プラズマ生成用誘導装置
トーチにおいてプラズマを維持するための装置が提供される。ある実施例では、装置は、電源に連結するように構成されてトーチの半径面に沿ってループ電流を流すように構成配置された第1の電極を備える。いくつかの実施例では、トーチの半径面はトーチ長手方向軸に実質的と直交する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ある実施例はプラズマを生成するのに使用される装置および方法、および、かかる装置により生成されるプラズマにおいて導入されるサンプルを分析するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)システム、誘導結合プラズマ原子吸光分光学(ICP−AAS)システム、および誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)システムは、プラズマを形成するためにRF電流を受け入れるソレノイドを使用する。しかしながら、磁界により生成された誘導電流は歪められて、ソレノイドの螺旋構造のために、ソレノイドの内部の長さに亘って非均一である。この非均一性は、プラズマ内に可変温度分布を生じ、これはプラズマにおけるサンプル励起およびイオンの軌跡に影響を与え得る。加えて、ソレノイドは単一素子であり、磁界およびプラズマ/サンプル励起により形成される、関連付けられた誘導電流を制御する際の柔軟性に欠けている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
第1の態様によると、プラズマを生成するのに使用する装置が提供される。ある実施例においては、トーチの作動時にガス流が導入される長手方向軸を有し、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面を有するトーチにおいてプラズマを生成するための装置が開示される。あるいくつかの実施例では、装置は、電源に連結するように構成されてトーチの半径面に沿ってループ電流を流すように構成配置された第1の電極を含む。ある実施例では、装置は、電源に連結するように構成されてトーチの半径面に沿ってループ電流を流すように構成配置された第2の電極をさらに含む。いくつかの実施例では、第1および第2の電極のそれぞれは、対称的な内側断面、例えば円形の内側断面を含むプレートを含む。ある実施例では、少なくとも1つのスペーサが第1の電極および第2の電極を分離する。他の実施例では、本明細書に記載されるように、第1の電極はトーチにおいて対称プラズマまたは実質的対称プラズマを維持するように構成される。ある実施例では、第1の電極、第2の電極またはその両方は、その電極の1つ以上にRF電力を供給するように構成される無線周波数源と電気的に連通し得る。いくつかの実施例では、第1の電極および第2の電極はそれぞれ自分の無線周波数源を有する。ある実施例では、第1の電極、第2の電極またはその両方は、接地プレートに電気的に連通する。装置は、誘導結合プラズマ発光スペクトロメータ、誘導結合プラズマ原子吸収スペクトロメータ、誘導結合プラズマ質量スペクトロメータまたは他の適切な機器において使用されるように構成され得る。
【0004】
別の態様によると、トーチの作動時にガス流が導入される長手方向軸を有し、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面を有するトーチにおいてプラズマを生成するための装置が開示される。ある実施例では、装置はトーチの半径面に沿ってループ電流を流すための手段を含む。いくつかの実施例では、手段は電極またはトーチの半径面に沿って無線周波数電流を流すことが可能な同等の構造であり得る。ある実施例では、本明細書に記載されるように、手段はプレート電極であり得る。
【0005】
さらなる態様によると、長手方向軸を有し、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面を有するトーチにおいてプラズマを維持する方法が提供される。ある実施例では、方法は、トーチの長手方向軸に沿ってガス流を流す工程と、トーチにおいてガス流を点火す
る工程と、半径面に沿ってループ電流を流し、トーチにおいてプラズマを維持する工程とを含む。いくつかの実施例において、方法は実質的対称プラズマになるようにプラズマを構成する工程をさらに含む。
【0006】
別の態様によると、実質的対称プラズマが開示される。ある実施例では、実質的対称プラズマは、トーチにおいてガス流を点火し、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面に沿ってループ電流を流して実質的対称プラズマを維持することにより生成され得る。
【0007】
本開示の利点を鑑みると、さらなる態様および実施例は当業者に認識され、ある態様および実施例はより詳細に以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
詳細な説明
ある実施例は添付図を参照して下記に説明される。
【0009】
本開示の利点を鑑みると、図に示される模範的誘導装置および他の装置は一定の縮尺ではないこともあり得ることは、当業者により認識されるであろう。誘導装置、トーチなどのある特徴または寸法は、本明細書に開示される態様および実施例のより十分な理解を促すために他の特徴に対して拡大、縮小または変形されていることもあり得る。
【0010】
本明細書に開示される誘導装置技術の多くの用途および使用の一部を例示するために、ある実施例が以下に説明される。本開示の利点を鑑みると、これらおよび他の使用は当業者により容易に選択されるであろう。それ以外に文脈から明らかでなければ、同一番号は異なる図における同様の構造を示す。
【0011】
ある実施例によると、対称または実質的対称プラズマを生成する装置が開示される。本明細書において使用されるように、「対称プラズマ」とは、プラズマの中心から半径方向に延びる、選択された半径面に対して対称的温度プロファイルを有するプラズマを示す。例えば、プラズマの半径方向スライスは、半径方向スライスに関連付けられたライフセーバ形状トーラス放電を有するであろう。トーラスの中心から任意の所定半径に対して、温度はその半径の中心回りの任意の所定角度の測定に対してかなり均一である。本明細書で使用されるように、「実質的対称プラズマ」とは、プラズマの中心から半径方向に延びる、選択される半径面に対して、同様の温度プロファイルを有するが、温度プロファイルはトーラス放電の中心から任意の所定半径に対して約5%まで可変し得るプラズマを示す。対称プラズマまたは実質的対称プラズマの使用は、トーチに蓄積するよりカーボン、より少ないトーチメンテナンス、トーチの軸方向すなわち長手方向軸に実質的に平行なイオン軌跡、およびプラズマの中心へのより効率的なサンプルトランスファを含むが、これらに限定されない重要な利点を提供し得、また冷却ガスの量を低減するか冷却ガスを全く使用しないかが可能となり得る。また、本明細書で使用されるように、「実質的に直交」とは、約5度以内で直行することを示す。本開示の利点を鑑みると、トーチはその長手方向軸と直交する多数の半径面を含み、本明細書における半径面に沿ったループ電流の言及は、トーチの長手方向軸に沿った任意の1つの特定位置にループ電流を位置付けることを暗示または提案するものでないことは、当業者により認識されるであろう。
【0012】
図1を参照すると、模範的誘導結合プラズマ発光スペクトロメータ(ICP−OES)100の概略図が示される。ある実施例において、ICP−OES100は概ね、キャリアガス102をトーチ114に導き、そこでキャリアガス102をイオン化してホットプラズマ116(例えば、5,000〜10,000K以上)を形成するためのシステムを含む。いくつかの実施例では、プラズマ116は予熱ゾーン190、誘導ゾーン192、初期放射ゾーン194、分析ゾーン196およびプラズマテイル198(図3参照)を含
む。原子化サンプル104はポンプ106、ネブライザ108および噴霧室162を介してプラズマ116に導かれ得る。図1に示される例示的構成では、RF電源110は誘導装置112を経てRF電力をプラズマ116に供給する。プラズマ116では、励起された原子がより低い状態に減衰するにつれて、励起されたサンプル原子104は光134を発光する。発光された光134は集光光学118により集光されて、スペクトル分解するスペクトロメータ120に導かれる。検出器122はスペクトル分解された光134を検出して、信号138、140をマイクロプロセッサ122および分析用コンピュータネットワーク124に与えるように作動し得る。種が発光しない実施例では、誘導結合原子吸収スペクトロメータが使用されて光を原子化された種に供給し、検出器を使用して原子化された種による吸光を検出し得る。例示的原子吸収スペクトロメータはPerkinElmer,Inc.から入手可能であり、模範的原子吸収スペクトロメータは、例えば、実質的に開示全体が本明細書に参照により組み込まれた、2005年3月11日に出願された、“Plasmas and Devices Using Them”と称された、共同所有された米国仮出願第60/661,095号に記載される。
【0013】
図1では、プラズマ116をプラズマ116の長手方向軸に対して直角の方向から見る、すなわち、半径方向に見るか、または半径方向軸に沿って見たものである。但し、本開示の利点を鑑みると、プラズマ116の見方は、プラズマ116の長手方向軸126に沿った方向から、すなわち軸方向からも行い得ることは当業者に理解されるであろう。軸方向における発光の検出は、大幅な信号対ノイズ利点を提供する。
【0014】
また、本開示の利点を鑑みると、誘導結合プラズマを、図2に見られるような誘導結合プラズマ質量スペクトロメータ(ICP−MS)100における四重極質量分析器などの質量スペクトロメータ(MS)180と共に使用し得ることも当業者には理解されるであろう。RF電源110は、概ね約1〜500MHz、詳細には20〜50MHz、例えば、27〜40MHzの範囲で動作し、約100ワットから約10キロワットの電力が電極に供給され磁界を生成する。例示的質量スペクトロメータはPerkinElmer,Inc.より市販され、模範的質量スペクトロメータは、例えば、2005年3月11に出願された、“Plasmas and Devices Using Them”と称された、共同所有された米国仮出願第60/661,095号に記載される。
【0015】
図3は図1および図2のプラズマ116のより詳細な概略を示す。トーチ114は3個の同軸チューブ114、150および、148を含む。最内部チューブ148はサンプルの原子化されたフロー146をプラズマ116内に供給する。真中のチューブ150は、補助ガス流144をプラズマ116に供給する。最外部チューブ114はプラズマを維持するためのキャリアガス流128を供給する。キャリアガス流128は真中のチューブ150の回りの層流でプラズマ116に導かれ得る。補助ガス流144は真中のチューブ150内でプラズマ116に導かれ得、原子化されたサンプルフロー146は、噴霧室162から最内部チューブ148に沿ってプラズマ116に導かれ得る。負荷コイル112におけるRF電流130および132は、負荷コイル112内に磁界を形成して、その中にプラズマ116を閉じ込め得る。
【0016】
図1〜図3に示される、また本明細書に記載されるある他の図に示されるプラズマは、多数の異なる電極構造を使用して生成可能である。図4〜図11は電極152、156、158の種々の構造を示す。図4では、電極152は互いに距離‘L’に位置付けられた2つの実質的に平行なプレート152a,152bを含む。ある実施例では、実質的に平行なプレートは約20mmから約200mm、例えば約40mmの幅と、約30mmから約90mm、例えば約70mmの長さを有する。平行なプレート152a,152bはそれぞれアパーチャ154を含み、これを通ってトーチ114、最内部チューブ148、真中のチューブ150およびアパーチャ154が軸126に沿って整列するようにトーチ1
14が位置付けされ得る。アパーチャの正確な寸法および形状は様々であり、トーチを受け入れることが可能な任意の適切な寸法および形状であり得る。例えば、アパーチャは概ね円形で約10mmから約60mmの直径を有し得るか、正方形もしくは矩形形状であり、幅約20mmから約60mmで長さ約20mmから約100mmの寸法を有し得るか、または三角形、長円形、卵形、もしくは他の適切な形状であり得る。「低フロー」トーチなどの小径のトーチが使用される場合、トーチを収容するのに比例してアパーチャの直径は低減可能である。ある実施例では、アパーチャはトーチよりも約0〜50%または典型的には約3%大きくなるような大きさであり得るが、他の実施例では、トーチはプレートに接触し得、例えば、実質的に動作上の問題なくトーチのある部分がプレートの表面に接触し得る。実質的に平行なプレート152a,152bは‘t’の厚さを有する。いくつかの実施例では、各プレート152aおよび152bは同じ厚さを有するが、他の実施例ではプレート152aおよび152bは異なる厚さを有し得る。ある実施例では、プレートの厚さは約0.025mm(例えば、絶縁体上に金属化メッキのような、この一例としてはセラミック基板上の銅、ニッケル、銀または金メッキ)から約20mmであり、より詳細には約0.5mmから約5mmであるか、またはこれらの模範的範囲内の任意の特定厚さであり得る。電極152のアパーチャ154はまた、アパーチャ154がその周囲と連通するように、幅‘w’のスロット164を含み得る。スロットの幅は、約0.5mmから約20mm、より詳細には約1mmから約3mm、例えば約1mmから約2mmで変化し得る。
