説明

プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法

【課題】不要物の除去を行う際に被処理物に与える影響を抑制することができるとともに生産性の向上を図ることができるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供する。
【解決手段】被処理物Wを収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器6と、前記処理容器内を減圧する減圧手段3と、前記被処理物を収容する空間と連通しプラズマを発生させる空間を有するプラズマ発生室と、前記プラズマを発生させる空間に電磁波を作用させてプラズマを発生させるプラズマ発生手段2と、前記プラズマを発生させる空間にプロセスガスを供給するガス供給手段4と、除去液蒸気を前記被処理物を収容する空間に供給する除去液蒸気供給手段30と、前記除去液蒸気が凝縮する温度以下となるように前記被処理物の温度を制御する第1の温度制御手段51と、を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを利用した処理(ドライプロセス)は、半導体装置の製造、金属部品の表面硬化、プラスチック部品の表面活性化、無薬剤殺菌など、幅広い技術分野において活用されている。例えば、半導体装置やフラットパネルディスプレイなどの製造に関しては、アッシング、エッチング、薄膜堆積あるいは表面改質などの各種のプラズマ処理が行われている。プラズマを利用した処理は、低コストで、高速であり、薬剤を用いないために環境汚染を低減できる点でも有利である。
【0003】
ここで、被処理物(例えば、ウェーハやガラス基板など)の表面に不要物(例えば、自然酸化膜、酸窒化膜、変質層など)があると、配線パターンの形成工程などにおいてプラズマ処理が阻害され、製品歩留まりや生産性が低下する要因となる。この場合、プラズマ処理を行うことで不要物を除去することもできるが、除去処理後にデポ物が残留するおそれが高くなる。そして、デポ物が残留するとその後の配線パターンの形成工程などにおいてピンホールや残渣が発生する要因となる。そのため、プラズマ処理の前工程においてフッ化水素酸(hydrofluoric acid)などの除去液を用いて不要物の除去を行うようにしている(特許文献1を参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示がされた技術においては、被処理物をフッ化水素酸に所定の時間浸すようにしている。そのため、被処理物に損傷が発生するおそれがある。また、不要物の除去とプラズマ処理とを別々の装置で行うため装置間の搬送が必要となり、パーティクル汚染が発生したり、生産性が低下したりするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−168920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、不要物の除去を行う際に被処理物に与える影響を抑制することができるとともに生産性の向上を図ることができるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、被処理物を収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、前記処理容器内を減圧する減圧手段と、前記被処理物を収容する空間と連通しプラズマを発生させる空間を有するプラズマ発生室と、前記プラズマを発生させる空間に電磁波を作用させてプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、前記プラズマを発生させる空間にプロセスガスを供給するガス供給手段と、除去液蒸気を前記被処理物を収容する空間に供給する除去液蒸気供給手段と、前記除去液蒸気が凝縮する温度以下となるように前記被処理物の温度を制御する第1の温度制御手段と、を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、除去液蒸気が凝縮する温度以下となるように被処理物の温度を制御する工程と、前記除去液蒸気を生成する工程と、前記除去液蒸気を前記被処理物の表面に供給し、凝縮させる工程と、前記被処理物の表面を乾燥させて不要物を気化させる工程と、プラズマ生成物を生成する工程と、前記プラズマ生成物を前記被処理物の表面に供給し、プラズマ処理を行う工程と、を備えたことを特徴とするプラズマ処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不要物の除去を行う際に被処理物に与える影響を抑制することができるとともに生産性の向上を図ることができるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
【図2】第2の実施形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
【図3】本実施の形態に係るプラズマ処理方法について例示をするためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、第1の実施形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。 図1に例示をするプラズマ処理装置1は、一般に「CDE(Chemical Dry Etching;ケミカルドライエッチング)装置」と呼ばれるマイクロ波励起型のプラズマ処理装置である。すなわち、マイクロ波により励起させたプラズマを用いてプロセスガスからプラズマ生成物を生成し、被処理物の処理を行うプラズマ処理装置の一例である。
