説明

プラズマディスプレイパネル

【課題】 PDPの周縁部に形成される非表示領域の幅を小さくする。
【解決手段】 前面ガラス基板10と背面ガラス基板13を互いに貼り付けるとともに放電空間Sを封止する封止層18と、放電空間Sを放電セルCごとに区画する隔壁15とを備え、封止層18が、放電空間Sの非表示領域E12内に位置されて表示領域E11の周囲を囲む枠状に形成された枠部分18Aと、表示領域E11内の隔壁15によって区画された放電セルCの間に位置される横壁部18Bとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラズマディスプレイパネルの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)は、二枚の基板の間の密閉された放電空間内に、マトリックス状に配列されて三原色に色分けされた放電セルが形成され、この放電セルが選択的に発光されることによって、パネルの表示面に映像信号に対応した映像を形成する。
【0003】
このPDPの放電空間は、所要の間隔を開けて対向される二枚の基板の間の周縁部に形成された封止層によって封止され、さらに、排気によって真空状態にされたこの空間内に放電ガスが封入されることによって構成される。
【0004】
この二枚の基板の間に形成される封止層は、二枚の基板を互いに貼り合わせる機能と放電空間内の密閉状態を保持する機能とを合わせ持っている。
【0005】
このため、二枚の基板の貼り合わせ強度と放電空間の密閉強度を確保するために、封止層と各基板との間の融着面積が所定値以上に大きいことが要求され、この融着面積が小さい場合には、二枚の基板の貼り合わせ強度が不足するとともに、封止層におけるリークが発生する虞が生じる。
【0006】
図1は、このような封止層と基板間における貼り合わせ強度と放電空間の密閉性を確保するために提案されているPDPの構成を示している。
【0007】
この図1のPDP1は、背面ガラス基板2上の周縁部の非表示領域E2内に、枠状の第1封止層3が形成され、さらに、この第1封止層3の内側に枠状の第2封止層4が形成されていて、この第1封止層3と第2封止層4とによって第2封止層4の内側の放電空間が二重に封止されている。
【0008】
なお、図1中、符号5は、表示領域E1内において放電空間を放電セル毎に区画する隔壁である(特許文献1参照)。
【0009】
この図1のPDP1は、第1封止層3と第2封止層4とによって封止層が二重に形成されることによって、封止層と背面ガラス基板2および図示しない前面ガラス基板のそれぞれとの間の融着面積が増大されて、背面ガラス基板2と前面ガラス基板の貼り合わせ強度が確保されるとともに、封止層におけるリークの発生が防止される。
【0010】
しかしながら、この従来のPDP1は、封止層を二重に形成するために、この封止層が位置する非表示領域の幅を大きく設定する必要が生じ、このために、パネルの表示領域部分に対して非表示領域部分の面積の比率が増大してしまうという問題を発生する。
【0011】
さらに、近年、図2に示されるように、PDPを縦横に配列して、大型のマルチ表示装置を構成することが提案されているが、このようなマルチ表示装置を上記のような構成のPDP1によって構成しようとする場合に、各PDP1において二重の封止層の形成により非表示領域E2の幅がそれぞれ大きくなっていることによって、縦横に配列される各PDP1のそれぞれの表示領域E1間に形成される映像が表示されない目地部分Jが大きくなり、これによって、マルチ表示装置を構成する複数のPDP1によって形成される映像の一体感が損なわれて、視聴者にとって非常に見苦しいものになってしまうという問題が発生する。
【0012】
【特許文献1】特開2000−30618号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この発明は、上記のような従来のPDPにおける問題点を解決することをその課題の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明(請求項1に記載の発明)によるプラズマディスプレイパネルは、上記目的を達成するために、放電空間を介して互いに対向される一対の基板の間に形成されて基板を互いに貼り付けるとともに放電空間を封止する封止層と、この一対の基板間に形成されて放電空間を放電セルごとに区画する隔壁とを備え、放電空間の中央部分に表示領域が設けられるとともにこの表示領域と封止層との間の表示領域を囲む部分に非表示領域が設けられているプラズマディスプレイパネルにおいて、前記封止層が、放電空間の非表示領域内に位置されて表示領域の周囲を囲む枠状に形成された第1封止部と、表示領域内の隔壁によって区画された放電セルの間に位置される第2封止部とを有していることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明は、放電空間を介して前面ガラス基板と背面ガラス基板が互いに対向され、この前面ガラス基板と背面ガラス基板間の周縁部が封止層によって封止されており、放電空間が略梯子形状に成形されて行方向に延びるとともに列方向に所要の隙間を介して併設された複数の隔壁によって放電セル毎に区画されており、封止層が、放電空間の非表示領域内に位置されて表示領域の周囲を囲む枠状に形成された枠部分(第1封止部)と、略梯子形状の隔壁間の隙間内において表示領域内に位置される横壁部(第2封止部)とによって構成されているPDPをその最良の実施形態としている。
【0016】
この実施形態によるPDPは、封止層の一部がパネルの非表示領域部分のみならず、表示領域部分にも形成されていることによって、封止層の非表示領域部分に位置される枠部分の幅を従来のPDPの封止層の幅よりも狭めた場合でも、封止層と前面ガラス基板および背面ガラス基板との間に必要な融着面積が確保され、これによって、前面ガラス基板と背面ガラス基板の貼り合わせ強度と放電空間の密閉強度とを確保しながら非表示領域の幅を減少させて、PDPの表示領域部分に対する非表示領域部分の比率を減少させることが出来るようになる。
【0017】
そして、このことにより、上記PDPによってマルチ表示装置が構成される場合に、各PDP間にそれぞれの非表示領域によって形成される目地の幅を小さくして、マルチ表示装置によって表示される映像の一体感を保つようにすることが可能になる。
【0018】
さらに、この実施形態のPDPによれば、パネルの表示領域内においても封止層の横壁部によって前面ガラス基板と背面ガラス基板の貼り合わせが行われるので、基板に生じている撓みや外気圧の減少による膨らみ等によって基板と隔壁との間に不均一な隙間が生じることによる異音の発生を防止することが出来る。
【実施例1】
【0019】
図3は、この発明の実施形態の第1の実施例におけるPDPの表示領域部分の構成を模式的に表す平面図であり、図4は図3のV−V線における断面図であり、図5は同実施例におけるPDPの非表示領域を含む周縁部分の構成を前面ガラス基板を除いた状態で示す部分構成図である。
【0020】
先ず、図3および4に基づいて、この実施例におけるPDPの表示領域部分の構成について説明を行う。
【0021】
この図3および4において、PDPは、表示面である前面ガラス基板10の背面に、それぞれ表示ラインLを形成する複数の行電極対(X,Y)が、前面ガラス基板10の行方向(図3の左右方向)に延びるように平行に配列されている。
【0022】
行電極対(X,Y)を構成する行電極Xは、T字形状に形成されたITO等の透明導電膜からなる透明電極Xaと、前面ガラス基板10の行方向に延びて透明電極Xaの基端部に接続された金属膜からなるバス電極Xbとによって構成されている。
【0023】
行電極Yも同様に、T字形状に形成されたITO等の透明導電膜からなる透明電極Yaと、前面ガラス基板10の行方向に延びて透明電極Yaの基端部に接続された金属膜からなるバス電極Ybとによって構成されている。
【0024】
この行電極XとYは、前面ガラス基板10の列方向(図3の上下方向)に交互に配列されており、バス電極XbとYbに沿って並列されたそれぞれの透明電極XaとYaが、互いに対となる相手の行電極側に延びて、透明電極XaとYaの幅広の頂辺が、それぞれ所要の幅の放電ギャップgを介して互いに対向されている。
【0025】
前面ガラス基板10の背面には、さらに、行電極対(X,Y)を被覆するように誘電体層11が形成されており、この誘電体層11の背面には、互いに隣接する行電極対(X,Y)の背中合わせに位置するバス電極XbとYbおよびこの背中合わせに位置するバス電極XbとYbの間の領域部分に対向する位置に、誘電体層11の背面側に突出する嵩上げ誘電体層11Aが、バス電極Xb,Ybと平行に延びるように形成されている。
【0026】
そして、この誘電体層11と嵩上げ誘電体層11Aの背面側には、MgOからなる保護層12が形成されている。
【0027】
一方、前面ガラス基板10に対して平行に対向される背面ガラス基板13の表示側の面上には、列電極Dが、それぞれ、行電極対(X,Y)の互いに対になった透明電極XaとYaに対向する位置において行電極対(X,Y)と直交する方向(列方向)に延びるように、互いに所定の間隔を開けて平行に配列されている。
【0028】
