説明

プラント監視支援システム、及び同システムにおけるクラウドサービス提供装置、ならびにプログラム

【課題】 プラントの維持管理をクラウドサービスにより実現しようとした場合の、監視データの保全性の確保と、通信が遮断された場合の監視データの復旧を容易に行う。
【解決手段】 クラウドサービス提供装置30は、データ収集装置10から取得される監視データを、受益者装置20とデータ収集装置10のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理してデータベース(DBサーバ36)に蓄積する。そして、受益者装置20から監視データの照会要求を受信したときに、識別情報に基づくアクセス認証を行ない、データベースから読み出される監視データを加工して照会要求のあった受益者装置20に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント監視支援システム、及び同システムにおけるクラウドサービス提供装置、ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市のライフライン的存在である浄水場や下水処理場のプラント、発電所等のプラントは、取り扱う情報量が増大し、それに伴い、安定したサービス機能や高い信頼性と操作性が要求されるようになった。これらプラントは、各種法令や自ら定めた保安に関する規定により、設備の安全性、健全性維持が図られている。従来、このようなプラントの運転状況を管理する管理装置が多数提案され、特許出願されている。
【0003】
例えば、以下に記載する特許文献1あるいは特許文献2には、各種プラントで発生した情報をコンピュータに入力し、このコンピュータが、入力されたプラント情報に基づき運転状態や故障の監視を行う管理装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−156653号公報
【特許文献2】特開2009− 20787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したプラントでは、機場単位で個々に専用の設備と管理システムを導入し、運用している。これら設備と管理システムを遠隔で統合的に維持管理しようとした場合、複数の機場で使用している設備や管理システムが異なるため、多様なインタフェースの開発が必要になる。又、導入後のシステムは、原価償却期間が満了する以前に運用期間が経過するにつれ技術的に陳腐化したものになり、部品交換は勿論のこと、ソフトウエアの更新やバージョンアップ等のメンテナンスが都度要求され、そのために要するコストは無視できない。
【0006】
プラントの運転を高信頼性に維持するためには、システムの重要箇所を中心に冗長化し、可用化する必要がある。そのためには、重厚なシステムの導入と多大な設備投資を伴い、プラント運用者の財政を圧迫することになる。このため、プラントの維持管理をクラウドサービスにより実現することで、高信頼性とメンテナンスコストの低下を両立させることが考えられる。クラウドサービスを導入することで、既に導入済みの設備に対する負荷を増大させることなく、機場の増加に対しても容易に対応できる。又、ソフトウエアの保守やバージョンアップをクラウドデータセンタが一括して行うため、プラント側では常に最新のシステムを利用することが出来、メンテナンスに要するコスト低減も期待できる。
【0007】
しかしながら、上記したプラントの維持管理をクラウドサービスにより実現しようとした場合、複数ユーザの監視データをクラウドデータセンタが一括して扱うため、ユーザ間の監視データの保全性を確保する必要がある。又、万が一の通信遮断やシステム異常時の監視データの欠損に対して復旧対策が容易なデータベースの構築とアプリケーションの提供が望まれる。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、プラントの維持管理をクラウドサービスにより実現しようとした場合の、監視データの保全性の確保と、通信が遮断された場合の監視データの復旧を容易にする、プラント監視支援システム、及び同システムにおけるクラウドサービス提供装置、ならびにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の発明のプラント監視支援システムは、遠隔にある機場毎に設置されたプラント機器の運転状態の監視支援を行うプラント監視支援システムであって、前記プラント機器から定期的に監視データを収集し、蓄積し、外部へ伝送するデータ収集装置と、前記監視データの照会を行い必要な監視データを取得する受益者装置と、前記データ収集装置とは第1の通信ネットワーク経由で接続されると共に、前記受益者装置とは第2の通信ネットワーク経由で接続され、前記第1の通信ネットワークを介して取得される前記監視データを、前記受益者装置と前記データ収集装置のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理してデータベースに蓄積し、前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク経由で監視データの照会要求を受信したとき、前記識別情報に基づくアクセス認証を行い、前記アクセス認証が成立した場合に、前記データベースから読み出される監視データを加工し、前記加工した監視データを前記第2の通信ネットワーク経由で照会要求のあった前記受益者装置に送信するクラウドサービス提供装置と、を有する。
【0010】
第1の発明によれば、クラウドサービス提供装置は、データ収集装置から取得される監視データを、受益者装置とデータ収集装置のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理してデータベースに蓄積する。そして、受益者装置から監視データの照会要求を受信したときに、識別情報に基づくアクセス認証を行ない、データベースから読み出される監視データを加工して照会要求のあった受益者装置に送信する。このため、監視データの保全性が確保され、アクセス権限の無い受益者による受信、変更、改竄から監視データを保護することができる。又、監視データは、データ収集装置とクラウドサービス提供装置の両方で蓄積保存されるため、万が一の通信異常やシステム異常発生時、通信復帰後のデータ収集により監視データの欠損を防止することができる。
【0011】