【0017】
ある実施例によると、電極は同一または異なる材料で構成され得る。ある実施例では、電極は、例えばアルミニウム、金、銅、真ちゅう、スチール、ステンレススチール、導電性セラミックならびにその混合物および合金などの導電性材料から構成され得る。他の実施例では、電極は1つ以上の導電性材料のメッキまたはコーティングを含む非導電性材料から構成され得る。いくつかの実施例では、電極は、プラズマを生成するのに必要な高還流に晒される際の高温および融解に耐えることができる材料から構成され得る。本開示の利点を鑑みると、電極を構成するためのこれらおよび他の適切な材料は当業者により容易に選択されるであろう。
【0018】
図4および図5を参照すると、電極152は概ね四角または矩形の平面形状で構成され得るが、図12に見られるようにワイヤであり得る。ある実施例では、平面電極に供給されたRF電流は平面ループ電流172aを生じ、この電流はアパーチャ154を通ってトロイダル磁界182を生成する(図12参照)。平面電流ループは実質的に半径面と平行であり得、トーチの長手方向軸と実質的に直交している。トロイダル磁界は図3に示されるトーチ114などのトーチ内にプラズマを生成および維持するように働き得る。典型的なプラズマでは、アルゴンガスが1分間に約15〜20リットルの流速でトーチ内に導入され得る。プラズマは、アルゴンガスを点火するのにスパークまたはアークを使用して生成され得る。トロイダル磁界はアルゴン原子およびイオンを衝突させて、プラズマを形成する、例えば約5,000から10,000K以上の超加熱環境を生じる。
【0019】
図6および図7を参照すると、電極156はD1の外径とD2のアパーチャ内径を有する丸い種類であり得る。いくつかの実施例では、外径は約10mmから約20cm、より詳細には約25mmから約10cm、例えば約30mmから約50mmの範囲で、内径は約10mmから約15cm、より詳細には約5mmから約5cm、例えば約20mmから約24mmの範囲である。ある実施例では、図4〜図7の電極152、156は、RF電流172が独立して供給され、典型的には異極性(異極性は動作には必須ではないが)の別個の素子であり得る。他の実施例では、図4〜図7の電極152、156は、電気的に連通した素子であり得、それぞれ所望の極性を提供して磁界を生成するように適切に設計され得る。
【0020】
ある実施例によると、電極152の一方の部分176にはRF電力が供給され、電極152の第2の部分178は接地174に繋がられる。いくつかの実施例では、電極は機器シャーシに接地され得るが、他の実施例では、電極は接地プレートに搭載されて接地され得、それ自身適切な方法で接地され得る。プラズマ116のアーク点火時に、点火アークが電極152と接触しても、電極152においてセットアップされたいかなる不必要な電流も接地ポイント174に導かれ得、RF電力供給110まで導かれない。各電極152に供給されたRF電力および周波数は最適性能に独立して制御され、可変され得る。例えば、各電極152はプラズマ発光および励起を最適化するために異なる周波数で作動され得る。加えて、一方の電極(または両電極)が継続電力モードで作動され得、他方の電極は変調可能である(例えば、パルス状またはゲート型)。ある実施例では、電極152が互いに接続されていないので、電極152間の距離‘L’は調節され得、これによりプラズマ116内の電力分布の調節を生じ得る。さらに、アパーチャ154の直径D2は、RF電源110とプラズマ116との間の結合特性を調節するために独立して調節され得る。
【0021】
ある実施例によると、電極間の距離を制御するためにスペーサが電極間のある部分に設置され得る。ある実施例では、スペーサは電極を構成するのに使用されるのと同じ材料を使用して構成される。いくつかの実施例では、スペーサは電極材料と実質的に同じ熱膨張率を有する材料から作られるので、電極が異なる温度で膨縮するにつれて、スペーサはほぼ同じ率で膨縮する。いくつかの実施例では、スペーサはステンレススチールワッシャ、真ちゅうワッシャ、銅ワッシャまたは他の適切な導電性材料から作られたワッシャである。ある実施例では、スペーサは電極を接続するボルトまたはナットを受けるのに適した大きさのワッシャである。1つ以上のスペーサを用いて、電極間の距離が容易に再生および/または変更され得る。本開示の利点を鑑みると、本明細書に開示される電極と共に使用するスペーサの適切な材料および形状を選択することは、当業者の能力内であろう。
【0022】
図8〜図11を参照すると、誘導装置158は、共通の電気接地170に接続された2つの電極166、168を含むように示される。誘導コイル158は、電極166および168が互いに電気的に連通した状態で螺旋状コイルとして構成され得る。RF電流172が誘導装置158に供給されると、ループ電流172aが生成され、トロイダル磁界を生じる。ループ電流172aは電極166および168の平らな表面に実質的に平行であり、トーチの長手方向軸と実質的に直交することになろう。誘導コイル158は共通電気接地170(図10を参照)において接地されて、電極166および168の溶解を生じ得る不必要なアーク放電を防止し得る。ある実施例では、電極166および168は互いに距離Lで離間される(図8および図10を参照)。電極166および168間の正確な距離は様々であり得、模範的な距離は約1mmから約5cm、より詳細には約2mmから約2cm、例えば約5mmから約15mmを含むが、これらに限定されない。ある実施例では、電極166および168は搭載面と実質的に直交して配置される。他の実施例では、電極166および168はトーチの軸方向寸法および電極の半径方向寸法が実質的に直交するような角度で傾斜され得る。いくつかの実施例では、各電極166および168は、同じ方向に角度を付けられ得るが、他の実施例では、電極166および168は反対方向に角度付けられ得る。本開示の利点を鑑みると、当業者は本明細書で開示される例示的誘導装置の電極に対して適切な構成および角度を選択することができるであろう。
【0023】
ある実施例によると、トーチを囲む誘導装置の模範的構成が図13に示される。誘導装置112は同軸流体管114、150および148を囲み得る。キャリアガス流128はトーチに導入されて、誘導装置112を使用したプラズマ生成用ガスを供給し得る。補助ガス流144は同軸チューブ150に導入されて、インジェクタ148に対するプラズマ位置を制御するためのガスを供給し得る。サンプルフロー146はエアロゾール管148に入り得、そこで誘導装置112により生成されるプラズマに噴霧される。種々のガス種
の正確な流速は様々であり得る。例えば、キャリアガスは典型的に約10L/分から約20L/分の流速、例えば約15〜16L/分で導入される。補助ガスは典型的には約0L/分から約2L/分の流速で導入される。サンプルは、サンプルの脱溶媒和および/または原子化を提供するのに適した流速で導入可能である。いくつかの実施例では、サンプルは約0.1L/分から約2L/分の流速で導入される。本開示の利点を鑑みると、キャリアガス、補助ガスおよびサンプルのさらなる流速は当業者により容易に選択されるであろう。
【0024】
図14を参照すると、単一のRF電流源110から生成される複数のループ電流184a,184bが示される。図示の明確さのために、電極は図14では省略されている。ループ電流184a,184bは反対の極性の電流を並置する電極に印加することにより生成される。ループ電流184a,184bは、正弦波交流電流の交流半サイクルの間に第1のループ電流184aにおける交流電流172aが第2のループ電流184bにおける交流電流172bと同じ方向に流れるように、適切な方法で互いに対して方向付けられ得る。この構成により、複数のループ電流184a,184bが単一の電源110から駆動されて、同じ空間的配向性を有する磁界182a,182bを生成することが可能となる。この一例は、図17および図18に見ることができ、各コイル1002および1004の対角線上に並置した脚は、すぐ下に位置する単一RF源から駆動されて、やはり対角線上に並置される残りの2本の脚も接地プレート1006に共通に接続される。ループ電流184a,184bの平面もまた、トーチの長手方向軸126と実質的に直交し、トーチの半径面に実質的に平行している。ある実施例では、装置は磁界を生成して対称または実質的対称プラズマを維持するように構成配置された2つ以上の電極を含む。ある模範的電極は図1〜図14を参照して上記で述べられ、他の模範的電極は下記で述べられる。
【0025】
ある実施例によると、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面に沿って第1のループ電流が流されるように構成配置される第1の電極を含む、プラズマを生成するための装置が開示される。図15Aおよび15Bを参照すると、装置400は電極402を含み、電極402は、スロット404およびトーチ410を受けるためのアパーチャ406を有する。電極402は実質的に対称である円形の内側断面を有する。ある実施例では、内側断面の直径は約10mmから約60mm、より詳細には約20mmから約30mm、例えば約20mmから約23mmである。いくつかの実施例では、内側断面の直径は、約1mmの距離でトーチ410の外面と電極402の内側部分を分離させるように選択される。電極402は、トーチ410の長手方向軸(図15Bでは点線として示される)と実質的に直交するように位置付けられ得る。電極402のスロット404は、電極402に流される電流が図15Bに示すようなループ電流412などのループの形状を取ることになるように構成され得る。いくつかの実施例では、ループ電流412はトーチ410の長手方向軸と実質的に直交する、すなわちループ電流の平面がトーチ410の長手方向軸と実質的に直交する。実質的に直交するループ電流の使用により、螺旋状負荷コイルを使用して生成されたプラズマよりも、選択された半径面に対してより対称的な温度分布を有するプラズマを生成および/または維持し得る。ある実施例では、対称プラズマまたは実質的対称プラズマは電極402など、トーチ410の長手方向軸と実質的に直交して位置付けられた電極を使用して維持される。ある実施例では、電極の選択された全体形状は様々であり得る。例えば、および図15Aに示すように、電極402は全体矩形形状で構成される。しかしながら、円形、三角形、リング、楕円、トロイドなど他の適切な形状も使用され得る。第1の電極は本明細書に説明されるように接地プレートに搭載され得る。
【0026】
ある実施例では、図15Aの電極402と同様の第2の電極も、半径面に平行に構成配置され得、それはトーチ410の長手方向軸と実質的に直交する。他の実施例では、第2のループ電流の平面は第1のループ電流の平面に実質的に平行であり得る。いくつかの実施例では、第1および第2のループ電流は同じ方向に流れ得、他の実施例では、第1およ
び第2のループ電流は反対方向に流れ得る。1つ以上の電極が使用される実施例では、図15Aに示されるRF源420のような単一のRF源が第1および第2電極のそれぞれにRF電力を供給し得るか、または別個のRF源が第1および第2の電極にRF電力を供給し得る。いくつかの実施例では、第1および第2の電極を分離するのにスペーサが使用される。第1および第2の電極にRF電力を供給するのに単一RF源が使用されて、かつスペーサが使用される実施例では、スペーサは例えば、銅、真ちゅう、金などの導電性材料で作られ得る。第1および第2の電極にRF電力を供給するのに別個のRF源が使用されて、かつスペーサが使用される実施例では、第1電極から第2の電極への電流の流れを防止するために、スペーサは非導電性材料、例えばガラス、プラスチックなどによって作られ得る。
【0027】
ある実施例では、第1の電極、第2の電極またはその両者は接地プレートに接地され得る。例えば、図16Aおよび図16Bを参照すると、誘導装置500は、それぞれ接地プレート506に搭載された第1の電極502および第2の電極504を含み得る。図16Aおよび16Bに示される例では、電極502および504はそれぞれ支持503および505を使用して接地プレート506に搭載され得る。ある実施例では、各電極502および504の対角線上に並置された脚は、すぐ下に位置する単一RF源から駆動され、やはり対角線上に並列する残りの2本の脚は接地プレート506に共通に接続され得、すべての構成要素は、503および505として典型的に識別される4つの同一の取り付け具を介して電気的に接続され得る。支持503および505は、電極502および504と接地プレート506の間の電気的連通を提供し得、プラズマのアーク点火の際に点火アークが電極502、504に接触しても、電極502、504にセットアップされたいかなる不必要な電流も接地プレート506に導かれて、電極502および504と電気的に連通するRF電源(図示せず)まで流れないようにされ得る。接地プレート506と共に電極502および504の使用することにより、螺旋状負荷コイルを使用して生成されるプラズマより対称的なプラズマが提供され得、これはある種の検出制限を改善することができる(本明細書の実施例においてより詳細に述べられる)。例えば、既存の螺旋状負荷コイルを使用すると、負荷コイルの螺旋に従うというプラズマの傾向により非均一プラズマ放電が生じるために、温度が下がり、脱溶媒和および/または原子化において効率が悪いプラズマの領域が存在し得る。本明細書で開示される誘導装置の実施例を使用すると、選択された半径面に対してより対称的な温度分布を有するプラズマが生成され、これはより均一な脱溶媒和および原子化を提供することができ、その結果性能を向上させ、トーチ寿命を延ばし、有機物と共に使用される際の炭素の蓄積を少なくする。
