説明

プラットホーム用可動柵装置

【課題】 設置作業に要する時間を削減し、ひいては設置作業にかかるコストを削減可能なプラットホーム用可動柵装置を提供する。
【解決手段】 扉30がフレーム構造を有するものとし、このフレーム構造を利用した扉送り出し機構23によって、扉30の進退移動を実現する。具体的には、扉30のフレーム構造を利用して、水平パイプ32,33の間に位置するように扉送り出し機構23を配置する。また、フレーム構造を構成する水平棒状部材31,33に沿ったガイドレール37,38を扉30が有するものとし、駆動部20側が、ガイドレール37,38に係合するスライドブロック24,25を有するものとした。なお、ガイドレール37,38は、上段及び下段の水平パイプ31,33の下部に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道など、軌道用車両のプラットホームの線路側端縁部に設けられるプラットホーム用可動柵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軌道用車両のプラットホームには、乗客の線路への転落事故及び乗客と列車との接触事故を防止するなどの目的で、プラットホーム用可動柵装置を設置することが多くなっている。
【0003】
このようなプラットホーム用可動柵装置は、プラットホームの線路側端縁部に沿って設けられ、プラットホームに据え付けられた戸袋と、当該戸袋に対し進退移動する扉とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
具体的には、図7(a)に示すように、箱状体の戸袋100は、固定柵300の端部からプラットホームPFの端縁部に沿って、直立状態で設置される。この戸袋100に対し進退移動するのが扉200である。扉200は、所定の厚みを有する板状部材であり、戸袋100の一端側に設けられた開口110から突出するように支持され、進退移動によって戸袋100の内部へ収容可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4651404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、扉200の進退移動を実現する構成として、戸袋100の内部には、図示しないフレームに固定された一対のプーリ121,122と、ベルト130とが設けられている。
【0007】
2つのプーリ121,122はフレームに回転自在に支持されており、一方のプーリ122には、モータが結合されている。また、ベルト130には、扉200の一部がベルトつかみを介して結合されている。これにより、モータの正逆回転により、ベルト130及びベルトつかみを介した扉200の進退移動が実現される。
【0008】
つまり、従来の構成はベルト130によって扉200をたぐり寄せるものであり、そのため、2つのプーリ121,122の間隔は扉200の移動量に応じて大きくなり、2つのプーリ121,122は、戸袋100の両端部に配置されることになる。
【0009】
また、図7(a)に示すように、戸袋100の底部には、扉200に固定されるスライドブロック210を案内するガイドレール140が敷設されている。このガイドレール140の長さも扉200の移動量に応じて設定され、結果的に、ガイドレール140は、戸袋100と同等の長さで設けられることになる。
【0010】
このように従来の戸袋100は、駆動部を兼ねており、その内部の全体に駆動機構が設けられている。したがって、例えば固定柵300が設けられているところへ従来の可動柵を設置しようとした場合、戸袋100の長さの分だけ固定柵300を撤去する必要がある。例えば図7(a)に示すように戸袋100の長さが5m程度である場合、図7(b)に
示すように、固定柵300を5m程度撤去する必要がある。
【0011】
さらにまた、扉200は、その強度を確保するために、比較的大きな重量を有する。なお、内部をハニカム構造としたものもあるが、ハニカム構造を採用したとしても、扉200を支持する戸袋100の重量を増加させる原因となっている。
【0012】
そのため、戸袋100は、図7(a)に示すように例えば4つの基礎部150を有するものになり、戸袋100の設置作業に要する時間が大きくなる。したがって、固定柵300を撤去した後、仮設の柵を設けたり、警備員を配置したりする必要があり、固定柵300の撤去を伴う戸袋100の設置作業には、多大なコストがかかる。
