説明

プラズマ加工システムにおいて使用する磁気クリップ及び基板ホルダー

【課題】
プラズマ処理システムの加工室において基板を保持する基板ホルダーと共に使用する磁気クリップを提供する。
【解決手段】磁気クリップは、締め付け面及び磁石をそれぞれが有する第1の本体部材及び第2の本体部材を含む。第1の本体部材は、基板ホルダーと機械的に接続されるように構成される。第2の本体部材は、閉位置と開位置との間で第1の本体部材に対して移動するようにヒンジによって第1の本体部材と枢着される。閉位置では、第1の締め付け面と第2の締め付け面との間に基板の縁領域が位置決めされる。開位置では、縁領域は解放される。第2の本体部材の磁石は、第2の本体部材が閉位置にあるときに第1の本体部材の磁石を磁気的に引き付け、第1の締め付け面及び第2の締め付け面に対する基板の縁領域の移動を拘束する力を加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的にはプラズマ加工システムに関し、より詳細には、プラズマ加工システムと共に使用する磁気クリップ及び基板ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理は多くの場合、集積回路、電子回路パッケージ及びプリント回路基板に関する多様な用途において使用される基板の表面特性を改変するために使用される。特に、プラズマ処理を電子回路パッケージにおいて使用して、例えば樹脂をエッチングし、スミアを除去し、表面活性及び/又は表面洗浄度を高め、剥離及び接着不良をなくし、ワイヤボンディング強度を改善し、回路基板上のチップのボイドのないアンダーフィルを確実にし、酸化物を除去し、ダイ付着を強め、且つダイ封入の接着を改善することができる。
【0003】
通常、1つ又は複数の基板をプラズマ処理システムに配置し、発生したプラズマ種に各基板の表面を暴露する。原子の最も外側の表面層は、物理的スパッタリング、化学的補助スパッタリング、及びプラズマによって促される化学的反応によって除去される。物理的又は化学的な作用を使用することによって、表面を整えて接着等の特性を改善するか、異質な表面層を選択的に除去するか、又は基板の表面から不要な汚染物質を取り除くことができる。
【0004】
複数の大きい材料パネルの両側をプラズマ処理する従来のバッチプラズマ処理システムが存在する。パネルはそれぞれ、基板ホルダーによって、一対の平坦な垂直電極間で垂直な向きで保持され、これらの電極は処理システムの処理チャンバ内に存在する好適な雰囲気によって励起されてプラズマを発生させる。そのようなプラズマ処理システムでは、平坦な電極間に1つ又は複数の電極を保持するのによく適している従来の基板ホルダーは、薄いプリント回路基板材料を効果的に支持することができない場合がある。自立するほど十分に剛性ではないこれらの薄い基板は、ラックに対して移動する可能性があり、従来の基板ホルダーがこれらの可撓性材料シートの剛性支持体としては役立たないため、隣接する電極のうちの一方を短絡させるかもしれない。薄い基板が電極を短絡させるか又はこれに触れる場合、この基板が剥離するか又はそうでなければ損傷を受ける可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、プラズマ処理プロセス中に1つ又は複数の薄いパネル又は基板を剛性支持することができ、且つこのパネル又は基板の両側を同時に処理することを可能にする基板ホルダーが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態は、薄く可撓性のあるパネル及び基板を剛性支持するように構成される基板ホルダーの磁気クリップを提供することによって、これら及び他の問題に対処する。磁気クリップは、より厚くより剛性のパネル及び基板を支持するようにも構成される基板ホルダーの性能を伸ばす。クリップ及び基板のホルダーは、加工空間、加工空間を排気する真空ポート、プロセスガスを加工空間へ誘導するガスポート、及び複数の電極を含むプラズマ処理システムにおいて使用することができる。電極が励起されてプラズマを発生させ、このプラズマが次いで基板ホルダー上の基板と相互作用する。プラズマ処理を使用して、基板を当業者にとって明らかな用途で使用する前に必要なエッチング、洗浄、表面活性化または任意の他の表面改変を行うことができる。
【0007】
一実施の形態では、プラズマ加工システムにおいて基板の縁を保持する基板ホルダーと共に使用する磁気クリップが提供される。このクリップは、基板ホルダーと機械的に結合されるように構成される第1の本体部材と、第1の本体部材と機械的に接続される第1の部分及び該第1の部分と枢着される第2の部分を有するヒンジと、ヒンジの第2の部分と機械的に接続される第2の本体部材とを含む。第1の本体部材は、第1の締め付け面及び第1の磁石を含む。同様に、第2の本体部材は、第2の締め付け面及び第2の磁石を含む。第2の本体部材は、接触関係にある第1の締め付け面及び第2の締め付け面間に基板の縁が位置決めされる閉位置と、基板の縁が解放される開位置との間で第1の本体部材に対して枢動するように、ヒンジの第2の部分と機械的に接続される。閉位置では、基板の縁は第1の締め付け面及び第2の締め付け面間に位置する。開位置では、基板の縁は解放される。第2の磁石は、第2の本体部材が閉位置にあるときに第1の磁石を磁気的に引き付け、第1の締め付け面及び第2の締め付け面に対する基板の縁の移動を拘束する力を加えるように構成される。
【0008】
別の実施の形態では、基板を加工システム内に保持する基板ホルダーが提供される。この基板ホルダーは、複数の枠要素と、枠要素の内周に配置される基板の窓とを有する枠部材を含む。上述のような構成を有する磁気クリップが、枠要素のうちの1つに取り付けられる。
【0009】
本明細書に組み込まれると共に本明細書の一部を成す添付の図面は、前述の本発明の包括的な説明と共に本発明の実施形態を示し、以下の詳細な説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】基板ホルダーのラックを一体化する多電極プラズマ処理システムの正面斜視図である。
