類のドーパント材料は、フォスフィンであることを特徴とする請求項50記載のイオン注入方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−531520(P2012−531520A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517699(P2012−517699)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/039690
【国際公開番号】WO2011/005582
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(592014034)インテバック・インコーポレイテッド (29)
【氏名又は名称原語表記】INTEVAC INCORPORATED
【Fターム(参考)】