説明

プラバスタチンのナトリウム塩の製造方法

【課題】本発明は、プラバスタチンのナトリウム塩の製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、
(1)プラバスタチンと、ギ酸メチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n−ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチルからなら群れから選ばれる一種または多種である第1の溶媒と、からなるプラバスタチン含有有機溶液に、pH>7になるまでカチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基を添加する工程
を含むプラバスタチンのナトリウム塩の製造方法を開示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラバスタチンのナトリウム塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラバスタチンナトリウム(pravastatin sodium)はスタチン系薬物の1種で、その化学名は{1S-[1α(βs*,δs*), 2α,6α,8β(R*),8aα]}-1,2,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-β,δ,6-トリヒドロキシ-2-メチル-8-(2-メチル-1-オキソブトキシ)-1-ナフタレンヘプタン酸モノナトリウム塩である。プラバスタチンナトリウムとロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン及びその誘導物や類似物はいずれもヒドロキシメチルグルタリル補酵素A(HMG-CoA)還元酵素阻害薬であり、高コレステロール血症や動脈粥状硬化症の治療に用いられる。
【化1】

【0003】
プラバスタチンナトリウムは二つの面でその血脂降下作用を発揮する。一つは、HMG-CoA還元酵素の活性を可逆性的に抑制し、肝におけるコレステロールの生体合成を遮断し、細胞内のコレステロール量をある程度低下させ、細胞表面のLDL受容体を刺激して補償的に増加させることにより、受容体によるLDLの分解代謝及び血中LDLの除去を増強する。もう一つは、LDLの前駆体であるVLDLの肝臓における合成を抑制することにより、LDLの生成を抑制する。プラバスタチンナトリウムは、その水溶性の活性形態で投与され、コレステロールの生体合成においては、肝臓に対して他のスタチン系薬物よりも高い可逆性と選択性を持つ。肝臓はコレステロールを合成する主な場所であるため、プラバスタチンのこの特性は、それが肝細胞で最も強いHMG-CoA還元酵素阻害作用を発揮し、脳と他の腺体での分布が極めて少ないことを保障する。プラバスタチンナトリウムは抜群な低毒性と有効な血脂降下作用を有するため、その治療効果が著しく、その耐性が良く、これらの薬物のうち最も発展前途のある一種だと公認されている。
【0004】
従来技術では、プラバスタチンナトリウムは有機溶媒で結晶化の方法により製造されるのが一般である。プラバスタチンナトリウムを飽和溶解状態から過飽和状態に入らせて析出させるために、通常の方法では温度差を利用し、それを過飽和とするが、この場合には、高温で溶解させた後、降温して析出させる方法を用いざるを得ない、そうでなければ、常温での溶解は濃度を低すぎさせ、降温後の母液における損失が大きくなることを招くため、産業化できない。或いは、常温で溶解させた後、昇温して真空濃縮することにより、高濃度のプラバスタチンナトリウム溶液を得てから、降温によりプラバスタチンナトリウムを析出させる。後者も昇温が必要で、さらに真空濃縮の工程を有するため、設備・施設に対する要求が高い。
【0005】
従来技術では、どちらの方法も大きな病弊があり、例えば、有機溶媒の使用量が非常に大きく、安全に不利であり、資源の消耗が大きく、かつ環境への影響も大きい。一方、いずれの方法でも、プラバスタチンナトリウムが溶解しやすくなるように溶媒を昇温した後、降温してプラバスタチンナトリウムを結晶化し析出させる。その中の昇温は有機溶媒を大量に揮発させるため、爆発などの厳しい結果が発生しやすく、設備と生産環境に対する要求が極めて高く、かつ操作者の健康にも不利である。さらに、プラバスタチンナトリウムは高温で不安定となり、高温はプラバスタチンナトリウムが生分解して他の構造類似物となることを促進する。また、降温にはエキストラの冷却設備が必要で、投入と運転エネルギー消耗が増えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、プラバスタチンナトリウムを工業生産する際、本分野では、有機溶媒の使用量が少なく、常温で実施でき、設備・施設に対する要求が低く、安全で、簡単で、効率的な方法が切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の開示
本発明の目的は新規なプラバスタチンのナトリウム塩の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の第一は、
(1)プラバスタチンと、ギ酸メチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n−ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチルからなら群れから選ばれる一種または多種である第1の溶媒と、からなるプラバスタチン含有有機溶液に、pH>7になるまでカチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基を添加する工程
