説明

プラント用インタフェースエージェント

【課題】 運転員によるプラントの運転状態の把握及びプラントへの操作入力を支援し、運転員の熟練に頼ることなく安定したプラントの運転を実現させ、かつプラントの運転状態の変化を迅速かつ的確に把握する。
【解決手段】 プラントと運転員との間に介在し、プラントの運転状態を示すプラントデータに基づいてプラントの運転を支援するメッセージを運転員に出力するプラント用インタフェースエージェントにおいて、プラントの運転に係わるプラントデータに所定の処理を施して時系列データとして事例メモリに順次蓄積させると共に、現在のプラントの運転状態を示す現在時系列データに類似する過去時系列データを事例ベース推論の手法に基づく照合ルールを用いて比較照合し、該比較照合結果に基づいてメッセージを生成する推論エンジンを具備する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラント用インタフェースエージェントに係わり、特に人工知能(AI)の手法を用いてプラントの運転状態を監視する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な形態として、プラントは、一定のプロセス処理を行うプロセス機器と、該プロセス機器を制御する制御機器と、運転員がプロセス機器に何らかの操作を与えるための操作機器とから構成されている。このようなプラントに対して、従来のプラントの運転において、運転員は、操作機器の表示手段に表示される計測データ(プロセス機器について計測された計測値)を読むことによってプラントの運転状態を把握し、必要に応じて操作機器に操作入力を行うことによってプラントの運転に指示を与える。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のプラントの運転においては、プラントの運転状態を把握することは、運転員の一方的な責任となっている。すなわち、運転員は、操作機器を操作することによって表示される複数の計測データに基づいてプラントの運転状態を把握するわけであるが、これら計測データからプラントの運転状態を正確に判断し、最も適切な操作入力をするためには、かなりの熟練を必要とする。特に、プラントの一部に故障が発生した場合等の緊急時には、運転員は、通常時以上に多数の計測データを的確に選択して確認する必要があるので、その負荷は極めて大きなものとなる。
【0004】なお、平常時における運転員の仕事は、計測データの監視作業が中心となっており、集中力を持続することが困難である。したがって、運転員にとっては、プラントの運転状態の変化を迅速かつ的確に把握することが困難である。
【0005】本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、以下の点を目的とするものである。
(1)運転員によるプラントの運転状態の把握及びプラントへの操作入力を支援することが可能なプラント用インタフェースエージェントを提供する。
(2)運転員の熟練に頼ることなく安定したプラントの運転を実現させることが可能なプラント用インタフェースエージェントを提供する。
(3)プラントの運転状態の変化を迅速かつ的確に把握することが可能なプラント用インタフェースエージェントを提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明では、第1の手段として、プラントと運転員との間に介在し、プラントの運転状態を示すプラントデータに基づいてプラントの運転を支援するメッセージを運転員に出力するプラント用インタフェースエージェントにおいて、プラントの運転に係わるプラントデータに所定の処理を施して時系列データとして事例メモリに順次蓄積させると共に、現在のプラントの運転状態を示す現在時系列データに類似する過去時系列データを事例ベース推論の手法に基づいて比較照合し、該比較照合結果に基づいてメッセージを生成する推論エンジンを具備する手段を採用する。第2の手段として、上記手段において、推論エンジンを、一定時間毎にサンプリングされた各プラントデータの絶対値を距離空間に写像し、該写像によって得られた写像情報を時系列データとして順次記憶し、前記写像情報に基づいて過去の時系列データと現在の時系列データとの距離を各プラントデータ毎に算出し、該距離の総和が小さい過去の時系列データを類似運転事例として検出し、該類似運転事例に基づいて運転員へのメッセージを生成するように構成するという手段を採用する。第3の手段として、上記第2の手段において、推論エンジンを、各プラントデータの変化率を算出し、該変化率を距離空間にそれぞれ写像し、各プラントデータに付随する時間データに基づいて変化率と前記絶対値とを関係付け、前記絶対値の写像に係わる写像情報と共に前記変化率の写像に係わる写像情報と関係付けによる関係付け情報とを時系列データとして記憶するように構成するという手段を採用する。