説明

プランジャ挿入装置、及び、プランジャ挿入装置用のアダプタ、並びに、シリンジユニットの製造方法

【課題】材料とプランジャとの間に気泡が混入しないように、シリンジ容器にプランジャを挿入するプランジャ挿入装置、及び、プランジャ挿入装置用のアダプタ、並びに、シリンジユニットの製造方法を提供する。
【解決手段】プランジャ挿入装置1は、材料Mを収納したシリンジ容器を保持し、シリンジ容器を、公転軸線(回転軸線L1)を中心に公転させる容器保持部30と、シリンジ容器の軸線上であって材料と公転軸線との間の領域にプランジャ200を保持し、プランジャを、公転軸線を中心に、シリンジ容器と同じ公転数で公転させるプランジャ保持部42と、シリンジ容器の材料よりも上の空間を減圧する減圧手段と、を含む。プランジャ保持部は、プランジャが所定値以上の公転数で公転したときに、遠心力の作用によりプランジャが脱落し、材料に向かって落下するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランジャ挿入装置、及び、プランジャ挿入装置用のアダプタ、並びに、シリンジユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、流動性材料(例えば、はんだペーストやシーラント)は、細長い外形の容器(いわゆるシリンジ容器・バレル容器)に充填された状態で取り扱われることがある。この場合には、プランジャでシリンジ容器(バレル容器)の基端側から材料を押圧することによって、容器の先端側(吐出口)から材料を吐出させることが多い。このようにプランジャを利用して材料を吐出させる場合、プランジャの移動量によって材料の吐出量を正確に制御することが可能になる。
【0003】
ところで、シリンジ容器(バレル容器)に充填された材料が気泡を含んでいる場合には、プランジャを利用した吐出量の精密な制御が難しくなるところ、特許文献1には、シリンジ容器内で、材料を脱泡すると共に、材料を均一に混練する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-24231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術によってシリンジ容器(バレル容器)に充填された材料から気泡が除去されたとしても、シリンジ容器(バレル容器)にプランジャを挿入する際にプランジャと材料の間に気泡が混入してしまうと、当該気泡が材料の吐出精度に影響を与えることが懸念される。
【0006】
本発明の一つの態様は、材料とプランジャとの間に気泡が混入しないように、シリンジ容器にプランジャを挿入するプランジャ挿入装置、及び、プランジャ挿入装置用のアダプタ、並びに、シリンジユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一つの実施態様は、
材料を収納したシリンジ容器を保持して、前記シリンジ容器を所定の公転軸線を中心に公転させる容器保持部と、
前記シリンジ容器の軸線上であって前記材料及び前記公転軸線の間の領域にプランジャを保持し、前記プランジャを、前記シリンジ容器と同じ公転数で、前記公転軸線を中心に公転させるプランジャ保持部と、
前記シリンジ容器の前記材料よりも上の空間を減圧する減圧手段と、
を含み、
前記容器保持部は、前記シリンジ容器を、基端部が、先端部よりも前記公転軸線側であって、かつ、前記先端部よりも上方に配置されるように保持し、
前記プランジャ保持部は、前記プランジャが所定値以上の公転数で公転したときに、遠心力の作用により前記プランジャが脱落し、前記プランジャが、前記材料に向かって落下するように構成されているプランジャ挿入装置を提供する。
【0008】
この実施態様によると、プランジャと材料との間に気泡が混入しないように、シリンジ容器にプランジャを挿入するプランジャ挿入装置を提供することができる。
【0009】
(2)このプランジャ挿入装置において、
前記プランジャ上に配置される錘体をさらに含んでもよい。
【0010】
(3)このプランジャ挿入装置において、
前記容器保持部は、所定の自転軸線を中心に自転しながら、前記公転軸線を中心に公転するように構成されていてもよい。
【0011】
(4)本発明の別の実施態様は、
材料を収納したシリンジ容器を保持し、前記シリンジ容器を所定の公転軸線を中心に公転させる容器保持部に着脱可能に構成されたアダプタであって、
前記シリンジ容器の軸線上であって前記材料及び前記公転軸線の間の領域にプランジャを保持するプランジャ保持部を有し、
前記プランジャ保持部は、前記プランジャが所定値以上の公転数で公転したときに、遠心力の作用により前記プランジャが脱落し、前記プランジャが前記材料に向かって落下するように構成されているプランジャ挿入装置用のアダプタを提供する。
【0012】
本実施態様によると、遠心力を利用してシリンジ容器にプランジャを挿入することが可能な、プランジャ挿入装置用のアダプタを提供することができる。
【0013】
(5)本発明のさらに別の実施態様は、
材料を収納したシリンジ容器、及び、前記シリンジ容器に挿入されたプランジャを有するシリンジユニットを製造する方法であって、
前記シリンジ容器を保持して、前記シリンジ容器を所定の公転軸線を中心に公転させる容器保持部に、前記シリンジ容器を、基端部が、先端部よりも前記公転軸線側であって、かつ、前記先端部よりも上方に配置されるように保持させる工程と、
前記シリンジ容器の軸線上であって前記材料及び前記公転軸線の間の領域にプランジャを配置する工程と、
前記シリンジ容器の前記材料よりも上の空間を減圧する工程と、
前記シリンジ容器及び前記プランジャを、前記公転軸線を中心に、所定値以上の公転数で公転させることによって、遠心力の作用により前記プランジャを前記材料に向かって落下させる工程と、