【0012】
図1に示すように、プラズマ処理装置1は、プラズマ発生手段2、減圧手段3、ガス供給手段4、処理容器6、昇華手段7、放電管9、除去液蒸気供給手段30、制御手段8などを備えている。
プラズマ発生手段2には、導入導波管10、マイクロ波発生手段5などが設けられている。プラズマ発生手段2は、プラズマPを発生させる空間に電磁波(本実施の形態においてはマイクロ波)を作用させてプラズマPを発生させる。
放電管9は管状を呈し、マイクロ波Mに対する透過率が高くエッチングされにくい材料からなる。例えば、放電管9をアルミナや石英などの誘電体からなるものとすることができる。本実施の形態においては放電管9が、被処理物Wを収容する空間と連通しプラズマPを発生させる空間を有するプラズマ発生室となる。
【0013】
放電管9の外周面を覆うようにして管状の遮蔽部18が設けられている。遮蔽部18の内周面と放電管9の外周面との間には所定寸法の隙間が設けられ、遮蔽部18の内部を略同軸に放電管9が挿通するようになっている。なお、この隙間は、マイクロ波Mが漏洩しない程度の寸法とされている。そのため、遮蔽部18によりマイクロ波Mが漏洩することを抑制できるようになっている。
【0014】
また、遮蔽部18には、放電管9と略直交するように導入導波管10が接続されている。導入導波管10の終端には終端整合器11aが設けられている。また、導入導波管10の入口側(マイクロ波Mの導入側)にはスタブチューナ11bが設けられている。導入導波管10は、後述するマイクロ波発生手段5から放射されたマイクロ波Mを放電管9に向けて導波する。
【0015】
導入導波管10と遮蔽部18との接続部分には、環状のスロット12が設けられている。スロット12は、導入導波管10の内部を導波されてきたマイクロ波Mを放電管9に向けて放射するためのものである。後述するように、放電管9の内部にはプラズマPが発生するが、スロット12に対向する部分がプラズマPが発生する領域の略中心となる。
【0016】
導入導波管10の一端には、マイクロ波発生手段5が設けられている。このマイクロ波発生手段5は、所定周波数(例えば2.75GHz)のマイクロ波Mを発生させ、導入導波管10に向けて放射することができるようになっている。
【0017】
放電管9の一端には流量制御弁(Mass Flow Controller:MFC)13を介してガス供給手段4が接続されている。ガス供給手段4は、プラズマPを発生させる空間にプロセスガスGを供給する。そのため、流量制御弁13を介して、ガス供給手段4から放電管9内にプロセスガスGを供給することができるようになっている。また、制御手段8により流量制御弁13を制御することで、プロセスガスGの供給量が調整できるようになっている。
【0018】
放電管9の他端には輸送管14の一端が接続され、輸送管14の他端は処理容器6に接続されている。すなわち、放電管9と処理容器6とが輸送管14により接続されている。輸送管14は、中性活性種(ラジカル)による腐蝕に耐え得る材料、例えば、石英、ステンレス鋼、セラミックス、フッ素樹脂などからなる。
【0019】
処理容器6は、有底の略円筒形状を呈し、その上端が天板6aで塞がれている。処理容器6の内部には、図示しない静電チャックを内蔵した載置台15が設けられ、その上面に被処理物W(例えば、ウェーハやガラス基板など)を載置、保持することができるようになっている。
【0020】
処理容器6の底面には、圧力制御器(Auto Pressure Controller:APC)16を介してターボ分子ポンプ(TMP)などの減圧手段3が接続されている。すなわち、処理容器6の底面には、処理容器内を減圧する減圧手段3が接続されている。圧力制御器16は、処理容器6の内圧を検出する図示しない真空計の出力に基づいて、処理容器6の内圧が所定の圧力となるように制御する。また、処理容器6は、ウェーハやガラス基板などの被処理物Wを収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持できるようになっている。
【0021】
輸送管14との接続部分よりは下方であって載置台15の上方には、載置台15の上面を覆うように整流板17が設けられている。整流板17は、輸送管14を介して供給される中性活性種を含んだガスの流れを整流し、被処理物Wの処理面上における中性活性種の量が略均一となるようにするためのものである。整流板17は、多数の孔部17aが設けられた略円形の板状体であり、処理容器6の内壁に固定されている。そして、整流板17と載置台15の上面(載置面)との間の領域が、プラズマ処理が行われる処理空間20となる。また、処理容器6内に露出するもの(例えば、処理容器6の内壁面、整流板17の表面など)は、中性活性種や後述する除去液蒸気などに侵食されにくい材料(例えば、四弗化樹脂(PTFE)などのフッ素樹脂、サファイヤ、アルミナなど)で形成されているか、この様な材料で覆われている。
【0022】
除去液蒸気供給手段30には、水蒸気供給手段31、除去液ガス供給手段32、ガス供給手段33が設けられ、配管34を介して輸送管14と接続されている。除去液蒸気供給手段30は、除去液蒸気を被処理物Wを収容する空間に供給する。
