説明

プランルカスト水和物含有医薬組成物

【課題】プランルカスト水和物の苦味を低減して容易に服用することができ、しかもプランルカスト水和物の体内への吸収が速やかな医薬組成物を提供すること。
【解決手段】平均粒子径が1〜15μmであるプランルカスト水和物と、平均粒子径が5〜150μm、水分含有率が0.05〜6重量%である糖類とを含有する医薬組成物であって、プランルカスト水和物が225mg含まれる単位投与量を経口投与したときに以下の(1)〜(3)のうちの1つ以上の特性を示し、かつプランルカスト水和物の苦味が低減されていることを特徴とする医薬組成物;
(1)最大の血漿中濃度に達する時間が経口投与後6時間以内である。
(2)最大の血漿中濃度が500ng/ml以上である。
(3)血漿中濃度が100ng/mlに達する時間が3時間以内である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランルカスト水和物を有効成分とする医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プランルカスト水和物はロイコトリエン(LT)受容体拮抗剤として知られており(特許文献1参照)、気管支喘息やアレルギー性鼻炎の治療剤として広く使用されている。プランルカスト水和物は、成人を対象とするカプセル剤のほか、小児気管支喘息患者を対象としてドライシロップ製剤が供されている。ドライシロップ製剤の利点として、水に溶解または懸濁させることによって嚥下が困難な小児においても容易に服用することができる点等が挙げられる。
その一方で、用時に水へ溶解または懸濁させる操作は煩雑であり、特に本剤は小児を対象とすることから、水および容器のないところでは患者またはその保護者にとって負担が増え、服用コンプライアンスが低下する恐れがある。また懸濁せずに服用すると、薬物(プランルカスト水和物)由来の苦味が口腔内に残りやすいという問題がある。
【0003】
そこで、より服用コンプライアンスの向上した製剤が要望されており、近年、上記問題点を改善すべく、種々の研究が精力的になされている。
例えば、苦味を有する薬物をドライシロップ製剤や錠剤(例えば、口腔内速崩錠)としてとして服用する際の問題点を改善する方法として、キシリットを添加する方法(特許文献2参照)やエチルセルロース、オイドラギット等の高分子で被覆する方法(特許文献3参照)が知られている。
【0004】
しかし、上記したような方法は、必ずしもプランルカスト水和物に有効に適用できるものでなく、逆にコスト高となるおそれもある。また、薬物の有効性を最大限に発揮するためには、薬物を生体に投与した際の最大血漿中濃度やそれに達する時間等を適切にコントロールすることが重要である。しかしながら、プランルカスト水和物の苦味を低減するために大量の添加物を要する場合、プランルカスト水和物の体内への吸収に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−050977号公報
【特許文献2】特開平6−157312号公報
【特許文献3】特表平6−502194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、プランルカスト水和物の苦味を低減して容易に服用することができ、しかもプランルカスト水和物の体内への吸収が速やかな医薬組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決できるものであり、その要旨は以下の[1]〜[7]に示す通りである。
[1] 平均粒子径が1〜15μmであるプランルカスト水和物と、平均粒子径が5〜150μm、水分含有率が0.05〜6重量%である糖類とを含有する医薬組成物であって、プランルカスト水和物が225mg含まれる単位投与量を経口投与したときに以下の(1)〜(3)のうちの1つ以上の特性を示し、かつプランルカスト水和物の苦味が低減されていることを特徴とする医薬組成物;
(1)最大の血漿中濃度に達する時間が経口投与後6時間以内である。
(2)最大の血漿中濃度が500ng/ml以上である。
(3)血漿中濃度が100ng/mlに達する時間が3時間以内である。
[2] 糖類がマンニトール、白糖および乳糖から選ばれる1種以上である前項[1]記載の医薬組成物。
[3] さらにヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上の水溶性高分子またはポリエチレングリコールを含有する前項[1]または[2]記載の医薬組成物。
[4] 前項[3]に記載の医薬組成物からなる顆粒。
[5] 前項[3]に記載の医薬組成物を含有するカプセル剤。
[6] 顆粒を100重量%として、プランルカスト水和物を5〜55重量%含有し、嵩密度が0.35〜0.70g/cmである前項[4]記載の顆粒。
[7] ヒト苦味官能試験によるスコア値が0〜2である前項[4]または[6]記載の顆粒。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、プランルカスト水和物の苦味を低減して容易に服用することができ、しかもプランルカスト水和物の体内への吸収が速やかな医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について説明する。
本発明に用いられるプランルカスト水和物は式(A)
【化1】

で示される4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン・半水和物である。プランルカスト水和物の製造は、例えば、上記特許文献1記載の方法に準じて行なうことができる。
【0010】
本発明に用いられるプランルカスト水和物の平均粒子径としては、苦味を低減する効果から、約1〜約15μmであり、好ましくは約1〜約10μmである。
【0011】
本発明者らは、プランルカスト水和物の苦味低減方法を鋭意検討した結果、プランルカスト水和物の苦味にはプランルカスト水和物の平均粒子径が関係しており、平均粒子径が小さいと苦味が増大するという一般的な技術常識(例えば特開2003−119122号公報、第3頁右欄の段落[0006]参照。)に対し、小さな平均粒子径を有するプランルカスト水和物が苦味低減効果を有する場合があるという逆相関を見出し、上記範囲の平均粒子径とすることで、プランルカスト水和物の含有量を増量しても十分に苦味を低減できることを見出した。
【0012】
平均粒子径約1〜約15μmのプランルカスト水和物は、公知の方法(例えば特開昭61−050977号公報に記載された方法等)等を適宜組み合わせることにより、当業者においては容易に製造することができる。例えば、特開昭61−050977号公報記載の方法等によって製造されたプランルカスト水和物を、必要に応じて公知の方法、例えばハンマーミル、ボールミルまたはジェットミル等で粉砕し、所望の平均粒子径に調整することができる。
【0013】
なお、本発明において、プランルカスト水和物および糖類の平均粒子径とは、その一次粒子の平均粒子径(重量基準平均径)を意味し、例えば一般に用いられているレーザー回折式の粒度分布測定装置(例えば、SALD−2100(株式会社島津製作所))により求めることができる。