を含むシリンジユニットの製造方法を提供する。
【0014】
この実施態様によると、材料とプランジャとの間に気泡が混入しないように、シリンジユニットを製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係るプランジャ挿入装置の構成を説明するための図。
【図2】第1の実施形態に係るプランジャ挿入装置の構成を説明するための図。
【図3】第1の実施形態に係るプランジャ挿入装置の構成を説明するための図。
【図4】第1の実施形態に係るプランジャ挿入装置の構成を説明するための図。
【図5】第1の実施形態に係るプランジャ挿入装置の構成を説明するための図。
【図6】第1の実施の形態に適用可能なシリンジ容器の構成を説明するための図。
【図7】第1の実施の形態に適用可能なプランジャの構成を説明するための図。
【図8】第1の実施形態に係るプランジャ挿入装置の動作を説明するための図。
【図9】第1の実施形態に係るプランジャ挿入方法を説明するための図。
【図10】第1の実施形態の変形例を説明するための図。
【図11】第2の実施形態に係るプランジャ挿入装置の構成を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。すなわち、以下の実施の形態で説明するすべての構成が本発明にとって必須であるとは限らない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含む。
【0017】
1.第1の実施の形態
以下、本発明を適用した第1の実施の形態について説明する。
【0018】
(1)プランジャ挿入装置1の構成
以下、本実施の形態に係るプランジャ挿入装置1の構成について、図1〜図5を参照して説明する。
【0019】
(a)筐体10
プランジャ挿入装置1は、図1に示すように、筐体10を有する。筐体10の内部には、後述する種々の機構を支持するための支持基板12が、防振ばねを介して取り付けられている。また、支持基板12には、後述する回転体20の回転軸22を保持するための保持部材14が取り付けられている。筐体10は、開閉可能に構成されたドアを有し、当該ドア(ドア及びチャンバ72)を開けると容器保持部30が露出して、容器保持部30にシリンジ容器100を着脱することが可能になる。
【0020】
(b)回転体20
プランジャ挿入装置1は、図1に示すように、回転体20を有する。回転体20は、支持基板12(筐体10)に対して回転可能に構成されている。具体的には、プランジャ挿入装置1では、回転体20には回転軸22が固定されており、回転軸22が、ベアリングを介して保持部材14に保持されている。これにより、回転体20を、支持基板12に対して回転可能とすることができる。なお、プランジャ挿入装置1では、回転体20の回転軸線L1と、回転軸22の延伸方向とが一致することになる。
【0021】
(c)容器保持部30
プランジャ挿入装置1は、図1に示すように、容器保持部30を有する。容器保持部30は、後述するシリンジ容器100を保持して、シリンジ容器100を回転軸線L1を中心に公転させる役割を果たす。以下、容器保持部30について説明する。
【0022】
容器保持部30は、回転体20の、回転軸線L1から所定間隔離れた位置に保持されている。これにより、容器保持部30は、回転体20の回転に伴って、回転軸線L1を中心に公転することとなる。そのため、容器保持部30によって、シリンジ容器100を、回転軸線L1を中心に公転させることが可能になる。
【0023】
本実施の形態では、容器保持部30は、回転体20に対して自転(回転)可能に保持される。具体的には、プランジャ挿入装置1では、容器保持部30には自転軸32が固定されており、自転軸32が、ベアリング34を介して回転体20(回転体20に固定されたベアリング保持部)に保持された構成となっている。これにより、容器保持部30が、回転体20に対して自転可能となる。
【0024】
なお、本実施の形態では、容器保持部30は、その自転軸線L2が、回転軸線L1(公転軸線)と斜めに交差するように構成されている。プランジャ挿入装置1では、具体的には、自転軸線L2が回転軸線L1と45度の角度で交差するように構成されている。ただし、回転軸線L1と自転軸線L2との交差角は45度に限定されるものではなく、適宜設定することができる。また、自転軸線L2は回転軸線L1と交差している必要はなく、容器保持部30を、自転軸線L2及び回転軸線L1がねじれの位置となるように構成することも可能である(図示せず)。
【0025】
容器保持部30は、図1に示すように、アダプタ36を保持するように構成されている。アダプタ36は、シリンジ容器100を保持する役割を果たす。容器保持部30及びアダプタ36をあわせて、容器保持部と称することも可能である。以下、図1〜図2(D)を参照して、アダプタ36について説明する。なお、図2(A)はアダプタ36の斜視図であり、図2(B)はアダプタ36の平面図である。また、図2(C)は図2(B)のIIC−IIC線断面図であり、図2(D)は図2(B)のIID−IID線断面図である。
【0026】
アダプタ36は、図2(A)〜図2(C)に示すように、保持部37を有する。保持部37は、シリンジ容器100を保持する役割を果たす。保持部37(アダプタ36及び容器保持部30)は、シリンジ容器100を、基端部104が先端部102よりも回転軸線L1側に配置されるように、かつ、基端部104が先端部102よりも上方に配置されるように保持する(図1参照)。また、本実施の形態では、アダプタ36の上面には、図2(A)及び図2(B)、図2(D)に示すように、凹部38が形成されている。凹部38には、後述するプランジャ保持アダプタ40の凸部44の小径部48が挿入される(図4(A)参照)。
【0027】
