説明

プラズマ処理装置

【課題】ガス管路118からウエハ端部に至るガス流路に活性化したクリーニングガスを供給して、ガス噴出部、ウエハのエッジ部分等に堆積する堆積物を除去する。
【解決手段】真空排気装置が接続可能で内部が減圧可能な真空容器と、該真空容器内にガスを供給するガス供給手段と、前記真空容器内に供給されたガスをプラズマ化するプラズマ生成手段と、前記真空容器内に配置され、その上面に試料を載置し保持する試料台と、該試料台の外周をリング状に被覆して試料台をプラズマから保護するサセプタを備えたプラズマ処理装置において、前記サセプタは、ガスを導入して蓄積するガス充填部113、ガス充填部に充填されたガスを試料載置面側に噴出するガス噴出部115と、前記プラズマの発光を前記充填部に導入する光透過窓111を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマエッチング技術に係り、特に半導体基板等の被処理材を長期間に渡って安定に加工するに好適なプラズマエッチング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、一般にプラズマを用いたドライエッチングが行われている。ドライエッチングを行うためのプラズマ処理装置は様々な方式が使用されている。
【0003】
一般に、プラズマ処理装置は、真空処理室、これに接続されたガス供給装置、真空処理室内の圧力を所望の値に維持する真空排気系、被処理材であるウエハを載置する電極、真空処理室内にプラズマを発生させるためのプラズマ発生手段などから構成されている。プラズマ発生手段により、シャワープレート等から真空処理室内に供給された処理ガスをプラズマ状態とすることで、ウエハ載置用電極に保持されたウエハのエッチング処理が行われる。
【0004】
近年、半導体デバイスの集積度の向上に伴い、微細加工、すなわち加工精度の向上が要求されるとともに、エッチングレートの面内均一性あるいはエッチング形状におけるCD値(Critical Dimension)のウエハ面内均一性の向上が要求されている。
【0005】
しかしながら、ウエハ外周部周辺においては、電磁気学的、熱力学的あるいは流体力学的な要因によりエッチング処理が不均一となり、ウエハ面内におけるエッチング均一性の確保が難しい場合がある。
【0006】
プラズマ処理装置におけるウエハ外周部等においてのエッチング処理の不均一性改善については、種々の検討がなされており、例えば、ウエハ外周にガスを独立して供給する構造を配置することにより、ウエハ面内で均一なエッチング結果が得られる構造としている。
【0007】
また、特許文献1には、下部電極上に載置したウエハの外周に臨む下部電極上にフォーカスリングを設け、このフォーカスリングに、ガス通路と、このガス通路に連通され、フォーカスリングの中心方向に向け開口された複数のガス噴出孔を形成し、このガス噴出孔からウエハの周辺領域に対してエッチングガスを噴出する。この噴出するガスの流量および組成を変えることにより、ウエハ周辺領域で過剰となるエッチャントの比率を下げ、かつウエハ周辺領域で不足するバイプロダクトの影響を補正するためのデポ性のガスを増やすことができ、これにより、均一なエッチングを可能としている。
【0008】
また、特許文献2には、側壁部と天井部を含むチャンバ筐体と、ワークピース支持体と、前記ワークピース支持体を取り囲み、上面とベース部を有し、前記ベース部から前記上面へと延びる複数の内部ガス流チャネルを有しているカソードライナと、前記内部ガス流チャネルのそれぞれに連結された、前記ベース部のガス供給プレナムと、前記カソードライナの前記上面の上に横たわり、前記ウエハ支持面の外縁部に隣接した内側縁端部を有する処理リングと、前記内側縁端部を通り、かつ前記ワークピース支持面に面したガス注入路を備え、さらに前記複数の内部ガス流チャネルに連結された、前記処理リング内のガス注入部と、前記ガス供給プレナムに連結されたガス供給システムとを有することで、プラズマリアクタチャンバ内でウエハ全体に亘ってのエッチング速度を均一な分布とすることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−217171号公報
【特許文献2】特開2009−65153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のプラズマエッチング装置は、長期間に渡ってエッチング性能を均一に保持する点に関しては十分に配慮されていない。すなわち、ウエハ外周にガスを供給するシステムにおいては、エッチング中に、エッチング生成物、異物、あるいは処理ガスに含まれる有機物等が前記ガスの供給路に付着し、ガスの流路断面積が徐々に変化する。このため、ガスの供給圧力、ガスの流速が、徐々に変化することになる。