を含むプラバスタチンのナトリウム塩の製造方法を提供する。
【0009】
他の好ましい例において、前述の製造方法は常温で行われる。
【0010】
他の好ましい例において、前述の有機溶液におけるプラバスタチンの濃度は1-300g/Lである。
【0011】
他の好ましい例において、前述の有機溶液におけるプラバスタチンの濃度は30-120g/Lである。
【0012】
他の好ましい例において、前述のカチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基は溶液であり、カチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基と、C1-4の脂肪族アルコールまたはその組み合わせから選ばれる第2の溶媒とからなる。前述のC1-4の脂肪族アルコールは、メチルアルコール、エチルアルコールまたはその組み合わせであることが好ましい。
【0013】
他の好ましい例において、前述のカチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基は水酸化ナトリウムまたはC1-4のナトリウム脂肪族アルコキシドから選ばれる。前述のC1-4のナトリウム脂肪族アルコキシドは、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはその組み合わせであることが好ましい。
【0014】
他の好ましい例において、工程(1)の前には、さらに
(1')プラバスタチンと第1の溶媒を混合し、プラバスタチン含有有機溶液を得る工程
を含む。
【0015】
他の好ましい例において、前述の工程(1')では、プラバスタチンを第1の溶媒に溶解し、プラバスタチン含有有機溶液を形成する。
【0016】
他の好ましい例において、前述の工程(1')では、プラバスタチン及び/或いはその塩を抽出により第1の溶媒に転移させ、プラバスタチン含有有機溶液を形成する。
【0017】
他の好ましい例において、前述の方法は
(a)プラバスタチン及び/或いはその塩を溶解または抽出により、ギ酸メチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n−ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチルからなら群れから選ばれる一種または多種である第1の溶媒に転移させ、プラバスタチン含有有機溶液を形成する工程と、
(b)工程(a)で得られた有機溶液に、カチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基を添加し、析出物を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた析出物から、工程(a)-(b)を1-5回、好ましくは1-3回繰り返すことにより、プラバスタチンナトリウムを得る工程と、
を含む。
【0018】
本発明の第二は、
(1)前述の製造方法で得られるプラバスタチンナトリウムと、
(2)薬学的に許容される担体と、
を含有する医薬品組成物を提供する。
【0019】
本発明の第三は、
患者に治療有効量の前述の医薬品組成物を投与することにより、動脈粥状硬化症、高コレステロール血症または高脂血症を治療する治療方法を提供する。
【0020】
これによって、本発明は有機溶媒の使用量が少なく、常温で実施でき、設備・施設に対する要求が低く、安全で、簡単で、効率的なプラバスタチンのナトリウム塩を製造する方法を提供した。
【発明を実施するための形態】
【0021】
具体的な実施の形態
本発明者らは幅広く深く検討した結果、驚くことに、プラバスタチン含有有機溶液にナトリウムイオンを加えて溶液のpHを変更することにより、プラバスタチンナトリウムを溶液から析出させるという、プラバスタチンナトリウムを常温で効率的に得る方法を見出し、本発明を完成させた。
【0022】
本発明において、「プラバスタチン」と「プラバスタチン遊離酸」は交換して用いられてもよく、いずれも「プラバスタチンナトリウム」の遊離酸を意味する。プラバスタチンの化学名は{1S-[1α(βs*,δs*), 2α,6α,8β(R*),8aα]}-1,2,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-β,δ,6-トリヒドロキシ-2-メチル-8-(2-メチル-1-オキソブトキシ)-1-ナフタレンヘプタン酸である。
【化2】

【0023】
本発明において、常温は当業者に良く知られている温度範囲であって、15-30℃、好ましくは15-25℃である。
【0024】
本文で用いられるように、「有機溶液」とは、非水物質を溶媒として用いる溶液を意味する。なかでは、水分含有量は<10v/v%、好ましくは<5v/v%、より好ましくは<1v/v%である。前述の溶媒としての非水物質は有機溶媒であることが好ましい。
【0025】
本文で用いられるように、「第1の溶媒」はプラバスタチン含有有機溶液を形成する有機溶媒であり、プラバスタチンナトリウムはこれに溶解しにくく、その溶解度は30g/Lより小さく、好ましくは10g/Lより小さく、最も好ましくは1g/Lより小さい。前述の第1の溶媒は、ギ酸メチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n−ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチルからなら群れから選ばれる一種または多種であることが好ましく、酢酸エチルであることがより好ましい。
【0026】
