説明

プラント監視装置およびその監視方法

【課題】 運転員にプラント監視操作におけるタッチ操作をより確実に認識させる。
【解決手段】 プラント監視装置1は、プラント機器14を操作するタッチ操作を入力することができ、触感フィードバック機能を有する機器操作モニタと、タッチ操作に基づいてプラント機器14を操作し、さらにプラント機器14のプラントデータ22を受信するオペレーション指令部3と、プラントデータ22について触感パターンを定めた機器操作モニタ触感情報45を記憶する機器操作モニタ触感情報テーブル9と、機器操作モニタ11にプラントデータ22を表示させるとともに、このプラントデータ22に対応する機器操作モニタ触感情報45を機器操作モニタ触感情報テーブル9から取得し、機器操作モニタ触感情報45が示す触感パターンに基づいて触感フィードバック機能を作用させる機器操作モニタ制御部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルディスプレイにおけるタッチ操作によってプラントの状態を監視するプラント監視装置およびその監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所をはじめとする発電プラントの監視および制御を行うプラント監視装置は、弁の開閉やポンプの起動といったプラント機器の操作をタッチパネルディスプレイにおけるタッチ操作によって行っている。タッチパネルディスプレイには多くのプラント機器の情報が表示されるため、プラント機器の誤操作や、タッチ操作の視認性の悪化を招くおそれがある。そこで、以下の技術が開発されている。
【0003】
プラント監視装置のタッチパネルディスプレイに複数のプラント機器からなる系統図を表示させ、系統図上のプラント機器をタッチ操作によって選択することによって、別ウインドウに個別のプラント機器の操作画面を表示させ、プラント機器の操作を行う技術が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。さらにプラント監視装置のタッチパネルディスプレイに系統図を表示させ、系統図上のプラント機器をタッチ操作によって選択し、別ウインドウに選択したプラント機器のトレンドグラフやカメラ画像を表示させる技術が開発されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−202401号公報
【特許文献2】特開2000−20124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1および特許文献2に記載の技術において、運転員がタッチパネルディスプレイにおけるタッチ操作の入力を認識するにあたっては、タッチパネルディスプレイにおける操作ボタンの色変えによる確認が主な手段であった。したがって、タッチ操作が正しく入力されたことが感覚的に分かりにくく、タッチ操作の誤操作につながる可能性があった。
【0006】
そこで本発明は、運転員にプラント監視装置におけるタッチ操作をより確実に認識させることができるプラント監視装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のプラント監視装置は、プラント機器を操作するタッチ操作を入力することができ、このタッチ操作に対する触感フィードバック機能を有する機器操作モニタと、機器操作モニタのタッチ操作に基づいてプラント機器を操作し、さらにタッチ操作に係るプラント機器のプラントデータを受信するオペレーション指令部と、プラント機器のプラントデータについて触感パターンを定めた機器操作モニタ触感情報を記憶する機器操作モニタ触感情報テーブルと、機器操作モニタにオペレーション指令部が受信したプラントデータを表示させるとともに、このプラントデータに対応する機器操作モニタ触感情報を機器操作モニタ触感情報テーブルから取得し、機器操作モニタ触感情報が示す触感パターンに基づいて触感フィードバック機能を作用させる機器操作モニタ制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