【0011】
このため、エッチングガス濃度等の面内分布が、初期には均一な分布であっても、前記ガスの供給圧力、流速が変化することにより、外周付近の分布が崩れ、エッチングガス濃度等の面内分布は徐々に悪化して、エッチングの均一性が悪化し、ひいては半導体装置の歩留まりが低下する。この傾向は基板が大口径化するほど顕著になる。
【0012】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、被処理面内におけるエッチングの均一性を長期間に渡って均一に維持することのできるプラズマエッチング技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0014】
真空排気装置が接続可能で内部が減圧可能な真空容器と、該真空容器内にガスを供給するガス供給手段と、前記真空容器内に供給されたガスをプラズマ化するプラズマ生成手段と、前記真空容器内に配置され、その上面に試料を載置し保持する試料台と、該試料台の外周をリング状に被覆して試料台をプラズマから保護するサセプタを備えたプラズマ処理装置において、
前記サセプタは、ガスを導入して蓄積するガス充填部、ガス充填部に充填されたガスを試料載置面側に噴出するガス噴出部と、前記プラズマの発光を前記充填部に導入する光透過窓を備えた。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上の構成を備えるため、被処理面内におけるエッチングの均一性を長期間に渡って均一に維持できるプラズマエッチング技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】マイクロ波ECRエッチング装置の内部構造を模式的に示す断面図である。
【図2】載置用電極周辺に配置するサセプタの構造を説明する図である。
【図3】サセプタを構成する紫外線透過窓の他の例を説明する図である。
【図4】サセプタの他の例を説明する図である。
【図5】サセプタの構造を説明する図である。
【図6】ガスフィルタの構造の例を説明する図である。
【図7】マイクロ波ECRエッチング装置の内部構造を模式的に示す断面図である。
【図8】ガス充填部にガスを供給するガス供給部の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態1]
以下、本発明の第1の実施形態を図1、図2、図3、図4を参照して説明する。図1はマイクロ波ECR(Electron Cyclotron Resonance)エッチング装置の内部構造を模式的に示す断面図である。
【0018】
上部が開放された真空容器101の上部に、真空容器101内にマイクロ波を導入するための誘電体窓103(例えば石英製)を設置して処理室104を形成する。また、真空容器101の下部の真空排気口110には真空排気装置(図示省略)を接続する。前記真空容器101の上部に配置した誘電体窓103の下面側には、エッチングガスを供給するための石英シャワープレート102を設ける。
【0019】
誘電体窓103の上方には、電磁波を伝送するための導波管105(またはアンテナ)が設けられ、プラズマを生成するための電力を処理室104に伝送する。導波管105を介して伝送される電磁波は電磁波発生装置106で発振される。
【0020】
電磁波の周波数は特に限定されないが、本実施形態では2.45GHzのマイクロ波を使用する。処理室104の外周部には、磁場を形成する磁場発生コイル107が設けてあり、電磁波発生装置106より発振された電磁波は、形成された磁場との相互作用により、処理室104内に高密度プラズマを生成する。
【0021】
誘電体窓103に対向して真空容器101の下方には試料であるウエハ109を載置する試料台としてのウエハ載置用電極108を設ける。ウエハ載置用電極108には、マッチング回路120を介して高周波電源121が接続される。
【0022】
ウエハ載置用電極108は、電極表面が溶射膜(図示省略)で被覆されており、電極表面に設けた静電吸着膜には高周波阻止フィルタ122を介して直流電源123が接続される。
【0023】
処理室104内に搬送されたウエハ109は、直流電源123から印加される直流電圧による静電気力でウエハ載置用電極108上に吸着される。エッチングガスは、マスフローコントロ−ラ(図示省略)を介して、誘電体窓103と石英シャワープレート102の間を通過して、石英シャワープレート102のガス孔より処理室104に導入される。
【0024】