【0013】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、設置作業に要する時間を削減し、ひいては設置作業にかかるコストを削減可能なプラットホーム用可動柵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成するためになされた請求項1に記載のプラットホーム用可動柵装置は、プラットホームの軌道側端縁部に設けられるものであり、軌道用車両の乗降扉に対応する間隔で配置される乗降口の開放及び閉合を行う。
【0015】
本発明のプラットホーム用可動柵装置は、水平棒状部材と垂直棒状部材とで構成されるフレーム構造を有する扉を備えている。水平棒状部材は、扉の進退方向へ延びており、垂直棒状部材は、水平棒状部材の少なくとも一方の端部に連結されて垂直方向へ延びる。なお、水平棒状部材及び垂直棒状部材は、棒状の部材であればよく、例えば金属材料などで形成することが考えられる。また、ここでいう「水平」及び「垂直」は厳密な意味での水平及び垂直でなくてもよい。
【0016】
また、プラットホーム用可動柵装置は、プラットホームに固定される駆動部を備えている。この駆動部が、上記扉を支持し、進退方向への扉の進退移動を可能にする。
ここで特に本発明では、扉が、水平棒状部材に沿って配置されるガイドレールを有している。一方、駆動部は、扉と共に進退移動するガイドレールに係合するスライドブロックと、フレーム構造を利用した扉送り出し機構を有している。扉送り出し機構により、扉の進退方向における一方の端部開口から扉が突出させられることで乗降口が閉合される。また、他方の端部開口から扉が突出させられることで乗降口が開放される。
【0017】
例えば、図2(a)に示すように、扉30が、水平棒状部材としての水平パイプ31〜33と、垂直棒状部材としての垂直パイプ34,35とを備えている。ここで、扉30が2本のガイドレール37,38を有しており、このガイドレール37,38に係合するスライドブロック24,25を駆動部20が有している。そして、駆動部20の扉送り出し機構23により、扉30の進退方向における一方の端部開口27から扉30が突出させられることで乗降口が閉合される。また、他方の端部開口26から扉30が突出させられることで乗降口が開放される(図中の二点鎖線参照)。
【0018】
つまり、本発明では、扉がフレーム構造を有するものとし、このフレーム構造を利用した扉送り出し機構によって、扉の進退移動を実現する。このとき、乗降口の開放時には、駆動部の端部開口から扉が突出する。すなわち、従来の戸袋よりも扉の進退方向における駆動部の長さは小さくなっている。また、フレーム構造を構成する水平棒状部材に沿ったガイドレールを扉が有するものとし、駆動部側が、ガイドレールに係合するスライドブロックを有するものとした。これにより、従来のようにガイドレールを敷設する必要がない。さらにまた、フレーム構造を扉に採用したことにより、駆動部の重量を削減することが
できる。その結果、設置作業に要する時間を削減することができ、設置作業にかかるコストを削減することができる。
【0019】
ところで、扉の重量を削減することで、扉を支持する駆動部の重量を削減することができる。そこで、請求項2に示すように、扉は、水平棒状部材及び垂直棒状部材のうち少なくとも一方を管状部材とするパイプフレーム構造を有していることとしてもよい。このようにすれば、扉の重量を削減することができ、その結果、駆動部の重量を削減することができる。
【0020】
実際にこのような構成を採用することにより、駆動部の据え付けのための基礎部は、2カ所で足りることになる。その結果、基礎部が3カ所以上(従来は4カ所)になる場合と比較して水平状態を作り出すことが簡単になるため、設置作業に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0021】
なお、請求項3に示すようにさらに戸袋を備える構成としてもよい。すなわち、さらに、駆動部の他方の端部開口側に設けられ、当該端部開口から突出する扉を収容する戸袋を備えていることとしてもよい。この場合、乗降口の開放時には扉が戸袋に収容されるため、安全性の向上に寄与する。
【0022】
このとき、請求項4に示すように、戸袋は、プラットホームの軌道側端縁部に当初より設置されている固定柵に取り付けられることが考えられる。本発明では、戸袋に固定柵に干渉する駆動機構がないため、もともとあった固定柵を撤去する必要がない。このようにすれば、戸袋の設置が容易となり、設置作業に要する時間を削減することができる。また、戸袋の部分に対応する固定柵は撤去する必要がなく、駆動部の部分に対応する固定柵のみを撤去することで足りるため、設置作業に要する時間を削減でき、また、安全性の向上にも寄与する。
