説明

プラズマ溶射システム用のガス分配リング組立体

【課題】プラズマ溶射システム(102)用のガス分配リング(142)組立体(100)を提供する。
【解決手段】本リング組立体は、その内径(148)にガスを流すことのできる複数の開口部を備えたガス分配リング(142)を含む。本リング組立体はまた、ガス分配リング(142)とプラズマ溶射システム(102)の帯電出口(110)との間で該ガス分配リング(142)と軸方向に整列した別個の位置決めリング(144)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的にはプラズマ溶射システムに関し、より具体的には、プラズマ溶射システム用の二部品構成ガス分配リング組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ溶射システムは、直流(DC)プラズマトーチのような多くの産業設備において使用される。これらのプラズマ溶射システムでは、セラミックガス分配リングを使用して、該ガスリングの本体上に穿孔した一連の小さい孔を通してカソード/アノード領域内にプラズマガスを導く。ガス分配リングはまた、カソード及びアノードを電気的に分離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5408066号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様は、プラズマ溶射システム用のガス分配リング組立体を提供し、本リング組立体は、その内径にガスを流すことのできる複数の開口部を備えたガス分配リングと、ガス分配リングとプラズマ溶射システムの帯電出口との間で該ガス分配リングと軸方向に整列した別個の位置決めリングとを含む。
【0005】
本発明の第2の態様は、プラズマ溶射システムを提供し、本プラズマ溶射システムは、カソード及びアノードを備えた出口と、カソードをアノードから電気絶縁する絶縁体部材と、ガス分配リング組立体とを含み、ガス分配リング組立体は、その内径にガスを流すことのできる複数の開口部を備えかつガスを送給するガス分配リングと、ガス分配リング及び出口間で該ガス分配リングと軸方向に整列した別個の位置決めリングとを含み、本プラズマ溶射システムはさらに、ガス分配リングにガスを送給するガス入口を含む。
【0006】
本発明の第3の態様は、プラズマ溶射システムを提供し、本プラズマ溶射システムは、カソード及びアノードを備えたノズル組立体と、カソードに対する第1の電気入力及びアノードに対する第2の電気入力を有する電圧発生機と、カソードをアノードから電気絶縁する絶縁体部材と、ガス分配リング組立体とを含み、ガス分配リング組立体は、その内径にガスを流すことのできる複数の開口部を備えかつノズル組立体にガスを送給するガス分配リングと、ガス分配リング及びアノード間で該ガス分配リングと軸方向に整列しかつガス分配リングの端面と接触状態で配置された端面を備えた別個の位置決めリングとを含み、本プラズマ溶射システムはさらに、ガス入口に結合されてガス分配リングにガスを送給するガス源を含む。
【0007】
本発明の具体的態様は、本明細書に記載した問題及び/又は記載していないその他の問題を解決するように設計されている。
【0008】
本発明のこれらの及びその他の特徴は、本発明の様々な実施形態を示す添付図面と関連させてなした本発明の様々な態様の以下の詳細な説明から一層容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態による、ガス分配リング組立体を備えたプラズマ溶射システムの断面図。
【図2】集成された状態のガス分配リング組立体の一実施形態の斜視図。
【図3】ガス分配リング組立体の位置決めリングの一実施形態の斜視図。
【図4】ガス分配リング組立体のガス分配リングの一実施形態の斜視図。
【図5】位置決めリングの別の実施形態の斜視図。
【図6】ガス分配リングと集成した状態の位置決めリングのさらに別の実施形態の斜視図。
【図7】ガス分配リングと集成した状態の位置決めリングの別の実施形態の斜視図。
【図8】図7の位置決めリングの1つの組合せアーチ形部分の斜視図。
【図9】図8の位置決めリングの組合せアーチ形部分の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の図面は正確な縮尺でないことに留意されたい。図面は、本発明の典型的な態様のみを示すことを意図しており、従って本発明の技術的範囲を限定するものとして考えるべきではない。図面では、同じ参照符号付けが、図面間で同様の要素を表している。
