プリコーディングのための方法および装置、ならびにデコーディングのための方法および装置
本発明は、無線通信の技術分野に関し、プリコーディングのための方法および装置、ならびにデコーディングのための方法および装置を開示する。プリコーディングのための方法は、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計に従ってそれぞれの送信側に関する行列を計算するステップと、プリコーディング行列を使用してそれぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードするステップとを含む。本発明は、優れたパフォーマンスを有する干渉アライメント方法を実現し、マルチユーザ干渉システムの容量を効果的に増加して、ユーザ間の相互干渉を減少させることができ、LTEおよびLTEアドバンスCoMP技術で使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信技術の分野に関し、特にプリコーディングのための方法および装置、ならびにデコーディングのための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムでは異なるユーザの信号間に相互干渉が存在し、ガウス干渉チャネルではそれぞれのユーザは自分の完全なチャネル情報を知っているが、異なるユーザのデータを共有することはできないので、共同伝送を実行できない。図1に示されるように、2人のユーザのガウス干渉チャネルが示されており、ユーザx1とx2との間に干渉が存在する。ユーザ間の干渉を解消する際のガウス干渉チャネルの容量の改善方法は、常に技術の発展を制限する主な障害の1つである。
【0003】
干渉チャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する従来のソリューションは、時分割多元接続(TDMA)技術、および周波数分割多元接続(FDMA)技術などの直交化を採用している。図2に示されるように、TDMAシステムの概略図が示されている。TDMAシステムでは、別々のユーザが別々の時間にデータを送信することによってユーザ間の相互干渉を回避する。TDMAシステムと同様、FDMAシステムでも、別々のユーザが別々の周波数でデータを送信することによってユーザ間の相互干渉を回避する。
【0004】
従来のソリューションの欠点を考慮して、ガウス干渉チャネルの集中的研究とともに、干渉アライメントの使用によってユーザ間の相互干渉を解決する方法を提供する。干渉アライメントとは、完全なチャネル情報を知っている状況で、送信側の前処理を通じて、それぞれの受信側の有益な信号および干渉信号が間隔をあけて分離され、受信側への異なる送信側の干渉が同じ空間次元で全て整列されることによって、干渉の影響を回避して容量を改善する目的を達成することを指す。ガウス干渉チャネルの容量および干渉アライメントの研究はまだ初期の段階であり、干渉アライメントの方法は研究において現在ホットスポットである。
【0005】
従来技術は特別なチャネルにおける干渉アライメントの例を提供する。図3に示されるように、特別なチャネルはK個の送信側およびK個の受信側を含む。目標とする受信側へのそれぞれの送信側のチャネル応答は1であり、全てのユーザへのそれぞれの送信側の干渉チャネルはそれに対応してiであり、送信信号が信号空間の実数部である場合、k番目の受信側の受信信号は、
【0006】
【数1】
【0007】
である。
【0008】
受信側は受信信号の実数部を直接取得することによってのみ送信信号を検出できることは明らかであり、すなわち、
【0009】
【数2】
【0010】
である。
【0011】
送信信号は信号空間の半分を失うが、ユーザ間の干渉が解消されたことがわかる。
【0012】
従来技術では、明示的干渉アライメント(明示的IA)の方法がさらに提供され、3人のユーザが同じアンテナを有する状況では、明示的IA方法はまず列空間(C)に以下の関係を構築するステップを含む。
c(H(12)V(2))=c(H(13)V(3))、
c(H(21)V(1))=c(H(23)V(3))、
c(H(31)V(1))=c(H(32)V(2))
上式で、H(ij)は送信機jから受信側iへのチャネル係数行列を表す。V(i)は送信側iのプリコーディング行列を表す。以下の式は前述の数式によって得ることができる。
E=(H(31))-1H(32)(H(12))-1H(13)(H(23))-1H(21)、
F=(H(32))-1H(31)およびG=(H(23))-1H(21)
【0013】
したがって、行列Eの前半固有ベクトルを行ベクトルとして使用することによって構築された行列が送信側1のプリコーディング行列V(1)として使用され、送信側2および送信側3のプリコーディング行列V(2)およびV(3)がそれぞれ以下のように得られる。
V(2)=FV(1)、V(3)=GV(1)
【0014】
本発明を実装する間、発明者は従来技術には少なくとも以下の問題があることを発見した。TDMAおよびFDMAなどの従来の直交化ソリューションは1/Klog(SNR)+o(log(SNR))だけという過度に低いシステム容量をもたらし、それによってシステムのスループットを制限してしまう。従来提供された干渉アライメント方法については、ある特別なチャネルにしか適用できず、特別なチャネルは構築が困難でほとんど実装できず、またこの方法はビットエラーレートが高くパフォーマンスが良くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来技術の問題を解決するために、本発明の実施形態は、マルチユーザ干渉システムの容量を改善し、ユーザ間の相互干渉を減少させることができる、プリコーディングのための方法および装置、ならびにデコーディングのための方法および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
目的を達成するために、本発明の実施形態は以下の技術的ソリューションを採用する。
【0017】
プリコーディングのための方法は、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によってそれぞれの送信側に関するプリコーディング行列を計算するステップと、
プリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードするステップとを含む。
【0018】
デコーディングのための方法は、
送信側からデータを受信するステップであって、プリコーディング行列を使用することによってそのデータがプリコードされるステップと、
有効信号を取得するために、デコーディング行列を使用して受信データをデコードするステップとを含み、
デコーディング行列およびプリコーディング行列はそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算することによって得られる。
【0019】
プリコーディングのための装置は、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によってそれぞれの送信側に関するプリコーディング行列を計算するように構成された計算ユニットと、
計算ユニットによって得られたプリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードするように構成されたプリコーディングユニットとを含む。
【0020】
デコーディングのための装置は、
送信側からデータを受信するように構成された受信ユニットであって、プリコーディング行列を使用することによってそのデータがプリコードされる受信ユニットと、
有効信号を取得するために、デコーディング行列を使用して受信ユニットによって受信されたデータをデコードするように構成されたデコーディングユニットとを含み、
デコーディング行列およびプリコーディング行列は、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算することによって得られる。
【0021】
本発明の実施形態で提供される技術的ソリューションでは、それぞれの送信側のプリコーディング行列はそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算され、それぞれの送信側のプリコーディング行列およびそれぞれの受信側のデコーディング行列の共同設計を通じて、よりよいパフォーマンスを有する干渉アライメント方法が実装され、それによって干渉チャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態における技術的ソリューションはある特別なチャネルに限定されず、ユーザ間の干渉を回避しながらシステムの容量を著しく改善する。さらに、本発明はユーザ間の干渉を効果的に減少させ、システムのビットエラーレートを大いに減少させることができることが実験によって証明されている。
【0022】
本発明の実施形態による、または従来技術における技術的ソリューションをより明確に示すために、実施形態または従来技術を説明するための添付の図面を以下で簡単に紹介する。以下の記述における添付の図面は本発明のいくつかの実施形態であり、当業者は創造的努力なしに添付の図面から他の図面を得ることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術における2人のユーザのガウス干渉チャネルの概略図である。
【図2】従来技術におけるTDMAシステムの概略図である。
【図3】従来技術における、特別なチャネルにおける干渉アライメント実行の概略図である。
