説明

プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の性能確認システム

【課題】 プラズマ処理をおこなうチャンバ全体としては、電気的高周波的な特性が考慮されていなかった。
【解決手段】 プラズマを励起するための電極を有するプラズマチャンバCNと、この電極4,8に接続された高周波電源1と、プラズマチャンバCNと高周波電源1とのインピーダンス整合を得るための整合回路2とを具備し、整合回路2Aをその出力端PRから切り離し、給電板3で測定したプラズマチャンバCNの第1直列共振周波数f0 の3倍が、高周波電源1からプラズマチャンバCNに供給される電力周波数fe より大きな値の範囲に設定されてなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の性能確認システムに係り、特に、より高周波の電力供給に対応して、電力消費効率の向上と被成膜特性の向上とに用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】CVD( chemical vapor deposition)、スパッタリング、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなうプラズマ処理装置の一例としては、従来から、図18に示すような、いわゆる2周波励起タイプのものが知られている。図18に示すプラズマ処理装置は、高周波電源1とプラズマ励起電極4との間に整合回路2Aが介在されている。整合回路2Aはこれら高周波電源1とプラズマ励起電極4との間のインピーダンスの整合を得るための回路として設けられている。
【0003】高周波電源1からの高周波電力は整合回路2Aを通して給電板3によりプラズマ励起電極4へ供給される。この整合回路2Aは導電体からなるハウジングにより形成されるマッチングボックス2内に収納されており、プラズマ励起電極4および給電板3は、導体からなるシャーシ21によって覆われている。プラズマ励起電極(カソード電極)4の下側には凸部4aが設けられるとともに、このプラズマ励起電極(カソード電極)4の下には、多数の孔7が形成されているシャワープレート5が凸部4aに接して設けられている。これらプラズマ励起電極4とシャワープレート5との間には空間6が形成されている。この空間6にはガス導入管17が接続されており、導体からなるガス導入管17の途中には絶縁体17aが挿入されてプラズマ励起電極14側とガス供給源側とが絶縁されている。
【0004】ガス導入管17から導入されたガスは、シャワープレート5の孔7を介してチャンバ壁10により形成されたチャンバ室60内に供給される。なお、符号9はチャンバ壁10とプラズマ励起電極(カソード電極)4とを絶縁する絶縁体である。また、排気系の図示は省略してある。一方、チャンバ室60内には基板16を載置しプラズマ励起電極ともなるウエハサセプタ(サセプタ電極)8が設けられておりその周囲にはサセプタシールド12が設けられている。
【0005】サセプタシールド12はサセプタ電極8を受けるシールド支持板12Aと、このシールド支持板12Aの中央部に垂下形成された筒型の支持筒12Bとからなり、支持筒12Bはチャンバ底部10Aを貫通して設けられるとともに、この支持筒12Bの下端部とチャンバ底部10Aとがベローズ11により密閉接続されている。ウエハサセプタ8およびサセプタシールド12は、これらの隙間がシャフト13の周囲の設けられた電気絶縁物からなる絶縁手段12Cによって真空絶縁されるとともに電気的にも絶縁されている。また、ウエハサセプタ8およびサセプタシールド12は、ベローズ11により上下動可能となっており、プラズマ励起電極4,8間の距離の調整ができる。ウエハサセプタ8には、シャフト13およびマッチングボックス14内に収納された整合回路を介して第2の高周波電源15が接続されている。なお、チャンバ壁10とサセプタシールド12とは直流的に同電位となっている。
【0006】図19に従来のプラズマ処理装置の他の例を示す。図18に示すプラズマ処理装置とは異なり、図1919に示すプラズマ処理装置は1周波励起タイプのプラズマ処理装置である。すなわち、カソード電極4にのみ高周波電力を供給しており、サセプタ電極8は接地されている。図18で示される高周波電源15とマッチングボックス14がない。また、サセプタ電極8とチャンバ壁10とは直流的に同電位となっている。
【0007】上記のプラズマ処理装置においては、一般的に13.56MHz程度の周波数の電力を投入して、両電極4,8の間でプラズマを生成し、このプラズマにより、CVD( chemical vapor deposition)、スパッタリング、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなうものである。
【0008】しかし、上記のプラズマ処理装置においては、電力消費効率(高周波電源1からプラズマ励起電極4に投入した電力に対してプラズマ中で消費された電力の割合)は必ずしも良好ではない。特に、高周波電源から供給される周波数が高くなるほど、プラズマ処理装置における電力消費効率の低下が顕著である。同時にまた、基板サイズが大きくなるほどその低下が顕著である。その結果、電力消費効率が低いことにより、生成するプラズマ密度が上がらないため、成膜速度が遅くなる、また、たとえば絶縁膜の成膜の場合にあってはより絶縁耐圧の高い絶縁膜の形成が困難である、という問題点を有している。
【0009】そして、このようなプラズマ処理装置の動作確認および、動作の評価方法としては、例えば、以下のように実際に成膜等の処理をおこない、この被成膜特性を評価するというような方法でおこなっていた。
(1)堆積速度と膜面内均一性■基板上にプラズマCVDにより所望の膜を成膜する。
■レジストのパターニングをおこなう。
■膜をドライエッチングする。
■アッシングによりレジストを剥離する。
■膜の膜厚段差を触針式段差計により計測する。
■成膜時間と膜厚から堆積速度を算出する。
■膜面内均一性は、6インチ基板面内において16ポイントで測定する。
(2)BHFエッチングレート上記(1)■〜■と同様にレジストマスクをパターニングする。
■BHF液に1分間基板を浸漬する。
■純水洗浄後乾燥し、レジストを硫酸過水(H2SO4+H22)で剥離する。
■上記(1)■と同様段差を計測する。
■浸漬時間と段差からエッチング速度を算出する。
(3)絶縁耐圧■ガラス基板上にスパッタリングにより導電性膜を成膜し、下部電極としてパターニングする。
■プラズマCVDにより絶縁膜を成膜する。
■と同様の方法で上部電極を形成する。
■下部電極用にコンタクト孔を形成する。
■上下電極にプロービングし、I−V特性(電流電圧特性)を測定する。このとき最大電圧として200V程度まで印加する。
■電極面積を100μm角とし、100pAをよぎるところが、1μA/cm2に相当するので、この時のVを絶縁耐圧として定義する。
【0010】さらに、上記のようなプラズマ処理装置に対しては、従来から、半導体および液晶製造に用いられる場合において、プラズマ処理速度(成膜時の堆積速度や、加工速度)が早く生産性が高いこと、そして、被処理基体面内方向におけるプラズマ処理の均一性(膜厚の膜面内方向分布、加工処理ばらつきの膜面内方向分布)に優れていることが求められているが、近年では、被処理基板の大型化に伴い、膜面内方向の均一性に対する要求が一段と強まっている。また、被処理基板の大型化に伴い、投入電力量もkWオーダーが投入されるまで増大し、電力消費量が増す傾向にある。このため、電源の高容量化に伴い、電源の開発コストが増大するとともに、装置稼働時には電力使用が増すことからランニングコストを削減することが望まれている。また、電力消費量が増大することは、環境負荷となる二酸化炭素の排出量が増大する。これは、被処理基板の大型化に伴ってさらに放出量が増大するとともに電力消費効率をさらに下げてしまうため電力消費量が増大するので、この二酸化炭素の放出量削減への要求も高くなっている。一方、プラズマ励起周波数として、従来一般的であった13.56MHzに対して、これを越える30MHz以上のVHF帯の周波数を用いるなど、高周波数化を図ることで、生成するプラズマ密度を向上させることができる。その結果として、プラズマCVDなどの堆積装置においては、成膜時の堆積速度を向上させることができる可能性が示されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のプラズマ処理装置においては、13.56MHz程度の周波数の電力を投入するように設計されており、これ以上の周波数の電力を投入することに対応していない。より具体的には、高周波電力を投入する部分、つまり、プラズマ処理をおこなうチャンバ全体としては、インピーダンス、共振周波数特性等の電気的高周波的な特性が考慮されておらず、次のような不具合が生じていた。
■13.56MHz程度以上の周波数の電力を投入した場合、電力消費効率があがらず、成膜時に堆積速度を向上することができないばかりか、むしろ、堆積速度が遅くなる場合があった。
■さらに投入する電力をより高周波数化すると、周波数の上昇に伴って、生成されるプラズマ密度は上昇してピークを迎え、その後、減少に転じて、ついにはグロー放電できなくなってしまい高周波数化の意味がなくなってしまう。
【0012】そして、このようなプラズマ処理装置の動作確認および、動作の評価方法としては、上記の(1)〜(3)のような方法を採用した場合には、適正な動作をしているかどうかの確認をするためにはプラズマ処理装置を作動させることが必要である上に、プラズマ処理装置の設置場所とは別の検査場所などにおいて被処理基板を複数のステップにより処理測定する必要がある。このため、評価結果がでるまでには数日、あるいは数週間を要しており、装置開発段階においては、プラズマ処理室の性能確認に時間がかかりすぎるため、これを短縮したいという要求があった。
【0013】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
■ プラズマ励起周波数の高周波化による処理速度(成膜装置においては堆積速度、加工装置においては加工速度)の向上を図ること。
■ 被処理基体面内方向におけるプラズマ処理の均一性(膜厚の膜面内方向分布、加工処理ばらつきの膜面内方向分布)の向上を図ること。
■ プラズマCVD、スパッタリングなどの堆積装置においては、堆積した膜における絶縁耐圧等の膜特性の向上を図ること。
■ 電力の消費効率を向上し、同等の処理速度もしくは膜特性を得るために、従来より少ない投入電力ですむよう、電力損失の低減を図ること。
■ ランニングコストの削減を図るとともに、生産性の向上を図ること。
■ 基板処理結果以外の簡便なプラズマ処理室への性能判断の基準を与えること。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のプラズマ処理装置は、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、この電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端と出力端とを有し該入力端に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、を具備し、前記高周波電力を供給する際に整合回路の出力端に接続される前記高周波電力配電体の端部で測定した前記プラズマ処理室の第1直列共振周波数f0 の3倍が、前記高周波電力の電力周波数fe より大きな値の範囲に設定されてなることにより上記課題を解決した。本発明において、前記第1直列共振周波数f0 の1.3倍が、前記電力周波数fe より大きな値の範囲に設定されてなることが好ましく、より好ましくは前記第1直列共振周波数f0 が、前記電力周波数fe の3倍より大きな値の範囲に設定されてなることができる。また、本発明において、前記電極と、該電極と協働してプラズマを発生する対向電極との容量によって規定される直列共振周波数f0'が、前記電力周波数feの3倍より大きな値の範囲に設定されてなる手段を採用することもできる。本発明における前記プラズマを励起するための電極が平行平板型とされ、該電極と前記対向電極との間の距離をdとし、この電極間の距離方向においてそれぞれの電極と発光時のプラズマとの距離の和をδとしたときに、前記直列共振周波数f0'と前記電力周波数fe とが、
【数2】


なる関係を満たしてなることが望ましい。また、本発明において、前記高周波電力配電体端部近傍に、前記プラズマ処理室の共振周波数を測定する共振周波数測定用端子が設けられることができる。また、本発明において、前記高周波電力配電体端部と前記共振周波数測定用端子との間に、プラズマを励起する際には前記配電体端部と前記測定用端子との電気的接続を切るとともに前記配電体端部と前記整合回路の出力端との電気的接続を確保し、かつ、前記プラズマ処理室の共振周波数を測定する際には前記配電体端部と前記測定用端子との電気的接続を確保するとともに前記配電体と前記整合回路の出力端との電気的接続を切断する切り替えスイッチが設けられることができる。また、本発明において、前記共振周波数測定用端子に、共振周波数測定器が着脱自在に接続されてなることができる。また、本発明において、前記スイッチにより、前記高周波配電体端部と前記共振周波数測定用端子との電気的接続を切るとともに前記配電体端部と前記整合回路の出力端との電気的接続を確保した場合における前記整合回路の出力端位置で測定する共振周波数特性と、前記スイッチにより、前記配電体端部と前記測定用端子との電気的接続を確保するとともに前記配電体と前記整合回路の出力端との電気的接続を切断した場合における前記共振周波数測定用端子で測定した共振周波数特性と、が等しく設定されてなることができる。本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムにおいて、購入発注者が販売保守者に発注した請求項1記載のプラズマ処理装置の動作性能状況を示す性能状況情報の閲覧を公衆回線を介して要求する購入発注者側情報端末と、販売保守者が前記性能状況情報をアップロードする販売保守者側情報端末と、前記購入発注者側情報端末の要求に応答して、販売保守者側情報端末からアップロードされた性能状況情報を購入発注者側情報端末に提供する性能状況情報提供手段と、を具備することができ、さらに、前記性能状況情報が、前記第1直列共振周波数f0 を含むとともに、前記性能状況情報が、カタログまたは仕様書として出力されることが可能である。
