説明

プラットホームの隙間塞ぎ装置

【課題】プラットホームと停車中の鉄道車両との間に形成される隙間を、簡単な構成によって塞ぐことができるプラットホームの隙間塞ぎ装置を提供する。
【解決手段】本隙間塞ぎ装置は、プラットホーム1に支持された踏み板15と、踏み板15を駆動する電磁プランジャー17と、電磁プランジャー17を制御する制御手段とを備える。電磁プランジャー17は、励磁されることによって踏み板15を所定の収納位置に配置させる。また、電磁プランジャー17は、消磁されることによって踏み板15を線路側に移動させ、踏み板15を、その先端15aがプラットホーム1の端部よりも線路側に突出する突出位置に配置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラットホームと停車中の鉄道車両との間に形成される隙間を塞ぐための隙間塞ぎ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電車がプラットホームに進入して停止すると、場所によっては、電車車両とプラットホームとの間に大きな隙間が開いてしまう。
【0003】
この隙間を塞ぐ装置が、例えば、下記特許文献1及び2に開示されている。具体的に、特許文献1及び2に記載のものでは、板状の部材をプラットホームの端部から線路側に突出させることにより、プラットホームと停車中の車両との間を塞いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−274363号公報
【特許文献2】特開2005−14805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に記載のものでは、上記隙間を塞ぐ板状部材の駆動源としてモータを用いている。このため、モータの運動を変換するためのピニオンギア等が必要となり、装置が大型化及び複雑化するといった問題があった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、プラットホームと停車中の鉄道車両との間に形成される隙間を、簡単な構成によって塞ぐことができるプラットホームの隙間塞ぎ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るプラットホームの隙間塞ぎ装置は、プラットホームと停車中の鉄道車両との間に形成される隙間を塞ぐためのプラットホームの隙間塞ぎ装置であって、プラットホームに支持された踏み板と、励磁されることによって踏み板を所定の収納位置に配置させるとともに、消磁されることによって踏み板を線路側に移動させ、踏み板を、その先端がプラットホームの端部よりも線路側に突出する突出位置に配置させる電磁プランジャーと、電磁プランジャーを制御する制御手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るプラットホームの隙間塞ぎ装置であれば、プラットホームと停車中の鉄道車両との間に形成される隙間を、簡単な構成によって塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1におけるプラットホームの隙間塞ぎ装置を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1におけるプラットホームの隙間塞ぎ装置の要部を示す側面図である。
【図3】各制御盤の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1におけるプラットホームの隙間塞ぎ装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるプラットホームの隙間塞ぎ装置を示す斜視図、図2はこの発明の実施の形態1におけるプラットホームの隙間塞ぎ装置の要部を示す側面図、図3は各制御盤の構成を示す図である。
【0012】
図1乃至図3において、1は駅のプラットホームである。プラットホーム1には、線路(鉄道車両)側の端部に沿ってホーム柵2が設置されている。ホーム柵2は、例えば、総合制御柵3、マスター側の個別柵4、スレーブ側の個別柵5、ホームドア6により、その要部が構成される。
【0013】
7は総合制御柵3に内蔵された総合制御盤、8はマスター側の個別柵4に内蔵された個別制御盤である。
総合制御盤7は、ホーム柵2全体の制御機能を司る。総合制御盤7には、例えば、ホーム車両リレー9、車両結合リレー10、戸閉検出リレー11が備えられている。
【0014】
ホーム車両リレー9は、車両がプラットホーム1に進入したことを検出する。即ち、車両がプラットホーム1に進入すると、ホーム車両リレー9がONになる。
車両結合リレー10は、車両がプラットホーム1の所定の停止位置にあることを検出する。即ち、車両が上記停止位置に来て車両のドアとホームドア6とが結合した状態になると、車両結合リレー10がONになる。
【0015】
戸閉検出リレー11は、ホームドア6が戸閉していることを検出する。ホームドア6は、通常、戸閉状態にあり、戸閉検出リレー11はONになっている。ホームドア6を戸開させるための所定の信号(戸開信号)は、鉄道車両から送信される。鉄道車両から戸開信号が送信されると、ホームドア6が戸開動作を開始し、戸閉検出リレー11はOFFになる。また、ホームドア6の戸開時に、ホームドア6を戸閉させるための所定の信号(戸閉信号)が鉄道車両から送信されると、ホームドア6が戸閉動作を開始する。そして、ホームドア6が完全に戸閉すると、戸閉検出リレー11がONになる。