第2の発明のクラウドサービス提供装置は、プラント機器から定期的に監視データを収集し、蓄積し、外部へ伝送するデータ収集装置とは第1の通信ネットワークを介して接続され、前記監視データの照会を行い必要な監視データを取得する受益者装置とは第2の通信ネットワーク経由で接続され、遠隔にある機場毎に設置された前記プラント機器の運転状態の監視支援を行うプラント監視支援システムにおけるクラウドサービス提供装置であって、前記第1の通信ネットワークと前記データ収集装置、及び前記第2の通信ネットワークと前記受益者装置との間でそれぞれに規定された通信プロトコルに基づき前記監視データの送受信を行う通信インタフェース部と、前記通信インタフェース部を介して送受信される前記監視データをデータベースとして割り当てられた所定の記憶領域に蓄積する記憶部と、前記通信インタフェース部と前記記憶部とを制御して、前記プラント機器の運転状態の監視支援を行う制御部と、を有し、前記制御部は、前記第1の通信ネットワーク及び前記通信インタフェース部経由で取得される前記監視データを、前記受益者装置と前記データ収集装置のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理して前記記憶部の所定の記憶領域に割り当てられた前記データベースに蓄積する監視データ蓄積処理部と、前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク及び前記通信インタフェース部経由で監視データの照会要求を受信したとき、前記識別情報に基づくアクセス認証を行い、前記アクセス認証が成立した場合に、前記データベースから読み出される監視データを加工し、前記加工した監視データを前記第2の通信ネットワーク及び前記通信インタフェース部経由で照会要求のあった前記受益者装置に送信する監視データ提供処理部と、を含む。
【0012】
第2の発明によれば、制御部は、監視データを、受益者装置とデータ収集装置のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理してデータベースに蓄積し、受益者装置から監視データの照会要求を受信したとき、識別情報に基づくアクセス認証を行い、データベースから読み出される監視データを加工して照会要求のあった受益者装置に送信する。このため、監視データの保全性が確保され、アクセス権限の無い受益者による受信、変更、改竄から監視データを保護することができる。又、監視データは、データ収集装置とクラウドサービス提供装置の両方で蓄積保存されるため、万が一の通信異常やシステム異常発生時、通信復帰後のデータ収集により監視データの欠損を防止することができる。
【0013】
第2の発明において、前記監視データ蓄積処理部は、前記監視データをバッチ処理で取得する場合、前記データ収集装置から前記第1の通信ネットワーク経由で添付ファイル送信される監視データメールを受信して前記データベースを更新する。本発明によれば、監視データの収集に電子メールの添付ファイルを利用することでインタフェースの統一化が図れ、機場の増加への柔軟な対応が容易になる。又、データ収集装置から送信される電子メールを処理するだけでデータベースの構築が可能になり、電子メールによる監視データの安全性と確実性を確保できると共に、システム全体のコストパフォーマンスが向上する。
【0014】
第2の発明において、前記監視データ提供処理部は、前記監視データをリアルタイム処理で取得する場合、前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク経由でクエリーを受信し、アクセス認証が得られると、前記受信したクエリーを前記第1の通信ネットワーク経由で前記データ収集装置に送信し、前記データ収集装置から前記第1の通信ネットワーク経由で前記クエリーに基づく監視データを取得して前記第2の通信ネットワーク経由で要求のあった前記受益者装置に送信する。本発明によれば、監視データ提供処理部は、受益者装置からクエリーを受信してアクセス認証後、データ収集装置からクエリーに基づく監視データを取得して要求のあった受益者装置へ送信する。このため、受益者装置は、クエリーを作成するだけで監視データをリアルタイムに取得することができる。
【0015】
第2の発明において、前記監視データ提供処理部は、前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク経由でクエリーに基づく監視データの照会要求を受信するとアクセス認証を行い、前記アクセス認証が成立した場合、前記データベースを検索して得られる監視データを加工し、前記第2の通信ネットワーク経由で要求のあった前記受益者装置に送信する。本発明によれば、監視データ提供処理部は、受益者装置からクエリーに基づく監視データの照会要求を受信するとアクセス認証を行い、データベースを検索して得られる監視データを加工して要求のあった前記受益者装置に送信する。このため、受益者端末は、クエリーを作成するだけで監視データの他に、データ収集装置単位の監視データ、その履歴、トレンド等、プラント監視に必要なコンテンツを取得することができる。
【0016】
第3の発明のプログラムは、コンピュータ上で実行され、プラント機器から定期的に監視データを収集し、蓄積し、外部へ伝送するデータ収集装置とは第1の通信ネットワークを介して接続され、前記監視データの照会を行い必要な監視データを取得する受益者装置とは第2の通信ネットワーク経由で接続され、遠隔にある機場毎に設置された前記プラント機器の運転状態の監視支援を行うプラント監視支援システムのクラウドサービス提供装置に用いられるプログラムであって、前記コンピュータに、前記第1の通信ネットワーク経由で取得される前記監視データを、前記受益者装置と前記データ収集装置のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理して前記記憶部の所定の記憶領域に割り当てられた前記データベースに蓄積する監視データ蓄積処理と、前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク経由で監視データの照会要求を受信したとき、前記識別情報に基づくアクセス認証を行い、前記アクセス認証が成立した場合に、前記データベースから読み出される監視データを加工し、前記加工した監視データを前記第2の通信ネットワーク経由で照会要求のあった前記受益者装置に送信する監視データ提供処理と、を実行させる。
【0017】
第3の発明のプログラムによれば、コンピュータは、監視データを、受益者装置とデータ収集装置のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理してデータベースに蓄積し、受益者装置から監視データの照会要求を受信したとき、識別情報に基づくアクセス認証を行い、データベースから読み出される監視データを加工して照会要求のあった受益者装置に送信する処理を実行する。このため、監視データの保全性が確保され、アクセス権限の無い受益者による受信、変更、改竄から監視データを保護することができる。又、監視データは、データ収集装置とクラウドサービス提供装置の両方で蓄積保存されるため、万が一の通信異常やシステム異常発生時、通信復帰後のデータ収集により監視データの欠損を防止することができる。
【0018】
第3の発明において、前記監視データ蓄積処理は、前記監視データをバッチ処理で取得する場合、前記データ収集装置から前記第1の通信ネットワーク経由で添付ファイル送信される監視データメールを受信して前記データベースを更新する処理を含む。本発明によれば、監視データの収集に電子メールの添付ファイルを利用することでインタフェースの統一化が図れ、機場の増加への柔軟な対応が容易になる。又、データ収集装置から送信される電子メールを処理するだけでデータベースの構築が可能になり、電子メールによる監視データの安全性と確実性を確保できると共に、システム全体のコストパフォーマンスが向上する。