【0028】
ある実施例では、本明細書に開示されるような誘導装置は、従来の螺旋状負荷コイルよりもずっと低い電力で作動され得る。例えば、約800ワットから1250ワット、例えば約900ワットから約1050ワットの電力を本発明に開示される誘導装置で使用して、例えば化学分析用の機器において使用するのに適したプラズマを維持し得る。単に比較の目的で、典型的な従来の螺旋状負荷コイルは約1450ワット以上の電力を使用して化学的分析に適したプラズマを維持する。いくつかの実施例では、本明細書で提供される誘導装置は、螺旋状負荷コイルよりも約10〜20%低い電力を使用するように構成される。
【0029】
ある実施例によると、電極および接地プレートの正確な厚さは、例えば、装置の意図された使用、プラズマの所望の形状などに依存して様々であり得る。ある実施例では、電極は約0.05〜10mmの厚さ、より詳細には約1〜7mmの厚さ、例えば約1,2,3,4,5もしくは6mmの厚さ、またはこれらの例示的厚さ間の任意の寸法であり得る。同様に、接地プレートの正確な寸法および厚さも様々であり得る。例えば、接地プレートは約5mmから約500mmの幅から、約5mmから約500mmの長さであり得るか、または全機器シャーシそのものと同じ大きさが可能であり、約0.025mmの厚さから
約20mmの厚さを有し得る。本開示の利点を鑑みると、所望のプラズマ形状を提供するために適切な電極および接地プレート寸法および厚さを選択することは当業者の能力の範囲内であろう。
【0030】
ある実施例によると、誘導装置の各電極は個々に調整されるか制御され得る。図16Cを参照すると、誘導装置600は、それぞれ支持603および605を介して接地プレート606と電気的に連通する電極602および604を含む。接地プレート606は電極602、604の溶解を生じ得る、不必要なアーク放電を防止するように構成され得る。ある構成において、接地プレート606はそれ自身が機器シャーシに接地され得る。RF源610は電流を電極602に流すように構成され得、RF源620は電流を電極604に流すように構成され得る。電極602および604に供給される電流は同じであり得るか、または異なり得る。電流はまた、プラズマの作動時に変更または変化させて、プラズマの形状および/または温度を変化させ得る。他の実施例では、単一RF源は両電極602、604に電流を流すように構成され得る。例えば、かつ図16Dを参照して、誘導装置650はそれぞれ支持603および605を介して接地プレート606と電気的に連通した電極602および604を含む。RF源660は、電極602および604のそれぞれに電流を流すように構成され得る。単一のRF源が使用されて、電流を電極602および604に流し得るとしても、各電極に提供される電流は同じであり得るか、または同じではないこともあり得る。例えば、適切な電子回路が実装されて、異なる電流を電極の一方に提供し得る。本開示の利点を鑑みると、当業者は1つ以上のRF源を使用して適切な誘導装置を設計することができるであろう。
【0031】
ある実施例によると、トーチの作動時にガス流が導入される長手方向軸を有し、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面を有するトーチにおいてプラズマを維持するための装置が提供される。ある実施例では、装置はトーチの半径面に沿ってループ電流を流すための手段を含む。適切な手段は、本明細書に開示される任意の1つ以上の電極、または半径面に沿ってループ電流を流すことができる他の適切な装置を含むが、これに限定されない。
【0032】
ある実施例によると、長手方向軸を有し、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面を有するトーチにおいてプラズマを維持する方法が開示される。ある実施例では、トーチの長手方向軸に沿ってガス流を流すことと、トーチにおいてガス流を点火することと、半径面に沿ってループ電流を流してトーチにおいてプラズマを維持することを含む。ループ電流は、本明細書で開示される電極の任意の1つ以上または半径面に沿ってループ電流を流し得る他の適切な電極構成を使用して流し得る。ある実施例では、本明細書に記載される方法を使用して維持されるプラズマは実質的対称プラズマである。
【0033】
ある実施例によると、プラズマからの信号は誘導装置の2つ以上の電極間でモニタされ得る。いくつかの実施例では、電極間または電極の上での励起された種の発光の半径方向検出は、標準光学検出器を使用して行われ得る。他の実施例では、軸方向検出を使用して、プラズマからの信号またはプラズマにおける種をモニタし得る。
【0034】
本開示の利点を鑑みると、電極に電流を流すのに適した電子的構成要素は当業者により容易に選択されるであろう。例えば、例示的RF源およびオシレータは、開示全体が実質的に参照により本明細書に組み込まれた米国特許第6,329,757号に見つけられ得る。
【0035】
ある特定実施例について以下により詳細に述べ、さらに技術の態様および実施例を例示する。
【0036】
実施例1−プレート誘導コイル
誘導装置1000は2つの電極1002および1004を備えて組立てられて、そのそれぞれは接地プレート1006に接地された(図17および18参照)。電極1002および1004はそれぞれ、50−52シートアルミニウムから加工された2mmの厚さのプレートとした。変形されたフェースプレートをインストールし、PerkinElmer,Inc.から入手可能なOptima2000およびOptima4000機器で評価した。図17および図18に示されるこのフェースプレートは、螺旋状負荷コイルを接地プレート1006、インダクタ1002および1004ならびに取り付け具に置き換えることを含む。ボルト固定取り付けブロックに対して必要とされる場合は、クリアランス穴を含むように非常に微細な変形がフェースプレートに必要であった。生成器には機能的変更は行われなかった。変形された機器は約15L/分の流速で機器仕様のすべてを確実に満たすようにテストされた(図19(溶接ガラスを通して見る)および図20に示すプラズマを参照)。オシレータヒートシンクの温度は、同じ入力電力に対して、螺旋状負荷コイルを使用したときよりも低かった。示されるオシレータヒートシンク温度が低ければ低いほど、プラズマにはより多くの電力が到達していた。プラズマはまた、従来の螺旋状負荷コイル(約1450ワット)で使用された電力よりも低い電力(約1250ワット)で維持可能であった。加えて、機器が1450ワットで操作されると、誘導装置は同じ電力設定で螺旋状コイルよりも良好にサンプルローディングを取扱うことができた。
【0037】
実施例2−対称プラズマ放電
誘電装置は、図21に示すような実質的対称プラズマ放電を生成するように構成された。図22および図23を参照すると、誘電装置1102(3枚のプレート)および1104(2枚のプレート)をそれぞれ使用して実質的対称プラズマ放電を生成し、従来の螺旋状負荷コイル1106(3ターン)および1108(2ターン)を比較目的で示す。オシレータに螺旋状負荷コイルを搭載するのに使用するブロックはまた、ブロックをフェースプレートに保持する既存のハードウェア(ネジ)を含む。これらのネジを使用して、螺旋状コイルが取り除かれた後誘導装置脚をブロックに接続した。さらなる変形は必要でなかった。従来の螺旋状負荷コイルに関しては、放電電流およびその結果生じるプラズマ温度は負荷コイルの螺旋に従う傾向があり、それにより非均一なプラズマ放電が生じる。この非均一放電は、歪んだイオン軌跡、サンプルの非均一加熱、プラズマの非平坦ボトムに起因したプラズマの外部周辺へのサンプルの漏れ、およびイオン化の不十分な規定領域を含む多くの不都合を有する。螺旋状負荷コイルにおいて巻かれた銅管の代わりに本明細書に開示される誘導装置を使用することにより、プラズマにおける温度勾配をより良好に制御してより対称的なプラズマを提供することが可能である。誘電装置のプレート間のスペーシングを変化させることにより、本明細書に開示される誘導装置を使用してさらなる調整が提供され得る。例えば、誘導装置のプレート間のスペーシングをずらすことは有益であり得る。負荷コイルターン間のスペーシングを増加させることによりスペーシング変更が従来のコイルで試みられる場合、プラズマはより非対称となる傾向がある。
【0038】
本明細書に開示される誘導装置の使用により、特に低質量範囲(5〜60原子質量単位(AMU))、低減された酸素物割合および低減された作業圧力において、感度が向上することが分かった。例えば、対称プラズマはまた、プラズマの側方周辺にサンプルの漏れを有することなく揮発性サンプルを流すことが可能となり、より十分に規定されたイオン化領域を提供し、プラズマプルームの最上部において負荷コイルが剥がれる高い背景スパイクを除去する。図24は、PerkinElmer,Inc.から入手可能なElan6000ICP質量スペクトロメータでテストされた模範的プレート誘導装置700を示す。誘導装置700は、チューブおよび固体RF生成器の両者と共に、かつICP質量スペクトロメータおよびICP−OES生成器の両者上で作動した。
【0039】
実施例3−スペーサ組み合わせ
ICP質量分析を使用して異なるターン数および異なるスペーサを有する種々の誘導装置がテストされた。標準Elan生成器は1/8銅管からなり、スウェージロック取り付け具を使用して生成器に電気的に接続された3ターン負荷コイルを使用する。誘電装置が使用される場合は、それらはスウェージロック取り付け具の代わりに直接既存の電極にボルトで留められた。各誘導装置に対して、ユニット(PerkinElmer,Inc.から市販されるELAN6000)は最適化されて、その後、マグネシウム(Mg)、ロジウム(Rh)、鉛(Pb),セリウム(Ce)、酸化セリウム(CeO)、バリウム(Ba)、バリウム+2(Ba++)、および背景信号(BG220)を含む、異なる吸引種に対してデータが集められた。データは最大感度信号に正規化されて、図25〜図31に示す結果でプロットされた。種々の感度は、螺旋状負荷コイル(3ターンを備えた1/8インチ径銅管)を有する標準ELAN6000を使用して検出された最大信号に正規化された。テストされた誘導装置の組み合わせは、標準5ターンL2誘導装置、4ターンL2インダクタおよび、プレート間に異なる数のスペーサを備えた0.875径プレート誘導装置の混合であった。本明細書では省略形で使用される用語「L2インダクタ」は、RF生成器内部に位置する内部インピーダンス整合コイルの一部を表す。通常動作電力(別途特定されていない場合)は1000ワットであった。各スペーサは632真ちゅうワッシャであった。テストされた誘導装置の組み合わせを下記に一覧した。省略形は図25〜図31に参照される。
【0040】
1.標準5ターンL2インダクタを備えた標準負荷コイル
2.1S5T−プレート誘導装置、プレート間に1つのスペーサ、および標準5ターンL2インダクタ
3.1S4T−プレート誘導装置、プレート間に1つのスペーサ、および4ターンL2インダクタ
4.1−2S4T−プレート誘導装置、1つのリアスペーサ、2つのフロントスペーサ、および4ターンL2インダクタ
5.1−2S5T−プレート誘導装置、1つのリアスペーサ、2つのフロントスペーサ、および5ターン標準L2インダクタ
6.2S5T−プレート誘導装置、プレート間に2つのスペーサ、および5ターン標準L2インダクタ
7.2S4T−プレート誘導装置、プレート間に2つのスペーサ、および4ターンL2インダクタ
8.3S4T−プレート誘導装置、プレート間に3つのスペーサ、および4ターンL2インダクタ
9.3S5T−プレート誘導装置、プレート間に3つのスペーサ、および5ターン標準L2インダクタ
データがプロットされると、プレート誘導装置および標準5ターンL2インダクタで測定されたデータは、ピンチが存在することを示す2重の山を有した。ピンチはプラズマプルームとサンプリングインターフェース間の2次的放電を指す。ピンチ放電はインターフェースコーンにおいて起こり得るプラズマを最小限にすることにより排除できる。
【0041】
図25は標準ELAN6000質量スペクトロメータを使用して検出されたサンプル毎のプロットであり、すべての測定が比較された。左軸は正規化された強度を表し、x軸はL/分のネブライザ流量を表し、右軸はカウント/分(BG220測定に対して)か、または酸化物の比率(CeO/CeおよびBa++/Ba測定に対して)の何れかを表す。異なる素子の最大感度ピークは異なるネブライザ流速で発生する。感度の理由から、酸化物が他の種の測定に干渉する傾向があるので、素子の最大感度は、酸化セリウムなどの酸化物の最大感度を観察するのに使用される流速よりも低い流速で発生することが好適である。
【0042】