さらに上記目的を達成するために、本発明のプラント監視方法は、タッチパネルディスプレイ上の機器操作画面においてプラント機器を操作するタッチ操作を入力する工程と、機器操作画面のタッチ操作に基づいてプラント機器を操作し、さらにタッチ操作を行っているプラント機器のプラントデータを受信する工程と、機器操作モニタにプラントデータを表示させる工程と、プラントデータに対応する触感パターンによってタッチ操作に対して触感フィードバックを行う工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転員にプラント監視装置におけるタッチ操作をより確実に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプラント監視装置の概略ブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るプラント監視装置の系統図画面および機器操作画面の例を示す概略図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るプラント監視装置のワンショット操作における触感フィードバックの方法を示すフロー図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るプラント監視装置のインチング操作における触感フィードバックの方法を示すフロー図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るプラント監視装置の機器操作モニタにおけるガイドメッセージおよび関連画面情報の表示例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第1の実施形態に係るプラント監視装置について図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るプラント監視装置の概略ブロック図である。プラント監視装置1は、系統図モニタ制御部2と、オペレーション指令部3と、機器操作モニタ制御部4と、系統図モニタ表示情報テーブル5と、系統図モニタ触感情報テーブル6と、オペレーション情報テーブル7と、機器操作モニタ表示情報テーブル8と、機器操作モニタ触感情報テーブル9と、系統図モニタ10と、機器操作モニタ11と、プラントデータ記憶装置12と、プロセス入出力処理部13とから構成される。
【0013】
系統図モニタ10および機器操作モニタ11は、それぞれタッチ操作を入力することができるタッチパネルディスプレイが適用され、さらにこのタッチパネルディスプレイはタッチ操作に対する触感フィードバック機能を有する。この触感フィードバックには、タッチパネルディスプレイ上に設けた帯電フィルムに電圧ならびに周波数を変化させた電荷を加えて触感パターンとする方法を適用することができる。その他、圧電素子やモータによる振動の周期や強さを変化させてタッチパネルディスプレイに触感パターンを加える方法を適用することもできる。
【0014】
プラント監視装置1には、プラント機器14が接続される。プラント機器14は、プロセス入出力処理部13からプロセス出力信号24を受信して弁の開閉やポンプの起動といった動作を行うとともに、プロセス出力信号24による動作結果や温度ならびに流量を示すプロセス量をプロセス入力信号21としてプロセス入出力処理部13に送信する機器である。
【0015】
以下、プラント監視装置1の各構成の接続関係について説明する。プロセス入出力処理部13は、プラント機器14にプロセス出力信号24を送信し、プラント機器14からプロセス入力信号21を受信することができるように、プロセス入出力処理部13はプラント機器14に接続される。さらにプロセス入出力処理部13は、プラントデータ22をプラントデータ記憶装置12に送信し、オペレーション指令部3から機器操作信号23を受信することができるように、プロセス入出力処理部13はプラントデータ記憶装置12およびオペレーション指令部3に接続される。
【0016】
さらにオペレーション指令部3は、プラントデータ記憶装置12からプラントデータ22を受信し、オペレーション情報テーブル7からオペレーション情報43を受信することができるように、オペレーション指令部3はプラントデータ記憶装置12およびオペレーション情報テーブル7に接続される。
【0017】
系統図モニタ制御部2は、オペレーション指令部3から系統図プラントデータ31を受信し、系統図モニタ表示情報テーブル5から系統図モニタ表示情報41を受信し、系統図モニタ触感情報テーブル6から系統図モニタ触感情報42を受信することができるように、系統図モニタ制御部2はオペレーション指令部3および系統図モニタ表示情報テーブル5ならびに系統図モニタ触感情報テーブル6に接続される。