水蒸気供給手段31は、水蒸気を発生させるとともに発生させた水蒸気を供給する。また、除去液ガス供給手段32は除去液ガスを供給する。そして、供給された水蒸気と除去液ガスとを混合することで除去液蒸気が生成される。すなわち、水蒸気中の水に除去液ガスが溶解することで除去液蒸気が生成される。この場合、除去液ガスとしては、例えば、フッ化水素(HF)を例示することができる。また、除去液ガスをフッ化水素(HF)とした場合には、生成される除去液蒸気はフッ化水素酸(hydrofluoric acid)の蒸気となる。
【0023】
なお、本実施の形態においては水蒸気と除去液ガスとを混合することで除去液蒸気を生成する場合を例示したが、除去液(例えば、フッ化水素酸など)から除去液蒸気を生成するようにすることもできる。ただし、水蒸気と除去液ガスとから除去液蒸気を生成するようにすれば、濃度制御を容易に行うことができる。
【0024】
ガス供給手段33は、窒素ガスや希ガス(例えば、アルゴンガスなど)などの不活性ガスを供給する。供給された不活性ガスは、除去液蒸気(水蒸気、除去液ガスを含む場合もある)とともに輸送管14を介して処理容器6内に供給される。この不活性ガスは除去液蒸気を搬送、拡散させるためのキャリアガスとしての役割を果たす。
また、水蒸気、除去液ガス、不活性ガスの供給量や供給タイミングなどは制御手段8により制御することができる。この場合、水蒸気、除去液ガス、不活性ガスを略同時に供給することもできるし、時系列的に供給することもできる。なお、時系列的に供給する場合には、少なくとも除去液ガスより先に水蒸気を供給することが好ましい。そのようにすれば、除去液成分の濃度が急激に上昇することを抑制することができる。
また、不活性ガス、除去液蒸気を輸送管14を介して処理容器6内に供給する場合を例示したが、これらを処理容器6内に直接供給するようにすることもできる。
【0025】
隔離手段40は、輸送管14の除去液蒸気供給手段30が接続された部分よりは上流側(放電管9が設けられている側)に設けられている。隔離手段40は、被処理物Wを収容する空間とプラズマPを発生させる空間(放電管9の内部空間)との連通を制御する。また、隔離手段40は制御手段8により制御される。除去液蒸気が放電管9に流入すれば放電管9が損傷するおそれがある。そのため、隔離手段40により放電管9との連通を遮断して除去液蒸気が放電管9に流入することを防止するようにしている。すなわち、隔離手段40は、除去液蒸気が被処理物Wを収容する空間に供給される場合には、放電管9との連通を遮断する。
【0026】
なお、連通の遮断は、気密となるように遮断することが好ましいが、放電管9などが損傷しない程度に除去液蒸気の流入が遮断できる程度であってもよい。また、除去液蒸気の供給位置と放電管9との間の距離などによっては、必ずしも隔離手段40を設ける必要はないが、設けるようにすれば装置寿命の向上や装置の小型化などを図ることができる。
【0027】
隔離手段40は、開閉弁などのように機械的な遮断を行うものとすることができる。また、エアーシャワーのような障壁を形成するものや、空間の内圧を高めて流入を阻害するものなどとすることもできる。
なお、プラズマ処理を行う際には隔離手段40により放電管9との連通がなされ中性活性種が処理容器6内に供給される。
【0028】
昇華手段7は、載置台15の上面(載置面)に対向させるようにして処理容器6の外部に設けられている。昇華手段7は、載置台15に載置された被処理物Wを加熱して不要物の昇華を行う。また、昇華手段7は制御手段8により制御される。昇華手段7としては、例えば、加熱ランプ(例えば、ハロゲンランプなど)などを例示することができる。なお、後述するように、温度制御手段51を用いて被処理物Wの加熱を行うようにすることもできる。また、被処理物Wの表面に昇華が必要となる不要物(例えば、SiNなど)が存在しない場合もある。そのため、昇華手段7は必要に応じて設けるようにすればよい。
【0029】
昇華手段7を設ける場合には、処理容器6に透過窓6bを設けるようにすることができる。透過窓6bは、昇華手段7から発せられた熱を効率よく被処理物Wに到達させるために設けられる。透過窓6bは中性活性種、除去液蒸気に侵食されにくい材料からなるものとすることが好ましい。この場合、例えば、透過窓6bをサファイアやアルミナなどからなるものとすることができる。なお、図示しない突き上げピンなどで被処理物Wを上昇させ、昇華手段7との距離を近づけることで加熱効率を向上させることもできる。
【0030】
また、被処理物Wの温度を制御するための温度制御手段51と、処理容器6の温度を制御するための温度制御手段52とが設けられている。また、温度制御手段51、温度制御手段52は制御手段8により制御される。
処理容器6の壁面や整流板17などにおいて除去液蒸気が凝縮すれば、壁面などが侵食されるおそれがある。そのため、主に被処理物Wの表面において除去液蒸気を凝縮させるようにすることが好ましい。
そこで、温度制御手段51により除去液蒸気が凝縮する温度以下となるように被処理物Wの温度を制御するようにしている。また、温度制御手段52により除去液蒸気が凝縮する温度を超えるように処理容器6の壁面温度を制御するようにしている。この場合、除去液蒸気が凝縮する温度は、予め実験などで求められた蒸気圧曲線に基づいて適宜決定するようにすればよい。なお、除去液蒸気の凝縮は、大気圧下のみならず減圧下、加圧下で行うこともできる。
【0031】