【0014】
本発明の医薬組成物における糖類としては、例えば、糖、糖アルコール等が挙げられ、これらから選択される1種を用いることができ、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。糖としては、例えば、単糖類(ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトース、マンノース等)、少糖類(乳糖(ラクトース)、麦芽糖(マルトース)、ショ糖(スクロース)、白糖(精製白糖を含む。)、セロビオース、トレハロース等)が挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール等が挙げられる。
【0015】
これらの糖類のうち、マンニトール、白糖、乳糖、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトールおよびトレハロースが好ましく、より好ましくはマンニトール、白糖または乳糖である。マンニトールとしては、D−マンニトールがさらに好ましい。白糖としては、精製白糖が好ましい。
【0016】
また、糖類としては、成型性や崩壊性に優れたものや、高融点であること、安定性が良好であること、活性成分の配合禁忌がないこと、清涼性があることも好ましい。
【0017】
本発明における糖類の平均粒子径としては、約5〜約150μmであり、約10〜約100μmが好ましい。また、本発明における糖類の水分含有率としては、約0.05〜約6重量%であり、0.1〜5.5重量%が好ましい。上記の粒子径の糖類または水分含有率の糖類は消化管での溶解性が高いため、薬物の近傍の親水性が向上する。その結果、疎水性の薬物は糖類から排出され、消化管の粘膜表面における薬物濃度が向上することにより、薬物の吸収能が高まる。
糖類の水分含有率を上記値に調節する方法は公知であり、例えば加湿または乾燥条件下に糖類を設置後、水分含有率をモニタリングすることによって、適宜調節することができる。水分含有率の測定は、カールフィッシャー法によって容易に行なうことができる。
【0018】
本発明の医薬組成物に用いられる糖類の割合としては、該組成物を100重量%として約40〜約90重量%が好ましく、より好ましくは約40〜約85重量%である。また、該組成物を含有してなる製剤(例えば、顆粒剤、錠剤)を100重量%とした場合の糖類の割合としては、約40〜約90重量%が好ましく、より好ましくは約40〜約85重量%であり、さらに好ましくは約40〜約75重量%である。
【0019】
プランルカスト水和物が225mg含まれる単位投与量を食後、健康成人に経口投与した際に、以下の(1)〜(3)のうちの1つ以上の特性を示した場合、プランルカスト水和物の薬物としての効能が適切に発揮される。本発明の医薬組成物は、上記したように、特定の粒子径や水分含有率で規定される糖類を含有することから、プランルカスト水和物の体内への吸収が良好であるため、その結果、以下の(1)〜(3)のうちの1つ以上の特性を有することが可能となる。本発明の医薬組成物においては、以下の(1)〜(3)のうちの1つ以上の特性を示すものが好ましく、好ましくは以下の(1)〜(3)の特性を全て満たすものである。
(1)最大の血漿中濃度に達する時間が経口投与後6時間以内である。
(2)最大の血漿中濃度が500ng/ml以上である。
(3)血漿中濃度が100ng/mlに達する時間が3時間以内である。
上記(1)の特性においては、最大の血漿中濃度に達する時間が経口投与後5時間以内であるものがより好ましい。上記(2)の特性においては、最大の血漿中濃度が600ng/ml以上であるものがより好ましい。上記(3)の特性においては、血漿中濃度が100ng/mlに達する時間が2.5時間以内であるものがより好ましい。
【0020】
なお、上記(1)〜(3)の特性は、健康成人に食後に1回経口投与した際の血漿中濃度を測定することにより評価される。血漿中濃度の測定は公知の方法に基づいて行なうことができる。
【0021】
本発明の医薬組成物は、水溶性高分子または合成高分子を含有していてもよい。かかる水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートサクシナート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、アラビアゴム、寒天、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリラートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、マクロゴール等が挙げられ、これらから選択される1種以上を適宜組み合わせて用いることができる。合成高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0022】
上記した水溶性高分子のうち、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が好ましく、いずれも市販品として入手できる。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)としては、例えば、信越化学工業株式会社製のTC−5E、TC−5EW、TC−5MW、TC−5R、TC−5RW、TC−RG、TC−5S等が挙げられる。その中でも、TC−5EWおよびTC−5RW等が好ましい。ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)としては、例えば、日本曹達株式会社製のHPC−SSL、HPC−SL、HPC−L、HPC−M、HPC−H等が挙げられ、これらの中でも、HPC−Lが好ましい。これらは市販品として入手することができる。
本発明の医薬組成物において、プランルカスト水和物100重量部に対する水溶性高分子または合成高分子の重量比として好ましくは、約5〜約25重量部であり、より好ましくは約5重量部〜約20重量部である。
【0023】
本発明の医薬組成物は、顆粒として用いられることが好ましい。本発明の医薬組成物からなる顆粒(以下、「本発明の顆粒」ということがある)には、上記した水溶性高分子または合成高分子が含有されていることが好ましく、顆粒製剤を製造する際に一般的に使用される他の添加剤(製剤基剤)が更に含まれてもよい。
本発明の医薬組成物を含有する製剤としては、顆粒を含有してなる製剤が挙げられる。「顆粒を含有してなる製剤」とは、本発明の顆粒と、必要に応じて他の添加剤(製剤基剤)を含有する製剤(以下、本発明製剤と略記する場合がある。)を意味する。製剤形態としては、特に限定されないが、例えば錠剤、カプセル剤等が挙げられる。
【0024】
