プラズマ処理の方法及び装置
高アスペクト比形体内に金属又は他のコーティング材料のコンフォーマルな膜を蒸着するための蒸着システム100及びその作動方法が開示される。蒸着システムはプラズマを形成し蒸着システム100に金属蒸気を導入するためのプラズマ源120及び分散型金属源130を備える。蒸着システムは一つのプラズマ密度を有するプラズマを形成し、一つの金属密度を有する金属蒸気を生成するように設計されており、基板近傍での金属密度対プラズマ密度の比は一以下である。基板の直径の略20%の長さである基板114の表面からの距離内において、このような比となっている。実質的に基板表面に亘りプラスマイナス25パーセント内でこの比は一様である。1012cm−3を越えるプラズマ密度に対してと、膜の最大の厚さが例えば形体の幅の10パーセントといった形体の幅の半分以下であるナノスケール形体を有する基板上の薄膜蒸着に対して、この比は特に有効である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜蒸着用装置に係り、特に基板上の高アスペクト比形体内のコンフォーマルな薄膜蒸着に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)の相互配線及び内部配線用の半導体基板上の高アスペクト比(high aspeect ratio:HAR)ビアホール、コンタクト並びにトレンチの金属被膜においては、バリア層及びシード層は、側壁と底面を十分に覆い所望のバリアまたはシード特性を有するように蒸着されることが要求される。例えば、通常、バリア層は可能な限り薄く、電気抵抗を最小化することが望ましいが、バリア特性を犠牲にするようなものであってはならない。更には、例えば、バリア層は、シード層の物質が誘電体層や他の層に拡散することを防止するために空隙がなくコンフォーマル且つ連続的でなければならず、信頼性についての問題が発生することを防ぐ。厚さの最大値と最小値の間の差が工程において許容範囲内であると、膜はコンフォーマルになる。フィルムの厚さの最大値と最小値の比が小さいほど、コンフォーマル性は良くなる。
【0003】
HAR形体の金属被膜に対しては、イオン化物理気相蒸着(iPVD)が半導体処理において用いられてきており、サブミクロン技術への拡張が考案されている。イオン化PVDはビアやトレンチ構造の側面や底面の被覆性がよい。しかしながら、幾何学構造が小さくなり、ビアの寸法が略100ナノメートル以下と小さくなっており、蒸着に対する要求がより厳しくなってきている。形体の開口部(または上部)の小さな張り出しでさえ、形体を十分に覆うことを致命的に阻害するものとして認識されている。更には、張り出しの形成は形体の形状に影響を受け易いとも認識されており、この効果は、工程の全収率に影響を与える。
【0004】
相互接続の形成における薄膜のコンフォーマルな蒸着は従来の方法を用いたのでは、一般的に非常に困難である。従って、高速で、均一に近く、より良い段差被覆性を提供することが難しい。このような段差被覆性は、形体の側面の被覆部の厚さ対その下に形体が存在する基板のフィールド領域または水平方向の表面の被覆部の厚さの比として数値的に決められることもある。例えば、(接着、バリア、シード層用の)金属層のスパッタリング等の物理気相蒸着(PVD)では、トレンチ及び/又はコンタクトビアの表面上の厚さが全て略5nm(ナノメートル)以下であることが要求される。従って、高アスペクト比形体内部への金属のPVDでは、ビアの底面に十分な被覆性を与えるために、基板の上部表面上により多く蒸着することが求められる。デュアルダマシン方式における最新のトレンチやコンタクト構造では通常、図12Aに示すように、5nmの金属24がコンタクトビア23の底面と側壁に到達するためには、基板20の水平方向のフィールド領域27上に略50nmPVD金属膜21が求められる。PVD技術の指向性により、底面26に比較して、トレンチ及び/又はビアの上側のコーナー25により急速に蒸着される傾向がある。導線の幅の大部分を占める構造の上側の表面上に、蒸着物質が急速に蒸着する結果として、このように蒸着したコーナーにより形体の下側の範囲内へと影ができる。
【0005】
iPVDを用いる現在のIC相互接続技術(非特許文献1を参照)においては、逐次又はその場(in−situ)蒸着と、張り出しを除去するためのエッチング処理とを含む方法がいくつか存在する(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)。しかしながら、従来の工程条件では、ビアの張り出しや閉塞、金属層の非連続性、低蒸着速度、処理量の限界を含む複数の望ましくない効果が依然として生じてしまうことを本願発明者は目にしてきた。いくつかの方法においては、基板の移動という問題を有する別途の蒸着とエッチングシステムが必要とされ、保護されていない内部コイルのため汚染が生じる可能性があり、プラズマ生成の非一様性や結果として生じるエッチングの非一様性は、現在の方法が直面している追加的な問題に過ぎない。更には、基板表面の再スパッタンリング効果を考慮しただけでは、張り出しの堆積を完全には防止されないことを本願発明者は目にしてきた。
【0006】
ビアやトレンチの金属被膜に用いられる他の技術としては、特定の金属や金属窒化物用に開発された化学気相蒸着(CVD)が挙げられ、PVD法よりも改善された段差被覆性を示す。しかしながら、CVD法においても、構造の上側の表面や側壁上へ蒸着される物質の量よりも、デュアルダマシンのコンタクトホールの底面へ蒸着される物質の量の方が遥かに少ない傾向がある。従って、PVDよりはいくらか改善されてはいるが、公知の低温CVD法を用いたのでは、デュアルダマシン構造のCVDによる段差被覆性は均一ではないままである。金属の相互接続のコンフォーマルな被覆のために提案された最新の方法としては、原子層蒸着(ALD)が挙げられる(特許文献5を参照)。ALDでは通常、反応フェーズを交互に行うサイクルが含まれ、各々のフェーズは自己制限的な効果を有する。しかしながら、ALD法では、高圧室温で前駆体が得られることに関する問題がある。
【0007】
結局、現在の金属被覆技術では、形体の張り出しを除去する能力に欠け、結果として、発展し続けるICに対するHAR形体の十分な被覆性を提供することに完全に失敗しているということを本願発明者は目にしてきた。
【非特許文献1】Rossnagel、「Directional and iPVD for microelectronics applications」、J.Vac.Sci.Technol.、1998年、第B16巻、第5号、p.2585−2608
【特許文献1】米国特許第6100200号明細書
【特許文献2】米国特許第4999096号明細書
【特許文献3】米国特許第6274008号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0034244号明細書
【特許文献5】米国特許第6699783号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の一つは、上述の問題点のいずれかまたは全てを、低減または除去することである。本発明の他の目的は、高アスペクト比(HAR)形体の被覆特性を改善した物質の蒸着法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の原理によると、基板上の高アスペクト比形体に薄膜を形成するための蒸着システムは、プロセスチャンバと、プロセスチャンバに結合され基板を支持するように設計された基板ホルダーと、プロセスチャンバに結合されプロセスチャンバ内にプラズマを形成するように設計されたプラズマ源と、プロセスチャンバに結合されプロセスチャンバに金属を導入するように設計された金属源を備える。ここで、プラズマ源及び金属源は基板上の金属密度とプラズマ密度の間の比が一以下となるように設計される。
【0010】
本発明の他の側面によると、基板上の高アスペクト比形体に金属薄膜を蒸着する方法は、蒸着システム内の基板ホルダー上に基板を配置する段階と、プラズマ源を用いて蒸着システム内部に一つのプラズマ密度を有するプラズマを形成する段階と、金属源を用いて蒸着システム内部に一つの金属密度を有する金属を導入する段階と、略1以下である基板上の金属密度対プラズマ密度の比を定める段階と、基板上の形体内部にコンフォーマルな蒸着を実施する段階とを備える。
【0011】
本発明は主に金属の蒸着を対象としているが、本発明の原理に好ましく反応するような他のコーティング材料膜の蒸着にも適用されるものである。例えば、本発明は、金属のイオン化ポテンシャルがバックグラウンドのプロセスガスのイオン化ポテンシャルよりも小さい箇所の金属蒸着に特に役立つ。従って、バックグラウンドのプロセスガスのイオン化ポテンシャルよりも小さいイオン化ポテンシャルを有するコーティング材料は、本発明の原理を適用することにより恩恵を受ける。例えばプロセスガスがアルゴンである場合には、アルゴンのイオン化ポテンシャルよりも小さなイオン化ポテンシャルを有するコーティング材料は、特に本発明の恩恵を受ける。高いイオン化ポテンシャルを有するバックグラウンドガスを用いることにより、本発明を更に他の材料へと拡張することが可能になる。更に他の材料への本発明の拡張は解析的または実験的に決定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明においては、本発明の完全な理解を容易にするためと、本発明を限定するのではなく例示するために、例えば、特定の蒸着システムの幾何学構造や、様々な形状のプラズマ源、分散型金属源等について、具体的に詳述する。しかしながら、本発明は、この具体的に詳述されるものから逸脱する他の実施形態によっても実施され得ることは理解されたい。
【0013】
しかしながら、本発明の一般的な概念の進歩性について説明せずとも、この具体的な説明内に、進歩性を有する特徴について記載されていることは理解されたい。
【0014】
例えば、本願の開示の進歩的な側面には、プラズマ源はプロセスチャンバに結合されて、プロセスチャンバ内で1012e/cm3(立法センチメートル当たりの電子数)以上の高密度プラズマを形成するように設計されていて、金属源はプロセスチャンバに結合されて、プラズマ密度よりも小さい金属原子及び金属イオンの全密度でプロセスチャンバに金属を導入するように設計されている、基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システム及び方法を提供することが含まれる。
【0015】
他の例として、本願の開示の進歩的な側面には、基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システム及び方法が含まれ、ここで、プラズマ源及び金属源はプロセスチャンバに結合されプロセスチャンバ内にプラズマを形成するように設計されており、基板表面に近い部分に亘って金属密度はプラズマ密度よりも小さい。更なる例として、進歩的な側面には、基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システム及び方法が含まれ、ここで、プラズマ源及び金属源はプロセスチャンバに結合されプロセスチャンバ内にプラズマを形成するように設計されており、基板表面に近い部分に亘って金属密度はプラズマ密度よりも小さく、全金属密度対プラズマ密度の比は基板表面に亘って比較的一様である。
【0016】
上述の特徴並びに他の進歩的な側面を含む更なる実施例として、プロセスチャンバに結合され1012e/cm3以上の高密度プラズマを形成するように設計されたプラズマ源を用いて、また、プラズマ密度に対する金属原子及び金属イオンの全体の密度の比が0.1から1.0であり、基板表面に近い部分に亘って略一様であるようにプロセスチャンバ内に金属を導入するように設計された金属源を用いて基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システム及び方法が提供される。更に他の例として、本発明の進歩的な側面には、プロセスチャンバに結合され1012e/cm3以上の高密度プラズマを形成するように設計されたプラズマ源を用いて、また、プラズマ密度に対する金属原子及び金属イオンの全体の密度の比が0.1から1.0であり、基板表面からプラズマに向かって広がる空間であり尚且つ、プラズマ被膜部、またはプラズマ被膜部及び被膜部近傍、またはプラズマ被膜部と被膜部近傍と被膜部近傍内部の少なくともある程度のプラズマ、または基板の直径の略1/4の厚さの部分とのの何れかを含む空間全体に亘る基板表面に近い部分に亘って略一様であるようにプロセスチャンバ内に金属を導入するように設計された金属源を用いて基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システム及び方法が提供することが含まれる。
【0017】
他の例については、下記の様々な実施例についての記載及び添付した特許請求の範囲に含まれている。
【0018】
本発明の特定の実施例において実現される利点の例が図12Bに示されており、例えば幅65nmのビア32等の高アスペクト比(例えば7:1)形体を有する基板30上の膜31の蒸着結果が示されている。膜31は、例えば基板のフラットフィールド33と基板30上の形体32の側壁34及び底面35に亘って、5nm±1.25nmの厚さを有している。
【0019】
特に高アスペクト比形体における蒸着特性を改善するために、本発明は、露出された基板表面に対する局所的な化学輸送を改善するように蒸着システムおよび作動方法を改善する。露出された基板の表面は材料を蒸着する複数の段階において露出されており、この段階の組み合わせを用いて、材料の組成及び/又は露出された基板表面の幾何学構造が変更される。例えば、蒸着システムはイオン誘導型のコンフォーマルなナノスケール蒸着を利用する。
【0020】
本発明の実施例によると、薄膜のコンフォーマルな蒸着のためのシステムが開示される。蒸着システムは、高アスペクト比(HAR)形体内部において形体の被覆性が一様であるための条件を提供する。蒸着システム内において、プラズマ源は高密度プラズマ(電子密度ne>1012cm−3)を生成する。更には、蒸着システム内において、金属源は金属吸着原子を生成する。プラズマの形成と金属吸着原子の生成は、金属密度(中性の金属原子の密度及び金属イオンの密度を含む)対プラズマ密度(または電子密度やイオン密度)の比が一以下(例えば、nmetal/ne=定数≦1)で一定に保持されるような方法で実施される。この条件に合うように蒸着を実施することにより、基板に亘るフラットフィールドの表面及び形体内部の表面のコンフォーマルな被覆が同じ蒸着速度で提供されることを発明者は観測した。更には、例えば、蒸着は基板表面に亘る表面運動モードで生じ、形体側壁での高められた蒸着速度に貢献する。
【0021】
図1を参照すると、本発明の実施例による蒸着システム100が示されている。蒸着システム100は、プロセスチャンバ110と、プロセスチャンバに結合され基板114を支持するように設計された基板ホルダー112とを備える。更に、蒸着システム100は、プロセスチャンバに結合されプロセスチャンバ110内の処理空間140内にプラズマを形成するように設計されたプラズマ源を備える。更に、蒸着システム100は、プロセスチャンバ110に結合されプロセスチャンバ110の処理空間140に金属吸着原子を導入するように設計された金属源130を備える。蒸着システム100は、プロセスチャンバ110に結合されプロセスチャンバ110の処理空間140に例えば希ガス等の不活性ガスを導入するように設計されたガス注入システム160を更に備えることができる。更に、蒸着システム100は、プロセスチャンバ100と基板ホルダー112とプラズマ源120と金属源130とに結合され、例えばプロセスレシピに従って蒸着システム100の作動、調節、監視、または制御の少なくとも一つを行うように設計された制御システム150を備えることができる。
【0022】