【図4】本発明の実施形態1で提供されるプリコーディングのための方法の概略的流れ図である。
【図5】本発明の実施形態2で提供されるデコーディングのための方法の概略的流れ図である。
【図6】本発明の実施形態3で提供される、K人のユーザを有するMIMO干渉システムの概略図である。
【図7】本発明の実施形態3で提供される反復アルゴリズムの概略図である。
【図8】本発明の実施形態で提供される実験結果の図である。
【図9】本発明の実施形態で提供される、他の実験結果の図である。
【図10】本発明の実施形態で提供される、他の実験結果の図である。
【図11】本発明の実施形態で提供されるプリコーディングのための装置の概略的構造図である。
【図12】本発明の実施形態で提供されるデコーディングのための装置の概略的構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の技術的ソリューションを、以下で添付の図面を参照して明確かつ完全に説明する。説明する実施形態は本発明の実施形態の一部であり、その全てではないことは明らかである。本発明の実施形態に基づいて当業者によって創造的努力なしに得られる他の全ての実施形態は、本発明の保護範囲内であるものとする。
【0025】
本発明の実施形態は、多入力多出力(MIMO)干渉チャネルのジョイント反復(joint iteration)のための新しい干渉アライメント方法を主に提供する。技術的ソリューションは、送信機がデータを共有しない状況で、それぞれの送信側のプリコーディング行列およびそれぞれの受信側の受信ビーム形成フィルタの共同設計を通じて、よりよいパフォーマンスを有する干渉アライメント方法を実装し、それによって干渉チャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態の技術的ソリューションはある特別なチャネルに限定されず、適用の可能性が広く、たとえばロングタームエボリューション(LTE)およびLTEアドバンスネットワーク(LTE-Advanced)CoMPなどの技術に適用できる。本発明において提供される方法はユーザ間の干渉を効果的に減少させて、システムのビットエラーレート(BER)を大いに減少させることができることが実験によって証明されている。
【0026】
本発明の実施形態1で提供されるプリコーディングのための方法が図4に示されている。この方法は以下を含む。
ステップ41:それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によってそれぞれの送信側に関するプリコーディング行列を計算する。
ステップ42:プリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードする。
【0027】
さらに、送信側がプリコーディング行列を使用してデータをプリコードした後、対応するデコーディング行列を使用することによって受信側が有益な信号を確実に検出できるようにするために、受信側のプリコーディング行列および対応するデコーディング行列(受信フィルタ行列とも呼ばれる)は全て、全ての送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計が最小値となるようにする必要がある場合がある。あるいは、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計と重み因子との積の最小値となるようにする必要があり、重み因子は非線形因子でも線形因子でもよく、平均二乗誤差の合計に対し調整を実行するために使用される。あるいは、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、またはその合計とバイアスパラメータとの間の差によって、バイアスパラメータは非線形因子でも線形因子でもよく、平均二乗誤差の合計に調整を実行するために使用される。
【0028】
この実施形態では、プリコーディングを使用することによってデータにプリコーディングおよび関連処理を実行した後、対応するデコーディング行列を使用することによって有効信号を受信側が検出すると、有効信号が干渉信号から空間的に分離されることが確実になり、それによってチャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態は所望の効果を達成して、ビットエラーレートを著しく減少させることができることが実験によって証明されている。
【0029】
本発明の実施形態2で提供されるデコーディングのための方法が図5に示されている。この方法は以下を含む。
ステップ51:送信側からデータを受信し、プリコーディング行列を使用することによってそのデータがプリコードされる。
ステップ52:有効信号を取得するために、デコーディング行列を使用して受信データをデコードし、デコーディング行列およびプリコーディング行列はそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算することによって得られる。
【0030】
本発明の実施形態2では、有効信号と干渉信号とを空間的に分離するために、デコーディング行列を使用することによって受信側が受信データ上で検出を実行し、それによってチャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態は所望の効果を達成できることが実験によって証明されている。
【0031】
実施形態3で提供されるプリコーディングのための方法を以下で詳細に説明する。
【0032】
本発明の実施形態の技術的ソリューションを明確に説明するために、図6に示されているK人のユーザを有するMIMO干渉システムを例にとって本発明の実施形態を説明する。
【0033】
図6はK人のユーザを有する干渉システムを示しており、システムはK個の送信側とK個の受信側を同時に有している。送信側は基地局(NB)、拡張基地局(eNB)、および中継局(Relay NodeB)のうちの1つでもよく、上記の組合せでもよい。k番目の送信側のアンテナの数はMkであり、k番目の受信側のアンテナの数はNkであり、送信側kがDkストリームを対応するユーザkに送信し、送信側kの電力はPkであり、kはラベルである。システムの式は以下のように表すことができる。
【0034】
【数3】
【0035】
上式で、Xlは送信側lによって送信された信号(プリコードされた信号)であり、Ykは受信側kの受信信号ベクトルであり、nkは加法性ホワイトガウスノイズ(AWGN)のノイズベクトルであり、vkは送信側kのMk×Dkプリコーディング行列であり、Hklは送信側lから受信側kへのチャネル係数行列を表し、dkは送信側kによって送信されるデータベクトルを表す。l番目の送信機の総電力はE[||Xl||2]=Plである。
【0036】
本発明の実施形態では、送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計が目標最適化関数として使用され、最適化はプリコーディング行列を計算する際に以下のように表される。
【0037】
【数4】
【0038】
上式で、MSEkは送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、Pk=tr(vkHvk)は送信側kの送信電力制限を表す。本発明の実施形態では、図7に示されるように、プリコーディング行列を計算するステップは以下のステップを含む。
【0039】
ステップS1:最適化関数を構築する。
【0040】
この実施形態では、送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計および送信側の対応する送信電力制限によって対応するラグランジュ関数が構築される。特に、それぞれの送信側のプリコーディング行列が、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計および送信側の対応する送信電力制限の最小値によって計算され、またはそれぞれの送信側のプリコーディング行列が、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計と重み因子との積の最小値、ならびに送信側の対応する送信電力制限によって計算され、またはそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、またはそれぞれの送信側のプリコーディング行列がその合計とバイアスパラメータとの間の差、ならびに送信側の対応する送信電力制限によって計算される。重み因子またはバイアスパラメータは線形でも非線形でもよく、重み因子またはバイアスパラメータは送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計に調整を実行するために使用される。
【0041】
それぞれの送信側のプリコーディング行列が、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、および送信側の対応する送信電力制限によって計算される場合、特定の処理は以下の2つの方法を含む。
【0042】
方法1:最小平均二乗誤差干渉アライメント(MMSE-IA)方法。
【0043】
以下で示される最適化関数が構築され得る。
【0044】
【数5】
【0045】
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、送信側kの送信電力制限はPk=tr(vkHvk)で表され、λkは送信側kの送信電力制限に対応するラグランジュ乗数であり、MSEkは送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、Kは送信側または受信側の数を表し、kは送信側の連続番号である。