処理に際しては、真空容器101内を所定の圧力に調整し、処理室104内にプラズマ116を発生させる。ウエハ載置用電極108に高周波電源121から高周波電力(RFバイアス)を印加することにより、プラズマ116内のイオンをウエハ109に引き込み、ウエハ109をエッチング処理する。エッチングガスやエッチングにより発生した反応生成物は真空容器101の下部110から排気される。
【0025】
図2は、載置用電極108周辺に配置するサセプタ100の構造を説明する図である。前述のように、載置用電極108は、静電吸着によりウエハ109を吸着する機構が内蔵されており、また、ウエハバイアス用高周波電力を供給する給電電極を内蔵している(図示省略)。載置用電極108には、中心付近と外周付近にそれぞれ流路が円周方向に設けられており、これらの流路には、温度調整された冷媒が所望の流量で循環し、熱交換を行なっている。
【0026】
試料載置用電極108のウエハと接触する側の面にはウエハ径よりも小径の位置に段差が設けられており、ウエハ109はオーバーハングしている。前記段差にはまりこむ形で円筒状のサセプタ100が設置されている。サセプタ100は、ガスを導入して蓄積するガス充填部113、ガス充填部113に充填されたガスを試料載置面側に噴出するガス噴出部115、前記プラズマの発光を前記充填部に導入する光透過窓111を備える。光透過窓111にはウエハ109の高さより高い位置まで、テーパー状のガイド壁部が設けられている。
【0027】
ガス充填部113の下部には、ガス供給孔114を備え、該供給孔を介してプロセスガスあるいはクリーニングガスをガス充填部に供給し、充填されたガスは、円筒状のサセプタの内側に形成した前記ガス噴出部を介して試料載置面縁付近に向けて噴出する。
【0028】
なお、紫外線透過窓111は、例えば石英、合成石英、MgF2、CaF2、サファイア製等の絶縁体製であり、プラズマから載置用電極108を保護するために、載置用電極108の外周を取り囲むように設置されている
また、サセプタ部材112(内周側部材112a、外周側部材112b)は、例えば石英、合成石英、MgF2、CaF2、サファイア、アルミナ、イットリア等の絶縁体製である。
【0029】
サセプタ部材112の内周側部材112aはその上面がウエハ109の下面に対し平行かあるいはウエハ下面が僅かに高い位置に設置されている。エッチング処理時にはウエハ109が載置用電極108に微小な隙間を持った状態で、ウエハ109の端が紫外線透過サセプタ112a上に数ミリメートルオーバーハングした状態になっている。
【0030】
図3は、サセプタを構成する紫外線透過窓の他の例を説明する図である。図2の例では、紫外線透過窓111のガス充填部側の面を平坦面としたが、図3に示すように、掘り込んだ凹形状の溝でも良い。このような形状にすることにより、紫外線透過窓111を薄く形成することが可能となる。
【0031】
すなわち、紫外光が通過する距離が少なくなるため、プラズマからの紫外光の強度が高く保たれた状態でガス充填部113内に到達し、サセプタ内で活性化されるガスの量が多くなる。また、ガス充填部113の体積が増加し、サセプタ内で活性化するガスの量が多くなる。
【0032】
また、図3のように掘り込むことで、以下に説明する他の効果も生じる。すなわち、ガス充填部113の円周方向のコンダクタンスがガス噴出部115の半径方向のコンダクタンスよりも大きくなり、ガス充填部113でのガスの流れの主流は溝に沿った円周方向となる。そのため活性化されたガスが円周方向で均等になり、効率の良いオゾン噴出しが可能となる。上記の効果は、ガス噴出部115とガス充填部113の間にガスの流れを円周方向に誘導するような突起を設けても達成することができる。
【0033】
図4は、サセプタの他の例を説明する図である。図2の例では、サセプタを、紫外線透過窓111と中空円筒状のサセプタ部材112とを溶接等により一体形成し、更に、ガス供給孔114およびガス噴出孔115を設けた構造としたが、二つ以上の部材をOリング等を介して締結することにより構成することができる。
【0034】
図4に示すように、サセプタ部材112を内周側部材112aおよび外周側部材112bに分割して形成し、その後、シール性を保つため、これらをOリング114aを介してボルト114で結合してサセプタ本体を形成する。図2に示すように溶接構造であれば、紫外線透過窓111、外周側部材112b、内周側部材112aは一体となるため、これらは消耗部品として交換時期には一体で交換する必要がある。しかし、図4に示すように組み立て構造とすれば、紫外線透過窓付きの外周側部材112bのみが消耗品扱いとなるため、交換時の費用を低減することが可能となる。なお、前記一体形成に際しては、溶接、圧着、接着構造を採用することができる。