【0019】
第3の発明において、前記監視データ提供処理は、前記監視データをリアルタイム処理で取得する場合、前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク経由でクエリーを受信し、アクセス認証が得られると、前記受信したクエリーを前記第1の通信ネットワーク経由で前記データ収集装置に送信し、前記データ収集装置から前記第1の通信ネットワーク経由で前記クエリーに基づく監視データを取得して前記第2の通信ネットワーク経由で要求のあった前記受益者装置に送信する処理を含む。本発明によれば、受益者装置は、クエリーを作成するだけで監視データをリアルタイムに取得することができる。
【0020】
第3の発明において、前記監視データ提供処理は、前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク経由でクエリーに基づく監視データの照会要求を受信するとアクセス認証を行い、前記アクセス認証が成立した場合、前記データベースを検索して得られる監視データを加工し、前記第2の通信ネットワーク経由で要求のあった前記受益者装置に送信する処理を含む。本発明によれば、受益者端末は、クエリーを作成するだけで監視データの他に、例えば、データ収集装置単位の監視データ、その履歴、トレンド等、プラント監視に必要なコンテンツを取得することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、プラントの維持管理をクラウドサービスにより実現しようとした場合の、監視データの保全性の確保と、通信が遮断された場合の監視データの復旧を容易にする、プラント監視支援システム、及び同システムにおけるクラウドサービス提供装置、ならびにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係るプラント監視支援システムの構成を説明するためのシステム構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るブラント監視支援システムの動作を説明するための動作シーケンス図である。
【図3】本発明の実施形態に係るクラウドサービス提供装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るクラウドサービス提供装置が有するデータベースのテーブル構造の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るプラント監視支援システムを構成する監視データ収集装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係るクラウドサービス提供装置の監視データ収集処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るクラウドサービス提供装置の監視データ照会処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係るクラウドサービス提供装置により生成される常時監視画面の画面構成の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るクラウドサービス提供装置により生成される異常履歴画面の画面構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るクラウドサービス提供装置により生成されるトレンド画面の画面構成の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係るクラウドサービス提供装置により生成される帳票の画面構成の一例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係るクラウドサービス提供装置により生成されるデータ収集装置情報管理画面の画面構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0024】
(プラント監視支援システム100の構成)
図1は、本発明の実施形態に係るブラント監視支援システムの構成を説明するためのシステム構成図である。プラント監視システム100は、プラントの保守、維持管理を支援するシステムであり、機場1A、1B毎に設置されるデータ収集装置10と、例えば上下水道事業体である受益者2が使用する受益者装置20と、クラウドサービス提供装置30により構成される。
【0025】
機場1A、1Bには、データ収集装置10として、複数のGSA11(Gadget
Service Adapter)が設置され、このGSA11毎に不図示のプラント機器が接続されている。GSA11は、ハブ12、ルータ13等のネットワーク機器経由で、第1の通信ネットワークであるクローズトネットワーク50を介してデータセンター3に設置されたクラウドサービス提供装置30に接続されている。以降では、GSA11、ハブ12、ルータ13を総称して、データ収集装置10という。データ収集装置10は、不図示のプラント機器から定期的に監視データを収集し、蓄積し、外部のクラウドサービス提供装置30が設置されたデータセンター3へ伝送する。尚、ここでいう「クローズトネットワーク50」とは、例えば、VPN(Virtual Private Network)のように、公衆回線でありながらあたかも専用回線であるかのように利用可能なネットワークをいう。
【0026】
一方、受益者装置20は、例えば、PC等により構成され、第2の通信ネットワークとしてのオープンネットワーク60経由でデータセンター3に設置されたクラウドサービス提供装置30に接続される。尚、ここでいう「オープンネットワーク60」とはIP(Internet Protocol)網のことをいう。受益者端末20は、オープンネットワーク60経由で監視データの照会を行い、監視データおよびその加工データを取得する。
【0027】
クラウドサービス提供装置30は、機場1A、1Bにおいてそれぞれ生成されるプラントの監視データを統合管理し、ユーザである上下水道事業体が要求する情報に加工して提供するサービスを行うサーバ群である。本実施形態では、クラウドサービス提供装置30は、Web(World Wide Web)サーバ31と、メールサーバ32と、ファイルサーバ33と、Com(Component Object Model)サーバ34と、APL(Application)サーバ35と、DB(Data Base)サーバ36と、により構成される。これらサーバ群31〜36は、管理者端末37と、ルータ38a、38bと共に、LAN(Local Area Network)経由で共通接続されている。
【0028】