温度制御手段51、温度制御手段52は、ヒータなどのような加熱手段とすることができる。また、温度制御手段51は冷却手段とすることもできる。この場合、温度制御手段52は必要に応じて設けるようにすることもできる。ただし、温度制御手段52を設けるようにすれば、温度制御手段51による温度制御範囲を広くすることができる。例えば、被処理物Wの温度を室温以上にして除去液蒸気を凝縮させるようにすることができるようになる。そのため、不要物(例えば、自然酸化膜、酸窒化膜、変質層など)の除去に続いて行われるプラズマ処理に適した被処理物Wの温度としたまま除去液蒸気を凝縮させることが可能となる。その結果、プラズマ処理における温度設定時間を短縮することができるので、生産性を向上させることができる。
【0032】
また、その他の各要素にも温度制御手段(例えば、加熱手段など)を設け、除去液蒸気が凝縮するのを抑制するようにすることができる。例えば、輸送管14、圧力制御器16や減圧手段3などとの配管などに温度制御手段を設け、これらの部分で除去液蒸気が凝縮するのを抑制するようにすることができる。そのようにすれば、プラズマ処理装置1の損傷を抑制することができるので、生産性を向上させることができる。
【0033】
前述したように、制御手段8は、減圧手段3、ガス供給手段4、マイクロ波発生手段5、昇華手段7、圧力制御器16、流量制御弁13、除去液蒸気供給手段30(水蒸気供給手段31、除去液ガス供給手段32、ガス供給手段33)、隔離手段40、温度制御手段51、温度制御手段52などの制御を行う。また、プラズマ処理装置1を構成する他の要素の制御を行うようにすることもできる。
【0034】
次に、プラズマ処理装置1の作用について例示をする。
まず、図示しない搬送装置により被処理物W(例えば、ウェーハやガラス基板など)が、処理容器6内に搬入され、載置台15上に載置、保持される。
次に、処理容器6内の圧力、被処理物Wの温度、処理容器6の温度が所定の範囲となるように制御される。すなわち、蒸気圧曲線などに基づいて主に被処理物Wの表面において除去液蒸気が凝縮するように制御される。この際、被処理物Wの温度より処理容器6の温度を高く設定することで、処理容器6の壁面や整流板17などにおいて除去液蒸気が凝縮されるのを抑制するようにする。この場合、被処理物Wの温度は引き続き行われるプラズマ処理に適した温度とすることが好ましい。そのようにすれば、プラズマ処理における温度設定時間を短縮することができるので、生産性を向上させることができる。
【0035】
次に、水蒸気供給手段31により水蒸気を発生させるとともに発生させた水蒸気を供給する。また、除去液ガス供給手段32により除去液ガス(例えば、フッ化水素(HF)など)を供給する。また、ガス供給手段33により不活性ガスを供給する。供給された除去液ガスが水蒸気に溶解することで除去液蒸気(例えば、フッ化水素酸の蒸気)が生成され、生成された除去液蒸気は不活性ガスの流れにのって処理容器6内に供給される。また、隔離手段40により放電管9との連通が遮断され除去液蒸気が放電管9に流入することが抑制される。
供給された除去液蒸気は、整流板17で整流されて被処理物Wの表面に到達し、凝縮する。そして、被処理物Wの表面において凝縮されることで生成された除去液(例えば、フッ化水素酸)により不要物が溶解される。
【0036】
次に、被処理物Wの乾燥を行う。乾燥は、処理容器6内の圧力を減圧させることで行うことができる。また、温度制御手段51により被処理物Wを加熱して乾燥させることもできる。また、これらの乾燥法を組み合わせて乾燥させることもできる。なお、温度制御手段51による加熱乾燥を行う場合には大気圧下や加圧下で行うこともできる。そして、乾燥を行うことで除去液に溶解された不要物が気化、除去される。
ここで、不要物によっては乾燥させるだけでは除去ができない場合がある。例えば、SiOなどの場合は乾燥させることで気化、除去することができるが、SiNなどの場合には乾燥させるだけでは除去することができない。そのため、不要物にSiNなどが含まれる場合などには、昇華手段7により被処理物Wをさらに加熱することで残留する不要物を昇華させて除去するようにする。この際、温度制御手段51を用いて被処理物Wをさらに加熱することもできるし、昇華手段7と温度制御手段51とを用いて被処理物Wをさらに加熱することもできる。なお、昇華は処理容器6内の圧力を減圧させ、減圧下において行うようにすることもできる。
【0037】
次に、プラズマ処理を行う。
まず、隔離手段40により放電管9と処理容器6とが連通される。そして、処理容器6内が減圧手段3により所定圧力まで減圧される。この際、圧力制御器16により処理容器6内の圧力が調整される。また、処理容器6と連通する放電管9の内部も減圧される。
【0038】
次に、プラズマ発生手段2により中性活性種を含むプラズマ生成物が生成される。すなわち、まず、ガス供給手段4から所定流量のプロセスガスG(例えば、CFなど)が、流量制御弁13を介して放電管9内に供給される。一方、マイクロ波発生手段5から所定のパワーのマイクロ波Mが導入導波管10内に放射される。放射されたマイクロ波Mは導入導波管10内を導波され、スロット12を介して放電管9に向けて放射される。
【0039】