【図2】多電極プラズマ処理システム内のプロセスチャンバの処理位置にパネルを保持するために使用され、開状態で示されている複数の上側クリップ及び下側クリップを有する基板ホルダーのラックの斜視図である。
【図3】開状態にある上側クリップ及び下側クリップを有する、図2のラックの基板ホルダーのうちの1つの詳細図である。
【図4】図2及び図3の上側クリップのうちの1つの詳細斜視図である。
【図5】上側クリップが閉状態にある、図4と同様の図である。
【図6】図2及び図3に示す下側クリップのうちの1つの詳細斜視図である。
【図7】下側クリップが閉状態にある、図6と同様の図である。
【図8】パネルの装填中の上側クリップ及び下側クリップの使用を示す、図3の基板ホルダーの一部の図である。
【図9】パネルの装填中の上側クリップ及び下側クリップの使用を示す、図3の基板ホルダーの一部の図である。
【図10】図9の線10−10に概ね沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、概して参照符号10で示されるプラズマ処理システムが、キャビネットすなわち筐体12と、真空室14と、真空室14の側壁18によって囲まれる排気可能空間16とを含む。排気可能空間16は、真空室14のアクセス開口部20を通してアクセスされる。室ドア22を開くとアクセス開口部20が露になり、該アクセス開口部20を通して排気可能空間16がアクセスされ、室ドア22を閉じると、排気可能空間16を周囲の周辺環境から隔離する流体密封を提供することができる。真空室14の1つの側縁に沿って位置決めされるヒンジによってアクセス開口部20に隣接して取り付けられる室ドア22は、閉位置にあるときに真空室14の別の部分と係合するラッチを有する。室ドア22の外周を取り囲む密封部材24が、室ドア22とアクセス開口部20との密封係合を促す。真空室14は、アルミニウム合金又はステンレス鋼等の、高真空用途に好適な導電性材料から形成され、電気的に接地されている。
【0012】
2008年5月20日に出願された米国特許出願第12/123,954号明細書(その開示内容はこの参照によりその全体が本明細書に援用される)においてより完全に記載されているように、真空室14内に画定されている排気可能空間16は、真空室14の1つの側壁18を貫通するポンプポート(図示せず)を通して、真空ポンプシステム(図示せず)によって排気される。筐体12内又は筐体12に隣接する床面積上に位置し得る真空ポンプシステムは、真空配管によってポンプポートと接続されている。真空ポンプシステムは、真空技術の当業者が認識する構成及び動作を有する1つ又は複数の真空ポンプを備え得る。例えば、真空ポンプシステムは、真空室14内に低いミリトール(mTorr)範囲の真空圧を確立及び維持するように協働する回転翼ポンプ及びルーツ送風機を含み得る。加工中、真空室14を、例えば約200mTorr〜約300mTorrの範囲の真空圧まで排気することができる。真空ポンプシステムは、パネル交換のために排気可能空間16が通気される毎に、排気可能空間16から大気を排気するために使用される。
【0013】
プラズマ処理システム10は、真空室14内に位置する、名目上は同一である複数の電極28と、高周波(RF)発生器30等のプラズマ励起源とを含む。電極28は、RF発生器30に並列に電気的に接続され、真空室14は、給電されない、接地された対電極として働く。RF発生器30は、インピーダンスマッチング装置と、例えば約40kHzの周波数で動作する(ただし、kHz〜MHz範囲の他の動作周波数を使用してもよい)RF電源とを含む。電極28に供給される電力は、40kHzで約4000ワット〜約8000ワットの範囲であり得る。しかし、当業者は、システム10を、異なるバイアス電力を送ることを可能にするように改変するか、又は代替的には直流(DC)電源の利用が可能であってもよいことを認識するであろう。
【0014】
電極28は、真空室14の側壁18のうちの1つから並列する関係で吊下されている。個別の処理室すなわち処理セルが、並列する電極28の各隣接する対間の空間によって画定される。電極28は、例えば約0.5インチ(約1.3センチメートル)厚であり矩形の幾何学的形状の中実の金属板という代表的な形態を有する。電極28を形成する金属、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金は、比較的高い導電性及び効率的な熱伝達を促す比較的高い熱伝導性を特徴とする。
【0015】
図2に最もよく示されるように、プラズマ処理システム10は、真空室14内で、代表的な形態では基板すなわちパネル40(図8〜図10)である製品を支持するように構成される、名目上は同一の複数の製品ホルダーすなわち基板ホルダー50を備えるラック36を含む。基板ホルダー50はそれぞれ、パネル40の1つ又は複数を支持するように構成される。ラック36に1回の製造分(ロット又はバッチ)のパネル40を装着した後で、室ドア22を開いてラック36を真空室14内に移す。移した後で、ラック36を真空室14内に位置決めすることにより、室ドア22を閉じて密封された環境を提供し、真空ポンプシステムによる排気の準備を整えることができる。
【0016】
使用時には、真空室14外の位置でラック36の基板ホルダー50にパネル40を装着し、真空室14を大気圧に通気し、室ドア22を開いてアクセス開口部20を露にし、アクセス開口部20を通してラック36を真空室14内へ移す。アクセス開口部20は、室ドア22を閉じてラッチを係合させることによって密封される。パネル40はそれぞれ、隣接する電極28の対間で基板ホルダー50のうちの1つによって支持される。
【0017】
真空室14内の排気可能空間16に留まる大気は、真空ポンプシステムを用いて排気される。真空ポンプシステムによって真空室14を積極的に排気する間、源ガスの流れが源ガス供給源(図示せず)からガス分配マニホルドへ供給され、質量流量が質量流制御装置(図示せず)によって測定される。源ガスは、ガス送出管から各隣接する電極28の対間の空間内へ注入される。
【0018】
真空室14内で所望のプロセス圧力が達成されて安定化すると、RF発生器30が励起されて電力を電極28へ供給する。電力は、導電部材によって、各中実電極28内の位置へ送出される。各隣接する電極28の対間に留まる源ガスは、印加されたRFエネルギーによって部分的に電離され、処理セルのそれぞれにおいて局所的にプラズマを発生させる。処理セルのそれぞれの内部のプラズマは、イオン、電子、フリーラジカル、及び中性化学種から成る部分的に電離した源ガスを表す。