【0016】
個別制御盤8は、ホームドア6を制御する機能を有している。個別制御盤8は、例えば、ホームドア6の各組(マスター側の個別柵4に収納されるホームドア6とスレーブ側の個別柵5に収納されるホームドア6)に対応して設けられている。個別制御盤8には、マスター側のインターロック12とスレーブ側のインターロック13とが備えられている。
【0017】
インターロック12及び13は、ホームドア6の戸開を阻止して、ホームドア6を戸閉状態に保持しておくためのものである。個別制御盤8では、鉄道車両から戸開信号を受信すると、インターロック12及び13によるホームドア6の戸開阻止を解除する。即ち、インターロック12及び13が解錠され、ホームドア6の戸開動作が開始される。また、個別制御盤8では、鉄道車両から戸閉信号が送信されてホームドア6が完全に戸閉すると、インターロック12及び13によるホームドア6の戸開阻止を行う。即ち、インターロック12及び13が施錠され、ホームドア6が戸閉状態で保持される。
【0018】
14はプラットホーム1と停車中の鉄道車両との間に形成される隙間を塞ぐための閉塞装置である。閉塞装置14は、例えば、踏み板15、インターロック16、電磁プランジャー17、動作リレー18により、その要部が構成される。
閉塞装置14の制御は、踏み板制御盤19によって行われる。踏み板制御盤19は、例えば、プラットホーム1の下方に備えられている。
【0019】
踏み板15は、鉄道車両がプラットホーム1に停止した際に、プラットホーム1の線路側の端部と車両との間に形成される隙間を(部分的に)塞ぐためのものである。踏み板15は、ホームドア6が戸開することによって形成されるホーム柵2の各開口に対応して配置されている。踏み板15は、例えば、プラットホーム1に停止した鉄道車両に対して近接及び離隔可能な所定の構造で、プラットホーム1に支持されている。踏み板15は、その先端15aがプラットホーム1の端部から線路側に突出しない所定の収納位置と、先端15aがプラットホーム1の端部から線路側に突出する所定の突出位置との間を移動可能に構成される。踏み板15は、上記突出位置に配置されると、その先端15aが、例えば、プラットホーム1の端部から100mm程度線路側に突出する。
【0020】
インターロック16は、踏み板15の線路側への移動(上記突出位置への移動)を阻止して、踏み板15を収納位置に保持しておくためのものである。20はインターロック16の動作を検出するためのスイッチを示している。
【0021】
電磁プランジャー17は、踏み板15を駆動するためのものである。電磁プランジャー17の動作リレー18は通常ONであり、電磁プランジャー17は励磁されている。電磁プランジャー17が励磁されている状態では、電磁石がバネ等の付勢力に抗して踏み板15を吸引し、踏み板15を上記収納位置に配置させる。
【0022】
一方、動作リレー18がOFFになることにより、電磁プランジャー17は消磁される。電磁プランジャー17が消磁されて電磁石の吸引力が消失すると、踏み板15が上記付勢力に押されて線路側に移動する。即ち、踏み板15が、電磁プランジャー17によって突出位置に配置され、プラットホーム1の線路側の端部と車両との間に形成された隙間が、踏み板15によって塞がれる。
【0023】
次に、図4も参照し、上記構成を有する隙間塞ぎ装置の動作について説明する。図4はこの発明の実施の形態1におけるプラットホームの隙間塞ぎ装置の動作を示すフローチャートである。
【0024】
鉄道車両がプラットホーム1に進入すると(S1)、ホーム車両リレー9がONになる。また、その車両が停止位置に停止して車両のドアとホームドア6とが対向位置に配置されると、車両結合リレー10がONになる。車両がホームドア6との結合位置に停止しても、車両から戸開信号が送信されてこなければ、ホームドア6は戸閉状態にあり、戸閉検出リレー11はONになっている(S3、S4)。このため、個別柵4のインターロック12や個別柵5のインターロック13、踏み板15のインターロック16は何れもONとなり(S5、S6)、電磁プランジャー17は励磁されていて、踏み板15は収納位置に配置されている(S7)。
【0025】
一方、プラットホーム1に停止した鉄道車両から戸開信号が入力されると(S8)、個別制御盤8では、インターロック12及び13を解錠して(S9)、ホームドア6を戸開させる。ホームドア6の戸開動作が開始されることにより、総合制御盤7では、戸閉検出リレー11がOFFとなる(S10)。
【0026】
インターロック12及び13が解錠されることにより、踏み板制御盤19では、踏み板15のインターロック16を解錠する(S11)。また、踏み板制御盤19では、インターロック16が解錠されることによって動作リレー18がOFFとなり(S12)、電磁プランジャー17が消磁される。即ち、電磁石の吸引力が消失することによって、踏み板15がバネ等の付勢力に押されて線路側に移動し、踏み板15が上記突出位置に配置される(S13)。これにより、乗客の乗降が行われている間は、プラットホーム1と車両との間に形成された隙間が踏み板15によって塞がれる。
【0027】