背面ガラス基板13の表示側の面上には、さらに、列電極Dを被覆する列電極保護層(誘電体層)14が形成され、この列電極保護層14上に、隔壁15が形成されている。
【0029】
この隔壁15は、各行電極対(X,Y)に対向する部分毎に略梯子形状に成形されており、後述するように、それぞれ行方向に延びるとともに、互いの間に隙間SLを開けた状態で列方向に並設されている。
【0030】
すなわち、各隔壁15は、行電極対(X,Y)を構成する行電極X,Yのバス電極Xb,Ybにそれぞれ対向する位置においてこのバス電極Xb,Ybと平行に延びる一対の横壁15Aと、互いに平行に並設された各列電極Dの間の位置において一対の横壁15A間を列方向に延びる複数の縦壁15Bとによって略梯子形状に形成されている。
【0031】
そして、列方向において隣接する隔壁15の互いに背中合わせに対向する横壁15A間に、それぞれ隙間SLが形成されている。
【0032】
この隔壁15によって、前面ガラス基板10と背面ガラス基板13の間に形成される放電空間Sが、各行電極対(X,Y)のそれぞれ対になっている透明電極XaとYaに対向する部分毎に区画されて、それぞれ方形の放電セルCが形成されている。
【0033】
各放電セルC内において、隔壁15の放電セルCに面する横壁15Aおよび縦壁15Bと列電極保護層14の表面には、これらの五つの面を覆うように、蛍光体層16が形成されている。
【0034】
そして、この蛍光体層16は、各放電セルC毎に三原色である赤,緑,青に色分けされて、この赤,緑,青の色が行方向に順に並ぶように配列されている。
【0035】
放電空間S内には、放電ガスが封入されている。
【0036】
次に、図5に基づいて、上記PDPの非表示領域部分を含む周縁部分の構成について説明を行う。
【0037】
この図5において、PDPの各隔壁15の両端部(図5には左側端部のみ表示されている)には、それぞれ、蛍光体層が形成されていない複数個(図示の例では1個)のダミー・セルC1Aが形成されており、さらに、この第1ダミー・セルC1Aの外側の隔壁15の最外端部部分に、蛍光体層が形成されておらず側方が解放された第2ダミー・セルC1Bが形成されている。
【0038】
さらに、背面ガラス基板13上において、最上部に位置する隔壁15よりも上方位置および最下部に位置する隔壁15よりも下方位置(図5には最下部のみ表示されている)には、それぞれ、行方向に延びるダミー隔壁17が、隣接する隔壁15間の場合と同様に、隙間SLを挟んで隔壁15と平行に形成されている。
【0039】
このダミー隔壁17は、隙間SLを挟んで隔壁15の横壁15Aと対向する一本の横壁17Aと、この横壁17Aから隣接する隔壁15と反対の列方向(背面ガラス基板13の外方)に延びる複数の縦壁17Bとによって、略櫛歯形状に成形されている。
【0040】
背面ガラス基板13上の放電セルCがマトリックス状に配列された部分が、表示領域E11に設定され、この表示領域E11の周囲の第1ダミー・セルC1Aおよび第2ダミー・セルC1B,ダミー隔壁17を含む部分が非表示領域E12に設定されている。
【0041】
そして、背面ガラス基板13上の表示領域E11を囲む部分に、前面ガラス基板10と背面ガラス基板13との間の放電空間Sを封止する封止層18が形成されている。
【0042】
この封止層18は、非表示領域E12内において背面ガラス基板13の周縁部に沿って枠状に成形された枠部分18Aと、隔壁15間および隔壁15とダミー隔壁17間のそれぞれの隙間SL内を、枠部分18Aの側枠部分から表示領域E11内の所要の位置まで行方向に延びる複数の横壁部18Bとから構成されている。
【0043】
この封止層18の枠部分18Aは、隔壁15の第2ダミー・セルC1B内とダミー隔壁17の櫛歯内にも、これらを充満させる状態で形成されている。
【0044】
そして、この封止層18の枠部分18Aおよび横壁部18Bの高さは、隔壁15およびダミー隔壁17の高さよりも高くなるように形成されていて、背面ガラス基板13に前面ガラス基板10が重ね合わされている状態で、封止層18の枠部分18Aおよび横壁部18Bが、前面ガラス基板10の背面側に当接してこの前面ガラス基板10の背面側に融着されることにより、前面ガラス基板10と背面ガラス基板13が張り合わされるとともに、前面ガラス基板10と背面ガラス基板13の間の放電空間Sが密閉される。
【0045】