プラズマの形成及び金属吸着原子の生成は、金属密度対プラズマ密度(または電子密度、またはイオン密度)の比が一以下(例えば、nmetal/ne≦1)であるように維持する方法で実施される。例えば、この比を、基板114の表面から離れた少なくとも一点で一以下であるように維持することが可能である。このような条件を満たすことにより、本発明の利点の少なくともいくつかを実現する密度分布が生じる。代わりに、この比の空間分布を基板114の表面に亘って一以下となるように維持することも可能である。代わりに、この比の空間分布を基板114の表面に亘って一以下となるように維持し且つ基板114の表面に亘って±25%の範囲内で実質的に一様であるように維持することも可能である。代わりに、この比の空間分布を基板114の表面に亘って一以下となるように維持し且つ基板114の上側表面に亘って実質的に一定(例えば、nmetal/ne≒定数≦1)であるように維持することも可能である。例えば、金属吸着原子密度の空間分布を関数f(x,y)で表し、プラズマ密度の空間分布を関数g(x,y)で表すことが可能である。ここで、x及びyは、基板114の上側表面に平行な2次元の直線的な座標系を表す(図2を参照)。関数f(x,y)は基板114の上側表面に亘って実質的に一定であることが可能であり、関数g(x,y)は基板114の上側表面に亘って実質的に一定であることが可能である。ここで、空間の任意の点(x,y)でのf(x,y)対g(x,y)の比は一以下である。代わりに、関数f(x,y)は基板114の上側表面に亘って一定でなく、関数g(x,y)は基板114の上側表面に亘って一定ではないが、f(x,y)とg(x,y)が同様の関数であり、空間の任意の点(x,y)でのf(x,y)対g(x,y)の比は一以下であるということもある。例えば、関数の類似性は、関数f(x,y)とg(x,y)の数学的な類似性(つまり、形状や曲率等)によって特徴付けることが可能である。代わりに、この比を時間の関数として実質的に不変であるように維持することも可能である。
【0023】
更に図1を参照すると、プラズマ源120は、例えば無線周波数(RF)発生器等の出力源に結合された電極や、例えば螺旋コイル等の出力源に結合されたコイルアンテナや、RF発生器に結合された他のアンテナを備えることができる。例えば、プラズマ源120は、容量結合プラズマ(CCP)源や、誘導結合プラズマ(ICP)源や、その組み合わせを含むことができる。更には、例えば、副及び大気ICP源は、略(1〜4)×1014cm−3の電子密度neで、略0.2eVから略0.6eVの電子温度で、金属吸着原子のイオン化が100%のプラズマを生成する。代わりに、プラズマ源は、例えば電子温度が低く略1.2×1012cm−3以上の電子密度neの電子ビーム源等の広範囲プラズマを形成可能なプラズマ源、並びに、表面波、ヘリコン、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ源に基づいた高密度フラットプラズマを形成可能なプラズマ源を含むことができる。
【0024】
金属源130は、例えば、金属吸着原子が処理空間に進入するプロセスチャンバ110の周辺部の周りに分散させることが可能である。例えば、金属ターゲットを、金属源として用いることができる。ターゲットには、直流(DC)または交流(AC)を用いてバイアスを印加することが可能であり、スパッタリング処理を介して金属吸着原子が生成される。代わりに、例えばマグネトロン等の他の金属源を用いることも可能である。例えば、パルスレーザー蒸着、高出力パルスマグネトロンスパッタリング、プラズマ補助スパッタリング技術等を用いることが可能である。更には、例えば、金属源130は複数の金属源を含むことが可能である。複数の金属源を出力源に結合させることが可能である。代わりに、各々の金属源を別々の出力源に独立に結合させることが可能である。代わりに、一つ以上の出力源を用いて、出力を複数の金属源に交互且つ順次に結合させることが可能である。
【0025】
基板ホルダー112は電極を備えることが可能で、この電極を介して例えばRF出力等のAC出力や、DC出力が基板114に結合される。例えば、基板ホルダー112に、RF発生器からインピーダンスマッチネットワークを通り基板ホルダー112に向かうRF出力の伝達を介して、RF電圧で電気的バイアスを印加することが可能である。RFバイアスは電子を加熱してプラズマを形成及び維持するために用いることができる。代わりに、RFバイアスは、基板の上側表面上に入射するイオンのイオンエネルギーに影響を与えるために用いることができる。RFバイアス用の一般的な周波数は0.1MHzから100MHzの範囲である。プラズマ処理用のRFシステムは当業者には周知である。代わりに、多重周波数でRF出力が基板ホルダーの電極に印加されることもある。更には、インピーダンスマッチネットワークは、反射される出力を減らすことにより、プロセスチャンバ内のプラズマへのRF出力の伝達を改善するために用いることができる。マッチネットワークのトポロジー(例えば、L型、π型、T型等)と自動制御方法は当業者には周知である。
【0026】
更には、基板ホルダー112は、基板114を基板ホルダー112に電気的に(または機械的に)固定(クランプ)するための静電クランプシステム(または機械クランプシステム)を有することが可能である。例えば、基板ホルダー112は、基板ホルダー112から熱を受け取り熱を熱交換システム(図示せず)に移すような、または加熱時に熱交換システムから熱を移すような再循環冷却剤が流れる冷却システムを更に備えることができる。更には、例えば、熱移動ガスを、ガスシステムの裏側を介して基板114の裏側に送り、基板114と基板ホルダー112の間のガスギャップの熱伝導を改善することができる。基板114の裏側に供給される熱移動ガスとしては例えば、ヘリウムやアルゴンやキセノンやクリプトン等の不活性ガスや、プロセスガス、酸素や窒素や水素等の他のガスが挙げられる。このようなシステムは、高温または低温の下で基板の温度制御が必要とされる場合に用いられる。裏側ガスシステムとしては、例えば2重ゾーン(センター・エッジ)システム等の多重ゾーンガス分布システムが挙げられ、2重ゾーンシステムにおいては、基板114のセンターとエッジの間で独立的に裏側のガスギャップの圧力を変化させることができる。他の実施例においては、例えば耐加熱素子等の加熱/冷却素子や熱電加熱器/冷却器を、基板ホルダー112並びにプロセスチャンバ110のチャンバ壁に備えることが可能である。
【0027】
更には、制御システム150は、蒸着システム100への入力並びに蒸着システム100からの出力を伝達及び活性化させるのに十分な制御電圧を生成可能なデジタルI/Oポート、メモリ、マイクロプロセッサを備えることが可能である。更には、制御システム150を、プロセスチャンバ110、プラズマ源120、分散型金属源130、ガス注入システム160、真空ポンプシステム(図示せず)に結合させて、情報を交換することが可能である。例えば、メモリに記憶されたプログラムを用いて、蒸着処理を実施するためのプロセスレシピに従った蒸着システム100の上述の構成要素への入力を活性化させることが可能である。制御システム150の一例としては、テキサス州オースチンのデル株式会社から入手可能なDELL PRECISION WORKSTATION610が挙げられる。
【0028】
図3A及び3Bを参照すると、本発明の実施例による他の蒸着システム200が示されている。蒸着システム200は、図1の蒸着システム100と同様な要素を備えている。しかしながら、蒸着システム200は、金属吸着原子を一様にイオン化するのに十分な一様で制御可能なプラズマ密度を供給するために、2箇所以上の位置に配置された2つ以上のプラズマ源を備えている。例えば、蒸着システム200は、プロセスチャンバ210の下側を取り囲むように結合され処理空間240にプラズマを形成するように設計された第1プラズマ源220と、プロセスチャンバ210の上側を取り囲むように結合され処理空間240にプラズマを形成するように設計された第2プラズマ源222とを備える。
【0029】
更には、蒸着システム200は、プロセスチャンバ210に結合されプロセスチャンバ210の処理空間240に金属吸着原子を導入するように設計された分散型金属源230を備える。分散型金属源の配置については、図3A及び図3Bに示すようにできる。
【0030】
図3Aに示すように、蒸着システム200はバッファ装置270を更に備えることが可能である。例えば、プロセスチャンバの一部分は、分散型金属源やプラズマ源を備えるのではなくて、基板の処理速度が異なることを補償するためのバッファ表面270を構成する。バッファ表面270は、凸型、平板型、凹型形状の少なくとも一つを有し、例えばアルミニウム、ステンレス鋼等の導電材料から形成される。バッファ装置270の目的は、例えば、処理空間240内の金属吸着原子の半径方向の分布を補完することである。表面での反応は表面温度に影響を受けやすいため、バッファ表面(バッファ装置270)は、例えば冷却及び/または加熱装置等の温度制御装置を含み、表面温度を制御することができる。更には、例えば、バッファ装置270はDCまたはAC出力源に結合可能である。更には、バッファ装置270は、永久磁石または電磁石を用いて、静磁場や動磁場を生成する磁場構造を有することが可能である。更には、バッファ装置270は並進移動可能である。例えば、バッファ層270は基板214に対して垂直方向に並進移動して、バッファ装置270と基板214との間隔を変更させることができる。
【0031】
蒸着システム200は、プロセスチャンバ210に結合されプロセスチャンバ210の処理空間240に例えば希ガス等の不活性ガスを導入するように設計されたガス注入システム260を更に備えることができる。更に、蒸着システム200は、プロセスチャンバ210と、基板ホルダー212と、第1プラズマ源220と、第2プラズマ源222と、分散型金属源230とに結合され、例えばプロセスレシピに従って蒸着システム200の作動、調節、監視、または制御の少なくとも一つを行うように設計された制御システム250を備えることができる。
【0032】
図4を参照すると、本発明の更に他の実施例による蒸着システム300が示されている。蒸着システム300は、金属吸着原子を一様にイオン化するのに十分な一様で制御可能なプラズマ密度を供給するために、2箇所以上の位置に配置された2つ以上のプラズマ源を備えている。例えば、蒸着システム300は、プロセスチャンバ310の下側を取り囲むように結合され処理空間340にプラズマを形成するように設計された第1プラズマ源220と、プロセスチャンバ310の上面に結合及び配置され処理空間340にプラズマを形成するように設計された第2プラズマ源322とを備える。更には、蒸着システム300は、プロセスチャンバ310に結合されプロセスチャンバ310の処理空間340に金属吸着原子を導入するように設計された分散型金属源330を備える。蒸着システム300は、プロセスチャンバ310に結合されプロセスチャンバ310の処理空間340へ例えば希ガス等の不活性ガスを導入するように設計されたガス注入システム360を更に備えることが可能である。更に、蒸着システム300は、プロセスチャンバ310と、基板ホルダー312と、プラズマ源320、322と、分散型金属源330とに結合され、例えばプロセスレシピに従って蒸着システム300の作動、調節、監視、または制御の少なくとも一つを行うように設計された制御システム350を備えることができる。蒸着システム300は上述のようなバッファ装置370を更に備えることが可能である。
【0033】
更に、図5は、蒸着システム400を制御するための制御システム410を備える蒸着システム400のレイアウトを示す。制御システム410は、プロセスパラメータとハードウェアパラメータを設定するためのユーザーインターフェイス420と、設定されたパラメータに従って蒸着システムを作動させるように設計された主制御部422とを備える。制御システム410は、圧力制御システム432とガス流量制御システム434とガス供給システム438とポンプ制御システム436と作動させるように設計された第1副制御部430を更に備える。制御システム410は更に、プラズマ源出力発生及び制御システム442と蒸着システム冷却及び加熱システム444とを作動させるように設計された第2副制御部440、並びに、分散型金属源DC出力発生及び制御システム448を作動させるように設計された第3副制御部446とを備える。プラズマ源出力発生及び制御システム442と分散型金属源DC出力発生及び制御システム448とは、プロセスチャンバ465に結合され、一つ以上のプラズマ発生素子471、472を有するプラズマ源470と一つ以上の金属源481、482、483を有する分散型金属源480とをそれぞれ作動させるように設計されている。第4副制御部450は基板操作システム452を作動させるように設計されている。第5副制御部454はチャック及びデチャックシステム456を作動させるように設計されている。第6副制御部458は基板ホルダー出力発生及び制御システム460を作動させるように設計されている。更には、一つ以上のセンサーと計測装備を備える診断システム490がプロセスチャンバ465とプラズマ源470と分散型金属源480に結合されて、ユーザーインターフェイス420に作動データを提供するように設計されている。
【0034】
図5に示すように主制御部422は蒸着システム400に対して近接して配置されてもよいし、蒸着システム400に対して遠隔して配置されてもよい。例えば、直接接続、イントラネット、インターネットの少なくとも一つを用いて、制御部422は蒸着システム400とデータを交換することができる。制御部422は例えば需要者側(つまりデバイスメーカー等)のイントラネットに接続させることが可能であるし、例えば供給者側(つまり装置メーカー)のイントラネットに接続させることも可能である。更には、例えば制御部422はインターネットに接続可能である。更には、他のコンピュータ(つまり、制御部サーバー等)が、例えば直接接続、イントラネット、インターネットの少なくとも一つを介してデータを交換するために、制御部422にアクセス可能である。
【0035】
図1から図5の蒸着システムにおいては、分散型金属源は、一般的なスパッタリング圧力よりも高いガス圧(典型的には>30mTorr)で熱運動させられるターゲットから金属蒸気の流れを形成する。本発明の進歩性を有する特定の実施例においては、真空プロセスチャンバ内でプラズマや金属蒸気を熱運動させることを用いるイオン誘導型ナノスケール蒸着における金属対プラズマの比率を用いている。適切なICP源により、バルク体積の高密度プラズマと効率的にイオン化された金属が生成される。金属イオンは基板表面に向かって拡散し、プレ被膜と被膜の電圧の差(プラズマのポテンシャルとウェーファのポテンシャルとの間のポテンシャルの違い)により加速される。金属イオン流量速度は高いが、全体としての金属密度が比較的低い表面運動モードにおいて、表面を覆うことが可能である。フラットフィールドでの表面衝突により、再結合した金属イオンがバルクプラズマへと戻される。本形体においては、側壁により、金属イオンのバックグラウンドガスとの電荷交換や、例えばアルゴン等のバックグラウンドガスのペニング励起のせいで形体の底面を逃れる金属に対する捕捉効果が与えられる。この条件の下では、バルクプラズマからのイオンベースの蒸着速度は、形体底面の中性体(neutral)の生成速度よりも高くて、中性体の生成速度はバルクプラズマからの中性体による蒸着速度よりも高い。つまり、コンフォーマル性は、CB/FF≧1である。ここで、B=形体底面、FF=フラットフィールドであり、つまり、CB/FFは形体底面での蒸着速度対フラットフィールドでの蒸着速度の比を表す。底面から反射され再スパッタリングされる金属が、表面運動を介して壁で消費される金属の量よりも少ないと、CSW/FF≧1(SW=形体側壁)となる。
【0036】
図6を参照すると、高アスペクト比形体の薄膜蒸着方法が記載されている。本方法は、蒸着システム内に基板を配置する段階である510から開始するフローチャート500で示されている。例えば、蒸着システムとしては、上述の図1から図5のいずれかの蒸着システムが挙げられる。
【0037】
520では、プラズマが、一つ以上のプラズマ源を用いて蒸着システム内に形成される。例えば不活性ガス等のバックグラウンドガスを導入して、イオン化に十分な出力をガスに与えることにより、プラズマが形成可能である。
【0038】
530では、金属が、一つ以上の金属源から蒸着システムに導入される。
【0039】
540では、金属を基板上に蒸着するための処理が定められる。ここで、金属密度対プラズマ密度の比は実質的に一に等しいか一以下である。この比率を達成するための処理条件については下記で詳述する。
【0040】
550では、蒸着システム内に形成された処理条件を用いて、基板上への金属のコンフォーマルな蒸着が実施される。
【0041】
一つの実施例においては、コンフォーマルな被覆、より詳細には特定の金属対プラズマ密度の比や分布を達成するためのプロセスまたはプロセスウィンドウの範囲を確認する方法として、第一原理シミュレーションや実験またはその両方が行われる。上述のように、多重衝突により素反応を介してエネルギー的に多重構成のプラズマ環境が形成される間に、例えば銅やアルミニウムやタンタルやチタン等の金属蒸気が、例えば希ガス等のバックグラウンドガスが存在するなかで形成され、金属膜が基板上に蒸着される。例えば金属・アルゴンプラズマ等の金属・ガスプラズマにおいては、5つの原子的な構成要素が存在して、異なるエネルギー状態を有しており、その振る舞いが異なる。例えば、これらの粒子を生成する主たる衝突は、以下の通りである。