本実施の形態では、容器保持部30は、アダプタ36(プランジャ保持アダプタ40)が内部で空回りすることを防止するための、空回り防止機構を備えた構成とすることも可能である(図示せず)。
【0028】
本実施の形態では、容器保持部30は、回転体20に一つのみ取り付けられている。そして、本実施の形態では、回転体20にはバランス錘39が取り付けられている。バランス錘39によって、回転体20を安定して回転させることができる。なお、本実施の形態では、バランス錘39は、回転軸線L1からの距離を変更することが可能に構成されている。ただし変形例として、プランジャ挿入装置を、一つの回転体20に、複数の容器保持部30が取り付けられた構成とすることも可能である(図示せず)。この場合、複数の容器保持部は、回転軸線L1を中心とする点対称の配置となるように取り付けることができる。
【0029】
(d)プランジャ保持アダプタ40
プランジャ挿入装置1は、図1に示すように、プランジャ保持アダプタ40を有する。本実施の形態では、プランジャ保持アダプタ40は、アダプタ36上に配置されて利用される。そのため、プランジャ保持アダプタ40は、アダプタ36(容器保持部30)の公転に伴って公転することになる。以下、図1及び図3(A)〜図3(D)を参照して、プランジャ保持アダプタ40について説明する。
【0030】
プランジャ保持アダプタ40は、プランジャ保持部42を有する(図3(B)及び図3(C)参照)。プランジャ保持部42は、プランジャ200を保持する役割を果たす。本実施の形態では、プランジャ保持部42は、プランジャ保持アダプタ40に形成された貫通穴41の下端部によって実現されている。すなわち、本実施の形態では、図3(A)〜図3(C)に示すように、プランジャ保持アダプタ40には貫通穴41が形成されており、その下端部の径が、プランジャ200の径よりも小さくなっている。そのため、貫通穴41の上端からプランジャ200を挿入すると、プランジャ200は、貫通穴41の下端部で保持されることになる(図1参照)。このことから、本実施の形態では、貫通穴41の下端部を、プランジャ保持部42と称することができる。
【0031】
本実施の形態では、プランジャ保持部42は、シリンジ容器100の軸線上であって材料M及び回転軸線L1(公転軸線)の間の領域にプランジャ200を保持する。これにより、回転軸線L1を中心にプランジャ200を公転させることによって、プランジャ200に、材料Mに向かう遠心力を作用させることが可能になる。なお、本実施の形態では、プランジャ保持アダプタ40は、アダプタ36に取り付けられて使用される。そのため、プランジャ保持アダプタ40はアダプタ36と一体的に挙動し、プランジャ保持部42が、プランジャ200を、シリンジ容器100と同じ回転数で公転させることになる。
【0032】
本実施の形態では、プランジャ保持部42は、プランジャ200が所定値以上の公転数で公転したときに、遠心力の作用によってプランジャ200が脱落するように構成されている。例えば、プランジャ保持部42の径や材質(プランジャ200との間の摩擦係数)を調整することによって、プランジャ保持部42でプランジャ200を保持することが可能になるとともに、所定の条件でプランジャ200をプランジャ保持部42から脱落させることが可能になる。
【0033】
また、本実施の形態では、プランジャ保持アダプタ40(プランジャ保持部42)は、プランジャ200が脱落すると、プランジャ200がシリンジ容器100内の材料Mに向かって落下するように構成されている。プランジャ保持アダプタ40を、シリンジ容器100の軸線上であって材料M及び回転軸線L1の間の領域(言い換えると、材料Mが公転する軌跡と回転軸線L1の間の領域)にプランジャ200を保持するように構成することにより、プランジャ200に材料Mへ向かう遠心力を作用させることができるため、プランジャ200をシリンジ容器100内の材料Mに向かって落下させることができる。なお、プランジャ保持アダプタ40を、プランジャ200をシリンジ容器100内に導くためのガイド部(図示せず)を有する構成とすることも可能である。
【0034】
本実施の形態では、プランジャ保持アダプタ40は、アダプタ36(容器保持部)に着脱可能に構成されており、図3(D)に示すように、その下面から突出する凸部44を有する。凸部44は、大径部46及び小径部48を有している。凸部44は、プランジャ保持アダプタ40をアダプタ36上に配置する際に、両者の位置決めをする役割を果たす。
【0035】
すなわち、本実施の形態では、プランジャ保持アダプタ40は、アダプタ36上に配置されて使用される。このとき、プランジャ保持アダプタ40の凸部44の小径部48は、図4(A)に示すように、アダプタ36の上面に形成された凹部38に挿入される。小径部48を凹部38に挿入することによって、アダプタ36(容器保持部30)とプランジャ保持アダプタ40とが位置決めされる。そのため、図4(B)に示すように、シリンジ容器100上にプランジャ200を配置することが可能になる。また、小径部48及び凹部38によって、プランジャ保持アダプタ40及びアダプタ36が相対的に回転することを防止することができ、両者を一体的に挙動させることが可能になる。そのため、本実施の形態によると、プランジャ200が、回転軸線L1を中心に、シリンジ容器100と同じ回転数(公転数)で回転することになる。
【0036】