なお、封止層18の横壁部18Bは、従来の封止層の形成方法と同様に、フリット・ペーストをノズル・コートまたは印刷によって背面基板に塗布することによって形成することが出来るが、このとき、枠部分18Aの形成位置にのみフリット・ペーストを枠部分18Aの形成に必要な量以上に塗布して、このフリット・ペーストによる層の高さが隔壁15の高さよりも高くなるようにしておけば、この状態で前面ガラス基板10が重ね合わされた際に、枠部分18Aの形成位置に塗布されているフリット・ペーストが前面ガラス基板10によって圧縮されて隙間SL内に進入してゆき、これによって、枠部分18Aと横壁部18Bが一体成形された封止層18が容易に形成される。
【0046】
上記構成のPDPによれば、封止層18の横壁部18Bがパネルの非表示領域E12内から表示領域E11内に延びる位置まで形成されていることによって、枠部分18Aの幅を従来のPDPの封止層の幅よりも狭めた場合でも、封止層18と前面ガラス基板10および背面ガラス基板13とのそれぞれの間に必要な融着面積が確保され、これによって、前面ガラス基板10と背面ガラス基板13の貼り合わせ強度と放電空間Sの密閉強度とを確保しながら非表示領域E12の幅を減少させて、PDPの表示領域部分に対する非表示領域部分の面積比率を減少させることが出来るようになる。
【0047】
そして、このことにより、上記PDPによってマルチ表示装置が構成される場合に、各PDP間にそれぞれの非表示領域E12によって形成される目地(図2参照)の幅を小さくして、マルチ表示装置によって表示される映像の一体感を保つようにすることが可能になる。
【0048】
例えば、マルチ表示装置によって表示される映像の一体感を保つためには、各PDPの非表示領域E12の幅が2mm前後であることが好ましい場合に、封止層18の横壁部18Bが3mm以上の長さに形成されることによって、非表示領域E12内に形成される幅2mmの枠部分18Aと合わせて、基板の貼り合わせ強度と放電空間Sの密閉強度の確保に必要な5mm以上の封止層の幅が確保される。
【0049】
さらに、上記構成のPDPによれば、前面ガラス基板10または背面ガラス基板13に生じている撓みや外気圧の減少による前面ガラス基板10の膨らみ等によって前面ガラス基板10と隔壁15との間に不均一な隙間が生じることによる異音の発生を防止することが出来る。
【0050】
すなわち、上記のPDPは、封止層18の横壁部18BがPDPの表示領域E11内に延びて、前面ガラス基板10と背面ガラス基板13とを互いに貼り合わせていることによって、前面ガラス基板10と背面ガラス基板13が表示領域E11内においても所定の間隔を保つように保持されるので、従来のPDPのように基板と隔壁との間に生じる不均一な隙間によって、PDPの駆動時に基板が振動して隔壁にぶつかることにより異音が発生するといった状態の発生が防止される。
【0051】
ここで、封止層18の横壁部18Bは、表示領域E11内における非表示領域部分である隔壁15間および隔壁15とダミー隔壁17間の隙間SL内に位置されているため、表示領域E11内における画像形成に悪影響を及ぼす虞は無い。
【0052】
なお、この封止層18の横壁部18Bは、隔壁15間および隔壁15とダミー隔壁17間の隙間SL内に形成されることによって、横壁部18Bを形成するためのフリット・ペーストが背面ガラス基板13上に塗布される際に、隙間SLを挟んで対向する隔壁15の横壁15Aおよびダミー隔壁17の横壁17Aによって規制されるので、放電セルC内に食み出すことなく所定位置に形成される。
【0053】
また、この封止層18の横壁部18Bは、隔壁15間および隔壁15とダミー隔壁17間の隙間SL内において、背面ガラス基板13上の枠部分18Aと同じ平面上(すなわち、列電極保護層14上)に形成されることによって、枠部分18Aと同じ膜厚制御によって形成が可能である。
【0054】
上記のPDPは、隔壁15の他に、パネルの上部および下部にダミー隔壁17が形成されており(図5には、パネルの下部部分のみ表示されている)、さらに各隔壁15の最外端部に第1ダミー・セルC1Aおよび第2ダミー・セルC1Bが形成されているが、これは、製造工程において基板上に隔壁を形成する場合に、基板の周縁部分においてはその形成状態が安定しない場合があり、基板の周縁部分に形成された規定の寸法を有しない隔壁によって区画されるセルをそのまま放電セルとして使用することが出来ないので、正規の放電セルCが形成される部分の外側にマージンを確保して、放電セルCが全て規定の寸法を有するようにするためである。
【0055】
上記のPDPにおいては、このダミー隔壁17および第1ダミー・セルC1A,第2ダミー・セルC1B内にも封止層18の枠部分18Aが形成されていることによって、スペースの有効活用により、非表示領域E12の幅をさらに小さくすることが出来る。
【0056】
図6は、上記PDPの変形例を示している。
【0057】
