説明

プリオン病の検出方法及び診断キット

【課題】プリオン病の早期発症を確認することができ、早期において生前診断を行うことが可能な、プリオン病の検出方法及び診断キットを提供する。
【解決手段】前記検出方法では、哺乳動物の生体由来の被検試料中の抗グリア繊維酸性タンパク質(GFAP)抗体又はGFAPを分析する。前記診断キットは、GFAP若しくはその抗原断片、又は抗GFAP抗体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物におけるプリオン病の検出方法及び診断キットに関する。
【背景技術】
【0002】
プリオン病は散発性、伝染性または一部は遺伝性であり、ヒトや多種の動物が罹患する進行性神経変性疾患である。神経細胞に多く発現しているプリオンタンパク質が不溶化凝集し、神経組織内に蓄積することが主な要因となり、アポトーシスを誘発するなど神経細胞の破壊につながることで死に至るとされる。異常化したプリオンタンパク質が感染源であるとされ、核酸を含まない唯一の感染病原体である。しかし、凝集したプリオンタンパク質がどのような機序で神経細胞に障害を及ぼすかは知られていない。
【0003】
一方、プリオン病の中でも、ウシ海綿状脳症(BSE)は経済的にも社会にも与える影響は大きい。1972年にイギリスでウシがBSEを発症して以来、現在までの発症頭数は184万頭を超えたと言われている。また、それまで主に老人に限定されていたヒトのプリオン病であるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)が20代の若者で多数発症し、これまでにない変異型CJDとしてBSEの大量発生との関連性があるのではないかと疑われている。ウシから生産される肉や乳などは、食品や工業製品の原材料になるため、安全な食料供給を行う上で、BSEに疑われるウシを生前の段階で排除できることが求められている。
【0004】
生前診断を可能にするためには、BSE感染後の血液中に現われる成分を特定して検出することができれば有効である。1982年にAokiらはプリオン病血清中にニューロフィラメントに対する自己抗体を検出している(非特許文献1)。また、1985年には、TohらはKuruやCJD、その他の神経疾患の血清中に高率でニューロフィラメント(200kDa、150kDa、70kDa)に対する自己抗体を検出(55〜78%)している。しかしながら、健康人の血清中にも28〜67%認められており、この結果だけではプリオン病の血清診断に有効であるとは言えなかった(非特許文献2及び3)。
【0005】
中枢神経系を構成する細胞には、神経細胞とともにグリア細胞がある。一般に、グリア細胞は、アストロサイト(星状膠細胞)、オリゴデンドロサイト(乏突起膠細胞)およびミクログリアの3つのタイプに分類される。その中でも最も数の多いアストロサイトは、神経細胞のシナプス伝達過程において、シナプス間隙から漏出した神経伝達物質の取り込み、並びにシナプスにおける細胞外イオン濃度の調節などを行っていることが知られている。さらに、アストロサイトは、神経系の構築、血液脳関門の形成などの重要な役割を担っている。このアストロサイトには、特異的に発現するグリア繊維酸性タンパク質(glial fibrillary acidic protein;GFAP)が存在する。このGFAPは神経細胞の強度を支える中間径フィラメントタンパク質である。自然に感染したスクレイピーヒツジや実験的に感染させたマウスの脳内でアストロサイトが活性化しGFAPが過剰発現されていることが多くの研究者によって示されている(例えば、非特許文献4など)。また、異常プリオンがスクレイピーマウス脳内のアストロサイトに多く蓄積されていることもわかっている(非特許文献5)。また、2006年、Gray等はスクレイピー感染マウスの海馬組織中にGFAPの分解したフラグメントが蓄積していることを見出している(非特許文献6)。
【0006】
プリオン病の診断方法として、尿中から異常なイソ型プリオンタンパク質の存在を検出する方法(特許文献1)やプリオンを特異的な抗体と複合体を形成させることで診断を行う方法(特許文献2)などが知られている。また、プリオンを直接検出させるのではなく、プリオン病の影響により組織が変性し、そこから血液などへ漏出する生体成分を検出することによって診断を行う方法などがある。例えば、抗Fas抗体により診断する方法が知られている(特許文献3)。
【0007】
【特許文献1】特表2004−511809公報
【特許文献2】特開2004−340924公報
【特許文献3】特開2006−38536公報
【非特許文献1】「インフェクション・アンド・イムニティ(Infection and Immunity)」、(米国)、1982年、第38巻、p. 316-324、Aoki, T., Gibbs, C. J., Jr., Sotelo, J. and Gajdusek, D. C.、Heterogeneic Autoantibody Against Neurofilament Protein in the Sera of Animals with Experimental kuru and Creutzfeldt-Jakob Disease and Natural Scrapie Infection.