【0023】
ただし、戸袋には扉が収容されるため、固定柵に扉との干渉部分が存在することもある。そこで、請求項5に示すように、戸袋は、扉との干渉部分を取り除いた固定柵に取り付けられることとしてもよい。この場合、扉との干渉部分を取り除く必要はあるものの、従来と比べ、設置作業に要する時間を削減でき、また、安全性の向上にも寄与する。
【0024】
なお、ガイドレールが水平棒状部材に沿って配置されることは既に述べたが、具体的には、請求項6に示すように、水平棒状部材の下部に取り付けることが考えられる。このようにすれば、比較的簡単にガイドレールを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】プラットホーム用可動柵装置をホーム側から見た概略斜視図である。
【図2】(a)はプラットホーム用可動柵装置の構成を模式的に示す概略側面図であり、(b)は駆動部の構成を模式的に示す概略側面図であり、(c)は(b)のA−A線概略断面図である。
【図3】戸袋の固定柵への取り付けを示す説明図である。
【図4】プラットホーム用可動柵装置の設置作業を示す説明図である。
【図5】プラットホーム用可動柵装置の可動柵基礎部の自由度を示す説明図である。
【図6】(a)は別実施形態のプラットホーム用可動柵装置をホーム側から見た概略斜視図であり、(b)は別実施形態における戸袋の断面を示す説明図である。
【図7】従来の可動柵の構成及び設置作業を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、プラットホーム用可動柵装置をホーム側から見た概略斜視図である。また、図2(a)はプラットホーム用可動柵装置の構成を模式的に示す概略側面図であり、(b)は駆動部の構成を模式的に示す概略側面図であり、(c)は(b)のA−A線概略断面図である。
【0027】
図1及び図2(a)に示すように、プラットホーム用可動柵装置は、戸袋10、駆動部20、及び、扉30を備えている。
戸袋10は、箱状体であり、プラットホームPFの端縁部に沿って、直立状態で設置される。ここで、戸袋10は、当初より設置されていた固定柵40に対して固定される。また、戸袋10の一方の端部は開口部11となっており、この開口部11側に駆動部20が設置される。
【0028】
駆動部20は、戸袋10と同様の外郭形状を有しており、戸袋10の開口部11側に連続して設置される。駆動部20は、その下部に設けられた可動柵基礎部21,22(図2(a)参照)によってプラットホームPFに固定される。可動柵基礎部21,22は、その一部がプラットホームPFに埋設されて、駆動部20のフレームを構成する支柱61,62(図2(b)参照)を支持する。具体的には後述するが、可動柵基礎部21,22に駆動部架台28が固定され、この駆動部架台28によって支柱61,62が支持される(図5参照)。
【0029】
この駆動部20は、扉30を進退移動させるための機構を有している。具体的には、図2(a)に示すように、扉送り出し機構23及びスライドブロック24,25を有している。さらにまた、駆動部20の両端部は、端部開口26,27となっている。
【0030】
扉30は、駆動部20に支持されて、列車の乗降扉に対応する乗降口を開放する開放方向及び乗降口を閉合する閉合方向への進退移動を行う。図1及び図2(a)は、扉30によって、乗降口が閉合された様子を示している。
【0031】
すなわち、駆動部20の扉送り出し機構23によって、扉30が一方の端部開口27から突出することで、乗降口が閉合される。一方、扉30が他方の端部開口26から突出することで(図2(a)の二点鎖線参照)、乗降口が開放される。
【0032】
この扉30はパイプフレーム構造となっており、進退方向へ延びる3本の水平パイプ31,32,33と、水平パイプ31〜33の両端部に連結され垂直方向へ延びる2本の垂直パイプ34,35を有している。すなわち、扉30のフレーム構造は、進退方向に長い「日」字状となっている。また、フレームの間隙は、カバー部材36(図1参照)で覆われている。
【0033】
次に、駆動部20の駆動機構を、図2(b)を用いて説明する。駆動部20は、扉30の進退方向に間隔を空けて立設された2本の支柱61,62を有している。これら支柱61,62は、上述したように、駆動部架台28を介し駆動部20の可動柵基礎部21,22に支持される。
【0034】
支柱61,62は、扉30の進退方向に延びる3つの連結部63,64,65で連結されている。連結部63〜65は、支柱61,62に対し、図示しないボルトなどで螺着される。
【0035】