【0042】
バルクプラズマ内の親ガス原子との電子の衝突
(1)(電子衝突励起) Ar(g)+e− → Ar*(g)+e−
(2)(電子衝突イオン化) Ar(g)+e− → Ar+(g)+2e−
【0043】
バルクプラズマ内の金属原子との電子の衝突
(3)(電子衝突励起) M(g)+e− → M*(g)+e−
(4)(電子衝突イオン化) M(g)+e− → M+(g)+2e−
【0044】
バルクプラズマ内の親ガス原子との金属の衝突
(5)(アルゴンのペニング励起)
M+(g)+Ar0(g)→バルク M+(g)+Ar*(g)
(6)(電荷交換) M+(g)+Ar*(g)→バルク M0(g)+Ar+(g)
(7)(金属のペニングイオン化)
M0(g)+Ar*(g)→バルク M+(g)+Ar0(g)+e−
【0045】
低密度プラズマ(ne<1010cm−3)においては、ペニングイオン化(数式(7)参照)は、金属イオン化衝突の主な原因である。高密度プラズマ(ne>1011cm−3)においては、主たる金属イオン化チャネルは電子衝突イオン化(数式(3)参照)である。バルクプラズマ内の電荷粒子の主たる消失チャネルは、壁への両極性拡散と結果として生じる壁表面での再結合である。イオン化金属は、アルゴンプラズマ内の全イオン密度の一部分を構成している。親アルゴン密度に対する金属蒸気密度が比較可能であるならば、両方の構成要素のイオン化ポテンシャルと電子温度によって、比率が決定される(例えば、Ei(Cu)≒7.724eV、Ei(Ar)≒15.755eV)。金属のイオン化エネルギーは、任意の電子温度で、アルゴンよりも小さく(相互接続用の他の実用的な金属は銅と比較可能なイオン化ポテンシャルを有しており、例えば、Ei(Ta)≒7.88eV、Ei(Al)≒5.984eV)、Ei(Ti)≒6.82eV等)、金属密度nM<neに対しては、nM>neの場合よりも多くの金属がイオン化される。
【0046】
例えば、図7は、銅・アルゴンプラズマに対するグローバル運動モデルから得られた結果を示す。例えば、図7に示された結果は、バルクの高密度プラズマ(p〜65mTorr、ne〜1.6×1012cm−3、Te〜1.75eV)での金属とアルゴンイオンのイオン化率と、フローティング基板でのバルクの金属密度に対する表面への金属イオンフラックスの率とを反映している。破線(1)は、プラズマ密度(2)を超えた時の金属(Cu)イオンの減少を示す。モデルの出力は、上述の運動プロセス(数式(1)から(7))及び、プラズマ密度と電子温度測定の実験データに基づいている。金属イオン密度を表面での金属イオンのフラックスに変換するために、プラズマのプレ被膜と被膜ポテンシャルの差Vプラズマ−Vバイアスによるボーム速度へのイオンの加速が考慮される。例えば、バイアスを増加させることにより表面への金属イオンのフラックスが増加する。中性金属のフラックスは、加速電圧差には影響を受けない。この結果、基板へのイオン化金属のフラックスの率(3)が、プラズマ内のイオン化金属の率(4)よりも大きくなる。
【0047】
金属蒸着は、基板表面(または他の表面)でのプラズマ被膜部内で起こり、電子密度の枯渇が生じる(ne→0)。更には、電子衝突は被膜部内では生じない。何故ならば、例えば30から100mTorrの圧力下では、イオン・中性体の平均自由行程(1〜3mm)は被膜部の幅よりも大きく(〈Li−n〉 ≧1mm>>d被膜部≒30〜100μm)、従って被膜部は無衝突であるとみなせるからである。更には形体内での中性体のフラックスは、形体表面の点からのアスペクト角が非常に小さいため(図8を参照)、著しく減少させられる。これらの条件下では、表面でのイオン誘導型衝突は、金属の輸送において重要な役割を果たす。表面の存在は、衝突での第3ボディの役割を果たし、表面で衝突する粒子間のエネルギーの移送に対して有利な条件を与える。運動モデルにおいては、下記の表面衝突は蒸着速度に寄与するものと考えられる。
(8)(アルゴンのペニング励起)
M+(g)+Ar0(s)→E,表面 M0(g)+Ar*(s)+e(s)
(9)(電荷交換)
M+(g)+Ar*(s)→E,表面 M0(g)+Ar+(s)
→M0(g)+Ar0(s)+e(s)
(10)(金属のペニングイオン化)
M0(g)+Ar*(s)→E,表面 M+(g)+Ar0(s)
→E,表面 M+(s)+Ar0(s)→E,表面 M0(s)+Ar0(s)+e(s)
【0048】
更には、中性金属原子の直接蒸着、加速された金属イオン、表面から反射された金属イオン、基板表面での再スパッタリングも考慮される。
(11)イオン蒸着メカニズム
【数1】
【0049】
運動モデルで考慮される全メカニズムが図9A及び9Bに示されている。運動モデルの解により、フラットフィールド(Flat Field)表面上への蒸着速度(D.R.FF)、底面(Bottom)上への蒸着速度(D.R.B)、側壁(Sidewall)表面上への蒸着速度((D.R.SW))が、金属密度(nM)と、プラズマ密度(ne)と、上述の表面衝突の特定の速度の定数との関数として与えられる。
【数2】
【0050】
ここで、(B1の付いた)右辺第1項は中性金属による蒸着速度を表す。(K1の付いた)第2項はイオン化金属による蒸着速度を表す。(Y(φ,E)の付いた)第3項は再スパッタリングによる蒸着速度を表す。(B3の付いた)第4項は金属のペニングイオン化による蒸着速度を表す。(K2の付いた)第5項はアルゴンのペニング励起を表す。(K3の付いた)第6項は金属とアルゴンの間の電荷交換を表す。R(φB)は反射係数を表す。nArはバックグラウンドガスのバルク密度を表す。Θ(H)は形体底面での中性体のフラックスの率を表す。Θ(z)はビア側壁での中性体のフラックスの率を表す。ARは形体のアスペクト比を表す。
【0051】
更には、形体内部での主たる金属の輸送は、高表面衝突周波数での分子レジームにある。用いられる条件下においては、バルクプラズマの衝突周波数に対する表面衝突周波数が比較可能である。更には、形体内部への中性金属の直接蒸着は、形体内部の位置に依存する。
【0052】
底面対フラットフィールドの被覆率CB/FF=DB(ne,nM)/DFF(ne,nM)と、側壁対底面の被覆率CSW/B=DSW(ne,nM)/DB(ne,nM)の解析が表1及び表2に示されている。低金属密度nM<neにおいては、表面反応は、張り出しが形成されない形体のコンフォーマルな被覆率CSW/B(ne,nM)≒1が得られるものであると予測される。金属密度nMがnM臨界<nM<neという条件を満たし、プラズマ密度neがne(1)≦ne≦ne(2)という条件を満たすときに、コンフォーマルな被覆が達成可能である。ここで、nM臨界(Ub,ne,nAr,B1,B3,K1,K2,K3,R(φR))は表面比の定数、反射係数、プラズマ密度、アルゴンのバックグラウンド圧の関数であり、実際に蒸着される金属の物性に依存する。特に、例えば基板でのバイアス等のプロセスパラメータに影響を受け易く、結果としてnM臨界→neとなる。プラズマ密度は、形体のアスペクト比をパラメータとして含むような同様なパラメータにより決定される。本モデルの最も重要な結論は、CB/FF≒1とCSW/B≒1というプラズマ密度及び金属密度に対して、インターバルやプロセスウィンドウが存在するということである。
【0053】
プラズマ内の金属率と基板に印加されるバイアス電圧の観点からプロセスを見てみると、高アスペクト比形体のコンフォーマルな被覆に対して、複数のプロセスウィンドウを確認することが出来る(図10Aから図10Hを参照)。例えば、図10Aから10Hには、形体の側壁対底面の被覆率(表面衝突無しの運動モデルが示されており、表面衝突有りの運動モデルも示されている)と、形体の底面対フラットフィールドの被覆率(表面衝突無しの運動モデルが示されており、表面衝突有りの運動モデルも示されている)とが異なるプロセスパラメータに対して示されており、具体的には、(10A)基板バイアスなしで低金属密度;(10B)5%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスと低金属密度;(10C)(蒸着速度と比較して)10%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスと低金属密度;(10D)15%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスと低金属密度;(10E)25%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスであり金属密度はプラズマ密度に比較可能;(10F)50%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスであり金属密度はプラズマ密度と比較可能;(10G)75%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスであり金属密度はプラズマ密度と比較可能;(10H)100%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスであり金属密度はプラズマ密度と比較可能となっている。
【0054】
一実施例によると、コンフォーマルな被覆に対するプロセスウィンドウには、(基板に対する)低バイアス出力、nM<0.1ne、または好ましくはnM≦nM臨界<ne(図10A、B、C、Dに様々なバイアス条件で示されている)が含まれる。このプロセスウィンドウにおいては、CSW/B→1であり、CSW/B≧1の時でさえ、バイアス出力が緩やかに上昇すると(再スパッタリング率が上昇すると)、側壁対底面の被覆性がコンフォーマルからオーバーコンフォーマルへと上昇する。全体的には、蒸着速度は比較的低く、バルクプラズマのプラズマ密度を例えばne→1013cm−3またはそれ以上に上昇させることにより、上昇可能である。底面対フラットフィールドの被覆率はCB/FF<0.2と小さく、張出しは形成されない。
【0055】
【表1】
【0056】
他の実施例においては、コンフォーマルな被覆に対するプロセスウィンドウには、(基板に対する)中バイアス出力、0.1≦|(nM−ne)/ne|≦1または好ましくはnM臨界/ne≦|(nM−ne)/ne|≦1(図10E、F、Gに様々なバイアス条件で示されている)が含まれる。このプロセスウィンドウにおいては、CSW/B≦1であり、CSW/B≒CB/FFと比較可能である。CSW/BとCB/FFの両方は金属源の生成速度により制御可能である。プロセスウィンドウは低バイアスに対して大きく、高バイアス条件においては小さくなる。張り出しの形成率は比較的低いままである。
【0057】
他の実施例においては、コンフォーマルな被覆に対するプロセスウィンドウには、(基板に対する)高バイアス出力、nM≧ne(図10G、Hに様々なバイアス条件で示されている)が含まれる。金属密度のスケールにおいては、このプロセスウィンドウは、低バイアス出力に対する第1プロセスウィンドウに類似している。
【0058】
【表2】
【0059】
この領域は、側壁の被覆に影響を与えずに底面の被覆を高めるような応用に適用することができる。また、低バイアス出力のプロセスウィンドウで行われるプロセスに引き続いて行うことにより、最適化された側壁対底面の被覆と高められた底面対フラットフィールドの被覆とを、張り出し構造を形成せずに組み合わせられる。このプロセスウィンドウにおいては、コンフォーマル性はCSW/B→0となる。
【0060】
他の実施例においては、コンフォーマルな被覆に対するプロセスウィンドウには、nM>ne(より効果的にはnM>>ne)が含まれ、蒸着速度が上昇したために張り出しが形成されることが特徴的である。このプロセスウィンドウは従来のPVDやiPVD処理において利用されているが、張り出しのせいで、高アスペクト比形体に対しては被覆性がよくない。
【0061】
更に他の実施例においては、プラズマ密度が妥当な蒸着速度を得るのに十分な程高くて、ne>nM、例えばne≒1012→1013cm−3またはそれ以上という条件を満たすようにプロセス条件が選ばれる。例えば、略ne→1013cm−3というプラズマ密度により、ナノスケール蒸着において、略10〜100nm/minという十分な蒸着速度が得られる。
【0062】
更には、分散型金属源は、衝突が少ないということや張り出しが形成されるということを減少または無くして、基板上の任意の位置で高イオン化されたnM<neという条件を満たす最適化された量の金属を移送することができる。分散型金属源は、その幾何学構造とその働き(小さな金属源はあまりプラズマ源に結合されていない)により、高イオン化を提供することができ、従って、高い一様性を提供することができる。
【0063】
更には、他のプロセス条件には、nM/ne=定数≦1及びnM≧nM臨界が含まれる。基板全体に亘って金属密度対プラズマ密度の比を一定に保つことにより、コンフォーマルな被覆での表面反応の条件が与えられ、従って、基板に亘る形体または構造の一様な被覆が達成される。
【0064】
上述の運動モデルの結果に従うと、形体の最適な被覆に対するプロセスレシピの一つには、第1プロセスウィンドウ(低バイアス出力)と第3プロセスウィンドウから引き出された条件が含まれる。例えば、金属源の生成が遅く、基板のバイアスをバイアスが印加されていない条件から中バイアス条件へと変化させること(例えばバイアス出力をプラスする)により、このプロセスレシピが与えられる。数1012cm−3の密度で30から100mTorrの圧力の一般的なICPプラズマ(300mmウェーハの金属被膜に対してイオン化金属を用いる)に対しては、1011cm−3以下の金属密度(例えば、これはDC出力からターゲットへの1〜4kWの出力で達成される)は十分に低く、例えば第1または第3プロセスウィンドウ等の表面衝突モードで作動させることが可能であると考えられる。この条件では、プロセス時に基板のバイアスは2つのレベルを有し、バイアスが印加されていない基板ホルダーから、バイアスが印加されていない時の蒸着速度の20%以下であるフラットフィールドの正味の蒸着速度に対応するようなレベルのバイアスが印加された基板ホルダーまでの範囲内にある。例えば、基板のバイアス出力は、0Wから数百ワットまでの範囲である。
【0065】
他のプロセスレシピには、中バイアスの条件(つまり、第2プロセスウィンドウ、中バイアス出力)で作動させることが含まれ、金属源の生成はnM臨界/ne ≦ |(nM−ne)/ne| ≦ 1という条件を満たすように予め設定され、つまり金属密度がプラズマ密度の範囲に近い。例えば、フラットフィールドの正味の蒸着速度は、バイアスが印加されていない条件での蒸着速度の50%から80%の範囲である(例えば、基板のバイアス出力の範囲は略300Wから800Wである)。更には、例えばターゲットに供給されるDC出力は略2から6kWの範囲であり、プラズマ密度と比較可能な全金属密度を生成する。
【0066】
本発明の特定の実施例についてのみ上記では詳述したが、当業者は本発明の新規な教示及び利点から著しく逸脱しないで本発明の実施例の多数の修正が可能であるということに容易に想到しよう。従って、そのような変形の全ては本発明の範囲に含まれているものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施例による蒸着システムの概略的な図である。
【図2】基板の上側表面に対して平行な座標系である。
【図3A】本発明の他の実施例による蒸着システムの概略的な図である。
【図3B】図3Aの蒸着システムの上面図である。
【図4】本発明の他の実施例による蒸着システムの概略的な図である。
【図5】本発明の他の実施例による蒸着システムの概略的な図である。
【図6】本発明の実施例による高アスペクト比形体にコンフォーマルな金属蒸着を実施するための方法を示す図である。
【図7】高密度プラズマ内の金属及びバックグラウンドガスイオンの例示的なイオン化率を示す図である。
【図8A】形体の内部の点からのアスペクト角を示す図である。
【図8B】アスペクト比2.25の三次元形体内部の金属の中性体の規格化されたフラックスの例示的な表面プロットである。
【図8C】アスペクト比8の三次元形体内部の金属の中性体の規格化されたフラックスの例示的な表面プロットである。
【図9A】フラットフィールド内部のイオン誘導型ナノスケール蒸着の蒸着速度及び被覆に寄与する蒸着メカニズムおよびプロセスの例示的な図である。