【0046】
方法2:堅牢な最小平均二乗誤差干渉アライメント(堅牢なMMSE-IA)方法
【0047】
チャネルの誤差が考慮される場合、以下で示される最適化関数が構築され得る。
【0048】
【数6】
【0049】
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、送信側kの送信電力制限はPk=tr(vkHvk)で表され、λkは送信側kの送信電力制限に対応するラグランジュ乗数であり、
【0050】
【数7】
【0051】
は送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、
【0052】
【数8】
【0053】
は送信側jから受信側iへのチャネル係数行列の推定値であり、Hijは送信側jから受信側iへのチャネル係数行列であり、eijは送信側jから受信側iへのチャネル係数行列の推定エラーであり、Kは送信側または受信側の数を表し、k、i、およびjは連続番号である。堅牢なMMSE-IAと比較すると、方法1における方法は従来の最小平均二乗誤差干渉アライメント(従来のMMSE-IA)とも呼ばれ得る。
【0054】
ここでは、eijの平均値はゼロであり、チャネル推定エラーの平均二乗偏差は
【0055】
【数9】
【0056】
である。
【0057】
実際のシステムでは、送信側はしばしばチャネル状態の正確な情報を取得できず、数式(2)を使用することによって最適化関数を構築する場合、ユーザ間の相互干渉をより効果的に回避して、不正確なチャネル状態情報の影響を減少させることができる堅牢な干渉アライメント方法が提供される。
【0058】
ステップS2:ラグランジュ関数の最適化状態によって、プリコーディング行列およびデコーディング行列の式を得る。
【0059】
ここでは、ラグランジュ関数の最適化条件としてKKT(Karush-Kuhn-Tucker:カルーシュキューンタッカー)条件が使用され、KKT条件は以下のように表すことができる。
【0060】
【数10】
【0061】
KKT条件によれば、(1)で示される最適化関数を使用する場合、以下のように示されるプリコーディング行列およびデコーディング行列の式が得られる。
【0062】
【数11】
【0063】
【数12】
【0064】
上式で、
【0065】
【数13】
【0066】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、Hikは送信側kから受信側iへのチャネル係数行列であり、iは連続番号である。
【0067】
KKT条件によれば、(2)に示される最適化関数を使用する場合、以下のように示されるプリコーディング行列およびデコーディング行列の式が得られる。
【0068】
【数14】
【0069】
【数15】
【0070】
上式で、
【0071】
【数16】
【0072】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、
【0073】
【数17】
【0074】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【0075】
【数18】
【0076】
は、
【0077】
【数19】
【0078】
を満たす。
【0079】
以上から、送信側のプリコーディング行列{vk},k=l,…,Kは、受信側のデコーディング行列{Rk},j=l,…,Kの関数と表され、受信側のデコーディング行列{Rk},j=l,…,Kは送信側のプリコーディング行列{vk},k=l,…,Kの関数と表され、したがってこの実施形態における反復アルゴリズムを使用することによって干渉アライメントが実行されることがわかる。
【0080】
ステップS3:プリコーディング行列およびデコーディング行列の式、ならびにプリコーディング行列の初期値を使用して、プリコーディング行列およびデコーディング行列を得るために反復を通じて計算する。特に、以下の処理が含まれる。
【0081】
ステップS31:プリコーディング行列の初期値を設定する。
【0082】
全ての送信側のプリコーディング行列が初期化され、vk,k=1,...,Kとなり、反復アルゴリズムが実行されているとプリコーディング行列の初期値が得られるようになる。しかし本発明はこれに限定されず、デコーディング行列も初期化され、デコーディング行列はデコーディング行列の初期値を使用することによって連続的にアップデートされ、後続の反復アルゴリズムが実行される。この時点で、現在の反復が反復側条件を満たす場合、現在の反復におけるアップデートされたデコーディング行列を使用して必要なプリコーディング行列を計算する必要がある。
【0083】
ステップS32:プリコーディング行列の初期値によって、デコーディング行列の式を使用してそれぞれのデコーディング行列を計算する。
【0084】
それぞれのデコーディング行列の式では、加法性ホワイトガウスノイズの分散
【0085】
【数20】
【0086】
およびチャネル係数行列Hが知られており、プリコーディング行列の初期値を使用することによる計算を通じてデコーディング行列を得ることができる。
【0087】
ステップS33:現在の反復のラグランジュ乗数を得るために、計算されたデコーディング行列を使用して計算する。
【0088】
ステップS34:現在の反復のラグランジュ乗数によって、プリコーディング行列をアップデートする。
【0089】
現在の反復の計算されたラグランジュ乗数λkおよびデコーディング行列よって、再計算を通じてアップデートされたプリコーディング行列が得られ、アップデートされたプリコーディング行列がこの反復で得られたプリコーディング行列として使用される。
【0090】
ステップS35:アップデートされたプリコーディング行列を使用してプリコーディング行列の初期値を置換して、プリコーディング行列を繰り返し計算できるようにする。
【0091】
ステップS31で、アップデートされたプリコーディング行列を使用してプリコーディング行列の初期値を置換し、反復側条件が満たされるまで、たとえばアルゴリズムが収束するまで、またはあらかじめ定められた反復回数に達するまで、ステップS31からステップS34の動作が繰り返される。
【0092】
たとえば、反復回数があらかじめ定められた値(たとえば32)に達すると動作が終了し、現在の反復において得られたプリコーディング行列およびデコーディング行列が最終プリコーディング行列およびデコーディング行列として使用される。または、
【0093】
現在の反復において得られたプリコーディング行列と、以前の反復において得られたプリコーディング行列との間の差の限界ノルム(bound norm)があらかじめ定められた値よりも小さい場合、この時点でアルゴリズムが収束したことを示し、現在の反復において得られたプリコーディング行列およびデコーディング行列が最終プリコーディング行列およびデコーディング行列として使用される。または、
【0094】
現在の反復において得られた送信側の平均二乗誤差の合計と、以前の反復において得られた送信側の平均二乗誤差の合計との間の差の絶対値があらかじめ定められた値よりも小さい場合、現在の反復において得られたプリコーディング行列およびデコーディング行列が最終プリコーディング行列およびデコーディング行列として使用される。
【0095】
送信側では、プリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードして、対応する処理が実行された後、プリコードされたデータが送信される。
【0096】
送信側によって送信されたデータを受信側が受信して、受信側が対応するデコーディング行列を使用することによってデータをデコードして有効信号を得られるようにする。デコーディング行列を使用することによって受信側が高品質な有効信号を確実に検出できるようにするために、本発明の実施形態では、受信側によって使用されるデコーディング行列は送信側によって使用されるプリコーディング行列に対応し、たとえば、デコーディング行列およびプリコーディング行列は全て、全ての送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計が最小値に到達できるようにする。この時点で、ステップS3における方法を使用することによる計算を通じてデコーディング行列を得ることができ、たとえば、デコーディング行列の初期値によって、ステップS1における方法を使用して後続の反復動作を実行し、反復が終了すると、最後のアップデートで得られたデコーディング行列が受信側によって必要とされるデコーディング行列として使用される。
【0097】
受信側は、有効信号を検出するために別のデコーディング方法を使用して信号をデコードすることもできることが理解されよう。たとえば、受信側は有効信号を検出するために、信号をデコードするためにZF受信フィルタを使用する。
【0098】
受信側は、信号を検出する際に使用されるデコーディング行列としてあらかじめ設定されたデコーディング行列を使用でき、または受信側は信号を検出する際にデコーディング行列をリアルタイムで計算する。たとえば、受信側はステップS1およびステップS2で説明した方法を使用して、デコーディング行列を計算する。
【0099】