【0011】
図面を参照すると、プラズマ溶射システム102用のガス分配リング組立体100を示している。図1に示すように、本発明の教示は、米国ニューヨーク州ウエストバリー所在のSulzer Metco社から入手可能なSulzer Metco 03CXモデルプラズマ溶射ガンシステムに適用することができる。しかしながら、本発明の様々な実施形態の教示は、各種のプラズマ溶射システムに適用可能であることを強調しておく。
【0012】
プラズマ溶射システム102は、ノズル組立体112を備えた出口110を含み、出口110は、カソード114及びアノード116を含む。カソード114及びアノード116は、カソード114に対する第1の電気入力及び金属ハウジング132を通してのアノード116に対する第2の電気入力を有する電圧発生機118によって給電される。解るように、電流により、ガス入口120を通して供給されたプラズマガスからプラズマプルームが形成される。プラズマが出口110から流出する時、施工させることになる材料は、ノズル124によって出口の外側に送給される。ノズル組立体112は、時にはノズルをカソード114及びアノード116の下流に設置することができるので、全ての場合において必ずしもカソード114及びアノード116を含む必要がないことを理解されたい。さらに、解るように、カソード114及びアノード116の位置は、幾つかの場合では入れ換えることができる。カソード114及びアノード116は各々、銅のような導電性材料を含む。
【0013】
プラズマ溶射システム102はまた、カソード114をアノード116から電気絶縁する絶縁体部材130を含む。絶縁体部材130は、単一部品として示しているが、幾つかの電気絶縁要素を含むことができる。絶縁体部材130は、例えばポリマー、ラバー、セラミックなどのようなあらゆる電気絶縁材料を含むことができる。
【0014】
従来型のガス分配リングは、ガス入口120と、プラズマガスが電流をかけることによってプラズマプルーム150(図1において出口から流出するプルームとして示す)に変換される高温領域122(カソード及びアノードに近接する)との間に配置された単一リングを含む。従来型のガス分配リングは一般的に、アルミナのようなセラミック材料で製造されかつその中に開口部を含み、これら開口は、それを通ってプラズマガスがガス入口120から高温領域122まで流れるのを可能にする。一般的に、ガス分配リングは、カソード又はアノードと接触している。従来型のガスリングは、それが高温プラズマガス流を受けると、大きな熱負荷によって最終的には割れを生じることが明らかになった。ガス分配リングが割れると、プラズマガス流が変化し、そのことは、2つの異なる有害な影響を発生させる。その第1の影響は、リングがガス入口開口部の領域にわたって割れると、流れパターンが乱れた状態になり、それによって、プラズマ及びそれに続く粒子軌道に悪影響が生じる可能性があることである。このような流れの変化は、堆積特性を変化させるおそれがある。第2の有害な影響は、割れによりアークが流れる半径方向通路が形成されて、電気的短絡が発生する可能性があることである。
【0015】
従来型のガスリングとは対照的に、ガス分配リング組立体100は、2つの部品、すなわちガス分配リング142及び分離位置決めリング144を使用しており、このことは、ガスリングの割れ発生の影響を軽減する。図1に示すように、ガス分配リング組立体100(以下、「リング組立体100」)は、ガス入口120及びノズル組立体112、すなわちカソード114及びアノード116と連通したプラズマ溶射システム102の内部空洞140内に設置される。具体的には、この特定のプラズマ溶射システムにおいて示すように、リング組立体100は、その一部が絶縁体部材130、金属ハウジング132及びアノード116内部に形成された内部空洞140内に配置される。ガス分配リング142及び位置決めリング144は、空洞140内部での適当な着座に必要なあらゆる外径フランジを含むことができる。
【0016】
図2〜図4における一実施形態に示すように、リング組立体100は、プラズマガスを高温領域122に送給するガス分配リング142を含む。この特定の用途では、プラズマガスは、ノズル組立体112に送給される。他のケースでは、プラズマガスは、単にカソード114及びアノード116に対して送給して、プラズマプルーム150(出口110から流出するプルームとして示す)を形成し、このプラズマプルーム150が次に、ノズル組立体に流入するようにすることができる。この特定のプラズマ溶射システムでは、プラズマガスは、絶縁体部材130内の通路を通ってガス入口120からガス分配リング142の外径に流れる。ガス分配リング142は、ガスがその内径148に流れるのを可能にする複数の開口部146を含む。開口部146は、あらゆる公知の方法で又は今後開発される方法で構成して、内径148にガスの均一な送給を行なってプラズマプルーム150を発生するようにする。