上から2段目の連結部64は、扉30の中段及び下段の水平パイプ32,33の中程あたりに配置されており、扉送り出し機構23を支持している。つまり、扉送り出し機構23は、扉30のフレーム構造を利用して、水平パイプ32,33の間に位置するように配
置されている。この扉送り出し機構23は、モータ51、モータ51に取り付けられた歯付きプーリ52、歯付きプーリ52に対応させてモータ51の両側に配置された2つのガイドローラ53,54を有する。
【0036】
一方、扉30の中段の水平パイプ32は、その下部に進退方向に延びる開口を有し、当該開口に沿って配置された歯付きベルト55を有している。歯付きベルト55の両端部は、水平パイプ32の端部に図示しない止め具によって固定されている。この歯付きベルト55は、その一部がガイドローラ53,54に掛かる部分で開口から引き出され、歯付きプーリ52に噛合している。
【0037】
また、上から1段目及び3段目の連結部63,65は、扉30の上段及び下段の水平パイプ31,33の下方に位置するように設けられている。この連結部63,65には、扉30の進退方向に並ぶ複数のスライドブロック24,25が取り付けられている。図2(a)には、スライドブロック24,25を模式的に三角形状で示した。
【0038】
なお、上段及び下段の水平パイプ31,33は同様の構成となっているため、上段の水平パイプ31について説明する。
図2(c)に示すように、水平パイプ31はその下部に進退方向に延びる開口を有しており、当該開口には、断面「コ」字状のガイドレール37が取り付けられている。一方、スライドブロック24は、連結部63の側面に螺着された取付部材56によって取り付けられており、水平パイプ31のガイドレール37の内側に位置する。
【0039】
すなわち、本実施形態では、扉30が上段及び下段の水平パイプ31,33に沿って延びるガイドレール37,38を有しており、扉30と共に進退移動するガイドレール37,38に、駆動部20のスライドブロック24,25が係合する。
【0040】
かかる構成により、モータ51が正逆回転すると、歯付きプーリ52が正逆回転して、歯付きベルト55との噛合位置が変わることで、扉30の進退移動が実現される。なお、ここでは、歯付きプーリ52がモータ51に直結されているが、減速機を介在させて歯付きプーリ52を取り付けるようにしてもよい。また、モータ51に代えて液圧式や空圧式のアクチュエータを採用してもよい。また、モータ51に直結されるのは歯車でもよく、その場合、歯付きベルト55は、ラック(歯車)で構成してもよい。
【0041】
なお、戸袋10が当初より設置されていた固定柵40に対して固定されることは既に述べたが、具体的には、図3(a)に示すように、固定柵40のホーム側及び軌道側の両側を覆うように戸袋10を取り付けることが考えられる。図3(a)では、2カ所の取付部12によって戸袋10が固定柵40に取り付けられている。また、図3(b)に示すように、固定柵40の軌道側を開放しホーム側のみを覆うように戸袋10を取り付けることが考えられる。図3(b)では、1カ所の取付部12によって戸袋10が固定柵40に取り付けられている。このとき、固定柵40の上部先端にホーム側へ傾斜する手摺り部41があって、扉30の進退移動に干渉する場合には、手摺り部41を取り除く。
【0042】
以上詳述したように、本実施形態では、扉30がフレーム構造を有するものとし、このフレーム構造を利用した扉送り出し機構23によって、扉30の進退移動を実現する。具体的には、扉30のフレーム構造を利用して、水平パイプ32,33の間に位置するように扉送り出し機構23を配置した(図2(b)参照)。このとき、乗降口の開放時には、駆動部20の端部開口26から扉30が突出する。すなわち、従来の戸袋よりも扉の進退方向における駆動部20の長さは小さくなっている。また、フレーム構造を構成する水平パイプ31,33に沿ったガイドレール37,38を扉30が有するものとし、駆動部20側が、ガイドレール37,38に係合するスライドブロック24,25を有するものと
した(図2(a)参照)。これにより、従来のようにガイドレールを敷設する必要がない。その結果、設置作業に要する時間を削減することができ、設置作業にかかるコストを削減することができる。
【0043】
なお、ガイドレール37,38は、上段及び下段の水平パイプ31,33の下部に取り付けるようにした(図2(c)参照)。これにより、比較的簡単にガイドレール37,38を取り付けることができる。
【0044】