本発明の実施境内で提供される技術的ソリューションでは、それぞれの送信側のプリコーディング行列がそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算され、それぞれの送信側のプリコーディング行列およびそれぞれの受信側のデコーディング行列の共同設計を通じて、よりよいパフォーマンスを有する干渉アライメント方法が実装され、それによって干渉チャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態における技術的ソリューションはある特別なチャネルに限定されず、ユーザ間の干渉を回避しながらシステムの容量を著しく改善する。さらに、本発明はユーザ間の干渉を効果的に減少させ、システムのビットエラーレートを大いに減少させることができることが実験によって証明されている。
【0100】
実験データを通じて、本発明の有益な効果をさらに説明する。実験では、3人のユーザを有するMIMO干渉チャネルシステムが採用され、すなわちK=3であり、それぞれの送信側の送信アンテナの数は4であり、すなわちM1=M2=M3=4であり、それぞれの受信側の受信アンテナの数は4であり、すなわちN1=N2=N3=4であり、すなわちアンテナ構成は{3;(4,4,4), (4,4,4)}と表すことができる。それぞれの送信側は2つのストリームを送信し、D1=D2=D3=2であり、QPSKを使用することによって変調される。
【0101】
図8は本発明の実施形態で提供される実験結果図であり、図8では横軸は信号対ノイズ比(Eb/N0)を表し、縦軸はビットエラーレートを表す。図8では、上から下に向かって、一番上は反復回数が2の場合の曲線(すなわち丸印を有する曲線)であり、次の曲線は反復回数が4の場合の曲線(すなわち、四角印を有する曲線)であり、次の曲線は反復回数が8の場合の曲線(すなわち三角印を有する曲線)であり、次の曲線は反復回数が16の場合の曲線(すなわち十字印を有する曲線)であり、一番下の曲線は反復回数が32の場合の曲線(すなわち*印を有する曲線)である。図8は、反復回数が増加するにつれて、本発明の干渉アライメント方法がシステムのビットエラーレートパフォーマンスを著しく改善することを示している。
【0102】
図9は本発明の実施形態で提供される実験結果図であり、図9では横軸は信号対ノイズ比(Eb/N0)を表し、縦軸はビットエラーレートを表す。図9では、本発明のプリコーディングのための方法(選択された反復回数は16)を使用することによって干渉アライメントを実行する状況が、従来の明示的干渉アライメント(明示的IA)方法と比較され、明示的IAが図面における丸印を有する曲線によって示されており、本発明の実施形態で提供される干渉アライメント方法(MMSE-IA)が図面における十字印を有する曲線によって示されており、本発明のMMSE-IA方法がシステムのビットエラーレートパフォーマンスを著しく改善することがわかる。
【0103】
図10は本発明の実施形態で提供される実験結果図であり、図10では横軸は信号対ノイズ比(Eb/N0)を表し、縦軸はビットエラーレートを表す。図10は、本発明において提供されるMMSE-IAが理想的チャネル状態(完全なCSIを有するMMSE-IA)で採用される場合、MMSE-IAが非理想的チャネル状態(不完全なCSIを有する従来のMMSE-IA)で採用される場合、および堅牢なMMSE-IAが非理想的チャネル状態で採用される場合の実験結果の比較を示している。本発明において提供される堅牢なMMSE-IA方法はチャネル情報のエラーに対してより堅牢であることがわかる。
【0104】
本発明の実施形態はプリコーディングのための装置をさらに提供し、図11に示されるように、装置は、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によってそれぞれの送信側に関するプリコーディング行列を計算するように構成された計算ユニット111と、
計算ユニット111によって得られたプリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードするように構成されたプリコーディングユニット112とを含む。
【0105】
さらに、計算ユニット111は、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値によってそれぞれの送信側のプリコーディング行列を計算するように、またはそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計と重み因子との積の最小値によってそれぞれの送信側のプリコーディング行列を計算するように、あるいはそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、またはその合計とバイアスパラメータとの間の差によってそれぞれの送信側のプリコーディング行列を計算するように構成される。
【0106】
計算ユニット111は、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値によって、またはそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計と重み因子との積の最小値によって、あるいはそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、またはその合計とバイアスパラメータとの間の差によって、および送信側の対応する送信電力制限によって対応するラグランジュ関数を構築して、ラグランジュ関数の最適化状態によってプリコーディング行列の式およびデコーディング行列の式を得るように構成された式獲得モジュールと、
式獲得モジュールによって得られたプリコーディング行列およびデコーディング行列の式、ならびにプリコーディング行列の初期値を使用することによって、プリコーディング行列を得るために反復を通じて計算するように構成された反復モジュールとを含む。
【0107】
式獲得モジュールは、送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、および送信側の対応する送信電力制限によって以下のようにラグランジュ関数を構築するようにさらに構成されている。
【0108】
【数21】
【0109】
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、送信側kの送信電力制限はPk=tr(vkHvk)で表され、λkはラグランジュ乗数であり、MSEkは送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、Kは送信側または受信側の数を表し、kは連続番号である。
【0110】
ラグランジュ関数のKKT条件によれば、以下のようなプリコーディング行列の式およびデコーディング行列の式が得られる。
【0111】
【数22】
【0112】
上式で、Hikは送信側kから受信側iへのチャネル係数行列であり、iは連続番号である、または、
【0113】
送信側によって得られたチャネル情報にエラーがある場合、式獲得モジュールは、送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値および送信側の対応する送信電力制限によって以下のようにラグランジュ関数を構築するようにさらに構成される。
【0114】
【数23】
【0115】
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、Pk=tr(vkHvk)であり、λkは乗数であり、
【0116】
【数24】
【0117】
は送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、送信側jから受信側Iへのチャネル係数行列の推定値は
【0118】
【数25】
【0119】
であり、Hijは送信側jから受信側iへのチャネル係数行列であり、eijは送信側jから受信側iへのチャネル係数行列の推定エラーであり、Kは送信側または受信側の数を表し、k、i、およびjは連続番号である。
【0120】
ラグランジュ関数のKKT条件によれば、以下のようなプリコーディング行列の式およびデコーディング行列の式が得られる。
【0121】
【数26】
【0122】
上式で、
【0123】
【数27】
【0124】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【0125】
【数28】
【0126】
は
【0127】
【数29】
【0128】
を満たす。
【0129】
さらに、反復モジュールは、初期値によって、デコーディング行列の式を使用してそれぞれのデコーディング行列を計算し、計算されたデコーディング行列を使用して現在の反復のラグランジュ乗数を得て、現在の反復のラグランジュ乗数によってプリコーディング行列をアップデートし、プリコーディング行列の初期値とアップデートされたプリコーディング行列とを置換し、反復を通じてプリコーディング行列を計算するように構成される。
【0130】
本発明の装置実施形態における機能モジュールおよびユニットの特定の動作方法は、本発明の方法実施形態を参照して得ることができる。本発明の装置実施形態におけるそれぞれの機能モジュールおよびユニットは別々に実装されてもよく、1つまたは複数のユニットに統合されることによって実装されてもよい。
【0131】
本発明の実施形態で提供される技術的ソリューションでは、送信側のプリコーディング行列はそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算され、それぞれの送信側のプリコーディング行列およびそれぞれの受信側のデコーディング行列の共同設計を通じて、よりよいパフォーマンスを有する干渉アライメント方法が実装され、それによってガウス干渉チャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態における技術的ソリューションはある特別なチャネルに限定されず、ユーザ間の干渉を回避しながらシステムの容量を著しく改善する。さらに、本発明はユーザ間の干渉を効果的に減少させ、システムのビットエラーレートを大いに減少させることができることが実験によって証明されている。