【0035】
ガス噴出部115は、紫外線透過窓111と内周側部材112aとの間に形成したスリットにより構成することができる。ガス噴出部をスリット状に形成するすることにより、噴出量のばらつきを抑制することができ、円周方向にばらつきの少ないエッチング処理を施すことができる。なお、前記スリットはその開口を全周にに設ける必要はなく、複数の孔であって良い。
【0036】
ガス噴出部115の高さ(スリットの幅)は0.1〜1mm程度が好ましい。これは、ガス充填部113での流量平滑能力を損なわないように設定されたものである。流量平滑能力が不足する場合は、ガス噴出部115からの噴出し量にばらつきが生じ、結果として、試料面内の処理の均一性が悪化する。
【0037】
図1において、エッチング処理を行う際には、ガス充填部113にプロセスガスを導入する。クリーニング処理を行う際にはクリーニングガスを導入する。これらのガスはマスフローコントローラあるいは圧力制御バルブ(図示省略)で制御された後に、プロセスガス流路119を介してガス充填部に供給される。ガス流路119にガスを供給するか否かに切換はメインガス切替バルブ126で行う。
【0038】
例えば、クリーニング処理を行う場合、ガス充填部113内にクリーニングガス(例えば酸素ガス)を導入し、ガス充填部113を酸素ガスで充満させる。ここでプラズマ116で発生した紫外光を紫外線透過窓111を通して、ガス充填部113内に取り込むことで、充満した酸素ガスを活性化(オゾン化)することができる。この活性化したクリーニングガスにより、ガス充填部113、ガス噴出し部115、載置用電極108の側壁部、およびウエハ109の側壁部、裏面部、エッジ周辺に堆積した堆積物(有機物)を除去することができる。
【0039】
本実施形態によれば、サセプタ内のガス充填部を含むガス流路に堆積する堆積物を活性化したクリーニングガスにより抑制することができる。また、エッチング中に主に堆積するウエハ周りの堆積物(有機物)の除去が可能となるため、エッチング毎の処理装置の状態を長期間に渡って安定に維持でき、エッチング均一性を長期間維持することが可能となる。
【0040】
なお、ガス充填部から出たガスをプラズマ化してガス噴出し部115、載置用電極108の側壁部、ウエハ109の側壁部、裏面部、エッジ周辺の堆積物(有機物)を除去することも考えられるが、ガスの流れの高圧側、つまりガス充填部内の堆積物(有機物)を除去することは不可能であるため、除去範囲が狭くなる。また、プラズマ化するためには、ガスの圧力を低下させることが必要である。このため、ガス流量を制限しなければならず、堆積物を排除する効果が薄れる。
【0041】
[実施形態2]
図5、6は、第2の実施形態について説明する図であり、図5はサセプタ100の構造を説明する図、図6はガスフィルタの構造の例を説明する図である。なお、図6において、図6(a)は、ガス噴出部115の断面を表す図、図6(b)は図6(a)のA−A断面、図6(c)は図6(a)のB−B断面を表している。
【0042】
図5,6に示すように本実施形態のプラズマ処理装置では、ガス噴出部115にガスフィルタ127を設けている。ガスフィルタ127としては、多孔質の絶縁体(例えば石英、合成石英、MgF2、CaF2、サファイア、アルミナ、イットリア製の絶縁体)、凹凸状の絶縁体(例えば石英、合成石英、MgF2、CaF2、サファイア、アルミナ、イットリア製の絶縁体)、あるいは板状の絶縁体(例えば石英、合成石英、MgF2、CaF2、サファイア、アルミナ、イットリア製の絶縁体)を前記ガス噴出部115に間隔を空けて(スリットを設けて)複数枚配置することにより形成することができる。
【0043】
また、フィルタ材料としては前記絶縁体の外に、導電性の材料(例えばアルミ、ステンレス、チタン、銅、タングステン等の金属)を絶縁性の材料で被覆して形成した複合材でも良い。
【0044】
このようにして形成したガスフィルタ127配置する場合には、ガス噴出部の開口の高さを1mm以上に設定しても、ガスの流れに対するフィルタの抵抗が大きいため、ガス充填部113の充満効果(平滑効果)を保つことができる。
【0045】
また、フィルタ材料として、導電性の材料を絶縁性の材料で被覆して形成した複合材を用いる場合は、例えば、複合材を並べて配置し、それぞれに異なる電位を印加することにより、サセプタ内部(ガス充填部)で放電を生じさせて積極的に紫外線、ラジカルを発生させることができる。
【0046】
本実施形態によれば、サセプタ内のガス充填部より下流に位置するガス流路の流路閉塞を抑制することができる。このように、エッチング中に発生し堆積するウエハ周りの堆積物(有機物)を除去することができるため、エッチングの均一性を長期間にわたって維持することができる。