【0015】本発明においては、前記プラズマ処理室の第1直列共振周波数f0 の3倍を、前記電力周波数fe より大きな値の範囲に設定することにより、従来一般的に使用されていた13.56MHz程度以上の高い周波数の電力を投入した場合であっても、電力を効率よくプラズマ発生空間に導入することが可能となり、同一周波数を供給した場合に、プラズマ空間で消費される実効的な電力を大きくすることができる。その結果、膜の積層をおこなう際には、堆積速度の向上を図ることを可能とすることができる。この第1直列共振周波数f0 は、機械的な構造をその多くの要因としてきまる電気的高周波的な特性であり、各実機ごとに異なっていると考えられる。上記の範囲に、この第1直列共振周波数f0 を設定することにより、各実機に対しても、従来考慮されていなかったその全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性の高いプラズマ処理装置を提供することが可能となる。
【0016】ここで、第1直列共振周波数f0 の定義について説明する。まず、プラズマ処理室(プラズマチャンバ)のインピーダンスの周波数依存性を計測する。このとき、後述するようにプラズマチャンバのインピーダンス測定範囲を規定し、このインピーダンス測定範囲に対して、供給する電力周波数feを含む範囲で測定周波数を変化させてインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定することにより、プラズマチャンバのインピーダンスの周波数依存性を計測する。ここで、例えば13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz等の値に設定される電力周波数fe に対応して、測定周波数を例えば1MHz〜100MHz程度の範囲に設定する。図5は第1直列共振周波数f0 を説明するためのインピーダンスZと位相θとの周波数依存特性を示すグラフである。ついで、図5に示すように、測定周波数に対してインピーダンスZと位相θをプロットしてインピーダンス特性曲線および位相曲線を描画し、インピーダンスZの極小値のうち周波数の最小のもの、つまり、測定周波数の低い側から数えて一番最初に位相θがマイナスからプラスに変化したときに、位相θがゼロとなる周波数を、第1直列共振周波数f0 として定義する。
【0017】次に、前述のプラズマチャンバのインピーダンス測定範囲について説明する。プラズマチャンバには整合回路を介して高周波電源が接続されているが、この整合回路の出力端よりも出力側、つまり高周波電力配電体から電極側をインピーダンス測定範囲とする。ここで、整合回路は、プラズマチャンバ内のプラズマ状態等の変化に対応してインピーダンスを調整するために、その多くは複数の受動素子を具備する構成とされている。図2は整合回路2Aを示す模式図である。例えば、整合回路2Aとしては、図2に示すように、高周波電源1とプラズマ放電用の電極4に接続された高周波電力配電体(給電板)3との間に、コイル23とチューニングコンデンサ24とが直列に設けられ、さらに、高周波電源1には他のロードコンデンサ22が並列に接続され一端がアースされている構成の整合回路2Aが挙げられる。このような整合回路の受動素子のうち、出力最終段の受動素子の出力端位置で切り離す、つまり、直接電極4側に接続される素子、上記例の場合は、チューニングコンデンサ24の出力端位置PRで、整合回路2Aを切り離した状態で、これよりも先の給電板3から電極側のプラズマチャンバ部分を前記測定範囲と定義する。ここで、高周波配電体が電極4と一体とされる構成や整合回路2Aが電極に直結される構成も可能であり、この場合には、整合回路2Aの出力端PRからプラズマチャンバ部分を前記測定範囲と定義する。
【0018】本発明において、前記第1直列共振周波数f0 の1.3倍が、前記電力周波数fe より大きな値の範囲に設定されてなることが好ましく、この範囲に設定することにより、発生するプラズマ密度をより一層向上することが可能となるために、同一のプラズマ処理条件において、さらに処理速度を向上することができる。特に、成膜処理をおこなう際においては、膜の堆積速度をさらに向上することができる。また、プラズマ密度が向上されることにより、成膜された膜の特性を向上することができる。例えば、絶縁膜の成膜に際しては、膜の絶縁耐圧の向上を図ることが可能となる。同時に、プラズマ密度が向上されることにより、膜面内方向における被成膜の均一性を向上することができる、つまり、膜厚や絶縁耐圧等の膜特性の膜面内方向におけるばらつきを減少することが可能となる。さらに、前記第1直列共振周波数f0 が、前記電力周波数fe の3倍より大きな値の範囲に設定されてなることにより、同一の条件として、処理速度、膜の面内方向の均一性、膜特性を得るために必要な電力を従来に比べて削減することが可能となり、省電力化をはかり、ランニングコストの低減を図ることができる。ここで、成膜時においては、処理速度は堆積速度、膜の面内方向の均一性としては膜厚や膜特性、膜特性としては絶縁耐圧等が対応する。
【0019】また、本発明において、前記電極間の容量によって規定される直列共振周波数f0'が、前記電力周波数fe の3倍より大きな値の範囲に設定されてなることにより、プラズマを発光させる前記電極間の容量の周波数特性を直接規定できるため、プラズマ発光空間に対して電力をより効果的に投入することができ、さらなる電力消費効率の向上かまたは処理効率の向上を図ることが可能となる。
【0020】本発明における前記電極が平行平板型とされ、図14に示すように、この平行平板型の電極と対向電極との間の距離をdとし、この電極間の距離方向においてそれぞれの電極と発光時のプラズマとの距離の和をδとしたときに、前記直列共振周波数f0'と前記電力周波数fe とが、上記(1)式なる関係を満たしてなることが望ましく、これにより、電極間においてプラズマの発光していない部分の距離の和δから、実際にプラズマ発光状態における電極間のモデル的な容量が求められ、このモデル的な容量から規定される周波数特性の値と、電極間の距離dから求められる非プラズマ発光時における電極間の容量から規定される周波数特性の値との関係を設定することができる。ここで、図14に示すように、プラズマ発光時における平行平板電極は、その間にあるプラズマが導体として見なせるため、あたかも、電極間の距離がδになったようになる。その結果、平行平板電極間の容量は、非プラズマ発光時に容量C0 だったものが、プラズマ発光時には見かけ上d/δ倍になる。そして、前記直列共振周波数f0'は容量C0 の平方根の逆数に比例するため、プラズマ発光時における直列共振周波数はd/δの平方根の逆数に比例する。従って、直列共振周波数f0'のd/δの平方根の逆数倍の値が、電力周波数fe よりも大きく設定されることにより、プラズマ発光時における電極間の直列共振周波数を電力周波数に対して設定して、プラズマ発光時の電力消費効率の向上を図ることが可能となる。
【0021】また、本発明において、前記プラズマチャンバ(プラズマ処理室)の前記整合回路の出力端位置に、前記プラズマチャンバの共振周波数測定用端子(インピーダンス測定用端子)を設けることができる。これにより、測定時に電力供給用の導体と整合回路とを切り離すために、電力供給線部分と整合回路とを着脱することなく、前記プラズマチャンバの共振周波数特性を得るためにインピーダンス特性を測定する際のプロービングを容易におこなうことが可能となり、第1直列共振周波数f0 の測定時における作業効率を向上することができる。
【0022】また、本発明において、前記プラズマチャンバ(プラズマ処理室)における前記整合回路の出力端位置に、前記整合回路と前記インピーダンス測定用端子(共振周波数測定用端子)とを切り替えるスイッチを設けることにより、プラズマチャンバのインピーダンス測定時において、上述したように、インピーダンス測定用端子からみた場合、測定するべきプラズマチャンバに対して並列に接続されていた整合回路を、スイッチによって切断することができるため、電力供給用度謡と整合回路との機械的な着脱が不要となりスイッチを介して容易にプラズマチャンバ単独のインピーダンス特性を測定することが可能となる。従って、第1直列共振周波数の測定をより正確におこなうことができる。
【0023】また、本発明において、前記インピーダンス測定用端子(共振周波数測定用端子)に、インピーダンス測定器(共振周波数測定器)が着脱自在に接続されてなることにより、非測定時において、インピーダンス測定用端子とインピーダンス測定器との接続をプラズマチャンバから切り離すか、スイッチを切り替えることにより、プラズマ発生時にインピーダンス測定器に対して作用する電気的影響を防止することができる。また、複数のプラズマチャンバが並設されている際には、単一のインピーダンス測定器を兼用してこれらのプラズマチャンバの測定をおこなうことができる。これにより、プラズマチャンバ(プラズマ処理室)と整合回路とを着脱することなく、かつインピーダンス測定用端子に接続されるインピーダンス測定器側のインピーダンス測定用プローブを着脱することなく、スイッチ切り替えのみによりインピーダンス特性、共振周波数特性の測定および第1直列共振周波数f0 の測定を容易におこなうことが可能となる。
【0024】また、本発明において、前記スイッチを整合回路側に接続した場合における前記整合回路の出力端位置側からの共振周波数特性と、前記スイッチを前記インピーダンス測定用端子側に接続した場合における前記インピーダンス測定用端子(共振周波数測定用端子)側からの共振周波数特性とが等しく設定されてなることができ、これにより、測定用端子に接続されたインピーダンス測定器(共振周波数測定器)からのインピーダンス測定値を、整合回路出力側最終段の出力位置から測定した値と同等と見なすことができるため、第1直列共振周波数の算出に際して補正が不要となり、実測値の換算が不要となるので、作業効率を向上することができる。
【0025】さらに、本発明では、第1の高周波電源と、該第1の高周波電源と接続される高周波電極と、前記第1の高周波電源と前記高周波電極との間のインピーダンスの整合を得る整合回路を備えた高周波電極側マッチングボックスと、第2の高周波電源と、前記高周波電極と対向配置され前記第2の高周波電源と接続されるとともに被処理基板を支持するサセプタ電極と、前記第2の高周波電源と前記サセプタ電極との間のインピーダンスの整合を得る整合回路を備えたサセプタ電極側マッチングボックスとを有しする、いわゆる2周波励起型プラズマCVD装置において、サセプタ側の電源周波数および整合回路出力端から測定した第1直列共振周波数f0 に対しても、前述のカソード電極側と同様にして各設定を適用することができる。
【0026】本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムにおいて、販売保守者がアップロードしたプラズマ処理装置の動作性能状況を示す性能状況情報に対して、購入発注者が情報端末から公衆回線を介して閲覧を可能とすることにより、購入発注者に対して、購入時に判断基準となる情報を伝達することが可能となり、かつ、使用時における、プラズマ処理装置の動作性能・保守情報を容易に提供することが可能となる。また、前記性能状況情報が、上述したようにプラズマ処理装置に対する性能パラメータとしての前記第1直列共振周波数f0 を含むことにより、購入発注者のプラズマ処理装置に対する性能判断材料を提供できるとともに、購入時における適切な判断をすることが可能となる。さらに、前記性能状況情報を、カタログまたは仕様書として出力することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るプラズマ処理装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]図1は本実施形態のプラズマ処理装置の概略構成を示す断面図、図2は図1におけるプラズマ処理装置の整合回路を示す模式図である。
【0028】本実施形態のプラズマ処理装置は、CVD( chemical vapor deposition)、スパッタリング、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなう1周波励起タイプのプラズマ処理装置とされ、図1に示すように、プラズマを励起するための平行平板型電極4,8を有するプラズマチャンバ(プラズマ処理室)CNと、この電極3に接続された高周波電源1と、前記プラズマチャンバCNと前記高周波電源1とのインピーダンス整合を得るための整合回路2Aとを具備する構成とされる。同時に、本実施形態のプラズマ処理装置は、後述するように、前記整合回路2Aの出力端位置PRから測定した前記プラズマチャンバCNの第1直列共振周波数f0 の3倍が、前記高周波電源1からプラズマチャンバCNに供給される電力周波数fe より大きな値の範囲に設定されている。