また、本実施の形態では、プランジャ保持アダプタ40をアダプタ36上に配置する際に、凸部44の大径部46が、図4(B)に示すように、アダプタ36の上面に接触する。大径部46により、図4(B)に示すように、アダプタ36の上面(シリンジ容器100の基端部104)と、プランジャ保持アダプタ40の下面とが、間隔をあけて対向することになる。そのため、後述する減圧手段によって、シリンジ容器100の材料Mよりも上の空間を減圧することが可能になる。なお、特に図示しないが、プランジャ保持アダプタ40は、その上面側と下面側とを連通する空気の流路(例えば貫通穴)が設けられた構成とすることも可能である。これにより、シリンジ容器100の材料Mよりも上の空間を、効率よく減圧することが可能になる。また、アダプタ36の上面とプランジャ保持アダプタ40の下面との間隔は、適宜に調整することが可能である。例えばこの間隔を、プランジャ200の一部(先端部)がシリンジ容器100内に配置されるように調整することも可能である(図示せず)。これによると、プランジャ保持部42から脱落したプランジャ200を、確実に、シリンジ容器100内に落下させることができる。
【0037】
(e)駆動機構
プランジャ挿入装置1は、容器保持部30を公転させながら自転させる駆動機構を含む。以下、図1を参照して、駆動機構の構成について説明する。
【0038】
駆動機構は、モータ52を有する。モータ52は、回転体20(回転軸22)を回転させる役割を果たす。本実施の形態では、回転体20が回転すると、容器保持部30が公転することになる。そのため、モータ52を、容器保持部30(シリンジ容器100及びプランジャ200)を公転させるための公転駆動機構と称することができる。なお、モータ52は、インダクションモータやサーボモータ、あるいはPMモータなど、既に公知となっているいずれかのモータを利用することが可能である。
【0039】
駆動機構は、また、自転力付与機構を有する。本実施の形態では、自転力付与機構は、容器保持部30の公転に伴って(回転体20の回転に伴って)、容器保持部30に自転力を付与するように構成されている。以下、自転力付与機構について説明する。
【0040】
自転力付与機構は、自転プーリ56を有する。自転プーリ56は容器保持部30に固定されており、容器保持部30と一体的に挙動する。なお、本実施の形態では、自転プーリ56は、容器保持部30の外周に設けられている。また、自転力付与機構は、自転力付与プーリ58を有する。自転力付与プーリ58は、保持部材14の外周に固定されている。そして、自転力付与機構は、自転プーリ56と自転力付与プーリ58との間で動力を伝達する自転動力伝達機構を有する。本実施の形態では、自転動力伝達機構は、回転体20に回転可能に取り付けられた第1中継プーリ62及び第2中継プーリ64と、自転プーリ56及び第1中継プーリ62にかけまわされた第1ベルト66と、自転力付与プーリ58及び第2中継プーリ64にかけまわされた第2ベルト68とを含んで構成されている。
【0041】
自転力付与機構によると、自転動力伝達機構によって、自転プーリ56の挙動と、自転力付与プーリ58の挙動とが関連付けられ、自転プーリ56と自転力付与プーリ58とが、遊星歯車機構と同様の挙動を示すことになる。そして、本実施の形態では、自転力付与プーリ58が保持部材14に固定されていることから、回転体20を回転させると、自転プーリ56は、回転軸線L1を中心に公転しながら、自転軸線L2を中心に自転することになる。すなわちプランジャ挿入装置1では、モータ52で回転体20を回転させると、自転プーリ56は公転しながら自転し、自転プーリ56に固定された容器保持部30が、公転しながら自転することになる。
【0042】
なお、変形例として、駆動機構を、自転力付与プーリ58を保持部材14に対して回転可能に構成し、自転力付与プーリ58を所望の回転数で回転させるための調整機構をさらに備えた構成とすることも可能である(図示せず)。先に説明したとおり、駆動機構では、自転動力伝達機構が、自転プーリ56の回転数と自転力付与プーリ58の回転数とを関連付ける役割を果たしている。そのため、自転プーリ56を公転させながら(回転体20を回転させながら)、自転力付与プーリ58の回転数を調整することにより、自転プーリ56の自転数を制御することが可能になる。なお、この調整機構は、例えばモータやブレーキなど、既に公知となっているいずれかの機構によって実現することができる。
【0043】
また、他の変形例として、動力伝達要素として、プーリ及びベルトにかえて、歯車を利用することも可能である(図示せず)。
【0044】
(f)減圧手段
プランジャ挿入装置1は、減圧手段を含む。減圧手段は、少なくとも、シリンジ容器100の材料Mよりも上の空間を減圧する役割を果たす。以下、減圧手段の構成について説明する。
【0045】
減圧手段は、所定の空間を区画するチャンバ72を有する。チャンバ72によって区画される空間が、減圧手段によって減圧される空間となる。そして、前述した容器保持部30は、チャンバ72内に配置される。なお、前述したとおり、本実施の形態では、アダプタ36及びプランジャ保持アダプタ40は、間隔をあけて配置される。そのため、シリンジ容器100の材料Mよりも上の空間はチャンバ72によって区画される空間に連通することになり、チャンバ72内を減圧することによって、シリンジ容器100の材料Mよりも上の空間を減圧することができる。
【0046】
減圧手段は、減圧ポンプ74を有する。減圧ポンプ74は、チャンバ72内を減圧する役割を果たす。
【0047】
減圧手段は、また、チャンバ72内の気圧を測定するための圧力センサ76や、各種バルブを備えた構成とすることができる。
【0048】
(g)制御手段80
プランジャ挿入装置1は、図5に示す制御手段80を含む。制御手段80は、プランジャ挿入装置1の動作を統括制御する役割を果たす。以下、制御手段80について説明する。
【0049】
制御手段80は、マイクロプロセッサ(CPU82)と、公転駆動機構(モータ52)を制御する駆動制御部84と、チャンバ72内の気圧を制御する気圧制御部85とを含む。そして、CPU82は、運転データ(例えば、材料Mの処理条件に合わせてユーザが入力したデータ)に基づいて駆動制御部84及び気圧制御部85に各種の信号を出力することにより、プランジャ挿入装置1の動作を制御する。