【非特許文献2】「プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイティッド・ステート・オブ・アメリカ(Proceedings of the national academy of sciences of the United States of America)」、(米国)、1985年、第82巻、p. 3485-3489、Toh, B. H., Gibbs, C. J., Jr., Gajdusek, D. C., Goudsmit, J. and Dahl, D.、The 200- and 150-kDa neurofilament proteins react with IgG autoantibodies from patients with kuru, Creutzfeldt-Jakob disease, and other neurologic disease.
【非特許文献3】「プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイティッド・ステート・オブ・アメリカ(Proceedings of the national academy of sciences of the United States of America)」、(米国)、1985年、第82巻、p. 3894-3896、Toh, B. H., Gibbs, C. J., Jr., Gajdusek, D. C., David, D. T. and Dahl, D.、The 200- and 150-kDa neurofilament proteins react with IgG autoantibodies from chimpanzees with kuru or Creutzfeldt-Jakob disease; a 62kDa neurofilament-associated protein reacts with sera from sheep with natural scrapie.
【非特許文献4】「フランス科学アカデミー紀要(Comptes Rendus de P Accademie des Sciences (Paris))」、(仏国)、1981年、第293巻、p. 53-56、Dormont,D., Delpech,B., Delpech,A., Courcel,M. N., Viret,J., Markovits,P. and Court,L.、Hyperproduction de protein gliofibrillaire acide (GFAP) au cours de l’evolution de la tremblante experimentale de la souris.
【非特許文献5】「プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイティッド・ステート・オブ・アメリカ(Proceedings of the national academy of sciences of the United States of America)」、(米国)、1991年、第88巻、p. 375-379、Diedrich, J. F., Bendheim, P. E., Kim, Y. S., Carp, R. I. and Haase, A. T.、Scrapie-associated prion protein accumulates in astrocytes during scrapie infection.
【非特許文献6】「バイオケミカル・ソサイティー・トランスアクションズ(Biochemical Society Transactions)」、(英国)、2006年、第34巻、p. 51-54、Gray, B. C., Skippt, P., O’Connor, V.M. and Perry V. H.、Increased expression of glial fibrillary acidic protein fragments and μ-calpain activation within the hippocampus of prion-infected mice.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、プリオン病の発症を早期に且つ生前の状態で診断する方法については、必ずしも充分な方法であったとは言えない。そのため、最終的には脳生検あるいは剖検時の脳病理検査による確定診断を行っている。従って、生前の段階でプリオン病に罹患した哺乳動物を容易に見付け出せる実用性の高いプリオン病の生前診断方法の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、プリオン病に対する生前診断を可能にするため、鋭意検討した結果、抗GFAP抗体を検出することによって、プリオン病の罹患を診断するためのキット及び検出方法を見出したものである。また、本発明は、プリオン病を発症した哺乳動物の血液中のGFAPを検出することによっても、プリオン病の罹患を診断することのできるキット及び検出方法を見出したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1]哺乳動物の生体由来の被検試料中の抗グリア繊維酸性タンパク質抗体又はグリア繊維酸性タンパク質を分析することを特徴とする、プリオン病の検出方法、
[2]被検試料が血液由来試料である、[1]の検出方法、