第4の手段として、上記第2または第3の手段において、推論エンジンを、ある一定値よりも大きな距離となる絶対値または変化率が1つでも検出されると、当該過去時系列データを類似運転事例の候補から除外し、当該過去時系列データに係わる他の絶対値または変化率の距離計算を省略するように構成するという手段を採用する。第5の手段として、第1〜第4の手段において、運転員から入力された操作情報をコマンドとしてプラントに出力するコマンド出力手段を具備する手段を採用する。第6の手段として、上記第1〜第5の各手段において、プラントデータとして、プラントを構成する各種プロセス機器について計測された計測データと運転員がプラントに対して操作する運転操作データのうち、何れか一方または両方を採用するという手段を採用する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるプラント用インタフェースエージェントの一実施形態について説明する。
【0008】 図1は、本実施形態のプラント用インタフェースエージェントの機能構成を示すブロック図である。この図において、符号1は当該プラント用インタフェースエージェントであり、プラントと運転員との間に介在してプラントと運転員との情報交換を支援するものである。
【0009】一般的な形態として、プラントは、一定のプロセス処理を行うプロセス機器と、該プロセス機器を制御する制御機器と、運転員がプロセス機器に何らかの操作を与えるための操作機器とから構成されている。運転員は、操作機器の表示手段に表示される計測データ(プロセス機器について各種計測された計測値)を読み取ることによってプラントの運転状態を把握し、操作機器に操作入力を行うことによってプラントの運転に指示を与える。
【0010】プラント用インタフェースエージェント1は、例えば上記操作機器に対して並列的に備えられ、計測データに基づくプラントの運転状態の把握とプラントへの操作入力と支援するものである。このプラント用インタフェースエージェント1は、以下に説明するように、人工知能(AI)手法の一種である事例ベース推論を応用することにより、プラントの運転状態を過去の運転事例(過去時系列データ)として時系列的に順次蓄積し、該過去時系列データに基づいて現在の運転状態を判断するものである。
【0011】このプラント用インタフェースエージェント1は、ユーザインタフェース1a、言語変換システム1b、推論エンジン1c、照合ルール1d、事例メモリ1e、コマンド実行モジュール1f、及びデータ収集モジュール1g等によって構成される。
【0012】上記ユーザインタフェース1aは、例えばディスプレイやスピーカ、キーボードや音声入力装置等であり、キーボードを操作することによってあるいは音声入力によって運転員から入力された操作情報を操作データとして言語変換システム1bに出力すると共に、言語変換システム1bから入力された言語データを音声信号に変換してスピーカに、また映像信号に変換してディスプレイに出力するものである。
【0013】言語変換システム1bは、上記ユーザインタフェース1aから入力された操作データを推論エンジンが処理可能なコンピュータ言語に変換して推論エンジン1cに出力すると共に、推論エンジン1cから入力されたコンピュータ言語を人間の理解できる言語データに変換してユーザインタフェース1aに出力するものである。
【0014】推論エンジン1cは、データ収集モジュール1gから入力されたプラントデータを事例ベース推論の手法を用いて処理することにより現在の運転状態を示す現在時系列データを生成し、該現在時系列データに類似する過去時系列データを照合ルール1dに基づいて事例メモリ1eから検索すると共に、言語変換システム1bから入力された操作データのコンピュータ言語に対しては、そのままコマンド実行モジュール1fに出力する。また、推論エンジン1cは、プラントデータに基づいて生成した現在時系列データを過去時系列データとして事例メモリ1eに順次記憶させる。
【0015】事例メモリ1eは、推論エンジン1cから順次入力される現在時系列データを過去時系列データとして順次蓄積するものである。照合ルール1dは、事例ベース推論の手法に基づいた現在時系列データと過去時系列データとの照合手順を示すものである。なお、この照合ルール1dに基づいた推論エンジン1cの処理については、以下に詳述する。
【0016】コマンド実行モジュール1fは、推論エンジン1cを介して言語変換システム1bから入力された操作データのコンピュータ言語を上記プラントの制御機器が理解できるコマンド(命令)に変換してプラントに出力する。データ収集モジュール1gは、該コマンドと上記操作機器を介してプラントに操作入力されたコマンド及び上記計測データをプラントデータとして収集し、推論エンジン1cに出力する。
【0017】次に、このように構成されたプラント用インタフェースエージェント1の動作について、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0018】まず、ステップS1において、データ収集モジュール1gが上記操作データと計測データとを一定時間間隔でサンプリングすることによって、プラントデータが当該プラント用インタフェースエージェント1に入力される。この場合、プラントデータは、複数の物理量に亘る計測データ及び様々なプロセス機器に係わる複数の操作情報から形成される。