放電管9に向けて放射されたマイクロ波Mは、放電管9の表面を伝搬して、放電管9内に放射される。このようにして放電管9内に放射されたマイクロ波Mのエネルギーにより、プラズマPが発生する。そして、発生したプラズマP中の電子密度が、放電管9を介して供給されるマイクロ波Mを遮蔽できる密度(カットオフ密度)以上になると、マイクロ波Mは放電管9の内壁面から放電管9内の空間に向けて一定距離(スキンデプス)だけ入るまでの間に反射されるようになる。そのため、このマイクロ波Mの反射面とスロット12の下面との間にはマイクロ波Mの定在波が形成されることになる。その結果、マイクロ波Mの反射面がプラズマ励起面となって、このプラズマ励起面で安定なプラズマPが励起されるようになる。このプラズマ励起面で励起された安定なプラズマP中において、プロセスガスGが励起、活性化されて中性活性種(ラジカル)、イオンなどのプラズマ生成物が生成される。
【0040】
生成されたプラズマ生成物を含むガスは、輸送管14を介して処理容器6内に供給される。この際、寿命の短いイオンなどは処理容器6にまで到達できず、寿命の長い中性活性種のみが処理容器6に到達することになる。導入された中性活性種を含むガスは、整流板17で整流されて被処理物Wの表面に到達し、エッチング処理などのプラズマ処理が行われる。本実施の形態においては、主に中性活性種により等方性が高い処理(例えば、等方性エッチング処理など)が行われることになる。処理が終了した被処理物Wは、図示しない搬送装置により処理容器6外に搬出される。この後、必要に応じて未処理の被処理物Wを搬入し、前述した手順により不要物の除去とプラズマ処理とを行うようにすることができる。
なお、プラズマ処理におけるプロセス条件(例えば、圧力、パワー、プロセスガスの成分比など)は被処理物Wの材料などにより適宜変更することができる。この場合、プロセス条件は既知の技術を適用することができるので、その詳細は省略する。
【0041】
本実施の形態によれば、不要物の除去が必要な被処理物Wの表面において除去液を生成することができる。そのため、除去処理が不要な部分に除去液が付着することで発生する損傷を抑制することができる。また、除去液による溶解だけでは除去が困難な不要物(例えば、SiNなど)なども昇華させることで除去することができる。また、不要物の除去とプラズマ処理とを同じ装置内で行うことができるので、パーティクル汚染の発生を抑制することができる。その結果、生産性や品質などの向上を図ることができる。
【0042】
図2は、第2の実施形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。 図2に示すように、プラズマ処理装置100は、プラズマ発生手段102、減圧手段3、ガス供給手段4、処理容器106、昇華手段7、プラズマ発生室109、除去液蒸気供給手段30、制御手段108などを備えている。
プラズマ発生手段102には、コイル102a、高周波電源102bなどが設けられている。プラズマ発生手段102は、プラズマPを発生させる空間に電磁波(本実施の形態においては高周波)を作用させてプラズマPを発生させる。
【0043】
プラズマ発生室109は、円筒状を呈し、誘電体で形成されている。本実施の形態においてはプラズマ発生室109が、被処理物Wを収容する空間と連通しプラズマPを発生させる空間を有するプラズマ発生室となる。
プラズマ発生室109の一端は隔離手段40を介して処理容器106の天井に気密に接続されている。プラズマ発生室109の他端には、プロセスガスGを供給するための開孔が設けられたノズルプレート109aが気密に設けられている。そして、ノズルプレート109aの開孔には、流量制御弁(Mass Flow Controller:MFC)13を介してガス供給手段4が接続されている。そのため、流量制御弁13を介して、ガス供給手段4からプラズマ発生室109内にプロセスガスGを供給することができるようになっている。また、制御手段108により流量制御弁13を制御することで、プロセスガスGの供給量が調整できるようになっている。また、プラズマ発生室109の周囲には、コイル102aが設けられ、コイル102aには高周波電源102bが接続されている。
【0044】
処理容器106は、有底の略円筒形状を呈し、その上端が天板106aで塞がれている。処理容器106の内部には、図示しない静電チャックを内蔵した載置台15が設けられ、その上面に被処理物W(例えば、ウェーハやガラス基板など)を載置、保持することができるようになっている。
【0045】
隔離手段40は、天板106aに設けられた開孔106cを覆うように設けられている。隔離手段40は被処理物Wを収容する空間とプラズマPを発生させる空間(プラズマ発生室109の内部空間)との連通を制御する。また、隔離手段40は制御手段108により制御される。
除去液蒸気がプラズマ発生室109に流入すればプラズマ発生室109が損傷するおそれがある。そのため、隔離手段40によりプラズマ発生室109との連通を遮断して除去液蒸気がプラズマ発生室109に流入することを防止するようにしている。すなわち、隔離手段40は、除去液蒸気が被処理物Wを収容する空間に供給される場合には、プラズマ発生室109との連通を遮断する。
なお、連通の遮断は、気密となるように遮断することが好ましいが、プラズマ発生室109などが損傷しない程度に除去液蒸気の流入が遮断できる程度であってもよい。また、除去液蒸気の供給位置とプラズマ発生室109との間の距離などによっては、必ずしも隔離手段40を設ける必要はないが、設けるようにすれば装置寿命の向上や装置の小型化などを図ることができる。
【0046】
隔離手段40は、開閉弁などのように機械的な遮断を行うものとすることができる。また、エアーシャワーのような障壁を形成するものや、空間の内圧を高めて流入を阻害するものなどとすることもできる。