【図9B】形体内部のイオン誘導型ナノスケール蒸着の蒸着速度及び被覆に寄与する蒸着メカニズムおよびプロセスの例示的な図である。
【図10A】第1プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10B】第2プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10C】第3プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10D】第4プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10E】第5プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10F】第6プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10G】第7プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10H】第8プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図11】金属密度の関数として被覆率を示す例示的なプロセスウィンドウを示す図である。
【図12A】従来技術の方法によるバリア層が蒸着したコンタクトビアの断面図である。
【図12B】本発明による方法及び装置の実施例によるバリア層が蒸着したコンタクトビアの断面図である。
【符号の説明】
【0068】
100、200、300 蒸着システム
110、210、310 プロセスチャンバ
112、212、312 基板ホルダー
114、214、314 基板
120、220、222、320、322 プラズマ源
130、230、330 金属源
140、240、340 処理空間
150、250、350 制御システム
160、260、360 ガス注入システム
270、370 バッファシステム
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜蒸着用装置に係り、特に基板上の高アスペクト比形体内のコンフォーマルな薄膜蒸着に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)の相互配線及び内部配線用の半導体基板上の高アスペクト比(high aspeect ratio:HAR)ビアホール、コンタクト並びにトレンチの金属被膜においては、バリア層及びシード層は、側壁と底面を十分に覆い所望のバリアまたはシード特性を有するように蒸着されることが要求される。例えば、通常、バリア層は可能な限り薄く、電気抵抗を最小化することが望ましいが、バリア特性を犠牲にするようなものであってはならない。更には、例えば、バリア層は、シード層の物質が誘電体層や他の層に拡散することを防止するために空隙がなくコンフォーマル且つ連続的でなければならず、信頼性についての問題が発生することを防ぐ。厚さの最大値と最小値の間の差が工程において許容範囲内であると、膜はコンフォーマルになる。フィルムの厚さの最大値と最小値の比が小さいほど、コンフォーマル性は良くなる。
【0003】
HAR形体の金属被膜に対しては、イオン化物理気相蒸着(iPVD)が半導体処理において用いられてきており、サブミクロン技術への拡張が考案されている。イオン化PVDはビアやトレンチ構造の側面や底面の被覆性がよい。しかしながら、幾何学構造が小さくなり、ビアの寸法が略100ナノメートル以下と小さくなっており、蒸着に対する要求がより厳しくなってきている。形体の開口部(または上部)の小さな張り出しでさえ、形体を十分に覆うことを致命的に阻害するものとして認識されている。更には、張り出しの形成は形体の形状に影響を受け易いとも認識されており、この効果は、工程の全収率に影響を与える。
【0004】
相互接続の形成における薄膜のコンフォーマルな蒸着は従来の方法を用いたのでは、一般的に非常に困難である。従って、高速で、均一に近く、より良い段差被覆性を提供することが難しい。このような段差被覆性は、形体の側面の被覆部の厚さ対その下に形体が存在する基板のフィールド領域または水平方向の表面の被覆部の厚さの比として数値的に決められることもある。例えば、(接着、バリア、シード層用の)金属層のスパッタリング等の物理気相蒸着(PVD)では、トレンチ及び/又はコンタクトビアの表面上の厚さが全て略5nm(ナノメートル)以下であることが要求される。従って、高アスペクト比形体内部への金属のPVDでは、ビアの底面に十分な被覆性を与えるために、基板の上部表面上により多く蒸着することが求められる。デュアルダマシン方式における最新のトレンチやコンタクト構造では通常、図12Aに示すように、5nmの金属24がコンタクトビア23の底面と側壁に到達するためには、基板20の水平方向のフィールド領域27上に略50nmPVD金属膜21が求められる。PVD技術の指向性により、底面26に比較して、トレンチ及び/又はビアの上側のコーナー25により急速に蒸着される傾向がある。導線の幅の大部分を占める構造の上側の表面上に、蒸着物質が急速に蒸着する結果として、このように蒸着したコーナーにより形体の下側の範囲内へと影ができる。
【0005】
iPVDを用いる現在のIC相互接続技術(非特許文献1を参照)においては、逐次又はその場(in−situ)蒸着と、張り出しを除去するためのエッチング処理とを含む方法がいくつか存在する(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)。しかしながら、従来の工程条件では、ビアの張り出しや閉塞、金属層の非連続性、低蒸着速度、処理量の限界を含む複数の望ましくない効果が依然として生じてしまうことを本願発明者は目にしてきた。いくつかの方法においては、基板の移動という問題を有する別途の蒸着とエッチングシステムが必要とされ、保護されていない内部コイルのため汚染が生じる可能性があり、プラズマ生成の非一様性や結果として生じるエッチングの非一様性は、現在の方法が直面している追加的な問題に過ぎない。更には、基板表面の再スパッタンリング効果を考慮しただけでは、張り出しの堆積を完全には防止されないことを本願発明者は目にしてきた。
【0006】
ビアやトレンチの金属被膜に用いられる他の技術としては、特定の金属や金属窒化物用に開発された化学気相蒸着(CVD)が挙げられ、PVD法よりも改善された段差被覆性を示す。しかしながら、CVD法においても、構造の上側の表面や側壁上へ蒸着される物質の量よりも、デュアルダマシンのコンタクトホールの底面へ蒸着される物質の量の方が遥かに少ない傾向がある。従って、PVDよりはいくらか改善されてはいるが、公知の低温CVD法を用いたのでは、デュアルダマシン構造のCVDによる段差被覆性は均一ではないままである。金属の相互接続のコンフォーマルな被覆のために提案された最新の方法としては、原子層蒸着(ALD)が挙げられる(特許文献5を参照)。ALDでは通常、反応フェーズを交互に行うサイクルが含まれ、各々のフェーズは自己制限的な効果を有する。しかしながら、ALD法では、高圧室温で前駆体が得られることに関する問題がある。
【0007】
結局、現在の金属被覆技術では、形体の張り出しを除去する能力に欠け、結果として、発展し続けるICに対するHAR形体の十分な被覆性を提供することに完全に失敗しているということを本願発明者は目にしてきた。
【非特許文献1】Rossnagel、「Directional and iPVD for microelectronics applications」、J.Vac.Sci.Technol.、1998年、第B16巻、第5号、p.2585−2608
【特許文献1】米国特許第6100200号明細書
【特許文献2】米国特許第4999096号明細書
【特許文献3】米国特許第6274008号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0034244号明細書
【特許文献5】米国特許第6699783号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の一つは、上述の問題点のいずれかまたは全てを、低減または除去することである。本発明の他の目的は、高アスペクト比(HAR)形体の被覆特性を改善した物質の蒸着法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の原理によると、基板上の高アスペクト比形体に薄膜を形成するための蒸着システムは、プロセスチャンバと、プロセスチャンバに結合され基板を支持するように設計された基板ホルダーと、プロセスチャンバに結合されプロセスチャンバ内にプラズマを形成するように設計されたプラズマ源と、プロセスチャンバに結合されプロセスチャンバに金属を導入するように設計された金属源を備える。ここで、プラズマ源及び金属源は基板上の金属密度とプラズマ密度の間の比が一以下となるように設計される。
【0010】
本発明の他の側面によると、基板上の高アスペクト比形体に金属薄膜を蒸着する方法は、蒸着システム内の基板ホルダー上に基板を配置する段階と、プラズマ源を用いて蒸着システム内部に一つのプラズマ密度を有するプラズマを形成する段階と、金属源を用いて蒸着システム内部に一つの金属密度を有する金属を導入する段階と、略1以下である基板上の金属密度対プラズマ密度の比を定める段階と、基板上の形体内部にコンフォーマルな蒸着を実施する段階とを備える。
【0011】
本発明は主に金属の蒸着を対象としているが、本発明の原理に好ましく反応するような他のコーティング材料膜の蒸着にも適用されるものである。例えば、本発明は、金属のイオン化ポテンシャルがバックグラウンドのプロセスガスのイオン化ポテンシャルよりも小さい箇所の金属蒸着に特に役立つ。従って、バックグラウンドのプロセスガスのイオン化ポテンシャルよりも小さいイオン化ポテンシャルを有するコーティング材料は、本発明の原理を適用することにより恩恵を受ける。例えばプロセスガスがアルゴンである場合には、アルゴンのイオン化ポテンシャルよりも小さなイオン化ポテンシャルを有するコーティング材料は、特に本発明の恩恵を受ける。高いイオン化ポテンシャルを有するバックグラウンドガスを用いることにより、本発明を更に他の材料へと拡張することが可能になる。更に他の材料への本発明の拡張は解析的または実験的に決定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明においては、本発明の完全な理解を容易にするためと、本発明を限定するのではなく例示するために、例えば、特定の蒸着システムの幾何学構造や、様々な形状のプラズマ源、分散型金属源等について、具体的に詳述する。しかしながら、本発明は、この具体的に詳述されるものから逸脱する他の実施形態によっても実施され得ることは理解されたい。
【0013】
しかしながら、本発明の一般的な概念の進歩性について説明せずとも、この具体的な説明内に、進歩性を有する特徴について記載されていることは理解されたい。
【0014】
例えば、本願の開示の進歩的な側面には、プラズマ源はプロセスチャンバに結合されて、プロセスチャンバ内で1012e/cm3(立法センチメートル当たりの電子数)以上の高密度プラズマを形成するように設計されていて、金属源はプロセスチャンバに結合されて、プラズマ密度よりも小さい金属原子及び金属イオンの全密度でプロセスチャンバに金属を導入するように設計されている、基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システム及び方法を提供することが含まれる。
【0015】
他の例として、本願の開示の進歩的な側面には、基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システム及び方法が含まれ、ここで、プラズマ源及び金属源はプロセスチャンバに結合されプロセスチャンバ内にプラズマを形成するように設計されており、基板表面に近い部分に亘って金属密度はプラズマ密度よりも小さい。更なる例として、進歩的な側面には、基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システム及び方法が含まれ、ここで、プラズマ源及び金属源はプロセスチャンバに結合されプロセスチャンバ内にプラズマを形成するように設計されており、基板表面に近い部分に亘って金属密度はプラズマ密度よりも小さく、全金属密度対プラズマ密度の比は基板表面に亘って比較的一様である。
【0016】
上述の特徴並びに他の進歩的な側面を含む更なる実施例として、プロセスチャンバに結合され1012e/cm3以上の高密度プラズマを形成するように設計されたプラズマ源を用いて、また、プラズマ密度に対する金属原子及び金属イオンの全体の密度の比が0.1から1.0であり、基板表面に近い部分に亘って略一様であるようにプロセスチャンバ内に金属を導入するように設計された金属源を用いて基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システム及び方法が提供される。更に他の例として、本発明の進歩的な側面には、プロセスチャンバに結合され1012e/cm3以上の高密度プラズマを形成するように設計されたプラズマ源を用いて、また、プラズマ密度に対する金属原子及び金属イオンの全体の密度の比が0.1から1.0であり、基板表面からプラズマに向かって広がる空間であり尚且つ、プラズマ被膜部、またはプラズマ被膜部及び被膜部近傍、またはプラズマ被膜部と被膜部近傍と被膜部近傍内部の少なくともある程度のプラズマ、または基板の直径の略1/4の厚さの部分とのの何れかを含む空間全体に亘る基板表面に近い部分に亘って略一様であるようにプロセスチャンバ内に金属を導入するように設計された金属源を用いて基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システム及び方法が提供することが含まれる。
【0017】
他の例については、下記の様々な実施例についての記載及び添付した特許請求の範囲に含まれている。
【0018】
本発明の特定の実施例において実現される利点の例が図12Bに示されており、例えば幅65nmのビア32等の高アスペクト比(例えば7:1)形体を有する基板30上の膜31の蒸着結果が示されている。膜31は、例えば基板のフラットフィールド33と基板30上の形体32の側壁34及び底面35に亘って、5nm±1.25nmの厚さを有している。
【0019】
特に高アスペクト比形体における蒸着特性を改善するために、本発明は、露出された基板表面に対する局所的な化学輸送を改善するように蒸着システムおよび作動方法を改善する。露出された基板の表面は材料を蒸着する複数の段階において露出されており、この段階の組み合わせを用いて、材料の組成及び/又は露出された基板表面の幾何学構造が変更される。例えば、蒸着システムはイオン誘導型のコンフォーマルなナノスケール蒸着を利用する。
【0020】
本発明の実施例によると、薄膜のコンフォーマルな蒸着のためのシステムが開示される。蒸着システムは、高アスペクト比(HAR)形体内部において形体の被覆性が一様であるための条件を提供する。蒸着システム内において、プラズマ源は高密度プラズマ(電子密度ne>1012cm−3)を生成する。更には、蒸着システム内において、金属源は金属吸着原子を生成する。プラズマの形成と金属吸着原子の生成は、金属密度(中性の金属原子の密度及び金属イオンの密度を含む)対プラズマ密度(または電子密度やイオン密度)の比が一以下(例えば、nmetal/ne=定数≦1)で一定に保持されるような方法で実施される。この条件に合うように蒸着を実施することにより、基板に亘るフラットフィールドの表面及び形体内部の表面のコンフォーマルな被覆が同じ蒸着速度で提供されることを発明者は観測した。更には、例えば、蒸着は基板表面に亘る表面運動モードで生じ、形体側壁での高められた蒸着速度に貢献する。
【0021】
図1を参照すると、本発明の実施例による蒸着システム100が示されている。蒸着システム100は、プロセスチャンバ110と、プロセスチャンバに結合され基板114を支持するように設計された基板ホルダー112とを備える。更に、蒸着システム100は、プロセスチャンバに結合されプロセスチャンバ110内の処理空間140内にプラズマを形成するように設計されたプラズマ源を備える。更に、蒸着システム100は、プロセスチャンバ110に結合されプロセスチャンバ110の処理空間140に金属吸着原子を導入するように設計された金属源130を備える。蒸着システム100は、プロセスチャンバ110に結合されプロセスチャンバ110の処理空間140に例えば希ガス等の不活性ガスを導入するように設計されたガス注入システム160を更に備えることができる。更に、蒸着システム100は、プロセスチャンバ100と基板ホルダー112とプラズマ源120と金属源130とに結合され、例えばプロセスレシピに従って蒸着システム100の作動、調節、監視、または制御の少なくとも一つを行うように設計された制御システム150を備えることができる。