【0018】
系統図モニタ10は、系統図モニタ制御部2から系統図モニタ表示指令32および系統図モニタ触感指令34を受信することができるように、系統図モニタ10は系統図モニタ制御部2に接続される。さらに系統図モニタ10は、系統図モニタ制御部2およびオペレーション指令部3にプラント機器選択信号33を送信することができるように、系統図モニタ10は系統図モニタ制御部2およびオペレーション指令部3に接続される。
【0019】
機器操作モニタ制御部4は、機器操作モニタ表示情報テーブル8から機器操作モニタ表示情報44を受信し、機器操作モニタ触感情報テーブル9から機器操作モニタ触感情報45を受信することができるように、機器操作モニタ制御部4は、機器操作モニタ表示情報テーブル8および機器操作モニタ触感情報テーブル9に接続される。さらに機器操作モニタ制御部4は、機器操作モニタ11に機器操作モニタ表示指令36および機器操作モニタ触感指令38を送信することができるように、機器操作モニタ制御部4は機器操作モニタ11に接続される。さらに機器操作モニタ11は、オペレーション指令部3に機器操作入力信号37を送信することができるように、機器操作モニタ11はオペレーション指令部3に接続される。
【0020】
(作用)
以下、本発明の第1の実施形態の作用について説明する。プラント監視装置1によるプラント機器14の操作は、系統図モニタ10に表示される系統図画面において操作目的のプラント機器14をタッチ操作によって選択し、機器操作モニタ11に操作目的のプラント機器14の機器操作画面を表示させ、この機器操作画面をタッチ操作することによって行う。
【0021】
まず、系統図モニタ10に系統図画面を表示させる方法について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係るプラント監視装置の系統図画面および機器操作画面の例を示す概略図である。図2に示すように系統図モニタ10は、ポンプA、B、C、弁A、B、C等の複数のプラント機器14からなる系統図を表示する。
【0022】
系統図モニタ制御部2は、系統図モニタ表示情報テーブル5から所定の系統図をグラフィック表示させるための情報である系統図モニタ表示情報41を系統図モニタ表示情報テーブル5から取得する。系統図モニタ表示情報41には、複数のプラント機器14のグラフィックシンボルや複数のプラント機器14間の接続関係についての情報が含まれる。
【0023】
またオペレーション指令部3は、系統図上に表示させるプラント機器14のプラントデータ22をプラントデータ記憶装置12から受信し、系統図プラントデータ31として系統図モニタ制御部2に送信することができる。系統図プラントデータ31には、プラント機器14の温度や圧力といった数値、ならびに弁の開閉といったステータスを適用することができる。さらにプラントデータ22を用いた異常判定結果を系統図プラントデータ31に付加することもできる。このとき、オペレーション指令部3は、オペレーション情報テーブル7から異常判定閾値を示すオペレーション情報43を取得し、これをプラントデータ22と比較することによって異常判定を行うものとする。
【0024】
系統図モニタ制御部2は、系統図モニタ表示情報41および系統図プラントデータ31を統合して系統図モニタ表示指令32として系統図モニタ10に送信する。系統図モニタ10は、系統図モニタ表示指令32を受信して系統図を表示させるとともに、系統図上の各々プラント機器14に系統図プラントデータ31を表示させる。
【0025】
次に、系統図画面において操作目的のプラント機器14をタッチ操作によって選択する方法について説明する。図2に示すように、系統図上の複数のプラント機器14から操作目的のものをタッチ操作によって選択する。系統図モニタ10は、タッチ操作によって選択された操作目的のプラント機器14を示すプラント機器選択信号33を作成する。
【0026】
まず系統図モニタ10は、プラント機器選択信号33を系統図モニタ制御部2に送信する。このとき系統図モニタ制御部2は、プラント機器選択信号33を受信し、さらに系統図モニタ触感情報テーブル6から選択されたプラント機器14に対応する系統図モニタ触感情報42を受信する。
【0027】