なお、プラズマ処理を行う際には隔離手段40によりプラズマ発生室109との連通がなされプラズマ生成物が処理容器6内に供給される。
【0047】
図1において例示をしたものと同様に本実施の形態においても昇華手段7を設けることができる。この場合、昇華手段7から発せられた熱を効率よく被処理物Wに到達させるために、処理容器106には透過窓106bが設けられている。透過窓106bはプラズマ生成物、除去液蒸気に侵食されにくい材料からなるものとすることが好ましい。例えば、透過窓106bをサファイアやアルミナなどからなるものとすることができる。
【0048】
また、除去液蒸気供給手段30には、水蒸気供給手段31、除去液ガス供給手段32、ガス供給手段33が設けられ、配管34を介して処理容器106と接続されている。
また、配管34との接続部分よりは下方であって載置台15の上方には、載置台15の上面を覆うように整流板17が設けられている。本実施の形態に係る整流板17は、プラズマ発生手段102から供給されるプラズマ生成物を含んだガスの流れを整流し、被処理物Wの処理面上におけるプラズマ生成物の量が略均一となるようにするためのものである。また、整流板17と載置台15の上面(載置面)との間の領域が、プラズマ処理が行われる処理空間20となる。
【0049】
制御手段108は、減圧手段3、ガス供給手段4、高周波電源102b、昇華手段7、圧力制御器16、流量制御弁13、除去液蒸気供給手段30(水蒸気供給手段31、除去液ガス供給手段32、ガス供給手段33)、隔離手段40、温度制御手段51、温度制御手段52などの制御を行う。また、プラズマ処理装置100を構成する他の要素の制御を行うようにすることもできる。
【0050】
なお、プラズマの発生方法としてコイル102aを用いるものを例示したがこれに限定されるわけではない。例えば、プラズマ発生室109内に相互に対向する板状電極を設け、板状電極に高周波電力を印加することで板状電極間にプラズマPを発生させるようなものであってもよい。
【0051】
次に、プラズマ処理装置100の作用について例示をする。
まず、図示しない搬送装置により被処理物W(例えば、ウェーハやガラス基板など)が、処理容器106内に搬入され、載置台15上に載置、保持される。
【0052】
次に、図1において例示をしたものと同様にして、被処理物Wの表面の不要物の除去が行われる。
すなわち、まず、蒸気圧曲線などに基づいて、主に被処理物Wの表面において除去液蒸気が凝縮するように、処理容器106内の圧力、被処理物Wの温度、処理容器106の温度が所定の範囲となるように制御される。この際、被処理物Wの温度より処理容器106の温度を高く設定することで、処理容器106の壁面や整流板17などにおいて除去液蒸気が凝縮されるのを抑制するようにする。この場合、被処理物Wの温度は引き続き行われるプラズマ処理に適した温度とすることが好ましい。そのようにすれば、プラズマ処理における温度設定時間を短縮することができるので、生産性を向上させることができる。
【0053】
次に、水蒸気供給手段31により水蒸気を発生させるとともに発生させた水蒸気を供給する。また、除去液ガス供給手段32により除去液ガス(例えば、フッ化水素(HF)など)を供給する。また、ガス供給手段33により不活性ガスを供給する。供給された除去液ガスが水蒸気に溶解することで除去液蒸気(例えば、フッ化水素酸の蒸気)が生成され、生成された除去液蒸気は不活性ガスの流れにのって処理容器106内に導入される。なお、隔離手段40によりプラズマ発生室109との連通が遮断され除去液蒸気がプラズマ発生室109に流入することが抑制される。
【0054】
供給された除去液蒸気は、整流板17で整流されて被処理物Wの表面に到達し、凝縮する。そして、被処理物Wの表面において凝縮されることで生成された除去液(例えば、フッ化水素酸)により不要物が溶解される。
【0055】
次に、被処理物Wの乾燥を行い除去液に溶解された不要物を気化、除去する。また、必要に応じて昇華手段7などにより被処理物Wをさらに加熱することで残留する不要物(例えば、SiNなど)を昇華させて除去する。
【0056】
次に、プラズマ処理を行う。
まず、隔離手段40によりプラズマ発生室109と処理容器106とが連通される。 次に、処理容器106内、プラズマ発生室109内が所定の圧力まで減圧される。そして、ガス供給手段4から所定量のプロセスガスGがプラズマ発生室109内に供給される。また、コイル102aには高周波電源102bから電力が供給される。そのため、プラズマ発生室109内にプラズマPが発生し、プラズマ発生室109内に供給されたプロセスガスGが励起、活性化されて中性活性種(ラジカル)、イオンなどのプラズマ生成物が生成される。そして、生成されたプラズマ生成物を含むガスが処理容器106内に供給される。供給されたプラズマ生成物を含むガスは、整流板17で整流されて被処理物Wの表面に到達し、エッチング処理などのプラズマ処理が行われる。この場合、イオンにより異方性の高いプラズマ処理(例えば、異方性エッチング処理など)が行われ、中性活性種(ラジカル)により等方性の高いプラズマ処理(例えば、等方性エッチング処理など)が行われる。 処理が終了した被処理物Wは、図示しない搬送装置により処理容器106外に搬出される。この後、必要に応じて未処理の被処理物Wを搬入し、前述した手順により不要物の除去とプラズマ処理とを行うようにすることができる。