本発明の顆粒、および該顆粒を含有してなる製剤(本発明製剤)は公知の方法に準じて製造することができる。例えば、プランルカスト水和物、糖類、水溶性高分子および必要に応じて他の添加剤を混合するか、もしくは公知の造粒法(例えば、押出し造粒法、混合撹拌造粒法、高速混合撹拌造粒法、流動層造粒法、転動撹拌流動層造粒法、転動造粒法、乾式(圧縮)造粒法、破砕造粒法、噴霧乾燥造粒法等)によって得られる造粒物を必要に応じて乾燥、整粒、分級等することにより、顆粒を製造することができる。また、そのようにして得られた顆粒に、必要に応じて他の添加剤を加えて、カプセル充填、または公知の打錠機(例えば、ロータリー打錠機または単発打錠機等)を用いて打錠することにより、カプセル剤や錠剤を製造することができる。また、錠剤は、必要に応じ薬学的に許容され、本発明の効果を妨げない、フィルムコーティング基剤を用いて被覆されても構わない。
【0025】
噴霧乾燥(スプレードライ)造粒法とは、当業者には明らかではあるが、液体混合物を小さな液滴にし(微粒化)、噴霧乾燥造粒機、流動層乾燥造粒機、転動流動層造粒機、錠剤コーティング機等の噴霧乾燥装置中で混合物から溶媒を速やかに除去する工程を含む造粒法を広く表わす。2種以上の糖類を含有する粉末を用いる場合は、該2種以上の糖類をあらかじめ混合液にして噴霧乾燥した粉末を用いてもよいし、個々に噴霧乾燥した後に混合したものを用いてもよい。また、いずれの製造方法においても、圧縮成型時、滑沢剤等を混合せずに、打錠機の杵臼にあらかじめ滑沢剤を塗布してから圧縮成型することもできる。
【0026】
上記他の添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、矯臭剤、界面活性剤、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、流動化剤、湿潤剤、溶出補助剤、矯味剤、精油、分散補助剤、発泡剤等が挙げられ、これらから選択される1種を用いることができ、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの添加剤は市販品として入手することができる。
【0027】
賦形剤としては、例えば、糖類(例えば、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖、還元乳糖、蔗糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、パラチノース、トレハロース、ソルビトール等)、デンプン(トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン等)、ラクトースコロイダルシリカ、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。前記結晶セルロースとしては、微結晶セルロースと称されているものも含み、例えば旭化成工業株式会社から市販されている各種グレード、セオラス(登録商標。以下同じ。)KG802、セオラスPH101、セオラスPH102、セオラスPH301、セオラスPH302、セオラスPH−F20JP、セオラスRC−A591NF(結晶セルロース・カルメロースナトリウム)等が挙げられる。いずれも好ましいが、より好ましくはセオラスPH301である。賦形剤(例えば、結晶セルロース)は、本発明製剤(例えば、錠剤)を100重量%として、約0.5〜約30重量%、好ましくは約1〜約20重量%となるよう含有させることが好ましい。とりわけ、約5〜約15重量%配合するのが好ましい。
【0028】
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、部分α化デンプン、α化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチン等が挙げられる。
【0029】
崩壊剤としては、例えば、デンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分α化デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム(線維素グリコール酸カルシウム)、カルボキシメチルセルロース、クロスポビドン(例えばBASFジャパン株式会社製の商品名コリドンCL)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、L−ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられ、トウモロコシデンプン、クロスポビドンおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。
【0030】
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80等)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウム、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0031】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。
【0032】
着色剤としては、例えば、酸化チタン、食用赤色3号、食用赤色102号、食用黄色5号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用青色1号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、リボフラビン、カラメル等が挙げられる。
【0033】
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウム、ビタミンE等が挙げられる。
【0034】
隠蔽剤としては、例えば、酸化チタン等が挙げられる。
【0035】
静電気防止剤としては、例えば、タルク、酸化チタン等が挙げられる。
【0036】
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸(例えばフロイント産業株式会社製の商品名アドソリダー101等)、タルク、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。
【0037】
湿潤剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等が挙げられる。
【0038】
溶出補助剤としては、例えば、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等のシクロデキストリン、アルギニン、リジン、トリスアミノメタン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられる。
【0039】