クラウドサービス提供装置30は、上記したサーバ群31〜36を有機的に結合することで、クローズドネットワーク50(第1の通信ネットワーク)を介してデータ収集装置10から取得される監視データを、受益者装置20とデータ収集装置10のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理して内蔵のデータベースに蓄積し、受益者装置20からオープンネットワーク60(第2の通信ネットワーク)経由で監視データの照会要求を受信したとき、識別情報に基づくアクセス権限の認証を行い、ここで認証が成立した場合に、データベースから読み出される監視データを加工し、加工した監視データをオープンネットワーク60経由で照会要求のあった受益者装置20に送信する機能を実行する。
【0029】
尚、クラウドサービス提供装置30は、上記したネットワーク50、60との間にゲートウエイを介在させてセキュリティ対策のためのパケットの監視を行う。
【0030】
(プラント監視支援システム100の動作)
図2は、本発明の実施形態に係るブラント監視支援システム100の動作を説明するための動作シーケンス図である。ここでは、データ収集装置10と、クラウドサービス提供装置30を構成するサーバ群31〜36と、受益者装置20との間のデータの流れが示されている。以下、図2を参照しながら、図1に示すプラント監視支援システム100の動作について説明する。
【0031】
最初に、クラウドサービス提供装置30が、データ収集装置10から所定時間間隔で監視データを取得して監視データをインポートする手順(ステップS101〜S104)から説明する。まず、データ収集装置10は、プロセス機器との間で不図示のシリアル通信経路を介してプロセッサ間通信を行なう。その結果、データ収集装置10は、一定期間間隔で監視データを取得すると共に、機場1に設置されたデータ収集装置10単位でデータベースを作成する。続いて、データ収集装置10は、クラウドサービス提供装置30を宛先とする電子メールを作成し、取得した監視データを所定期間分その電子メールに添付して、クローズドネットワーク50経由でクラウドサービス提供装置30のメールサーバ32に送信する(ステップS101)。
【0032】
尚、データ収集装置10は監視データがファイル添付された電子メールを送信するにあたり、受信パスワードを暗号化するために、APOP(Authenticated Post Office Protocol)を使用する。
【0033】
一方、監視データがファイル添付された電子メールを格納したメールサーバ32に、ファイルサーバ33が定期的に問い合わせにいく(ステップS102)。そして、受信とともに、監視データのバックアップを行う。DBサーバ36はファイルサーバ33から受信した監視データをFTP(File Transfer Protocol)で取得し(ステップS103)、DBサーバ36にインポートしてデータベースを構築する(ステップS104)。このデーダベースのデータ構造は、図4を用いて後述する。以上の手順に従い監視データのバッチ処理によるデータベースへの蓄積保存が行われる。
【0034】
次に、受益者装置20が、オープンネットワーク60を介してリアルタイムに監視データを取得する手順(ステップS111〜S119)について説明する。受益者装置20は、まず、監視データを取得するためのクエリーQ1(監視データ取得クエリー)を作成し、クラウドサービス提供装置30のWebサーバ31に送信する(ステップS111)。これを受けたWebサーバ31は、動的ページが要求される場合はAPLサーバ35へ受益者装置20のアクセス権限についての認証を行うためにそのクエリーQ1の引き渡しを行う(ステップS112)。認証が得られた後(ステップS113)、リアルタイム数値の問い合わせの場合はComサーバ34へクエリーQ1を引き渡す(ステップS114)。尚、問い合わせのアクションである場合はDBサーバ36にクエリーQ1を引き渡す(ステップS114)。リアルタイム数値の問い合わせの場合、Comサーバ34は、データ収集装置10へOPC−DA(OLE for Process Control-Data Access)を使用してクローズドネットワーク50経由で監視データの取得要求を発行する(ステップS115)。
【0035】
監視データの取得要求を受信したデータ収集装置10は、監視データ取得クエリーQ1に該当する監視データをクローズドネットワーク50経由でComサーバ34へ送信する(ステップS116)。監視データを受信したComサーバ34は、その監視データをAPLサーバ35へ引き渡す(ステップS117)。APLサーバ35は、その監視データを加工し、例えば、図12に示す画面情報を生成してWebサーバ31に転送する(ステップS118)。Webサーバ31は、その加工データを受信すると、オープンネットワーク60経由で要求のあった受益者端末20へ送信してリアルタイム監視データ取得の手順を終了する(ステップS119)。
【0036】
最後に、受益者装置20がオープンネットワーク60を介してクラウドサービス提供装置30から監視データを照会する手順(ステップS121〜S126)について説明する。受益者装置20は、まず、監視データの照会クエリーQ2を作成し、クラウドサービス提供装置30のWebサーバ31に送信する(ステップS121)。これを受けたWebサーバ31は、アクセス権限の認証後、照会クエリーQ2をAPLサーバ35へ引き渡す(ステップS122)。
【0037】
照会クエリーQ2を受信したAPLサーバ35は、DBサーバ36に検索要求を転送し(ステップS123)、検索要求を受信したDBサーバ36は、照会クエリーQ2に基づきデータベースを検索する。そして、ヒットした監視データをAPLサーバ35に送信する(ステップS124)。これを受けてAPLサーバ35は、取得した監視データを加工し、例えば、図8〜図12に示す画面情報を生成してWebサーバ31へ転送する(ステップS125)。そしてwebサーバ31は、要求のあった受益者装置20へ、オープンネットワーク60経由で送信することにより、監視データ照会手順を終了する(ステップS126)。
【0038】
(プラント監視支援システム100の効果)
本発明のプラント監視支援システム100によれば、クラウドサービス提供装置30は、データ収集装置10から取得される監視データを、受益者装置20とデータ収集装置10のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理してデータベースに蓄積する。そして、受益者装置20から監視データの照会要求を受信したときに、識別情報に基づくアクセス認証を行ない、データベースから読み出される監視データを加工して照会要求のあった受益者装置20に送信する。このため、監視データの保全性が確保され、アクセス権限の無い受益者による受信、変更、改竄から監視データを保護することができる。又、監視データは、データ収集装置10とクラウドサービス提供装置30の両方で蓄積保存されるため、万が一の通信異常やシステム異常発生時、通信復帰後のデータ収集により監視データの欠損を防止することができる。
【0039】
(クラウドサービス提供装置30の構成)
図3は、本発明の実施形態に係るクラウドサービス提供装置の構成を説明するためのブロック図である。図3に示されるように、クラウドサービス提供装置30は、制御部300と、通信インタフェース部310と、記憶部320と、により構成される。
【0040】