図26を参照すると、4ターンL2内部インピーダンス整合インダクタおよび構成(1S4T)をテストした結果が示される。1S4T装置を使用すると、異なる素子(Mg、Rh,Pb)の最大感度ピークは同じネブライザ流量(約0.84)で発生した。シングルスペーサは、最も高い中間質量感度(中間質量とは典型的には、60〜180AMUの間の原子質量単位を有する種を指し、高質量とは180から238AMUの原子質量単位を有する種を指す)を発揮した。
【0043】
図27を参照すると、ダブルフロントシングルリアスペーサ4ターンL2インダクタ(1−2S4T)をテストした結果が示される。1−2S4T装置を使用すると、マグネシウム、ロジウムおよび鉛信号をCe/CeOと共に観察される酸化物の山の頂上(TOM)から分離させることが可能であった。
【0044】
図28を参照すると、酸化セリウム/セリウム信号と比較して、ロジウム感度に対して種々の負荷コイルをテストした。テストされた装置は、標準螺旋状負荷コイルと、1つのリアスペーサ、2つのフロントスペーサおよび4ターンL2インダクタを有するプレート誘導装置(1−2S4T)とを含んだ。1−2S4T装置を使用すると、ロジウムの最大感度ピークはより低い流速にずれて、酸化セリウム/セリウムの最大感度ピークから離れており、これは1−2S4T装置が標準コイルよりも良好なロジウム感度を提供することを示した。
【0045】
図29を参照すると、ロジウム信号はELAN6000からの最大標準信号に対して正規化された。1S4T装置の使用により、標準螺旋状負荷コイルと比較すると、30%の信号増加が提供された。1−2S4T装置を使用すると、標準コイルで観察された酸化物の山が分離した。
【0046】
図30を参照すると、マグネシウムを使用して種々の装置の性能を測定した。1−2S4T装置は、テストされた全装置の中で最も良好な低質量性能を示した。
【0047】
図31を参照すると、鉛を使用して種々の装置の高質量性能を測定した。プレート誘導装置はすべて、約0.96より大きいネブライザ流速において標準ELAN6000に比べると芳しくない高質量性能を発揮した。しかし、より低いネブライザ流速ではプレート誘導装置はすべて標準ELAN6000よりも良好な高質量性能を発揮し、低減された量のサンプルを使用して、高質量種の検出を可能とし得る。
【0048】
実施例4−プレート誘導コイルを使用した発光検出制限
発光スペクトロメータ(PerkinElmer,Inc.から得たOptima3000)に螺旋状負荷コイルまたはプレート誘導装置の何れかを装着して、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)およびセレン(Se)に対する検出制限を測定した。螺旋状負荷コイルは標準3/16”径銅コイルであった。プレート誘導装置は、それぞれトーチを受けるためのアパーチャを有する2つの円形電極を含んだ。比較の目的でのみ、螺旋状負荷コイルとプレート誘導装置を使用した検出制限が下記の表1にて示される。
【0049】
【表1】
【0050】
より新しい機器に関する検出制限は上記の表1で挙げられるものよりも良好であり得るが、検出制限の相対比較では、プレート誘導装置を使用した検出制限は一貫して螺旋状負荷コイルを使用して得られた検出制限よりも低いことが分かる。
【0051】
本明細書に開示される実施例の素子を紹介する際に、冠詞“a”、“an”、“the”および“said”はその素子が1つ以上があることを意味するように意図される。用語「備える(comprising)」「含む(including)」「有する(having)」は制約がなく、挙げられた素子以外のさらなる素子があり得ることを意味するように意図される。本開示の利点を鑑みると、実施例の種々の構成要素は他の実施例の種々の構成要素と置き換え、または代替されることが可能であることは当業者に認識されるであろう。万が一参照により本明細書に組み込まれる特許、特許出願または公報の何れかの用語の意味が本開示において使用される用語の意味と矛盾する場合、本開示の用語の意味が統括するように意図される。
【0052】
ある態様、実施例および実施形態について上記に記載されたが、本開示の利点を鑑みると、開示された例示的態様、実施例および実施形態の追加、代替、変形および変更が可能であることは当業者により認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ある実施例による誘導結合プラズマ発光スペクトロメータ(ICP−OES)の概略図である。
【図2】ある実施例による誘導結合プラズマ質量スペクトロメータ(ICP−MS)の概略図である。
【図3】ある実施例によるICPトーチおよびプラズマの図である。
【図4】ある実施例による2つの電極、ICPトーチおよびプラズマの側面図である。
【図5】ある実施例による、プラズマを維持するための第1の電極であり、電極はアパーチャを含む正面図である。
【図6】ある実施例による、プラズマを維持するための第2の電極であり、電極はアパーチャを含む正面図である。
【図7】ある実施例による図6の電極の側面図である。
【図8】ある実施例による単一電極の斜視図である。
【図9】ある実施例による図8の電極の正面図である。
【図10】ある実施例による図8の電極の側面図である。
【図11】ある実施例による図8の電極の上面図である。
【図12】ある実施例による、ループ電流から生成される磁界の斜視図である。
【図13】ある実施例による、螺旋状種類のソレノイドを示すICPトーチの図である。
【図14】ある実施例による、正弦波交流電流の交流半サイクルの間に、単一RF電源により駆動される複数のループ電流の図である。
【図15A】ある実施例による、電流ループを生成するように構成されたトーチおよび誘導装置を示す図である。
【図15B】ある実施例による、電流ループを生成するように構成されたトーチおよび誘導装置を示す図である。
【図16A】ある実施例による誘導装置の図である。
【図16B】ある実施例による誘導装置の図である。
【図16C】ある実施例による誘導装置の図である。
【図16D】ある実施例による誘導装置の図である。
【図17】ある実施例による誘導装置の軸方向図である。
【図18】ある実施例による図17の誘導装置の半径方向図である。
【図19】ある実施例による、1枚の溶接ガラスを介して見た、図17および図18の誘導装置を使用して生成されたプラズマの図である。
【図20】ある実施例による、図17および図18の誘導装置を使用して生成されたプラズマの図である。
【図21】ある実施例による、プレート電極を備えた誘導装置を使用して生成された対称プラズマの例を示す図である。
【図22】ある実施例による、プレート電極を備えた誘導装置の半径方向図および標準螺旋状負荷コイルの半径方向図を示す図である。
【図23】ある実施例による、図22のプレート電極を備えた誘導装置の軸方向図および図22の標準螺旋状負荷コイルの半径方向図を示す図である。
【図24】ある実施例による3ターン誘導装置の図である。
【図25】ある実施例による、背景および種々の金属種に対する標準螺旋状負荷コイルの性能を示すグラフである。
【図26】ある実施例による、背景および種々の金属種に対する、標準螺旋状負荷コイルの性能を使用して正規化された、1S4T誘導装置(1つのスペーサ、4ターン)の性能を示すグラフである。
【図27】ある実施例による、背景および種々の金属種に対する、標準螺旋状負荷コイルの性能を使用して正規化された、1−2S4T誘導装置(2つのスペーサ、4ターン)の性能を示すグラフである。
【図28】ある実施例による、酸化物およびロジウムサンプルに対する種々の誘導装置の性能を比較するグラフである。
【図29】ある実施例による、種々の誘導装置からのロジウム信号を比較するグラフである。
【図30】ある実施例による、マグネシウムサンプルに対する種々の負荷コイルの性能を比較するグラフである。
【図31】ある実施例による、種々の負荷コイルの高質量性能を比較するグラフである。
【技術分野】
【0001】
ある実施例はプラズマを生成するのに使用される装置および方法、および、かかる装置により生成されるプラズマにおいて導入されるサンプルを分析するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)システム、誘導結合プラズマ原子吸光分光学(ICP−AAS)システム、および誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)システムは、プラズマを形成するためにRF電流を受け入れるソレノイドを使用する。しかしながら、磁界により生成された誘導電流は歪められて、ソレノイドの螺旋構造のために、ソレノイドの内部の長さに亘って非均一である。この非均一性は、プラズマ内に可変温度分布を生じ、これはプラズマにおけるサンプル励起およびイオンの軌跡に影響を与え得る。加えて、ソレノイドは単一素子であり、磁界およびプラズマ/サンプル励起により形成される、関連付けられた誘導電流を制御する際の柔軟性に欠けている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
第1の態様によると、プラズマを生成するのに使用する装置が提供される。ある実施例においては、トーチの作動時にガス流が導入される長手方向軸を有し、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面を有するトーチにおいてプラズマを生成するための装置が開示される。あるいくつかの実施例では、装置は、電源に連結するように構成されてトーチの半径面に沿ってループ電流を流すように構成配置された第1の電極を含む。ある実施例では、装置は、電源に連結するように構成されてトーチの半径面に沿ってループ電流を流すように構成配置された第2の電極をさらに含む。いくつかの実施例では、第1および第2の電極のそれぞれは、対称的な内側断面、例えば円形の内側断面を含むプレートを含む。ある実施例では、少なくとも1つのスペーサが第1の電極および第2の電極を分離する。他の実施例では、本明細書に記載されるように、第1の電極はトーチにおいて対称プラズマまたは実質的対称プラズマを維持するように構成される。ある実施例では、第1の電極、第2の電極またはその両方は、その電極の1つ以上にRF電力を供給するように構成される無線周波数源と電気的に連通し得る。いくつかの実施例では、第1の電極および第2の電極はそれぞれ自分の無線周波数源を有する。ある実施例では、第1の電極、第2の電極またはその両方は、接地プレートに電気的に連通する。装置は、誘導結合プラズマ発光スペクトロメータ、誘導結合プラズマ原子吸収スペクトロメータ、誘導結合プラズマ質量スペクトロメータまたは他の適切な機器において使用されるように構成され得る。
【0004】
別の態様によると、トーチの作動時にガス流が導入される長手方向軸を有し、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面を有するトーチにおいてプラズマを生成するための装置が開示される。ある実施例では、装置はトーチの半径面に沿ってループ電流を流すための手段を含む。いくつかの実施例では、手段は電極またはトーチの半径面に沿って無線周波数電流を流すことが可能な同等の構造であり得る。ある実施例では、本明細書に記載されるように、手段はプレート電極であり得る。
【0005】
さらなる態様によると、長手方向軸を有し、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面を有するトーチにおいてプラズマを維持する方法が提供される。ある実施例では、方法は、トーチの長手方向軸に沿ってガス流を流す工程と、トーチにおいてガス流を点火す
る工程と、半径面に沿ってループ電流を流し、トーチにおいてプラズマを維持する工程とを含む。いくつかの実施例において、方法は実質的対称プラズマになるようにプラズマを構成する工程をさらに含む。
【0006】
別の態様によると、実質的対称プラズマが開示される。ある実施例では、実質的対称プラズマは、トーチにおいてガス流を点火し、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面に沿ってループ電流を流して実質的対称プラズマを維持することにより生成され得る。
【0007】
本開示の利点を鑑みると、さらなる態様および実施例は当業者に認識され、ある態様および実施例はより詳細に以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
詳細な説明
ある実施例は添付図を参照して下記に説明される。
【0009】
本開示の利点を鑑みると、図に示される模範的誘導装置および他の装置は一定の縮尺ではないこともあり得ることは、当業者により認識されるであろう。誘導装置、トーチなどのある特徴または寸法は、本明細書に開示される態様および実施例のより十分な理解を促すために他の特徴に対して拡大、縮小または変形されていることもあり得る。
【0010】
本明細書に開示される誘導装置技術の多くの用途および使用の一部を例示するために、ある実施例が以下に説明される。本開示の利点を鑑みると、これらおよび他の使用は当業者により容易に選択されるであろう。それ以外に文脈から明らかでなければ、同一番号は異なる図における同様の構造を示す。
【0011】