【0029】さらに詳細に説明すると、本実施形態のプラズマ処理装置は、図1,図2に示すように、プラズマチャンバCNの上部に高周波電源1に接続されたプラズマ励起電極(電極)4およびシャワープレート5が設けられ、プラズマチャンバCNの下部にはシャワープレート5に対向して被処理基板16を載置するサセプタ電極(電極)8が設けられている。プラズマ励起電極(電極)4は、給電板(高周波電力配電体)3および整合回路2Aを介して第1の高周波電源1と接続されている。これらプラズマ励起電極4および給電板3は、シャーシ21に覆われるとともに、整合回路2Aは導電体からなるマッチングボックス2の内部に収納されている。給電板3としては、幅50〜100mm、厚さ0.5mm、長さ100〜300mmの形状を有する銅の表面に銀めっきを施したものが用いられており、この給電板3は、後述する整合回路2Aのチューニングコンデンサ24の出力端子、および、プラズマ励起電極4にそれぞれネジ止めされている。
【0030】また、プラズマ励起電極(カソード電極)4の下側には凸部4aが設けられるとともに、このプラズマ励起電極(カソード電極)4の下には、多数の孔7が形成されているシャワープレート5が凸部4aに接して設けられている。これらプラズマ励起電極4とシャワープレート5との間には空間6が形成されている。この空間6にはガス導入管17が接続されており、導体からなるガス導入管17の途中には絶縁体17aが挿入されてプラズマ励起電極14側とガス供給源側とが絶縁されている。
【0031】ガス導入管17から導入されたガスは、シャワープレート5の多数の孔7,7からチャンバ壁10により形成されたチャンバ室60内に供給される。チャンバ壁10とプラズマ励起電極(カソード電極)4とは絶縁体9により互いに絶縁されている。また、排気系の図示は省略してある。一方、チャンバ室60内には基板16を載置しプラズマ励起電極ともなるウエハサセプタ(サセプタ電極)8が設けられている。
【0032】サセプタ電極(対向電極)8の下部中央には、シャフト13が接続され、このシャフト13がチャンバ底部10Aを貫通して設けられるとともに、シャフト13の下端部とチャンバ底部10A中心部とがベローズ11により密閉接続されている。これら、ウエハサセプタ8およびシャフト13はベローズ11により上下動可能となっており、プラズマ励起電極4,8間の距離の調整ができる。これらサセプタ電極8とシャフト13と支持筒12Bとが接続されているため、サセプタ電極8,シャフト13,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁10は直流的に同電位となっている。さらに、チャンバ壁10とシャーシ21は接続されているため、チャンバ壁10,シャーシ21,マッチングボックス2はいずれも直流的に同電位となっている。
【0033】ここで、整合回路2Aは、プラズマチャンバCN内のプラズマ状態等の変化に対応してインピーダンスを調整するために、その多くは複数の受動素子を具備する構成とされている。整合回路2Aは、図1,図2に示すように、複数の受動素子として、高周波電源1と給電板3との間に、コイル23とチューニングコンデンサ24とが直列に設けられ、これらコイル23とチューニングコンデンサ24とには、並列にロードコンデンサ22が接続され、このロードコンデンサ22の一端はマッチングボックス21に接続されている。ここで、チューニングコンデンサ24は給電板3を介してプラズマ励起電極4に接続されている。マッチングボックス2は、同軸ケーブルとされる給電線1Aのシールド線に接続されており、このシールド線が直流的にアースされている。これにより、サセプタ電極8,シャフト13,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁10,シャーシ21,マッチングボックス2は接地電位に設定されることになり、同時に、ロードコンデンサ22の一端も直流的にアースされた状態となる。
【0034】本実施形態のプラズマ処理装置においては、13.56MHz程度以上の周波数の電力、具体的には、例えば13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz等の周波数の電力を投入して、両電極4,8の間でプラズマを生成し、このプラズマにより、サセプタ電極8に載置した基板16にCVD( chemicalvapor deposition)、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなう。このとき、高周波電力は、高周波電源1から給電線1Aの同軸ケーブル,整合回路2A,給電板3,プラズマ励起電極(カソード電極)4に供給される。一方、高周波電流の経路を考えた場合、電流はこれらを介してプラズマ空間(チャンバ室60)を経由した後、さらにもう一方の電極(サセプタ電極)8,シャフト13,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁10を通る。その後、シャーシ21,マッチングボックス2,給電線1Aのシールド線を通り、高周波電源1のアースに戻る。
【0035】ここで、本実施形態のプラズマ処理装置における第1直列共振周波数f0 について説明する。
【0036】第1直列共振周波数f0 は、プラズマチャンバCNのインピーダンスの周波数依存性を計測し、インピーダンスZの極小値のうち最小の周波数の値であり、この値が、前記電力周波数fe より大きな値の範囲になるよう設定される。この第1直列共振周波数f0 は、機械的な構造をその多くの要因としてきまる電気的高周波的な特性であり、具体的には図3,図4に示すように測定される。図3はプラズマ処理装置のインピーダンス特性を説明するための模式図であり、図4は、図3の等価回路を示す回路図である。
【0037】プラズマチャンバCNの測定範囲としては、整合回路2Aの受動素子のうち出力最終段の受動素子の出力端位置で切り離した状態をその対象とする。つまり、図3に示すように、給電板3に接続されるチューニングコンデンサ24の出力端位置PRで、給電板3と整合回路2Aの端子とのネジ止めを外して整合回路2Aを切り離した状態のプラズマチャンバCNを測定範囲とする。
【0038】そして図3に破線で示すように、インピーダンス測定器ANのプローブ105を切り離した出力端位置PRおよびプラズマチャンバCNの例えばシャーシ21とされるアース位置に接続する。この状態で、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば1MHz〜100MHzの範囲に変化させて、プラズマチャンバCNの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定する。このプローブ105は、図3に示すように、導線110上に絶縁被覆112を設け、この絶縁被覆112上に外周導体111を被覆してなるものである。このプローブ105は同軸ケーブルを通してインピーダンス測定器(共振周波数測定器)ANに接続されている。
【0039】ついで、図5に示すように、測定周波数f(MHz)を横軸とし、縦軸としてインピーダンスZ(Ω)と位相θ(deg)とを同一のグラフ上にプロットしていく。ここで、図において、左側の縦軸はインピーダンスZ(Ω)であり、右側の縦軸は位相θ(deg)に対応している。描画されたインピーダンス特性曲線および位相曲線のうち、インピーダンスの最小値Zmin の周波数、つまり、測定周波数fの低い側から数えて一番最初に位相θがマイナスからプラスに変化したときに、位相θがゼロとなる周波数を、第1直列共振周波数f0 として定義する。
【0040】このとき、測定される第1直列共振周波数f0 に対して、考慮されている電気的高周波的要因は、図3に示すように、上記測定範囲のうち、以下のものが考えられる。
給電板(フィーダ)3のインダクタンスLf および抵抗Rfプラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ceシャフト13のインダクタンスLC および抵抗RCベローズ11のインダクタンスLB および抵抗RBチャンバ壁10のインダクタンスLA および抵抗RA絶縁体17aを挟んでガス導入管17とプラズマ励起電極4との間の容量CAプラズマ励起電極4とシャーシ21との間の容量CBプラズマ励起電極4とチャンバ壁10との間の容量CC
【0041】これらの電気的高周波的要因が、プラズマ発光時に供給される高周波電流が流れる回路と同様にして、図4に示すように、給電板(フィーダ)3のインダクタンスLf および抵抗Rf 、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ce 、シャフト13のインダクタンスLC および抵抗RC 、ベローズ11のインダクタンスLB および抵抗RB 、チャンバ壁10のインダクタンスLA および抵抗RA 、が順に直列に接続されてその終端の抵抗RA がアースされるとともに、抵抗Rf とプラズマ電極容量Ce との間に、容量CA ,容量CB ,容量CC の一端がアースされた状態でそれぞれ並列に接続された等価回路を形成しており、この等価回路のインピーダンス特性を計測することで、本実施形態の第1直列共振周波数f0 を定義することができる。
【0042】このように定義された第1直列共振周波数f0 の3倍が、高周波電源1から供給される電力周波数fe より大きな値の範囲になるように設定する。ここで、第1直列共振周波数f0 を設定する方法としては、例えば、■給電板3の形状(長さ)を調整する。
■プラズマ励起電極4とチャンバ壁10とのオーバーラップ面積を調整する。
■プラズマ励起電極4とチャンバ壁10との間の絶縁材料を調節する。
■サセプタ電極8とチャンバ壁10とを導体で接続する。
等の手法を適用することができる。
【0043】例えば、本実施形態のプラズマ処理装置においては、電力周波数fe を40.68MHzに設定して、0〜100MHzの範囲の測定周波数f(MHz)に対してインピーダンスZ(Ω)と位相θ(deg)を測定し、図6に示すように、インピーダンス特性曲線および位相曲線を描画する。そして、3f0 > fe (2)
を満たすように、第1直列共振周波数f0 を16.5MHzとして設定する。
【0044】本実施形態のプラズマ処理装置においては、プラズマチャンバCNの第1直列共振周波数f0 の3倍を、前記電力周波数fe より大きな値の範囲に設定することにより、従来は、考慮されていなかったプラズマチャンバCNの全体的な電気的高周波的な特性を適正な範囲に収めることができる。これにより、動作安定性を向上して、従来一般的に使用されていた13.56MHz程度以上の高い周波数の電力を投入した場合であっても、高周波電源1からの電力を、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ発生空間に効率よく導入することが可能となる。同時に、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理装置と比べて、プラズマ空間で消費される実効的な電力を大きくし、生成するプラズマ密度の上昇を図ることができる。その結果、プラズマ励起周波数の高周波化による処理速度の向上を図ること、つまり、プラズマCVD等により膜の積層をおこなう際には、堆積速度の向上を図ることができる。
【0045】さらに、プラズマ空間に効率よく電力が供給されることにより、プラズマの不要な広がりも抑制でき、被処理基体16における膜面内方向におけるプラズマ処理の均一性の向上を図ることができ、成膜処理においては膜厚の膜面内方向分布の均一性の向上を図ることが可能となる。同時に、高い電力を投入することによりプラズマポテンシャルを低くすることができ、イオンによるダメージを抑制できるので、プラズマCVD、スパッタリングなどの成膜処理においては、成膜状態の向上、すなわち、堆積した膜における絶縁耐圧や、エッチング液に対する耐エッチング性、そして、いわゆる膜の「固さ」つまり膜の緻密さ等の膜特性の向上を図ることが可能となる。ここで、膜の緻密さは例えば、BHF液によるエッチングに対する浸食されにくさ、耐エッチング性によって表現可能である。
【0046】さらに、同一周波数を供給した場合に、従来のプラズマ処理装置と比べてプラズマ空間に効率よく電力を供給することができるため、電力の消費効率を向上し、同等の処理速度もしくは膜特性を得るために、従来より少ない投入電力ですむようにできる。したがって、電力消費の低減を図ること、ランニングコストの削減を図ることができる。同時に、従来と同じ投入時間を用いる場合には、処理時間を短縮することが可能となり、生産性の向上を図ることができる。いずれの場合も省力化が可能となり、電力消費に伴う二酸化炭素の排出総量を削減することが可能となる。
【0047】そして、プラズマ処理装置の実機が設置してある場所で、インピーダンス測定器ANにより第1直列共振周波数f0 を測定するだけで、短時間にプラズマ処理装置の性能確認および、性能の評価が可能となる。このため、成膜された基板を検査するために、製造ラインを数日あるいは数週間停止してプラズマ処理装置の性能確認および、性能の評価をする必要がなくなり、製造ラインとしての生産性を向上することができる。この第1直列共振周波数f0 は、機械的な構造をその多くの要因としてきまる電気的高周波的な特性であり、各実機ごとに異なっていると考えられる。上記の範囲に、この第1直列共振周波数f0 を設定することにより、各実機に対しても、従来考慮されていなかったその全般的な電気的高周波的特性を設定することが可能となり、プラズマ発生の安定性を期待することができる。その結果、動作安定性の高いプラズマ処理装置を提供することが可能となる。