通信インタフェース部(NIC310)は、クローズトネットワーク50とデータ収集装置10との間で規定された、SMTP/APOP(Simple Mail Transfer Protocol/ Authenticated Post Office Protocol)、VPN(Virtual Private Network)、HTTP(Hyper Text
Transfer Protocol)、OPC−DA等の通信プロトコル、あるいは、オープンネットワーク60と受益者装置20との間で規定されたHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Security)等のプロトコルに基づき監視データの送受信を行う機能を有する。
【0041】
記憶部320は、通信インタフェース部310を介して送受信される監視データを、監視データDB(Data Base)として割り当てられた所定の記憶領域に蓄積する機能を有する。記憶部320は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0042】
監視データDBのテーブル構造の一例が、図4に示されている。図4によれば、テーブル項目は、「タイムスタンプ」、「値(実データ)」、「データ状態」、「項目名称」、「ベース値」、「フルスケール値」、「単位」、「データタイプ」等から構成される。「タイムスタンプ」は、西暦、月、日、時間、分、秒等の情報を含む。「値(実データ)」は、リアルタイムのプロセス値等の情報を含む。「データ状態」は、使用可、使用不可、保守状態、異常状態値(実データ)等の正当性、妥当性を示すデータを含む。「項目名称」は、日本語の項目名称を含む。「ベース値」、「フルスケール値」は、数値を含む。「単位」は、例えば、%、Mpa、m/h等を含む。「データタイプ」は、Bool、REAL、int等の形式を持つ。ここで、「タイムスタンプ」と「値(実データ)」は、動的に変動するダイナミック情報であり、他の項目の値は固定情報である。
【0043】
上記したテーブル項目は、受益者単位でユニークに付されるテナントIDを単位に管理され、これにより、ユーザ間の監視データの保全性を確保している。又、上記したテーブル項目は、データ収集装置10においても同様に管理蓄積されており、GSA11を単位にユニークに付されるGSA−IDによってGSA11間の監視データの保全性を確保している。
【0044】
制御部300は、通信インタフェース部310と記憶部320とを制御して、プラント機器の運転状態の監視支援を行う機能を有する。具体的に制御部300は、クローズドネットワーク50及び通信インタフェース部310経由で取得される監視データを、受益者装置20とデータ収集装置10のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理して記憶部320の所定の記憶領域に割り当てられたデータベースに蓄積する。又、制御部300は、受益者装置20からオープンネットワーク60及び通信インタフェース部310経由で監視データの照会要求を受信したとき、識別情報に基づくアクセス認証を行い、アクセス認証が成立した場合に、監視データDBから読み出される監視データを加工し、加工した監視データをオープンネットワーク60及び通信インタフェース部310経由で照会要求のあった受益者装置20に送信する。
【0045】
このため、制御部300は、主制御部301と、プロトコル処理部302と、監視データ蓄積処理部303と、アクセス認証処理部304と、監視データ提供処理部305と、NTP(Network Time Protocol)管理部306と、を含み、これらは、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本で構成される双方向の内部バス307に共通接続され、構成される。
【0046】
プロトコル処理部302は、クローズドネットワーク50、オープンネットワーク60のそれぞれを介して、データ収集装置10あるいは受益者端末20との間でデータ交換が可能なように、SMTP/APOP、HTTP/HTTPS、VPN、FTP、OPC−DA等の通信プロトコルを実行できるように、これらプロトコルの切り替え制御を行う機能を有する。
【0047】
監視データ蓄積処理部303は、通信インタフェース部310経由で取得される監視データを、受益者装置20とデータ収集装置10のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報(テナントID、GSA−ID)に基づき管理して記憶部320の監視データDBに蓄積する機能を有する。又、監視データ提供処理部305は、受益者装置20から通信インタフェース部310経由で監視データの照会要求を受信したときに、監視データDBから読み出される監視データを加工し、加工した監視データを通信インタフェース部310経由で照会要求のあった受益者装置20に送信する。このとき、アクセス認証処理部304は、受益者装置20とデータ収集装置10のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づきアクセス権限を認証し、ここで認証が得られたときに照会要求に対する受益者装置10への監視データの提供を許可する。
【0048】
NTP管理部306は、GPS(Global Positioning System)等により正確な時刻情報を取得し、データ収集装置10等、下位のホストに参照させて内部時計の調整(時刻合わせ)を行う機能を有する。このことにより、時刻に同期した監視データを遠隔に位置する装置間で信頼性高く監視することができる。
【0049】
尚、主制御部301は、制御部300が、クローズドネットワーク50及び通信インタフェース部310経由で取得される監視データを、受益者装置20とデータ収集装置10のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理して記憶部320の所定の記憶領域に割り当てられたデータベースに蓄積し、又、受益者装置20からオープンネットワーク60及び通信インタフェース部310経由で監視データの照会要求を受信したとき、識別情報に基づくアクセス認証を行い、アクセス認証が成立した場合に、監視データDBから読み出される監視データを加工し、加工した監視データをオープンネットワーク60及び通信インタフェース部310経由で照会要求のあった受益者装置20に送信する機能を実行するように、プロトコル処理部302と、アクセス認証処理部303と、監視データ蓄積処理部304と、監視データ提供処理部305と、NTP管理部306のシーケンス制御を行う。
【0050】
尚、クラウドサービス提供装置30は、実際はサーバ群31〜36を有機的に結合することにより構成されるが、上記した各構成ブロックは、サーバ群31〜36が実行するプログラムの機能を纏めて展開して示したものである。
【0051】
