説明

プラズマディスプレイパネルの輝度及びホワイトバランス調整装置

【目的】 プラズマディスプレイパネルの劣化の影響によるホワイトバランスのずれ及び輝度レベルの低下に追従して自動的にホワイトバランス調整及び輝度レベル調整を行うことが出来るプラズマディスプレイパネルの輝度及びホワイトバランス調整装置を提供することを目的とする。
【構成】 予備放電用行電極を有するプラズマディスプレイパネルの画像表示面に、かかる予備放電用行電極の放電発光による発射光の発光輝度レベルを検出する光センサを付着形成する構成とし、かかる光センサにて検出された上記発光輝度レベルに基づいてホワイトバランス調整及び輝度レベル調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラーディスプレイ装置の輝度及びホワイトバランス調整装置に関し、特にプラズマディスプレイパネルの輝度及びホワイトバランス調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】カラーディスプレイ装置においては、ホワイトバランスのずれを補正して安定した色を再現するために、その工場出荷時においてホワイトバランス調整が行われている。近時種々の研究がなされているプラズマディスプレイ装置においても、同様にかかるホワイトバランス調整が行われる。
【0003】図1は、かかるプラズマディスプレイ装置に対してホワイトバランス調整を実行するための構成を示す図である。図1において、プラズマディスプレイ装置200は、ホワイトバランス調整のための所定映像パターンを発光表示する。光センサ30は、かかるプラズマディスプレイ装置200からの発射光から、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)各色成分毎の発光輝度レベルを検出し、これらを調整信号生成回路40に供給する。調整信号生成回路40は、プラズマディスプレイ装置200のホワイトバランスを適正化すべく、上記発光輝度レベルに基づいて、R、G、B各色成分毎のディスプレイドライブ信号に対する利得調整信号を生成し、これらをプラズマディスプレイ装置200に供給する。プラズマディスプレイ装置200は、これらR、G、B各色成分毎の利得調整信号に応じて、R、G、B各色成分毎のディスプレイドライブ信号に対する利得調整を行う。
【0004】以上の如く、かかるホワイトバランス調整においては、その工場出荷時においてのみに、上述の如き光センサ30及び利得調整信号生成回路40からなる調整装置をプラズマディスプレイ装置200自体に取り付けて実施される。しかしながら、かかるホワイトバランス調整の終了後に、経年変化等によりプラズマディスプレイ装置のディスプレイパネル自体が劣化すると、ホワイトバランスのずれ及び輝度の低下が生じる場合がある。従って、この際、上述の如き調整装置をプラズマディスプレイ装置に取り付けて、ホワイトバランスのみならず輝度レベルをも再調整し直さなければならず、調整操作が煩わしいという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる問題を解決すべくなされたものであり、プラズマディスプレイパネルの劣化の影響によるホワイトバランスのずれ及び輝度レベルの低下に対してもこれに追従して自動的にホワイトバランス調整及び輝度レベル調整を行うことが出来るプラズマディスプレイパネルの輝度及びホワイトバランス調整装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によるプラズマディスプレイパネルの輝度及びホワイトバランス調整装置は、複数の行電極と、予備放電用行電極と、前記行電極の各々に直行する方向に配列され複数の列電極とからなるプラズマディスプレイパネルの輝度及びホワイトバランス調整装置であって、前記プラズマディスプレイパネルの画像表示面に付着形成されており、前記予備放電用行電極の放電発光による発射光の発光輝度レベルを検出する光センサと、前記発光輝度レベルに基づいて前記プラズマディスプレイパネルのホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段と、前記発光輝度レベルに基づいて前記プラズマディスプレイパネルの輝度レベルを調整する輝度レベル調整手段とを有する。
【0007】
【作用】本発明によるプラズマディスプレイパネルの輝度及びホワイトバランス調整装置においては、予備放電用行電極を有するプラズマディスプレイパネルの画像表示面に、かかる予備放電用行電極の放電発光による発射光の発光輝度レベルを検出する光センサを付着形成する構成とし、かかる光センサにて検出された上記発光輝度レベルに基づいてホワイトバランス調整及び輝度レベル調整を行う。