図5に示されているPDPのダミー隔壁17が横壁17Aと縦壁17Bとによって略櫛歯形状に成形されているのに対し、この図6のPDPは、並設された隔壁15の上方部および下方部に位置されるダミー隔壁27(図6は隔壁15の下方部に形成されたダミー隔壁27のみが表示されている)が、横壁のみによって帯状に形成されている。
【0058】
そして、封止層28は、非表示領域E12内において背面ガラス基板13の周縁部に沿って枠状に成形された枠部分28Aと、隔壁15間および隔壁15とダミー隔壁27間のそれぞれの隙間SL内を、枠部分28Aの側枠部分から表示領域E11内の所要の位置まで行方向に延びる複数の横壁部28Bとから構成されており、この封止層28の枠部分28Aは、隔壁15の第2ダミー・セルC1B内を充満させ、さらにダミー隔壁27に外方から当接する位置まで形成されている。
【0059】
他の部分の構成は、図5のPDPと同様であり、同一の構成部分については、図5と同一の符号が付されている。
【0060】
この図6の例のPDPも、図5の例のPDPと同様に、封止層28と背面ガラス基板13および図示されていない前面ガラス基板との間の必要な融着面積を確保したまま、非表示領域E12の幅を小さくすることが出来る。
【0061】
なお、上記図5および6には、パネルの左下側または右下側コーナ部の一部のみが表示されているが、パネルの他の部分の構成も同様である。
【実施例2】
【0062】
図7は、この発明によるPDPの実施形態における第2の実施例を前面ガラス基板を取り外した状態で示す正面図である。
【0063】
前述した第1実施例におけるPDPの封止層18,28の横壁部18B,28Bが枠部分18A,28Aと一体的に形成されて側方から隙間SL内に延びているのに対し、この例の封止層38は、その非表示領域E12内に位置される枠部分38Aと隔壁15間の隙間SL内に位置される横壁部38Bが分離して形成され、横壁部18Bが、各隙間SL内の中央位置に位置されるように形成されている。
【0064】
この例におけるPDPも、第1実施例におけるPDPと同様に、表示領域E11内に形成される横壁部38Bによって封止層38と背面ガラス基板13および図示されていない前面ガラス基板との間に必要な融着面積を確保したまま、非表示領域E12内に位置される封止層38の枠部分38Aの幅を小さくすることが出来、これに伴って非表示領域E12の幅を従来のものよりも小さくすることが出来る。
【0065】
そして、この例のPDPは、封止層38の横壁部38Bが、第1実施例のPDPの封止層18,28の横壁部18B,28Bと比べてPDPの中央部に位置されるため、PDPの中央部における前面ガラス基板と背面ガラス基板13の貼り付け強度が強化され、さらに、これに伴って、前面ガラス基板側と隔壁15との間に不均一な隙間が形成されることに起因するPDP駆動時の異音発生の防止機能がさらに強化される。
【実施例3】
【0066】
図8は、この発明によるPDPの実施形態における第3の実施例を前面ガラス基板を取り外した状態で示す正面図である。
【0067】
前述した第1実施例におけるPDPの封止層18,28の横壁部18B,28Bが枠部分18A,28Aと一体的に形成されて側方から隙間SL内に延びているのに対し、この例の封止層48は、その非表示領域E12内に位置される枠部分48Aと隔壁15間の隙間SL内に位置される横壁部48Bが分離して形成され、さらに、各横壁部48Bが、それぞれ隙間SL内の中央位置において、左右二つの部分に分離して形成されている。
【0068】
この例におけるPDPも、第1実施例におけるPDPと同様に、表示領域E11内に形成される横壁部48Bによって封止層48と背面ガラス基板13および図示されていない前面ガラス基板との間の必要な融着面積を確保したまま、非表示領域E12内に位置される封止層48の枠部分48Aの幅を小さくすることが出来、これに伴って非表示領域E12の幅を従来のものよりも小さくすることが出来る。
【0069】
そして、この例のPDPは、封止層48のそれぞれ左右二つに分離された横壁部48Bが、第1実施例のPDPの封止層18,28の横壁部18B,28Bと比べてPDPの中央部に位置されるため、PDPの中央部における前面ガラス基板と背面ガラス基板13の貼り付け強度が強化され、さらに、これに伴って、前面ガラス基板側と隔壁15との間に不均一な隙間が形成されることに起因するPDP駆動時の異音発生の防止機能がさらに強化される。
【実施例4】
【0070】
図9は、この発明によるPDPの実施形態における第4の実施例を前面ガラス基板を取り外した状態で示す正面図である。
【0071】