データ収集装置10の構成が図5に示されている。図5に示されるように、データ収集装置10は、例えば、CPU及び主メモリ110(以下、CPU/MMU110という)と、PIO(Process I/O)120と、ハードディスク(HDD)等の大容量記憶装置130と、LCD(Liquid Crystal Display)タッチパネル等の操作デバイス140と、通信インタフェース装置(NIC)150とが、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本で構成されるシステムバス160に共通接続され、構成される。
【0052】
CPU/MMU110は、監視データを収集し、蓄積し、伝送する機能を有し、それを実行するプログラムが内部構成として機能展開され示されているように、主制御部111と、イベント管理部112と、蓄積処理部113と、電子メール作成処理部114と、を含み構成される。
【0053】
イベント管理部112は、プラント管理者が操作デバイス140を操作することにより作成される定義指定を取得する機能ブロックであり、例えば、時間情報、プラント状態変更情報を定義指令として受け付ける。イベント管理部112によって受け付けられた定義指令は、主制御部111に引き渡される。主制御部111は、PIO120、システムバス160経由でリアルタイム情報となるプラントの状態を監視データとして取り込む。ここで、監視データは、例えば、アナログデータAI、デジタルデータDI、パルスデータPIの形式になっている。
【0054】
蓄積処理部113は、監視データを、指定された時間で、例えば、アナログデータAI、デジタルデータDI、パルスデータPIの形式でHDD130の所定の領域に割り当てられた監視データDBに蓄積する。監視データDBには、蓄積処理部113により監視データを含むフィールド情報が順次蓄積され、このフィールド情報は、電子メール作成処理部114により添付ファイルとして電子メールが作成され、暗号化され、通信インタフェース部150経由でクラウドサービス提供装置30へ送信される。
【0055】
(クラウドサービス提供装置の動作)
以下、図6、図7のフローチャートを参照しながら、図3に示す本発明の実施形態に係るクラウドサービス提供装置30の動作について説明を行う。
【0056】
最初に図6を参照して監視データ収集処理から説明する。データ収集装置10では、CPU/MMU110が、プラント機器との間で不図示のシリアル通信経路を介して所定の時間間隔でプロセッサ間通信を行なっている。その結果、主制御部111は、PIO120を介してプラント機器の監視データを取得すると共に、GSA11を単位に監視データDBを構築し、内蔵のHDD130に監視データをインポートしている。ここで、主制御部111は、電子メール作成処理部114による電子メール作成処理を起動する。これを受けて電子メール作成処理部114は、クラウドサービス提供装置30を宛先とする電子メールを作成し、取得した監視データを所定期間分、その電子メールにファイル添付して、クローズドネットワーク50経由でクラウドサービス提供装置30のメールサーバ32に送信する。
【0057】
クラウドサービス提供装置30では、バッチ処理による監視データの収集時(ステップS201“バッチ”)、上記した電子メールを、通信インタフェース部310経由で受信し(ステップS202“YES”)、プロトコル処理部302のSMTP/APOP、及び主制御部301を介して監視データ蓄積処理部303に引き渡す。これを受けて監視データ蓄積処理部303は、記憶部3220を参照して記憶部320の所定の領域に割り当てられた監視データDBに、受信した監視データをインポートする(ステップS203)。
【0058】
一方、受益者装置20が、オープンネットワーク60経由でリアルタイムに監視データを取得する場合(ステップS201“リアルタイム”)、受益者装置20は監視データ取得クエリーQ1を作成し、オープンネットワーク60経由でクラウドサービス提供装置30に送信する。監視データ取得クエリーQ1を通信インタフェース部310経由で受信した制御部300(主制御部301)は(ステップS204“YES”)、その監視データ取得クエリーQ1を解読してリアルタイム数値を取得するクエリーであった場合(ステップS205“数値”)、この監視データ取得クエリーQ1を監視データ提供処理部305へ引き渡す。
【0059】
監視データ取得クエリーQ1を受け付けた監視データ提供処理部305は、そのクエリーに含まれるテナントIDに基づき、アクセス認証処理部304に受益者装置20のアクセス権限についての認証を依頼する。アクセス認証処理部304でアクセス権限の認証が得られと(ステップS206“YES”)、監視データ提供処理部305は、プロトコル処理部302を介してOPC−DAプロトコルを選択して、このプロトコルに従いデータ収集装置10に対してクローズドネットワーク50経由で監視データ取得要求を発行する(ステップS207)。
【0060】
監視データ取得要求を受信したデータ収集装置10は、監視データ取得クエリーQ1に該当する監視データをクローズドネットワーク60経由でクラウドサービス提供装置30へ送信する。監視データを受信したクラウドサービス提供装置30の制御部300は(ステップS208“YES”)、主制御部301がその監視データを監視データ提供処理部305へ引き渡す。これを受けて監視データ提供処理部305では、その監視データを加工し、例えば、図12に示す画面情報を生成してオープンネットワーク60経由で要求のあった受益者端末20へ送信する(ステップS209)。
【0061】
尚、監視データ提供処理部305は、受信した監視データ取得クエリーQ1が問い合わせの場合は(ステップS205“問い合わせ”)、後述する図7のフローチャートで示す監視データ照会処理に従う。
【0062】
次に、図7を参照して監視データ照会処理について説明する。受益者装置20は、まず、監視データ照会クエリーQ2を作成し、クラウドサービス提供装置30に送信する。監視データ照会クエリーを受信した制御部300では(ステップS301“YES”)、主制御部301がアクセス認証処理部304を起動し、監視データ照会クエリーQ2に含まれるテナントIDに基づく受益者装置20のアクセス権限についての認証を依頼する。
【0063】
アクセス認証処理部304でアクセス権限の認証が得られると(ステップS302“YES”)、主制御部301は、監視データ提供処理部305を起動し、これを受けた監視データ提供処理部305は、監視データ照会クエリーQ2に含まれる検索条件式に基づき、記憶部320の監視データDBを検索する(ステップS303)。そして、ヒットした監視データを取得し(ステップS304“YES”)、取得した監視データを加工する。この監視データの加工にあたり、監視データ提供処理部305は、例えば、図8〜図12に示す画面情報を生成し(ステップS305)、通信インタフェース部310、オープンネットワーク60経由で要求のあった受益者装置20へ送信する(ステップS306)。
【0064】
監視データ提供処理部305により、取得した監視データが加工され受益者装置20のモニタに表示される各種画面構造の一例が、図8〜図12に示されている。図8に示す「常時監視画面」によれば、受益者が地図や配管系統図等の任意の背景図をマウス等により選択し、例えば、不図示のGSAリストからドラッグアンドドロップすることで、地図上に、GSAに接続されるプラント機器のシンボルを配置することができる。又、画面上にシンボルの追加、削除も容易である。