矯味剤(苦味改善剤)としては、例えば、甘味料(サッカリンまたはその塩(ナトリウム塩)、アスパルテーム、ステビアエキス、グリチルリチン酸またはその塩(二カリウム塩、二ナトリウム塩、三ナトリウム塩、二アンモニウム塩、モノアンモニウム塩)、スクラロース、ソーマチン、アセスルファームカリウム、白糖、D−ソルビトール、キシリトール、ソーマチン(タウマチン)、5’−イノシン酸ナトリウム等)、香料(アマチャ末、カラメル、ヨーグルトフレーバー、バニラフレーバー、フルーツフレーバー、ストロベリーフレーバー、チョコレートフレーバー、レモン、レモンライム、オレンジ、オレンジエッセンス、オレンジエキス、ミント、l−メントール、1−カンファー等)、酸味料(クエン酸、無水クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、フマル酸、グルタミン酸またはその塩(ナトリウム塩)、アスコルビン酸、5’−グアニル酸ナトリウム等)等が挙げられる。前記ステビアエキスとしては、天然のステビアエキスの他にこれらの糖転移物も挙げられ、例えばリバウディオサイドA、リバウディオサイドB、リバウディオサイドC、リバウディオサイドD、リバウディオサイドE、α−グルコシルステビオシド等が挙げられる。スクラロースとは、ショ糖由来の甘味料でショ糖のハロゲン化によって得られる4,1’,6’−トリデオキシ−4,1’,6’−トリクロロ−ガラクトスクロースである。甘味料としてアスパルテーム、香料としてヨーグルトフレーバー、酸味料として無水クエン酸が好ましい。
【0040】
本発明製剤に用いられる甘味料および香料の配合量としては、例えばそれぞれ、本発明製剤を100重量%として、約0.01〜約5重量%が好ましく、約0.05〜約1重量%がより好ましい。
【0041】
精油としては、例えば、ハッカ油、ユーカリ油、ケイヒ油、ウイキョウ油、チョウジ油、オレンジ油、レモン油、ライム油、パイン油、ローズ油等が挙げられ、好ましくは、ハッカ油、ユーカリ油、ケイヒ油、ウイキョウ油、チョウジ油等である。
分散補助剤としては、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、トレハロース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等が挙げられる。
発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム等が挙げられる。
【0042】
本発明製剤における製剤形態としては、顆粒、錠剤またはカプセル剤が好ましい。
【0043】
また、本発明の顆粒は、そのもの自体を顆粒剤、散剤、ドライシロップとして服用することができる。
【0044】
顆粒剤や散剤の場合には、そのまま水と一緒に服用してもよいし、水に溶解または懸濁して服用してもよい。
【0045】
ドライシロップとは、第十四改正日本薬局方によると、用時に溶解または懸濁して服用する製剤を意味するが、必要に応じて水と一緒に服用しても構わない。
【0046】
本発明の顆粒は、水に懸濁または溶解して液剤(例えば、経口用シロップ剤等)として供することもできる。液剤とする際には、必要に応じて1種または2種以上の添加剤を適宜用いることができる。例えば、溶解補助剤(ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等)、増粘剤(多価アルコール(グリセリン、マクロゴール等)、セルロース類(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、親水性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸、シクロデキストリン等)、懸濁化剤(界面活性剤(ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート等)、糖類(ソルビトール、マンニトール、ショ糖等)、セルロース類(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)等)、等張化剤(ブドウ糖、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、塩化カリウム、濃グリセリン、プロピレングリコール、ショ糖等)、緩衝剤(リン酸塩(リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等)、ホウ酸、ホウ砂、酢酸塩(酢酸ナトリウム等)、炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム等)、クエン酸、L−グルタミン酸ナトリウム等)等の添加剤を適宜組み合わせて用いることができる。本発明の顆粒の服用形態として好ましくは、顆粒剤またはドライシロップであり、より好ましくはドライシロップである。
【0047】
また、本発明の顆粒または本発明製剤は所望により1以上のコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、エチルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー等)で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル類(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等)、パラベン類(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等)、逆性石鹸類(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム等)、アルコール誘導体(クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、有機酸およびその塩類(デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム等)、フェノール類(パラクロロメトキシフェノール、パラクロロメタクレゾール等)等)、抗酸化剤(例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、クエン酸、エデト酸ナトリウム等)等の添加物を加えることもできる。また、例えばプランルカスト水和物原末をそのまま、または造粒顆粒等に適当なコーティング剤(上記と同じものを表わす。)、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル等)等を用いて被覆を施したプランルカスト水和物に結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)等と混合し、常法に従って製剤化して用いることもできる。
【0048】
本発明の顆粒、または本発明製剤に含まれる顆粒の平均粒子径としては、約50〜約600μmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径が大き過ぎると、口腔内でざらつき感を感じる原因となり、また小さすぎると苦味が口腔内に長時間残留するおそれがあるため好ましくない。
【0049】
錠剤として用いる場合の顆粒の平均粒子径としては、約50〜約150μmがより好ましく、さらに好ましくは約50〜約100μmである。
【0050】
顆粒剤としてそのまま用いる場合の顆粒の平均粒子径としては、小さすぎると顆粒を服用した場合に噎せる原因になる(特に小児の場合)ことも考えられるため、約300〜約550μmがより好ましく、さらに好ましくは約350〜約500μmである。
【0051】