【0019】このように入力されたプラントデータは、推論エンジン1cに入力されて、以下のような処理を受ける。すなわち、各プラントデータの絶対値が距離空間にそれぞれ写像される(ステップS2)。この絶対値の距離空間への写像は、例えば図3に示すように、Steam Flow(蒸気流量)に係わるプラントデータを予め決められたツリー構造の各リンク(Steam Flow.0〜Steam Flow.6)に割り当てる処理(マッピング処理)である。ここで、各リンクは、蒸気流量の最大変動範囲をいくつか(この場合6個)の小変動範囲に分割したものである。
【0020】例えば、図3において、新たに0.58がサンプリングされた場合、当該プラントデータは、Steam Flow.6のリンクに割り当てられる。すなわち、時間の経過と伴に順次サンプリングされたプラントデータの絶対値は、その値に応じて何れかのリンクにマッピングされることにより、距離空間にそれぞれ写像される。そして、このような絶対値の距離空間への写像は、全ての物理量のプラントデータについて行われる。
【0021】このようにしてプラントデータの絶対値の距離空間への写像が完了すると、各プラントデータには、プラントデータの特徴を示すようなラベルが各々に付与される(ステップS3)。例えば、上記蒸気流量に係わるプラントデータの場合には、その絶対値の大小に応じて「蒸気流量大」、「蒸気流量やや大」、「蒸気流量普通」、……等のラベルを各データ毎に付与する。
【0022】一方、ステップS4では、前回サンプリングされたプラントデータと今回のプラントデータを比較することによって、その変化率が計算される。プラントでは、単にプラントデータの絶対値だけではなく、その変化傾向がしばしば重要な指標となる。そこで、プラントデータをその最大値で正規化し、この正規化したプラントデータ(正規化プラントデータ)と前回サンプリングされたプラントデータの正規化プラントデータとの差を取ることによって変化率が算出される。そして、この変化率の算出は、全ての物理量について行われる。
【0023】このようにしてプラントデータの変化率が算出されると、該変化率は、距離空間にそれぞれ写像される(ステップS5)。この絶対値の距離空間への写像は、上述した絶対値と同様にして行われるものであり、時間の経過と伴に順次算出される変化率を当該変化率について予め決められたツリー構造の各リンクに割り当てる処理である。
【0024】そして、プラントデータの変化率の距離空間への写像が終了すると、ラベル付けが行われる(ステップS6)。例えば、上記蒸気流量の場合には、蒸気流量の変化率の大小に応じて「蒸気流量変化率大」、「蒸気流量変化率やや大」、「蒸気流量変化率普通」、……等のラベルが各物理量の変化率について付与される。
【0025】このようにプラントデータの絶対値及び変化率は各々独立して距離空間への写像とラベル付けが行われるが、ステップS7では、絶対値の距離空間への写像情報と変化率の距離空間への写像情報の関係付け処理が行われる(ステップS7)。この関係付け処理では、順次サンプリングされるプラントデータに付随する時間データに基づいて、変化率と絶対値とが関係付けられる。
【0026】このようにしてプラントデータの絶対値及び変化率のラベル付け並びにその関係付け処理が終了すると、上記一連の処理結果、すなわちプラントデータの絶対値と変化率の距離空間への写像情報及びラベル付け情報並びにその関係付け情報は、上述した現在時系列データでり、時系列的に事例メモリ1eに記憶される(ステップS8)。
【0027】すなわち、データ収集モジュール1gによってプラントの運転開始から時間の経過と伴に順次サンプリングされたプラントデータに基づいて現在時系列データが生成され、過去の運転事例を示す過去時系列データとして事例メモリ1eに時系列的に蓄積記憶される。
【0028】そして、推論エンジン1cは、新たにサンプリングされたプラントデータの現在時系列データに対して、事例メモリ1eに既に記憶された過去の一定時間幅に亘る1または複数の過去時系列データを照合ルール1dに従って比較照合することにより、現在運転事例に類似する過去運転事例を類似運転事例として検索する(ステップS9)。
【0029】具体的には、過去の一定時間幅に亘る1または複数の過去時系列データと現在時系列データの全ての組み合わせについて、データの相互の距離がそれぞれ算出される。すなわち、上記距離空間への写像処理(ステップS2,S5)によって各リンクにマッピングされた全ての絶対値と変化率について、過去時系列データと現在時系列データとの距離が計算される。そして、その距離の総和が最も小さい過去時系列データが現在時系列データに最も類似した類似運転事例として検出される。