また、本実施形態では、扉30が、水平パイプ31〜33と垂直パイプ34,35とで構成されるパイプフレーム構造を有している。これにより、扉30の重量を削減することができ、駆動部の重量を削減することができる。その結果、設置作業に要する時間を削減することができ、設置作業にかかるコストを削減することができる。
【0045】
具体的には、駆動部20を支持するための可動柵基礎部21,22は、2カ所で足りることになり、基礎部が3カ所以上(従来は4カ所)になる場合と比較して水平状態を作り出すことが簡単になるため、設置作業に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0046】
さらにまた、本実施形態では、戸袋10を備えており、乗降口の開放時に、駆動部20の端部開口26から突出する扉30を収容する。これにより、乗降口の開放時には扉30が戸袋10に収容されるため、安全性の向上に寄与する。
【0047】
また、戸袋10は、プラットホームPFの軌道側端縁部に当初より設置されている固定柵40に取り付けられる(図3(a)及び(b)参照)。これにより、戸袋10の設置が容易となり、設置作業に要する時間を削減することができる。また、戸袋10の部分に対応する固定柵は撤去する必要がなく、駆動部20の部分に対応する固定柵のみを撤去することで足りる。なお、固定柵40の上部先端にホーム側へ傾斜する手摺り部41があって、扉30の進退移動に干渉する場合には、手摺り部41を取り除く必要がある。
【0048】
具体的には、図4(a)に示すように駆動部20が2m未満の範囲に設置される場合、図4(b)に示すように、駆動部20の部分に対応する2m未満の範囲で固定柵40を撤去し、戸袋10の部分に対応する固定柵40については、その手摺り部41だけが取り除かれる。結果として、夜間時間帯での設置作業が可能となり、仮設の柵を設けたり警備員を配置したりする必要がない。
【0049】
また、固定柵40を撤去して駆動部20を設置する場合、具体的には、最初に、図5(a)に示す可動柵基礎部21,22をプラットホームPFに植設する。このとき、各可動柵基礎部21,22は、そのアンカー21a,22aで確実にプラットホームPFに植設される。次に、駆動部架台28を可動柵基礎部21,22に取り付け、その後、本体部分を駆動部架台28に固定する。
【0050】
このとき、固定柵40の撤去部分には固定柵基礎部42が残っているため(記号Bで示した)、当該固定柵基礎部42を避けるように可動柵基礎部21,22を植設する必要がある。
【0051】
この点、本実施形態では、駆動部20の重量が削減されており、可動柵基礎部21,22の配置自由度が高くなっている。したがって、例えば図5(b)に記号Cで示すように固定柵基礎部42が一方の可動柵基礎部22に干渉するような位置にあれば、一方の可動柵基礎部22を外側へずらして配置することができ、固定柵基礎部42を避けて可動柵基礎部21,22を配置することができる。
【0052】
なお、本実施形態における扉30が「扉」に相当し、駆動部20が「駆動部」に相当し、戸袋10が「戸袋」に相当する。また、扉30のフレーム構造を構成する水平パイプ31〜33が「水平棒状部材」に相当し、垂直パイプ34,35が「垂直棒状部材」に相当し、ガイドレール37,38が「ガイドレール」に相当する。さらにまた、駆動部20のスライドブロック24,25が「スライドブロック」に相当し、一方の端部開口27が「一方の端部開口」に相当し、他方の端部開口26が「他方の端部開口」に相当し、扉送り出し機構23が「扉送り出し機構」に相当する。また、固定柵40が「固定柵」に相当し、固定柵40の手摺り部41が「扉との干渉部分」に相当する。
【0053】
以上本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その技術的範囲を逸脱しない限り、種々なる形態で実施可能である。
例えば図6(a)に示すようなプラットホーム用可動柵装置として実施することもできる。このプラットホーム用可動柵装置も、上記実施形態のプラットホーム用可動柵装置と同様、戸袋70、駆動部80、及び、扉90を備えている。
【0054】
ここで扉90は、上部のみがパイプフレーム構造となっている。具体的に、扉90は、その下部が所定の厚みを有する板部91となっており、板部91の端部から垂直上方へ延びる垂直パイプ92、及び、垂直パイプ92の上端部から板部91と平行に延びる水平パイプ93を備えている。
【0055】
一方、戸袋70は、固定柵40をホーム側及び軌道側から覆うように固定柵40に取り付けられており、手摺り部41の上方に、水平パイプ93を収納可能なパイプ収納部71を有している。
【0056】