なお、本発明の顆粒の平均粒子径の測定法としては例えばふるい分け法があり、適切なサイズのふるいを用いて顆粒の粒度分布を測定する方法により求めることができる。
【0052】
また、ヒト口腔内における崩壊性および苦味スコアについては顆粒の嵩密度が影響しており、嵩密度範囲を規定することが有効である。すなわち、本発明の顆粒の嵩密度として好ましくは約0.35〜約0.70g/cmであり、より好ましくは約0.35〜約0.67g/cmである。また、本発明製剤に含まれる顆粒の嵩密度として好ましくは、約0.35〜約0.70g/cmであり、より好ましくは約0.35〜約0.65g/cmであり、さらに好ましくは約0.35〜約0.55g/cmである。
【0053】
なお、本発明において、「顆粒の嵩密度」とは、「顆粒質量」を「顆粒を容器に入れたときの体積」で除した値(ルーズ嵩密度)を意味し、例えば約30gの試料を精密に量り、乾いたメスシリンダーに圧密せずに入れ、目盛の最小単位まで読み取り、粉粒体の重量を粉粒体の最終嵩体積で除したものを嵩密度とする方法によって測定することができる。
【0054】
また、本発明製剤の崩壊性(崩壊時間)を測定する方法としては、例えば、日本薬局方第十四改正に記載の方法に準じた崩壊試験も好ましい。この崩壊試験において、例えば、試験液を水とした場合の崩壊試験による好ましい崩壊時間としては、約5〜約60秒であり、より好ましくは約5〜約50秒であり、さらに好ましくは約5〜約45秒であり、特段好ましくは約5〜約30秒である。
【0055】
後記苦味官能試験1における苦味スコアにおいて、0〜2の範囲であれば、苦味が低減された顆粒であるといえるが、好ましくは苦味スコアが0〜1.50の顆粒であり、さらに好ましくは苦味スコアが0〜1.45の顆粒である。
【0056】
本発明の顆粒におけるプランルカスト水和物の含有量としては、本発明の顆粒を100重量%とした場合、好ましくは約5〜55重量%であり、より好ましくは約5〜約45重量%であり、さらに好ましくは約5〜約35重量%であり、特段好ましくは約5〜約25重量%である。上記含有量が約5%未満では、プランルカスト水和物の体内への吸収が速やかに行われないおそれがあり、一方、約55重量%を超えると、苦味が十分に低減できないおそれがあり、いずれも好ましくない。
【0057】
本発明製剤の形態が錠剤の場合、1錠中のプランルカスト水和物の含有量として好ましくは約30〜約225mg、より好ましくは約35〜約150mg、さらに好ましくは約40〜約112.5mgである。
【0058】
本発明の顆粒を小児に対して投与するには、ドライシロップの形態が好ましい。小児患者の体重1kg当たりの1日当たりのプランルカスト水和物の投与量としては、約2mg〜約10mgが好ましく、より好ましくは約5mg〜約8mgであり、さらに好ましくは約7mgである。また、体重12kg以上18kg未満の小児患者に対しては、プランルカスト水和物を1日当たり約50mg〜約100mg投与するのが好ましく、より好ましくは約50mgまたは約100mgである。体重18kg以上25kg未満の小児患者に対しては、プランルカスト水和物を1日当たり約70mg〜約140mg投与するのが好ましく、より好ましくは約70mgまたは約140mgである。体重25kg以上35kg未満の小児患者に対しては、プランルカスト水和物を1日当たり約100mg〜約200mg投与するのが好ましく、より好ましくは約100mgまたは約200mgである。体重35kg以上45kg未満の小児患者に対しては、プランルカスト水和物を1日当たり約140mg〜約280mg投与するのが好ましく、より好ましくは約140mgまたは約280mgである。
【0059】
本発明の顆粒をドライシロップとして用いる場合の一日当たりの投与量として好ましくは、約0.09〜約9.00gであり、より好ましくは約0.11〜9.00gであり、さらに好ましくは約0.14g〜約9.00gであり、特段好ましくは約0.20〜約9.00gである。なお、ドライシロップに含まれるプランルカスト水和物含量は約450mgを超えないことが好ましい。
【0060】
[医薬品への適用]
プランルカスト水和物は、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、メニエール症候群、偏頭痛、咳嗽、滲出性中耳炎、月経困難症等の種々の疾患等の予防および/または治療薬として有用である。
【0061】
プランルカスト水和物を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、プランルカスト水和物を約112.5〜約450mgの範囲で一日1回から数回経口投与される。
【0062】
なお、小児には通常、プランルカスト水和物を1日量約5〜約10mg/kgの範囲で経口投与される。
【0063】
もちろん前記したように、投与方法および投与量は種々の条件により変動するので、上記に限られず、上記以外の投与方法も用いることができ、また上記の投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を超えて投与の必要な場合もある。
【0064】
また、本発明の製剤の大きさは特に制限はなく、常識の範囲を超えない程度、例えば口腔内速崩錠においては口中に入れるために可能な大きさであればよく、プランルカスト水和物の配合量を考慮して決定される。また形状も特に制限はなく、例えば、一般的な円形錠や異形錠(例えば、カプレット錠、穴あき形錠等)であってもよい。
【0065】
[毒性]
本発明の医薬組成物、本発明の顆粒および本発明製剤の毒性は低く、医薬として使用するために十分に安全である。
【実施例】
【0066】
以下、実施例によって本発明を具体的に詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
実施例1
撹拌造粒機(VG−01型バーチカルグラニュレーター:パウレック(株)製)の容器内に平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物(60.0g)、マンニトール(メルク社製、209.3g、平均粒子径53.0μm、水分含有率約0.1重量%)、トウモロコシデンプン(日澱化学(株)製、21.0g)、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−L(日本曹達(株)製);9.0g)およびアスパルテーム(味の素(株)製、0.7g)を投入し、1分間混合後、精製水(53g)を混合物に対して添加し、プランルカスト水和物の湿性品を得た(ブレード回転速度:500rpm、チョッパー回転速度:2500rpm)。この湿性品を流動層造粒機(STREA:パウレック(株)製)を用いて、吸気温度80℃にて排気温度が45℃になるまで乾燥した。この乾燥品をふるい分け法により、300μm〜710μmの分画を回収し、プランルカスト水和物を含有する顆粒を得た(平均粒子径:453.9μm、嵩密度:0.550g/cm)。以下の表1に顆粒250mgあたりの組成を示す。
【0068】
【表1】

【0069】
実施例2