【0030】例えば、上記図3において、同一リンクに属するプラントデータの絶対値は最も距離が小さい。そして、より多くのリンクを辿って到達する関係にあるもの程その距離が大きいことになる。Steam Flow.4のリンクに属する絶対値0.34とはSteam Flow.5のリンクに属する絶対値0.44とは、Steam Flow.2のリンクを介して辿ることができる。
【0031】これに対して、Steam Flow.4のリンクに属する絶対値0.34とはSteam Flow.3のリンクに属する絶対値0.68とは、Steam Flow2に加えてSteam Flow.0のリンクを介して辿ることができる。したがって、絶対値0.44は、辿る必要のあるリンク数が少ないので、絶対値0.34に対して絶対値0.68よりも距離が小さい関係にある。
【0032】このような各プラントデータの距離計算は、過去の一定時間幅に亘る1または複数の過去時系列データと現在時系列データの全ての組み合わせについて行われる。しかし、処理時間の短縮を図るために、ある一定値よりも大きな距離となる絶対値または変化率が1つでも検出されると、当該過去時系列データを類似運転事例の候補から除外し、当該過去時系列データに係わる他の絶対値または変化率の距離計算を省略することが考えられる。
【0033】このようにして類似運転事例が検出されると、推論エンジン1cは、該類似運転事例に係わる過去時系列データに基づいてプラントの現在の運転状態を推論し、その推論結果メッセージデータを生成する。例えば、類似運転事例が過去においてプラントを構成する特定機器の異常状態の時に事例メモリ1eに記憶されたものである場合には、現在時系列データはプラントの異常を示していることになるので、推論エンジン1cは、この旨を運転員に知らせるメッセージデータを生成する。
【0034】このメッセージデータは、例えば推論エンジンが出力可能なコンピュータ言語であり、言語変換システム1bに出力される。言語変換システム1bは、メッセージデータを人間が理解できる言語、例えば日本語または英語等のデータに変換してユーザインタフェース1aに出力する。この結果、ユーザインタフェース1aからは、上記特定機器の異常を知らせるメッセージが音声や映像の形態で運転員に向かって出力される(ステップS10)。
【0035】一方、このような特定機器の異常を知らせるメッセージに対して、運転員から当該プラント用インタフェースエージェント1に何らかの操作入力がなされた場合、この操作入力はユーザインタフェース1aを介して言語変換システム1bに入力され、コンピュータ言語に変換される。そして、このコンピュータ言語は、推論エンジン1cを経由してコマンド実行モジュール1fに入力されて、プラントの制御機器が取り扱うことのできるコマンドに変換される。そして、このコマンドは、操作指示としてプラントに出力される。
【0036】例えば、このコマンドは、特定機器の稼働停止を指示するものや特定機器の稼働状態を変更させるもの等が考えられる。このようにプラント用インタフェースエージェント1からプラントに向けて出力されたコマンド、及びプラントに本来設けられている操作機器から入力されたコマンドは、上述したようにデータ収集モジュール1gにおいてプラントデータの一つとしてサンプリングされる。
【0037】なお、上記実施形態では、プラントデータとして計測データと操作データとを取り上げたが、これに限定されるものではなく、何れか一方を取り扱うようにしても良い。また、現在時系列データと比較するために過去時系列データに対して設定される上記時間幅や、どの物理量のプラントデータを過去時系列データと現在時系列データとについて比較するかは、監視対象となるプラントの特徴に基づいて適宜設定する必要がある。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わるプラント用インタフェースエージェントによれば、以下のような効果を奏する。
(1)プラントと運転員との間に介在し、プラントの運転状態を示すプラントデータに基づいてプラントの運転を支援するメッセージを運転員に出力するプラント用インタフェースエージェントにおいて、プラントの運転に係わるプラントデータに所定の処理を施して時系列データとして事例メモリに順次蓄積させると共に、現在のプラントの運転状態を示す現在時系列データに類似する過去時系列データを事例ベース推論の手法に基づく照合ルールを用いて比較照合し、該比較照合結果に基づいてメッセージを生成する推論エンジンを具備するので、運転員によるプラントの運転状態の把握及びプラントへの操作入力を効果的に支援することができる。
(2)プラントデータに基づいて運転員に対するプラントの運転を支援するメッセージが出力されるので、運転員の熟練に頼ることなく安定したプラントの運転を実現させることができる。
(3)順次蓄積される時系列データに基づいてプラントの運転を支援するメッセージが自動的に生成されるので、該メッセージはプラントの運転状態を迅速かつ的確に反映したものとなる。したがって、運転員は、プラントの運転状態の変化を迅速かつ的確に把握することができる。