【0019】
パネル40は、各パネル40の暴露される対向面を処理するのに十分な期間、処理セル内でプラズマに暴露される。プラズマを構成する電離されたガス混合物は、導電性且つ高反応性であり、これがパネル40と相互作用して規定のプラズマ処理を行うプラズマの能力を促す。プラズマ発生活性種は、イオン衝突による物理的プロセス、及びラジカル/副生成物の化学反応による化学的プロセスを行う。特定の源ガス又は源ガスの組合せ次第で、パネル表面上で異なる反応を生じさせることができる。処理の方法は、プラズマ処理の性質によって変化し得る。プリント回路基板の用途の場合、パネル40の表面における化学反応は、ドリルスミア及びレジスト屑を除去し、積層及び恒久的な接着のための濡れ性を高めるために利用される。処理が完了すると、室ドア22を開いてアクセス開口部20を露にし、加工されたパネル40を保持するラック36を真空室14から取り出し、加工されたパネル40をラック36から取り外し、別の加工段階にまわす。例示的なプラズマ処理システム10のさらなる詳細は、上記の米国特許出願第12/123,954号明細書及び米国特許出願公開第2006/0163201号明細書(該特許の開示内容はこの参照によってその全体が本明細書に援用される)においてより十分に開示されている。
【0020】
図3〜図7を参照すると、各基板ホルダー50は、本発明の実施形態に従って構成され、且つ上述のようにプラズマによってパネル40を処理するプラズマ処理システム10と共に使用される、複数の上側磁石クリップ46及び複数の下側磁石クリップ48を含む。クリップ46、48及び基板ホルダー50は本明細書ではプラズマ処理システム10を参照して説明するが、クリップ46、48及び基板ホルダー50はこの代表的なプラズマ処理システム10と共に使用することに限定されず、代わりに、当業者が理解する他のプラズマ加工システム及び他のタイプの加工システムと共に使用してもよい。
【0021】
これらの図に示すように、各基板ホルダー50は、アルミニウム等の金属から作製される棒又はロッドから構成される概ね矩形の構造を有する枠部材52をさらに含む。より詳細には、枠部材52は、第1の端部55及び第2の端部56を有する上側レールすなわち上側枠要素54と、第1の端部59及び第2の端部60を有する下側レールすなわち下側枠要素58と、上側枠要素54の第1の端部55に結合されて角を画定する第1の端部63、及び下側枠要素58の第1の端部59に結合されて別の角を画定する第2の端部64を有する第1の側部レールすなわち第1の側部枠要素62と、上側枠要素54の第2の端部56に結合されて角を画定する第1の端部67、及び下側枠要素58の第2の端部60に結合されて別の角を画定する第2の端部68を有する第2の側部レールすなわち第2の側部枠要素66とを含む。枠要素54、58、62、66は、閉じた形状を画定し、互いに対して定位置に固定される。後者に関して、様々な枠要素54、58、62、66は、溶接又は任意の他の既知の取り付け方法によって互いに結合され、枠部材52を作り出すことができる。
【0022】
上側枠要素54及び下側枠要素58は、真空室14の排気可能空間16内に位置決めされると概ね水平方向の向きになり、側部枠要素62、66は概ね垂直方向の向きになる。本明細書における「垂直」、「垂直方向」、「水平」、「水平方向」等の用語の言及は、説明の目的でフレームを参照するために例示としてなされるものであり、限定するためのものではない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な他のフレームの参照方法が利用され得ることが理解される。
【0023】
図4に示すように、枠部材52の上側枠要素54は、下側枠要素58に向かって下向きになる溝部70を画定するように介在部分73によって接合されている脚部69、71を有するU字形のバーとして形造られる。側部枠要素62の1つの構造要素には、側部枠要素66に面するか又は対面し、枠部材52の内側へ開いている概ね水平な溝穴72がその側部に形成されている。同様に、側部枠要素66の1つの構造要素には、側部枠要素62に面するか又は対面し、枠部材52の内側へ開いている、傾いているすなわち傾斜している溝穴74がその側部に形成されている。水平な溝穴72はそれぞれ、傾斜している溝穴74のうちの1つとほぼ位置合わせされる。
【0024】
枠要素54、58、62、66に加えて、基板ホルダー50は、1つ又は複数のパネル40を内部で支持することを可能にするさらなる支持構造を含み得る。これに関して、基板ホルダー50は、第1の側部枠要素62及び第2の側部枠要素66間に延び、且つ第1の側部枠要素62及び第2の側部枠要素66と結合されると上側枠要素54及び下側枠要素58に対して概ね平行であるようになっている水平交差梁76を含む。水平交差梁76の上側枠要素54からの隔たりは、基板ホルダー50が支持するようになっているパネル40の長さとほぼ等しい。水平交差梁76は、第1の端部78と、第2の端部80と、第1の端部78に隣接して位置する第1のピン81と、第2の端部80に隣接して位置する第2のピン82とを含む。第1のピン81は、側部枠要素62の水平な溝穴72と係合するようになっており、第2のピン82は、側部枠要素66の傾斜している溝穴74と係合するようになっており、水平交差梁76を枠部材52内で支持する。
【0025】
基板ホルダー50は、1つ又は複数のパネル40を内部で支持するまたさらなる支持構造を含み得る。これに関して、基板ホルダー50は、枠部材52の上側枠要素54及び下側枠要素58間に延び、且つ基板ホルダー50に結合されると概ね垂直な向きで、側部枠要素62、66に対して概ね平行に位置合わせされるようになっている少なくとも1つの、また複数の垂直交差梁84、86を含む。垂直交差梁84、86の、側部枠要素62、66の近い方からの隔たりは、基板ホルダー50が支持するようになっているパネル40の幅と関連する。垂直交差梁84、86の存在は、これらの構造が省略される場合があるため任意である。
【0026】