【0132】
本発明の実施形態はデコーディングのための装置をさらに提供し、図12に示されるように、装置は、
送信側からデータを受信するように構成され、プリコード行列を使用することによってそのデータがプリコードされる受信ユニット121と、
有効信号を取得するために、デコーディング行列を使用して受信ユニット121によって受信されたデータをデコードするように構成されデコーディングユニット122とを含み、
プリコーディング行列およびデコーディング行列は、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算することによって得られる。
【0133】
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値および送信側の対応する送信電力制限による計算を通じてデコーディング行列およびプリコーディング行列が得られると、デコーディングユニット122は、有効信号を取得するために、以下の式を有するデコーディング行列を使用して、受信ユニットによって受信されたデータをデコードするように構成される。
【0134】
【数30】
【0135】
または、送信側によって取得されたチャネル情報にエラーがある場合、ならびにデコーディング行列およびプリコーディング行列がそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値および送信側の対応する送信電力制限による計算を通じて得られる場合、デコーディングユニット122は、以下の式を有するデコーディング行列を使用する。
【0136】
【数31】
【0137】
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、Hkiは送信側iから受信側kへのチャネル係数行列であり、
【0138】
【数32】
【0139】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、
【0140】
【数33】
【0141】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【0142】
【数34】
【0143】
は
【0144】
【数35】
【0145】
を満たし、iは連続番号である。
【0146】
デコーディングユニットによって使用されるデコーディング行列はデコーディングユニットにおいてあらかじめ設定されたデコーディング行列でよく、またはデコーディング行列が必要とされる場合は、デコーディングユニットはデコーディング行列を得るために直接計算する。
【0147】
本発明の装置実施形態におけるそれぞれの機能モジュールおよびユニットの特定の動作方法は、本発明の方法実施形態を参照して得ることができる。本発明の装置実施形態におけるそれぞれの機能モジュールおよびユニットは別々に実装されてもよく、1つまたは複数のユニットに統合されることによって実装されてもよい。
【0148】
本発明の実施形態で提供される技術的ソリューションでは、それぞれの送信側のプリコーディング行列はそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算され、それぞれの送信側のプリコーディング行列およびそれぞれの受信側のデコーディング行列の共同設計を通じて、よりよいパフォーマンスを有する干渉アライメント方法が実装され、それによって干渉チャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態における技術的ソリューションはある特別なチャネルに限定されず、ユーザ間の干渉を回避しながらシステムの容量を著しく改善する。さらに、本発明はユーザ間の干渉を効果的に減少させ、システムのビットエラーレートを大いに減少させることができることが実験によって証明されている。
【0149】
本発明は、ソフトウェアおよび必要なユニバーサルハードウェアプラットフォームを通じて実現できることは当業者には明らかである。この理解に基づいて、本発明の技術的ソリューションまたは従来技術に貢献する部分はソフトウェア製品の形式で実質的に実施され得る。コンピュータソフトウェア製品は、ROM/RAM、磁気ディスク、または光ディスクなどの記憶メディアに格納でき、本発明のそれぞれの実施形態または実施形態のいくつかの部分において記載された方法を実行するようコンピュータ装置(たとえば、パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク装置)に命令するように構成された、いくつかの命令を含む。
【0150】
上記の記述は本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の趣旨から逸脱することなく当業者によって行われる様々な変形および修正は、本発明の保護範囲内である。したがって、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲に依存する。
【符号の説明】
【0151】
111 計算ユニット
112 プリコーディングユニット
121 受信ユニット
122 デコーディングユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信技術の分野に関し、特にプリコーディングのための方法および装置、ならびにデコーディングのための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムでは異なるユーザの信号間に相互干渉が存在し、ガウス干渉チャネルではそれぞれのユーザは自分の完全なチャネル情報を知っているが、異なるユーザのデータを共有することはできないので、共同伝送を実行できない。図1に示されるように、2人のユーザのガウス干渉チャネルが示されており、ユーザx1とx2との間に干渉が存在する。ユーザ間の干渉を解消する際のガウス干渉チャネルの容量の改善方法は、常に技術の発展を制限する主な障害の1つである。
【0003】
干渉チャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する従来のソリューションは、時分割多元接続(TDMA)技術、および周波数分割多元接続(FDMA)技術などの直交化を採用している。図2に示されるように、TDMAシステムの概略図が示されている。TDMAシステムでは、別々のユーザが別々の時間にデータを送信することによってユーザ間の相互干渉を回避する。TDMAシステムと同様、FDMAシステムでも、別々のユーザが別々の周波数でデータを送信することによってユーザ間の相互干渉を回避する。
【0004】
従来のソリューションの欠点を考慮して、ガウス干渉チャネルの集中的研究とともに、干渉アライメントの使用によってユーザ間の相互干渉を解決する方法を提供する。干渉アライメントとは、完全なチャネル情報を知っている状況で、送信側の前処理を通じて、それぞれの受信側の有益な信号および干渉信号が間隔をあけて分離され、受信側への異なる送信側の干渉が同じ空間次元で全て整列されることによって、干渉の影響を回避して容量を改善する目的を達成することを指す。ガウス干渉チャネルの容量および干渉アライメントの研究はまだ初期の段階であり、干渉アライメントの方法は研究において現在ホットスポットである。
【0005】
従来技術は特別なチャネルにおける干渉アライメントの例を提供する。図3に示されるように、特別なチャネルはK個の送信側およびK個の受信側を含む。目標とする受信側へのそれぞれの送信側のチャネル応答は1であり、全てのユーザへのそれぞれの送信側の干渉チャネルはそれに対応してiであり、送信信号が信号空間の実数部である場合、k番目の受信側の受信信号は、
【0006】
【数1】
【0007】
である。
【0008】
受信側は受信信号の実数部を直接取得することによってのみ送信信号を検出できることは明らかであり、すなわち、
【0009】
【数2】
【0010】
である。
【0011】
送信信号は信号空間の半分を失うが、ユーザ間の干渉が解消されたことがわかる。
【0012】
従来技術では、明示的干渉アライメント(明示的IA)の方法がさらに提供され、3人のユーザが同じアンテナを有する状況では、明示的IA方法はまず列空間(C)に以下の関係を構築するステップを含む。
c(H(12)V(2))=c(H(13)V(3))、
c(H(21)V(1))=c(H(23)V(3))、
c(H(31)V(1))=c(H(32)V(2))
上式で、H(ij)は送信機jから受信側iへのチャネル係数行列を表す。V(i)は送信側iのプリコーディング行列を表す。以下の式は前述の数式によって得ることができる。
E=(H(31))-1H(32)(H(12))-1H(13)(H(23))-1H(21)、
F=(H(32))-1H(31)およびG=(H(23))-1H(21)
【0013】
したがって、行列Eの前半固有ベクトルを行ベクトルとして使用することによって構築された行列が送信側1のプリコーディング行列V(1)として使用され、送信側2および送信側3のプリコーディング行列V(2)およびV(3)がそれぞれ以下のように得られる。
V(2)=FV(1)、V(3)=GV(1)
【0014】