本文で用いられるように、「第2の溶媒」とは、第1の溶媒と相溶できるが、第1の溶媒と異なる有機溶媒を意味し、プラバスタチンナトリウムはこれに溶解しやすく、その溶解度は100g/Lより大きく、好ましくは200g/Lより大きく、最も好ましくは300g/Lより大きい。前述の第2の溶媒は低級脂肪族アルコールから選ばれ、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコールまたはtert−ブチルアルコールからなる群れから選ばれる一種または多種のC1-4の脂肪族アルコールであることが好ましく、メチルアルコール、エチルアルコールまたはその組み合わせであることがより好ましい。
【0027】
本発明において、「プラバスタチンナトリウム構造類似物」とは、プラバスタチンナトリウムと構造が似ている物質を意味する。これらはプラバスタチンの源である発酵液に存在し、或いはプラバスタチンの生分解産物である。これら、例えば3α-プラバスタチンナトリウムはプラバスタチンナトリウムに混在して不純物となる。
【0028】
本発明は、プラバスタチン含有有機溶液にNa+を加え、pHを7以上とし、固形物を析出させる。得られる析出物には、プラバスタチンナトリウムの含有量が90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上である。
【0029】
本発明の一つの好ましい例において、プラバスタチンナトリウムを製造する方法は、
(a)プラバスタチンを第1の溶媒と混合し、プラバスタチン含有有機溶液を得る工程と、
(b)工程(a)で得られた有機溶液に、pH>7になるまでカチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基を添加し、プラバスタチンナトリウムを得る工程と、
を含む。
【0030】
本発明の他の好ましい例において、前述のプラバスタチンナトリウムを製造する方法は、
(a)プラバスタチン塩を抽出により、ギ酸メチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n−ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチルからなら群れから選ばれる一種または多種である第1の溶媒に転移させ、プラバスタチン含有有機溶液を形成する工程と、
(b)工程(a)で得られた有機溶液に、カチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基を添加し、析出物を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた析出物から、工程(a)-(b)を1-5回、好ましくは1-3回繰り返すことにより、プラバスタチンナトリウムを得る工程と、
を含む。
【0031】
本発明において、該当分野で公知の方法によりプラバスタチン含有有機溶液を得ることができる、それにはプラバスタチンを第1の溶媒と混合して得る方法が含まれるが、これに限定されるものではない。本発明のプラバスタチン含有有機溶液におけるプラバスタチンの濃度は1-300g/L、好ましくは30-120g/L、より好ましくは50-100g/Lである。
【0032】
本発明の一つの好ましい形態において、プラバスタチンは第1の溶媒に溶解される。前述の溶解は当業者に良く知られており、本発明では、プラバスタチンを第1の溶媒に均一に分散して溶液とするという過程を示している。
【0033】
本発明の他の好ましい形態において、プラバスタチン及び/或いはその塩は抽出により第1の溶媒に転移され、プラバスタチン含有有機溶液を形成する。前述の抽出は当業者に良く知られており、それにはプラバスタチン塩の水溶液に第1の溶媒を加え、プラバスタチンを第1の溶媒に転移させ、水相を捨て、プラバスタチン含有有機溶液を得る方法が含まれる。前述のプラバスタチン塩はプラバスタチンナトリウム、プラバスタチンカリウムから選ばれ、プラバスタチンナトリウムであることが好ましい。プラバスタチン塩の水溶液に、pHが7以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下になるように酸性物質を滴下し、さらに第1の溶媒を加えて抽出することが好ましい。前述の酸性物質は有機塩基または無機塩基から選ばれ、無機塩基であることが好ましい、それには塩酸、硫酸、リン酸、硝酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
従来技術の改良方法を探索している間に、本発明者らは、pH変更のことを過飽和となる推進力とすることにより、プラバスタチン溶液を飽和溶解状態から過飽和状態に入らせ、プラバスタチンナトリウムを析出させることができることを気付いた。プラバスタチンナトリウムはプラバスタチン遊離酸として、即ちプラバスタチンとして存在しても良いが、両者の化学構造式の区別は水素イオンとナトリウムの違いだけにあり、即ち、ナトリウムの代わりに水素イオンが使用されている。しかし、ナトリウムの代わりに水素イオンが使用されるだけで、プラバスタチンとプラバスタチンナトリウムの溶解性に大きな区別がつく、即ち、プラバスタチンは第1の溶媒(例えば酢酸エチル)に溶解しやすいが、プラバスタチンナトリウムは第1の溶媒(例えば酢酸エチル)に溶解しにくい、そのため、プラバスタチンを第1の溶媒(例えば酢酸エチル)に溶解させた後、pHを上げることにより、プラバスタチンをプラバスタチンナトリウムに転換させることができる、後者は第1の溶媒(例えば酢酸エチル)に溶解しにくいため、析出する。
【0035】
プラバスタチン含有有機溶液にNa+含有物質を加え、pHを7以上、好ましくはpH7-10、より好ましくはpH7-9とすると、析出物が発生する。
【0036】