ある実施例によると、対称または実質的対称プラズマを生成する装置が開示される。本明細書において使用されるように、「対称プラズマ」とは、プラズマの中心から半径方向に延びる、選択された半径面に対して対称的温度プロファイルを有するプラズマを示す。例えば、プラズマの半径方向スライスは、半径方向スライスに関連付けられたライフセーバ形状トーラス放電を有するであろう。トーラスの中心から任意の所定半径に対して、温度はその半径の中心回りの任意の所定角度の測定に対してかなり均一である。本明細書で使用されるように、「実質的対称プラズマ」とは、プラズマの中心から半径方向に延びる、選択される半径面に対して、同様の温度プロファイルを有するが、温度プロファイルはトーラス放電の中心から任意の所定半径に対して約5%まで可変し得るプラズマを示す。対称プラズマまたは実質的対称プラズマの使用は、トーチに蓄積するよりカーボン、より少ないトーチメンテナンス、トーチの軸方向すなわち長手方向軸に実質的に平行なイオン軌跡、およびプラズマの中心へのより効率的なサンプルトランスファを含むが、これらに限定されない重要な利点を提供し得、また冷却ガスの量を低減するか冷却ガスを全く使用しないかが可能となり得る。また、本明細書で使用されるように、「実質的に直交」とは、約5度以内で直行することを示す。本開示の利点を鑑みると、トーチはその長手方向軸と直交する多数の半径面を含み、本明細書における半径面に沿ったループ電流の言及は、トーチの長手方向軸に沿った任意の1つの特定位置にループ電流を位置付けることを暗示または提案するものでないことは、当業者により認識されるであろう。
【0012】
図1を参照すると、模範的誘導結合プラズマ発光スペクトロメータ(ICP−OES)100の概略図が示される。ある実施例において、ICP−OES100は概ね、キャリアガス102をトーチ114に導き、そこでキャリアガス102をイオン化してホットプラズマ116(例えば、5,000〜10,000K以上)を形成するためのシステムを含む。いくつかの実施例では、プラズマ116は予熱ゾーン190、誘導ゾーン192、初期放射ゾーン194、分析ゾーン196およびプラズマテイル198(図3参照)を含
む。原子化サンプル104はポンプ106、ネブライザ108および噴霧室162を介してプラズマ116に導かれ得る。図1に示される例示的構成では、RF電源110は誘導装置112を経てRF電力をプラズマ116に供給する。プラズマ116では、励起された原子がより低い状態に減衰するにつれて、励起されたサンプル原子104は光134を発光する。発光された光134は集光光学118により集光されて、スペクトル分解するスペクトロメータ120に導かれる。検出器122はスペクトル分解された光134を検出して、信号138、140をマイクロプロセッサ122および分析用コンピュータネットワーク124に与えるように作動し得る。種が発光しない実施例では、誘導結合原子吸収スペクトロメータが使用されて光を原子化された種に供給し、検出器を使用して原子化された種による吸光を検出し得る。例示的原子吸収スペクトロメータはPerkinElmer,Inc.から入手可能であり、模範的原子吸収スペクトロメータは、例えば、実質的に開示全体が本明細書に参照により組み込まれた、2005年3月11日に出願された、“Plasmas and Devices Using Them”と称された、共同所有された米国仮出願第60/661,095号に記載される。
【0013】
図1では、プラズマ116をプラズマ116の長手方向軸に対して直角の方向から見る、すなわち、半径方向に見るか、または半径方向軸に沿って見たものである。但し、本開示の利点を鑑みると、プラズマ116の見方は、プラズマ116の長手方向軸126に沿った方向から、すなわち軸方向からも行い得ることは当業者に理解されるであろう。軸方向における発光の検出は、大幅な信号対ノイズ利点を提供する。
【0014】
また、本開示の利点を鑑みると、誘導結合プラズマを、図2に見られるような誘導結合プラズマ質量スペクトロメータ(ICP−MS)100における四重極質量分析器などの質量スペクトロメータ(MS)180と共に使用し得ることも当業者には理解されるであろう。RF電源110は、概ね約1〜500MHz、詳細には20〜50MHz、例えば、27〜40MHzの範囲で動作し、約100ワットから約10キロワットの電力が電極に供給され磁界を生成する。例示的質量スペクトロメータはPerkinElmer,Inc.より市販され、模範的質量スペクトロメータは、例えば、2005年3月11に出願された、“Plasmas and Devices Using Them”と称された、共同所有された米国仮出願第60/661,095号に記載される。
【0015】
図3は図1および図2のプラズマ116のより詳細な概略を示す。トーチ114は3個の同軸チューブ114、150および、148を含む。最内部チューブ148はサンプルの原子化されたフロー146をプラズマ116内に供給する。真中のチューブ150は、補助ガス流144をプラズマ116に供給する。最外部チューブ114はプラズマを維持するためのキャリアガス流128を供給する。キャリアガス流128は真中のチューブ150の回りの層流でプラズマ116に導かれ得る。補助ガス流144は真中のチューブ150内でプラズマ116に導かれ得、原子化されたサンプルフロー146は、噴霧室162から最内部チューブ148に沿ってプラズマ116に導かれ得る。負荷コイル112におけるRF電流130および132は、負荷コイル112内に磁界を形成して、その中にプラズマ116を閉じ込め得る。
【0016】
図1〜図3に示される、また本明細書に記載されるある他の図に示されるプラズマは、多数の異なる電極構造を使用して生成可能である。図4〜図11は電極152、156、158の種々の構造を示す。図4では、電極152は互いに距離‘L’に位置付けられた2つの実質的に平行なプレート152a,152bを含む。ある実施例では、実質的に平行なプレートは約20mmから約200mm、例えば約40mmの幅と、約30mmから約90mm、例えば約70mmの長さを有する。平行なプレート152a,152bはそれぞれアパーチャ154を含み、これを通ってトーチ114、最内部チューブ148、真中のチューブ150およびアパーチャ154が軸126に沿って整列するようにトーチ1
14が位置付けされ得る。アパーチャの正確な寸法および形状は様々であり、トーチを受け入れることが可能な任意の適切な寸法および形状であり得る。例えば、アパーチャは概ね円形で約10mmから約60mmの直径を有し得るか、正方形もしくは矩形形状であり、幅約20mmから約60mmで長さ約20mmから約100mmの寸法を有し得るか、または三角形、長円形、卵形、もしくは他の適切な形状であり得る。「低フロー」トーチなどの小径のトーチが使用される場合、トーチを収容するのに比例してアパーチャの直径は低減可能である。ある実施例では、アパーチャはトーチよりも約0〜50%または典型的には約3%大きくなるような大きさであり得るが、他の実施例では、トーチはプレートに接触し得、例えば、実質的に動作上の問題なくトーチのある部分がプレートの表面に接触し得る。実質的に平行なプレート152a,152bは‘t’の厚さを有する。いくつかの実施例では、各プレート152aおよび152bは同じ厚さを有するが、他の実施例ではプレート152aおよび152bは異なる厚さを有し得る。ある実施例では、プレートの厚さは約0.025mm(例えば、絶縁体上に金属化メッキのような、この一例としてはセラミック基板上の銅、ニッケル、銀または金メッキ)から約20mmであり、より詳細には約0.5mmから約5mmであるか、またはこれらの模範的範囲内の任意の特定厚さであり得る。電極152のアパーチャ154はまた、アパーチャ154がその周囲と連通するように、幅‘w’のスロット164を含み得る。スロットの幅は、約0.5mmから約20mm、より詳細には約1mmから約3mm、例えば約1mmから約2mmで変化し得る。
【0017】
ある実施例によると、電極は同一または異なる材料で構成され得る。ある実施例では、電極は、例えばアルミニウム、金、銅、真ちゅう、スチール、ステンレススチール、導電性セラミックならびにその混合物および合金などの導電性材料から構成され得る。他の実施例では、電極は1つ以上の導電性材料のメッキまたはコーティングを含む非導電性材料から構成され得る。いくつかの実施例では、電極は、プラズマを生成するのに必要な高還流に晒される際の高温および融解に耐えることができる材料から構成され得る。本開示の利点を鑑みると、電極を構成するためのこれらおよび他の適切な材料は当業者により容易に選択されるであろう。
【0018】
図4および図5を参照すると、電極152は概ね四角または矩形の平面形状で構成され得るが、図12に見られるようにワイヤであり得る。ある実施例では、平面電極に供給されたRF電流は平面ループ電流172aを生じ、この電流はアパーチャ154を通ってトロイダル磁界182を生成する(図12参照)。平面電流ループは実質的に半径面と平行であり得、トーチの長手方向軸と実質的に直交している。トロイダル磁界は図3に示されるトーチ114などのトーチ内にプラズマを生成および維持するように働き得る。典型的なプラズマでは、アルゴンガスが1分間に約15〜20リットルの流速でトーチ内に導入され得る。プラズマは、アルゴンガスを点火するのにスパークまたはアークを使用して生成され得る。トロイダル磁界はアルゴン原子およびイオンを衝突させて、プラズマを形成する、例えば約5,000から10,000K以上の超加熱環境を生じる。
【0019】
図6および図7を参照すると、電極156はD1の外径とD2のアパーチャ内径を有する丸い種類であり得る。いくつかの実施例では、外径は約10mmから約20cm、より詳細には約25mmから約10cm、例えば約30mmから約50mmの範囲で、内径は約10mmから約15cm、より詳細には約5mmから約5cm、例えば約20mmから約24mmの範囲である。ある実施例では、図4〜図7の電極152、156は、RF電流172が独立して供給され、典型的には異極性(異極性は動作には必須ではないが)の別個の素子であり得る。他の実施例では、図4〜図7の電極152、156は、電気的に連通した素子であり得、それぞれ所望の極性を提供して磁界を生成するように適切に設計され得る。
【0020】
ある実施例によると、電極152の一方の部分176にはRF電力が供給され、電極152の第2の部分178は接地174に繋がられる。いくつかの実施例では、電極は機器シャーシに接地され得るが、他の実施例では、電極は接地プレートに搭載されて接地され得、それ自身適切な方法で接地され得る。プラズマ116のアーク点火時に、点火アークが電極152と接触しても、電極152においてセットアップされたいかなる不必要な電流も接地ポイント174に導かれ得、RF電力供給110まで導かれない。各電極152に供給されたRF電力および周波数は最適性能に独立して制御され、可変され得る。例えば、各電極152はプラズマ発光および励起を最適化するために異なる周波数で作動され得る。加えて、一方の電極(または両電極)が継続電力モードで作動され得、他方の電極は変調可能である(例えば、パルス状またはゲート型)。ある実施例では、電極152が互いに接続されていないので、電極152間の距離‘L’は調節され得、これによりプラズマ116内の電力分布の調節を生じ得る。さらに、アパーチャ154の直径D2は、RF電源110とプラズマ116との間の結合特性を調節するために独立して調節され得る。
【0021】
ある実施例によると、電極間の距離を制御するためにスペーサが電極間のある部分に設置され得る。ある実施例では、スペーサは電極を構成するのに使用されるのと同じ材料を使用して構成される。いくつかの実施例では、スペーサは電極材料と実質的に同じ熱膨張率を有する材料から作られるので、電極が異なる温度で膨縮するにつれて、スペーサはほぼ同じ率で膨縮する。いくつかの実施例では、スペーサはステンレススチールワッシャ、真ちゅうワッシャ、銅ワッシャまたは他の適切な導電性材料から作られたワッシャである。ある実施例では、スペーサは電極を接続するボルトまたはナットを受けるのに適した大きさのワッシャである。1つ以上のスペーサを用いて、電極間の距離が容易に再生および/または変更され得る。本開示の利点を鑑みると、本明細書に開示される電極と共に使用するスペーサの適切な材料および形状を選択することは、当業者の能力内であろう。
【0022】
図8〜図11を参照すると、誘導装置158は、共通の電気接地170に接続された2つの電極166、168を含むように示される。誘導コイル158は、電極166および168が互いに電気的に連通した状態で螺旋状コイルとして構成され得る。RF電流172が誘導装置158に供給されると、ループ電流172aが生成され、トロイダル磁界を生じる。ループ電流172aは電極166および168の平らな表面に実質的に平行であり、トーチの長手方向軸と実質的に直交することになろう。誘導コイル158は共通電気接地170(図10を参照)において接地されて、電極166および168の溶解を生じ得る不必要なアーク放電を防止し得る。ある実施例では、電極166および168は互いに距離Lで離間される(図8および図10を参照)。電極166および168間の正確な距離は様々であり得、模範的な距離は約1mmから約5cm、より詳細には約2mmから約2cm、例えば約5mmから約15mmを含むが、これらに限定されない。ある実施例では、電極166および168は搭載面と実質的に直交して配置される。他の実施例では、電極166および168はトーチの軸方向寸法および電極の半径方向寸法が実質的に直交するような角度で傾斜され得る。いくつかの実施例では、各電極166および168は、同じ方向に角度を付けられ得るが、他の実施例では、電極166および168は反対方向に角度付けられ得る。本開示の利点を鑑みると、当業者は本明細書で開示される例示的誘導装置の電極に対して適切な構成および角度を選択することができるであろう。