[3]グリア繊維酸性タンパク質若しくはその抗原断片、又は抗グリア繊維酸性タンパク質抗体を含むことを特徴とする、プリオン病の診断キット
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプリオン病の診断キット又は検出方法により、プリオン病の早期発症を確認することができ、早期において生前診断を行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の検出方法は、プリオン病に発症した哺乳動物の生体成分中に出現するGFAP(glial fibrillary acidic protein)に対する抗GFAP抗体、あるいは、GFAPを分析することによりプリオン病の発症を診断する方法である。また、本発明の診断キットは、プリオン病の診断用マーカーとなる生体成分中の抗GFAP抗体又はGFAPを検出できるものであり、GFAP若しくはその抗原断片、又は抗GFAP抗体を含む。
【0013】
本明細書において、「分析」とは、分析対象物(例えば、抗GFAP抗体又はGFAP)の存在の有無を判定する「検出」と、分析対象物の量(濃度)を定量的又は半定量的に決定する「測定」とが含まれる。前記哺乳動物には、例えば、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、シカ、オオジカ、ミンク、ブタ、サル、マウス、ラット、ハムスター、ネコ、ウサギなどが包含される。
【0014】
本明細書において、プリオン病とは、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ウシ海綿状脳症(BSE)、スクレイピー、鹿慢性消耗性疾患(CWD)、伝達性ミンク脳症(TME)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー(Gerstmann−Straussler−Scheinker)症候群、致死性家族性不眠症を意味する。
【0015】
本発明で用いることのできる被検試料は、診断対象哺乳動物(生前又は死後を問わないが、生前であることが好ましい)から採取して生体外に取り出した生体由来試料又はその処理物である限り、特に限定されるものではないが、例えば、生体液(例えば、血液、血漿、血清、尿、骨髄液、唾液、涙)、細胞又は組織破砕液などを挙げることができ、血液、血漿、血清、尿、唾液、涙が好ましい。
【0016】
本発明で分析するGFAPは、神経細胞と共に中枢神経系を構成するグリア細胞の1つであるアストロサイト(星状膠細胞)に、正常状態において、特異的に発現している中間径フィラメントタンパク質(分子量約50kDa)である。
【0017】
本発明においては、抗GFAP抗体が被検試料(特には血液中)中に検出された場合に、あるいは、健常個体の正常値範囲と比べて、高値を示す場合に、プリオン病であると判定することができる。また、本発明においては、GFAPが被検試料中に検出された場合に、あるいは、健常個体の正常値範囲と比べて、高値を示す場合に、プリオン病であると判定することができる。健常個体の正常値範囲は、診断対象動物の種類などにより変動するが、当業者であれば、予め健常個体の値を測定し、統計的処理を行うことにより、正常値範囲及び/又は閾値を容易に決定することができる。
【0018】
本発明における診断用マーカーの存否の検出あるいはその量の測定は、公知の方法(例えば、抗原抗体反応を利用した方法)によって行うことができる。以下、抗原であるGFAPを用いて、診断用マーカーの1つである抗GFAP抗体を分析する態様に基づいて、本発明の具体的な分析手法について説明するが、当業者であれば、同様にして、抗GFAP抗体を用いて、診断用マーカーの1つであるGFAPを分析できることは容易に理解できるであろう。抗原抗体反応を利用した公知方法としては、例えば、免疫学的測定法、質量分析法、電気泳動法、液体クロマトグラフィー(LC)法などが挙げられ、一般的にはこれらの方法を組み合わせて用いることができる。その中でも、最も適しているのは、免疫学的測定法と電気泳動法とを組み合わせて用いることである。
【0019】
本発明で検出する抗GFAP抗体は、生体成分中の抗原であるGFAP又はその抗原断片との抗原抗体反応に基づく免疫学的測定法により測定することができる。本明細書において「GFAPの抗原断片」とは、GFAPの断片であって、抗GFAP抗体と反応可能な前記断片を意味する。免疫学的測定法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、酵素免疫測定法(EIA法)、免疫比濁測定法(TIA法)、ラテックス免疫凝集法(LATEX法)、電気化学発光法、蛍光法などが挙げられる。この場合、定量解析に適しているものとしてはELISA法が挙げられる。また、ウエスタンブロット法等により得られる画像など、画像解析ソフトウェア等を用いて定量解析を行う方法も一般的な技術であり、本発明の解析にも用いることができる。
【0020】
酵素免疫測定法(EIA法)は、測定原理から競合的結合によるものと非競合的結合によるものに大別される。競合的結合によるものとは、一定量の抗体に対して標識物質と非標識物質とが競合的に結合することを利用して測定する方法である。また、非競合的結合によるものとは、充分量の固定抗体に対して測定対象物質が結合し、それを標識した抗体で認識させる、いわゆるサンドイッチ結合により測定する方法である。
【0021】
標識物質としては、酵素、発光物質、蛍光物質などが挙げられる。さらに発光物質では、化学発光や生物発光などに分けられる。