【0050】
先述したように、プランジャ挿入装置1では、容器保持部30は回転体20の回転に伴って公転することから、モータ52の出力を制御することによって、容器保持部30の公転数が制御される。すなわち、モータ52の出力を制御することにより、容器保持部30を所望の公転数で公転させることが可能になる。
【0051】
例えばモータ52としてインダクションモータを採用する場合には、駆動制御部84は、インバータの動作を制御し、モータ52に供給される交流電力の周波数を所定値とするためのインバータ制御部によって実現することができる。あるいは、モータ52としてサーボモータを採用する場合には、駆動制御部84は、専用のドライバ及びハードウェアによって実現され、モータ52を所望の回転数で動作させるための各種処理を行う。また、駆動制御部84を、回転センサ86で検出された容器保持部30の回転数情報を取得し(例えばCPU82を介して取得し)、当該回転数情報に基づいて、回転体20の回転数を調整するための種々の処理を行うように構成することも可能である。
【0052】
また、気圧制御部85は、減圧ポンプ74の動作を制御するポンプ制御部と、減圧手段に含まれる各種弁(例えば調圧弁)の開閉を切り替えるスイッチング素子によって実現することができる。なお、気圧制御部85は、圧力センサ76が検出したチャンバ72内の圧力情報に基づいて、減圧手段の動作を調整するための種々の処理を行うように構成することが可能である。
【0053】
そして、CPU82は、所定のタイミングで、駆動制御部84及び気圧制御部85に各種の信号(容器保持部30の目標回転数データや設定圧力データ)を送信する処理を行う。これにより、容器保持部30を所望の回転数で回転させることができるとともに、チャンバ72内を所望の気圧に設定することができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、CPU82は、回転センサ86を介して、回転体20の回転数情報(容器保持部30の公転数情報)を取得することが可能に構成されている。そして、CPU82は、この回転数情報を、経過時間と関連付けて図示しない記憶部に格納する処理を行うことも可能である。また、CPU82を、回転体20の回転数情報に基づいて容器保持部30の自転数情報を演算処理するように構成することも可能である。すなわち、プランジャ挿入装置1では、自転力付与プーリ58は回転不能に構成されているため、回転体20の回転数が明らかになれば、動力伝達機構の各要素のサイズデータから導出される係数を利用して、容器保持部30の自転数を演算することが可能になる。
【0055】
さらに、CPU82は、操作部88から入力された動作データを受け付けて、図示しない記憶部に格納する処理や、表示部89に各種情報(操作部88から入力された動作データや、プランジャ挿入装置1の運転状況等)を表示させるための処理を行う。
【0056】
(2)シリンジ容器100
次に、本実施の形態に適用可能なシリンジ容器100について説明する。図6は、シリンジ容器100について説明するための図である。
【0057】
シリンジ容器100は、図6に示すように、長細い筒状の形状をした容器である。シリンジ容器100は、先端部102及び基端部104を有する。先端部102は、シリンジ容器100に収納された材料Mを吐出させる際に材料Mが通過する経路であり、その径は、基端部104の径に比べて小さくなっている。また、シリンジ容器100には、基端部104側からプランジャ200が挿入される。プランジャ200で基端部104側から材料Mを押圧することにより、材料Mを、先端部102から吐出させることができる。
【0058】
本実施の形態では、シリンジ容器100は、容器保持部30に保持されて、容器保持部30と一体的に挙動することになる(図1参照)。シリンジ容器100は、容器保持部30の公転に伴って生じる遠心力の方向が、基端部104から先端部102に向かう方向となるように、容器保持部30に保持される。具体的には、シリンジ容器100は、基端部104が先端部102よりも回転軸線L1側に配置されるように(基端部104がプランジャ保持アダプタ40側を向くように)、容器保持部30に保持される。また、本実施の形態では、シリンジ容器100は、基端部104が先端部102よりも上方に配置されるように、容器保持部30に保持される。さらに、本実施の形態では、シリンジ容器100は、その軸線(先端部102の中心と基端部104の中心を結ぶ仮想直線)が容器保持部30の自転軸線L2と平行に延びる姿勢となるように、容器保持部30に保持される。
【0059】
また、シリンジ容器100は、図6に示すように、先端部102にキャップ106を取り付けることが可能に構成されている。キャップを取り付けることによって、先端部102から材料Mが排出されることを防止することができる。
【0060】
なお、シリンジ容器100は、用途によって、バレル容器と呼ばれることもある。
【0061】
(3)プランジャ200
次に、本実施の形態に適用可能なプランジャ200について説明する。図7は、プランジャ200について説明するための図である。
【0062】
プランジャ200は、基端部104側からシリンジ容器100に挿入され、シリンジ容器100内で材料Mを押圧することによって、先端部102から材料Mを吐出させる部材である。プランジャ200は、図7に示すように、先端側の円錐部202と、基端側の円柱部204とを有する。プランジャ200は、材料Mを押圧する際に、円柱部204及びシリンジ容器100の内壁面の間から材料Mが流出しないように構成されている。そのため、プランジャ200によって、シリンジ容器100内で材料Mの内圧を高めることができ、材料Mを先端部102から吐出させることができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、プランジャ200は、プランジャ保持アダプタ40に保持され、かつ、容器保持部30が所定値以上の公転数で公転したときにプランジャ保持アダプタ40(プランジャ保持部42)から脱落するように構成されている。プランジャ200を、例えば可撓性を有する構成とすることができる。