かかる構成により、図6(b)に示すように、駆動部80から戸袋70側へ突出する水平パイプ93は、パイプ収納部71へ収納されることになり、言うなればトロンボーン方式の可動柵装置となる。このとき、板部91と水平パイプ93との間に手摺り部41が位置するように扉90が戸袋70へ収納される。なお、駆動部80には、挟み込み防止のための切り欠き部81が設けられている。
【0057】
このようにしても、上記実施形態と同様の効果が奏される。また、この場合、当初から設置されている固定柵40の駆動部80に対応する部分を撤去するだけで足りる。すなわち、戸袋70に対応する部分の手摺り部41を取り除く必要がない、という点で有利である。
【0058】
なお、この場合、扉90が「扉」に相当し、駆動部80が「駆動部」に相当し、戸袋70が「戸袋」に相当する。また、扉90のフレーム構造を構成する水平パイプ93が「水平棒状部材」に相当し、垂直パイプ92が「垂直棒状部材」に相当する。さらにまた、固定柵40が「固定柵」に相当する。
【符号の説明】
【0059】
10…戸袋、11…開口部、12…取付部、20…駆動部、21,22…可動柵基礎部、23…扉送り出し機構、24,25…スライドブロック、26,27…端部開口、30…扉、31,32,33…水平パイプ、34,35…垂直パイプ、36…カバー部材、37,38…ガイドレール、40…固定柵、41…手摺り部、42…固定柵基礎部、43…アンカー部分、51…モータ、52…歯付きプーリ、53,54…ガイドローラ、55…歯付きベルト、56…取付部材、61,62…支柱、63,64,65…連結部、70…戸袋、71…パイプ収納部、80…駆動部、81…切り欠き部、90…扉、91…板部、92…垂直パイプ、93…水平パイプ、PF…プラットホーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームの軌道側端縁部に設けられ、軌道用車両の乗降扉に対応する間隔で配置される乗降口の開放及び閉合を行うプラットホーム用可動柵装置であって、
進退方向に延びる水平棒状部材と当該水平棒状部材の少なくとも一方の端部に連結され垂直方向に延びる垂直棒状部材とで構成されるフレーム構造を有する扉と、
プラットホームに固定され、前記進退方向への進退移動を可能とするよう前記扉を支持する駆動部と備え、
前記扉は、前記水平棒状部材に沿って配置されるガイドレールを有しており、
前記駆動部は、
前記扉と共に進退移動する前記ガイドレールに係合するスライドブロックと、
前記進退方向における一方の端部開口から前記扉を突出させることで前記乗降口を閉合すると共に、他方の端部開口から前記扉を突出させることで前記乗降口を開放する前記フレーム構造を利用した扉送り出し機構とを有していること
を特徴とするプラットホーム用可動柵装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラットホーム用可動柵装置において、
前記扉は、前記水平棒状部材及び前記垂直棒状部材のうち少なくとも一方を管状部材とするパイプフレーム構造を有していること
を特徴とするプラットホーム用可動柵装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプラットホーム用可動柵装置において、
さらに、前記駆動部の他方の端部開口側に設けられ、当該端部開口から突出する前記扉を収容する戸袋を備えていること
を特徴とするプラットホーム用可動柵装置。
【請求項4】
請求項3に記載のプラットホーム用可動柵装置において、
前記戸袋は、前記プラットホームの前記軌道側端縁部に当初より設置されている固定柵に取り付けられること
を特徴とするプラットホーム用可動柵装置。
【請求項5】
請求項4に記載のプラットホーム用可動柵装置において、
前記戸袋は、前記扉との干渉部分を取り除いた前記固定柵に取り付けられること
を特徴とするプラットホーム用可動柵装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のプラットホーム用可動柵装置において、
前記ガイドレールは、前記水平棒状部材の下部に取り付けられること
を特徴とするプラットホーム用可動柵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−71561(P2013−71561A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211303(P2011−211303)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】