酵素の標識物質としては、β−グルクロニダーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼなどが用いられる。これらの酵素に過酸化水素などの酸化剤や至適pHで酵素反応を行えるようpH緩衝液を適宜加えることができる。さらに、ビオチン、2、4−ジニトロフェノール等の発色の標識物質を用いることができる。また、発光物質の標識物質としては、タンパク質やペプチドなどに結合や吸着し、化学反応により、化学発光の標識物質自体が励起されることで化学発光により検出できれば、いかなる化学発光の標識物質であってもよい。化学発光の標識物質としては、2,4,5トリフェニルイミダゾール、3−メチルインドール、テトラキスエチレン等の他、ベンゾペリレン−1,2−ジカルボン酸ヒドラジドやイソルミノールのN−アルキル誘導体のようなルミノール誘導体、アクリジニウム塩やルシゲニンのようなアクリジン系化合物、3−(2′−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3”−ホスホリルオキシ)フェニル−1,2−ジオキセタンのようなアダマンチル−1,2−ジオキセタン誘導体などを用いることができる。生物発光の標識物質としては、ホタルやウミホタルなどが持っているルシフェリンを用いることができる。
【0022】
蛍光物質の標識物質は、紫外線を照射すると蛍光を発する物質をいう。フルオレセイン、アクリジン、キノリン、クマリン、レゾルフィンなどの芳香族複素環化合物や、ナフタレン、アントラセン、ペリレン、ピレンなどの多環芳香族化合物、アントラニル酸、ニトロベンゾフラン、スチルベンなどの発蛍光団となる化合物などを用いることができる。上記の標識物質は互いに組合せて使用することができる。
また、検出方法の1つとして染色による方法もある。一般的なクマシーブリリアントブルー(CBB)染色や銀染色を用いることができる。
【0023】
抗原のGFAPを生体成分から分離する方法として、電気泳動法が挙げられる。ポリアクリルアミドゲル電気泳動法や二次元電気泳動法などが挙げられる。その中で最もよく用いられるのが二次元電気泳動法である。具体的には、等電点電気泳動(一次元目)で分離し、次にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(二次元目)で分離する。二次元電気泳動法の一次元目では、タンパク質の等電点を利用して分離する(等電点電気泳動)。タンパク質は両性分子であるが、溶媒のpHにより荷電状態が変化し、その変化もタンパク質の種類によって異なることから、タンパク質同士を分離することができる。この等電点電気泳動ではpH勾配のあるゲルを使用することで等電点の違いによりタンパク質を分離することができる。使用できるゲルとしては、例えば、固定化pH勾配(Immobilized pH Gradient)ゲルが挙げられる。このIPGゲルには商品名Immobiline DryStrip[GEヘルスケア バイオサイエンス(株)製]が使用できる。これは乾燥されたプレキャストゲルであるから、サンプルの性状に合わせて溶液の組成を変え、ゲルを膨潤させた後、使用する必要がある。膨潤液としては、尿素、チオ尿素などの変性剤、ジチオスレイトール(DTT)などの還元剤、CHAPS(3-[(3-cholamido-propyl)dimethyl-ammonio]-1-propane sulfonate)などの界面活性剤を含む溶液を使用することができる。等電点電気泳動ではゲルの支持体として、一般的にアガロースやアクリルアミドを使用することができる。
【0024】
二次元電気泳動法の二次元目では、SDS−PAGEを用いて、分子量の違いによってタンパク質を分離できる。一次元目の電気泳動が終了したImmobiline DryStrip[GEヘルスケア バイオサイエンス(株)製]をSDSで平衡化処理した後、二次元目の泳動を行う。このSDS平衡化処理によってIPGゲル中のタンパク質は、還元・アルキル化されることではっきりしたスポットに分離できる。
【0025】
本発明において検出する抗GFAP抗体としては、哺乳動物のGFAPに対する抗体であれば、特に限定されない。その中でも好ましくは、分子量約50kDaの抗GFAP抗体である。
抗GFAP抗体を検出する方法としては、上記方法で調製したGFAPを抗原として、ウエスタンブロット法やELISA法を挙げることができる。
また、本発明では、抗原のGFAPとして、ウシGFAP(配列番号1)、ヒトGFAP(配列番号2)、マウスGFAP(配列番号3)、ラットGFAP(配列番号4)、ヒツジGFAP(配列番号5;部分配列)、ゼブラフィッシュGFAP(配列番号6)などを用いることができる。これらの動物以外の哺乳動物を診断する場合にも、後記する方法でクローニングにより調製した各種のGFAPを酵素免疫測定用の抗原として用いることができる。
【0026】
上記酵素免疫測定用に使用できる抗体としては、既に汎用されている方法により作製されるポリクローナルやモノクローナル抗体が挙げられる。これらの抗体は、例えば、脳ホモジネートから精製したGFAPを抗原として使用することにより得ることができる。これらのタンパク質は、血液から精製して入手してもよいが、公知のペプチド合成技術を用い、化学合成して入手してもよい。また、培養細胞などから産生したタンパク質も抗原として用いることができる。さらに、遺伝子工学的に作製された完全長の組換えタンパク質、それらの変異体、それらの一部分を用いることも利用できる。