【0048】なお、図16に示すように、それぞれのインピーダンスが一致する複数本の導線101a〜101hの一端をプローブ取付具104に接続してなるフィクスチャを使用してプラズマチャンバCNのインピーダンス特性を測定することも可能である。プローブ取付具104は、例えば50mm×10mm×0.5mmの銅板を、締め付け部106とリング部とができるように成形されている。リング部はプローブ105の外側にはめ込み可能な径とされる。このプローブ取付部104に導線101a〜101hの一端をハンダ付けなどにより電気的に接続する。導線101a〜101hの他端には、測定対象(プラズマチャンバCN)との着脱用の端子(圧着端子)102a〜102hが取り付けられている。このフィクスチャを使用するに際してはプローブ取付具104のリング状部104をプローブ105にはめ込み、締め付け部106で締め付けを行う。一方各導線101a〜101hは略点対称となるように圧着端子102a〜102hにおいて測定対象に、図17に示すように、ねじ114により着脱自在にねじ止めする導体101a〜101hは、例えばアルミニウム、銅、銀、金により構成すればよく、または、銀、金を50μm以上メッキして構成してもよい。
【0049】このようなフィクスチャを使用してインピーダンスを測定する方法を図17を用いて説明する。まずプラズマ処理装置の高周波電源1とマッチングボックス2をプラズマ処理装置から取り外す。インピーダンス測定具のプローブ105の導線110を給電板3に接続する。次いでインピーダンス測定具のフィクスチャの導線101a〜101hに接続する圧着端子102a〜102hをプラズマ処理装置のハウジング21に給電板3を中心とする略点対称となるようにネジ114によってネジ止めする。インピーダンス測定具をこのように配置した後、測定信号をインピーダンス測定具の導線110に供給し、前記プラズマ処理装置の給電板3からプラズマ空間60を経てハウジング21に至る経路のインピーダンスを測定する。これにより、測定対象の大きさ、あるいは、測定する2点間の距離に制約を与えることなく、かつ、測定対象に均一に電流を流すことができ、測定対象のインピーダンスを測定するのに影響を及ぼさない残留インピーダンス値を設定することにより、正確にインピーダンス測定をおこなうことができる。
【0050】なお、本実施形態においては、サセプタ電極側8に基板16を載置してプラズマ励起電極4に対する電力周波数fe と第1直列共振周波数f0 とを設定したが、カソード電極4側に基板16を取り付けるよう対応することも可能である。
【0051】以下、本発明に係るプラズマ処理装置の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第2実施形態]図7は本実施形態のプラズマ処理装置の概略構成を示す断面図である。
【0052】本実施形態のプラズマ処理装置は、2周波励起タイプのプラズマ処理装置とされ、図1〜図4に示した第1実施形態と異なるのはサセプタ電極8側に電力を供給する点と、測定用端子61に関する点と、第1直列共振周波数f0 の設定に関する点である。それ以外の対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態のプラズマ処理装置は、プラズマチャンバ(プラズマ処理室)CNの第1直列共振周波数f0 の1.3倍が、前記高周波電源1からプラズマチャンバCNに供給される電力周波数fe より大きな値の範囲に設定される。
【0053】本実施形態のプラズマ処理装置は、図7に示すように、サセプタ電極8の周囲にサセプタシールド12が設けられ、ウエハサセプタ8およびサセプタシールド12は、これらの隙間がシャフト13の周囲の設けられた電気絶縁物からなる絶縁手段12Cによって真空絶縁されるとともに電気的にも絶縁されている。また、ウエハサセプタ8およびサセプタシールド12は、ベローズ11により上下動可能に構成されている。この構成により、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間の距離が調整可能となっている。また、サセプタ電極8は、シャフト13下端に接続された給電板28、および、導電体からなるサセプタ電極側マッチングボックス26内部に収納された整合回路25を介して第2の高周波電源27と接続されている。これら給電板28は、サセプタシールド12の支持筒12B下端に接続されたシャーシ29に覆われるとともに、シャーシ29は、同軸ケーブルとされる給電線27Aのシールド線によって接続されマッチングボックス26とともにアースされている。これにより、サセプタシールド12,シャーシ29,マッチングボックス29は直流的に同電位となっている。
【0054】ここで、整合回路25は、第2の高周波電源27とサセプタ電極8との間のインピーダンスの整合を図るものとされ、この整合回路25としては、図7に示すように、複数の受動素子として、第2の高周波電源27と給電板28との間に、チューニングコイル30とチューニングコンデンサ31とが直列に設けられ、これらと並列にロードコンデンサ32が接続され、このロードコンデンサ32の一端はマッチングボックス26に接続されており、整合回路2Aと略同様の構成とされている。マッチングボックス26は給電線27Aのシールド線を介して接地電位に設定されており、同時に、ロードコンデンサ32の一端がアースされている。なお、チューニングコイル30と直列にチューニングコイルを接続することや、ロードコンデンサ32と並列にロードコンデンサを設けることも可能である。給電板28としては給電板3と同様なものが適用され、この給電板28は整合回路25からの端子およびシャフト13にそれぞれネジ止めされている。
【0055】本実施形態のプラズマチャンバCNの測定範囲である、整合回路2Aの受動素子のうち出力最終段の受動素子であるチューニングコンデンサ24の出力端位置PRには、前記プラズマチャンバCNのインピーダンス測定用端子(共振周波数測定用端子)61が設けられている。このインピーダンス測定用端子61は、第1実施形態で測定範囲を規定した出力端位置PRから、導体によってシャーシ21の外部までのびている。
【0056】本実施形態のプラズマ処理装置においては、サセプタ電極8上に被処理基板16を載置し、第1、第2の高周波電源1,27からプラズマ励起電極4とサセプタ電極8の双方にそれぞれ高周波電力を印加するとともにガス導入管17からシャワープレート6を介して反応ガスをチャンバ60内に供給してプラズマを発生させ、被処理基板16に対して成膜等のプラズマ処理をおこなう。このとき、第1の高周波電源1から13.56MHz程度以上の周波数の電力、具体的には、例えば13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz等の周波数の電力を投入する。そして、第2の高周波電源27からも第1の高周波電源1と同等の電力を供給するか、または、異なる周波数の電力、例えば1.6MHz程度の電力を投入することもできる。
【0057】ここで、本実施形態のプラズマ処理装置における第1直列共振周波数f0 は、第1実施形態と同様にして測定・定義する。本実施形態の第1直列共振周波数f0 は、具体的には図8,図9に示すように測定・定義される。図8は本実施形態のプラズマ処理装置のインピーダンス特性を説明するための模式図であり、図9は、図8の等価回路を示す回路図である。
【0058】本実施形態のプラズマチャンバCNの測定範囲としては、インピーダンス測定用端子61からみたプラズマチャンバCNの状態をその対象とする。つまり、図9に示すように、第1実施形態における測定範囲と同様にして、チューニングコンデンサ24の出力端位置PRと直列に接続されたインピーダンス測定用端子61を測定範囲とする。つまり、プラズマ発生時には、出力端位置PRから給電板3等と並列に接続された整合回路2A、および、サセプタ電極8に接続された整合回路25は、インピーダンス特性(高周波数特性)測定時には切り離すことになる。ここで、図には高周波電源1,27が記載してあるが、これらは電力供給状態を示すものではなく、整合回路2A,25の接地状態を示すことを主眼とするものである。というのも、電力供給状態においては、インピーダンス特性を計測することはできないからである。
【0059】そして、図8に破線で示すように、インピーダンス測定器ANのプローブ105をインピーダンス測定用端子61およびプラズマチャンバCNの例えばシャーシ21とされるアース位置に接続する。この状態で、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば1MHz〜100MHzの範囲に変化させて、プラズマチャンバCNの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定する。
【0060】ついで、図10に示すように、測定周波数f(MHz)を横軸とし、縦軸としてインピーダンスZ(Ω)と位相θ(deg)とを同一のグラフ上にプロットしていく。ここで、図において、左側の縦軸はインピーダンスZ(Ω)であり、右側の縦軸は位相θ(deg)に対応している。描画されたインピーダンス特性曲線および位相曲線のうち、インピーダンスの最小値Zmin の周波数、つまり、測定周波数fの低い側から数えて一番最初に位相θがマイナスからプラスに変化したときに、位相θがゼロとなる周波数を、第1直列共振周波数f0 として定義する。
【0061】このとき、測定される第1直列共振周波数f0 に対して、考慮されている電気的高周波的要因は、図8に示すように、上記測定範囲のうち、以下のものが考えられる。
給電板(フィーダ)3のインダクタンスLf および抵抗Rfプラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ceサセプタ電極8とサセプタシールド12との間の容量CSサセプタシールド12の支持筒12BのインダクタンスLC および抵抗RCベローズ11のインダクタンスLB および抵抗RBチャンバ壁10のインダクタンスLA および抵抗RA絶縁体17aを挟んだガス導入管17とプラズマ励起電極4との間の容量CAプラズマ励起電極4とシャーシ21との間の容量CBプラズマ励起電極4とチャンバ壁10との間の容量CC
【0062】これらの電気的高周波的要因が、プラズマ発光時に供給される高周波電流の流れる回路と同様と見なせる状態として、図9に示すように、給電板(フィーダ)3のインダクタンスLf および抵抗Rf 、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ce 、サセプタ電極8とサセプタシールド12との間の容量CS 、サセプタシールド12の支持筒12BのインダクタンスLC および抵抗RC 、ベローズ11のインダクタンスLB および抵抗RB 、チャンバ壁10のインダクタンスLA および抵抗RA が、順に直列に接続されてその終端の抵抗RA がアースされるとともに、出力端位置PRに接続された整合回路2Aからの寄与、抵抗Rf とプラズマ電極容量Ce との間に一端がアースされた状態でそれぞれ並列に接続された容量CA ,容量CB ,容量CC が、等価回路を形成しており、この等価回路のインピーダンス特性を計測することで、本実施形態の第1直列共振周波数f0 を定義することができる。
【0063】このように定義された第1直列共振周波数f0 の1.3倍を、高周波電源1から供給される電力周波数fe より大きな値の範囲に設定する。ここで、第1直列共振周波数f0 を調整設定する方法としては、例えば、■給電板3の形状長さを変化させる。
■プラズマ励起電極4とチャンバ壁10とのオーバーラップ面積を制御する。
■プラズマ励起電極4とチャンバ壁10との間の絶縁材料を厚くする。
■サセプタ電極8とチャンバ壁10とを導体で接続する等調整する。
等の手法を適用することができる。
【0064】例えば、本実施形態のプラズマ処理装置においては、電力周波数fe を40.68MHzに設定して、1〜100MHzの範囲の測定周波数f(MHz)に対してインピーダンスZ(Ω)と位相θ(deg)を測定し、図10に示すように、インピーダンス特性曲線および位相曲線を描画する。そして、1.3f0 > fe (3)
を満たすように、第1直列共振周波数f0 を42.5MHzとして設定する。
【0065】本実施形態のプラズマ処理装置においては、第1実施形態と同等の効果を奏するとともに、前記プラズマチャンバCNの前記整合回路2Aの出力端位置PRに、前記プラズマチャンバCNのインピーダンス測定用端子61を設けることにより、プラズマチャンバCNのインピーダンス特性測定時において、プロービングを容易におこなうことが可能となり、第1直列共振周波数f0 の測定時における作業効率を向上することができる。
【0066】なお、本実施形態において、インピーダンス測定用端子61が、マッチングボックス2を貫通せずに、インピーダンスを測定する際にプラズマ処理装置の高周波電源1とマッチングボックス2をプラズマ処理装置から取り外すように構成することも可能である。
【0067】以下、本発明に係るプラズマ処理装置の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第3実施形態]図11は本実施形態のプラズマ処理装置の概略構成を示す断面図である。