【0017】
従来型のガス分散リングとは対照的に、リング組立体100はまた、ガス分配リング142と出口110、具体的には例示した実施形態ではアノード116との間で該ガス分配リング142と軸方向に整列した別個の位置決めリング144を含む。図3に最もよく示すように、位置決めリング144は、ガス分配リング142の端面154と接触状態で配置された端面152を含む。一実施形態では、位置決めリング144及びガス分配リング142は各々、セラミックを含み、それらセラミックの各々は、熱処理(例えば、約1093°C(2000°F)の真空炉内で約2時間)して製造によるあらゆる残留応力を解放させることができる。しかしながら、他の実施形態では、位置決めリング144は、セラミックを含むことができ、またガス分配リング142は、銅合金、鉄合金、ニッケル合金などの1つのような金属を含むことができる。何れにしても、位置決めリング144はまた、カソード114から電気絶縁され、またガス分配リング142は、アノード116及び金属ハウジング132から電気絶縁される。
【0018】
別個の位置決めリング144及びガス分配リング142を備えたリング組立体100は、単一ガス分配リングの割れによって引き起こされる問題を軽減する。具体的には、あらゆる割れは、この場合には高温領域122から距離を置いたガス分配リング142ではなく、高温領域122に直面する位置決めリング144内に発生する。すなわち、ガス分配リング142を高温領域122から距離を置くことにより、カソード114及びアノード116間の電気絶縁を維持しながら、ガス分配ゾーン内における温度を制限する。その結果として、ガス分配リング142は、温度の低下により割れ発生し難くなる。ガス分配リング142が割れ発生しないので、プラズマガスの流れパターンは乱されず、かつプラズマ及びそれに続く粒子軌道は、安定状態を維持することになる。さらに、電気的短絡の危険性も排除される。
【0019】
図5〜図9を参照すると、位置決めリング144の様々な異なる実施形態を示している。この実施形態の各々では、位置決めリング144は、該位置決めリング144を分割して熱膨張及び収縮を可能にして熱発生応力による割れ発生の機会を減少させる不連続部160を含む。不連続部160は、多様な形態を取ることができる。図5では、不連続部160は、リング144内にスプリット162を含む。スプリット162は、半径方向に延びるものとして示しているが、そのことは必ずしも必要でない、すなわち、スプリット162は、リング144の中心と半径方向に整列しない角度で延びることができる。
【0020】
図6〜図9では、位置決めリング144は、該位置決めリングを形成するように嵌合する少なくとも一対のアーチ形部分164を含む、すなわち、2つの不連続部160が、リングをアーチ形部分に分割するように設けられる。図6では、不連続部160はスプリット166を含む。スプリット166は、半径方向に延びるものとして示しているが、そのことは必ずしも必要ではない、すなわち、これらスプリット166は、リング144の中心と半径方向に整列しない角度で延びることができる。さらに、スプリット166は一対の半円形嵌合部分164を形成するように直径方向に正反対に対向するものとして示しているが、スプリット166は、非対称アーチ形部分を形成するようなあらゆる方法で互いに対して傾斜させることができる。さらに、図6におけるスプリット166はまた、平面になっているものとして示しているが、このことは全てのケースで必ずしも必要であるものではない。例えば、図7〜図9に示すように、各アーチ形嵌合部分164は、その端部に座面170を含み、この座面170は、隣接するアーチ形嵌合部分164の座面172(図7のみ)と相補的に嵌合することができる。図7〜図9に示す実施例では、段付き構成を示しているが、例えば組合せ湾曲表面、雄−雌組合せ表面又は部材などのような様々の異なる構成が実施可能である。位置決めリング144の上述の態様は、あらゆる方法で組合せることができる。