モノクローナル抗体は、上記のような種々の抗原、すなわち、マーカーとなるタンパク質などを免疫原として動物を免疫し、その脾臓等に由来する抗体産生細胞と骨髄腫瘍細胞とを融合させることにより得られるハイブリドーマによって産生されることもできる。
【0027】
ハイブリドーマは以下の方法によって得ることができる。すなわち、上記のようにして得られた抗原、すなわち、マーカーとなるタンパク質をフロイントの完全、不完全アジュバント、水酸化アルミニウムアジュバント、百日咳アジュバント等の公知のものを用いてともに混和し、感作用アジュバント液を作製して数回に分けてマウス、ラット等の動物に1〜3週間おきに腹腔内皮下または尾静脈投与することによって免疫する。感作抗原量は通常1μg〜100mgの間とされているが、一般的には50μg程度が好ましい。免疫回数は2〜7回が一般的であるがさまざまな方法が知られている。次いで脾臓等に由来する抗体産生細胞と骨髄腫瘍細胞(ミエローマ細胞)等を試験管内で融合する。融合法としては例えば公知の方法であるケーラーとミルスタインの定法(Nature.256,495.1975)によってポリエチレングリコール(PEG)を用いることで融合できる。センダイウィルス、電気融合法によっても融合を行うことができる。
【0028】
融合した細胞からマーカーとなるGFAPを認識する抗体を産生するハイブリドーマを選択する方法としては以下のようにして行うことができる。すなわち、融合した細胞から限界希釈法によってHAT培地及びHT培地で生存している細胞により作られるコロニーからハイブリドーマを選択する。96穴ウェルなどにまかれた融合細胞からできたコロニー培養上清中にマーカーとなるタンパク質に対する抗体が含まれている場合には、マーカーとなるタンパク質をプレート上に固定化したアッセイプレート上に上清をのせ、反応後に抗マウスイムノグロブリン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識抗体等、2次標識抗体を反応させるELISA法により、マーカーとなるタンパク質に対するモノクローナル抗体産生クローンを選択できる。標識抗体の標識物質にはHRPの他、アルカリ性ホスファターゼなどの酵素、蛍光物質、放射性物質等を用いることができる。また、コントロールとしてブロッキング剤であるウシ血清アルブミン(BSA)のみを結合したアッセイプレートによるELISAを同時に行うことでマーカーとなるタンパク質それぞれに対する特異的抗体のスクリーニングができることになる。すなわち、マーカーとなるタンパク質プレートのいずれかで陽性であり、BSAによるELISA法で陰性のクローンを選択することができる。
【0029】
ハイブリドーマは通常細胞培養に用いられる培地、例えば、α−MEM、RPMI1640、ASF、S−クローン(S-clone)などで培養し、その培養上清よりモノクローナル抗体を回収することができる。ハイブリドーマが由来する動物、ヌードマウスをあらかじめプリスタン処理しておき、その動物に細胞を腹腔内注射することによって腹水を貯留させ、その腹水からモノクローナル抗体を回収することもできる。上清、腹水よりモノクローナル抗体を回収する方法としては、通常の方法を用いることができる。例えば、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムなどによる塩析法やクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、プロテインAなどによるアフィニティークロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0030】
上記方法によって精製されたモノクローナル抗体によって血清中のタンパク質を精密に測定することができる。EIA法で血清中のタンパク質を測定する方法としては、公知のものを用いることができる。抗体として、マーカーとなるタンパク質に対する1種または複数のモノクローナル抗体を用いることにより行うことができる。より具体的には、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ナイロン、ポリメタクリレートなどの公知の方法である固相に直接または間接的に物理結合や化学結合、アフィニティーを利用してマーカーとなるタンパク質に対するモノクローナル抗体を結合させることができる。感作抗体量は通常1ng〜100mg/mLの範囲で用いることができる。物理結合や化学結合、アフィニティーなどによって固相に結合したモノクローナル抗体に検体を加えて反応させる。一定時間反応させた後、固相を洗浄し対応する二次標識抗体を加えて更に2次反応させる。固相を再度洗浄し、DAB発色基質などを加え反応させる。標識物質にHRPを用いた場合、基質には既知のDAB、TMBなどを用いることができ、標識物質はこれに限定されるものではない。例えば酵素だけではなく、金コロイド、ユーロピウムなどの標識金属やFITC(fluorescein isothiocyanate)、ローダミン、テキサスレッド(Texas Red)、アレクサ(Alexa)、GFP(green fluorescent protein)などの化学的、生物的各種蛍光物質、32P、51Crなどの放射性物質など識別可能な物質が挙げられる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明について、実施例を示して更に詳しく説明するが、これによって、本発明が限定されるものではない。