【0064】
(4)プランジャ挿入装置1の動作
次に、プランジャ挿入装置1の動作について説明する。
【0065】
プランジャ挿入装置1は、図1に示すように、シリンジ容器100、及び、プランジャ200(プランジャ保持アダプタ40)を保持した状態で、容器保持部30を公転させる。これにより、プランジャ200には、回転軸線L1から離れる方向に向かう遠心力が作用する。容器保持部30の公転数が所定値以上になり、プランジャ200に作用する遠心力が所定値以上になると、プランジャ保持部42はプランジャ200を保持しきれなくなる。そのため、プランジャ200はプランジャ保持部42から脱落してシリンジ容器100に向かって落下し、シリンジ容器100に挿入されることになる(図8(A)及び図8(B)参照)。これにより、図8(C)に示すように、シリンジ容器100、及び、その内部に収納された材料M、並びに、プランジャ200を有するシリンジユニット101を製造することができる。
【0066】
そして、プランジャ挿入装置1では、プランジャ200をシリンジ容器100に挿入する処理は、チャンバ72内(シリンジ容器100の材料Mよりも上の空間)の気圧が所定値以下になった状態で行う。これにより、プランジャ200を挿入する際に、プランジャ200と材料Mとの間に気泡が混入することを防止することができる。
【0067】
(5)プランジャ挿入方法
次に、シリンジ容器100にプランジャ200を挿入する方法について説明する。図9は、プランジャ200の挿入方法を説明するためのフローチャートである。なお、本方法によって、シリンジ容器100と、材料M及びプランジャ200とを有するシリンジユニット101が製造される。このことから、本方法を、シリンジユニット101(あるいはバレルユニット)の製造方法ととらえることも可能である。
【0068】
プランジャ挿入方法は、容器保持部30に、内部に材料Mを収納したシリンジ容器100を保持させる工程(ステップS10)と、シリンジ容器100の軸線上であって材料M及び回転軸線L1の間の領域にプランジャ200を配置する工程(ステップS20)と、シリンジ容器100の材料Mよりも上の空間を減圧する工程(ステップS30)と、シリンジ容器100及びプランジャ200を、回転軸線L1を中心に、所定値以上の公転数で公転させることによって、遠心力の作用によりプランジャ200を材料Mに向かって落下させる工程(ステップS40)と、を含む。これにより、シリンジ容器100にプランジャ200を挿入することができる。
【0069】
なお、容器保持部30にシリンジ容器100を保持させる工程(ステップS10)では、シリンジ容器100を、その基端部104が、先端部102よりも回転軸線L1側に配置されるように、かつ、先端部102よりも上方に配置されるように、容器保持部30に保持させる。本工程は、アダプタ36にシリンジ容器100を保持させ、そのアダプタ36を容器保持部30に保持させることによって行うことも可能である。
【0070】
また、プランジャ200を配置する工程(ステップS20)では、プランジャ200を、材料Mと間隔をあけて対向するように配置する。本工程は、プランジャ保持アダプタ40にプランジャ200を保持させ、そのプランジャ保持アダプタ40をアダプタ36上に配置することによって行うことも可能である。
【0071】
また、シリンジ容器100の材料Mよりも上の空間を減圧する工程(ステップS30)は、容器保持部30を公転させながら(回転体20を回転させながら)行ってもよい。この場合には、チャンバ72内の気圧が所定値以下になるまでは、容器保持部30の公転数は、プランジャ200がプランジャ保持部42から脱落しない値とする。ただし、この工程は、容器保持部30を停止した状態で行うことも可能である。
【0072】
また、プランジャ200を材料Mに向かって落下させる工程(ステップS40)における容器保持部30の公転数は、プランジャ200に、プランジャ保持部42から脱落して材料Mに向かって落下する遠心力を作用させるに足る値であり、具体的な値は実験により導出することができる。
【0073】
また、上記のプランジャ挿入工程(特に、プランジャ200を配置する工程(ステップS20))を行う前に、シリンジ容器100に収納された材料Mを脱泡する処理を行うことも可能である。具体的には、シリンジ容器100を容器保持部30に保持させて、必要に応じてチャンバ72内を減圧した状態で、容器保持部30を公転させることによって、材料Mを脱泡処理することができる。なお、本実施の形態では、容器保持部30は公転しながら自転するように構成されている。そのため、材料Mを脱泡処理する工程も、容器保持部30が自転しながら行われることになり、材料Mが遠心分離することを防止することができる。
【0074】
(6)材料M
本実施の形態に適用可能な材料Mは、その組成や用途は特に限定されるものではない。材料Mとして、流体成分(樹脂等)のみを含む材料や、流体成分のほかに粒状成分(粉状成分)を含む材料などを適用することができる。材料Mとして、例えば、接着剤、シーラント剤、液晶材料、LEDの蛍光体と樹脂とを含む混合材料、半田ペースト、成型に利用される硬化性の樹脂材料、歯科用印象材料、歯科用セメント(穴埋め剤等)、液状の薬剤等の種々の材料を適用することができる。
【0075】
(7)作用効果