【0068】本実施形態のプラズマ処理装置は、2周波励起タイプのプラズマ処理装置とされ、図7〜図9に示した第2実施形態と異なるのは、測定用端子61付近の構成に関する点と、第1直列共振周波数f0 および直列共振周波数f0'の設定に関する点である。それ以外の対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態のプラズマ処理装置は、プラズマチャンバ(プラズマ処理室)CNの第1直列共振周波数f0 が、前記高周波電源1からプラズマチャンバCNに供給される電力周波数fe の3倍より大きな値の範囲に設定されるとともに、後述するように、電極間4,8の容量Ce によって規定される直列共振周波数f0'が、電力周波数fe の(電極間の距離d/プラズマ非発光部の距離δ)の平方根倍よりも大きく設定される。
【0069】本実施形態のプラズマ処理装置は、図11に示すように、整合回路2Aの出力端位置PR付近に、前記整合回路2Aと前記インピーダンス測定用端子(共振周波数測定用端子)61とを切り替えるスイッチとして、整合回路2Aと給電板3との間に設けられるスイッチSW1と、インピーダンス測定用端子61と給電板との間に設けられるスイッチSW2とが設けられている。これらスイッチ、SW1,SW2は、前記高周波電力配電体3端部と前記共振周波数測定用端子61との間に、プラズマを励起する際には前記配電体3端部と前記測定用端子61との電気的接続を切るとともに前記配電体3端部と前記整合回路2Aの出力端PRとの電気的接続を確保し、かつ、前記プラズマ処理室CNの共振周波数を測定する際には前記配電体3端部と前記測定用端子61との電気的接続を確保するとともに前記配電体3と前記整合回路2Aの出力端PRとの電気的接続を切断するものとされている。
【0070】ここで、スイッチSW1,SW2を整合回路2A側に接続した場合における整合回路2Aの出力端位置PR側からのインピーダンス特性(共振周波数特性)と、スイッチSW1,SW2を前記インピーダンス測定用端子61側に接続した場合におけるインピーダンス測定用端子61側からのインピーダンス特性(共振周波数特性)とが等しく設定さる、つまり、後述の図11に示すように、スイッチSW1付近のインピーダンスZ1 とスイッチSW2付近のインピーダンスZ2 とが等しく設定される。すなわち、前記スイッチSW1,SW2により、前記高周波配電体3端部と前記共振周波数測定用端子61との電気的接続を切るとともに前記配電体3端部と前記整合回路2Aの出力端PRとの電気的接続を確保した場合における前記整合回路2Aの出力端PR位置で測定する共振周波数特性と、前記スイッチSW1,SW2により、前記配電体3端部と前記測定用端子61との電気的接続を確保するとともに前記配電体3と前記整合回路2Aの出力端PRとの電気的接続を切断した場合における前記共振周波数測定用端子61で測定した共振周波数特性と、が等しく設定されてなる。
【0071】これは、スイッチSW1を整合回路2A側に接続してスイッチSW2を開いた場合における整合回路2Aの出力端位置PR側つまり出力端位置PRからスイッチSW2への分岐点BまでのインピーダンスZ1 と、前記スイッチSW2を前記インピーダンス測定用端子61側に接続してスイッチSW1を開いた場合におけるインピーダンス測定用端子61側つまりインピーダンス測定用端子61からスイッチSW1への分岐点BまでのインピーダンスZ2 とが等しく設定されるということを意味している。インピーダンス測定用端子61には、図8に示した第2実施形態と同様に、インピーダンス測定器ANのプローブが着脱自在に接続されてなる。このプローブには、同時に、プラズマチャンバCNの例えばシャーシ21とされるアース位置に着脱自在に接続されている。
【0072】ここで、本実施形態のプラズマ処理装置における第1直列共振周波数f0 は、第2実施形態と同様にして測定・定義する。本実施形態の第1直列共振周波数f0 は、具体的には図11,図12に示すように測定・定義される。図12は図11の本実施形態のプラズマ処理装置のインピーダンス特性測定用の等価回路を示す回路図である。
【0073】本実施形態のプラズマ処理装置においては、スイッチSW1を閉じるとともに、スイッチSW2を開いた状態において、図7〜図9に示した第2実施形態と同様にして、サセプタ電極8上に被処理基板16を載置し、第1、第2の高周波電源1,27からプラズマ励起電極4とサセプタ電極8の双方にそれぞれ高周波電力を印加するとともにガス導入管17からシャワープレート6を介して反応ガスをチャンバ60内に供給してプラズマを発生させ、被処理基板16に対して成膜等のプラズマ処理をおこなう。このとき、第1の高周波電源1から13.56MHz程度以上の周波数の電力、具体的には、例えば13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz等の周波数の電力を投入する。そして、第2の高周波電源27からも第1の高周波電源1からと同等か、異なる周波数の電力、例えば1.6MHz程度の電力を投入することもできる。
【0074】本実施形態のプラズマチャンバCNの測定範囲としては、インピーダンス測定用端子61からみたプラズマチャンバCNの状態をその対象とする。これは、図11に示すように、スイッチSW1付近のインピーダンスZ1 とスイッチSW2付近のインピーダンスZ2 とが等しく設定されたことで、出力端位置PRからみた状態のプラズマチャンバCNの測定範囲に等しいものとなっている。これは、インピーダンス測定時において整合回路2Aを電気的に切り離すためには機械的に回路を着脱する必要のあった第1,第2実施形態に対して、本実施形態では、図11に示すように、スイッチSW1によって整合回路2Aを測定範囲から切り離し、測定範囲外とすることができるためで、これにより、プラズマチャンバCNのインピーダンス特性を測定することが容易になる。ここで、第2実施形態における測定範囲と比べるとスイッチSW2が加わっているが、これは、プラズマ発光時にはスイッチSW1は閉じた状態となっている、つまり、インピーダンス特性に対するスイッチSW1の寄与が存在していることに対応している。すなわち、このスイッチSW1付近のインピーダンスZ1 と等しいインピーダンスZ2 を有するスイッチSW2付近を含んで上記測定範囲とすることにより、インピーダンス測定用端子61からみたプラズマチャンバCNの測定範囲を、実際にプラズマ発光時に高周波電流の流れる回路状態に近づけてインピーダンス測定の正確性をより向上することが可能となる。
【0075】そして、スイッチSW2を閉じるとともに、スイッチSW1を開いた状態に設定して、図7〜図9R>9に示した第2実施形態と同様にして、インピーダンス測定器ANの発振する測定周波数を例えば1MHz〜150MHzの範囲に変化させて、プラズマチャンバCNの上記測定範囲に対するインピーダンスのベクトル量(Z,θ)を測定する。ここで、インピーダンス測定器ANが、インピーダンス測定用端子61に着脱自在に接続されてなることにより、プラズマチャンバCNと整合回路2Aとを着脱することなく、かつ、第2実施形態における図8に示したインピーダンス測定プローブ105を着脱することなく、スイッチSW1,SW2切り替えのみによりインピーダンス特性の測定および第1直列共振周波数f0の測定を容易におこなうことが可能となる。
【0076】ついで、図13に示すように、測定周波数f(MHz)を横軸とし、縦軸としてインピーダンスZ(Ω)と位相θ(deg)とを同一のグラフ上にプロットしていく。ここで、図において、左側の縦軸はインピーダンスZ(Ω)であり、右側の縦軸は位相θ(deg)に対応している。描画されたインピーダンス特性曲線および位相曲線のうち、インピーダンスの最小値Zmin の周波数、つまり、測定周波数fの低い側から数えて一番最初に位相θがマイナスからプラスに変化したときに、位相θがゼロとなる周波数を、第1直列共振周波数f0 として定義する。
【0077】このとき、測定される第1直列共振周波数f0 に対して、考慮されている電気的高周波的要因は、図13に示すように、上記測定範囲のうち、以下のものが考えられる。
スイッチSW2のインダクタンスLSWおよび抵抗RSW給電板(フィーダ)3のインダクタンスLf および抵抗Rfプラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ce整合回路25からの寄与サセプタ電極8とサセプタシールド12との間の容量CSサセプタシールド12の支持筒12BのインダクタンスLC および抵抗RCベローズ11のインダクタンスLB および抵抗RBチャンバ壁10のインダクタンスLA および抵抗RA絶縁体17aを挟んでガス導入管17とプラズマ励起電極4との間の容量CAプラズマ励起電極4とシャーシ21との間の容量CBプラズマ励起電極4とチャンバ壁10との間の容量CC
【0078】これらの電気的高周波的要因が、プラズマ発光時に供給される高周波電流が流れる回路と同様と見なせる状態として、図12に示すように、スイッチSW2のインダクタンスLSWおよび抵抗RSW、給電板(フィーダ)3のインダクタンスLf および抵抗Rf 、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ce 、サセプタ電極8とサセプタシールド12との間の容量CS 、シャフト13のインダクタンスLC および抵抗RC 、ベローズ11のインダクタンスLBおよび抵抗RB 、チャンバ壁10のインダクタンスLA および抵抗RA 、が順に直列に接続されてその終端の抵抗RA がアースされるとともに、抵抗Rf とプラズマ電極容量Ce との間に一端がアースされた状態でそれぞれ並列に接続された容量CA ,容量CB ,容量CC が、等価回路を形成しており、この等価回路のインピーダンス特性を計測することで、本実施形態の第1直列共振周波数f0 を定義することができる。
【0079】このように定義された第1直列共振周波数f0 を、高周波電源1から供給される電力周波数fe の3倍より大きな値の範囲に設定する。ここで、第1直列共振周波数f0 を設定する方法としては、例えば、■給電板3の形状長さを変化する。
■プラズマ励起電極4とチャンバ壁10とのオーバーラップ面積を減少する。
■プラズマ励起電極4とチャンバ壁10との間の絶縁材料を厚くする。
■サセプタシールド12とチャンバ壁10とを導体で短絡する。
等の手法を適用することができる。
【0080】例えば、本実施形態のプラズマ処理装置においては、電力周波数fe を40.68MHzに設定して、0〜150MHzの範囲の測定周波数f(MHz)に対してインピーダンスZ(Ω)と位相θ(deg)を測定し、図13に示すように、インピーダンス特性曲線および位相曲線を描画する。そして、f0 > 3fe (4)
を満たすように、第1直列共振周波数f0 を123.78MHzとして設定する。
【0081】そして、本実施形態においては、プラズマ励起電極(電極)4とサセプタ電極(対向電極)8との間のプラズマ電極容量Ce によって規定される直列共振周波数f0'を、前記電力周波数fe の3倍より大きな値の範囲に設定する。
0' > 3fe (5)
ここで、直列共振周波数f0'は、上記の第1直列共振周波数f0'における、インピーダンス特性の測定と同様にして、プラズマ励起電極4,サセプタ電極8間のインピーダンス特性として定義されるものである。つまりサセプタ電極8の一端をアースして、プラズマ励起電極8の一端からインピーダンス特性を測定し、測定周波数fの低い側から数えて一番最初に位相θがマイナスからプラスに変化したときに、位相θがゼロとなる周波数を、直列共振周波数f0'として定義している。直列共振周波数f0'は、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との機械的な形状によって規定される電気的高周波的な特性であり、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ce の平方根の逆数に比例する値となる。これにより、直接プラズマを発光させる前記電極4,8の周波数特性を規定できるため、プラズマ発光空間に対して電力をより効果的に投入することができ、さらなる電力消費効率の向上か、または、処理効率の向上を図ることが可能となる。
【0082】さらに、本実施形態においては、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ce によって規定される直列共振周波数f0'を、前記電力周波数fe に対して、上記(1)式なる関係を満たすように設定する。
【0083】図14は、プラズマ発光状態における電極間の状態を示す模式図である。図14に示すように、この対向する平行平板型とされるプラズマ励起電極4,サセプタ電極8間の距離をdとし、この電極4,8間の距離方向においてそれぞれの電極4,8と発光時のプラズマとの距離の和をδとする。つまり、プラズマ発光時に目視できるプラズマ発光領域Pとプラズマ励起電極4との間のプラズマ発光していない部分の距離をδa 、プラズマ発光領域Pとサセプタ電極8との間のプラズマ発光していない部分の距離をδb としたときに、式(6)に示すようにこれらの和をδとする。
δa +δb = δ (6)
ここで、電極4,8間の距離dと、電極4,8間においてプラズマの発光していない部分の距離の和δとから、実際にプラズマ発光状態における電極4,8間のモデル的な容量C0"が求められる。
【0084】プラズマ発光時における平行平板電極4,8は、その間にあるプラズマ発光領域Pが導体として見なせるため、あたかも、電極4,8間の距離がδになったようにみなすことができる。その結果、プラズマ発光時の平行平板電極4,8間の容量C0"は、電極4,8間の距離に反比例するため、非プラズマ発光時に容量C0 だったものが、プラズマ発光時には見かけ上d/δ倍になる。
0 ∝ 1/dC0" ∝ 1/δ (7)
∴C0" ∝ d/δ・C0