【0021】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する場合に、数詞を付していない表現は、文脈がそうでないことを明確に示していない限り、複数の形態もまた含むことを意図している。さらに、本明細書で使用する場合の「含む」及び/又は「含んでいる」という用語は、記述した特徴、回数、ステップ、操作、要素及び/又は構成部品の存在を特定するが、1以上のその他の特徴、回数、ステップ、操作、要素、構成部品及び/或いはそれらの群の存在又は付加を排除するものではないことを理解されたい。
【0022】
提出した特許請求の範囲における全ての手段又はステッププラス機能要素の対応する構造、材料、作用及び均等物は、明確に特許請求したその他の特許請求要素と組合せて機能を実行するためのあらゆる構造、材料又は作用を含むことを意図している。本発明の記載は、例示及び説明のために示したものであり、開示を網羅的なものにしようとする或いはこの開示を開示した形態に限定しようとするものではない。本発明の技術的範囲及び技術思想から逸脱せずに当業者には多くの修正及び変更が明らかになるであろう。本実施形態は、本発明の原理及び実施可能な用途を最も良好に説明するようにまた当業者が様々な実施形態についての開示を意図した特定の用途に適合するような様々な修正と共に理解するのを可能にするように選択しかつ説明している。
【符号の説明】
【0023】
100 リング組立体
102 プラズマ溶射システム
110 出口
112 ノズル組立体
114 カソード
116 アノード
118 電圧発生機
132 金属ハウジング
124 ノズル
112 ノズル組立体
130 絶縁体部材
120 ガス入口
150 プラズマプルーム
122 高温領域
142 分配リング
144 位置決めリング
140 内部空洞
148 内径
152 端面
160 不連続部
162 スプリット
164 部分
170 座面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ溶射システム(102)用のガス分配リング(142)組立体(100)であって、
その内径(148)にガスを流すことのできる複数の開口部を備えたガス分配リング(142)と、
前記ガス分配リング(142)と前記プラズマ溶射システム(102)の帯電出口(110)との間で該ガス分配リング(142)と軸方向に整列した別個の位置決めリング(144)と
を含むリング組立体。
【請求項2】
前記位置決めリング(144)が、前記ガス分配リング(142)の端面(154)と接触状態で配置された端面(152)を含む、請求項1記載のリング組立体。
【請求項3】
前記位置決めリング(144)及びガス分配リング(142)が各々セラミックを含む、請求項1記載のリング組立体。
【請求項4】
前記位置決めリング(144)がセラミックを含み、前記ガス分配リング(142)が金属を含む、請求項1記載のリング組立体。
【請求項5】
前記金属が銅合金、鉄合金及びニッケル合金からなる群から選択される、請求項4記載のリング組立体。
【請求項6】
前記位置決めリング(144)が、該位置決めリング(144)を形成するように嵌合する少なくとも一対のアーチ形部分(164)を含む、請求項1記載のリング組立体。
【請求項7】
前記位置決めリング(144)が一対の半円形嵌合部分(164)を含む、請求項6記載のリング組立体。
【請求項8】
各アーチ形嵌合部分がその端部に座面(170)を含み、前記座面(170)が隣接するアーチ形嵌合部分の座面(170)と相補的に嵌合する、請求項6記載のリング組立体。
【請求項9】
前記位置決めリング(144)がその中に不連続部(160)を含む、請求項1記載のリング組立体。
【請求項10】
プラズマ溶射システムであって、
カソード(114)及びアノード(116)を備えた出口(110)と、
前記カソード(114)を前記アノード(116)から電気絶縁する絶縁体部材(130)と、
ガス分配リング(142)組立体であって、その内径(148)にガスを流すことのできる複数の開口部を備えかつガスを送給するガス分配リング(142)と、前記ガス分配リング(142)及び出口間で該ガス分配リング(142)と軸方向に整列した別個の位置決めリング(144)とを含むガス分配リング(142)組立体と、
前記ガス分配リング(142)にガスを送給するガス入口と
を含むプラズマ溶射システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−42875(P2011−42875A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184514(P2010−184514)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】