平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物の代わりに平均粒子径9.2μmのプランルカスト水和物を用い、精製水の量を53gから55gに変更したこと以外は、実施例1で示した操作と同じ操作をして、プランルカスト水和物を含有する顆粒(平均粒子径:430.2μm、嵩密度:0.541 g/cm)を得た。以下の表2に顆粒250mgあたりの組成を示す。
【0070】
【表2】

【0071】
<苦味官能試験1>
本発明の顆粒を用いて官能試験を行なった。
年齢25〜45歳の男女16人に、実施例1〜2で製造した顆粒を250mg、口腔内に水を含まない状態で含ませ、顆粒を30秒間、舌と上あごとで擦り付けた後に嚥下した際の苦味を評価した。苦味の評価基準(スコア)は以下の通りである。
0:苦味を全く感じない、1:苦味を知覚することができる、2:苦味をわずかに感じる
3:苦味を感じる、4:苦味を強く感じる
【0072】
以下の表3にそれぞれの顆粒の薬物(プランルカスト水和物)の平均粒子径(μm)、苦味スコア(平均値)、顆粒の平均粒子径(μm)および顆粒の嵩密度(g/cm)を示す。
【0073】
【表3】

【0074】
上記試験結果から、本発明者らは、以下の知見を得た。
表3より、実施例1、および2の製剤を比較すると、薬物の平均粒子径が2.9μmである実施例1の製剤の苦味スコアが1.13、薬物の平均粒子径が9.2μmである実施例2の製剤の苦味スコアが1.19と、薬物の平均粒子径が小さい方が相対的に低い苦味スコアを示した。このことから、苦味を改善することができる薬物の平均粒子径としては約1〜約15μmが好ましく、より好ましくは約1〜約10μmである。
【0075】
<薬物動態試験>
健常の成人に、食後、実施例1または2で製造した製剤(プランルカスト水和物の含量が225mgになるように調製した。)を水と共に経口投与し、血漿中薬物濃度を測定することにより、本発明製剤の特性が(1)最大の血漿中濃度に達する時間が経口投与後6時間以内であり、(2)最大の血漿中濃度が500ng/ml以上であり、(3)血漿中濃度が100ng/mlに達する時間が3時間以内であることを確認することができる。
【0076】
参考例1: N−[4−オキソ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−クロメン−8−イル]−4−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミド リチウム塩の製造
・粗リチウム塩の合成
プランルカスト水和物(1.96g)をメタノール(20mL)に懸濁後、水酸化リチウム(184mg)の水溶液(適量)を加えた。混合液を80℃で1時間撹拌した。混合液を熱時ろ過し、ろ液を室温まで放冷した。ろ液を濃縮し、残渣をトルエン−エタノールで共沸し、得られた固体を減圧乾燥した。
・再結晶
上記で得られた減圧乾燥後の固体(500mg)にエタノール/水(1/1)(10mL)を加え、70℃で加熱溶解した。溶液を熱時ろ過し、ろ液を40℃で2時間撹拌後、室温まで放冷した。析出した結晶をろ取した。結晶を室温で減圧乾燥後、さらに60℃で18時間、70℃で18時間減圧乾燥し、下記物性値を有する標題化合物(442mg)を得た。なお、プランルカスト水和物とは、N−[4−オキソ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−クロメン−8−イル]−4−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミド 1/2水和物であり、特開昭61−050977号明細書記載の方法に従って製造することができる。
(物性データ)
H NMR (300 MHz, DMSO−D6) : δ 1.76 (m, 4 H), 2.66 (t, J=7.0 Hz, 2 H), 4.12 (t, J=6.0 Hz, 2 H), 6.89 (s, 1 H), 7.10 (d, J=9.0 Hz, 2 H), 7.13−7.32 (m, 5 H), 7.48 (dd, J=8.1, 8.1 Hz, 1 H), 7.87 (dd, J=8.1, 1.6 Hz, 1 H), 8.03−8.13 (m, 3 H), 10.03 (s, 1 H)。
・Mass (FAB, Pos.) : 494 (M + 2Li), 488 (M + Li + H)
・元素分析:理論値(%)(C 66.53%, H 4.55%, N 14.37%(無溶媒和物))、観測値(%)(C 66.46%, H 4.52%, N 14.25%)。
・TG(熱分析)測定:室温で18時間減圧乾燥した標題化合物の場合、40〜80℃で6.7%重量が減少し、70℃で18時間減圧乾燥した標題化合物の場合、250℃付近まで重量減少は生じなかった。元素分析および熱分析結果から、得られたリチウム塩は無水物であると判断した。
【0077】
参考例2: N−[4−オキソ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−クロメン−8−イル]−4−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミド ナトリウム塩 1水和物の製造
・粗ナトリウム塩の合成
プランルカスト水和物(1.96g)をメタノール(20mL)に懸濁後、2N水酸化ナトリウム水溶液(2.2mL)を加えた。混合液を80℃で1時間撹拌した。混合液を熱時ろ過し、ろ液を室温まで放冷した。ろ液を濃縮し、得られた固体を減圧乾燥した。
・再結晶
上記で得られた減圧乾燥後の固体を参考例1と同様の方法によって再結晶することにより、下記物性値を有する標題化合物(390mg)を得た。
(物性データ)
H NMR (300 MHz, DMSO−D6) : δ 1.76 (m, 4 H), 2.66 (t, J=7.0 Hz, 2 H), 4.12 (t, J=5.7 Hz, 2 H), 6.89 (s, 1 H), 7.10 (d, J=9.0 Hz, 2 H), 7.13−7.32 (m, 5 H), 7.48 (dd, J=8.0, 8.0 Hz, 1 H), 7.89 (dd, J=8.0, 1.6 Hz, 1 H), 8.03−8.13 (m, 3 H), 10.04 (s, 1 H)。
・Mass (FAB, Pos.) : 526 (M + 2Na), 504 (M + Na + H)
・元素分析:理論値(%)(C 62.18%, H 4.64%, N 13.43%(1水和物))、観測値(%)(C 61.14%, H 4.84%, N 13.05%)。
・TG(熱分析)測定:60℃で18時間減圧乾燥した標題化合物の場合、30〜80℃で8.5%重量が減少し、100〜140℃で2.7%重量が減少した。70℃で18時間減圧乾燥した標題化合物の場合、30〜80℃で0.3%重量が減少し、100〜140℃で2.8%重量が減少した。元素分析及び 熱分析結果から得られたナトリウム塩は1水和物であると判断した。
【0078】
参考例3: N−[4−オキソ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−クロメン−8−イル]−4−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミド カリウム塩の製造