垂直交差梁84、86は、枠部材52の上側枠要素54及び下側枠要素58と、水平交差梁76とに、複数の概ね平坦な支持棒88、90、92によって固定される。支持棒88は、上側枠要素54の外面に離間した関係で取り付けられ、上側枠要素54との間に間隙又は溝部を画定する。支持棒90は、水平交差梁76の外面に離間した関係で取り付けられ、水平交差梁76との間に間隙すなわち溝部を画定する。溝部は、上側枠要素54、水平交差梁76及び下側枠要素58のそれぞれとの結合部は別にして、それぞれの支持棒88、90、92のほぼ全長を延び得る。支持棒88、90、92は基板ホルダー50の同じ側に位置し、溝部は互いにほぼ位置合わせされる。
【0027】
垂直交差梁84、86それぞれの一端部は、支持棒88及び上側枠要素54の外面間に画定される溝部内に留まる。垂直交差梁84、86それぞれの反対端部は、支持棒92及び下側枠要素58の外面間に画定される溝部内に留まる。垂直交差梁84、86それぞれの中間領域は、支持棒90及び水平交差梁76の外面間に画定される溝部内に留まる。垂直交差梁84、86の横方向位置は、側部枠要素62、66に対して連続的に調整することができる。
【0028】
同様に、水平交差梁76は、垂直交差梁84、86の位置とは独立して概ね垂直方向に移動することができる。水平交差梁76及び垂直交差梁84、86は枠部材52に対して独立して移動可能であるようになっているため、様々な異なる寸法の概ね平坦なパネル40を、水平交差梁76及び垂直交差梁84、86の位置を単に調整することによって基板ホルダー50内で支持することができる。水平交差梁76及び垂直交差梁84、86の調整は窓94、96を画定し、該窓94、96のサイズは、基板ホルダー50が保持するパネル40の寸法と関連する。垂直交差梁84、86を独立して移動させることができることによって、基板ホルダー50が、異なる幅のパネル40(例えば代表的な実施形態では2つのそのようなパネル)を同じ基板ホルダー50内に収容することを可能にする。水平交差梁76及び垂直交差梁84、86は、枠部材52のさらなる枠要素が外側枠要素54、58、62、66を補って、取り扱われるパネル40の寸法に基板ホルダー50を適合させるため、効果的に動作する。
【0029】
上側枠要素54に対する水平交差梁76の垂直位置は、支持されるパネル40の長さと関連する窓94、96の別の寸法を画定する。垂直位置は、ピン82をその傾斜している溝穴74から出して上方へ摺動させ、水平交差梁76をピン81において枢動させ、且つ枢動運動によって十分な隙間が作られるとピン81を水平な溝穴72から出すように摺動させることによって調整することができる。次いで、水平交差梁76は、上側枠要素54に対して所望の位置まで垂直方向に上昇されるか又は下降され、上述のこれらの同じ動作を逆に行ってピン81を対応する水平な溝穴72と、ピン82を対応する傾斜している溝穴74と係合させることによって再び据え付けられる。
【0030】
図4、図5及び図10を特に参照すると、上側磁気クリップ46はそれぞれ、第1の本体部材100と、第2の本体部材102と、第1の本体部材100及び第2の本体部材102を結合するヒンジ104とを含む。第1の本体部材100及び第2の本体部材102は、アルミニウム等の任意の好適な材料から成り得る。上側枠要素54との組み付けを容易にするために、本体部材100は、従来の締結具(図示せず)によって共に組み付けられて一体構造を形成する複数の部分100a、100bを含む。
【0031】
第1の本体部材100は、上側枠要素54の外面105に固定される。このために、第1の本体部材100はT字形の溝部106を含み、上側枠要素54はT字形の溝部106を縦方向に延びる。蝶ねじ110が、第1の本体部材100に画定されるねじ山付き開口部114を貫通するねじ山付きシャフト112を含む。ねじ山付きシャフト112の先端は、枠部材52の介在部分73の外面105と接触する。蝶ねじ110を締め付けると、上側枠要素54の脚部69、71の先端部が脚部108、109(溝部106をT字形にし、「T」の頭部が脚部108、109上にあり「T」の基部が脚部108、109間にあるように内方に突出する)と接触する関係になるまで、上側磁気クリップ46が垂直方向に移動する。これらの接触する関係によって、上側磁気クリップ46を、上側枠要素54の長さに沿う水平移動に対して固定し、上側磁気クリップ46の、上側枠要素54の長さに沿う側部枠要素62、66間の固定位置を確立する。反対に、蝶ねじ110は、上側磁気クリップ46を上側枠要素54の長さに沿って異なる固定位置まで水平移動させることができるように緩めることができる。
【0032】
上側磁気クリップ46の本体部材100は、その1つの側に沿って、概ね平坦な締め付け面115と、該締め付け面115を含む平面に対して概ね直交する平面内にある向きである概ね平坦な止め面116とを有する段付きの輪郭を含む。代表的な実施形態では、表面115、116は本体部材100の全幅を延びる。本体部材100は、締め付け面115の平面と概ね平行な平面内にある向きである別の概ね平坦な表面118をさらに含む。締め付け面115は、以下でさらに説明する任意選択的な凹部117を含む。
【0033】
本体部材102は、その1つの側に沿って、概ね平坦な表面120と、該表面120から外方へ突出するフランジ122とを含む。フランジ122は、表面120を含む平面と概ね平行な平面内に含まれる締め付け面124を含む。フランジ122は、それぞれの凹部126、128によって両端部が切頭されており、該凹部126、128は同様に締め付け面124を切頭し、それによって、フランジ122及び締め付け面124が本体部材102の全幅を越えないようにする。凹部126、128は、操作者の指先のための圧力点を提供することによって、上側磁気クリップ46を容易に開くことができるように促す。
【0034】
ヒンジ部材104は、従来の締結具によって本体部材100と機械的に接続される第1の部分103aと、従来の締結具によって本体部材102と機械的に接続される第2の部分103bとを含む。ヒンジピン107が、部分103a、103bを共に結合し、本体部材102が本体部材100に対して限られた回転範囲にわたって枢動することを可能にする。本体部材100、102は、部分103a、103bが固定されるそれぞれの凹状領域を有する。