【0047】
[実施形態3]
図7,8は、第3の実施形態について説明する図であり、図7はマイクロ波ECR(Electron Cyclotron Resonance)エッチング装置の内部構造を模式的に示す断面図、図8は、ガス充填部にガスを供給するガス供給部の処理を説明する図である。
【0048】
本実施形態においては、サセプタ内のガス充填部より高圧側のガス流路が、エッチングによる堆積物により流路が閉塞化されることを抑制することができる。また、エッチング中にウエハの周りに堆積する堆積物(有機物)を除去することができる。
【0049】
図7において、117はクリーニングガス(例えば酸素ガス)を活性化(オゾン化、イオン化、あるいはラジカル化)する活性化装置であり、ここではオゾン発生器を用いる。生成されたオゾンは、クリーニングガス配管118、切り替えバルブ124を介してガス充填部113に供給する。オゾン発生器で発生したガスのガス充填部への供給および遮断は制御器128により前記切り替えバルブ124を開閉することにより行う。
【0050】
129は堆積物モニタであり、ガス流路119に流れるガスの流量あるいはガス圧をもとにガス配管119からウエハ端部に至る流路における堆積物の有無をモニタする。
【0051】
ガス充填部113に供給されたガス(オゾン)はガス充填部113を充満してガス充填部113をクリーニングする。その後、ガス噴出し部115、載置用電極108の側壁部、ウエハ109の側壁部、裏面部、エッジ周辺を通るとともに、これらの部分に堆積した堆積物(有機物)除去して、ガス流路の流路閉塞化を抑制する。
【0052】
本実施形態によれば、ガス管路118からウエハ端部に至るガス流路をクリーニングすることができる。しかし、下流に行くにしたがって、クリーニングガスの活性度が低下する。そのため、第1の実施形態と組み合わせて使用するのが効果的である。
【0053】
なお、ガス流路118は、通常のステンレス配管等で形成することができるが、石英製配管、ライニング(テフロン(商品名)または石英等を内面に貼り付けて形成)配管、高耐食性鋼配管、純アルミ製配管あるいはアルミ合金製配管等の活性化されたオゾンをできるだけウエハ近傍に至るまで保持することのできる配管が好ましい。
図8は、ガス充填部にプロセスガスあるいはクリーニングガスを供給するガス供給部の処理を説明する図である。
【0054】
まず、真空容器101内を所定の圧力に調整し、処理室104内にプラズマ116を発生させる。ウエハ載置用電極108に高周波電源121から高周波電力(RFバイアス)を印加することにより、プラズマ116内のイオンをウエハ109に引き込み、ウエハ109をエッチング処理する(ステップS401)。ウエハの処理が終了すると、チャンバ内の状態維持のため、クリーニング(ウエハ毎)を施す。このとき、プラズマから発生する紫外線により、充填部113内にオゾンが発生する(ステップS402)。
【0055】
堆積物モニにより前記通路に堆積した堆積物の量をモニタする。前記モニタは。例えば、ガス流路内の圧力あるいはガス流量をもとに堆積物の有無を判断する。クリーニングガスの流量一定制御の場合に、堆積物が付着すれば、配管の圧力損失が大きくなるため、流入側の圧力計の値が大きくなる。また、また、クリーニングガスの圧力一定制御の場合に、堆積物が付着すれば、配管の圧力損失が大きくなるため、流入側の流量計の値が小さくなる。なお、圧力計や流量計は堆積物の有無の判断の一例であり、堆積物の有無を判断できるモニタであれば良い。堆積物がなければ、エッチング(ステップS401)が可能と判断し、次のウエハ処理に移行する。堆積物があれば、オゾン発生器で発生させたオゾンをクリーニングガス配管118に供給してクリーニングを行う(ステップS404)。
【0056】
本実施形態によれば、ガス充填部より下流側のガス流路の流路閉塞化を抑制することができ、エッチング中に堆積するウエハ周りの堆積物(有機物)の除去が可能となるため、ウエハ毎のエッチング処理の状態を均一に維持でき、エッチングの均一性を長期間にわたって維持することができる。また、エッチング中、あるいはそれ以外に期間においても、ガス供給路に堆積する堆積物による流路の閉塞化を抑制することができるため、システム全体としての状態を長期間、安定に維持することができ、エッチング均一性の長期間の維持が可能となる。
【0057】
以上の実施形態ではマイクロ波ECR放電を利用したエッチング装置を例に説明したが、他の放電(有磁場UHF放電、容量結合型放電、誘導結合型放電、マグネトロン放電、表面波励起放電、トランスファー・カップルド放電)を利用したドライエッチング装置においても同様の作用効果がある。また上記各実施形態では、エッチング装置について述べたが、プラズマ処理を行うその他のプラズマ処理装置、例えばプラズマCVD装置、アッシング装置、表面改質装置等についても同様の作用効果がある。