系統図モニタ触感情報テーブル6には、プラント機器14のタイプや状態に応じて、ワンショット、連続、強弱、振幅が速い、遅いと言ったさまざまな触感パターンを示す系統図モニタ触感情報42を記憶している。プラント機器14の重要度、例えばプラント機器14の操作によって生じるプラント全体の出力上昇や、プラント機器14の異常発生の傾向を示すにつれ触感パターンを強く設定することができる。さらに各プラント機器14の系統図プラントデータ31が異常と判定されたとき、または異常を示す傾向があるとき、触感パターンをより強くするように設定することもできる。ここで、触感パターンが強いとは、単に振動が強いだけでなく、振動が長い、振動の周期が短いことを含み、運転員への触感フィードバックによる認識がより強くなる触感パターンを指す。
【0028】
系統図モニタ制御部2は、系統図モニタ触感情報42が示す触感パターンによって触感フィードバックを行う系統図モニタ触感指令34を系統図モニタ10に送信し、系統図モニタ10は系統図モニタ触感指令34に基づいてタッチ操作に対して触感フィードバックを行う。
【0029】
次に、系統図モニタ10において操作目的のプラント機器14の機器操作画面を表示する方法について説明する。系統図モニタ10は、プラント機器選択信号33をオペレーション指令部3にも送信する。オペレーション指令部3はプラント機器選択信号33を受信し、選択されたプラント機器14のプラントデータ22をプラントデータ記憶装置12から受信して、機器操作プラントデータ35として機器操作モニタ制御部4に送信する。機器操作プラントデータ35には、系統図プラントデータ31と同様にプラントデータ22の数値やステータスを適用することができ、さらにオペレーション指令部3による異常判定結果を含めることができる。
【0030】
機器操作モニタ制御部4は機器操作プラントデータ35を受信し、さらに機器操作モニタ表示情報テーブル8から操作目的のプラント機器14をグラフィック表示させるための機器操作モニタ表示情報44を取得する。機器操作モニタ制御部4は、機器操作プラントデータ35と機器操作モニタ表示情報44を統合し、機器操作モニタ表示指令36として機器操作モニタ11に送信する。機器操作モニタ11は機器操作モニタ表示指令36を受信し、系統図モニタ10において操作目的のプラント機器14の機器操作画面を表示する。
【0031】
次に、機器操作画面におけるプラント機器14の操作方法について説明する。図2に示すように、機器操作画面には、プラント機器14を操作するためのボタンやスライダ等からなる操作部11aが表示されている。運転員は、操作部11aをタッチ操作する。機器操作モニタ11は、操作部11aにおけるタッチ操作を機器操作入力信号37としてオペレーション指令部3に送信する。ここで、機器操作入力信号37は、タッチパネルディスプレイにおけるタッチ操作を行った座標や操作時間の情報が含まれる。
【0032】
オペレーション指令部3は機器操作入力信号37を受信して、タッチパネルディスプレイにおける座標や操作時間の情報をもとにプラント機器14を操作するための指令値を求め、機器操作信号23としてプロセス入出力装置13に送信する。プロセス入出力装置13は、機器操作信号23をさらにプラント機器14の各々のプロトコルや通信規格に応じたプロセス出力信号24に変換してプラント機器14に送信し、プラント機器14を操作する。
【0033】
さらにオペレーション指令部3は、プラントデータ記憶装置12から操作を行っているプラント機器14のプラントデータ22を受信し、機器操作プラントデータ35として機器操作モニタ制御部4に送信する。さらにプラントデータ22の異常判定を行い、異常判定結果を機器操作プラントデータ35に付加することもできる。
【0034】
機器操作モニタ制御部4は、機器操作プラントデータ35を受信し、機器操作プラントデータ35および機器操作モニタ表示情報44を統合し、機器操作モニタ表示指令36として機器操作モニタ11に送信する。さらに機器操作モニタ制御部4は、機器操作プラントデータ35に対応する機器操作モニタ触感情報45を機器操作モニタ触感情報テーブル9から取得する。
【0035】
機器操作モニタ触感情報テーブル9には、機器操作プラントデータ35が示す数値やステータス、異常判定結果に応じた触感パターンを示す機器操作モニタ触感情報45を記憶している。機器操作プラントデータ35がプラント全体の出力上昇や、プラント機器14の異常発生の傾向を示すにつれ触感パターンを強く設定することができる。機器操作モニタ制御部4は、機器操作モニタ触感情報45に基づいて触感フィードバックを行う機器操作モニタ触感指令38を機器操作モニタ11に送信する。