本発明の一つの好ましい形態において、プラバスタチン含有有機溶液には、Na+含有物質と第2の溶媒からなる溶液が加えられる。前述のNa+含有物質は第2の溶媒に溶解しやすい。前述のNa+含有物質は、カチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基であり、NaOHまたはC1-4のナトリウム脂肪族アルコキシドから選ばれ、NaOHであることが好ましい。前述のC1-4のナトリウム脂肪族アルコキシドは、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムn−プロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムn−ブトキシド、ナトリウムsec−ブトキシドまたはナトリウムtert−ブトキシドからなる群れから選ばれる一種または多種であり、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはその組み合わせであることが好ましい。前述の第2の溶媒はC1-4の脂肪族アルコールまたはその組み合わせから選ばれる。前述のC1-4の脂肪族アルコールはメチルアルコール、エチルアルコールまたはその組み合わせであることが好ましい。
【0037】
本発明の他の好ましい形態において、プラバスタチン含有有機溶液には、pHを上げるようにNaOHのメチルアルコール溶液及び/或いはNaOHのエチルアルコール溶液が加えられ、プラバスタチンナトリウムを析出させる。
【0038】
本発明のもう一つの好ましい形態において、プラバスタチン含有有機溶液には、例えば、NaOH、ナトリウムエトキシド、またはナトリウムメトキシドなどの固体のカチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基が直接に添加される。
【0039】
医薬品組成物
本発明はさらに、プラバスタチンのナトリウム塩を含有する薬物処方を提供する。薬物処方はそれぞれ経口投与と非胃腸投与の形態で存在し、高コレステロール血症と高脂血症の治療に用いられることができる。本発明の薬物処方は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、坐剤または懸濁液剤であっても良い。
【0040】
本発明の薬物処方には、プラバスタチンのナトリウム塩以外に、微晶質セルロース、乳糖、ショ糖、澱粉、変性澱粉などの一種または多種の充填剤;乳糖、澱粉、変性澱粉、微晶質セルロース、ショ糖、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドンなどの一種または多種のバインダー;架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチル澱粉、澱粉、微晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリアクリル酸カリウムなどの一種または多種の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸カルシウム、ステアリルフマール酸ナトリウム、タルク、三珪酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、カルナウバ蝋、シリカなどの一種または多種の異なる流動補助剤;クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、安息香酸塩、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、硫酸ラウリルなどの一種または多種の緩衝剤またはこれらの緩衝剤の混合物を含有してもよい。
【0041】
薬物処方は当業者に知られている通常の配合方法で製造できる。
【0042】
本発明で述べられた上述の特徴、或は実施例で述べられる特徴は、任意に組み合わせてもよい。本明細書で開示された全ての特徴は任意の組成物の形態と併用してもよく、明細書で開示された各特徴はいずれも、同様、同等或いは類似の目的を果たす代わりの特徴により置換されてもよい。特に説明しない限り、開示された特徴は、同等または類似の特徴の一般的なシリーズの一例に過ぎない。
【0043】
本発明の主な利点は、以下の通りである。
(1)有機溶媒(第1の溶媒、例えば酢酸エチル)の使用量を大きく減少した、
(2)常温で実施でき、設備・施設に対する要求を下げた、
(3)効率的に不純物を除去し、特にプラバスタチンナトリウム構造類似物の除去効果も意外に高い。
【0044】
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いるもので、発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例に特に具体的な条件を説明しない実験方法は通常の条件、或いはメーカーの薦めの条件で行われる。特に説明しない限り、すべての%と部は重量基準である。
【0045】
別途に定義しない限り、文中に使用されるすべての専門・科学用語は、本分野の熟練者によく知られる意味と同じである。また、記載される内容に類似或は同等の方法及び材料はいずれも本発明の方法に使用することができる。文中に記載の好ましい実施形態及び材料は列挙だけのためである。
【0046】
プラバスタチンナトリウムの旋光度、純度、構造類似物の測定
測定の方法及び設備:
旋光度の測定:Perkin Elmer POL341
純度及び構造類似物の測定:HPLC(ウォーターズ社)、C18逆相カラム、流動相:メチルアルコール:水:氷酢酸:トリエチルアミン=450:550:1:1、常温、検出波長238nm。
【実施例】
【0047】
実施例1
プラバスタチン(上海天偉生物製薬株式会社より購入)35gを20℃で酢酸エチル750mLに完全に溶解させた後、pHが7以上になるまで1MのNaOHを含有するメチルアルコール溶液を添加し、合計80mL添加した。ろ過して析出物を集め、真空乾燥し、プラバスタチンナトリウムの白色結晶状粉末を31g得た。