【0008】
【実施例】図2は、本発明による輝度及びホワイトバランス調整装置を備えたプラズマディスプレイ装置の構成を示す図である。図2において、ビデオ信号処理回路1は、供給された複合ビデオ信号から赤色映像成分に対応したRビデオ信号、緑色映像成分に対応したGビデオ信号、及び青色映像成分に対応したBビデオ信号を夫々分離抽出して、これらをホワイトバランス調整回路2に供給する。同期分離回路5は、かかる複合ビデオ信号中から水平及び垂直同期信号を抽出してこれらをタイミングパルス発生回路6に供給する。タイミングパルス発生回路6は、これら水平及び垂直同期信号に基づいた種々のタイミングパルスを発生する。
【0009】ホワイトバランス調整回路2は、後述する調整信号生成回路40’から供給されたホワイトバランス調整信号に応じて上記Rビデオ信号、Gビデオ信号及びBビデオ信号各々のレベル調整を行って、この際得られた調整Rビデオ信号、調整Gビデオ信号及び調整Bビデオ信号各々をA/D変換器3に供給する。図3は、かかるホワイトバランス調整回路2の構成の一例を示す図である。
【0010】図3において、加算器21は、上記Rビデオ信号と、補正DCオフセット信号とを加算したオフセット加算Rビデオ信号をAGC(Auto Gain Control)24に供給する。AGC24は、ゲイン制御信号に応じたゲイン特性にて上記オフセット加算Rビデオ信号の信号レベルを増幅し、この際得られた信号を調整Rビデオ信号としてA/D変換器3に供給する。加算器22は、上記Gビデオ信号と、補正DCオフセット信号とを加算したオフセット加算Gビデオ信号をAGC(Auto Gain Control)25に供給する。AGC25は、ゲイン制御信号に応じたゲイン特性にて上記オフセット加算Gビデオ信号の信号レベルを増幅し、この際得られた信号を調整Gビデオ信号としてA/D変換器3に供給する。加算器23は、上記Bビデオ信号と、補正DCオフセット信号とを加算したオフセット加算Bビデオ信号をAGC(Auto Gain Control)26に供給する。AGC26は、ゲイン制御信号に応じたゲイン特性にて上記オフセット加算Bビデオ信号の信号レベルを増幅し、この際得られた信号を調整Bビデオ信号としてA/D変換器3に供給する。尚、上記補正DCオフセット信号及びゲイン制御信号が、ホワイトバランス調整信号として調整信号生成回路40’から供給されるのである。
【0011】A/D変換器3は、タイミングパルス発生回路6から供給されたタイミングパルスに同期して、上記調整Rビデオ信号、調整Gビデオ信号及び調整Bビデオ信号各々をディジタル画素データに変換し、これらをフレームメモリ8に供給する。メモリ制御回路7は、タイミングパルス発生回路6から供給されたタイミングパルスに同期した書込信号及び読出信号をフレームメモリ8に供給する。フレームメモリ8は、かかる書込信号に応じて、A/D変換器3から供給された各画素データを順次取り込む。又、フレームメモリ8は、かかる読出信号に応じて、このフレームメモリ8内に記憶されている画素データを順次読み出して次段の出力処理回路9へ供給する。
【0012】読出しタイミング信号発生回路20は、予備放電を行うための予備放電パルス、放電発光を開始させるための走査パルス、放電状態を維持するための維持パルス、及び放電発光を停止させるための消去パルス各々の供給タイミングに対応したタイミング信号を発生してこれらを行電極駆動パルス発生回路10に供給する。更に、読出しタイミング信号発生回路20は、画素データパルスの供給タイミングに対応したタイミング信号を発生してこれを出力処理回路9に供給する。又、読出しタイミング信号発生回路20は、後述する調整信号生成回路40’から供給された輝度レベル調整信号に応じて上記維持パルスの供給タイミングに対応したタイミング信号の単位時間あたりの発生回数を調整する。
【0013】出力処理回路9は、フレームメモリ8から供給された画素データ1フィールド毎にその輝度階調に対応した第1〜第8モード画素データを生成し、これらを読出しタイミング信号発生回路20からのタイミング信号に同期して画素データパルス発生回路12に供給する。行電極駆動パルス発生回路10は、読出しタイミング信号発生回路20から供給された各タイミング信号に応答して、放電発光を開始させるための走査パルス、放電状態を維持するための維持パルス、及び放電発光を停止させるための消去パルスを夫々発生してPDP(プラズマディスプレイパネル)11の行電極Y123…Yn-1Yn及びX123…Xn-1Xnに供給する。更に、行電極駆動パルス発生回路10は、読出しタイミング信号発生回路20から供給されたタイミング信号に応答して、PDP11の誘電体層内を予備放電させるための予備放電パルスPY及び予備放電パルスPXを夫々発生し、これらをPDP11の予備放電用行電極YP及び予備放電用行電極XPに夫々印加する。