【0022】
プラズマの形成及び金属吸着原子の生成は、金属密度対プラズマ密度(または電子密度、またはイオン密度)の比が一以下(例えば、nmetal/ne≦1)であるように維持する方法で実施される。例えば、この比を、基板114の表面から離れた少なくとも一点で一以下であるように維持することが可能である。このような条件を満たすことにより、本発明の利点の少なくともいくつかを実現する密度分布が生じる。代わりに、この比の空間分布を基板114の表面に亘って一以下となるように維持することも可能である。代わりに、この比の空間分布を基板114の表面に亘って一以下となるように維持し且つ基板114の表面に亘って±25%の範囲内で実質的に一様であるように維持することも可能である。代わりに、この比の空間分布を基板114の表面に亘って一以下となるように維持し且つ基板114の上側表面に亘って実質的に一定(例えば、nmetal/ne≒定数≦1)であるように維持することも可能である。例えば、金属吸着原子密度の空間分布を関数f(x,y)で表し、プラズマ密度の空間分布を関数g(x,y)で表すことが可能である。ここで、x及びyは、基板114の上側表面に平行な2次元の直線的な座標系を表す(図2を参照)。関数f(x,y)は基板114の上側表面に亘って実質的に一定であることが可能であり、関数g(x,y)は基板114の上側表面に亘って実質的に一定であることが可能である。ここで、空間の任意の点(x,y)でのf(x,y)対g(x,y)の比は一以下である。代わりに、関数f(x,y)は基板114の上側表面に亘って一定でなく、関数g(x,y)は基板114の上側表面に亘って一定ではないが、f(x,y)とg(x,y)が同様の関数であり、空間の任意の点(x,y)でのf(x,y)対g(x,y)の比は一以下であるということもある。例えば、関数の類似性は、関数f(x,y)とg(x,y)の数学的な類似性(つまり、形状や曲率等)によって特徴付けることが可能である。代わりに、この比を時間の関数として実質的に不変であるように維持することも可能である。
【0023】
更に図1を参照すると、プラズマ源120は、例えば無線周波数(RF)発生器等の出力源に結合された電極や、例えば螺旋コイル等の出力源に結合されたコイルアンテナや、RF発生器に結合された他のアンテナを備えることができる。例えば、プラズマ源120は、容量結合プラズマ(CCP)源や、誘導結合プラズマ(ICP)源や、その組み合わせを含むことができる。更には、例えば、副及び大気ICP源は、略(1〜4)×1014cm−3の電子密度neで、略0.2eVから略0.6eVの電子温度で、金属吸着原子のイオン化が100%のプラズマを生成する。代わりに、プラズマ源は、例えば電子温度が低く略1.2×1012cm−3以上の電子密度neの電子ビーム源等の広範囲プラズマを形成可能なプラズマ源、並びに、表面波、ヘリコン、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ源に基づいた高密度フラットプラズマを形成可能なプラズマ源を含むことができる。
【0024】
金属源130は、例えば、金属吸着原子が処理空間に進入するプロセスチャンバ110の周辺部の周りに分散させることが可能である。例えば、金属ターゲットを、金属源として用いることができる。ターゲットには、直流(DC)または交流(AC)を用いてバイアスを印加することが可能であり、スパッタリング処理を介して金属吸着原子が生成される。代わりに、例えばマグネトロン等の他の金属源を用いることも可能である。例えば、パルスレーザー蒸着、高出力パルスマグネトロンスパッタリング、プラズマ補助スパッタリング技術等を用いることが可能である。更には、例えば、金属源130は複数の金属源を含むことが可能である。複数の金属源を出力源に結合させることが可能である。代わりに、各々の金属源を別々の出力源に独立に結合させることが可能である。代わりに、一つ以上の出力源を用いて、出力を複数の金属源に交互且つ順次に結合させることが可能である。
【0025】
基板ホルダー112は電極を備えることが可能で、この電極を介して例えばRF出力等のAC出力や、DC出力が基板114に結合される。例えば、基板ホルダー112に、RF発生器からインピーダンスマッチネットワークを通り基板ホルダー112に向かうRF出力の伝達を介して、RF電圧で電気的バイアスを印加することが可能である。RFバイアスは電子を加熱してプラズマを形成及び維持するために用いることができる。代わりに、RFバイアスは、基板の上側表面上に入射するイオンのイオンエネルギーに影響を与えるために用いることができる。RFバイアス用の一般的な周波数は0.1MHzから100MHzの範囲である。プラズマ処理用のRFシステムは当業者には周知である。代わりに、多重周波数でRF出力が基板ホルダーの電極に印加されることもある。更には、インピーダンスマッチネットワークは、反射される出力を減らすことにより、プロセスチャンバ内のプラズマへのRF出力の伝達を改善するために用いることができる。マッチネットワークのトポロジー(例えば、L型、π型、T型等)と自動制御方法は当業者には周知である。
【0026】
更には、基板ホルダー112は、基板114を基板ホルダー112に電気的に(または機械的に)固定(クランプ)するための静電クランプシステム(または機械クランプシステム)を有することが可能である。例えば、基板ホルダー112は、基板ホルダー112から熱を受け取り熱を熱交換システム(図示せず)に移すような、または加熱時に熱交換システムから熱を移すような再循環冷却剤が流れる冷却システムを更に備えることができる。更には、例えば、熱移動ガスを、ガスシステムの裏側を介して基板114の裏側に送り、基板114と基板ホルダー112の間のガスギャップの熱伝導を改善することができる。基板114の裏側に供給される熱移動ガスとしては例えば、ヘリウムやアルゴンやキセノンやクリプトン等の不活性ガスや、プロセスガス、酸素や窒素や水素等の他のガスが挙げられる。このようなシステムは、高温または低温の下で基板の温度制御が必要とされる場合に用いられる。裏側ガスシステムとしては、例えば2重ゾーン(センター・エッジ)システム等の多重ゾーンガス分布システムが挙げられ、2重ゾーンシステムにおいては、基板114のセンターとエッジの間で独立的に裏側のガスギャップの圧力を変化させることができる。他の実施例においては、例えば耐加熱素子等の加熱/冷却素子や熱電加熱器/冷却器を、基板ホルダー112並びにプロセスチャンバ110のチャンバ壁に備えることが可能である。
【0027】
更には、制御システム150は、蒸着システム100への入力並びに蒸着システム100からの出力を伝達及び活性化させるのに十分な制御電圧を生成可能なデジタルI/Oポート、メモリ、マイクロプロセッサを備えることが可能である。更には、制御システム150を、プロセスチャンバ110、プラズマ源120、分散型金属源130、ガス注入システム160、真空ポンプシステム(図示せず)に結合させて、情報を交換することが可能である。例えば、メモリに記憶されたプログラムを用いて、蒸着処理を実施するためのプロセスレシピに従った蒸着システム100の上述の構成要素への入力を活性化させることが可能である。制御システム150の一例としては、テキサス州オースチンのデル株式会社から入手可能なDELL PRECISION WORKSTATION610が挙げられる。
【0028】
図3A及び3Bを参照すると、本発明の実施例による他の蒸着システム200が示されている。蒸着システム200は、図1の蒸着システム100と同様な要素を備えている。しかしながら、蒸着システム200は、金属吸着原子を一様にイオン化するのに十分な一様で制御可能なプラズマ密度を供給するために、2箇所以上の位置に配置された2つ以上のプラズマ源を備えている。例えば、蒸着システム200は、プロセスチャンバ210の下側を取り囲むように結合され処理空間240にプラズマを形成するように設計された第1プラズマ源220と、プロセスチャンバ210の上側を取り囲むように結合され処理空間240にプラズマを形成するように設計された第2プラズマ源222とを備える。
【0029】
更には、蒸着システム200は、プロセスチャンバ210に結合されプロセスチャンバ210の処理空間240に金属吸着原子を導入するように設計された分散型金属源230を備える。分散型金属源の配置については、図3A及び図3Bに示すようにできる。
【0030】
図3Aに示すように、蒸着システム200はバッファ装置270を更に備えることが可能である。例えば、プロセスチャンバの一部分は、分散型金属源やプラズマ源を備えるのではなくて、基板の処理速度が異なることを補償するためのバッファ表面270を構成する。バッファ表面270は、凸型、平板型、凹型形状の少なくとも一つを有し、例えばアルミニウム、ステンレス鋼等の導電材料から形成される。バッファ装置270の目的は、例えば、処理空間240内の金属吸着原子の半径方向の分布を補完することである。表面での反応は表面温度に影響を受けやすいため、バッファ表面(バッファ装置270)は、例えば冷却及び/または加熱装置等の温度制御装置を含み、表面温度を制御することができる。更には、例えば、バッファ装置270はDCまたはAC出力源に結合可能である。更には、バッファ装置270は、永久磁石または電磁石を用いて、静磁場や動磁場を生成する磁場構造を有することが可能である。更には、バッファ装置270は並進移動可能である。例えば、バッファ層270は基板214に対して垂直方向に並進移動して、バッファ装置270と基板214との間隔を変更させることができる。
【0031】
蒸着システム200は、プロセスチャンバ210に結合されプロセスチャンバ210の処理空間240に例えば希ガス等の不活性ガスを導入するように設計されたガス注入システム260を更に備えることができる。更に、蒸着システム200は、プロセスチャンバ210と、基板ホルダー212と、第1プラズマ源220と、第2プラズマ源222と、分散型金属源230とに結合され、例えばプロセスレシピに従って蒸着システム200の作動、調節、監視、または制御の少なくとも一つを行うように設計された制御システム250を備えることができる。
【0032】
図4を参照すると、本発明の更に他の実施例による蒸着システム300が示されている。蒸着システム300は、金属吸着原子を一様にイオン化するのに十分な一様で制御可能なプラズマ密度を供給するために、2箇所以上の位置に配置された2つ以上のプラズマ源を備えている。例えば、蒸着システム300は、プロセスチャンバ310の下側を取り囲むように結合され処理空間340にプラズマを形成するように設計された第1プラズマ源220と、プロセスチャンバ310の上面に結合及び配置され処理空間340にプラズマを形成するように設計された第2プラズマ源322とを備える。更には、蒸着システム300は、プロセスチャンバ310に結合されプロセスチャンバ310の処理空間340に金属吸着原子を導入するように設計された分散型金属源330を備える。蒸着システム300は、プロセスチャンバ310に結合されプロセスチャンバ310の処理空間340へ例えば希ガス等の不活性ガスを導入するように設計されたガス注入システム360を更に備えることが可能である。更に、蒸着システム300は、プロセスチャンバ310と、基板ホルダー312と、プラズマ源320、322と、分散型金属源330とに結合され、例えばプロセスレシピに従って蒸着システム300の作動、調節、監視、または制御の少なくとも一つを行うように設計された制御システム350を備えることができる。蒸着システム300は上述のようなバッファ装置370を更に備えることが可能である。
【0033】
更に、図5は、蒸着システム400を制御するための制御システム410を備える蒸着システム400のレイアウトを示す。制御システム410は、プロセスパラメータとハードウェアパラメータを設定するためのユーザーインターフェイス420と、設定されたパラメータに従って蒸着システムを作動させるように設計された主制御部422とを備える。制御システム410は、圧力制御システム432とガス流量制御システム434とガス供給システム438とポンプ制御システム436と作動させるように設計された第1副制御部430を更に備える。制御システム410は更に、プラズマ源出力発生及び制御システム442と蒸着システム冷却及び加熱システム444とを作動させるように設計された第2副制御部440、並びに、分散型金属源DC出力発生及び制御システム448を作動させるように設計された第3副制御部446とを備える。プラズマ源出力発生及び制御システム442と分散型金属源DC出力発生及び制御システム448とは、プロセスチャンバ465に結合され、一つ以上のプラズマ発生素子471、472を有するプラズマ源470と一つ以上の金属源481、482、483を有する分散型金属源480とをそれぞれ作動させるように設計されている。第4副制御部450は基板操作システム452を作動させるように設計されている。第5副制御部454はチャック及びデチャックシステム456を作動させるように設計されている。第6副制御部458は基板ホルダー出力発生及び制御システム460を作動させるように設計されている。更には、一つ以上のセンサーと計測装備を備える診断システム490がプロセスチャンバ465とプラズマ源470と分散型金属源480に結合されて、ユーザーインターフェイス420に作動データを提供するように設計されている。
【0034】
図5に示すように主制御部422は蒸着システム400に対して近接して配置されてもよいし、蒸着システム400に対して遠隔して配置されてもよい。例えば、直接接続、イントラネット、インターネットの少なくとも一つを用いて、制御部422は蒸着システム400とデータを交換することができる。制御部422は例えば需要者側(つまりデバイスメーカー等)のイントラネットに接続させることが可能であるし、例えば供給者側(つまり装置メーカー)のイントラネットに接続させることも可能である。更には、例えば制御部422はインターネットに接続可能である。更には、他のコンピュータ(つまり、制御部サーバー等)が、例えば直接接続、イントラネット、インターネットの少なくとも一つを介してデータを交換するために、制御部422にアクセス可能である。
【0035】
図1から図5の蒸着システムにおいては、分散型金属源は、一般的なスパッタリング圧力よりも高いガス圧(典型的には>30mTorr)で熱運動させられるターゲットから金属蒸気の流れを形成する。本発明の進歩性を有する特定の実施例においては、真空プロセスチャンバ内でプラズマや金属蒸気を熱運動させることを用いるイオン誘導型ナノスケール蒸着における金属対プラズマの比率を用いている。適切なICP源により、バルク体積の高密度プラズマと効率的にイオン化された金属が生成される。金属イオンは基板表面に向かって拡散し、プレ被膜と被膜の電圧の差(プラズマのポテンシャルとウェーファのポテンシャルとの間のポテンシャルの違い)により加速される。金属イオン流量速度は高いが、全体としての金属密度が比較的低い表面運動モードにおいて、表面を覆うことが可能である。フラットフィールドでの表面衝突により、再結合した金属イオンがバルクプラズマへと戻される。本形体においては、側壁により、金属イオンのバックグラウンドガスとの電荷交換や、例えばアルゴン等のバックグラウンドガスのペニング励起のせいで形体の底面を逃れる金属に対する捕捉効果が与えられる。この条件の下では、バルクプラズマからのイオンベースの蒸着速度は、形体底面の中性体(neutral)の生成速度よりも高くて、中性体の生成速度はバルクプラズマからの中性体による蒸着速度よりも高い。つまり、コンフォーマル性は、CB/FF≧1である。ここで、B=形体底面、FF=フラットフィールドであり、つまり、CB/FFは形体底面での蒸着速度対フラットフィールドでの蒸着速度の比を表す。底面から反射され再スパッタリングされる金属が、表面運動を介して壁で消費される金属の量よりも少ないと、CSW/FF≧1(SW=形体側壁)となる。
【0036】
図6を参照すると、高アスペクト比形体の薄膜蒸着方法が記載されている。本方法は、蒸着システム内に基板を配置する段階である510から開始するフローチャート500で示されている。例えば、蒸着システムとしては、上述の図1から図5のいずれかの蒸着システムが挙げられる。
【0037】
520では、プラズマが、一つ以上のプラズマ源を用いて蒸着システム内に形成される。例えば不活性ガス等のバックグラウンドガスを導入して、イオン化に十分な出力をガスに与えることにより、プラズマが形成可能である。