以下、本実施の形態が奏する作用効果について説明する。
【0076】
本実施の形態によると、シリンジ容器100の材料Mよりも上の空間を減圧した状態で、シリンジ容器100にプランジャ200を挿入することができる。そのため、シリンジ容器100にプランジャ200を挿入する際に、プランジャ200と材料Mとの間に気泡が混入することを防止することができる。言い換えると、本実施の形態によって、シリンジ容器100と、材料M及びプランジャ200を有するシリンジユニットであって、材料Mとプランジャ200との間に気泡が存在しないシリンジユニットを製造し、提供することが可能になる。
【0077】
また、本実施の形態では、シリンジ容器100は、基端部104が、先端部102よりも回転軸線L1側に、かつ、先端部102よりも上方に配置される。そのため、プランジャ200に、シリンジ容器100(材料M)へ向かう遠心力を作用させることができるとともに、シリンジ容器100(基端部104)から材料Mがこぼれることを防止することができる。
【0078】
また、本実施の形態では、容器保持部30は、公転しながら自転するように構成されている。そのため、シリンジ容器100内で材料が遠心分離することを防止することができる。また、複数のプランジャ200を保持することが可能なプランジャ保持アダプタ40を利用する場合に、それぞれのプランジャ200に均等に遠心力を作用させることができるため、複数のシリンジ容器100にプランジャ200を挿入する処理を、効率よく行うことが可能になる。
【0079】
(8)変形例
次に、図10を参照して、本実施の形態の変形例について説明する。
【0080】
本変形例では、図10に示すように、シリンジ容器100は、アダプタ35を介して容器保持部30に保持される。アダプタ35は、図10に示すように、シリンジ容器100を一本のみ保持するように構成されている。
【0081】
本変形例では、プランジャ挿入装置は、図10に示すように、プランジャ保持アダプタ140を有する。以下、プランジャ保持アダプタ140について説明する。
【0082】
プランジャ保持アダプタ140は、プランジャ200を保持するためのプランジャ保持部142を有する。プランジャ保持部142は、プランジャ200の径よりも小さくなっている。これにより、プランジャ保持部142で、プランジャ200を保持することが可能になる。
【0083】
プランジャ保持アダプタ140は、ガイド部144を有する。ガイド部144は、プランジャ保持部142とシリンジ容器100との間に配置され、プランジャ保持部142から脱落したプランジャ200を、シリンジ容器100に導く役割を果たす。なお、本実施の形態では、ガイド部144には貫通穴146が形成されている。貫通穴146によって、材料Mとプランジャ200との間の空間(ガイド部144内の空間)を減圧することが可能になる。
【0084】
プランジャ保持アダプタ140は、フック148を有する。フック148は、シリンジ容器100の基端部104のつば部と嵌め合わされ、プランジャ保持アダプタ140をシリンジ容器100に固定する役割を果たす。すなわち、プランジャ保持アダプタ140は、シリンジ容器100に対して着脱可能な構成となっている。
【0085】
本変形例では、プランジャ挿入装置は、図10に示すように、錘体150を有する。錘体150はプランジャ200上に配置される。
【0086】
このプランジャ挿入装置を利用した場合でも、シリンジ容器100にプランジャ200を挿入する際に、プランジャ200と材料Mとの間に気泡が混入することを防止することができる。
【0087】
特に、本変形例では、プランジャ挿入装置は錘体150を有する。錘体150を利用すると、これを利用しない場合に比べて、より小さい公転数で、プランジャ保持部142からプランジャ200を脱落させることができる。すなわち、公転数を必要以上に大きくすることなく、プランジャ200を挿入する処理を行うことができる。また、プランジャ200(プランジャ保持部142)が回転軸線L1に近接している場合にも、確実にプランジャ200を脱落させることが可能になる。なお、錘体150の質量は、プランジャ挿入装置やプランジャ保持アダプタ及びプランジャの形状、材料Mの性質に基づいて適宜選択することができ、具体的な値は実験により導出することができる。
【0088】
2.第2の実施形態
以下、図11を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
【0089】
本実施の形態に係るプランジャ挿入装置2は、図11に示すように、回転体21を有する。回転体21は、回転軸線L1を中心に回転可能に構成されている。
【0090】
プランジャ挿入装置2は、図11に示すように、容器保持部31を有する。容器保持部31は、回転体21の回転軸線L1から所定の間隔をあけた位置に固定されている。そのため、容器保持部31は、回転体21の回転に伴って、回転軸線L1を中心に公転(公転のみ)することになる。そして、容器保持部31は、図11に示すように、シリンジ容器100を保持する役割を果たすことから、容器保持部31によって、シリンジ容器100を回転軸線L1を中心に公転させることができる。なお、プランジャ挿入装置2では、容器保持部31は、シリンジ容器100を、その軸線が回転軸線L1と斜めに交差する姿勢で保持するように構成されている。
【0091】
プランジャ挿入装置2は、回転体160を有する。回転体160は、回転軸線L1を中心に、回転体21と同じ回転数で回転するように構成されている。そして、回転体160におけるシリンジ容器100の軸線と交差する位置には、貫通穴が形成されている。この貫通穴は、プランジャ保持部としての役割を果たす。すなわち、この貫通穴は、プランジャ200を保持するように、かつ、プランジャ200が所定値以上の公転数で公転したときに(回転体160が所定値以上の回転数で回転したときに)、プランジャ200が脱落するように構成されている。