本発明を実装する間、発明者は従来技術には少なくとも以下の問題があることを発見した。TDMAおよびFDMAなどの従来の直交化ソリューションは1/Klog(SNR)+o(log(SNR))だけという過度に低いシステム容量をもたらし、それによってシステムのスループットを制限してしまう。従来提供された干渉アライメント方法については、ある特別なチャネルにしか適用できず、特別なチャネルは構築が困難でほとんど実装できず、またこの方法はビットエラーレートが高くパフォーマンスが良くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来技術の問題を解決するために、本発明の実施形態は、マルチユーザ干渉システムの容量を改善し、ユーザ間の相互干渉を減少させることができる、プリコーディングのための方法および装置、ならびにデコーディングのための方法および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
目的を達成するために、本発明の実施形態は以下の技術的ソリューションを採用する。
【0017】
プリコーディングのための方法は、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によってそれぞれの送信側に関するプリコーディング行列を計算するステップと、
プリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードするステップとを含む。
【0018】
デコーディングのための方法は、
送信側からデータを受信するステップであって、プリコーディング行列を使用することによってそのデータがプリコードされるステップと、
有効信号を取得するために、デコーディング行列を使用して受信データをデコードするステップとを含み、
デコーディング行列およびプリコーディング行列はそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算することによって得られる。
【0019】
プリコーディングのための装置は、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によってそれぞれの送信側に関するプリコーディング行列を計算するように構成された計算ユニットと、
計算ユニットによって得られたプリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードするように構成されたプリコーディングユニットとを含む。
【0020】
デコーディングのための装置は、
送信側からデータを受信するように構成された受信ユニットであって、プリコーディング行列を使用することによってそのデータがプリコードされる受信ユニットと、
有効信号を取得するために、デコーディング行列を使用して受信ユニットによって受信されたデータをデコードするように構成されたデコーディングユニットとを含み、
デコーディング行列およびプリコーディング行列は、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算することによって得られる。
【0021】
本発明の実施形態で提供される技術的ソリューションでは、それぞれの送信側のプリコーディング行列はそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算され、それぞれの送信側のプリコーディング行列およびそれぞれの受信側のデコーディング行列の共同設計を通じて、よりよいパフォーマンスを有する干渉アライメント方法が実装され、それによって干渉チャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態における技術的ソリューションはある特別なチャネルに限定されず、ユーザ間の干渉を回避しながらシステムの容量を著しく改善する。さらに、本発明はユーザ間の干渉を効果的に減少させ、システムのビットエラーレートを大いに減少させることができることが実験によって証明されている。
【0022】
本発明の実施形態による、または従来技術における技術的ソリューションをより明確に示すために、実施形態または従来技術を説明するための添付の図面を以下で簡単に紹介する。以下の記述における添付の図面は本発明のいくつかの実施形態であり、当業者は創造的努力なしに添付の図面から他の図面を得ることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術における2人のユーザのガウス干渉チャネルの概略図である。
【図2】従来技術におけるTDMAシステムの概略図である。
【図3】従来技術における、特別なチャネルにおける干渉アライメント実行の概略図である。
【図4】本発明の実施形態1で提供されるプリコーディングのための方法の概略的流れ図である。
【図5】本発明の実施形態2で提供されるデコーディングのための方法の概略的流れ図である。
【図6】本発明の実施形態3で提供される、K人のユーザを有するMIMO干渉システムの概略図である。
【図7】本発明の実施形態3で提供される反復アルゴリズムの概略図である。
【図8】本発明の実施形態で提供される実験結果の図である。
【図9】本発明の実施形態で提供される、他の実験結果の図である。
【図10】本発明の実施形態で提供される、他の実験結果の図である。
【図11】本発明の実施形態で提供されるプリコーディングのための装置の概略的構造図である。
【図12】本発明の実施形態で提供されるデコーディングのための装置の概略的構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の技術的ソリューションを、以下で添付の図面を参照して明確かつ完全に説明する。説明する実施形態は本発明の実施形態の一部であり、その全てではないことは明らかである。本発明の実施形態に基づいて当業者によって創造的努力なしに得られる他の全ての実施形態は、本発明の保護範囲内であるものとする。
【0025】
本発明の実施形態は、多入力多出力(MIMO)干渉チャネルのジョイント反復(joint iteration)のための新しい干渉アライメント方法を主に提供する。技術的ソリューションは、送信機がデータを共有しない状況で、それぞれの送信側のプリコーディング行列およびそれぞれの受信側の受信ビーム形成フィルタの共同設計を通じて、よりよいパフォーマンスを有する干渉アライメント方法を実装し、それによって干渉チャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態の技術的ソリューションはある特別なチャネルに限定されず、適用の可能性が広く、たとえばロングタームエボリューション(LTE)およびLTEアドバンスネットワーク(LTE-Advanced)CoMPなどの技術に適用できる。本発明において提供される方法はユーザ間の干渉を効果的に減少させて、システムのビットエラーレート(BER)を大いに減少させることができることが実験によって証明されている。
【0026】
本発明の実施形態1で提供されるプリコーディングのための方法が図4に示されている。この方法は以下を含む。
ステップ41:それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によってそれぞれの送信側に関するプリコーディング行列を計算する。
ステップ42:プリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードする。
【0027】
さらに、送信側がプリコーディング行列を使用してデータをプリコードした後、対応するデコーディング行列を使用することによって受信側が有益な信号を確実に検出できるようにするために、受信側のプリコーディング行列および対応するデコーディング行列(受信フィルタ行列とも呼ばれる)は全て、全ての送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計が最小値となるようにする必要がある場合がある。あるいは、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計と重み因子との積の最小値となるようにする必要があり、重み因子は非線形因子でも線形因子でもよく、平均二乗誤差の合計に対し調整を実行するために使用される。あるいは、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、またはその合計とバイアスパラメータとの間の差によって、バイアスパラメータは非線形因子でも線形因子でもよく、平均二乗誤差の合計に調整を実行するために使用される。
【0028】
この実施形態では、プリコーディングを使用することによってデータにプリコーディングおよび関連処理を実行した後、対応するデコーディング行列を使用することによって有効信号を受信側が検出すると、有効信号が干渉信号から空間的に分離されることが確実になり、それによってチャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態は所望の効果を達成して、ビットエラーレートを著しく減少させることができることが実験によって証明されている。
【0029】
本発明の実施形態2で提供されるデコーディングのための方法が図5に示されている。この方法は以下を含む。
ステップ51:送信側からデータを受信し、プリコーディング行列を使用することによってそのデータがプリコードされる。
ステップ52:有効信号を取得するために、デコーディング行列を使用して受信データをデコードし、デコーディング行列およびプリコーディング行列はそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算することによって得られる。
【0030】