なお、プラズマ処理におけるプロセス条件(例えば、圧力、パワー、プロセスガスの成分比など)は被処理物Wの材料などにより適宜変更することができる。この場合、プロセス条件は既知の技術を適用することができるので、その詳細は省略する。
【0057】
本実施の形態によれば、不要物の除去が必要な被処理物Wの表面において除去液を生成することができる。そのため、除去処理が不要な部分に除去液が付着することで発生する損傷を抑制することができる。また、除去液による溶解だけでは除去が困難な不要物(例えば、SiNなど)なども昇華させることで除去することができる。また、不要物の除去とプラズマ処理とを同じ装置内で行うことができるので、パーティクル汚染の発生を抑制することができる。その結果、生産性や品質などの向上を図ることができる。
【0058】
次に、本実施の形態に係るプラズマ処理方法について例示をする。
図3は、本実施の形態に係るプラズマ処理方法について例示をするためのフローチャートである。
まず、被処理物Wの表面の不要物(例えば、自然酸化膜、酸窒化膜、変質層など)を除去する。
すなわち、まず、主に被処理物Wの表面において除去液蒸気が凝縮するように、被処理物Wの温度が設定される(ステップS1a)。
例えば、除去液蒸気が凝縮する温度以下となるように被処理物Wの温度を制御する。この場合、被処理物Wの温度は、予め求められた除去液の蒸気圧曲線などに基づいて制御される。
また、除去液蒸気が凝縮しないように、処理雰囲気中に露出する部材の温度が被処理物Wの温度より高く設定される(ステップS1b)。
例えば、除去液蒸気が凝縮する温度を超えるように処理雰囲気中に露出する部材の温度を制御する。
【0059】
次に、除去液蒸気を生成する(ステップS2)。
この場合、前述したように、水蒸気と除去液ガス(例えば、フッ化水素(HF)など)とを混合することで除去液蒸気を生成するようにしてもよいし、除去液(例えば、フッ化水素酸など)から除去液蒸気を生成するようにしてもよい。ただし、水蒸気と除去液ガスとから除去液蒸気を生成するようにすれば、濃度制御を容易に行うことができる。
【0060】
次に、除去液蒸気を被処理物Wの表面に供給し、表面において凝縮させる(ステップS3)。
被処理物Wの表面において除去液蒸気が凝縮されることで除去液(例えば、フッ化水素酸)が生成され、これにより不要物(例えば、自然酸化膜など)が溶解される。なお、処理雰囲気中に露出する部材の温度が被処理物Wの温度より高く設定されているので、処理雰囲気中に露出する部材において除去液蒸気が凝縮されることが抑制される。そのため、処理装置などの損傷が抑制されるので、生産性を向上させることができる。
また、除去液蒸気が供給される場合には、被処理物Wを収容する空間とプラズマ生成物を生成する空間との連通を遮断するようにすることが好ましい。
なお本実施の形態においては、一例として、あらかじめ除去液蒸気が被処理物W上で凝縮する時間(凝縮時間)を実験などにより求めておき、被処理物W表面への除去液蒸気の供給開始時から前述した凝縮時間が経過したときに除去液蒸気の供給を停止させるようにしている。ただし、除去液蒸気の供給停止時期は時間管理に限定されるわけではなく適宜変更することができる。例えば、あらかじめ実験などにより求められた供給量などにより供給停止の時期を決定することもできる。
【0061】
次に、被処理物Wの表面を乾燥させることで、不要物を気化、除去する(ステップS4)。
乾燥は、処理雰囲気の圧力を減圧させることで行うようにすることができる。また、被処理物Wを加熱して乾燥させることもできる。また、減圧乾燥と加熱乾燥とを組み合わせて行うようにすることもできる。
【0062】
次に、必要に応じて不要物を昇華、除去する(ステップS5)。
不要物によっては乾燥させるだけでは除去できない場合がある。例えば、SiOなどの場合は乾燥させることで気化、除去することができるが、SiNなどの場合には乾燥させるだけでは除去することができない。そのため、不要物にSiNなどが含まれる場合には、被処理物Wをさらに加熱することで残留する不要物を昇華させて除去する。なお、昇華は処理雰囲気の圧力を減圧させ、減圧下において行うようにすることもできる。
【0063】
次に、プラズマ処理を行う。
まず、プラズマ生成物を生成する(ステップS6)。
例えば、減圧下においてプラズマを発生させ、発生させたプラズマにプロセスガスを供給し、供給されたプロセスガスを励起、活性化させて中性活性種(ラジカル)、イオンなどのプラズマ生成物を生成する。
【0064】
次に、生成されたプラズマ生成物を被処理物Wの表面に供給し、プラズマ処理を行う(ステップS7)。
プラズマ処理としては、例えば、エッチング処理を例示することができる。また、プラズマ生成物には中性活性種(ラジカル)、イオンなどが含まれているが、イオンを主体とすれば異方性の高いプラズマ処理(例えば、異方性エッチング処理など)を行うことができる。また、中性活性種(ラジカル)を主体とすれば、等方性の高いプラズマ処理(例えば、等方性エッチング処理など)を行うことができる。
なお、プラズマ処理におけるプロセス条件(例えば、圧力、パワー、プロセスガスの成分比など)は被処理物Wの材料やプラズマ処理法などにより適宜変更することができる。この場合、プロセス条件は既知の技術を適用することができるので、その詳細は省略する。
【0065】