【0085】そして、前記直列共振周波数f0'は容量C0 の平方根の逆数に比例するため、プラズマ発光時における電極4,8間の直列共振周波数f0"は容量C0"の平方根の逆数に比例する、つまり、d/δの平方根の逆数に比例する。
0' ∝ 1/√C0 0" ∝ 1/√C0" (8)
∴f0" ∝ (d/δ)-1/2・f0'
【0086】このプラズマ発光時における電極4,8間の直列共振周波数f0"と前記電力周波数fe との関係を第1直列共振周波数f0 と電力周波数fe との関係のように設定する。
0" > fe (9)
この式(9)を式(8)によって書き直すと、上記式(1)となる。前記直列共振周波数f0'と前記電力周波数fe とが、上記式(1)なる関係を満たしてなることにより、、上記のプラズマ発光時におけるモデル的な容量C0"から規定される直列共振周波数f0"の値と、非プラズマ発光時における電極4,8間の容量から規定される直列共振周波数f0'の値との関係を設定することができる。したがって、直列共振周波数f0'のd/δの平方根の逆数倍の値が、電力周波数fe よりも大きく設定されることにより、プラズマ発光時における電極4,8の直列共振周波数f0'を電力周波数fe に対して設定し、プラズマ発光時の電力消費効率の向上を図ることが可能となる。
【0087】本実施形態のプラズマ処理装置においては、第1実施形態と同等の効果を奏するとともに、インピーダンス測定用端子61にインピーダンス測定器を着脱自在に接続するとともに、スイッチSW1,SW2を設け、これらのインピーダンスZ1 とインピーダンスZ2 とを等しく設定することで、プラズマチャンバCNと整合回路2Aとを着脱することなく、かつ、インピーダンス測定用プローブ105を着脱することなく、スイッチSW1,SW2切り替えのみによりインピーダンス特性の測定および第1直列共振周波数f0 の測定を容易におこなうことが可能となり、同時に、インピーダンス測定端子61に接続されたインピーダンス測定器ANからのインピーダンス測定値を、整合回路2A出力側最終段の出力位置PRから測定した値と同等と見なすことができるため、第1直列共振周波数f0の算出の補正が不要となり、実測値の換算が不要となり、作業効率を向上し、第1直列共振周波数f0 の測定をより正確におこなうことができる。さらに、前記直列共振周波数f0'と前記電力周波数fe との値を設定することにより、直接プラズマを発光させる前記電極4,8の周波数特性を規定できるため、プラズマ発光空間に対して電力をより効果的に投入することができ、さらなる電力消費効率の向上か、または、処理効率の向上を図ることが可能となる。
【0088】なお、本実施形態において、2つのスイッチSW1およびスイッチSW2を設ける構成としたが、分岐点から出力端位置PRまでと分岐点からプローブまでのインピーダンスが等しく設定されていれば、よく、例えば1つのスイッチによりこれらの接続を切り替え可能とすることもできる。
【0089】さらに、本発明における上記の各実施形態においては、プラズマ励起電極4に対する電力周波数fe と第1直列共振周波数f0 とを設定したが、サセプタ電極側8に対する周波数を設定するよう対応することも可能である。この場合、図7,図11にPR’で示すように、インピーダンス測定範囲を規定する整合回路25の出力端位置を設定することができる。さらに、平行平板型の電極4,8を有するタイプに変えて、ICP(inductive coupled plasma)誘導結合プラズマ励起型、RLSA(radial line slot antenna)ラジアルラインスロットアンテナ型などのプラズマ処理装置や、RIE(Riactive Ion Etching)反応性スパッタエッチング用の処理装置に適用することもできる。なお、電極4,8に替えて、ターゲット材を取り付けることにより、プラズマ処理としてスパッタリングをおこなうことも可能である。
【0090】以下、本発明に係るプラズマ処理装置の性能確認システムの他の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、購入発注者を単に発注者、また販売保守者を単に保守者という。図20は本実施形態のプラズマ処理装置の性能確認システムのシステム構成図である。
【0091】この図において、参照符号C1 ,C2 ,……はクライアント・コンピュータ(以下、単にクライアントという)、Sはサーバ・コンピュータ(性能状況情報提供手段,以下単にサーバという)、Dはデータベース・コンピュータ(基準情報記憶手段,以下単にデータベースという)、またNは公衆回線である。クライアントC1 ,C2 ,……とサーバSとデータベースDとは、この図に示すように公衆回線Nを介して相互に接続されている。
【0092】クライアントC1 ,C2 ,……は、一般に広く普及しているインターネットの通信プロトコル(TCP/IP等)を用いてサーバSと通信する機能(通信機能)を備えたものである。このうち、クライアントC1 (発注者側情報端末)は、発注者が保守者に発注したプラズマチャンバCNの性能状況を公衆回線Nを介して確認するためのコンピュータであり、サーバSが保持する「プラズマチャンバCNの性能情報提供ページ」を情報提供ページ(Webページ)として閲覧する機能(プラズマチャンバCNの性能状況情報閲覧機能)を備えたものである。また、クライアントC2 (保守者側情報端末)は、保守者が上記「性能状況情報」の一部である「第1直列共振周波数f0 情報」をサーバSにアップロードするとともに、クライアントC1 を介して発注者から発せられた電子メールを受信するためのものである。
【0093】上記サーバSの通信機能は、公衆回線Nがアナログ回線の場合にはモデムによって実現され、公衆回線NがISDN(Integrated Services Digital Network)等のデジタル回線の場合には専用ターミナルアダプタ等によって実現される。サーバSは、性能状況情報提供用のコンピュータであり、上記クライアントC1 から受信される閲覧要求に応じて、性能状況情報をインターネットの通信プロトコルを用いてクライアントC1 に送信する。ここで、上述した発注者が保守者からプラズマ処理装置を納入された時点では、性能状況情報を閲覧するための個別の「閲覧専用パスワード」が保守者から個々の発注者に提供されるようになっている。このサーバSは、正規な閲覧専用パスワードが提供された場合のみ、性能状況情報のうち動作保守状況情報をクライアントC1 に送信するように構成されている。
【0094】ここで、具体的詳細については後述するが、上記「性能状況情報」は、保守者の販売するプラズマ処理装置(プラズマチャンバCN)の機種に関する情報、各機種における仕様書としての品質性能情報、納入された各実機における品質性能を示すパラメータの情報、および、このパラメータ、メンテナンスの履歴情報等から構成されている。このうち、各実機における品質性能、パラメータ、メンテナンスの履歴情報については、「閲覧専用パスワード」が提供された発注者のみに閲覧可能となっている。
【0095】また、これら「性能状況情報」は、保守者または発注者からサーバSに提供されるとともに実際の動作・保守状況を示す「動作保守状況情報」と、データベースDに蓄積されると共にカタログとして未購入のクライアントが閲覧可能な「性能基準情報」とから構成されるものである。「性能基準情報」は、保守者がプラズマチャンバCNによっておこなうプラズマ処理に対して客観的に性能を記述するためのものであり、プラズマCVD、スパッタリングなどの成膜処理においては、成膜状態を予測可能とするものである。
【0096】本実施形態では、これら「性能基準情報」は、データベースDに蓄積されるようになっている。サーバSは、クライアントC1 から受信される「性能状況情報」の閲覧要求に対して、データベースDを検索することにより必要な「性能基準情報」を取得して、「性能状況情報提供ページ」として発注者のクライアントC1 に送信するように構成されている。また、サーバSは、「閲覧専用パスワード」が提供された発注者から受信される「性能状況情報」の閲覧要求に対しては、同様に、データベースDを検索することにより必要な「性能基準情報」を取得するとともに、当該「性能基準情報」にクライアントC2 を介して保守者から提供された「動作保守状況情報」を組み合わせて「性能状況情報」を構成し、「性能状況情報提供ページ」として発注者のクライアントC1 に送信するように構成されている。
【0097】データベースDは、このような「性能状況情報」を構成する「性能基準情報」をプラズマチャンバCNの機種毎に記憶蓄積するものであり、サーバSから受信される検索要求に応じてこれら「性能基準情報」を読み出してサーバSに転送する。図20では1つのサーバSのみを示しているが、本実施形態では、汎用性のある「性能基準情報」を保守者が複数箇所から管理する複数のサーバ間で共通利用することが可能なように、これらサーバとは個別のデータベースDに「性能基準情報」を蓄積するようにしている。
【0098】次に、このように構成されたプラズマチャンバCNの性能確認システムの動作について、図21に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。なお、このフローチャートは、上記サーバSにおける「性能状況情報」の提供処理を示すものである。
【0099】通常、保守者は、不特定の発注者に対して販売するプラズマチャンバCNの「性能状況情報」、特に「性能基準情報」を購入時の指標として提示することになる。一方、発注者は、この「性能基準情報」によってプラズマチャンバCNにどのような性能、つまりどのようなプラズマ処理が可能なのかを把握することができる。
【0100】また、保守者は、特定の発注者に対して納入したプラズマチャンバCNの「性能状況情報」のうち、「性能基準情報」を使用時の指標として提示するとともに、「動作保守状況情報」を動作状態のパラメータとして提示することになる。一方、ユーザーとしての発注者は、「性能基準情報」と「動作保守状況情報」とを比較することによってプラズマチャンバCNの動作確認をおこなうとともにメンテナンスの必要性を認識し、かつ、プラズマ処理状態の状態を把握することができる。
【0101】例えば、プラズマチャンバCNを保守者から購入しようとする発注者は、サーバSにアクセスすることにより、以下のようにして自らが購入しようとするプラズマチャンバCNの「性能状況情報」の実体を容易に確認することができる。
【0102】まず、発注者がアクセスしようとした場合には、予め設定されたサーバSのIPアドレスに基づいてクライアントC1 からサーバSに表示要求が送信される。一方、サーバSは、上記表示要求の受信を受信すると(ステップS1)、カタログページCPをクライアントC1 に送信する(ステップS2)。図22は、このようにしてサーバSからクライアントC1 に送信されたメインページCPの一例である。このカタログページCPには、保守者が販売する多数の機種毎にその「性能状況情報」のうち「性能基準情報」を表示するための機種選択ボタンK1,K2,K3,K4…、と、後述するように、プラズマチャンバCNを保守者から納入された発注者の使用するカスタマーユーザ画面の表示要求をするためのカスタマーユーザボタンK4から構成されている。
【0103】例えば、発注者がクライアントC1 に備えられたポインティングデバイス(例えばマウス)等を用いることによって上記プラズマチャンバCNの機種を選択指定した後、機種選択ボタンK1〜K4…のいずれかを選択指定すると、この指示は、「性能状況情報」のうち「性能基準情報」の表示要求としてサーバSに送信される。
【0104】この表示要求を受信すると(ステップS3)、サーバSは、選択された機種のうち、表示要求された情報に該当するサブページをクライアントC1 に送信する。すなわち、サーバSは、「性能基準情報」の表示が要求された場合(A)、図23に示すような選択された機種を指定することによってデータベースDから「真空性能」「給排気性能」「温度性能」「プラズマ処理室電気性能」等のデータを取得し、これらの掲載された仕様書ページCP1をクライアントC1 に送信する(ステップS4)。
【0105】仕様書ページCP1には、図23に示すように、選択された機種を示す機種種別K6、真空性能表示欄K7、給排気性能表示欄K8、温度性能表示欄K9、プラズマ処理室電気性能表示欄K10から構成されている。これらは、選択された機種の「性能基準情報」に対応するものであり、それぞれ、真空性能表示欄K7には、到達真空度 1×10-4Pa以下操作圧力 30〜300Pa給排気性能表示欄K8には、

排気特性 500SCCM流して20Pa以下温度性能表示欄K9には、ヒータ設定温度 200〜350±10℃チャンバ設定温度 60〜80±2.0℃の項目が記載されている。ここで、SCCM(standard cubic centimeters per minute) は、標準状態(0℃、1013hPa)に換算した際におけるガス流量を表しており、cm3/min に等しい単位を表している。
【0106】また、プラズマ処理室電気性能表示欄K10には、前述した第1〜第3実施形態で説明した第1直列共振周波数f0 の値、および、この設定範囲と電力周波数fe との関係が記載される。また、これ以外にも、電力周波数fe におけるプラズマチャンバCNのレジスタンスRおよびリアクタンスX、そして、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8間のプラズマ容量C0 プラズマ励起電極4と、プラズマチャンバの接地電位とされる各部との間のロス容量CX 等の値が記載される。また、仕様書ページCP1には、「プラズマチャンバCNの納入時においては各パラメータ値がこのページに記載された設定範囲内にあることを保証します」という性能保証の文言が記載される。