・粗カリウム塩の合成
水酸化ナトリウムの代わりに水酸化カリウムを用いて、参考例2の粗ナトリウム塩の合成と同様の操作に付すことにより、固体(粗カリウム塩)を得た。
・再結晶
上記で得られた減圧乾燥後の固体(500mg)にエタノール/水(1/1)(20mL)を加え、70℃で15分加熱撹拌した。溶液を熱時ろ過した後、ろ液を室温まで放冷した後、4℃にて静置した。次いで、ろ液を約5mLまで濃縮後、室温で2日間放置した。得られた固体を室温で減圧乾燥後、60℃で18時間、70℃で18時間減圧乾燥し、下記物性値を有する標題化合物を得た。
(物性データ)
H NMR (300 MHz, DMSO−D6) : δ1.76 (s, 4 H), 2.66 (t, J=6.9 Hz, 2 H), 4.11 (dd, J=5.4 Hz, 2 H), 6.89 (s, 1 H), 7.10 (d, J=9.0 Hz, 2 H), 7.13−7.32 (m, 5 H), 7.48 (dd, J=7.9, 7.9 Hz, 1 H), 7.87 (dd, J=7.9, 1.6 Hz, 1 H), 8.02−8.13 (m, 3 H) 10.04 (s, 1 H)。
・Mass (FAB, Pos.) : 558 (M + 2K), 520 (M + K + H)
・元素分析: 元素分析:理論値(%)(C 62.41%, H 4.27%, N 13.48%(無溶媒和物)、観測値(%)(C 61.18%, H 4.91%, N 13.22%)。
・TG(熱測定):60℃および70℃で18時間減圧乾燥した標題化合物をそれぞれ測定した結果 、得られた結晶は水和物と考えられたが結晶水の数については未定。
【0079】
参考例4: N−[4−オキソ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−クロメン−8−イル]−4−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミド 1/2カルシウム塩の製造
・粗1/2カルシウム塩の合成
プランルカスト水和物(0.98g)をメタノール(20mL)に懸濁後、水酸化カルシウム(81mg)の水懸濁液を加え、混合液を80℃で1時間撹拌した。混合液を熱時ろ過し、ろ液を室温まで放冷した。ろ液を濃縮し、固体を得た。
・再結晶
上記で得られた固体(500mg)にエタノール/水(1/1)(90mL)を加え、90℃で30分加熱撹拌した。混合溶液を熱時ろ過した後、ろ液を室温まで放冷した後、4℃にて静置した。析出した固体をろ取し、室温で減圧乾燥後、60℃で18時間、70℃で18時間減圧乾燥し、下記物性値を有する標題化合物を得た。
(物性データ)
H NMR (300 MHz, DMSO−D6) : δ 1.76 (m, 4 H), 2.66 (t, J=6.9 Hz, 2 H), 4.11 (t, J=5.7 Hz, 2 H), 6.89 (s, 1 H) 7.10 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 7.13−7.32 (m, 5 H), 7.48 (dd, J=7.9, 7.9 Hz, 1 H) 7.87 (dd, J=7.9, 1.1 Hz, 1 H) 8.02−8.13 (m, 3 H) 10.03 (s, 1 H)。
・Mass (FAB, Pos.) : 1001 (2M + Ca + H), 520 (M + Ca)
・元素分析:理論値(%)(C 64.79%, H 4.43%, N 13.99%(無溶媒和物)、観測値(%)(C 64.49%, H 4.32%, N 13.89%)。
・TG(熱分析)測定:60℃で18時間減圧乾燥した標題化合物の場合、30〜80℃で0.5%重量が減少した。70℃で18時間減圧乾燥した標題化合物の場合、260℃付近まで重量減少は生じなかった。元素分析および熱分析結果から、得られた標題化合物は無水物であると判断した。
【0080】
参考例5: N−[4−オキソ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−クロメン−8−イル]−4−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミド 1/2バリウム塩 1/2水和物の製造
・粗1/2バリウム塩の合成
プランルカスト水和物(4.4g)をメタノール(40mL)に懸濁し、これに水酸化バリウム(768mg)の水懸濁液を加え、混合液を80℃で1時間撹拌した。懸濁液をそのまま室温まで放冷し、固体をろ取した。
・再結晶
上記で得られた固体(500mg)にエタノール/水(1/1)を70℃にて除々に加えた(合計100mL)。混合溶液を90℃で15分加熱撹拌した。混合溶液を熱時ろ過した後、ろ液を室温まで放冷し、4℃にて静置した。析出した固体をろ取し、室温で減圧乾燥後、60℃で18時間、70℃で18時間減圧乾燥し、下記物性値を有する標題化合物を得た。
(物性データ)
H NMR (300 MHz, DMSO−D6) : δ 1.76 (m, 4 H), 2.66 (t, J=7.0 Hz, 2 H), 4.11 (t, J=5.4 Hz, 2 H), 6.89 (s, 1 H), 7.10 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.13−7.32 (m, 5 H), 7.48 (dd, J=7.9, 7.9 Hz, 1 H), 7.87 (dd, J=7.9, 1.6 Hz, 1 H), 8.02−8.13 (m, 3 H) 10.05 (s, 1 H)。
・Mass (FAB, Pos.) : 1099 (2M + Ba + 2H), 618 (M + Ba + H)
・元素分析:理論値(%)(C 58.10%, H 4.15%, N 12.55%(1/2水和物))、観測値(%)(C 58.04%, H 4.19%, N 12.71%)。
・TG(熱分析)測定:60℃で18時間減圧乾燥した標題化合物の場合、30〜110℃で1.7%重量が減少した。70℃で18時間減圧乾燥した標題化合物の場合、30〜110℃で1.7%重量が減少し、元素分析および熱分析結果から、得られた1/2バリウム塩は1/2水和物 であると判断した。
【0081】
参考例6: N−[4−オキソ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−クロメン−8−イル]−4−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミド リジン塩 2水和物の製造
・粗リジン塩の合成
プランルカスト水和物(0.98g)をメタノール(10mL)に懸濁し、これに−リジン(321mg)の水(1mL)溶液を加え、混合液を80℃にて1時間撹拌した。懸濁液をそのまま室温まで放冷し、メタノールで希釈したのち固体をろ取し、乾燥した。
・再結晶