前述した第1実施例におけるPDPの封止層18,28の枠部分18A,28Aと一体的に形成された横壁部18B,28Bが隙間SLの両側からこの隙間SL内に延びているのに対し、この例の封止層58は、非表示領域E12内に位置される枠部分58Aの一方の側枠部(図示の例では、右側の側枠部)に対して横壁部58Bが連結されるように一体的に形成されており、この横壁部58Bが、隔壁15間の隙間SL内を、一方の端部側(図示の例では右端側)からパネルの中央位置を過ぎて他方の端部側(図示の例では左端側)に近接する位置まで延びるように形成されている。
【0072】
この例におけるPDPも、第1実施例におけるPDPと同様に、表示領域E11内に形成される横壁部58Bによって封止層58と背面ガラス基板13および図示されていない前面ガラス基板との間の必要な融着面積を確保したまま、非表示領域E12内に位置される封止層58の枠部分58Aの幅を小さくすることが出来、これに伴って非表示領域E12の幅を従来のものよりも小さくすることが出来る。
【0073】
そして、この例のPDPは、封止層58の横壁部58Bが、第1実施例のPDPの封止層18,28の横壁部18B,28Bと比べてPDPの中央部に位置されるため、PDPの中央部における前面ガラス基板と背面ガラス基板13の貼り付け強度が強化され、さらに、これに伴って、前面ガラス基板側と隔壁15との間に不均一な隙間が形成されることに起因するPDP駆動時の異音発生の防止機能がさらに強化される。
【実施例5】
【0074】
前述した第1ないし第4実施例のPDPが、パネルの非表示領域内に位置される枠部分とともに封止層を構成する横壁部が隔壁間に形成された隙間内に位置されているのに対し、この実施例は、例えば、隔壁が格子形状に形成されて、隔壁の表示ライン間部分に隙間が形成されていないPDPに適用が可能なものである。
【0075】
すなわち、非表示領域内に位置する枠部分とともに封止層を構成して表示領域内に位置される横壁部が、格子形状の隔壁の場合には横壁上に形成され、また、ストライプ状の隔壁の場合には列方向において隣接する放電セル間の蛍光体が形成される領域およびストライプ状の隔壁上に形成される。
【0076】
この例におけるPDPも、前述した各実施例におけるPDPと同様に、表示領域内に形成される横壁部によって封止層と前面ガラス基板および背面ガラス基板との間の必要な融着面積を確保したまま、非表示領域内に位置される封止層の枠部分の幅を小さくすることが出来、これに伴って非表示領域の幅を従来のものよりも小さくすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】従来のPDPの構成を示す断面図である。
【図2】従来のマルチ表示装置を示す正面図である。
【図3】この発明の実施形態における第1実施例を示す正面図である。
【図4】図3のV−V線における断面図である。
【図5】同実施例において、PDPのコーナ部を前面ガラス基板を取り外した状態で示す部分断面図である。
【図6】同実施例におけるPDPの変形例を示す部分断面図である。
【図7】この発明の実施形態における第2実施例を示す正面図である。
【図8】この発明の実施形態における第3実施例を示す正面図である。
【図9】この発明の実施形態における第4実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0078】
10 …前面ガラス基板(基板)
13 …背面ガラス基板(基板)
15 …隔壁
15A …横壁
15B …縦壁
17,27 …ダミー隔壁(第2隔壁)
17A …横壁
17B …縦壁
18,28,38,48,58 …封止層
18A,28A,38A,48A,58A …枠部分(第1封止部)
18B,28B,38B,48B,58B …横壁部(第2封止部)
C …放電セル
C1A …第1ダミー・セル
C1B …第2ダミー・セル(セル)
E11 …表示領域
E12 …非表示領域
SL …隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電空間を介して互いに対向される一対の基板の間に形成されて基板を互いに貼り付けるとともに放電空間を封止する封止層と、この一対の基板間に形成されて放電空間を放電セルごとに区画する隔壁とを備え、放電空間の中央部分に表示領域が設けられるとともにこの表示領域と封止層との間の表示領域を囲む部分に非表示領域が設けられているプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記封止層が、放電空間の非表示領域内に位置されて表示領域の周囲を囲む枠状に形成された第1封止部と、表示領域内の隔壁によって区画された放電セルの間に位置される第2封止部とを有していることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