(4)事例ベース推論に入力するプラントデータとして操作データを用いることにより、プラントに対する運転員の操作についても監視し、それに対するメッセージを出力することができる。
(5)プラントデータの絶対値のみならず、その変化率についても事例ベース推論を適用することにより、プラントの運転状態をより正確に監視してメッセージを出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わるプラント用インタフェースエージェントの一実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明に係わるプラント用インタフェースエージェントの一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】 本発明に係わるプラント用インタフェースエージェントの一実施形態において、現在時系列データの距離空間への写像を説明する説明図である。
【符号の説明】
1……プラント用インタフェースエージェント
1a……ユーザインタフェース
1b……言語変換システム
1c……推論エンジン
1d……照合ルール
1e……事例メモリ
1f……コマンド実行モジュール(コマンド出力手段)
1g……データ収集モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラントと運転員との間に介在し、プラントの運転状態を示すプラントデータに基づいて運転員にプラントの運転を支援するメッセージを出力するプラント用インタフェースエージェントであって、プラントの運転に係わるプラントデータに所定の処理を施して時系列データとして事例メモリ(1e)に順次蓄積させると共に、現在のプラントの運転状態を示す現在時系列データに類似する過去時系列データを事例ベース推論の手法に基づいて比較照合し、該比較照合結果に基づいてメッセージを生成する推論エンジン(1c)を具備することを特徴とするプラント用インタフェースエージェントプラント。
【請求項2】 請求項1記載のプラント用インタフェースエージェントにおいて、前記推論エンジンは、一定時間毎にサンプリングされた各プラントデータの絶対値を距離空間に写像し、該写像によって得られた写像情報を時系列データとして順次記憶し、前記写像情報に基づいて過去の時系列データと現在の時系列データとの距離を各プラントデータ毎に算出し、該距離の総和が小さい過去の時系列データを類似運転事例として検出し、該類似運転事例に基づいて運転員へのメッセージを生成することを特徴とするプラント用インタフェースエージェント。
【請求項3】 請求項2記載のプラント用インタフェースエージェントにおいて、前記推論エンジンは、各プラントデータの変化率を算出し、該変化率を距離空間にそれぞれ写像し、各プラントデータに付随する時間データに基づいて変化率と前記絶対値とを関係付け、前記絶対値の写像に係わる写像情報と共に前記変化率の写像に係わる写像情報と関係付けによる関係付け情報とを時系列データとして記憶することを特徴とするプラント用インタフェースエージェント。
【請求項4】 請求項2または3記載のプラント用インタフェースエージェントにおいて、推論エンジンは、ある一定値よりも大きな距離となる絶対値または変化率が1つでも検出されると、当該過去時系列データを類似運転事例の候補から除外し、当該過去時系列データに係わる他の絶対値または変化率の距離計算を省略することを特徴とするプラント用インタフェースエージェント。
【請求項5】 請求項1〜4いずれかに記載のプラント用インタフェースエージェントにおいて、運転員から入力された操作情報をコマンドとしてプラントに出力するコマンド出力手段(1f)を具備することを特徴とするプラント用インタフェースエージェント。
【請求項6】 請求項1〜5いずれかに記載のプラント用インタフェースエージェントにおいて、プラントデータは、プラントを構成する各種プロセス機器について計測された計測データであることを特徴とするプラントの運転状態監視方法。
【請求項7】 請求項1〜5いずれかに記載のプラント用インタフェースエージェントにおいて、プラントデータは、運転員がプラントに対して操作する運転操作データであることを特徴とするプラント用インタフェースエージェント。
【請求項8】 請求項1〜5いずれかに記載のプラント用インタフェースエージェントにおいて、プラントデータは、プラントを構成する各種プロセス機器について計測された計測データ及び運転員がプラントに対して操作する運転操作データであることを特徴とするプラント用インタフェースエージェント。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開平11−73217
【公開日】平成11年(1999)3月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−231581
【出願日】平成9年(1997)8月27日
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)