【0014】画素データパルス発生回路12は、出力処理回路9から供給された1フィールド分の画素データの論理「1」又は「0」夫々に対応した電圧値を有する画素データパルスを発生してこれを各行毎に分割し、この分割した各行毎の画素データパルスを時分割にて列電極D123…Dm-1Dmへ印加する。PDP11における予備放電用行電極YP及び予備放電用行電極XP上には、光センサ30’が設けられている。
【0015】図4は、かかるPDP11の構造を示す図である。図4において、画像表示面である前面ガラス基板110の内面(背面ガラス基板113と対向する面)には、互いに対となるように行電極Y1〜Yn及び行電極X1〜Xnが形成されている。更に、かかる前面ガラス基板110の内面には、一対の予備放電用行電極YP及び予備放電用行電極XPが、上述の行電極対Y1〜Yn及びX1〜Xnと同様な形態にて形成されている。これら行電極の各々は、誘電体層111にて被覆されている。かかる誘電体層111には、Mgo(酸化マグネシウム)層112が蒸着されている。背面ガラス基板113には、赤、緑、青色蛍光体が塗布された列電極D1〜Dmが形成されている。
【0016】更に、前面ガラス基板110の表面には、予備放電用行電極YP及び予備放電用行電極XPの放電発光による発射光のみを検出し得る位置に光センサ30’が付着形成されている。この際、かかる光センサ30’の受光面は、予備放電用行電極YP及びXPと対面している。よって、かかる予備放電用行電極YP及び予備放電用行電極XPの放電発光による発射光は、前面ガラス基板110を介して光センサ30’の受光面に照射されるのである。更に、かかる前面ガラス基板110の表面には、かかる予備放電用行電極YP及びXPの放電発光による発射光が、前面ガラス基板110の表面より外に漏れることを防止すべく遮光マスク114が形成されている。
【0017】光センサ30’は、予備放電用行電極YP及びXPの放電発光による発射光から、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)各色成分毎の発光輝度レベルを検出し、これらを調整信号生成回路40’に供給する。調整信号生成回路40’は、PDP11の表示状態を適正なホワイトバランス状態に補正すべく、かかる光センサ30’にて検出された各色成分毎の発光輝度レベルに基づいて、補正DCオフセット信号及びゲイン制御信号からなるホワイトバランス調整信号を生成し、これをホワイトバランス調整回路2に供給する。更に、調整信号生成回路40’は、かかる光センサ30’にて検出された各色成分毎の発光輝度レベル各々と基準輝度レベルとの減算を行いこの減算値に対応した輝度レベル調整信号を生成してこれを読出しタイミング信号発生回路20に供給する。
【0018】次に、かかる構成からなるプラズマディスプレイ装置において実行される動作について説明する。先ず、行電極駆動パルス発生回路10は、正極性の予備放電パルスPX及び負極性の予備放電パルスPYを、夫々PDP11の予備放電用行電極XP及び予備放電用行電極YPに印加する。これにより、予備放電用行電極XP及びYP間に放電発光が生じる。かかる放電発光に応じて予備放電用行電極XP及びYP近傍に空間電荷が発生して予備放電が完了する(予備放電行程)。
【0019】次に、画素データパルス発生回路12は、各行毎に対応した画素データパルスを列電極D1〜Dmに印加する。かかる動作に同期して行電極駆動パルス発生回路10は、放電発光を開始させるための走査パルス、放電状態を維持するための維持パルス、及び放電発光を停止させるための消去パルスを行電極Y1〜Yn及びX1〜Xnに順次印加して行く(画素データ書込み行程)。