【0032】
《実施例1》
(1)試料調製
マウス小脳(大脳以外)にリン酸緩衝化生理食塩水(PBS;pH7.0)を加え、マイクロチューブホモジナイザー(Kenis製)によりホモジネートを調製した。このホモジネートをプロテオエクストラクト(商標)の細胞分画キット(Subcellular Proteome Extraction Kit (S-PEK;MERCK製)により細胞分画し、各フラクションを得た。
【0033】
(2)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)
上記各フラクションのタンパク質溶液を各23μg/レーンでポリアクリルアミドゲルにアプライした。下記の試薬を用い、レムリ(Laemmli)法によりSDS−PAGEを行った。その結果、細胞質画分(レーン1)、細胞膜・細胞小器官画分(レーン2)、核画分(レーン3)、細胞骨格画分(レーン4)のタンパク質が泳動された。
【0034】
[試薬]
1.SDS−PAGE用緩衝液:250mmol/L トリスヒドロキシメチルアミノメタン−塩酸(Tris−HCl)、25%グリセリン、0.01%ブロムフェノールブルー(BPB)
2.膨潤用溶液:1.5mol/L Tris−HCl(pH8.8)、8mol/L尿素、4% CHAPS、18mmol/L DTT、0.5%IPG緩衝液
3.SDS平衡化用緩衝液1:終濃度50mmol/L 1.5mol/L Tris−HCl(pH8.8)、30%グリセロール、2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、6mol/L尿素、BPB(Trace)、64.8mmol/L DTT
4.SDS平衡化用緩衝液2:終濃度50mmol/L 1.5mol/L Tris−HCl(pH8.8)、30%グリセロール、2%SDS、6mol/L尿素、BPB(Trace)、135mmol/Lヨードアセトアミド
【0035】
(3)ウェスタンブロッティング(WB)
SDS−PAGEにより分離された各画分のタンパク質をセミドライブロッティングシステム(Scientific社製)のブロッティング装置を用いて、ニトロセルロース膜にブロッティングした。そのブロッティングした膜を、4%スキムミルク[森永乳業(株)製]含有PBSで30分間ブロッキングし、その後、PBSで洗浄した。次に、一次抗体としてPBSで希釈したBSE罹患ウシ血清(1000倍)、又はBSE非感染ウシ血清(1000倍)を室温で1時間反応させ、次に二次抗体としてPBSで希釈したHRP標識抗ウシIgG抗体(2000倍)を1時間反応させた。ともにイギリスウェブリッジ獣医学部研究所から分与された血清を使用した。
分子量マーカーとして、市販のマーカー(Presteined Protein Marker;New England BioLabs製)を用いた。また、検出試薬としてECL(商品名)Western Blotting Detection Reagents[GEヘルスケア バイオサイエンス(株)製]で5分間インキュベーションを行った。検出はECL(Enhanced chemiluminscence)により、X線フィルム(富士フィルム社製)に感光させて行った。
【0036】
その結果を図1(Mは分子量マーカーを示す)に示す。BSE罹患ウシ血清(BSE+)の細胞骨格の画分(レーン4)で強いシグナルが認められた。
すなわち、図1の矢印で指し示す通り、陽性バンド(50〜52kDa)が認められた。BSE罹患ウシ血清(BSE+)中にはマウス小脳細胞骨格のタンパク質(50kDa付近)に対する抗体が存在することが示された。一方、BSE非感染ウシ血清(BSE−)では陽性バンドは認められなかった。
このことから神経組織細胞の細胞骨格のタンパク質に対する抗体が血清中に存在することが確認された。
【0037】
《実施例2》
(1)試料調製
実施例1の(1)と同様にして得られたマウス小脳のホモジネートをS−PEKにより細胞分画を行った。
【0038】
(2)二次元電気泳動
上記(1)で得られた細胞骨格のタンパク質溶液50μgを試料とした。この試料を、IPG緩衝液[pH3−10,11cm;GEヘルスケア バイオサイエンス(株)製]で膨潤させたIPGゲル[Immobiline(商標)Dry Strips pH3-10, 11cm(IPGストリップ);GEヘルスケア バイオサイエンス(株)製]を用いて一次元目の等電点電気泳動(IEF)を行った。電気泳動装置はMultiphorII[GEヘルスケア バイオサイエンス(株)製]を用いた。その他の機器についてもGEヘルスケア バイオサイエンス(株)製のものを使用した。
引き続いて、そのIPGストリップを平衡化してから二次元目の電気泳動(SDS−PAGE)を行った。その後、ゲルをCBB染色してゲル中のタンパク質を可視化した。
【0039】
(3)ウェスタンブロッティング(WB)
実施例1の(3)と同様に、WBはSDS−PAGEで分離後にPVDF(polyvinylidene difluoride)膜にブロッティングした。そのブロッティングした膜を、4%スキムミルク[森永乳業(株)製]含有PBSで30分間ブロッキングし、その後、PBSで洗浄した。次に、一次抗体としてPBSで希釈したBSE罹患ウシ血清(1000倍)、又はBSE非感染ウシ血清(1000倍)を室温で1時間反応させ、次に二次抗体としてPBSで希釈したHRP標識抗ウシIgG抗体(2000倍)を1時間反応させた。ともにイギリスウェブリッジ獣医学部研究所から分与された血清を使用した。分子量マーカーとして、市販のマーカー(Presteined Protein Marker;New England BioLabs製)を用いた。また、検出試薬としてECL Western Blotting Detection Reagents[GEヘルスケア バイオサイエンス(株)製]で5分間インキュベーションを行った。検出はECL(Enhanced chemiluminscence)により、X線フィルムに感光させて行った。