【0035】
上側磁気クリップ46の本体部材102は、ヒンジ部材104を中心に、パネル40が上側磁気クリップ46に固定される閉位置と、パネル40がクリップ46から解放される開位置との間で本体部材100に対して枢動する。閉位置(図5、図10)では、パネル40は、本体部材100、102の締め付け面115、124間で捕捉されるか又は挟まれる。本体部材100は上側枠要素54に固定されているため、締め付けられたパネル40は枠部材52に対して固定位置を有する。閉位置では、フランジ122は止め面116との間に隙間を有し、本体部材100の締め付け面115に向かって突出する。凹部126、128はそれぞれ、第2の本体部材102を閉位置から開位置へ移動させるために本体部材102に開く力を加えるアクセスを提供するような寸法及び形状である。
【0036】
開位置(図4)では、本体部材102は、垂直線を越えて(180度よりも大きい鈍角を)、外力が加えられない状態で本体部材102が静止したままである位置まで本体部材100に対して枢動する。本体部材102は、パネル40を基板ホルダー50へ装填している操作者が加える(例えば片方の手を使用する)手による外力によって閉じることができる。使用時に、止め面116は、上側磁気クリップ46が閉じているときにパネル40が表面118、120と接触しないようにパネル40の垂直堅固止め部として働く。
【0037】
本体部材100は、表面118と交差する盲凹部129と、該盲凹部129内に据え付けられる磁石130と、磁石130の位置を盲凹部129内に固定するのに使用される止めねじ132とを含む。締め付け面115にある任意の凹部117が、止めねじ132の頭部へアクセスするための隙間を提供する。同様に、本体部材102は、表面120と交差する盲凹部134と、該盲凹部134内に据え付けられる磁石136と、磁石136の位置を盲凹部134内に固定するのに使用される止めねじ138とを含む。それぞれの表面118、120の磁石130、136の横方向位置は、上側磁気クリップ46が閉じているときに磁石130、136が対面する関係になるように選択される。磁石130の盲凹部129は、ヒンジ部材104の部分103aと、本体部材100の締め付け面115との間に配置される。磁石136の盲凹部134は、ヒンジ部材104の部分103bと、本体部材102のフランジ122(及び締め付け面124)との間に配置される。
【0038】
磁石130、136は、本体部材102が本体部材100に対して閉位置へ移動するにつれて近接すると、互いに引き付け合うことに起因する締め付け力を加えるように協働する。締め付け力が、パネル40の上縁領域40aの厚さによって隔たれているため直接的な接触関係にない締め付け面115、124へ伝わることによって、パネル40の上縁領域40aが、締め付け面115、124間の固定位置に固定され、締め付け面115、124に対して移動しないように拘束される。フランジ122は、ヒンジ104を収容するのに十分な量だけ表面120から外方に突出しており、磁石130、136が互いに引き付け合って十分な締め付け力を提供すること、及び締め付け面115、124が接触することを可能にする。
【0039】
磁石130、136は、約120℃を超える温度によって脱磁されない、任意の許容可能な永久磁石材料から成り得る。一実施形態では、磁石130、136は、脱磁に対する高い抵抗及び良好な温度安定性を示すサマリウム/コバルト合金から成る。磁石130、136はニッケルコーティングしてもよい。磁石130、136の磁界強度は、これらの存在によってプラズマが摂動されないように選択される。磁石130、136を本体部材100、102の材料中に埋め込むことによってプラズマ暴露を最小限に抑える。
【0040】
図6、図7及び図10を特に参照すると、下側磁気クリップ48はそれぞれ、第1の本体部材140と、第2の本体部材142と、第1の本体部材140及び第2の本体部材142を結合するヒンジ144とを含む。第1の本体部材140及び第2の本体部材142は、アルミニウム等の任意の好適な材料から成り得る。
【0041】
第1の本体部材140は、水平交差梁76と受動的に結合される。このために、第1の本体部材140は、H字形の輪郭を有する水平交差梁76の長さに沿って延びる溝部148内に挿入される中子部146を含む。上側磁気クリップ46とは異なり、下側磁気クリップ48は、側部枠要素62、66に対して横方向位置に固定されるように構成されない。その代わりに、中子部146は単に溝部148内に位置し、水平交差梁76に対する制御不能な移動を十分な範囲まで調節する。
【0042】
下側磁気クリップ48の本体部材140は、その1つの側に沿って、概ね平坦な締め付け面150と、該締め付け面150を含む平面に対して概ね直交する平面内にある向きである概ね平坦な止め面152とを有する段付きの輪郭を含む。代表的な実施形態では、表面150、152は本体部材140の全幅を延びる。本体部材140は、締め付け面150の平面と概ね平行な平面内にある向きである別の概ね平坦な表面154をさらに含む。
【0043】
本体部材102の構成と同様である本体部材142は、その1つの側に沿って、概ね平坦な表面156と、該表面156から外方へ突出するフランジ158とを含む。フランジ158は、表面156を含む平面と概ね平行な平面内に含まれる締め付け面160を含む。フランジ158は、それぞれの凹部162、164によって両端部が切頭されており、該凹部162、164は同様に締め付け面160を切頭し、それによって、フランジ158及び締め付け面160が本体部材142の全幅を延びないようにする。凹部162、164は、操作者の指先のための圧力点を提供することによって、下側磁気クリップ48を容易に開くことができるように促す。閉位置では、フランジ158は止め面152との間に隙間を有し、本体部材140の締め付け面150に向かって突出する。
【0044】
ヒンジ部材144は、従来の締結具によって本体部材140と機械的に接続される第1の部分143と、従来の締結具によって本体部材142と機械的に接続される第2の部分145とを含む。ヒンジピン147が、部分143、145を共に結合し、本体部材142が本体部材140に対して限られた回転範囲にわたって枢動することを可能にする。本体部材140、142は、部分143、145が固定される凹状領域を有する。