【0020】この際、上記の予備放電行程において、光センサ30’は、予備放電用行電極XP及びYP間に生じた予備放電による発射光からR(赤色)、G(緑色)、B(青色)各色成分毎の発光輝度レベルを検出してこれらを調整信号生成回路40’に供給する。調整信号生成回路40’は、PDP11の表示状態を適正なホワイトバランス状態に補正すべく、かかる光センサ30’にて検出された各色成分毎の発光輝度レベルに基づいて、補正DCオフセット信号及びゲイン制御信号からなるホワイトバランス調整信号を生成してこれをホワイトバランス調整回路2に供給する。更に、調整信号生成回路40’は、かかる光センサ30’にて検出された各色成分毎の発光輝度レベル各々と基準輝度レベルとの減算を行いこの減算値に対応した輝度レベル調整信号を生成してこれを読出しタイミング信号発生回路20に供給する。
【0021】以上の如き動作により、ホワイトバランス調整回路2には、かかるホワイトバランス調整信号に応じたDCオフセット値及びゲイン特性が設定される。ホワイトバランス調整回路2は、かかる設定に従ってビデオ信号処理回路1から供給されたRビデオ信号、Gビデオ信号、及びBビデオ信号各々の信号レベルを調整してホワイトバランス調整を為すのである。更に、行電極駆動パルス発生回路10は、放電状態を維持するための維持パルスを、上記輝度レベル調整信号に応じた単位時間あたりの供給回数にて行電極Y1〜Yn及びX1〜Xnに印加する。つまり、光センサ30’にて検出された発光輝度レベルが基準輝度レベルより低い場合は、PDP11の発光輝度レベルを上げるべく、単位時間あたりの維持パルスの印加回数を増やすのである。
【0022】
【発明の効果】以上の如く、本発明によるプラズマディスプレイパネルの輝度及びホワイトバランス調整装置においては、予備放電用行電極を有するプラズマディスプレイパネルの画像表示面に、かかる予備放電用行電極の放電発光による発射光の発光輝度レベルを検出する光センサを付着形成する構成とし、かかる光センサにて検出された上記発光輝度レベルに基づいてホワイトバランス調整及び輝度レベル調整を行うようにしている。
【0023】よって、本発明によれば、プラズマディスプレイパネルの発光状態に基づいたホワイトバランス調整及び輝度レベル調整が自動的になされることになるので、煩わしい調整操作を必要とすることなく、常時、適切なホワイトバランス状態及び輝度レベルを維持することが出来て好ましいのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のホワイトバランス調整を実行するための装置構成を示す図である。
【図2】本発明による輝度及びホワイトバランス調整装置を備えたプラズマディスプレイ装置の構成を示す図である。
【図3】ホワイトバランス調整回路2の構成の一例を示す図である。
【図4】PDP11の構造を示す図である。
【主要部分の符号の説明】
2 ホワイトバランス調整回路
30’ 光センサ
40’ 調整信号生成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の行電極と、予備放電用行電極と、前記行電極の各々に直行する方向に配列され複数の列電極とからなるプラズマディスプレイパネルの輝度及びホワイトバランス調整装置であって、前記プラズマディスプレイパネルの画像表示面に付着形成されており、前記予備放電用行電極の放電発光による発射光の発光輝度レベルを検出する光センサと、前記発光輝度レベルに基づいて前記プラズマディスプレイパネルのホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段と、前記発光輝度レベルに基づいて前記プラズマディスプレイパネルの輝度レベルを調整する輝度レベル調整手段とを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの輝度及びホワイトバランス調整装置。
【請求項2】 前記光センサは、前記画像表示面上における前記予備放電用行電極と対面する位置に付着形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの輝度及びホワイトバランス調整装置。
【請求項3】 前記光センサは、前記予備放電用行電極の放電発光から赤色、緑色、青色の色成分毎の発光輝度レベルを検出することを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの輝度及びホワイトバランス調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開平8−9415
【公開日】平成8年(1996)1月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−141835
【出願日】平成6年(1994)6月23日
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)