【0058】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、ガス管路118からウエハ端部に至るガス流路に活性化したクリーニングガスを供給して、ガス噴出部、ウエハのエッジ部分等に堆積する堆積物を除去する。このため、エッチング均一性を長期間維持することができる。
【符号の説明】
【0059】
101 真空容器
102 シャワープレート
103 誘電体窓
104 処理室
105 導波管
106 電磁波発生装置
107 磁場発生コイル
108 ウエハ載置用電極
109 ウエハ
110 真空排気口
111 紫外線透過可能サセプタ
112 サセプタ
113 ガス充填部
114 ガス導入口
115 ガス噴出部
116 プラズマ
117 オゾン発生器
118 クリーニングガス流路
119 プロセスガス/クリーニングガス流路
120 マッチング回路
121 高周波電源
122 高周波フィルタ
123 直流電源
124 クリーニングガス切替バルブ
125 処理室排気経路
126 メインガス切替バルブ
127 ガスフィルタ
128 制御器
129 堆積物モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空排気装置が接続可能で内部が減圧可能な真空容器と、該真空容器内にガスを供給するガス供給手段と、前記真空容器内に供給されたガスをプラズマ化するプラズマ生成手段と、前記真空容器内に配置され、その上面に試料を載置し保持する試料台と、該試料台の外周をリング状に被覆して試料台をプラズマから保護するサセプタを備えたプラズマ処理装置において、
前記サセプタは、ガスを導入して蓄積するガス充填部、ガス充填部に充填されたガスを試料載置面側に噴出するガス噴出部と、前記プラズマの発光を前記充填部に導入する光透過窓を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のプラズマ処理装置において、
前記光透過窓はプラズマ発光中の紫外線を透過する透過窓であり、ガス充填部に充填するガスはクリーニングガスであり、前記紫外線により活性化されたクリーニングガスをガス充填部の試料載置面側に噴出して堆積物を除去することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1記載のプラズマ処理装置において、
前記ガス充填部にはプロセスガスを供給する流路及び活性化されたクリーニングガスを供給する流路を備え、プロセスガスを供給する流路のガスの圧力または流量をもとにガス流路における堆積物の有無を判定し、堆積ありと判定したとき、ガス充填部に活性化されたクリーニングガスを供給することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項1記載のプラズマ処理装置において、
光透過窓は、リング状のサセプタを形成するリング状のガス充填部のプラズマに対向する面側に配置され、そのガス充填部側にリング状の溝を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項5】
真空排気装置が接続されて内部が減圧可能な真空容器と、該真空容器内に処理ガスを供給するガス供給手段と、プラズマ生成手段と、前記真空容器内に配置され、その上面に試料を載置し保持する試料台と、該試料台の外周をリング状に被覆して試料台をプラズマから保護するサセプタを備え、前記プラズマ生成手段により前記真空容器内に供給されたガスをプラズマ化して前記試料にプラズマ処理を施すプラズマ処理方法において、
前記サセプタは、ガスを導入して蓄積するガス充填部、ガス充填部に充填されたガスを前記試料台の試料載置面縁に向けて噴出するガス噴出部と、前記プラズマの発光を前記充満部に導入する光透過窓を備え、光透過窓を介してプラズマ発光中の紫外線を、ガス充填部に充填したクリーニングガスに照射して、活性化されたクリーニングガスを試料載置面縁に向けて噴出して堆積物を除去することを特徴とするプラズマ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−115269(P2013−115269A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260757(P2011−260757)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】