【0045】
下側磁気クリップ48の本体部材142は、ヒンジ部材144を中心に、パネル40が下側磁気クリップ48に固定される閉位置と、パネル40がクリップ48から解放される開位置との間で本体部材140に対して枢動する。閉位置(図7、図10)では、パネル40は、本体部材140、142の締め付け面150、160間で捕捉されるか又は挟まれる。本体部材142は、操作者が加える(例えば片方の手を使用する)手による外力によって閉じることができる。凹部162、164はそれぞれ、第2の本体部材142を閉位置から開位置へ移動させるために本体部材142に開く力を加えるアクセスを提供するような寸法及び形状である。使用時に、止め面152は、下側磁気クリップ48が閉じているときにパネル40が表面154、156と接触しないようにパネル40の垂直堅固止め部として働く。
【0046】
本体部材140は、表面154と交差する盲凹部166と、該凹部166内に据え付けられてこれと締まり嵌めされる磁石168とを含む。同様に、本体部材142は、表面156と交差する盲凹部170と、該凹部170内に据え付けられる磁石172と、磁石172の位置を凹部170内に固定するのに使用される止めねじ174とを含む。それぞれの表面154、156の磁石168、172の横方向位置は、下側磁気クリップ48が閉じているときに磁石168、172が対面する関係になるように選択される。磁石168の凹部166は、ヒンジ部材144の部分143と、本体部材140の締め付け面150との間に配置される。磁石172の凹部170は、ヒンジ部材144の部分145と、本体部材142のフランジ158(及び締め付け面160)との間に配置される。磁石168、172は同じ材料から成り、磁石130、136と同じ特性及び特徴を有し得る。
【0047】
磁石168、172は、本体部材142が本体部材140に対して閉位置へ移動するにつれて近接すると、互いに引き付け合うことに起因する締め付け力を加えるように協働する。締め付け力が、パネル40の底縁領域40bの厚さによって隔たれているため直接的な接触関係にない締め付け面150、160へ伝わることによって、パネル40の底縁領域40bが、締め付け面150、160間の固定位置に固定され、締め付け面150、160に対して移動しないように拘束される。フランジ158は、ヒンジ144を収容するのに十分な量だけ表面156から外方に突出しており、磁石168、172が互いに引き付け合って十分な締め付け力を提供すること、及び締め付け面160、150が接触することを可能にする。
【0048】
基板ホルダー50の上側磁気クリップ46及び下側磁気クリップ48は、枠部材52と協働して、非剛性(すなわち可撓性)材料の薄いシートの形態のパネル40、例えば厚さが25ミクロン(マイクロメートル)(以下)〜300ミクロン(マイクロメートル)の範囲であるフレックスベース(flex-based)のプリント回路基板材料を垂直に保持するように設計される。さらに、上側磁気クリップ46及び下側磁気クリップ48を使用して、所望であれば同じ厚さ範囲の剛性材料から成るパネル40を保持することもできる。磁気クリップ46、48、特に上側磁気クリップ46の操作が容易であることによって、1人の操作者が非剛性材料の複数のシートを基板ホルダー50に装填することを可能にする。当業者は、基板ホルダー50と共に使用される磁気クリップ46、48の数を、特定の用途及び使用者の要望に応じて変えてもよいことを認識するであろう。
【0049】
締め付け面115は、底面角部115aから止め面116まで測定した、0.25インチ(約6.35mm)未満である高さhを有する。同様に、締め付け面150は、底面角部150aから止め面152まで測定した、0.25インチ(約6.35mm)未満である高さhを有する。これらの寸法は、類似の機械クリップの寸法よりも小さく、パネル40の対向縁領域40a、40bに加えられる強力な締め付け力を提供する磁石130、136及び磁石168、172の使用により成り立つ。上縁領域40aは、パネル40の両側にあり、縁41aによって終端するパネル40の周囲境界付近にあるパネル材料の細長片部である。同様に、底縁領域40bは、パネル40の両側にあり、縁41bによって終端するパネル40の周囲境界付近にあるパネル材料の細長片部である。縁41aに対して測定した縁領域40aの幅は高さh以下であり、縁41bに対して測定した縁領域40bの幅は高さh以下である。縁領域40a、40bは通常、取扱い又は接触によって損傷を受ける可能性がある構造のない、パネル40の外周にある遮断区域を構成する。
【0050】
使用時には、基板ホルダー50は、上述のプラズマ処理システム10の排気可能空間16内にある1つ又は複数の概ね平坦なパネル40の両側が窓94、96においてプラズマによる同時処理に暴露されるように、パネル40を保持してプラズマと相互作用させるようになっている。基板ホルダー50は、例えば内部に挿入されるパネル40の厚さに応じて異なる動作モードを含み得る。
【0051】
上側磁気クリップ46の締め付け面115、124の幅及び下側磁気クリップ48の締め付け面150、160の幅は、0.5インチ(約1.27cm)以上の締め付け面を必要とする類似の従来の機械クリップよりも狭い0.25インチ(約6.35mm)以下であるように選択され得る。磁石130、136は、各上側磁気クリップ46とパネル40の上縁領域40aとをしっかりと係合させるのに十分な締め付け力を締め付け面115、124に提供する。同様に、磁石168、172は、各下側磁気クリップ48とパネル40の底縁領域40bとをしっかりと係合させるのに十分な締め付け力を締め付け面150、160に提供する。
【0052】