【0107】これにより、従来は、考慮されていなかったプラズマチャンバCNの全体的な電気的高周波的な特性を購入時の新たなる指標として提示することができる。また、クライアントC1 またはクライアントC2 において、これら性能状況情報をプリンタ等に出力しハードコピーを作ることにより、上記の性能状況情報内容の記載されたカタログまたは仕様書として出力することが可能である。さらに、第1直列共振周波数f0 、レジスタンスR、アクタンスX、容量C0 ,CX 等の値および上記性能保証の文言をクライアントC1 …の端末、カタログまたは仕様書等に提示することにより、発注者が、電機部品を吟味するようにプラズマチャンバCNの性能を判断して保守者から購入することが可能となる。
【0108】なお、サーバSは、このようなサブページのクライアントC1 への送信が完了した後に、クライアントC1 から接続解除要求が受信されない場合は(ステップS5)、次のサブページの表示要求を待って待機し(ステップS3)、一方、クライアントC1 から接続解除要求が受信された場合には(ステップS5)、当該クライアントC1 との交信を終了する。
【0109】また、プラズマチャンバCNを保守者から納入した発注者は、サーバSにアクセスすることにより、以下のようにして自らが購入したプラズマチャンバCNの「性能状況情報」の実体を容易に確認することができる。この発注者は保守者と売買契約を締結した時点で、発注者個別に対応するとともに、購入したプラズマチャンバCNの機種番号にも対応したカスタマーユーザIDと、プラズマチャンバCNの「動作保守状況情報」を閲覧するための個別の「ユーザー専用パスワード(閲覧専用パスワード)」が保守者から個々の発注者に提供されるようになっている。このサーバSは、正規な閲覧専用パスワードが提供された場合のみ、「動作保守状況情報」をクライアントC1 に送信するように構成されている。
【0110】まず、発注者がアクセスしようとした場合には、前述のカタログページCPにおいて、カスタマーユーザボタンK5を指定操作することにより、発注者はカスタマーユーザ画面の表示要求をサーバSに送信する。一方、サーバSは、上記表示要求の受信を受信すると(ステップS3−B)、当該発注者に対して、「閲覧専用パスワード」の入力を促す入力要求としてのサブページをクライアントC1 に送信する(ステップS6)。図24はカスタマーユーザページCP2を示すものであり、このカスタマーユーザページCP2はカスタマーユーザID入力欄K11、およびパスワード入力欄K12から構成される。
【0111】この入力要求としてのカスタマーユーザページCP2はクライアントC1 に表示されるので、発注者は、当該入力要求に応答してプラズマチャンバCNの識別を可能とするために、保守者から供与された「閲覧専用パスワード」を「カスタマーユーザID」とともにクライアントC1 に入力することになる。ここで、発注者は、図24に示すカスタマーユーザID入力欄K11およびパスワード入力欄K12に、それぞれ、カスタマーコードIDとパスワードを入力する。サーバSは、クライアントC1から正規の「カスタマーユーザID」および「閲覧専用パスワード」が受信された場合のみ(ステップS7)、当該「閲覧専用パスワード」に予め関連付けられた「動作保守状況情報」のサブページをクライアントC1 に送信する(ステップS9)。
【0112】すなわち、「動作保守状況情報」の閲覧は、上記プラズマチャンバCNの購入契約を締結した特定の発注者のみ、つまり正規の「閲覧専用パスワード」を知り得るもののみに許可されるようになっており、当該発注者以外の第3者がサーバSにアクセスしても「動作保守状況情報」を閲覧することができない。通常、保守者は同時に多数の発注者との間で納入契約を締結するとともに、各々の発注者へ複数のプラズマチャンバCNの納入を同時に並行して行う場合があるが、上記「閲覧専用パスワード」は、個々の発注者毎および各プラズマチャンバCN毎に相違するものが提供されるので、個々の発注者は、各プラズマチャンバCNに対して、それぞれ自らに提供された「閲覧専用パスワード」に関連付けられた「動作保守状況情報」を個別に閲覧することができる。
【0113】したがって、納入に係わる秘密情報が発注者相互間で漏洩することを確実に防止することができるとともに、複数のプラズマチャンバCNが納入された場合にでもそれぞれのプラズマチャンバCNを個別に識別可能とすることができる。なお、サーバSは、正規の「閲覧専用パスワード」が受信されない場合には(ステップS7)、接続不許可メッセージをクライアントC1 に送信して(ステップS8)、発注者に「閲覧専用パスワード」を再度入力するように促す。発注者が「閲覧専用パスワード」を誤入力した場合には、この機会に正規の入力を行うことにより「動作保守状況情報」を閲覧することができる。
【0114】このID、パスワードが確認されると(ステップS7)、サーバSは、表示要求された情報に該当するサブページをデータベースDから読み出してクライアントC1 に送信する。すなわち、サーバSは、ユーザIDによって識別された個別のプラズマチャンバCNに対する「性能基準情報」「動作保守状況情報」の表示が要求された場合、機種を指定することによってデータベースDから「真空性能」「給排気性能」「温度性能」「プラズマ処理室電気性能」等のデータを取得し、これらの掲載された仕様書ページCP3をクライアントC1 に送信する(ステップS9)。図25は、このようにしてサーバSからクライアントC1 に送信された「作保守状況情報」のサブページCP3である。このメンテナンス履歴ページCP3には、図25に示すように、納入された機械番号を示すロット番号表示K13、真空性能表示欄K7、給排気性能表示欄K8、温度性能表示欄K9、プラズマ処理室電気性能表示欄K10、そして、真空性能メンテナンス欄K14、給排気性能メンテナンス欄K15、温度性能メンテナンス欄K16、プラズマ処理室電気性能メンテナンス欄K17から構成されている。これらは、納入された実機の「性能基準情報」および「動作保守状況情報」に対応するものであり、それぞれ、真空性能表示欄K7、真空性能メンテナンス欄K14には、到達真空度 1.3×10-5Pa以下操作圧力 200Pa給排気性能表示欄K8、給排気性能メンテナンス欄K15には、

温度性能表示欄K9、温度性能メンテナンス欄K16には、ヒータ設定温度 302.3±4.9℃チャンバ設定温度 80.1±2.1℃の項目が記載されている。
【0115】また、プラズマ処理室電気性能表示欄K10およびプラズマ処理室電気性能メンテナンス欄K17には、前述した第1〜第3実施形態で説明したように、第1直列共振周波数f0 の値、および、この設定範囲と電力周波数fe との関係が記載される。また、これ以外にも、電力周波数fe におけるプラズマチャンバCNのレジスタンスRおよびアクタンスX、そして、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8間のプラズマ容量C0 プラズマ励起電極4と、プラズマチャンバの接地電位とされる各部との間のロス容量CX 等の値が記載される。
【0116】各メンテナンス履歴K14,K15,K16,K17は、それぞれのパラメ−タの値、およびこれらの値を測定、調整した日時等を登録するようになっており、これらは、保守者または発注者が、納入からの日時に応じて実機毎に「動作保守状況情報」をサーバSに順次アップロードするようになっており、サーバSは、当該「動作保守状況情報」が受信されると該当データを順次登録するとともにアップロード日を「掲載日」として順次登録する。
【0117】同時に、データベースDから「性能基準情報」としての「真空性能」「給排気性能」「温度性能」「プラズマ処理室電気性能」等のデータを取得し、これらを図25に示すように、「動作保守状況情報」とセットでメンテナンス履歴ページCP3に表示することにより、「性能基準情報」を参照して「動作保守状況情報」を閲覧することができ、これにより、発注者は、納入されたプラズマチャンバCNの「性能状況情報」のうち、「性能基準情報」を使用時の指標として確認するとともに、「動作保守状況情報」を動作状態を示すパラメータとして検討することができる。同時に、「性能基準情報」と「動作保守状況情報」とを比較することによってプラズマチャンバCNの動作確認をおこなうとともにメンテナンスの必要性を認識し、かつ、プラズマ処理状態の状態を把握することができる。
【0118】なお、サーバSは、このようなサブページCP3のクライアントC1 への送信が完了した後に、クライアントC1 から接続解除要求が受信されない場合は(ステップS5)、接続不許可メッセージをクライアントC1 に送信して(ステップS8)、発注者に「閲覧専用パスワード」を再度入力するか、次のサブページの表示要求を待って待機し(ステップS3)、一方、クライアントC1 から接続解除要求が受信された場合には(ステップS5)、当該クライアントC1 との交信を終了する。
【0119】本実施形態のプラズマチャンバCNの性能確認システムにおいて、購入発注者が販売保守者に発注した請求項1記載のプラズマチャンバCNの動作性能状況を示す性能状況情報の閲覧を公衆回線を介して要求する購入発注者側情報端末と、販売保守者が前記性能状況情報をアップロードする販売保守者側情報端末と、前記購入発注者側情報端末の要求に応答して、販売保守者側情報端末からアップロードされた性能状況情報を購入発注者側情報端末に提供する性能状況情報提供手段と、を具備することができ、さらに、前記性能状況情報が、前記第1直列共振周波数f0 を含むとともに、前記性能状況情報が、カタログまたは仕様書として出力されることにより、販売保守者がアップロードしたプラズマチャンバCNの性能基準情報および動作保守状況情報からなる性能状況情報に対して、購入発注者が情報端末から公衆回線を介して閲覧を可能とすることにより、発注者に対して、購入時に判断基準となる情報を伝達することが可能となり、かつ、使用時における、プラズマチャンバCNの動作性能・保守情報を容易に提供することが可能となる。また、前記性能状況情報が、上述したようにプラズマチャンバCNに対する性能パラメータとしての前記第1直列共振周波数f0 を含むことにより、発注者のプラズマチャンバCNに対する性能判断材料を提供できるとともに、購入時における適切な判断をすることが可能となる。さらに、前記性能状況情報を、カタログまたは仕様書として出力することができる。
【0120】[実施例]本発明では、第1直列共振周波数f0 を変化させることによる成膜時における膜特性の変化を測定した。ここで、実際に使用したプラズマ処理装置は、2周波励起タイプのものとされ、その電気的高周波的な特性としては、図15に示すような等価回路を有するものとする。ここで、インダクタンスLS は、図1212に示すシャフト13のインダクタンスLC 、ベローズ11のインダクタンスLB 、チャンバ壁10のインダクタンスLA を合成したものであり、抵抗RS は、図12R>2に示すシャフト13の抵抗RC 、ベローズ11の抵抗RB 、チャンバ壁10の抵抗RA を合成したものであり、容量Cx は、図12に示す絶縁体17aを挟んでガス導入管17とプラズマ励起電極4との間の容量CA 、プラズマ励起電極4とシャーシ21との間の容量CB 、プラズマ励起電極4とチャンバ壁10との間の容量CC を合成したものである。
【0121】(比較例)電力周波数fe を40.68MHzに設定し、第1直列共振周波数f0 を11.63MHzに設定した比較例について、上記の図15に示す等価回路の各要素として、給電板3のインダクタンスLf および抵抗Rf 、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間のプラズマ電極容量Ce 、サセプタ電極8とサセプタシールド12(アース)との間の容量CS 、シャフト13,ベローズ11,チャンバ壁10のインダクタンスLS および抵抗RS 、プラズマ励起電極4とアース間の容量Cx を実測した。これらの値を表1に示す。
【0122】(実施例1)比較例のプラズマ処理装置に対して、給電板3の長さを改善して、第1直列共振周波数f0 を13.82MHzに設定し、3f0 >feとしたものを実施例1とする。
(実施例2)実施例1に対して給電板3をさらに改善するとともにプラズマ励起電極8とチャンバ壁とのオーバーラップ面積を改善して、第1直列共振周波数f0 を30.01MHzに設定し、3f0 >feとしたものを実施例2とする。
(実施例3)実施例2に対しプラズマ励起電極8とチャンバ壁10との絶縁物を厚くして、第1直列共振周波数f0 を33.57MHzに設定し、1.3f0 >feとしたものを実施例3とする。
(実施例4)実施例3に対し給電板3をなくし、整合回路2Aのチューニングコンデンサ24をプラズマ励起電極8に直結するとともに、サセプタシールド12のシールド支持板12A先端側とチャンバ壁10とを短絡して、第1直列共振周波数f0 を123.78MHzに設定し、f0 >3feとしたものを実施例4とする。なお、いずれの実施例も電力周波数fe を40.68MHzに設定した。これらの値を表1に示する。
【0123】
【表1】


【0124】さらに、これら実施例および比較例に対する評価として、800W、400Wの条件でSiNx 膜の成膜をおこない、このSiNx 膜に対する評価として、以下のようにおこなった。
(1)堆積速度と膜面内均一性■ガラス基板上にプラズマCVDによりSiNx 膜を成膜する。
■フォトリソによりレジストのパターニングをおこなう。
■SF6 とO2 を用いてSiNx 膜をドライエッチングする。
■O2 アッシングによりレジストを剥離する。