【0040】
BSE罹患ウシ血清を用いた結果を図2に、BSE非感染ウシ血清を用いた結果を図3に、それぞれ示す。その結果、BSE罹患ウシ血清では、強いシグナルが確認されたスポットが認められた(図2の矢印)。しかし、BSE非感染ウシ血清では明瞭な陽性スポットは検出されなかった(図3)。
【0041】
(4)トリプシンによるゲル内消化
WBで二次元電気泳動にて血清中に現われている抗体が抗原としているタンパク質を同定するため、確認したい目的のスポットを、ゲルから切り出してメスで細かくした。
それをCBB脱色液(50%メタノール、50mmol/L NHHCO)に浸して脱色した。その後、還元液[10mmol/Lジチオスレイトール(DTT)、25mmol/L NHHCO]を加え、56℃で1時間反応させ、純水で洗浄した。次に、アルキル化液(55mmol/Lヨードアセトアミド、25mmol/L NHHCO)を加え、遮光して45分間振盪し、純水で洗浄した。そして、そのゲルに100%アセトニトリルを加えて、乾固させた。
【0042】
次にトリプシン溶液(10ng/mL、25mmol/L NHHCO)を加えて氷上静置で保存した。そこへ100mmol/L Tris緩衝液20μLを加え、37℃で一晩酵素消化させた。
次に、酵素消化後の溶液からペプチドを抽出するため、抽出液50μL[50%アセトニトリル・5%トリフルオロ酢酸混液(TFA)]を加え、撹拌後に遠心沈殿させ、ゲルを吸わないように注意しながら上清をピペットで回収した。この工程を二回行い、100%アセトニトリルを加えて溶出させた全ての上清を回収した。得られた上清は、遠心エバポレーターで濃縮したペプチド溶液を抽出した。
【0043】
(5)MALDI−TOF MSによるタンパク質の同定
上記の濃縮したペプチド溶液を、濃縮用ピペットチップ(ZipTip C18;Millipore製)にて脱塩、濃縮した。この溶液をMatrix溶液[α−CHCA(α-Cyano-4-Hydoroxycinnamic Acid)約1mgを50%アセトニトリル・0.1%TFA100μLで溶解した飽和溶液]とともに金属プレートに滴下し、乾燥させた。
これをPMF法(Peptide mass fingerprinting)によるMALDI−TOF MS(matrix-assisted laser desorption ionization time-of-flight mass spectrometry)で解析した結果、複数のペプチドシグナルをもつペプチドマップが得られた。各シグナルのピークは目的タンパク質のスポットを消化して得られたペプチド断片である。
このペプチド断片をMascot検索(MASCOT検索サイトwww.matrixscience.com;MATRIX SCIENCE社)にかけて目的とするタンパク質を同定した。その結果、GFAPとペプチド断片の大きさが一致し、このタンパク質がGFAPであることが同定された。このことから、神経細胞のアストロサイトに特異的に発現している抗GFAP抗体がBSE罹患ウシの血清中に存在していることが確認された。
【0044】
《実施例3》
(1)試料調製
実施例1の(1)と同様の方法により、ウシ延髄のタンパク質を細胞分画し、各フラクションを得た。
【0045】
(2)SDS−PAGE
上記各フラクションのタンパク質溶液を各15μg/レーンでポリアクリルアミドゲルにアプライした。レムリ(Laemmli)法によりSDS−PAGEを行った。
【0046】
(3)ウェスタンブロッティング(WB)
SDS−PAGEにより分離された各画分のタンパク質をニトロセルロース膜にブロッティングした。それ以外は全て実施例1の(3)記載の方法と同様の方法でECLによりタンパク質を検出した。
その結果を図4(Mは分子量マーカーを示す)に示す。50kDa付近にバンドを示し、陽性であることが確認された。すなわち、BSE罹患ウシ血清中にウシ延髄細胞骨格のタンパク質に対する抗体が存在することが示された。
【0047】
《実施例4》
(1)試料調製
イギリスウェブリッジ獣医学部研究所より分与を受けたBSE罹患ウシ血清及びBSE非感染ウシ血清の各4検体をPBSで5倍に希釈したものを試料とした。
【0048】
(2)SDS−PAGE
上記各試料を各10μg/レーンでポリアクリルアミドゲルにアプライした。実施例1で使用した試薬を用い、レムリ(Laemmli)法によりSDS−PAGEを行った。
【0049】
(3)ウェスタンブロッティング(WB)
SDS−PAGEにより分離されたタンパク質をセミドライブロッティングシステム(Scientific社製)を用いて、PVDF膜にブロッティングした。そのブロッティングした膜を、4%スキムミルク[森永乳業(株)製]含有PBSでブロッキングし、PBSで洗浄した。その後、一次抗体としてPBSで希釈した抗ヒト延髄GFAPポリクローナル抗体(MPバイオメディカル社;1000倍)を室温で30分間反応させ、次に二次抗体としてPBSで希釈したHRP標識抗ウサギIgG抗体(1000倍)を30分間反応させた。分子量マーカーとして、市販のマーカー(Presteined Protein Marker;New England BioLabs製)を用いた。また、検出試薬としてECL Western Blotting Detection Reagents[GEヘルスケア バイオサイエンス(株)製]を用いた。検出はECL(Enhanced chemiluminscence)により、X線フィルムに感光させて行った。