プラバスタチンナトリウムの比旋光度は+157°で、純度は99.95%で、なかでは、構造類似物の3α-プラバスタチンナトリウムの含有量は0.03%であった。
【0048】
実施例2
プラバスタチン粗製品350gを20℃で水2Lに完全に溶解させた後、酢酸エチルを4L添加し、攪拌し、pHが4以下になるように0.5MのH2SO4でpHを調節し、静置し、水相を捨て、さらにpHが8以上になるまで1MのNaOHを含有するエチルアルコール溶液を添加し、合計800mL添加した。ろ過して析出物を集め、真空乾燥し、精製したプラバスタチンナトリウムの白色結晶状粉末を330g得た。
その測定結果及びプラバスタチンナトリウム粗製品の純度の対比データは以下の通りである。
【0049】
【表1】

【0050】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、この分野の技術者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の様態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるのである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)プラバスタチンと、ギ酸メチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n−ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチルからなら群れから選ばれる一種または多種である第1の溶媒と、からなるプラバスタチン含有有機溶液に、pH>7になるまでカチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基を添加する工程
を含むことを特徴とするプラバスタチンのナトリウム塩の製造方法。
【請求項2】
前述の有機溶液におけるプラバスタチンの濃度は1-300g/Lであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前述の有機溶液におけるプラバスタチンの濃度は30-120g/Lであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前述のカチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基は溶液であり、その溶液はカチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基と、C1-4の脂肪族アルコールまたはその組み合わせから選ばれる第2の溶媒とからなる、前述のC1-4の脂肪族アルコールは、メチルアルコール、エチルアルコールまたはその組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前述のカチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基は水酸化ナトリウムまたはC1-4のナトリウム脂肪族アルコキシドから選ばれ、前述のC1-4のナトリウム脂肪族アルコキシドは、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはその組み合わせであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
工程(1)の前には、さらに
(1')プラバスタチンと第1の溶媒を混合し、プラバスタチン含有有機溶液を得る工程
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前述の工程(1')では、プラバスタチンを第1の溶媒に溶解し、プラバスタチン含有有機溶液を形成することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前述の工程(1')では、プラバスタチン及び/或いはその塩を抽出により第1の溶媒に転移させ、プラバスタチン含有有機溶液を形成することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
(a)プラバスタチン及び/或いはその塩を溶解または抽出により、ギ酸メチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n−ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチルからなら群れから選ばれる一種または多種である第1の溶媒に転移させ、プラバスタチン含有有機溶液を形成する工程と、
(b)工程(a)で得られた有機溶液に、カチオンがナトリウムイオンである無機塩基または有機塩基を添加し、析出物を得る工程と、
(c)工程(b)で得られた析出物から、工程(a)-(b)を1-5回、好ましくは1-3回繰り返すことにより、プラバスタチンナトリウムを得る工程と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(1) 請求項1に記載の方法で得られるプラバスタチンナトリウムと、
(2)薬学的に許容される担体と、
を含有する医薬品組成物。

【公開番号】特開2009−275042(P2009−275042A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115677(P2009−115677)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(506010046)上海天偉生物制薬有限公司 (6)
【Fターム(参考)】