【0023】
ある実施例によると、トーチを囲む誘導装置の模範的構成が図13に示される。誘導装置112は同軸流体管114、150および148を囲み得る。キャリアガス流128はトーチに導入されて、誘導装置112を使用したプラズマ生成用ガスを供給し得る。補助ガス流144は同軸チューブ150に導入されて、インジェクタ148に対するプラズマ位置を制御するためのガスを供給し得る。サンプルフロー146はエアロゾール管148に入り得、そこで誘導装置112により生成されるプラズマに噴霧される。種々のガス種
の正確な流速は様々であり得る。例えば、キャリアガスは典型的に約10L/分から約20L/分の流速、例えば約15〜16L/分で導入される。補助ガスは典型的には約0L/分から約2L/分の流速で導入される。サンプルは、サンプルの脱溶媒和および/または原子化を提供するのに適した流速で導入可能である。いくつかの実施例では、サンプルは約0.1L/分から約2L/分の流速で導入される。本開示の利点を鑑みると、キャリアガス、補助ガスおよびサンプルのさらなる流速は当業者により容易に選択されるであろう。
【0024】
図14を参照すると、単一のRF電流源110から生成される複数のループ電流184a,184bが示される。図示の明確さのために、電極は図14では省略されている。ループ電流184a,184bは反対の極性の電流を並置する電極に印加することにより生成される。ループ電流184a,184bは、正弦波交流電流の交流半サイクルの間に第1のループ電流184aにおける交流電流172aが第2のループ電流184bにおける交流電流172bと同じ方向に流れるように、適切な方法で互いに対して方向付けられ得る。この構成により、複数のループ電流184a,184bが単一の電源110から駆動されて、同じ空間的配向性を有する磁界182a,182bを生成することが可能となる。この一例は、図17および図18に見ることができ、各コイル1002および1004の対角線上に並置した脚は、すぐ下に位置する単一RF源から駆動されて、やはり対角線上に並置される残りの2本の脚も接地プレート1006に共通に接続される。ループ電流184a,184bの平面もまた、トーチの長手方向軸126と実質的に直交し、トーチの半径面に実質的に平行している。ある実施例では、装置は磁界を生成して対称または実質的対称プラズマを維持するように構成配置された2つ以上の電極を含む。ある模範的電極は図1〜図14を参照して上記で述べられ、他の模範的電極は下記で述べられる。
【0025】
ある実施例によると、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面に沿って第1のループ電流が流されるように構成配置される第1の電極を含む、プラズマを生成するための装置が開示される。図15Aおよび15Bを参照すると、装置400は電極402を含み、電極402は、スロット404およびトーチ410を受けるためのアパーチャ406を有する。電極402は実質的に対称である円形の内側断面を有する。ある実施例では、内側断面の直径は約10mmから約60mm、より詳細には約20mmから約30mm、例えば約20mmから約23mmである。いくつかの実施例では、内側断面の直径は、約1mmの距離でトーチ410の外面と電極402の内側部分を分離させるように選択される。電極402は、トーチ410の長手方向軸(図15Bでは点線として示される)と実質的に直交するように位置付けられ得る。電極402のスロット404は、電極402に流される電流が図15Bに示すようなループ電流412などのループの形状を取ることになるように構成され得る。いくつかの実施例では、ループ電流412はトーチ410の長手方向軸と実質的に直交する、すなわちループ電流の平面がトーチ410の長手方向軸と実質的に直交する。実質的に直交するループ電流の使用により、螺旋状負荷コイルを使用して生成されたプラズマよりも、選択された半径面に対してより対称的な温度分布を有するプラズマを生成および/または維持し得る。ある実施例では、対称プラズマまたは実質的対称プラズマは電極402など、トーチ410の長手方向軸と実質的に直交して位置付けられた電極を使用して維持される。ある実施例では、電極の選択された全体形状は様々であり得る。例えば、および図15Aに示すように、電極402は全体矩形形状で構成される。しかしながら、円形、三角形、リング、楕円、トロイドなど他の適切な形状も使用され得る。第1の電極は本明細書に説明されるように接地プレートに搭載され得る。
【0026】
ある実施例では、図15Aの電極402と同様の第2の電極も、半径面に平行に構成配置され得、それはトーチ410の長手方向軸と実質的に直交する。他の実施例では、第2のループ電流の平面は第1のループ電流の平面に実質的に平行であり得る。いくつかの実施例では、第1および第2のループ電流は同じ方向に流れ得、他の実施例では、第1およ
び第2のループ電流は反対方向に流れ得る。1つ以上の電極が使用される実施例では、図15Aに示されるRF源420のような単一のRF源が第1および第2電極のそれぞれにRF電力を供給し得るか、または別個のRF源が第1および第2の電極にRF電力を供給し得る。いくつかの実施例では、第1および第2の電極を分離するのにスペーサが使用される。第1および第2の電極にRF電力を供給するのに単一RF源が使用されて、かつスペーサが使用される実施例では、スペーサは例えば、銅、真ちゅう、金などの導電性材料で作られ得る。第1および第2の電極にRF電力を供給するのに別個のRF源が使用されて、かつスペーサが使用される実施例では、第1電極から第2の電極への電流の流れを防止するために、スペーサは非導電性材料、例えばガラス、プラスチックなどによって作られ得る。
【0027】
ある実施例では、第1の電極、第2の電極またはその両者は接地プレートに接地され得る。例えば、図16Aおよび図16Bを参照すると、誘導装置500は、それぞれ接地プレート506に搭載された第1の電極502および第2の電極504を含み得る。図16Aおよび16Bに示される例では、電極502および504はそれぞれ支持503および505を使用して接地プレート506に搭載され得る。ある実施例では、各電極502および504の対角線上に並置された脚は、すぐ下に位置する単一RF源から駆動され、やはり対角線上に並列する残りの2本の脚は接地プレート506に共通に接続され得、すべての構成要素は、503および505として典型的に識別される4つの同一の取り付け具を介して電気的に接続され得る。支持503および505は、電極502および504と接地プレート506の間の電気的連通を提供し得、プラズマのアーク点火の際に点火アークが電極502、504に接触しても、電極502、504にセットアップされたいかなる不必要な電流も接地プレート506に導かれて、電極502および504と電気的に連通するRF電源(図示せず)まで流れないようにされ得る。接地プレート506と共に電極502および504の使用することにより、螺旋状負荷コイルを使用して生成されるプラズマより対称的なプラズマが提供され得、これはある種の検出制限を改善することができる(本明細書の実施例においてより詳細に述べられる)。例えば、既存の螺旋状負荷コイルを使用すると、負荷コイルの螺旋に従うというプラズマの傾向により非均一プラズマ放電が生じるために、温度が下がり、脱溶媒和および/または原子化において効率が悪いプラズマの領域が存在し得る。本明細書で開示される誘導装置の実施例を使用すると、選択された半径面に対してより対称的な温度分布を有するプラズマが生成され、これはより均一な脱溶媒和および原子化を提供することができ、その結果性能を向上させ、トーチ寿命を延ばし、有機物と共に使用される際の炭素の蓄積を少なくする。
【0028】
ある実施例では、本明細書に開示されるような誘導装置は、従来の螺旋状負荷コイルよりもずっと低い電力で作動され得る。例えば、約800ワットから1250ワット、例えば約900ワットから約1050ワットの電力を本発明に開示される誘導装置で使用して、例えば化学分析用の機器において使用するのに適したプラズマを維持し得る。単に比較の目的で、典型的な従来の螺旋状負荷コイルは約1450ワット以上の電力を使用して化学的分析に適したプラズマを維持する。いくつかの実施例では、本明細書で提供される誘導装置は、螺旋状負荷コイルよりも約10〜20%低い電力を使用するように構成される。
【0029】
ある実施例によると、電極および接地プレートの正確な厚さは、例えば、装置の意図された使用、プラズマの所望の形状などに依存して様々であり得る。ある実施例では、電極は約0.05〜10mmの厚さ、より詳細には約1〜7mmの厚さ、例えば約1,2,3,4,5もしくは6mmの厚さ、またはこれらの例示的厚さ間の任意の寸法であり得る。同様に、接地プレートの正確な寸法および厚さも様々であり得る。例えば、接地プレートは約5mmから約500mmの幅から、約5mmから約500mmの長さであり得るか、または全機器シャーシそのものと同じ大きさが可能であり、約0.025mmの厚さから
約20mmの厚さを有し得る。本開示の利点を鑑みると、所望のプラズマ形状を提供するために適切な電極および接地プレート寸法および厚さを選択することは当業者の能力の範囲内であろう。
【0030】
ある実施例によると、誘導装置の各電極は個々に調整されるか制御され得る。図16Cを参照すると、誘導装置600は、それぞれ支持603および605を介して接地プレート606と電気的に連通する電極602および604を含む。接地プレート606は電極602、604の溶解を生じ得る、不必要なアーク放電を防止するように構成され得る。ある構成において、接地プレート606はそれ自身が機器シャーシに接地され得る。RF源610は電流を電極602に流すように構成され得、RF源620は電流を電極604に流すように構成され得る。電極602および604に供給される電流は同じであり得るか、または異なり得る。電流はまた、プラズマの作動時に変更または変化させて、プラズマの形状および/または温度を変化させ得る。他の実施例では、単一RF源は両電極602、604に電流を流すように構成され得る。例えば、かつ図16Dを参照して、誘導装置650はそれぞれ支持603および605を介して接地プレート606と電気的に連通した電極602および604を含む。RF源660は、電極602および604のそれぞれに電流を流すように構成され得る。単一のRF源が使用されて、電流を電極602および604に流し得るとしても、各電極に提供される電流は同じであり得るか、または同じではないこともあり得る。例えば、適切な電子回路が実装されて、異なる電流を電極の一方に提供し得る。本開示の利点を鑑みると、当業者は1つ以上のRF源を使用して適切な誘導装置を設計することができるであろう。
【0031】
ある実施例によると、トーチの作動時にガス流が導入される長手方向軸を有し、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面を有するトーチにおいてプラズマを維持するための装置が提供される。ある実施例では、装置はトーチの半径面に沿ってループ電流を流すための手段を含む。適切な手段は、本明細書に開示される任意の1つ以上の電極、または半径面に沿ってループ電流を流すことができる他の適切な装置を含むが、これに限定されない。
【0032】
ある実施例によると、長手方向軸を有し、トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面を有するトーチにおいてプラズマを維持する方法が開示される。ある実施例では、トーチの長手方向軸に沿ってガス流を流すことと、トーチにおいてガス流を点火することと、半径面に沿ってループ電流を流してトーチにおいてプラズマを維持することを含む。ループ電流は、本明細書で開示される電極の任意の1つ以上または半径面に沿ってループ電流を流し得る他の適切な電極構成を使用して流し得る。ある実施例では、本明細書に記載される方法を使用して維持されるプラズマは実質的対称プラズマである。
【0033】
ある実施例によると、プラズマからの信号は誘導装置の2つ以上の電極間でモニタされ得る。いくつかの実施例では、電極間または電極の上での励起された種の発光の半径方向検出は、標準光学検出器を使用して行われ得る。他の実施例では、軸方向検出を使用して、プラズマからの信号またはプラズマにおける種をモニタし得る。
【0034】
本開示の利点を鑑みると、電極に電流を流すのに適した電子的構成要素は当業者により容易に選択されるであろう。例えば、例示的RF源およびオシレータは、開示全体が実質的に参照により本明細書に組み込まれた米国特許第6,329,757号に見つけられ得る。
【0035】
ある特定実施例について以下により詳細に述べ、さらに技術の態様および実施例を例示する。
【0036】
実施例1−プレート誘導コイル