【0092】
プランジャ挿入装置2は、特に図示しないが、シリンジ容器100の材料Mよりも上の空間を減圧する減圧手段や、プランジャ挿入装置2の動作を統括制御する制御部をさらに有する。
【0093】
プランジャ挿入装置2によると、回転体21及び回転体160を回転させることにより、プランジャ200に遠心力を作用させ、プランジャ200を、シリンジ容器100に挿入することができる。また、プランジャ200をシリンジ容器100に挿入する際に、シリンジ容器100の材料Mよりも上の空間を減圧することができる。そのため、プランジャ挿入装置2を利用した場合でも、プランジャ200と材料Mとの間に気泡が混入しないように、シリンジ容器100にプランジャ200を挿入することが可能になる。また、プランジャ挿入装置2は、容器保持部31(シリンジ容器100)を自転させるための機構を備えていない。そのため、プランジャ挿入装置2の構成を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0094】
1…プランジャ挿入装置、 2…プランジャ挿入装置、 10…筐体、 12…支持基板、 14…保持部材、 20…回転体、 21…回転体、 22…回転軸、 30…容器保持部、 31…容器保持部、 32…自転軸、 34…ベアリング、 35…アダプタ、 36…アダプタ、 37…保持部、 38…凹部、 39…バランス錘、 40…プランジャ保持アダプタ、 41…貫通穴、 42…プランジャ保持部、 44…凸部、 46…大径部、 48…小径部、 52…モータ、 56…自転プーリ、 58…自転力付与プーリ、 62…第1中継プーリ、 64…第2中継プーリ、 66…第1ベルト、 68…第2ベルト、 72…チャンバ、 74…減圧ポンプ、 76…圧力センサ、 80…制御手段、 82…CPU、 84…駆動制御部、 85…気圧制御部、 86…回転センサ、 88…操作部、 89…表示部、 100…シリンジ容器、 102…先端部、 104…基端部、 106…キャップ、 140…プランジャ保持アダプタ、 142…プランジャ保持部、 144…ガイド部、 146…貫通穴、 148…フック、 150…錘体、 160…回転体、 200…プランジャ、 202…円錐部、 204…円柱部、 L1…回転軸線、 L2…自転軸線、 M…材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を収納したシリンジ容器を保持して、前記シリンジ容器を所定の公転軸線を中心に公転させる容器保持部と、
前記シリンジ容器の軸線上であって前記材料及び前記公転軸線の間の領域にプランジャを保持し、前記プランジャを、前記シリンジ容器と同じ公転数で、前記公転軸線を中心に公転させるプランジャ保持部と、
前記シリンジ容器の前記材料よりも上の空間を減圧する減圧手段と、
を含み、
前記容器保持部は、前記シリンジ容器を、基端部が、先端部よりも前記公転軸線側であって、かつ、前記先端部よりも上方に配置されるように保持し、
前記プランジャ保持部は、前記プランジャが所定値以上の公転数で公転したときに、遠心力の作用により前記プランジャが脱落し、前記プランジャが、前記材料に向かって落下するように構成されているプランジャ挿入装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプランジャ挿入装置において、
前記プランジャ上に配置される錘体をさらに含むプランジャ挿入装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプランジャ挿入装置において、
前記容器保持部は、所定の自転軸線を中心に自転しながら、前記公転軸線を中心に公転するように構成されているプランジャ挿入装置。
【請求項4】
材料を収納したシリンジ容器を保持し、前記シリンジ容器を所定の公転軸線を中心に公転させる容器保持部に着脱可能に構成されたアダプタであって、
前記シリンジ容器の軸線上であって前記材料及び前記公転軸線の間の領域にプランジャを保持するプランジャ保持部を有し、
前記プランジャ保持部は、前記プランジャが所定値以上の公転数で公転したときに、遠心力の作用により前記プランジャが脱落し、前記プランジャが前記材料に向かって落下するように構成されているプランジャ挿入装置用のアダプタ。
【請求項5】
材料を収納したシリンジ容器、及び、前記シリンジ容器に挿入されたプランジャを有するシリンジユニットを製造する方法であって、
前記シリンジ容器を保持して、前記シリンジ容器を所定の公転軸線を中心に公転させる容器保持部に、前記シリンジ容器を、基端部が、先端部よりも前記公転軸線側であって、かつ、前記先端部よりも上方に配置されるように保持させる工程と、
前記シリンジ容器の軸線上であって前記材料及び前記公転軸線の間の領域にプランジャを配置する工程と、
前記シリンジ容器の前記材料よりも上の空間を減圧する工程と、
前記シリンジ容器及び前記プランジャを、前記公転軸線を中心に、所定値以上の公転数で公転させることによって、遠心力の作用により前記プランジャを前記材料に向かって落下させる工程と、
を含むシリンジユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−136284(P2012−136284A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291557(P2010−291557)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(393030408)株式会社シンキー (34)
【Fターム(参考)】