【0065】
又、図9に示す「異常履歴画面」によれば、異常履歴情報が画面上リスト表示され、このとき異常項目は赤字で、故障復帰項目は黒字で表記される。そして、画面の下一部領域に割り当てられ表示される「監視画面リンク釦」(表示画面上隠れている)をクリックすれば、図9に示したように、選択した項目の該当GSA11の「常時監視画面」にリンクしてポップアップ表示することが可能である。
【0066】
又、図10に示す「トレンド図画面」によれば、受益者が監視データDBに構築されるデータ項目の範囲内で任意の計測項目を選択することで、トレンドグループの作成とグラフ表示が可能である。ここでは複数項目を同一グラフに表示することで類似した計測項目の比較監視が容易になる。又、図11に示す「帳票画面」によれば、受益者が任意の計測項目を選択するだけで、帳票テンプレートの作成とそのデータ表示が可能になる。一度保存登録したテンプレートは、何度でも使用でき、監視データDBに構築されたデータ項目の範囲で、項目の追加削除も容易である。
【0067】
図12に示す「GSA情報管理画面」によれば、システムに接続されているGSA11がリスト表示されており、画面下部に割り当てられ表示される「表示釦」をクリックすることで選択したGSA11の詳細情報をポップアップ表示することができる。尚、この「GSA情報管理画面」を表示するにあたり、GSA−IDによるアクセス認証が行われることは上記したとおりである。
【0068】
オペレータは、1回 /日等、定期的に図11に示す「帳票画面」を表示することにより、表示された帳票を保存し、または出力する。そして、異常時、地図上の監視画面のシンボルが赤色に変化したら、監視画面リンク釦をクリックすることにより該当GSAの「異常履歴画面」を表示し、内容を確認することでどの程度の基準超過かを判断することができる。この場合、帳票保存、あるいは帳票出力等により、行政指導の根拠、あるいは保守資料として扱うことが可能である。
【0069】
(クラウドサービス提供装置の効果)
本発明の実施形態に係るクラウドサービス提供装置30によれば、制御部300は、監視データを、受益者装置20とデータ収集装置10のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理して監視データDB(記憶部320)に蓄積し、受益者装置20から監視データの照会要求を受信したとき、識別情報に基づくアクセス認証を行い、監視データDBから読み出される監視データを加工して照会要求のあった受益者装置20に送信する。このため、監視データの保全性が確保され、アクセス権限の無い受益者による監視データの受信、変更、改竄等から監視データを保護することができる。又、監視データは、データ収集装置10(図4のHDD130)とクラウドサービス提供装置30(図3の記憶部320)の両方で蓄積保存されるため、万が一の通信異常やシステム異常発生時、通信復帰後のクラウドサービス提供装置30によるデータ収集により、監視データの欠損を防止することができる。
【0070】
尚、本発明の実施形態に係るプログラムは、例えば、図1に示されるように、コンピュータ(クラウドサービス提供装置30を構成するサーバ群31〜36)上で実行され、プラント機器から定期的に監視データを収集し、蓄積し、外部へ伝送するデータ収集装置10とは第1の通信ネットワーク(クローズドネットワーク50)を介して接続され、監視データの照会を行い必要な監視データを取得する受益者装置20とは第2の通信ネットワーク(オープンネットワーク60)経由で接続され、機場毎に設置されたプラント機器の運転状態の監視支援を行うプラント監視支援システム100のクラウドサービス提供装置30に用いられるプログラムである。そして、図6、図7のフローチャートに示されるように、そのコンピュータに、第1の通信ネットワーク経由で取得される監視データを、受益者装置20とデータ収集装置10のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理して所定の記憶領域に割り当てられたデータベースに蓄積する監視データ蓄積処理(図6のステップS201〜S209)と、受益者装置20から第2の通信ネットワーク経由で監視データの照会要求を受信したとき、識別情報に基づくアクセス認証を行い、アクセス認証が成立した場合に、データベースから読み出される監視データを加工し、加工した監視データを第2の通信ネットワーク経由で照会要求のあった受益者装置20に送信する監視データ提供処理(図7のステップS301〜S306)と、を実行させるものである。
【0071】
本発明の実施形態に係るプログラムによれば、コンピュータは、監視データを、受益者装置20とデータ収集装置10のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理してデータベースに蓄積し、受益者装置20から監視データの照会要求を受信したとき、識別情報に基づくアクセス認証を行い、データベースから読み出される監視データを加工して照会要求のあった受益者装置20に送信する処理を実行する。このため、監視データの保全性が確保され、アクセス権限の無い受益者による受信、変更、改竄から監視データを保護することができる。又、監視データは、データ収集装置10とクラウドサービス提供装置30の両方で蓄積保存されるため、万が一の通信異常やシステム異常発生時、通信復帰後のデータ収集により監視データの欠損を防止することができる。
【0072】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0073】
10 データ収集装置
20 受益者端末
30 クラウドサービス提供装置
40 ファイアウォール
50 クローズドネットワーク(第1の通信ネットワーク)
60 オープンネットワーク(第2の通信ネットワーク)
100 プラント監視支援システム
300 制御部
310 通信インタフェース部
320 記憶部
301 主制御部
302 プロトコル処理部
303 監視データ蓄積処理部
304 アクセス認証処理部
305 監視データ提供処理部
306 NTP管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔にある機場毎に設置されたプラント機器の運転状態の監視支援を行うプラント監視支援システムであって、
前記プラント機器から定期的に監視データを収集し、蓄積し、外部へ伝送するデータ収集装置と、
前記監視データの照会を行い必要な監視データを取得する受益者装置と、
前記データ収集装置とは第1の通信ネットワーク経由で接続されると共に、前記受益者装置とは第2の通信ネットワーク経由で接続され、
前記第1の通信ネットワークを介して取得される前記監視データを、前記受益者装置と前記データ収集装置のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理してデータベースに蓄積し、