前記封止層の第2封止部が、第1封止部と一体に形成されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
前記封止層の第2封止部が、第1封止部に対して分離されて形成されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項4】
前記隔壁の隣接する放電セルの間を区画する壁部分に隙間が形成され、この隔壁の壁部分に形成された隙間内に封止層の第2封止部が位置されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項5】
前記隔壁が、互いに所要の間隔を開けて行方向に延びる一対の横壁とこの一対の横壁間を列方向に延びるとともに互いに所要の間隔を開けて行方向に並設された複数の縦壁とによって略梯子形状に成形され、前記隙間が、列方向に並設された略梯子形状の隔壁の間において行方向に延びる向きに形成され、前記封止層の第2封止部が略梯子形状の隔壁間の隙間内に位置されている請求項4に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項6】
前記封止層の第2封止部が、第1封止部と一体に形成されて、略梯子形状の隔壁間の隙間の端部側において、第1封止部から隙間内の表示領域の所要の位置まで延びている請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項7】
前記封止層の第2封止部が、略梯子形状の隔壁間の隙間の両端部において、第1封止部から隙間内に延びている請求項6に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項8】
前記封止層の第2封止部が、略梯子形状の隔壁間の隙間の一方の端部側において、第1封止部から隙間内の表示領域の中央部分を過ぎる位置まで延びている請求項6に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項9】
前記封止層の第2封止部が、第1封止部と分離されて形成されて、略梯子形状の隔壁間の隙間内の表示領域の中央部分に位置されている請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項10】
前記封止層の第2封止部が、複数の部分に分離されている請求項9に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項11】
前記第2封止部の長さが3mm以上である請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項12】
前記隔壁の外端部分によって区画される放電空間の領域が、発光を行わないセルを構成し、この発光を行わないセル内が封止層の第1封止部によって充満されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項13】
前記隔壁の外縁部に対向する位置に第2隔壁が形成され、この第2隔壁の外壁部に封止層の第1封止部が当接されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項14】
前記第2隔壁が略櫛歯形状に成形され、この略櫛歯形状の第2隔壁内が封止層の第1封止部によって充満されている請求項13に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項15】
前記第2隔壁が、列方向に隙間を介して並設された略梯子形状の隔壁のうちの最外位置に位置する隔壁の外側位置に所要の隙間を介して平行に位置され、封止層の第2封止部が隔壁間の隙間内に位置されるとともに、隔壁と第2隔壁の隙間内にも位置されている請求項13に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項16】
縦横に複数配列されることによって、マルチ表示装置を構成する請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−196263(P2006−196263A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5361(P2005−5361)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】