【0038】
530では、金属が、一つ以上の金属源から蒸着システムに導入される。
【0039】
540では、金属を基板上に蒸着するための処理が定められる。ここで、金属密度対プラズマ密度の比は実質的に一に等しいか一以下である。この比率を達成するための処理条件については下記で詳述する。
【0040】
550では、蒸着システム内に形成された処理条件を用いて、基板上への金属のコンフォーマルな蒸着が実施される。
【0041】
一つの実施例においては、コンフォーマルな被覆、より詳細には特定の金属対プラズマ密度の比や分布を達成するためのプロセスまたはプロセスウィンドウの範囲を確認する方法として、第一原理シミュレーションや実験またはその両方が行われる。上述のように、多重衝突により素反応を介してエネルギー的に多重構成のプラズマ環境が形成される間に、例えば銅やアルミニウムやタンタルやチタン等の金属蒸気が、例えば希ガス等のバックグラウンドガスが存在するなかで形成され、金属膜が基板上に蒸着される。例えば金属・アルゴンプラズマ等の金属・ガスプラズマにおいては、5つの原子的な構成要素が存在して、異なるエネルギー状態を有しており、その振る舞いが異なる。例えば、これらの粒子を生成する主たる衝突は、以下の通りである。
【0042】
バルクプラズマ内の親ガス原子との電子の衝突
(1)(電子衝突励起) Ar(g)+e− → Ar*(g)+e−
(2)(電子衝突イオン化) Ar(g)+e− → Ar+(g)+2e−
【0043】
バルクプラズマ内の金属原子との電子の衝突
(3)(電子衝突励起) M(g)+e− → M*(g)+e−
(4)(電子衝突イオン化) M(g)+e− → M+(g)+2e−
【0044】
バルクプラズマ内の親ガス原子との金属の衝突
(5)(アルゴンのペニング励起)
M+(g)+Ar0(g)→バルク M+(g)+Ar*(g)
(6)(電荷交換) M+(g)+Ar*(g)→バルク M0(g)+Ar+(g)
(7)(金属のペニングイオン化)
M0(g)+Ar*(g)→バルク M+(g)+Ar0(g)+e−
【0045】
低密度プラズマ(ne<1010cm−3)においては、ペニングイオン化(数式(7)参照)は、金属イオン化衝突の主な原因である。高密度プラズマ(ne>1011cm−3)においては、主たる金属イオン化チャネルは電子衝突イオン化(数式(3)参照)である。バルクプラズマ内の電荷粒子の主たる消失チャネルは、壁への両極性拡散と結果として生じる壁表面での再結合である。イオン化金属は、アルゴンプラズマ内の全イオン密度の一部分を構成している。親アルゴン密度に対する金属蒸気密度が比較可能であるならば、両方の構成要素のイオン化ポテンシャルと電子温度によって、比率が決定される(例えば、Ei(Cu)≒7.724eV、Ei(Ar)≒15.755eV)。金属のイオン化エネルギーは、任意の電子温度で、アルゴンよりも小さく(相互接続用の他の実用的な金属は銅と比較可能なイオン化ポテンシャルを有しており、例えば、Ei(Ta)≒7.88eV、Ei(Al)≒5.984eV)、Ei(Ti)≒6.82eV等)、金属密度nM<neに対しては、nM>neの場合よりも多くの金属がイオン化される。
【0046】
例えば、図7は、銅・アルゴンプラズマに対するグローバル運動モデルから得られた結果を示す。例えば、図7に示された結果は、バルクの高密度プラズマ(p〜65mTorr、ne〜1.6×1012cm−3、Te〜1.75eV)での金属とアルゴンイオンのイオン化率と、フローティング基板でのバルクの金属密度に対する表面への金属イオンフラックスの率とを反映している。破線(1)は、プラズマ密度(2)を超えた時の金属(Cu)イオンの減少を示す。モデルの出力は、上述の運動プロセス(数式(1)から(7))及び、プラズマ密度と電子温度測定の実験データに基づいている。金属イオン密度を表面での金属イオンのフラックスに変換するために、プラズマのプレ被膜と被膜ポテンシャルの差Vプラズマ−Vバイアスによるボーム速度へのイオンの加速が考慮される。例えば、バイアスを増加させることにより表面への金属イオンのフラックスが増加する。中性金属のフラックスは、加速電圧差には影響を受けない。この結果、基板へのイオン化金属のフラックスの率(3)が、プラズマ内のイオン化金属の率(4)よりも大きくなる。
【0047】
金属蒸着は、基板表面(または他の表面)でのプラズマ被膜部内で起こり、電子密度の枯渇が生じる(ne→0)。更には、電子衝突は被膜部内では生じない。何故ならば、例えば30から100mTorrの圧力下では、イオン・中性体の平均自由行程(1〜3mm)は被膜部の幅よりも大きく(〈Li−n〉 ≧1mm>>d被膜部≒30〜100μm)、従って被膜部は無衝突であるとみなせるからである。更には形体内での中性体のフラックスは、形体表面の点からのアスペクト角が非常に小さいため(図8を参照)、著しく減少させられる。これらの条件下では、表面でのイオン誘導型衝突は、金属の輸送において重要な役割を果たす。表面の存在は、衝突での第3ボディの役割を果たし、表面で衝突する粒子間のエネルギーの移送に対して有利な条件を与える。運動モデルにおいては、下記の表面衝突は蒸着速度に寄与するものと考えられる。
(8)(アルゴンのペニング励起)
M+(g)+Ar0(s)→E,表面 M0(g)+Ar*(s)+e(s)
(9)(電荷交換)
M+(g)+Ar*(s)→E,表面 M0(g)+Ar+(s)
→M0(g)+Ar0(s)+e(s)
(10)(金属のペニングイオン化)
M0(g)+Ar*(s)→E,表面 M+(g)+Ar0(s)
→E,表面 M+(s)+Ar0(s)→E,表面 M0(s)+Ar0(s)+e(s)
【0048】
更には、中性金属原子の直接蒸着、加速された金属イオン、表面から反射された金属イオン、基板表面での再スパッタリングも考慮される。
(11)イオン蒸着メカニズム
【数1】
【0049】
運動モデルで考慮される全メカニズムが図9A及び9Bに示されている。運動モデルの解により、フラットフィールド(Flat Field)表面上への蒸着速度(D.R.FF)、底面(Bottom)上への蒸着速度(D.R.B)、側壁(Sidewall)表面上への蒸着速度((D.R.SW))が、金属密度(nM)と、プラズマ密度(ne)と、上述の表面衝突の特定の速度の定数との関数として与えられる。
【数2】
【0050】
ここで、(B1の付いた)右辺第1項は中性金属による蒸着速度を表す。(K1の付いた)第2項はイオン化金属による蒸着速度を表す。(Y(φ,E)の付いた)第3項は再スパッタリングによる蒸着速度を表す。(B3の付いた)第4項は金属のペニングイオン化による蒸着速度を表す。(K2の付いた)第5項はアルゴンのペニング励起を表す。(K3の付いた)第6項は金属とアルゴンの間の電荷交換を表す。R(φB)は反射係数を表す。nArはバックグラウンドガスのバルク密度を表す。Θ(H)は形体底面での中性体のフラックスの率を表す。Θ(z)はビア側壁での中性体のフラックスの率を表す。ARは形体のアスペクト比を表す。
【0051】
更には、形体内部での主たる金属の輸送は、高表面衝突周波数での分子レジームにある。用いられる条件下においては、バルクプラズマの衝突周波数に対する表面衝突周波数が比較可能である。更には、形体内部への中性金属の直接蒸着は、形体内部の位置に依存する。
【0052】
底面対フラットフィールドの被覆率CB/FF=DB(ne,nM)/DFF(ne,nM)と、側壁対底面の被覆率CSW/B=DSW(ne,nM)/DB(ne,nM)の解析が表1及び表2に示されている。低金属密度nM<neにおいては、表面反応は、張り出しが形成されない形体のコンフォーマルな被覆率CSW/B(ne,nM)≒1が得られるものであると予測される。金属密度nMがnM臨界<nM<neという条件を満たし、プラズマ密度neがne(1)≦ne≦ne(2)という条件を満たすときに、コンフォーマルな被覆が達成可能である。ここで、nM臨界(Ub,ne,nAr,B1,B3,K1,K2,K3,R(φR))は表面比の定数、反射係数、プラズマ密度、アルゴンのバックグラウンド圧の関数であり、実際に蒸着される金属の物性に依存する。特に、例えば基板でのバイアス等のプロセスパラメータに影響を受け易く、結果としてnM臨界→neとなる。プラズマ密度は、形体のアスペクト比をパラメータとして含むような同様なパラメータにより決定される。本モデルの最も重要な結論は、CB/FF≒1とCSW/B≒1というプラズマ密度及び金属密度に対して、インターバルやプロセスウィンドウが存在するということである。
【0053】
プラズマ内の金属率と基板に印加されるバイアス電圧の観点からプロセスを見てみると、高アスペクト比形体のコンフォーマルな被覆に対して、複数のプロセスウィンドウを確認することが出来る(図10Aから図10Hを参照)。例えば、図10Aから10Hには、形体の側壁対底面の被覆率(表面衝突無しの運動モデルが示されており、表面衝突有りの運動モデルも示されている)と、形体の底面対フラットフィールドの被覆率(表面衝突無しの運動モデルが示されており、表面衝突有りの運動モデルも示されている)とが異なるプロセスパラメータに対して示されており、具体的には、(10A)基板バイアスなしで低金属密度;(10B)5%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスと低金属密度;(10C)(蒸着速度と比較して)10%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスと低金属密度;(10D)15%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスと低金属密度;(10E)25%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスであり金属密度はプラズマ密度に比較可能;(10F)50%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスであり金属密度はプラズマ密度と比較可能;(10G)75%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスであり金属密度はプラズマ密度と比較可能;(10H)100%の再スパッタリング率に対応する基板バイアスであり金属密度はプラズマ密度と比較可能となっている。
【0054】
一実施例によると、コンフォーマルな被覆に対するプロセスウィンドウには、(基板に対する)低バイアス出力、nM<0.1ne、または好ましくはnM≦nM臨界<ne(図10A、B、C、Dに様々なバイアス条件で示されている)が含まれる。このプロセスウィンドウにおいては、CSW/B→1であり、CSW/B≧1の時でさえ、バイアス出力が緩やかに上昇すると(再スパッタリング率が上昇すると)、側壁対底面の被覆性がコンフォーマルからオーバーコンフォーマルへと上昇する。全体的には、蒸着速度は比較的低く、バルクプラズマのプラズマ密度を例えばne→1013cm−3またはそれ以上に上昇させることにより、上昇可能である。底面対フラットフィールドの被覆率はCB/FF<0.2と小さく、張出しは形成されない。
【0055】
【表1】
【0056】
他の実施例においては、コンフォーマルな被覆に対するプロセスウィンドウには、(基板に対する)中バイアス出力、0.1≦|(nM−ne)/ne|≦1または好ましくはnM臨界/ne≦|(nM−ne)/ne|≦1(図10E、F、Gに様々なバイアス条件で示されている)が含まれる。このプロセスウィンドウにおいては、CSW/B≦1であり、CSW/B≒CB/FFと比較可能である。CSW/BとCB/FFの両方は金属源の生成速度により制御可能である。プロセスウィンドウは低バイアスに対して大きく、高バイアス条件においては小さくなる。張り出しの形成率は比較的低いままである。
【0057】
他の実施例においては、コンフォーマルな被覆に対するプロセスウィンドウには、(基板に対する)高バイアス出力、nM≧ne(図10G、Hに様々なバイアス条件で示されている)が含まれる。金属密度のスケールにおいては、このプロセスウィンドウは、低バイアス出力に対する第1プロセスウィンドウに類似している。
【0058】
【表2】
【0059】
この領域は、側壁の被覆に影響を与えずに底面の被覆を高めるような応用に適用することができる。また、低バイアス出力のプロセスウィンドウで行われるプロセスに引き続いて行うことにより、最適化された側壁対底面の被覆と高められた底面対フラットフィールドの被覆とを、張り出し構造を形成せずに組み合わせられる。このプロセスウィンドウにおいては、コンフォーマル性はCSW/B→0となる。
【0060】
他の実施例においては、コンフォーマルな被覆に対するプロセスウィンドウには、nM>ne(より効果的にはnM>>ne)が含まれ、蒸着速度が上昇したために張り出しが形成されることが特徴的である。このプロセスウィンドウは従来のPVDやiPVD処理において利用されているが、張り出しのせいで、高アスペクト比形体に対しては被覆性がよくない。
【0061】
更に他の実施例においては、プラズマ密度が妥当な蒸着速度を得るのに十分な程高くて、ne>nM、例えばne≒1012→1013cm−3またはそれ以上という条件を満たすようにプロセス条件が選ばれる。例えば、略ne→1013cm−3というプラズマ密度により、ナノスケール蒸着において、略10〜100nm/minという十分な蒸着速度が得られる。
【0062】
更には、分散型金属源は、衝突が少ないということや張り出しが形成されるということを減少または無くして、基板上の任意の位置で高イオン化されたnM<neという条件を満たす最適化された量の金属を移送することができる。分散型金属源は、その幾何学構造とその働き(小さな金属源はあまりプラズマ源に結合されていない)により、高イオン化を提供することができ、従って、高い一様性を提供することができる。
【0063】
更には、他のプロセス条件には、nM/ne=定数≦1及びnM≧nM臨界が含まれる。基板全体に亘って金属密度対プラズマ密度の比を一定に保つことにより、コンフォーマルな被覆での表面反応の条件が与えられ、従って、基板に亘る形体または構造の一様な被覆が達成される。
【0064】
上述の運動モデルの結果に従うと、形体の最適な被覆に対するプロセスレシピの一つには、第1プロセスウィンドウ(低バイアス出力)と第3プロセスウィンドウから引き出された条件が含まれる。例えば、金属源の生成が遅く、基板のバイアスをバイアスが印加されていない条件から中バイアス条件へと変化させること(例えばバイアス出力をプラスする)により、このプロセスレシピが与えられる。数1012cm−3の密度で30から100mTorrの圧力の一般的なICPプラズマ(300mmウェーハの金属被膜に対してイオン化金属を用いる)に対しては、1011cm−3以下の金属密度(例えば、これはDC出力からターゲットへの1〜4kWの出力で達成される)は十分に低く、例えば第1または第3プロセスウィンドウ等の表面衝突モードで作動させることが可能であると考えられる。この条件では、プロセス時に基板のバイアスは2つのレベルを有し、バイアスが印加されていない基板ホルダーから、バイアスが印加されていない時の蒸着速度の20%以下であるフラットフィールドの正味の蒸着速度に対応するようなレベルのバイアスが印加された基板ホルダーまでの範囲内にある。例えば、基板のバイアス出力は、0Wから数百ワットまでの範囲である。
【0065】
他のプロセスレシピには、中バイアスの条件(つまり、第2プロセスウィンドウ、中バイアス出力)で作動させることが含まれ、金属源の生成はnM臨界/ne ≦ |(nM−ne)/ne| ≦ 1という条件を満たすように予め設定され、つまり金属密度がプラズマ密度の範囲に近い。例えば、フラットフィールドの正味の蒸着速度は、バイアスが印加されていない条件での蒸着速度の50%から80%の範囲である(例えば、基板のバイアス出力の範囲は略300Wから800Wである)。更には、例えばターゲットに供給されるDC出力は略2から6kWの範囲であり、プラズマ密度と比較可能な全金属密度を生成する。
【0066】
本発明の特定の実施例についてのみ上記では詳述したが、当業者は本発明の新規な教示及び利点から著しく逸脱しないで本発明の実施例の多数の修正が可能であるということに容易に想到しよう。従って、そのような変形の全ては本発明の範囲に含まれているものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施例による蒸着システムの概略的な図である。
【図2】基板の上側表面に対して平行な座標系である。