本発明の実施形態2では、有効信号と干渉信号とを空間的に分離するために、デコーディング行列を使用することによって受信側が受信データ上で検出を実行し、それによってチャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態は所望の効果を達成できることが実験によって証明されている。
【0031】
実施形態3で提供されるプリコーディングのための方法を以下で詳細に説明する。
【0032】
本発明の実施形態の技術的ソリューションを明確に説明するために、図6に示されているK人のユーザを有するMIMO干渉システムを例にとって本発明の実施形態を説明する。
【0033】
図6はK人のユーザを有する干渉システムを示しており、システムはK個の送信側とK個の受信側を同時に有している。送信側は基地局(NB)、拡張基地局(eNB)、および中継局(Relay NodeB)のうちの1つでもよく、上記の組合せでもよい。k番目の送信側のアンテナの数はMkであり、k番目の受信側のアンテナの数はNkであり、送信側kがDkストリームを対応するユーザkに送信し、送信側kの電力はPkであり、kはラベルである。システムの式は以下のように表すことができる。
【0034】
【数3】
【0035】
上式で、Xlは送信側lによって送信された信号(プリコードされた信号)であり、Ykは受信側kの受信信号ベクトルであり、nkは加法性ホワイトガウスノイズ(AWGN)のノイズベクトルであり、vkは送信側kのMk×Dkプリコーディング行列であり、Hklは送信側lから受信側kへのチャネル係数行列を表し、dkは送信側kによって送信されるデータベクトルを表す。l番目の送信機の総電力はE[||Xl||2]=Plである。
【0036】
本発明の実施形態では、送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計が目標最適化関数として使用され、最適化はプリコーディング行列を計算する際に以下のように表される。
【0037】
【数4】
【0038】
上式で、MSEkは送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、Pk=tr(vkHvk)は送信側kの送信電力制限を表す。本発明の実施形態では、図7に示されるように、プリコーディング行列を計算するステップは以下のステップを含む。
【0039】
ステップS1:最適化関数を構築する。
【0040】
この実施形態では、送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計および送信側の対応する送信電力制限によって対応するラグランジュ関数が構築される。特に、それぞれの送信側のプリコーディング行列が、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計および送信側の対応する送信電力制限の最小値によって計算され、またはそれぞれの送信側のプリコーディング行列が、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計と重み因子との積の最小値、ならびに送信側の対応する送信電力制限によって計算され、またはそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、またはそれぞれの送信側のプリコーディング行列がその合計とバイアスパラメータとの間の差、ならびに送信側の対応する送信電力制限によって計算される。重み因子またはバイアスパラメータは線形でも非線形でもよく、重み因子またはバイアスパラメータは送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計に調整を実行するために使用される。
【0041】
それぞれの送信側のプリコーディング行列が、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、および送信側の対応する送信電力制限によって計算される場合、特定の処理は以下の2つの方法を含む。
【0042】
方法1:最小平均二乗誤差干渉アライメント(MMSE-IA)方法。
【0043】
以下で示される最適化関数が構築され得る。
【0044】
【数5】
【0045】
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、送信側kの送信電力制限はPk=tr(vkHvk)で表され、λkは送信側kの送信電力制限に対応するラグランジュ乗数であり、MSEkは送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、Kは送信側または受信側の数を表し、kは送信側の連続番号である。
【0046】
方法2:堅牢な最小平均二乗誤差干渉アライメント(堅牢なMMSE-IA)方法
【0047】
チャネルの誤差が考慮される場合、以下で示される最適化関数が構築され得る。
【0048】
【数6】
【0049】
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、送信側kの送信電力制限はPk=tr(vkHvk)で表され、λkは送信側kの送信電力制限に対応するラグランジュ乗数であり、
【0050】
【数7】
【0051】
は送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、
【0052】
【数8】
【0053】
は送信側jから受信側iへのチャネル係数行列の推定値であり、Hijは送信側jから受信側iへのチャネル係数行列であり、eijは送信側jから受信側iへのチャネル係数行列の推定エラーであり、Kは送信側または受信側の数を表し、k、i、およびjは連続番号である。堅牢なMMSE-IAと比較すると、方法1における方法は従来の最小平均二乗誤差干渉アライメント(従来のMMSE-IA)とも呼ばれ得る。
【0054】
ここでは、eijの平均値はゼロであり、チャネル推定エラーの平均二乗偏差は
【0055】
【数9】
【0056】
である。
【0057】
実際のシステムでは、送信側はしばしばチャネル状態の正確な情報を取得できず、数式(2)を使用することによって最適化関数を構築する場合、ユーザ間の相互干渉をより効果的に回避して、不正確なチャネル状態情報の影響を減少させることができる堅牢な干渉アライメント方法が提供される。
【0058】
ステップS2:ラグランジュ関数の最適化状態によって、プリコーディング行列およびデコーディング行列の式を得る。
【0059】
ここでは、ラグランジュ関数の最適化条件としてKKT(Karush-Kuhn-Tucker:カルーシュキューンタッカー)条件が使用され、KKT条件は以下のように表すことができる。
【0060】
【数10】
【0061】
KKT条件によれば、(1)で示される最適化関数を使用する場合、以下のように示されるプリコーディング行列およびデコーディング行列の式が得られる。
【0062】
【数11】
【0063】
【数12】
【0064】
上式で、
【0065】
【数13】
【0066】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、Hikは送信側kから受信側iへのチャネル係数行列であり、iは連続番号である。
【0067】
KKT条件によれば、(2)に示される最適化関数を使用する場合、以下のように示されるプリコーディング行列およびデコーディング行列の式が得られる。
【0068】
【数14】
【0069】
【数15】
【0070】
上式で、
【0071】
【数16】
【0072】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、
【0073】
【数17】
【0074】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【0075】
【数18】
【0076】
は、
【0077】
【数19】
【0078】
を満たす。
【0079】
以上から、送信側のプリコーディング行列{vk},k=l,…,Kは、受信側のデコーディング行列{Rk},j=l,…,Kの関数と表され、受信側のデコーディング行列{Rk},j=l,…,Kは送信側のプリコーディング行列{vk},k=l,…,Kの関数と表され、したがってこの実施形態における反復アルゴリズムを使用することによって干渉アライメントが実行されることがわかる。
【0080】
ステップS3:プリコーディング行列およびデコーディング行列の式、ならびにプリコーディング行列の初期値を使用して、プリコーディング行列およびデコーディング行列を得るために反復を通じて計算する。特に、以下の処理が含まれる。
【0081】
ステップS31:プリコーディング行列の初期値を設定する。
【0082】
全ての送信側のプリコーディング行列が初期化され、vk,k=1,...,Kとなり、反復アルゴリズムが実行されているとプリコーディング行列の初期値が得られるようになる。しかし本発明はこれに限定されず、デコーディング行列も初期化され、デコーディング行列はデコーディング行列の初期値を使用することによって連続的にアップデートされ、後続の反復アルゴリズムが実行される。この時点で、現在の反復が反復側条件を満たす場合、現在の反復におけるアップデートされたデコーディング行列を使用して必要なプリコーディング行列を計算する必要がある。
【0083】
ステップS32:プリコーディング行列の初期値によって、デコーディング行列の式を使用してそれぞれのデコーディング行列を計算する。
【0084】
それぞれのデコーディング行列の式では、加法性ホワイトガウスノイズの分散
【0085】
【数20】
【0086】