【0036】
機器操作モニタ11は、機器操作モニタ制御部4から機器操作モニタ表示指令36を受信することによって操作を行っているプラント機器14のプラントデータ22をリアルタイムに表示する。さらに機器操作モニタ11は、機器操作モニタ触感指令38に基づいて触感フィードバックを操作部11aにおいて行う。
【0037】
本実施形態における機器操作モニタ11の触感フィードバックは、ワンショット操作とインチング操作に対する触感フィードバックを行うことができる。まず、ワンショット操作に対する触感フィードバックを行う方法について説明する。
【0038】
ワンショット操作とは、プラント機器14の弁の開閉や起動等、ON/OFFの指令によって操作を行い、操作時間に比例した操作を行わない操作である。図3は、本発明の第1の実施形態に係るプラント監視装置のワンショット操作における触感フィードバックの方法を示すフロー図である。まず、機器操作モニタ11におけるタッチ操作を行い、機器操作入力信号37をオペレーション指令部3に送信する(ステップ1)。オペレーション指令部3は、機器操作入力信号37に係るプラント機器14のプラントデータ22を取得する(ステップ2)。さらにオペレーション指令部33は、オペレーション情報テーブル7から受信したオペレーション情報43が示す異常判定閾値を用いてプラントデータ22の異常判定を行い、異常判定結果を付加して機器操作プラントデータ35として機器操作モニタ制御部4に送信する(ステップ3)。
【0039】
機器操作プラントデータ35が異常を示す場合には、タッチ操作によるプラント機器14の操作を行わず、プラントデータ22の異常時の触感パターン(例:ワンショット、強、振幅大)を示す機器操作モニタ触感情報45を取得し(ステップ4)、機器操作モニタ触感情報45が示す触感パターンによって触感フィードバックを行う(ステップ5)。
【0040】
また機器操作プラントデータ35が正常を示す場合には、機器操作入力信号37が示す指令値によってプラント機器14の操作を行い(ステップ6)、操作に係るプラントデータ22を取得して、このプラントデータ22に応じた機器操作モニタ触感情報45(例:ワンショット、中、振幅小)を取得し(ステップ7)、機器操作モニタ触感情報45が示す触感パターンによって触感フィードバックを行う(ステップ5)。
【0041】
次に、インチング操作に対する触感フィードバックを行う方法について説明する。インチング操作とは、プラント機器14のポンプの出力の増減や流量の調整等、タッチ操作の操作時間に比例して連続的な操作を行う操作である。図4は、本発明の第1の実施形態に係るプラント監視装置のインチング操作における触感フィードバックの方法を示すフロー図である。
【0042】
まず、機器操作モニタ11におけるタッチ操作によって機器操作入力信号37をオペレーション指令部3に送信し(ステップ1)、オペレーション指令部3はプラントデータ22を取得する(ステップ2)。オペレーション指令部3は、プラントデータ22の異常判定を行い(ステップ3)、異常と判断された場合にはタッチ操作によるプラント機器14の操作を行わずに、異常を示す触感パターン(例:ワンショット、強、振幅大)を示す機器操作モニタ触感情報45を取得して(ステップ4)、機器操作モニタ触感情報45が示す触感パターンによって触感フィードバックを行う(ステップ5)。
【0043】
プラントデータ22が正常を示す場合には、ポンプの出力や流量等の現在値に増減値を加算して、目的のポンプの出力や流量等を指令値として算出する(ステップ6)。さらに目的の指令値が上下限レンジ内であるかを判定する(ステップ7)。上下限レンジとは、プラント機器14が正常な範囲で操作され、プラントの過度の出力上昇や異常を発生させないための閾値である。指令値が上下限レンジ外であれば、プラント機器14の操作を行わずに、上下限レンジ外を示す機器操作モニタ触感情報45を取得して(ステップ8)、機器操作モニタ触感情報45が示す触感パターンによって触感フィードバックを行う(ステップ5)。このとき、指令値が上下限レンジ外である旨を機器操作モニタ11に表示させることもできる。
【0044】