■SiNx 膜の膜厚段差を触針式段差計により計測する。
■成膜時間と膜厚から堆積速度を算出する。
■膜面内均一性は、6インチガラス基板面内において16ポイントで測定する。
(2)BHFエッチングレート上記(1)■〜■と同様にレジストマスクをパターニングする。
■25℃のBHF液(HF:NH4F =1:10の混合液)に1分間ガラス基板を浸漬する。
■純水洗浄後乾燥し、レジストを硫酸過水(H2SO4+H22)で剥離する。
■上記(1)■と同様段差を計測する。
■浸漬時間と段差からエッチング速度を算出する。
【0125】さらに、これら実施例および比較例に対する評価として、800W、400Wの条件でSiNx 膜の成膜をおこない、このSiNx 膜に対する評価を以下のようにおこなった。
(3)絶縁耐圧■ガラス基板上にスパッタリングによりクロム膜を成膜し、下部電極としてパターニングする。
■プラズマCVDによりSiNx 膜を成膜する。
■と同様の方法でクロムからなる上部電極を形成する。
■下部電極用にコンタクト孔を形成する。
■上下電極にプロービングし、I−V特性(電流電圧特性)を測定する。このとき最大電圧として200V程度まで印加する。
■電極面積を100μm角とし、100pAをよぎるところが、1μA/cm2に相当するので、この時のVを絶縁耐圧として定義する。これらの結果を、表2に示す。
【0126】
【表2】


【0127】これらの結果から、第1直列共振周波数f0 の値と、堆積速度、膜面内均一性、BHFエッチングレート、絶縁耐圧について、3f0 >feとした場合には、堆積速度、絶縁耐圧が改善され、1.3f0 >feとした場合には、堆積速度、絶縁耐圧がさらに改善されるとともに、膜面内均一性、BHFエッチングレートが改善されていることがわかる。さらに、f0 >3feとした場合には、半分の出力の400Wで、同様の膜特性を有する成膜をおこなうことが可能となっていることがわかる。つまり、第1直列共振周波数f0 の値を設定することにより、プラズマ処理装置の性能が向上している。
【0128】
【発明の効果】本発明のプラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の性能確認システムによれば、プラズマ処理室の第1直列共振周波数f0 、直列共振周波数f0'を設定することにより、プラズマ励起周波数の高周波化による処理速度、被処理基体面内方向におけるプラズマ処理の均一性、被成膜における膜特性、電力の消費効率、生産性の向上を図ることができ、適正な動作状態に簡便に維持可能なプラズマ処理装置を提供することができるという効果、および、購入時における発注者のプラズマ処理装置に対する性能判断材料を提供することが可能となり、さらに、前記性能状況情報を、カタログまたは仕様書として出力することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】 図2は、 図1におけるプラズマ処理装置の整合回路を示す模式図である。
【図3】 図3は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第1実施形態におけるプラズマ処理装置のインピーダンス特性を説明するための模式図である。
【図4】 図4は、 図3におけるプラズマ処理装置の等価回路を示す回路図である。
【図5】 図5は、 第1直列共振周波数f0 を説明するためのインピーダンスZと位相θとの周波数依存特性を示すグラフである。
【図6】 図6は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第1実施形態における第1直列共振周波数f0 およびインピーダンスZと位相θとの周波数依存特性を示すグラフである。
【図7】 図7は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
【図8】 図8は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第2実施形態におけるプラズマ処理装置のインピーダンス特性を説明するための模式図である。
【図9】 図9は、 図8におけるプラズマ処理装置の等価回路を示す回路図である。
【図10】 図10は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第2実施形態における第1直列共振周波数f0 およびインピーダンスZと位相θとの周波数依存特性を示すグラフである。
【図11】 図11は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第3実施形態を示す概略構成図である。
【図12】 図12は、 図11におけるプラズマ処理装置の等価回路を示す回路図である。
【図13】 図13は、 本発明に係るプラズマ処理装置の第3実施形態における第1直列共振周波数f0 およびインピーダンスZと位相θとの周波数依存特性を示すグラフである。
【図14】 図14は、 プラズマ発光状態における電極間の状態を示す模式図である。
【図15】 図15は、 本発明に係るプラズマ処理装置の実施例における等価回路を説明する回路図である。
【図16】 図16は、 インピーダンス測定器のプローブを示す斜視図である。
【図17】 図17は、 図16のインピーダンス測定器のプローブの接続状態を示す模式図である。
【図18】 図18は、 従来のプラズマ処理装置の一例を示す模式図である。
【図19】 図19は、 従来のプラズマ処理装置の他の例を示す模式図である。
【図20】 図20は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムを示すシステム構成図である。
【図21】 図21は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるサーバSの建築状況情報の提供処理を示すフローチャートである。
【図22】 図22は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるメインページCPの構成を示す平面図である。
【図23】 図23は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるサブページCP1の構成を示す平面図である。
【図24】 図24は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるメインページCP2の構成を示す平面図である。
【図25】 図25は、 本発明のプラズマ処理装置の性能確認システムに係わるサブページCP3の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1…高周波電源
1A…給電線
2…マッチングボックス
2A…整合回路
3…給電板
4…プラズマ励起電極(電極:カソード電極)
5…シャワープレート
6…空間
7…孔
8…ウエハサセプタ(対向電極:サセプタ電極)
9…絶縁体
10…チャンバ壁
10A…チャンバ底部
11…ベローズ
12…サセプタシールド
12A…シールド支持板
12B…支持筒
13…シャフト
16…基板
17…ガス導入管
17a,17b…絶縁体
21…シャーシ
22…ロードコンデンサ
23…コイル
24…チューニングコンデンサ
25…整合回路
26…マッチングボックス
27…第2の高周波電源
27A…給電線
28…給電板(高周波電力配電体)
29…シャーシ
30…コイル
31…チューニングコンデンサ
32…ロードコンデンサ
60…チャンバ室
61…インピーダンス測定用端子(共振周波数測定用端子)
105…プローブ
AN…インピーダンス測定器(共振周波数測定器)
B…分岐点
CN…プラズマチャンバ(プラズマ処理室)
P…プラズマ発光領域
PR,PR’…出力端位置
SW1,SW2…スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、この電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端と出力端とを有し該入力端に前記高周波電源を接続するとともに前記電極に接続した高周波電力配電体を前記出力端に接続することにより前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得る整合回路と、を具備し、前記高周波電力を供給する際に整合回路の出力端に接続される前記高周波電力配電体の端部で測定した前記プラズマ処理室の第1直列共振周波数f0 の3倍が、前記高周波電力の電力周波数fe より大きな値の範囲に設定されてなることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】 前記第1直列共振周波数f0 の1.3倍が、前記電力周波数fe より大きな値の範囲に設定されてなることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】 前記第1直列共振周波数f0 が、前記電力周波数fe の3倍より大きな値の範囲に設定されてなることを特徴とする請求項2記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】 前記電極と、該電極と協働してプラズマを発生する対向電極との容量によって規定される直列共振周波数f0'が、前記電力周波数fe の3倍より大きな値の範囲に設定されてなることを特徴とする請求項3記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】 前記プラズマを励起するための電極が平行平板型とされ、該電極と前記対向電極との間の距離をdとし、この電極間の距離方向においてそれぞれの電極と発光時のプラズマとの距離の和をδとしたときに、前記直列共振周波数f0'と前記電力周波数fe とが、
【数1】


なる関係を満たしてなることを特徴とする請求項4記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】 前記高周波電力配電体端部近傍に、前記プラズマ処理室の共振周波数を測定する共振周波数測定用端子が設けられることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】 前記高周波電力配電体端部と前記共振周波数測定用端子との間に、プラズマを励起する際には前記配電体端部と前記測定用端子との電気的接続を切るとともに前記配電体端部と前記整合回路の出力端との電気的接続を確保し、かつ、前記プラズマ処理室の共振周波数を測定する際には前記配電体端部と前記測定用端子との電気的接続を確保するとともに前記配電体と前記整合回路の出力端との電気的接続を切断する切り替えスイッチが設けられることを特徴とする請求項6記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】 前記共振周波数測定用端子に、共振周波数測定器が着脱自在に接続されてなることを特徴とする請求項6または7記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】 前記スイッチにより、前記高周波配電体端部と前記共振周波数測定用端子との電気的接続を切るとともに前記配電体端部と前記整合回路の出力端との電気的接続を確保した場合における前記整合回路の出力端位置で測定する共振周波数特性と、前記スイッチにより、前記配電体端部と前記測定用端子との電気的接続を確保するとともに前記配電体と前記整合回路の出力端との電気的接続を切断した場合における前記共振周波数測定用端子で測定した共振周波数特性と、が等しく設定されてなることを特徴とする請求項8記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】 購入発注者が販売保守者に発注した請求項1記載のプラズマ処理装置の動作性能状況を示す性能状況情報の閲覧を公衆回線を介して要求する購入発注者側情報端末と、販売保守者が前記性能状況情報をアップロードする販売保守者側情報端末と、前記購入発注者側情報端末の要求に応答して、販売保守者側情報端末からアップロードされた性能状況情報を購入発注者側情報端末に提供する性能状況情報提供手段と、を具備することを特徴とするプラズマ処理装置の性能確認システム。
【請求項11】 性能状況情報が、前記第1直列共振周波数f0 を含むことを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置の性能確認システム。
【請求項12】 性能状況情報が、カタログまたは仕様書として出力されることを特徴とする請求項11記載のプラズマ処理装置の性能確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図14】
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【図15】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図11】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2002−56999(P2002−56999A)
【公開日】平成14年2月22日(2002.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−245347(P2000−245347)
【出願日】平成12年8月11日(2000.8.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【出願人】(000205041)
【Fターム(参考)】