前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク経由で監視データの照会要求を受信したとき、前記識別情報に基づくアクセス認証を行い、前記アクセス認証が成立した場合に、前記データベースから読み出される監視データを加工し、前記加工した監視データを前記第2の通信ネットワーク経由で照会要求のあった前記受益者装置に送信するクラウドサービス提供装置と、
を有することを特徴とするプラント監視支援システム。
【請求項2】
プラント機器から定期的に監視データを収集し、蓄積し、外部へ伝送するデータ収集装置とは第1の通信ネットワークを介して接続され、前記監視データの照会を行い必要な監視データを取得する受益者装置とは第2の通信ネットワーク経由で接続され、遠隔にある機場毎に設置された前記プラント機器の運転状態の監視支援を行うプラント監視支援システムにおけるクラウドサービス提供装置であって、
前記第1の通信ネットワークと前記データ収集装置、及び前記第2の通信ネットワークと前記受益者装置との間でそれぞれに規定された通信プロトコルに基づき前記監視データの送受信を行う通信インタフェース部と、
前記通信インタフェース部を介して送受信される前記監視データをデータベースとして割り当てられた所定の記憶領域に蓄積する記憶部と、
前記通信インタフェース部と前記記憶部とを制御して、前記プラント機器の運転状態の監視支援を行う制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記第1の通信ネットワーク及び前記通信インタフェース部経由で取得される前記監視データを、前記受益者装置と前記データ収集装置のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理して前記記憶部の所定の記憶領域に割り当てられた前記データベースに蓄積する監視データ蓄積処理部と、
前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク及び前記通信インタフェース部経由で監視データの照会要求を受信したとき、前記識別情報に基づくアクセス認証を行い、前記アクセス認証が成立した場合に、前記データベースから読み出される監視データを加工し、前記加工した監視データを前記第2の通信ネットワーク及び前記通信インタフェース部経由で照会要求のあった前記受益者装置に送信する監視データ提供処理部と、
を含むことを特徴とするプラント監視支援システムにおけるクラウドサービス提供装置。
【請求項3】
前記監視データ蓄積処理部は、
前記監視データをバッチ処理で取得する場合、前記データ収集装置から前記第1の通信ネットワーク経由で添付ファイル送信される監視データメールを受信して前記データベースを更新することを特徴とする請求項2記載のクラウドサービス提供装置。
【請求項4】
前記監視データ提供処理部は、
前記監視データをアルタイム処理で取得する場合、前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク経由でクエリーを受信し、アクセス認証が得られると、前記受信したクエリーを前記第1の通信ネットワーク経由で前記データ収集装置に送信し、前記データ収集装置から前記第1の通信ネットワーク経由で前記クエリーに基づく監視データを取得して前記第2の通信ネットワーク経由で要求のあった前記受益者装置に送信することを特徴とする請求項2記載のクラウドサービス提供装置。
【請求項5】
前記監視データ提供処理部は、
前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク経由でクエリーに基づく監視データの照会要求を受信するとアクセス認証を行い、前記アクセス認証が成立した場合、前記データベースを検索して得られる監視データを加工し、前記第2の通信ネットワーク経由で要求のあった前記受益者装置に送信することを特徴とする請求項2記載のクラウドサービス提供装置。
【請求項6】
コンピュータ上で実行され、プラント機器から定期的に監視データを収集し、蓄積し、外部へ伝送するデータ収集装置とは第1の通信ネットワークを介して接続され、前記監視データの照会を行い必要な監視データを取得する受益者装置とは第2の通信ネットワーク経由で接続され、遠隔にある機場毎に設置された前記プラント機器の運転状態の監視支援を行うプラント監視支援システムのクラウドサービス提供装置に用いられるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記第1の通信ネットワーク経由で取得される前記監視データを、前記受益者装置と前記データ収集装置のそれぞれに対して割り当てられたユニークな識別情報に基づき管理して前記記憶部の所定の記憶領域に割り当てられた前記データベースに蓄積する監視データ蓄積処理と、
前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク経由で監視データの照会要求を受信したとき、前記識別情報に基づくアクセス認証を行い、前記アクセス認証が成立した場合に、前記データベースから読み出される監視データを加工し、前記加工した監視データを前記第2の通信ネットワーク経由で照会要求のあった前記受益者装置に送信する監視データ提供処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
前記監視データ蓄積処理は、
前記監視データをバッチ処理で取得する場合、前記データ収集装置から前記第1の通信ネットワーク経由で添付ファイル送信される監視データメールを受信して前記データベースを更新する処理を含むことを特徴とする請求項6記載のプログラム。
【請求項8】
前記監視データ提供処理は、
前記監視データをアルタイム処理で取得する場合、前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク経由でクエリーを受信し、アクセス認証が得られると、前記受信したクエリーを前記第1の通信ネットワーク経由で前記データ収集装置に送信し、前記データ収集装置から前記第1の通信ネットワーク経由で前記クエリーに基づく監視データを取得して前記第2の通信ネットワーク経由で要求のあった前記受益者装置に送信する処理を含むことを特徴とする請求項6記載のプログラム。
【請求項9】
前記監視データ提供処理は、
前記受益者装置から前記第2の通信ネットワーク経由でクエリーに基づく監視データの照会要求を受信するとアクセス認証を行い、前記アクセス認証が成立した場合、前記データベースを検索して得られる監視データを加工し、前記第2の通信ネットワーク経由で要求のあった前記受益者装置に送信する処理を含むことを特徴とする請求項6記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−198236(P2011−198236A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66260(P2010−66260)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】