誘導装置1000は2つの電極1002および1004を備えて組立てられて、そのそれぞれは接地プレート1006に接地された(図17および18参照)。電極1002および1004はそれぞれ、50−52シートアルミニウムから加工された2mmの厚さのプレートとした。変形されたフェースプレートをインストールし、PerkinElmer,Inc.から入手可能なOptima2000およびOptima4000機器で評価した。図17および図18に示されるこのフェースプレートは、螺旋状負荷コイルを接地プレート1006、インダクタ1002および1004ならびに取り付け具に置き換えることを含む。ボルト固定取り付けブロックに対して必要とされる場合は、クリアランス穴を含むように非常に微細な変形がフェースプレートに必要であった。生成器には機能的変更は行われなかった。変形された機器は約15L/分の流速で機器仕様のすべてを確実に満たすようにテストされた(図19(溶接ガラスを通して見る)および図20に示すプラズマを参照)。オシレータヒートシンクの温度は、同じ入力電力に対して、螺旋状負荷コイルを使用したときよりも低かった。示されるオシレータヒートシンク温度が低ければ低いほど、プラズマにはより多くの電力が到達していた。プラズマはまた、従来の螺旋状負荷コイル(約1450ワット)で使用された電力よりも低い電力(約1250ワット)で維持可能であった。加えて、機器が1450ワットで操作されると、誘導装置は同じ電力設定で螺旋状コイルよりも良好にサンプルローディングを取扱うことができた。
【0037】
実施例2−対称プラズマ放電
誘電装置は、図21に示すような実質的対称プラズマ放電を生成するように構成された。図22および図23を参照すると、誘電装置1102(3枚のプレート)および1104(2枚のプレート)をそれぞれ使用して実質的対称プラズマ放電を生成し、従来の螺旋状負荷コイル1106(3ターン)および1108(2ターン)を比較目的で示す。オシレータに螺旋状負荷コイルを搭載するのに使用するブロックはまた、ブロックをフェースプレートに保持する既存のハードウェア(ネジ)を含む。これらのネジを使用して、螺旋状コイルが取り除かれた後誘導装置脚をブロックに接続した。さらなる変形は必要でなかった。従来の螺旋状負荷コイルに関しては、放電電流およびその結果生じるプラズマ温度は負荷コイルの螺旋に従う傾向があり、それにより非均一なプラズマ放電が生じる。この非均一放電は、歪んだイオン軌跡、サンプルの非均一加熱、プラズマの非平坦ボトムに起因したプラズマの外部周辺へのサンプルの漏れ、およびイオン化の不十分な規定領域を含む多くの不都合を有する。螺旋状負荷コイルにおいて巻かれた銅管の代わりに本明細書に開示される誘導装置を使用することにより、プラズマにおける温度勾配をより良好に制御してより対称的なプラズマを提供することが可能である。誘電装置のプレート間のスペーシングを変化させることにより、本明細書に開示される誘導装置を使用してさらなる調整が提供され得る。例えば、誘導装置のプレート間のスペーシングをずらすことは有益であり得る。負荷コイルターン間のスペーシングを増加させることによりスペーシング変更が従来のコイルで試みられる場合、プラズマはより非対称となる傾向がある。
【0038】
本明細書に開示される誘導装置の使用により、特に低質量範囲(5〜60原子質量単位(AMU))、低減された酸素物割合および低減された作業圧力において、感度が向上することが分かった。例えば、対称プラズマはまた、プラズマの側方周辺にサンプルの漏れを有することなく揮発性サンプルを流すことが可能となり、より十分に規定されたイオン化領域を提供し、プラズマプルームの最上部において負荷コイルが剥がれる高い背景スパイクを除去する。図24は、PerkinElmer,Inc.から入手可能なElan6000ICP質量スペクトロメータでテストされた模範的プレート誘導装置700を示す。誘導装置700は、チューブおよび固体RF生成器の両者と共に、かつICP質量スペクトロメータおよびICP−OES生成器の両者上で作動した。
【0039】
実施例3−スペーサ組み合わせ
ICP質量分析を使用して異なるターン数および異なるスペーサを有する種々の誘導装置がテストされた。標準Elan生成器は1/8銅管からなり、スウェージロック取り付け具を使用して生成器に電気的に接続された3ターン負荷コイルを使用する。誘電装置が使用される場合は、それらはスウェージロック取り付け具の代わりに直接既存の電極にボルトで留められた。各誘導装置に対して、ユニット(PerkinElmer,Inc.から市販されるELAN6000)は最適化されて、その後、マグネシウム(Mg)、ロジウム(Rh)、鉛(Pb),セリウム(Ce)、酸化セリウム(CeO)、バリウム(Ba)、バリウム+2(Ba++)、および背景信号(BG220)を含む、異なる吸引種に対してデータが集められた。データは最大感度信号に正規化されて、図25〜図31に示す結果でプロットされた。種々の感度は、螺旋状負荷コイル(3ターンを備えた1/8インチ径銅管)を有する標準ELAN6000を使用して検出された最大信号に正規化された。テストされた誘導装置の組み合わせは、標準5ターンL2誘導装置、4ターンL2インダクタおよび、プレート間に異なる数のスペーサを備えた0.875径プレート誘導装置の混合であった。本明細書では省略形で使用される用語「L2インダクタ」は、RF生成器内部に位置する内部インピーダンス整合コイルの一部を表す。通常動作電力(別途特定されていない場合)は1000ワットであった。各スペーサは632真ちゅうワッシャであった。テストされた誘導装置の組み合わせを下記に一覧した。省略形は図25〜図31に参照される。
【0040】
1.標準5ターンL2インダクタを備えた標準負荷コイル
2.1S5T−プレート誘導装置、プレート間に1つのスペーサ、および標準5ターンL2インダクタ
3.1S4T−プレート誘導装置、プレート間に1つのスペーサ、および4ターンL2インダクタ
4.1−2S4T−プレート誘導装置、1つのリアスペーサ、2つのフロントスペーサ、および4ターンL2インダクタ
5.1−2S5T−プレート誘導装置、1つのリアスペーサ、2つのフロントスペーサ、および5ターン標準L2インダクタ
6.2S5T−プレート誘導装置、プレート間に2つのスペーサ、および5ターン標準L2インダクタ
7.2S4T−プレート誘導装置、プレート間に2つのスペーサ、および4ターンL2インダクタ
8.3S4T−プレート誘導装置、プレート間に3つのスペーサ、および4ターンL2インダクタ
9.3S5T−プレート誘導装置、プレート間に3つのスペーサ、および5ターン標準L2インダクタ
データがプロットされると、プレート誘導装置および標準5ターンL2インダクタで測定されたデータは、ピンチが存在することを示す2重の山を有した。ピンチはプラズマプルームとサンプリングインターフェース間の2次的放電を指す。ピンチ放電はインターフェースコーンにおいて起こり得るプラズマを最小限にすることにより排除できる。
【0041】
図25は標準ELAN6000質量スペクトロメータを使用して検出されたサンプル毎のプロットであり、すべての測定が比較された。左軸は正規化された強度を表し、x軸はL/分のネブライザ流量を表し、右軸はカウント/分(BG220測定に対して)か、または酸化物の比率(CeO/CeおよびBa++/Ba測定に対して)の何れかを表す。異なる素子の最大感度ピークは異なるネブライザ流速で発生する。感度の理由から、酸化物が他の種の測定に干渉する傾向があるので、素子の最大感度は、酸化セリウムなどの酸化物の最大感度を観察するのに使用される流速よりも低い流速で発生することが好適である。
【0042】
図26を参照すると、4ターンL2内部インピーダンス整合インダクタおよび構成(1S4T)をテストした結果が示される。1S4T装置を使用すると、異なる素子(Mg、Rh,Pb)の最大感度ピークは同じネブライザ流量(約0.84)で発生した。シングルスペーサは、最も高い中間質量感度(中間質量とは典型的には、60〜180AMUの間の原子質量単位を有する種を指し、高質量とは180から238AMUの原子質量単位を有する種を指す)を発揮した。
【0043】
図27を参照すると、ダブルフロントシングルリアスペーサ4ターンL2インダクタ(1−2S4T)をテストした結果が示される。1−2S4T装置を使用すると、マグネシウム、ロジウムおよび鉛信号をCe/CeOと共に観察される酸化物の山の頂上(TOM)から分離させることが可能であった。
【0044】
図28を参照すると、酸化セリウム/セリウム信号と比較して、ロジウム感度に対して種々の負荷コイルをテストした。テストされた装置は、標準螺旋状負荷コイルと、1つのリアスペーサ、2つのフロントスペーサおよび4ターンL2インダクタを有するプレート誘導装置(1−2S4T)とを含んだ。1−2S4T装置を使用すると、ロジウムの最大感度ピークはより低い流速にずれて、酸化セリウム/セリウムの最大感度ピークから離れており、これは1−2S4T装置が標準コイルよりも良好なロジウム感度を提供することを示した。
【0045】
図29を参照すると、ロジウム信号はELAN6000からの最大標準信号に対して正規化された。1S4T装置の使用により、標準螺旋状負荷コイルと比較すると、30%の信号増加が提供された。1−2S4T装置を使用すると、標準コイルで観察された酸化物の山が分離した。
【0046】
図30を参照すると、マグネシウムを使用して種々の装置の性能を測定した。1−2S4T装置は、テストされた全装置の中で最も良好な低質量性能を示した。
【0047】
図31を参照すると、鉛を使用して種々の装置の高質量性能を測定した。プレート誘導装置はすべて、約0.96より大きいネブライザ流速において標準ELAN6000に比べると芳しくない高質量性能を発揮した。しかし、より低いネブライザ流速ではプレート誘導装置はすべて標準ELAN6000よりも良好な高質量性能を発揮し、低減された量のサンプルを使用して、高質量種の検出を可能とし得る。
【0048】
実施例4−プレート誘導コイルを使用した発光検出制限
発光スペクトロメータ(PerkinElmer,Inc.から得たOptima3000)に螺旋状負荷コイルまたはプレート誘導装置の何れかを装着して、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)およびセレン(Se)に対する検出制限を測定した。螺旋状負荷コイルは標準3/16”径銅コイルであった。プレート誘導装置は、それぞれトーチを受けるためのアパーチャを有する2つの円形電極を含んだ。比較の目的でのみ、螺旋状負荷コイルとプレート誘導装置を使用した検出制限が下記の表1にて示される。
【0049】
【表1】
【0050】
より新しい機器に関する検出制限は上記の表1で挙げられるものよりも良好であり得るが、検出制限の相対比較では、プレート誘導装置を使用した検出制限は一貫して螺旋状負荷コイルを使用して得られた検出制限よりも低いことが分かる。
【0051】
本明細書に開示される実施例の素子を紹介する際に、冠詞“a”、“an”、“the”および“said”はその素子が1つ以上があることを意味するように意図される。用語「備える(comprising)」「含む(including)」「有する(having)」は制約がなく、挙げられた素子以外のさらなる素子があり得ることを意味するように意図される。本開示の利点を鑑みると、実施例の種々の構成要素は他の実施例の種々の構成要素と置き換え、または代替されることが可能であることは当業者に認識されるであろう。万が一参照により本明細書に組み込まれる特許、特許出願または公報の何れかの用語の意味が本開示において使用される用語の意味と矛盾する場合、本開示の用語の意味が統括するように意図される。
【0052】
ある態様、実施例および実施形態について上記に記載されたが、本開示の利点を鑑みると、開示された例示的態様、実施例および実施形態の追加、代替、変形および変更が可能であることは当業者により認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ある実施例による誘導結合プラズマ発光スペクトロメータ(ICP−OES)の概略図である。
【図2】ある実施例による誘導結合プラズマ質量スペクトロメータ(ICP−MS)の概略図である。
【図3】ある実施例によるICPトーチおよびプラズマの図である。
【図4】ある実施例による2つの電極、ICPトーチおよびプラズマの側面図である。
【図5】ある実施例による、プラズマを維持するための第1の電極であり、電極はアパーチャを含む正面図である。
【図6】ある実施例による、プラズマを維持するための第2の電極であり、電極はアパーチャを含む正面図である。
【図7】ある実施例による図6の電極の側面図である。
【図8】ある実施例による単一電極の斜視図である。
【図9】ある実施例による図8の電極の正面図である。
【図10】ある実施例による図8の電極の側面図である。
【図11】ある実施例による図8の電極の上面図である。
【図12】ある実施例による、ループ電流から生成される磁界の斜視図である。
【図13】ある実施例による、螺旋状種類のソレノイドを示すICPトーチの図である。
【図14】ある実施例による、正弦波交流電流の交流半サイクルの間に、単一RF電源により駆動される複数のループ電流の図である。
【図15A】ある実施例による、電流ループを生成するように構成されたトーチおよび誘導装置を示す図である。
【図15B】ある実施例による、電流ループを生成するように構成されたトーチおよび誘導装置を示す図である。