比較的薄く可撓性であり、図8及び図9に示すようなパネル40の場合、基板ホルダー50及びラック36(図2)は、最初に真空室14の排気可能空間16の外側に位置決めされる。水平交差梁76並びに垂直交差梁84及び垂直交差梁86は、パネル40の寸法に基づいて、上述した方法で枠部材52上の適切な位置へ調整される。上側磁気クリップ46は、上側枠要素54の長さに沿って位置決めされる。下側磁気クリップ48はそれぞれ、底縁領域40bを締め付け面150、160間に配置し、且つ本体部材142をヒンジ部材144に対して閉位置へ枢動させることによって、パネル40の底縁領域40上へ締め付けられる。止め面152は、底縁領域40bが締め付け面150と接近すると堅固止め部を提供し、締め付け面150、160は、磁石168、172からの締め付け力によって共に固定される。下側磁気クリップ48の質量は、可撓性パネル40をぴんと張った状態に維持する。下側磁気クリップ48それぞれの中子部146は、図8に示すように、水平交差梁76のU字形溝部148内に配置される。溝部148及び中子部146は、第1の本体部材140を溝部148の長さに沿って位置決めするために水平交差梁76に対して摺動可能に移動させることができるように十分な隙間を置いて溝部148内に中子部146が受け入れられる寸法であるように構成される。
【0053】
次いで、パネル40の上縁領域40aを、上側磁気クリップ46のうちの1つの締め付け面115と近接させる。止め面116は、締め付け面115に対する位置決めに制限を与える。本体部材102は、図9及び図10に示すように、本体部材100に対して開位置から閉位置へ枢動する。この構成により、1人の操作者が片方の手でパネル40を保持し、他方の手で上側磁気クリップ46のそれぞれを閉じることができる。
【0054】
上側磁気クリップ46及び下側磁気クリップ48は、従来の磁気クリップと比べて可撓性パネル40と基板ホルダー50とをより確実に係合させるため、パネル40がプラズマ処理中に電極28と誤って接触する可能性を防ぐか又は低減する。さらに、各パネル40の各側の使用可能な表面積は、各パネル40の両側がプラズマによって同時に処理されるように、窓94、96の一方を通して暴露されてプラズマと相互作用する。クリップ46、48は、異なる厚さの可撓性パネルに対応するためにいかなるタイプの調整も必要としない。
【0055】
基板ホルダー50はまた、プラズマ処理を受ける必要がある比較的厚く剛性のパネル40を保持するのによく適している。比較的厚く剛性であるパネル40の場合、基板ホルダー50は異なるモードで動作することができる。これに関して、真空室14の排気可能空間16の外側に位置決めされる基板ホルダー50及びラック36の場合、水平交差梁76及び垂直交差梁84、86は、パネル40の寸法(例えば長さ及び幅)に基づいて、上述の方法で適した位置へ調整される。下側磁気クリップ48は、溝部148が塞がれないように基板ホルダー50から取り外される。上側磁気クリップ46は、溝部70がそれらの存在によって妨げられないため、上側枠要素54に固定したままにすることができる。厚いパネル40は、基板ホルダー50の、側部枠要素62の構造要素間にある側縁部から溝部70、148内へ摺動する。したがって、比較的厚いパネルの位置は隣接する電極28に対して固定され、各パネル40の各側にある使用可能な表面積のかなりの部分が窓94、96の一方によって暴露されてプラズマと相互作用する。
【0056】
本発明を様々な実施形態の記載によって説明し、これらの実施形態をかなり詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に限定するか又はいかなる方法でも制限することは本出願人らの意図するところではない。さらなる利点及び変更が当業者には容易に明らかであろう。したがって、本発明は広範な態様において、特定の詳細、代表的な装置及び方法、並びに図示及び記載される説明のための例に限定されない。したがって、出願人らの包括的な発明の概念の精神又は範囲からは逸脱することなく、そのような詳細から発展することができる。本発明自体の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ加工システムにおいて基板の縁領域を保持する基板ホルダーと共に使用するクリップであって、
第1の締め付け面及び第1の磁石を含み、前記基板ホルダーと機械的に接続されるように構成される第1の本体部材と、
ヒンジと、
第2の締め付け面及び第2の磁石を含む第2の本体部材であって、前記基板の前記縁領域が前記第1の締め付け面と前記第2の締め付け面との間に接触関係で位置決めされる閉位置と、前記基板の前記縁領域が解放される開位置との間で前記第1の本体部材に対して枢動するように、前記ヒンジによって機械的に接続され、前記第2の磁石は、前記第2の本体部材が前記閉位置にあるときに前記第1の磁石を磁気的に引き付けて、前記第1の締め付け面及び前記第2の締め付け面に対する前記基板の前記縁領域の移動を拘束する力を加えるように構成されている第2の本体部材と、
を備えるクリップ。
【請求項2】
前記ヒンジは、前記第1の本体部材と機械的に接続される第1の部分と、前記第1の部分と枢着される第2の部分とを有し、前記第1の本体部材は、前記第1の締め付け面と前記ヒンジの前記第1の部分との間に第1の非締め付け面を含み、前記第1の磁石は、前記第1の非締め付け面に配置されている請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記第2の本体部材は、前記第2の締め付け面と前記ヒンジの前記第2の部分との間に第2の非締め付け面を含み、前記第2の磁石は、前記第2の非締め付け面に配置されている請求項2に記載のクリップ。
【請求項4】
前記第2の本体部材は、前記第2の非締め付け面から外方へ突出しているフランジをさらに含み、前記第2の締め付け面は、前記フランジ上に配置されており、前記第2の非締め付け面は、前記フランジと前記ヒンジの前記第2の部分との間に配置されている請求項3に記載のクリップ。
【請求項5】
前記第1の本体部材は、前記第1の非締め付け面と前記第1の締め付け面との間に止め面をさらに含み、前記止め面は、前記基板の前記縁領域で終端する縁と接触するように構成され、それによって、前記第2の本体部材が前記開位置から前記閉位置へ移動されて前記基板の前記縁領域を前記第1の締め付け面と前記第2の締め付け面との間に位置決めしたときに、前記基板の前記縁が前記第1の非締め付け面へ延びることが阻止される請求項2に記載のクリップ。
【請求項6】