上記で得られた乾燥後の固体(500mg)にエタノール/水(1/1)(10mL)を加え、90℃にて15分加熱撹拌した。混合溶液を熱時ろ過した後、ろ液を室温まで放冷し、4℃にて静置した。析出した固体をろ取し、室温で減圧乾燥後、60℃で18時間、70℃で18時間減圧乾燥し、下記物性値を有する標題化合物を得た。
(物性データ)
H NMR (300 MHz, DMSO−D6) : δ 1.25−1.90 (m, 10 H), 2.66 (t, J=7.0 Hz, 2 H), 2.74 (t, J=7.2 Hz, 2 H), 3.20 (t, J=6.0 Hz, 1 H), 4.11 (t, J=5.4 Hz, 2 H), 6.89 (s, 1 H), 7.10 (d, J=9.0 Hz, 2 H), 7.13−7.32 (m, 5 H), 7.48 (dd, J=7.9, 7.9 Hz, 1 H), 7.52−8.20 (m, 10 H), 10.07 (s, 1 H)。
・Mass (FAB, Pos.): 628 (M + Lys + H)
・元素分析:理論値(%)(C 63.15%, H 5.94%, N 15.62%(無溶媒和物))、理論値(%)(C 59.72%, H 6.23%, N 14.77%(二水和物))、観測値(%)(C 60.54%, H 6.34%, N 15.05%)。
・TG(熱分析)測定:室温で18時間減圧乾燥した標題化合物の場合、30〜110℃で4.9%重量が減少した。60℃で18時間減圧乾燥した標題化合物の場合、30〜110℃で4.2%重量が減少した。元素分析および熱分析結果から、得られたリジン塩は2水和物であると判断した。
【0082】
参考例7: N−[4−オキソ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−クロメン−8−イル]−4−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミド アルギニン塩 1水和物の製造
・粗アルギニン塩の合成
L−リジンの代わりにアルギニンを用いて、参考例6の粗リジン塩の合成と同様の操作に付すことにより、固体(粗アルギニン塩)を得た。
・再結晶
上記で得られた乾燥後の固体(500mg)にエタノール/水(1/1)(30mL)を加え、90℃で15分加熱撹拌した。混合溶液をキリヤマロートで熱時ろ過した後、ろ液を室温まで放冷した後、4℃にて静置した。スパーテルを用いてトリチュレートし後、さらに4℃にて1時間放置した。析出した固体をろ取し、室温で乾燥後、60℃で18時間、70℃で18時間減圧乾燥し、下記物性値を有する標題化合物を得た。
(物性データ)
H NMR (300 MHz, DMSO−D6) : δ 1.45−1.85 (m, 8 H), 2.66 (t, J=7.0 Hz, 2 H), 3.08 (m, 2 H), 3.25−3.35 (m, 1 H), 4.11 (t, J=5.4 Hz, 2 H), 6.89 (s, 1 H), 7.10 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.13−7.32 (m, 5 H), 7.32−7.91 (m, 9 H), 8.02−8.14 (m, 3 H), 8.94 (br s, 1 H) 10.07 (s, 1 H)。
・Mass (FAB, Pos.) : 656 (M + Arg + H)
・元素分析:理論値(%)(C 58.83%, H 5.83%, N 18.71% (一水和物)、観測値(%)(C 58.51%, H 5.89%, N 18.62%)。
・TG(熱分析)測定:室温で18時間減圧乾燥した標題化合物の場合、30〜110℃で2.9%重量が減少した。60℃で18時間減圧乾燥した標題化合物の場合、30〜110℃で2.0%重量が減少した。元素分析および熱分析結果から、得られたリジン塩は1水和物であると判断した。
【0083】
<溶解度の測定>
(方法)
参考例1〜7で製造した化合物を試験管に約2mg測りとり、精製水(2mL)を加え、37℃にて30分間攪拌した。懸濁液をフィルターでろ過した。ろ液のアセトニトリル2倍希釈液10μLをHPLCにて分析した(HPLC条件は以下に示す。)。溶解度の結果を以下の表4に示す。
(HPLC条件)
・移動相:20mM KHPO (pH 3.0) /CHCN = 55/45
・UV:258nm
・流速:1.0ml/min.
・カラム:YMC−Pack J sphere ODS−H80 JH−302 JH08S04−1546WT,150*4.6mm I.D. S−4μm, 8nm No.041580293(W)
・装置:1F607 HITACHI HPLC system (LaChrom Elite, EZChrom EliteTM
・注入量:10μl
【0084】
【表4】

【0085】
上記結果より、参考例1〜3および参考例6〜7で製造した塩については、プランルカスト水和物に比して溶解度が向上した。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の顆粒または本発明製剤は、プランルカスト水和物の苦味が低減され、またプランルカスト水和物の体内への吸収が良好であるため、服用コンプライアンスが向上した製剤を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が1〜15μmであるプランルカスト水和物と、平均粒子径が5〜150μm、水分含有率が0.05〜6重量%である糖類とを含有する医薬組成物であって、プランルカスト水和物が225mg含まれる単位投与量を経口投与したときに以下の(1)〜(3)のうちの1つ以上の特性を示し、かつプランルカスト水和物の苦味が低減されていることを特徴とする医薬組成物;
(1)最大の血漿中濃度に達する時間が経口投与後6時間以内である。
(2)最大の血漿中濃度が500ng/ml以上である。
(3)血漿中濃度が100ng/mlに達する時間が3時間以内である。
【請求項2】
糖類がマンニトール、白糖および乳糖から選ばれる1種以上である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
さらにヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上の水溶性高分子またはポリエチレングリコールを含有する請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の医薬組成物からなる顆粒。
【請求項5】
請求項3に記載の医薬組成物を含有するカプセル剤。
【請求項6】
顆粒を100重量%として、プランルカスト水和物を5〜55重量%含有し、嵩密度が0.35〜0.70g/cmである請求項4記載の顆粒。
【請求項7】
ヒト苦味官能試験によるスコア値が0〜2である請求項4または6記載の顆粒。

【公開番号】特開2008−94751(P2008−94751A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277752(P2006−277752)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】