【図3A】本発明の他の実施例による蒸着システムの概略的な図である。
【図3B】図3Aの蒸着システムの上面図である。
【図4】本発明の他の実施例による蒸着システムの概略的な図である。
【図5】本発明の他の実施例による蒸着システムの概略的な図である。
【図6】本発明の実施例による高アスペクト比形体にコンフォーマルな金属蒸着を実施するための方法を示す図である。
【図7】高密度プラズマ内の金属及びバックグラウンドガスイオンの例示的なイオン化率を示す図である。
【図8A】形体の内部の点からのアスペクト角を示す図である。
【図8B】アスペクト比2.25の三次元形体内部の金属の中性体の規格化されたフラックスの例示的な表面プロットである。
【図8C】アスペクト比8の三次元形体内部の金属の中性体の規格化されたフラックスの例示的な表面プロットである。
【図9A】フラットフィールド内部のイオン誘導型ナノスケール蒸着の蒸着速度及び被覆に寄与する蒸着メカニズムおよびプロセスの例示的な図である。
【図9B】形体内部のイオン誘導型ナノスケール蒸着の蒸着速度及び被覆に寄与する蒸着メカニズムおよびプロセスの例示的な図である。
【図10A】第1プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10B】第2プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10C】第3プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10D】第4プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10E】第5プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10F】第6プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10G】第7プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図10H】第8プロセス条件に対する形体の側壁対底面の被覆率及び形体の底面対フラットフィールドの被覆率を示す図である。
【図11】金属密度の関数として被覆率を示す例示的なプロセスウィンドウを示す図である。
【図12A】従来技術の方法によるバリア層が蒸着したコンタクトビアの断面図である。
【図12B】本発明による方法及び装置の実施例によるバリア層が蒸着したコンタクトビアの断面図である。
【符号の説明】
【0068】
100、200、300 蒸着システム
110、210、310 プロセスチャンバ
112、212、312 基板ホルダー
114、214、314 基板
120、220、222、320、322 プラズマ源
130、230、330 金属源
140、240、340 処理空間
150、250、350 制御システム
160、260、360 ガス注入システム
270、370 バッファシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システムであり、
プロセスチャンバと、
前記プロセスチャンバに結合され前記基板を支持するように設計された基板ホルダーと、
前記プロセスチャンバに結合され前記プロセスチャンバ内にプラズマを形成するように設計されたプラズマ源と、
前記プロセスチャンバに結合され前記プロセスチャンバに金属を導入するように設計された金属源とを備え、
前記プラズマ源及び前記金属源とは前記基板上の金属密度対プラズマ密度の比が一以下となるように設計されている蒸着システム。
【請求項2】
前記プロセスチャンバに結合され不活性ガスを導入するように設計されたガス注入システムを更に備える請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項3】
前記不活性ガスは希ガスを含む請求項2に記載の蒸着システム。
【請求項4】
前記プラズマ密度は電子密度またはイオン密度により特徴付けられる請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項5】
前記比は前記基板の表面に亘って実質的に一様である請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項6】
前記比は時間の関数として変化する請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項7】
前記基板上の前記プラズマ密度の空間分布がf(x,y)で表され、前記金属密度の空間分布がg(x,y)で表され、x及びyは前記基板の表面に平行な2次元の直線的な座標系を表しており、前記関数g(x,y)は前記関数f(x,y)に実質的に類似している請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項8】
前記プラズマ源は一つ以上のプラズマ生成素子を含む請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項9】
前記一つ以上のプラズマ生成素子は、容量結合プラズマ生成素子、誘導結合プラズマ生成素子、ヘリコンプラズマ生成素子、電子サイクロトン共鳴プラズマ生成素子、表面波プラズマ生成素子から成るグループから選択される請求項8に記載の蒸着システム。
【請求項10】
前記プラズマ源は電極または螺旋コイルの少なくとも一つまたはその両方を含む請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項11】
前記プラズマ源は高密度プラズマを生成するように設計された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項12】
前記プラズマ源は1012cm−3を越えるプラズマ密度を生成するように設計された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項13】
前記プラズマ源は第1プラズマ生成素子と第2プラズマ生成素子とを含み、前記基板上の前記プラズマ密度の空間分布の調節または制御の少なくとも一つを実施するために前記第1プラズマ生成素子及び前記第2プラズマ生成素子が前記プロセスチャンバに結合された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項14】
前記第1プラズマ生成素子は前記プロセスチャンバの周辺部の下側部分に結合されており、前記第2プラズマ生成素子は前記プロセスチャンバの周辺部の上側部分に結合されている請求項13に記載の蒸着システム。
【請求項15】
前記第1プラズマ生成素子は前記プロセスチャンバの周辺部の下側部分に結合されており、前記第2プラズマ生成素子は前記プロセスチャンバの上側表面に結合されている請求項13に記載の蒸着システム。
【請求項16】
前記金属源は、前記基板上の前記金属密度の空間分布の調節または制御の少なくとも一つを実施するように設計された分散型金属源を含む請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項17】
前記分散型金属源は前記プロセスチャンバの周辺部に配置された一つ以上の金属ターゲットを含む請求項16に記載の蒸着システム。
【請求項18】
前記一つ以上の金属ターゲットは直流(DC)出力源に結合された請求項16に記載の蒸着システム。
【請求項19】
前記一つ以上の金属ターゲットは出力源に結合された複数のターゲットを含み、前記出力源は、前記複数のターゲットに交互且つ順次に出力を与えるように設計された請求項16に記載の蒸着システム。
【請求項20】
前記金属源は直流(DC)出力源に結合された金属ターゲットを含む請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項21】
前記金属源はアルミニウム源、銅源、タンタル源、チタン源の少なくとも一つを有する請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項22】
前記プロセスチャンバに結合され前記プロセスチャンバ内の前記基板上の前記金属密度または前記プラズマ密度の少なくとも一つを調節するように設計されたバッファ層を更に備える請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項23】
前記バッファ装置は前記プロセスチャンバの上側表面に結合された請求項22に記載の蒸着システム。
【請求項24】
前記バッファ装置は平板型形状、凸型形状、凹型形状の少なくとも一つを有する請求項22に記載の蒸着システム。
【請求項25】
前記バッファ装置は直流(DC)出力または交流(AC)出力の少なくとも一つで電気的にバイアスが印加される請求項22に記載の蒸着システム。
【請求項26】
前記バッファ装置に結合され前記プロセスチャンバ内の前記基板上の前記金属密度または前記プラズマ密度の少なくとも一つを調節するように設計された磁石システムを更に備える請求項22に記載の蒸着システム。
【請求項27】
前記磁石システムは永久磁石のアレイまたは電磁石の少なくとも一つを含む請求項26に記載の蒸着システム。
【請求項28】
前記磁石システムは回転する磁石システムまたは静止した磁石システムの少なくとも一つを含む請求項26に記載の蒸着システム。
【請求項29】
前記バッファ装置は並進移動可能な請求項22に記載の蒸着システム。
【請求項30】
前記バッファ装置は前記基板に対して実質的に垂直方向に並進移動する請求項29に記載の蒸着システム。
【請求項31】
前記バッファ装置は冷却システム、加熱システムまたはその両方に結合された請求項22に記載の蒸着システム。
【請求項32】
前記プロセスチャンバに結合され前記プロセスチャンバ内の基板上の前記金属密度または前記プラズマ密度の少なくとも一つを調節するように設計された磁石システムを更に備える請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項33】
前記磁石システムは永久磁石のアレイまたは電磁石の少なくとも一つを含む請求項32に記載の蒸着システム。
【請求項34】
前記磁石システムは回転する磁石システムまたは静止した磁石システムの少なくとも一つを含む請求項32に記載の蒸着システム。
【請求項35】
前記基板ホルダーは前記基板に電気的バイアスを印加するように設計された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項36】
前記基板ホルダーは無線周波数(RF)発生器に結合された請求項35に記載の蒸着システム。
【請求項37】
前記プロセスチャンバと前記基板ホルダーと前記プラズマ源と前記金属源とに結合され前記蒸着システムの調節、監視、制御の少なくとも一つを実施するように設計された制御システムを更に備える請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項38】
前記プロセスチャンバは略1mTorrから100mTorrの範囲の圧力を発生させるように設計され、前記プラズマ源は略1012cm−3に等しいかこれを越えるプラズマ密度を生成するように設計され、前記金属源は直流(DC)出力源に結合され略1から4kWのDC出力を用いて略1012cm−3に等しいかこれを越える金属密度を生成するように設計され、前記基板ホルダーは無線周波数(RF)発生器に結合され略0から1000WのRF出力で前記基板にバイアスを印加するように設計された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項39】
前記プロセスチャンバは略1mTorrから100mTorrの範囲の圧力を発生させるように設計され、前記金属源は直流(DC)出力源に結合され略2から6kWのDC出力を用いて前記プラズマ源により生成される前記プラズマ密度に実質的に等しい金属密度を生成するように設計され、前記基板ホルダーは無線周波数(RF)発生器に結合され略300から800WのRF出力で前記基板にバイアスを印加するように設計された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項40】
前記プロセスチャンバは略1mTorrから100mTorrの範囲の圧力を発生させるように設計され、前記金属源は直流(DC)出力源に結合され略1から6kWのDC出力を用いて前記プラズマ源により生成される前記プラズマ密度に実質的に等しい金属密度を生成するように設計され、前記基板ホルダーは無線周波数(RF)発生器に結合され略0から1000WのRF出力で前記基板にバイアスを印加するように設計された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項41】
基板上の高アスペクト比形体内に金属薄膜を蒸着する方法であり、
蒸着システム内の基板ホルダー上に前記基板を配置する段階と、
プラズマ源を用いて前記蒸着システム内部に一つのプラズマ密度を有するプラズマを形成する段階と、
金属源を用いて前記蒸着システム内部に一つの金属密度を有する金属を導入する段階と、
略1以下である前記基板上の前記金属密度対前記プラズマ密度の比を定める段階と、
前記基板の前記形体内部にプラスマイナス25パーセント内の一様性を有するコンフォーマルな蒸着を実施する段階とを備える方法。
【請求項42】
前記比を定める段階は前記プラズマ源を用いて前記プラズマ密度を調節する段階を含む請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記比を定める段階は前記金属源を用いて前記金属密度を調節する段階を含む請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記基板上の前記比を定める段階は前記基板上の前記比を局所的に定める段階を含む請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記基板上の前記比を局所的に定める段階は前記比を一時的な方法で定める段階を含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記基板上の前記比を定める段階は前記比を一時的な方法で定める段階を含む請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記コンフォーマルな蒸着を実施する段階は前記基板上の最大の厚さが前記形体の幅の半分以下である膜を蒸着する段階を含む請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記コンフォーマルな蒸着を実施する段階は前記基板上の最大の厚さが前記形体の幅の略10分の1以下である膜を蒸着する段階を含む請求項47に記載の方法。
【請求項49】
基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を蒸着する方法であり、
蒸着システム内の基板ホルダー上に前記基板を配置する段階と、
一つのイオン化ポテンシャルを有するコーティング材料のコーティング材料源を前記蒸着システムに提供する段階と、
前記コーティング材料のイオン化ポテンシャルよりも大きなイオン化ポテンシャルを有するプロセスガスを前記蒸着システム内に導入する段階と、
プラズマ源を用いて前記蒸着システム内部に一つのプラズマ密度を有するプラズマを前記プロセスガスと共に形成する段階と、
前記コーティング材料源を用いて前記蒸着システム内部に一つのコーティング材料密度を有するコーティング材料を導入する段階と、
前記コーティング材料密度対前記プラズマ密度の一以上ではない比を定める段階と、
前記基板上の前記形体内部にプラスマイナス25%内の一様性を有する前記コーティング材料のコンフォーマルな蒸着を実施する段階とを備える方法。
【請求項50】
前記比は前記基板の表面に亘って実質的に一様である請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記プラズマ源は1012cm−3を越えるプラズマ密度を生成するように設計された請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記コンフォーマルな蒸着を実施する段階は前記基板上の最大の厚さが前記形体の幅の半分以下である膜を蒸着する段階を含む請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記コンフォーマルな蒸着を実施する段階は前記基板上の最大の厚さが前記形体の幅の略10分の1以下である膜を蒸着する段階を含む請求項49に記載の方法。
【請求項54】