前記第1の本体部材は、前記第1の締め付け面と前記ヒンジとの間の第1の非締め付け面と、前記第1の締め付け面と前記第1の非締め付け面との間の止め面とを含み、前記第1の磁石は、前記第1の非締め付け面に配置されており、前記止め面は、前記基板の前記縁領域で終端する縁と接触するように構成されており、それによって、前記クリップが前記基板と結合されたときに、前記基板の前記縁が前記第1の非締め付け面へ延びることが阻止される請求項1に記載のクリップ。
【請求項7】
前記第2の本体部材は、第2の非締め付け面と、前記第2の非締め付け面から外方へ突出しているフランジとをさらに含み、前記第2の締め付け面は、前記フランジ上に配置されており、前記第2の磁石は、前記第2の非締め付け面に配置されている請求項6に記載のクリップ。
【請求項8】
前記第2の本体部材は、前記フランジ及び前記第2の締め付け面を横方向に切頭する凹部をさらに含み、前記凹部は、前記第2の本体部材を前記閉位置から前記開位置へ移動させるために前記第2の本体部材へ開く力を加えるアクセスを提供する寸法及び形状である請求項7に記載のクリップ。
【請求項9】
加工システムにおいて基板を保持する基板ホルダーであって、
複数の枠要素及び前記枠要素の内周に配置される前記基板のための窓を有する枠部材と、
前記枠要素のうちの1つと機械的に接続されるように構成される第1の本体部材、ヒンジ、及び前記ヒンジによって前記第1の本体部材に枢着される第2の本体部材を含むクリップであって、前記第1の本体部材は、第1の締め付け面及び第1の磁石を含み、前記第2の本体部材は、第2の締め付け面及び第2の磁石を含み、前記第2の本体部材は、前記基板の縁領域が前記第1の締め付け面と前記第2の締め付け面との間に接触関係で位置決めされる閉位置と、前記基板の前記縁領域が解放される開位置との間で前記第1の本体部材に対して移動可能であり、前記第2の磁石は、前記第2の本体部材が前記閉位置にあるときに前記第1の磁石を磁気的に引き付けて、前記第1の締め付け面及び前記第2の締め付け面に対する前記基板の前記縁領域の移動を拘束する力を加えるように構成されているクリップと、
を備える基板ホルダー。
【請求項10】
前記第1の本体部材は、前記枠要素を受け入れる寸法及び形状である凹部と、前記第1の本体部材を貫通して前記凹部まで延在するねじ山付き開口部と、前記ねじ山付き開口部に受け入れられるねじ山付き部材とを含み、前記ねじ山付き部材は、前記枠要素と接触し、且つ前記枠要素へ向かって前進するときに前記第1の本体部材を前記枠要素に対して移動させ、前記第1の本体部材の一部と、前記第1の本体部材の位置を前記枠要素に対して固定する前記枠要素の一部とを接触関係にする部分を含む請求項9に記載の基板ホルダー。
【請求項11】
前記第1の本体部材は中子部を含み、前記枠要素は、隙間を有して前記中子部を受け入れるように構成された溝部を含み、それによって、前記第1の本体部材及び前記第2の本体部材は、前記溝部に沿って位置決めのために摺動移動可能である請求項9に記載の基板ホルダー。
【請求項12】
前記ヒンジは、前記第1の本体部材が前記枠要素と機械的に接続され、前記第2の本体部材が、力が加えられない状態で前記開状態にあるままであるような可動範囲を有して構成されている請求項9に記載の基板ホルダー。
【請求項13】
前記第1の本体部材に対する前記第2の本体部材の前記可動範囲は、180度よりも大きい請求項12に記載の基板ホルダー。
【請求項14】
前記ヒンジは、前記第1の本体部材と機械的に接続される第1の部分と、前記第1の部分に枢着される第2の部分とを有し、前記第1の本体部材は、前記第1の締め付け面と前記ヒンジの前記第1の部分との間に第1の非締め付け面を含み、前記第1の磁石は、前記第1の非締め付け面に配置されている請求項9に記載の基板ホルダー。
【請求項15】
前記第2の本体部材は、前記第2の締め付け面と前記ヒンジの前記第2の部分との間に第2の非締め付け面を含み、前記第2の磁石は、前記第2の非締め付け面に配置されている請求項14に記載の基板ホルダー。
【請求項16】
前記第2の本体部材は、前記第2の非締め付け面から外方へ突出しているフランジをさらに含み、前記第2の締め付け面は、前記フランジ上に配置されており、前記第2の非締め付け面は、前記フランジと前記ヒンジの前記第2の部分との間に配置されている請求項15に記載の基板ホルダー。
【請求項17】
前記第1の本体部材は、前記第1の非締め付け面と前記第1の締め付け面との間に止め面をさらに含み、前記止め面は、前記基板の前記縁領域で終端する縁と接触するように構成されており、それによって、前記第2の本体部材が前記開位置から前記閉位置へ移動されて前記基板の前記縁領域を前記第1の締め付け面と前記第2の締め付け面との間に位置決めしたときに、前記基板の前記縁が前記第1の非締め付け面へ延びることが阻止される請求項14に記載の基板ホルダー。
【請求項18】
前記第1の本体部材は、前記第1の締め付け面と前記ヒンジとの間の第1の非締め付け面と、前記第1の締め付け面と前記第1の非締め付け面との間の止め面とを含み、前記第1の磁石は、前記第1の非締め付け面に配置されており、前記止め面は、前記基板の前記縁領域で終端する縁と接触するように構成されており、それによって、前記クリップが前記基板と結合されたときに、前記基板の前記縁が前記第1の非締め付け面へ延びることが阻止される請求項9に記載の基板ホルダー。
【請求項19】
前記第2の本体部材は、第2の非締め付け面と、前記第2の非締め付け面から外方へ突出しているフランジとをさらに含み、前記第2の締め付け面は、前記フランジ上に配置されており、前記第2の磁石は、前記第2の非締め付け面に配置されている請求項18に記載の基板ホルダー。
【請求項20】
前記第2の本体部材は、前記フランジ及び前記第2の締め付け面を横方向に切頭する凹部をさらに含み、前記凹部は、前記第2の本体部材を前記閉位置から前記開位置へ移動させるために前記第2の本体部材へ開く力を加えるアクセスを提供する寸法及び形状である請求項19に記載の基板ホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−183078(P2010−183078A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−21735(P2010−21735)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】