【図16A】ある実施例による誘導装置の図である。
【図16B】ある実施例による誘導装置の図である。
【図16C】ある実施例による誘導装置の図である。
【図16D】ある実施例による誘導装置の図である。
【図17】ある実施例による誘導装置の軸方向図である。
【図18】ある実施例による図17の誘導装置の半径方向図である。
【図19】ある実施例による、1枚の溶接ガラスを介して見た、図17および図18の誘導装置を使用して生成されたプラズマの図である。
【図20】ある実施例による、図17および図18の誘導装置を使用して生成されたプラズマの図である。
【図21】ある実施例による、プレート電極を備えた誘導装置を使用して生成された対称プラズマの例を示す図である。
【図22】ある実施例による、プレート電極を備えた誘導装置の半径方向図および標準螺旋状負荷コイルの半径方向図を示す図である。
【図23】ある実施例による、図22のプレート電極を備えた誘導装置の軸方向図および図22の標準螺旋状負荷コイルの半径方向図を示す図である。
【図24】ある実施例による3ターン誘導装置の図である。
【図25】ある実施例による、背景および種々の金属種に対する標準螺旋状負荷コイルの性能を示すグラフである。
【図26】ある実施例による、背景および種々の金属種に対する、標準螺旋状負荷コイルの性能を使用して正規化された、1S4T誘導装置(1つのスペーサ、4ターン)の性能を示すグラフである。
【図27】ある実施例による、背景および種々の金属種に対する、標準螺旋状負荷コイルの性能を使用して正規化された、1−2S4T誘導装置(2つのスペーサ、4ターン)の性能を示すグラフである。
【図28】ある実施例による、酸化物およびロジウムサンプルに対する種々の誘導装置の性能を比較するグラフである。
【図29】ある実施例による、種々の誘導装置からのロジウム信号を比較するグラフである。
【図30】ある実施例による、マグネシウムサンプルに対する種々の負荷コイルの性能を比較するグラフである。
【図31】ある実施例による、種々の負荷コイルの高質量性能を比較するグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トーチの作動時にガス流が導入される長手方向軸を有し、前記トーチの前記長手方向軸と実質的に直交する半径面を有する前記トーチにおいてプラズマを生成するための装置であって、電源に連結するように構成されて前記トーチの前記半径面に沿ってループ電流を流すように構成配置された第1の電極を備える装置。
【請求項2】
電源に連結するように構成され、前記トーチの前記半径面に沿ってループ電流を流すように構成配置された第2の電極をさらに備える、請求項1の装置。
【請求項3】
前記第1および第2の電極のそれぞれは、対称的な内側断面を有するプレートを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記対称的な内側断面は円形である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の電極および前記第2の電極を分離する少なくとも1つのスペーサをさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の電極は、前記トーチにおいて対称プラズマまたは実質的対称プラズマを維持するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の電極と電気的に連通する無線周波数源をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記無線周波数源は、約10ワットから約10,000ワットの電力で約1MHzから約1000MHzまでの無線周波数を供給するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の電極と電気的に連通する第2の無線周波数源をさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の電極および前記第2の電極と電気的に連通する無線周波数源をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記無線周波数源は、約10ワットから約10,000ワットの電力で、約1MHzから約1,000MHzの無線周波数を供給するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の電極および前記第2の電極と電気的に連通する接地プレートをさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の電極と前記第2の電極と前記接地プレートは、誘導結合プラズマ発光スペクトロメータにおいて使用されるように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の電極と前記第2の電極と前記接地プレートは、誘導結合プラズマ原子吸収スペクトロメータにおいて使用されるように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の電極と前記第2の電極と前記接地プレートは、誘導結合プラズマ質量スペクトロメータにおいて使用されるように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
トーチの作動時にガス流が導入される長手方向軸を有し、前記トーチの前記長手方向軸と実質的に直交する半径面を有する前記トーチにおいてプラズマを生成するための装置であって、前記トーチの前記半径面に沿ってループ電流を流すための手段を備える、装置。
【請求項17】
前記半径面に沿ってループ電流を流すための前記手段は少なくとも1つの電極を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記半径面に沿ってループ電流を流すための前記手段は無線周波数源を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの電極はプレート電極を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
長手方向軸を有し、トーチの前記長手方向軸と実質的に直交する半径面を有する前記トーチにおいてプラズマを生成する方法であって、
前記トーチの前記長手方向軸に沿ってガス流を流す工程と、
前記トーチにおいて前記ガス流を点火する工程と、
前記半径面に沿ってループ電流を流し、前記トーチにおいてプラズマを維持する工程と、
を含む方法。
【請求項21】
実質的対称プラズマになるように前記プラズマを構成する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
トーチにおいてガス流を点火し、前記トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面に沿ってループ電流を流して実質的対称プラズマを維持することにより生成される実質的対称プラズマ。
【請求項1】
トーチの作動時にガス流が導入される長手方向軸を有し、前記トーチの前記長手方向軸と実質的に直交する半径面を有する前記トーチにおいてプラズマを生成するための装置であって、電源に連結するように構成されて前記トーチの前記半径面に沿ってループ電流を流すように構成配置された第1の電極を備える装置。
【請求項2】
電源に連結するように構成され、前記トーチの前記半径面に沿ってループ電流を流すように構成配置された第2の電極をさらに備える、請求項1の装置。
【請求項3】
前記第1および第2の電極のそれぞれは、対称的な内側断面を有するプレートを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記対称的な内側断面は円形である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の電極および前記第2の電極を分離する少なくとも1つのスペーサをさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の電極は、前記トーチにおいて対称プラズマまたは実質的対称プラズマを維持するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の電極と電気的に連通する無線周波数源をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記無線周波数源は、約10ワットから約10,000ワットの電力で約1MHzから約1000MHzまでの無線周波数を供給するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の電極と電気的に連通する第2の無線周波数源をさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の電極および前記第2の電極と電気的に連通する無線周波数源をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記無線周波数源は、約10ワットから約10,000ワットの電力で、約1MHzから約1,000MHzの無線周波数を供給するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の電極および前記第2の電極と電気的に連通する接地プレートをさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の電極と前記第2の電極と前記接地プレートは、誘導結合プラズマ発光スペクトロメータにおいて使用されるように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の電極と前記第2の電極と前記接地プレートは、誘導結合プラズマ原子吸収スペクトロメータにおいて使用されるように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の電極と前記第2の電極と前記接地プレートは、誘導結合プラズマ質量スペクトロメータにおいて使用されるように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
トーチの作動時にガス流が導入される長手方向軸を有し、前記トーチの前記長手方向軸と実質的に直交する半径面を有する前記トーチにおいてプラズマを生成するための装置であって、前記トーチの前記半径面に沿ってループ電流を流すための手段を備える、装置。
【請求項17】
前記半径面に沿ってループ電流を流すための前記手段は少なくとも1つの電極を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記半径面に沿ってループ電流を流すための前記手段は無線周波数源を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの電極はプレート電極を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
長手方向軸を有し、トーチの前記長手方向軸と実質的に直交する半径面を有する前記トーチにおいてプラズマを生成する方法であって、
前記トーチの前記長手方向軸に沿ってガス流を流す工程と、
前記トーチにおいて前記ガス流を点火する工程と、
前記半径面に沿ってループ電流を流し、前記トーチにおいてプラズマを維持する工程と、
を含む方法。
【請求項21】
実質的対称プラズマになるように前記プラズマを構成する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
トーチにおいてガス流を点火し、前記トーチの長手方向軸と実質的に直交する半径面に沿ってループ電流を流して実質的対称プラズマを維持することにより生成される実質的対称プラズマ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2009−510670(P2009−510670A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529236(P2008−529236)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/033879
【国際公開番号】WO2007/027784
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(507302058)パーキンエルマー・インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】PERKINELMER,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/033879
【国際公開番号】WO2007/027784
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(507302058)パーキンエルマー・インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】PERKINELMER,INC.
【Fターム(参考)】
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