請求項49に記載の方法を実施するための手段を備える基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システム。
【請求項55】
前記方法を実施するための手段は、
プロセスチャンバと、
前記プロセスチャンバに結合され前記基板を支持するように設計された基板ホルダーと、
前記プロセスチャンバに結合され前記プロセスチャンバ内にプラズマを形成するように設計されたプラズマ源と
前記プロセスチャンバに結合され前記プロセスチャンバに前記コーティング材料を導入するように設計されたコーティング材料源を備える請求項54に記載の蒸着システム。
【請求項1】
基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システムであり、
プロセスチャンバと、
前記プロセスチャンバに結合され前記基板を支持するように設計された基板ホルダーと、
前記プロセスチャンバに結合され前記プロセスチャンバ内にプラズマを形成するように設計されたプラズマ源と、
前記プロセスチャンバに結合され前記プロセスチャンバに金属を導入するように設計された金属源とを備え、
前記プラズマ源及び前記金属源とは前記基板上の金属密度対プラズマ密度の比が一以下となるように設計されている蒸着システム。
【請求項2】
前記プロセスチャンバに結合され不活性ガスを導入するように設計されたガス注入システムを更に備える請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項3】
前記不活性ガスは希ガスを含む請求項2に記載の蒸着システム。
【請求項4】
前記プラズマ密度は電子密度またはイオン密度により特徴付けられる請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項5】
前記比は前記基板の表面に亘って実質的に一様である請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項6】
前記比は時間の関数として変化する請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項7】
前記基板上の前記プラズマ密度の空間分布がf(x,y)で表され、前記金属密度の空間分布がg(x,y)で表され、x及びyは前記基板の表面に平行な2次元の直線的な座標系を表しており、前記関数g(x,y)は前記関数f(x,y)に実質的に類似している請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項8】
前記プラズマ源は一つ以上のプラズマ生成素子を含む請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項9】
前記一つ以上のプラズマ生成素子は、容量結合プラズマ生成素子、誘導結合プラズマ生成素子、ヘリコンプラズマ生成素子、電子サイクロトン共鳴プラズマ生成素子、表面波プラズマ生成素子から成るグループから選択される請求項8に記載の蒸着システム。
【請求項10】
前記プラズマ源は電極または螺旋コイルの少なくとも一つまたはその両方を含む請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項11】
前記プラズマ源は高密度プラズマを生成するように設計された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項12】
前記プラズマ源は1012cm−3を越えるプラズマ密度を生成するように設計された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項13】
前記プラズマ源は第1プラズマ生成素子と第2プラズマ生成素子とを含み、前記基板上の前記プラズマ密度の空間分布の調節または制御の少なくとも一つを実施するために前記第1プラズマ生成素子及び前記第2プラズマ生成素子が前記プロセスチャンバに結合された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項14】
前記第1プラズマ生成素子は前記プロセスチャンバの周辺部の下側部分に結合されており、前記第2プラズマ生成素子は前記プロセスチャンバの周辺部の上側部分に結合されている請求項13に記載の蒸着システム。
【請求項15】
前記第1プラズマ生成素子は前記プロセスチャンバの周辺部の下側部分に結合されており、前記第2プラズマ生成素子は前記プロセスチャンバの上側表面に結合されている請求項13に記載の蒸着システム。
【請求項16】
前記金属源は、前記基板上の前記金属密度の空間分布の調節または制御の少なくとも一つを実施するように設計された分散型金属源を含む請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項17】
前記分散型金属源は前記プロセスチャンバの周辺部に配置された一つ以上の金属ターゲットを含む請求項16に記載の蒸着システム。
【請求項18】
前記一つ以上の金属ターゲットは直流(DC)出力源に結合された請求項16に記載の蒸着システム。
【請求項19】
前記一つ以上の金属ターゲットは出力源に結合された複数のターゲットを含み、前記出力源は、前記複数のターゲットに交互且つ順次に出力を与えるように設計された請求項16に記載の蒸着システム。
【請求項20】
前記金属源は直流(DC)出力源に結合された金属ターゲットを含む請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項21】
前記金属源はアルミニウム源、銅源、タンタル源、チタン源の少なくとも一つを有する請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項22】
前記プロセスチャンバに結合され前記プロセスチャンバ内の前記基板上の前記金属密度または前記プラズマ密度の少なくとも一つを調節するように設計されたバッファ層を更に備える請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項23】
前記バッファ装置は前記プロセスチャンバの上側表面に結合された請求項22に記載の蒸着システム。
【請求項24】
前記バッファ装置は平板型形状、凸型形状、凹型形状の少なくとも一つを有する請求項22に記載の蒸着システム。
【請求項25】
前記バッファ装置は直流(DC)出力または交流(AC)出力の少なくとも一つで電気的にバイアスが印加される請求項22に記載の蒸着システム。
【請求項26】
前記バッファ装置に結合され前記プロセスチャンバ内の前記基板上の前記金属密度または前記プラズマ密度の少なくとも一つを調節するように設計された磁石システムを更に備える請求項22に記載の蒸着システム。
【請求項27】
前記磁石システムは永久磁石のアレイまたは電磁石の少なくとも一つを含む請求項26に記載の蒸着システム。
【請求項28】
前記磁石システムは回転する磁石システムまたは静止した磁石システムの少なくとも一つを含む請求項26に記載の蒸着システム。
【請求項29】
前記バッファ装置は並進移動可能な請求項22に記載の蒸着システム。
【請求項30】
前記バッファ装置は前記基板に対して実質的に垂直方向に並進移動する請求項29に記載の蒸着システム。
【請求項31】
前記バッファ装置は冷却システム、加熱システムまたはその両方に結合された請求項22に記載の蒸着システム。
【請求項32】
前記プロセスチャンバに結合され前記プロセスチャンバ内の基板上の前記金属密度または前記プラズマ密度の少なくとも一つを調節するように設計された磁石システムを更に備える請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項33】
前記磁石システムは永久磁石のアレイまたは電磁石の少なくとも一つを含む請求項32に記載の蒸着システム。
【請求項34】
前記磁石システムは回転する磁石システムまたは静止した磁石システムの少なくとも一つを含む請求項32に記載の蒸着システム。
【請求項35】
前記基板ホルダーは前記基板に電気的バイアスを印加するように設計された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項36】
前記基板ホルダーは無線周波数(RF)発生器に結合された請求項35に記載の蒸着システム。
【請求項37】
前記プロセスチャンバと前記基板ホルダーと前記プラズマ源と前記金属源とに結合され前記蒸着システムの調節、監視、制御の少なくとも一つを実施するように設計された制御システムを更に備える請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項38】
前記プロセスチャンバは略1mTorrから100mTorrの範囲の圧力を発生させるように設計され、前記プラズマ源は略1012cm−3に等しいかこれを越えるプラズマ密度を生成するように設計され、前記金属源は直流(DC)出力源に結合され略1から4kWのDC出力を用いて略1012cm−3に等しいかこれを越える金属密度を生成するように設計され、前記基板ホルダーは無線周波数(RF)発生器に結合され略0から1000WのRF出力で前記基板にバイアスを印加するように設計された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項39】
前記プロセスチャンバは略1mTorrから100mTorrの範囲の圧力を発生させるように設計され、前記金属源は直流(DC)出力源に結合され略2から6kWのDC出力を用いて前記プラズマ源により生成される前記プラズマ密度に実質的に等しい金属密度を生成するように設計され、前記基板ホルダーは無線周波数(RF)発生器に結合され略300から800WのRF出力で前記基板にバイアスを印加するように設計された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項40】
前記プロセスチャンバは略1mTorrから100mTorrの範囲の圧力を発生させるように設計され、前記金属源は直流(DC)出力源に結合され略1から6kWのDC出力を用いて前記プラズマ源により生成される前記プラズマ密度に実質的に等しい金属密度を生成するように設計され、前記基板ホルダーは無線周波数(RF)発生器に結合され略0から1000WのRF出力で前記基板にバイアスを印加するように設計された請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項41】
基板上の高アスペクト比形体内に金属薄膜を蒸着する方法であり、
蒸着システム内の基板ホルダー上に前記基板を配置する段階と、
プラズマ源を用いて前記蒸着システム内部に一つのプラズマ密度を有するプラズマを形成する段階と、
金属源を用いて前記蒸着システム内部に一つの金属密度を有する金属を導入する段階と、
略1以下である前記基板上の前記金属密度対前記プラズマ密度の比を定める段階と、
前記基板の前記形体内部にプラスマイナス25パーセント内の一様性を有するコンフォーマルな蒸着を実施する段階とを備える方法。
【請求項42】
前記比を定める段階は前記プラズマ源を用いて前記プラズマ密度を調節する段階を含む請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記比を定める段階は前記金属源を用いて前記金属密度を調節する段階を含む請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記基板上の前記比を定める段階は前記基板上の前記比を局所的に定める段階を含む請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記基板上の前記比を局所的に定める段階は前記比を一時的な方法で定める段階を含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記基板上の前記比を定める段階は前記比を一時的な方法で定める段階を含む請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記コンフォーマルな蒸着を実施する段階は前記基板上の最大の厚さが前記形体の幅の半分以下である膜を蒸着する段階を含む請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記コンフォーマルな蒸着を実施する段階は前記基板上の最大の厚さが前記形体の幅の略10分の1以下である膜を蒸着する段階を含む請求項47に記載の方法。
【請求項49】
基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を蒸着する方法であり、
蒸着システム内の基板ホルダー上に前記基板を配置する段階と、
一つのイオン化ポテンシャルを有するコーティング材料のコーティング材料源を前記蒸着システムに提供する段階と、
前記コーティング材料のイオン化ポテンシャルよりも大きなイオン化ポテンシャルを有するプロセスガスを前記蒸着システム内に導入する段階と、
プラズマ源を用いて前記蒸着システム内部に一つのプラズマ密度を有するプラズマを前記プロセスガスと共に形成する段階と、
前記コーティング材料源を用いて前記蒸着システム内部に一つのコーティング材料密度を有するコーティング材料を導入する段階と、
前記コーティング材料密度対前記プラズマ密度の一以上ではない比を定める段階と、
前記基板上の前記形体内部にプラスマイナス25%内の一様性を有する前記コーティング材料のコンフォーマルな蒸着を実施する段階とを備える方法。
【請求項50】
前記比は前記基板の表面に亘って実質的に一様である請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記プラズマ源は1012cm−3を越えるプラズマ密度を生成するように設計された請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記コンフォーマルな蒸着を実施する段階は前記基板上の最大の厚さが前記形体の幅の半分以下である膜を蒸着する段階を含む請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記コンフォーマルな蒸着を実施する段階は前記基板上の最大の厚さが前記形体の幅の略10分の1以下である膜を蒸着する段階を含む請求項49に記載の方法。
【請求項54】
請求項49に記載の方法を実施するための手段を備える基板上の高アスペクト比形体内に薄膜を形成するための蒸着システム。
【請求項55】
前記方法を実施するための手段は、
プロセスチャンバと、
前記プロセスチャンバに結合され前記基板を支持するように設計された基板ホルダーと、
前記プロセスチャンバに結合され前記プロセスチャンバ内にプラズマを形成するように設計されたプラズマ源と
前記プロセスチャンバに結合され前記プロセスチャンバに前記コーティング材料を導入するように設計されたコーティング材料源を備える請求項54に記載の蒸着システム。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図12A】
【図12B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図11】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図12A】
【図12B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図11】
【公表番号】特表2008−500456(P2008−500456A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515151(P2007−515151)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/016628
【国際公開番号】WO2005/118905
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(505390680)ト−キョ−・エレクトロン・アメリカ・インコーポレーテッド (64)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/016628
【国際公開番号】WO2005/118905
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(505390680)ト−キョ−・エレクトロン・アメリカ・インコーポレーテッド (64)
【Fターム(参考)】
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