以上例示をしたように、本実施の形態に係るプラズマ処理方法は、除去液蒸気が凝縮する温度以下となるように被処理物Wの温度を制御する工程(例えば、ステップS1a)と、除去液蒸気を生成する工程(例えば、ステップS2)と、除去液蒸気を被処理物Wの表面に供給し、凝縮させる工程(例えば、ステップS3)と、被処理物Wの表面を乾燥させて不要物を気化させる工程(例えば、ステップS4)と、プラズマ生成物を生成する工程(例えば、ステップS6)と、プラズマ生成物を被処理物Wの表面に供給し、プラズマ処理を行う工程(例えば、ステップS7)と、を備えている。
また、除去液蒸気が凝縮する温度を超えるように処理雰囲気中に露出する部材の温度を制御する工程(例えば、ステップS1b)を備えるようにすることもできる。
【0066】
また、除去液蒸気が供給される場合には、被処理物Wを収容する空間とプラズマ生成物を生成する空間との連通を遮断するようにすることもできる。
また、表面が乾燥した被処理物Wを加熱して不要物を昇華させる工程(例えば、ステップS5)をさらに備えることもできる。
また、水蒸気と除去液ガスとを混合することで除去液蒸気を生成するようにすることもできる。
【0067】
以上、本実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ処理装置1、プラズマ処理装置100などが備える各要素の形状、寸法、材料、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0068】
1 プラズマ処理装置、2 プラズマ発生手段、3 減圧手段、4 ガス供給手段、5 マイクロ波発生手段、6 処理容器、7 昇華手段、8 制御手段、9 放電管、30 除去液蒸気供給手段、40 隔離手段、100 プラズマ処理装置、102 プラズマ発生手段、106 処理容器、108 制御手段、109 プラズマ発生室、G プロセスガス、P プラズマ、W 被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、
前記処理容器内を減圧する減圧手段と、
前記被処理物を収容する空間と連通しプラズマを発生させる空間を有するプラズマ発生室と、
前記プラズマを発生させる空間に電磁波を作用させてプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
前記プラズマを発生させる空間にプロセスガスを供給するガス供給手段と、
除去液蒸気を前記被処理物を収容する空間に供給する除去液蒸気供給手段と、
前記除去液蒸気が凝縮する温度以下となるように前記被処理物の温度を制御する第1の温度制御手段と、
を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記除去液蒸気が凝縮する温度を超えるように前記処理容器の壁面温度を制御する第2の温度制御手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記被処理物を収容する空間と前記プラズマを発生させる空間との連通を制御する隔離手段をさらに備えたこと、を特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記隔離手段は、前記除去液蒸気が前記被処理物を収容する空間に供給される場合には、前記連通を遮断すること、を特徴とする請求項3記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記被処理物を加熱して不要物の昇華を行う昇華手段をさらに備えたこと、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
除去液蒸気が凝縮する温度以下となるように被処理物の温度を制御する工程と、
前記除去液蒸気を生成する工程と、
前記除去液蒸気を前記被処理物の表面に供給し、凝縮させる工程と、
前記被処理物の表面を乾燥させて不要物を気化させる工程と、
プラズマ生成物を生成する工程と、
前記プラズマ生成物を前記被処理物の表面に供給し、プラズマ処理を行う工程と、
を備えたことを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項7】
前記除去液蒸気が凝縮する温度を超えるように処理雰囲気中に露出する部材の温度を制御する工程をさらに備えたこと、を特徴とする請求項6記載のプラズマ処理方法。
【請求項8】
前記除去液蒸気が供給される場合には、前記被処理物を収容する空間と前記プラズマ生成物を生成する空間との連通が遮断されること、を特徴とする請求項6または7に記載のプラズマ処理方法。
【請求項9】
前記表面が乾燥した被処理物を加熱して不要物を昇華させる工程をさらに備えたこと、を特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載のプラズマ処理方法。
【請求項10】
水蒸気と除去液ガスとを混合することで前記除去液蒸気を生成することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1つに記載のプラズマ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−206068(P2010−206068A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51856(P2009−51856)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】