【0050】
その結果を図5(Mは分子量マーカーを示す)に示す。
BSE罹患ウシ血清(BSE+)のレーン10、11及び12において、約50kDa付近に明瞭なバンドが認められた。
このことから、神経細胞のアストロサイトに特異的に発現しているGFAPがBSE罹患ウシの血清中に存在していることが確認された。すなわち、アストロサイト細胞中の細胞骨格をなす中間系フィラメントのGFAPが細胞から漏出し、末梢血中に逸脱していることが認められた。
【0051】
《実施例5》
酵素免疫測定用の抗原としてウシGFAP抗原をPBSにて1.0mg/mLに希釈し、マイクロプレートの各ウェルに100μLずつ分注し、37℃で、1時間インキュベートした。プレートをブロッキング液(商品名:Block Ace;大日本住友製社製)でブロッキングし、37℃で、1.5時間インキュベートした。抗GFAP抗体標準品(商品名:Polyclonal Anti-GFAP;MP BIOCHEMICALS社製)を、ウシ胎児血清(FBS)をPBSで400倍に希釈した希釈液(以下、FBS希釈液と称する)で1万倍、3万倍、5万倍、10万倍、30万倍、50万倍、100万倍に希釈し、それぞれ検量線作成用の抗GFAP抗体の標準液とした。実施例4で用いたBSE罹患ウシ血清及びBSE非感染ウシ血清を、FBS希釈液で400倍に希釈したものを試料とした。上記マイクロプレートに100μL/ウェルずつ分注し、37℃で1時間インキュベートした後、洗浄液(0.5%Tween20添加PBS)で洗浄した。次に、HRP標識抗ウシIgG抗体をブロッキング液(商品名:Block Ace;大日本住友製社製)で1万倍に希釈したものを各ウェルに100μL/ウェルずつ分注し、室温で1時間インキュベートした後、洗浄液にて洗浄した。次に、テトラメチルベンジジン(TMB;シグマ社製)を各ウェルに100μL/ウェルずつ分注し、遮光して室温で30分間インキュベートした後、各ウェルに0.5mol/L硫酸を100μL/ウェルずつ分注し、攪拌してから620nmの吸光度に対する450nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
【0052】
結果を、平均値±平均誤差(mean ± S.E.)と共に、図6に示す。
BSE非感染ウシ(BSE−)では低い値を示し、BSE罹患ウシ(BSE+)では、全てのウシで0.02の値を越していた。よって、本実施例の測定条件では、抗GFAP抗体が吸光度換算で0.02以上の値をもつウシであるとBSEに罹患していることが診断できることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の診断キット及び診断方法はプリオン病の生前診断に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】一次抗体としてBSE血清[BSE罹患ウシ血清(BSE+)、又はBSE非感染ウシ血清(BSE−)]を用いたマウス小脳タンパク質の電気泳動及びウェスタンブロッティングの分析結果を示す、図面に代わる写真である。
【図2】一次抗体としてBSE罹患ウシ血清を用いたマウス小脳細胞骨格タンパク質の電気泳動及びウェスタンブロッティングの分析結果を示す、図面に代わる写真である。
【図3】一次抗体としてBSE非感染ウシ血清を用いたマウス小脳細胞骨格タンパク質の電気泳動及びウェスタンブロッティングの分析結果を示す、図面に代わる写真である。
【図4】一次抗体としてBSE罹患ウシ血清を用いたウシ延髄タンパク質の電気泳動及びウェスタンブロッティングの分析結果を示す、図面に代わる写真である。
【図5】抗GFAP抗体によるウシ血清タンパク質の電気泳動及びウェスタンブロッティングの分析結果を示す、図面に代わる写真である。
【図6】ウシ血清[BSE罹患ウシ血清(BSE+)、又はBSE非感染ウシ血清(BSE−)]中の抗GFAP抗体をELISAで測定した結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の生体由来の被検試料中の抗グリア繊維酸性タンパク質抗体又はグリア繊維酸性タンパク質を分析することを特徴とする、プリオン病の検出方法。
【請求項2】
被検試料が血液由来試料である、請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
グリア繊維酸性タンパク質若しくはその抗原断片、又は抗グリア繊維酸性タンパク質抗体を含むことを特徴とする、プリオン病の診断キット。

【図6】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−52933(P2009−52933A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218005(P2007−218005)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(503096591)学校法人酪農学園 (13)
【出願人】(000006091)明治製菓株式会社 (180)
【Fターム(参考)】