指令値が上下限レンジ内である場合には、指令値によるプラント機器14の操作を行い(ステップ9)、さらに操作に係るプラントデータ22に係る機器操作モニタ触感情報45を取得し(ステップ10)、機器操作モニタ触感情報45が示す触感パターンによって触感フィードバックを行う(ステップ5)。さらに機器操作モニタ11には、インチング操作を行っているプラント機器14のプラントデータ22が連続的に表示され、運転員は目視による操作の確認も行うことができる。
【0045】
触感フィードバック後においてインチング操作を継続する場合には、運転員が操作部11aのタッチを継続することによって再びプラントデータ22を取得し(ステップ2)、プラントデータ22の異常判定(ステップ3)の後に再びインチング操作を行う。
【0046】
なお、インチング操作による指令値が上下限レンジに近づくにつれ、触感パターンを強く設定することもできる。この場合、運転員にインチング操作によるプロセスデータ22の変動をより確実に認識させることができる。
【0047】
さらに指令値が上下限レンジ内であるときのインチング操作において操作部11aを押し込めるような触感フィードバックを行い、プロセスデータ22が異常を示すとき、または指令値が上下限レンジ外であるときにおいて、操作部11aを押し込めないように触感フィードバックを行ってもよい。この場合、プラント機器14の操作を許可するときにのみ操作部11aを押し込めるような触感フィードバックを行うことによって、インチング操作が可または不可を運転員が触感フィードバックによって認識することができる。
【0048】
(効果)
本発明の第1の実施形態によれば、系統図画面における操作目的のプラント機器14の選択、ならびに機器操作画面におけるプラント機器14の操作におけるタッチ操作に対して触感フィードバックを行うことによって、運転員のタッチ操作を確実に認識させることができる。さらに、タッチ操作に係るプラント機器14がプラントの出力上昇や異常発生の傾向を示すにつれ触感パターンを強く設定することによって、運転員にプラント機器14の操作の影響をより確実に認識させることができる。
【0049】
また従来は、指令値を連続で出力するインチング操作において、画面内の数値を確認し続ける必要があり、すでに目標とする値に到達している場合でも誤認識により、操作を継続し続けている場合があった。しかしながら本実施形態では、インチング操作によるプロセスデータ22が上下限レンジに近づくにつれ強く触感パターンを設定することにより、より確実にインチング操作を認識することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第2の実施形態に係るプラント監視装置について図5を参照して説明する。第1の実施形態に係るプラント監視装置の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0051】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るプラント監視装置の機器操作モニタにおけるガイドメッセージおよび関連画面情報の表示例を示す概略図ある。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、機器操作モニタ11においてガイドメッセージ11bおよび関連画面情報11cを新たに表示させる点である。さらに機器操作モニタ表示情報テーブル8にガイドメッセージ11bおよび関連画面情報11cに係る情報を記憶させた点である。
【0052】
図5に示すように、ガイドメッセージ11bおよび関連画面情報11cは、機器操作モニタ11内においてプラントデータ22を用いたトレンドグラフや操作部11aを除いた部分に表示させることができる。
【0053】
(作用)
以下、本発明の第2の実施形態の作用について説明する。機器操作モニタ11におけるタッチ操作によってプラント機器14の操作を行った結果、プラント機器14の異常やプラント全体の出力上昇等の特定事象が生じたとき、運転員は上述した触感フィードバックによって特定事象を認識することができる。しかしながら、特に運転歴が短い運転員の場合、これらの事象についての対処について情報を得ることが難しい場合がある。
【0054】