その後、車両から戸閉信号が入力されると(S14)、個別制御盤8では、ホームドア6の戸閉動作を開始する。また、車両から戸閉信号が入力されることにより、踏み板制御盤19では、動作リレー18がONとなる(S15)。これにより、電磁プランジャー17が励磁されて電磁石に吸引力が発生し、電磁石がバネ等の付勢力に抗して踏み板15を吸引する(S16)。即ち、踏み板15がプラットホーム1側に移動して、上記収納位置に配置される。また、踏み板15が収納位置に配置されることにより、インターロック16による施錠が行われ、踏み板15が収納位置に固定される(S17、S7)。
【0028】
なお、ホームドア6の戸閉が完了すると、個別制御盤8では、インターロック12及び13の双方をONにして、ホームドア6を戸閉位置に固定する。また、ホームドア6の戸閉が完了すると、総合制御盤7では、戸閉検出リレー11がONになる。
【0029】
上記構成を有する隙間塞ぎ装置であれば、電磁プランジャー17を用いた簡単な構成によって、プラットホーム1と停車中の鉄道車両との間に形成される隙間を塞ぐことができる。このため、車両への乗降中に乗客が物を落としてしまった場合でも、踏み板15によって、その物が線路にまで落下してしまうことを防止できる。また、プラットホーム1と停車中の車両との間に形成される隙間を塞ぐことができるため、足の不自由な乗客や車椅子利用者も、プラットホーム1と車両との間を容易に移動することができる。
【0030】
なお、本実施の形態では、インターロック16の解錠と電磁プランジャー17の消磁とを、インターロック12及び13の解錠を条件に行う場合について説明した。しかし、これは単に一例を示したものであり、他の条件に基づいて、インターロック16の解錠と電磁プランジャー17の消磁とを行っても良い。
【0031】
例えば、戸閉検出リレー11がOFFになったこと、即ち、ホームドア6の戸閉状態が検出されなくなったことを条件に、インターロック16を解錠して、電磁プランジャー17を消磁させても良い。
また、鉄道車両からの戸開信号や戸閉信号を検出する信号検出手段が備えられている場合は、この信号検出手段によって戸開信号が検出されたことを条件に、インターロック16の解錠と電磁プランジャー17の消磁とを行っても良い。かかる場合、例えば、信号検出手段によって戸閉信号が検出されると、踏み板制御盤19では、動作リレー18をONにして、電磁プランジャー17を励磁させる。そして、その後に踏み板15が収納位置に配置されると、インターロック16を動作させて、踏み板15を収納位置に固定する。
【0032】
このような構成であっても、上記と同様の効果を奏することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 プラットホーム
2 ホーム柵
3 総合制御柵
4、5 個別柵
6 ホームドア
7 総合制御盤
8 個別制御盤
9 ホーム車両リレー
10 車両結合リレー
11 戸閉検出リレー
12、13、16 インターロック
14 閉塞装置
15 踏み板
15a 先端
17 電磁プランジャー
18 動作リレー
19 踏み板制御盤
20 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームと停車中の鉄道車両との間に形成される隙間を塞ぐためのプラットホームの隙間塞ぎ装置であって、
前記プラットホームに支持された踏み板と、
励磁されることによって前記踏み板を所定の収納位置に配置させるとともに、消磁されることによって前記踏み板を線路側に移動させ、前記踏み板を、その先端が前記プラットホームの端部よりも線路側に突出する突出位置に配置させる電磁プランジャーと、
前記電磁プランジャーを制御する制御手段と、
を備えたプラットホームの隙間塞ぎ装置。
【請求項2】
前記プラットホームに設けられたホームドアと、
前記ホームドアの戸開を阻止する第1インターロックと、
前記踏み板の突出位置への移動を阻止する第2インターロックと、
を備え、
前記制御手段は、前記第1インターロックによる前記ホームドアの戸開阻止が解除されると、前記第2インターロックによる前記踏み板の移動阻止を解除して、前記電磁プランジャーを消磁させる請求項1に記載のプラットホームの隙間塞ぎ装置。
【請求項3】
前記プラットホームに設けられたホームドアと、
前記ホームドアの戸閉を検出する戸閉検出手段と、
前記踏み板の突出位置への移動を阻止するインターロックと、
を備え、
前記制御手段は、前記戸閉検出手段によって前記ホームドアの戸閉が検出されなくなると、前記インターロックによる前記踏み板の移動阻止を解除して、前記電磁プランジャーを消磁させる請求項1に記載のプラットホームの隙間塞ぎ装置。
【請求項4】
前記プラットホームに設けられたホームドアと、
前記ホームドアを開閉させるための信号を検出する検出手段と、
前記踏み板の突出位置への移動を阻止するインターロックと、
を備え、
前記制御手段は、前記ホームドアを戸開させるための信号が前記検出手段によって検出されると、前記インターロックによる前記踏み板の移動阻止を解除して前記電磁プランジャーを消磁させ、前記ホームドアを戸閉させるための信号が前記検出手段によって検出されると、前記電磁プランジャーを励磁させて前記インターロックによる前記踏み板の移動阻止を行わせる請求項1に記載のプラットホームの隙間塞ぎ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−201202(P2012−201202A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67162(P2011−67162)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)