タッチ操作に対してプラント機器14の異常を検出した場合、この異常に対応する機器操作モニタ表示情報テーブル8からガイドメッセージ11bおよび関連画面情報11cに係る情報を取得し、機器操作モニタ表示指令36として送信する。さらに異常に対応する機器操作モニタ触感情報45を機器操作モニタ触感情報テーブル9から取得し、機器操作モニタ触感指令38として機器操作モニタ11に送信する。このとき機器操作モニタ11は、プラント機器14の異常を示す機器操作モニタ触感指令38を受信して触感フィードバックを行う。
【0055】
機器操作モニタ11は、機器操作モニタ表示指令36を受信してガイドメッセージ11bおよび関連画面情報11cを表示する。ガイドメッセージ11bは、タッチ操作に伴いプラント機器14に異常が発生した場合に異常内容及び操作指示が表示される。関連画面情報11cは、タッチ操作に伴う異常発生時に対応が必要とされる関連画面の一覧が表示される。関連画面情報11cのリストをタッチ選択することによって機器操作モニタ11に選択した画面が展開される。また、機器操作モニタ表示情報テーブル8には、特定事象に応じたガイドメッセージ11bならびに関連画面情報11cの情報があらかじめ記憶される。
【0056】
運転員は、触感フィードバックによって異常を検知するとともに、ガイドメッセージ11bによってタッチ操作によるプラント機器14の異常の詳細ならびに異常の対処方法を認知し、関連画面情報11cから関連画面を展開して異常に対する対応を行う。
【0057】
(効果)
本発明の第2の実施形態によれば、タッチ操作の異常状態に合わせてガイドメッセージ11bによって特定事象発生時の対処について情報を得ることができ、さらに関連画面情報11cによって迅速に展開先の画面リストを表示して対処を行うことができる。
【0058】
なお、本発明の実施形態は上述した実施形態に限られないことは言うまでもない。例えば、プラント監視装置1が操作を行うプラント機器14の種類や操作内容は、プラント監視装置1の目的や設置される発電プラントの規模に応じて適宜変更されうるものである。さらに、系統図モニタ10と機器操作モニタ11を2つのタッチパネルディスプレイによって構成するだけでなく、1つのタッチパネルディスプレイにおいて系統図画面と機器操作画面を切り替えて表示する構成とすることができる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・プラント監視装置
2・・・系統図モニタ制御部
3・・・オペレーション指令部
4・・・機器操作モニタ制御部
5・・・系統図モニタ表示情報テーブル
6・・・系統図モニタ触感情報テーブル
7・・・オペレーション情報テーブル
8・・・機器操作モニタ表示情報テーブル
9・・・機器操作モニタ触感情報テーブル
10・・・系統図モニタ
11・・・機器操作モニタ
11a・・・操作部
11b・・・ガイドメッセージ
11c・・・関連画面情報
12・・・プラントデータ記憶装置
13・・・プロセス入出力処理部
14・・・プラント機器
21・・・プロセス入力信号
22・・・プラントデータ
23・・・機器操作信号
24・・・プロセス出力信号
31・・・系統図プラントデータ
32・・・系統図モニタ表示指令
33・・・プラント機器選択信号
34・・・系統図モニタ触感指令
35・・・機器操作プラントデータ
36・・・機器操作モニタ表示指令
37・・・機器操作入力信号
38・・・機器操作モニタ触感指令
41・・・系統図モニタ表示情報
42・・・系統図モニタ触感情報
43・・・オペレーション情報
44・・・機器操作モニタ表示情報
45・・・機器操作モニタ触感情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント機器を操作するためのタッチ操作を入力することができ、このタッチ操作に対する触感フィードバック機能を有する機器操作モニタと、
この機器操作モニタの前記タッチ操作に基づいて前記プラント機器を操作し、さらに前記タッチ操作に係る前記プラント機器のプラントデータを受信するオペレーション指令部と、
前記プラント機器の前記プラントデータについて触感パターンを定めた機器操作モニタ触感情報を記憶する機器操作モニタ触感情報テーブルと、
前記機器操作モニタに前記オペレーション指令部が受信した前記プラントデータを表示させるとともに、このプラントデータに対応する前記機器操作モニタ触感情報を前記機器操作モニタ触感情報テーブルから取得し、前記機器操作モニタ触感情報が示す前記触感パターンに基づいて前記タッチ操作に対して前記触感フィードバック機能を作用させる機器操作モニタ制御部とを備えることを特徴とするプラント監視装置。
【請求項2】
前記機器操作モニタ触感情報は、前記プラントデータがプラント全体の出力上昇または前記プラント機器の異常の傾向を示すにつれ前記触感パターンが強くなるように、前記プラントデータと前記触感パターンが対応付けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラント監視装置。
【請求項3】
前記機器操作モニタは、前記プラント機器のインチング操作を行うための前記タッチ操作を入力することができ、
前記オペレーション指令部は、前記タッチ操作に基づいて前記プラント機器の前記インチング操作を行い、
前記機器操作モニタ制御部は、前記インチング操作による前記プラント機器の前記プラントデータを連続的に表示し、
前記機器操作モニタ触感情報は、前記インチング操作による前記プラント機器の指令値があらかじめ定められた上下限レンジに近づくにつれ、前記触感パターンが強くなるように、前記プラントデータと前記触感パターンが対応付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラント監視装置。
【請求項4】
前記機器操作モニタ触感情報テーブルは、さらに前記プラント機器のうち操作を許可するものについて前記機器操作モニタの前記タッチ操作を行う部位を押し込める前記触感パターンを示す前記機器操作モニタ触感情報をさらに記憶し、
前記機器操作モニタ制御部は、前記プラント機器のうち操作を許可するものについてのみ、前記機器操作モニタの前記タッチ操作を行う部位を押し込むことができる触感フィードバックを行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のプラント監視装置。
【請求項5】
機器操作モニタ触感情報テーブルは、前記プラント機器の異常を前記触感フィードバックで通知する前記機器操作モニタ触感情報をさらに記憶し、
前記機器操作モニタ制御部は、前記プラント機器の異常時において、異常を示す前記触感フィードバックを作用させるとともに、前記機器操作モニタにおいて前記プラント機器の異常の対処に係る情報を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のプラント監視装置。
【請求項6】
前記プラント機器を配置した系統図を表示し、前記タッチ操作によって前記プラント機器を選択することができる系統図表示画面と、
この系統図表示画面に表示される前記プラント機器ごとに前記触感パターンを定めた系統図モニタ触感情報を記憶する系統図モニタ触感情報テーブルとをさらに備え、
前記系統図表示画面において前記タッチ操作によって選択された前記プラント機器の前記重要度に対応した前記触感パターンを読み出し、前記系統図表示画面に触感フィードバックを行う系統図モニタ制御部とを備え、
前記機器操作モニタは、前記系統図表示画面において選択された前記プラント機器の前記機器操作画面を表示することを特徴とする請求項1に記載のプラント監視装置。
【請求項7】
前記系統図モニタ触感情報は、前記プラント機器のプラントの出力上昇または前記プラント機器の異常の傾向を示すにつれ前記触感パターンが強くなるように、前記プラントデータと前記触感パターンが対応付けられていることを特徴とする請求項6に記載のプラント監視装置。
【請求項8】
タッチパネルディスプレイに表示された機器操作画面においてプラント機器を操作するタッチ操作を入力する工程と、
前記機器操作画面の前記タッチ操作に基づいて前記プラント機器を操作し、さらに前記タッチ操作に係る前記プラント機器のプラントデータを受信する工程と、
前記タッチパネルディスプレイに前記オペレーション指令部が受信した前記プラントデータを表示させる工程と、
前記プラントデータに対応する触感パターンによって前記タッチ操作に対して触感フィードバックを行う工程とを備えることを特徴とするプラント監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−77091(P2013−77091A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215717(P2011−215717)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】