およびチャネル係数行列Hが知られており、プリコーディング行列の初期値を使用することによる計算を通じてデコーディング行列を得ることができる。
【0087】
ステップS33:現在の反復のラグランジュ乗数を得るために、計算されたデコーディング行列を使用して計算する。
【0088】
ステップS34:現在の反復のラグランジュ乗数によって、プリコーディング行列をアップデートする。
【0089】
現在の反復の計算されたラグランジュ乗数λkおよびデコーディング行列よって、再計算を通じてアップデートされたプリコーディング行列が得られ、アップデートされたプリコーディング行列がこの反復で得られたプリコーディング行列として使用される。
【0090】
ステップS35:アップデートされたプリコーディング行列を使用してプリコーディング行列の初期値を置換して、プリコーディング行列を繰り返し計算できるようにする。
【0091】
ステップS31で、アップデートされたプリコーディング行列を使用してプリコーディング行列の初期値を置換し、反復側条件が満たされるまで、たとえばアルゴリズムが収束するまで、またはあらかじめ定められた反復回数に達するまで、ステップS31からステップS34の動作が繰り返される。
【0092】
たとえば、反復回数があらかじめ定められた値(たとえば32)に達すると動作が終了し、現在の反復において得られたプリコーディング行列およびデコーディング行列が最終プリコーディング行列およびデコーディング行列として使用される。または、
【0093】
現在の反復において得られたプリコーディング行列と、以前の反復において得られたプリコーディング行列との間の差の限界ノルム(bound norm)があらかじめ定められた値よりも小さい場合、この時点でアルゴリズムが収束したことを示し、現在の反復において得られたプリコーディング行列およびデコーディング行列が最終プリコーディング行列およびデコーディング行列として使用される。または、
【0094】
現在の反復において得られた送信側の平均二乗誤差の合計と、以前の反復において得られた送信側の平均二乗誤差の合計との間の差の絶対値があらかじめ定められた値よりも小さい場合、現在の反復において得られたプリコーディング行列およびデコーディング行列が最終プリコーディング行列およびデコーディング行列として使用される。
【0095】
送信側では、プリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードして、対応する処理が実行された後、プリコードされたデータが送信される。
【0096】
送信側によって送信されたデータを受信側が受信して、受信側が対応するデコーディング行列を使用することによってデータをデコードして有効信号を得られるようにする。デコーディング行列を使用することによって受信側が高品質な有効信号を確実に検出できるようにするために、本発明の実施形態では、受信側によって使用されるデコーディング行列は送信側によって使用されるプリコーディング行列に対応し、たとえば、デコーディング行列およびプリコーディング行列は全て、全ての送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計が最小値に到達できるようにする。この時点で、ステップS3における方法を使用することによる計算を通じてデコーディング行列を得ることができ、たとえば、デコーディング行列の初期値によって、ステップS1における方法を使用して後続の反復動作を実行し、反復が終了すると、最後のアップデートで得られたデコーディング行列が受信側によって必要とされるデコーディング行列として使用される。
【0097】
受信側は、有効信号を検出するために別のデコーディング方法を使用して信号をデコードすることもできることが理解されよう。たとえば、受信側は有効信号を検出するために、信号をデコードするためにZF受信フィルタを使用する。
【0098】
受信側は、信号を検出する際に使用されるデコーディング行列としてあらかじめ設定されたデコーディング行列を使用でき、または受信側は信号を検出する際にデコーディング行列をリアルタイムで計算する。たとえば、受信側はステップS1およびステップS2で説明した方法を使用して、デコーディング行列を計算する。
【0099】
本発明の実施境内で提供される技術的ソリューションでは、それぞれの送信側のプリコーディング行列がそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算され、それぞれの送信側のプリコーディング行列およびそれぞれの受信側のデコーディング行列の共同設計を通じて、よりよいパフォーマンスを有する干渉アライメント方法が実装され、それによって干渉チャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態における技術的ソリューションはある特別なチャネルに限定されず、ユーザ間の干渉を回避しながらシステムの容量を著しく改善する。さらに、本発明はユーザ間の干渉を効果的に減少させ、システムのビットエラーレートを大いに減少させることができることが実験によって証明されている。
【0100】
実験データを通じて、本発明の有益な効果をさらに説明する。実験では、3人のユーザを有するMIMO干渉チャネルシステムが採用され、すなわちK=3であり、それぞれの送信側の送信アンテナの数は4であり、すなわちM1=M2=M3=4であり、それぞれの受信側の受信アンテナの数は4であり、すなわちN1=N2=N3=4であり、すなわちアンテナ構成は{3;(4,4,4), (4,4,4)}と表すことができる。それぞれの送信側は2つのストリームを送信し、D1=D2=D3=2であり、QPSKを使用することによって変調される。
【0101】
図8は本発明の実施形態で提供される実験結果図であり、図8では横軸は信号対ノイズ比(Eb/N0)を表し、縦軸はビットエラーレートを表す。図8では、上から下に向かって、一番上は反復回数が2の場合の曲線(すなわち丸印を有する曲線)であり、次の曲線は反復回数が4の場合の曲線(すなわち、四角印を有する曲線)であり、次の曲線は反復回数が8の場合の曲線(すなわち三角印を有する曲線)であり、次の曲線は反復回数が16の場合の曲線(すなわち十字印を有する曲線)であり、一番下の曲線は反復回数が32の場合の曲線(すなわち*印を有する曲線)である。図8は、反復回数が増加するにつれて、本発明の干渉アライメント方法がシステムのビットエラーレートパフォーマンスを著しく改善することを示している。
【0102】
図9は本発明の実施形態で提供される実験結果図であり、図9では横軸は信号対ノイズ比(Eb/N0)を表し、縦軸はビットエラーレートを表す。図9では、本発明のプリコーディングのための方法(選択された反復回数は16)を使用することによって干渉アライメントを実行する状況が、従来の明示的干渉アライメント(明示的IA)方法と比較され、明示的IAが図面における丸印を有する曲線によって示されており、本発明の実施形態で提供される干渉アライメント方法(MMSE-IA)が図面における十字印を有する曲線によって示されており、本発明のMMSE-IA方法がシステムのビットエラーレートパフォーマンスを著しく改善することがわかる。
【0103】
図10は本発明の実施形態で提供される実験結果図であり、図10では横軸は信号対ノイズ比(Eb/N0)を表し、縦軸はビットエラーレートを表す。図10は、本発明において提供されるMMSE-IAが理想的チャネル状態(完全なCSIを有するMMSE-IA)で採用される場合、MMSE-IAが非理想的チャネル状態(不完全なCSIを有する従来のMMSE-IA)で採用される場合、および堅牢なMMSE-IAが非理想的チャネル状態で採用される場合の実験結果の比較を示している。本発明において提供される堅牢なMMSE-IA方法はチャネル情報のエラーに対してより堅牢であることがわかる。
【0104】
本発明の実施形態はプリコーディングのための装置をさらに提供し、図11に示されるように、装置は、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によってそれぞれの送信側に関するプリコーディング行列を計算するように構成された計算ユニット111と、
計算ユニット111によって得られたプリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードするように構成されたプリコーディングユニット112とを含む。
【0105】
さらに、計算ユニット111は、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値によってそれぞれの送信側のプリコーディング行列を計算するように、またはそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計と重み因子との積の最小値によってそれぞれの送信側のプリコーディング行列を計算するように、あるいはそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、またはその合計とバイアスパラメータとの間の差によってそれぞれの送信側のプリコーディング行列を計算するように構成される。
【0106】
計算ユニット111は、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値によって、またはそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計と重み因子との積の最小値によって、あるいはそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、またはその合計とバイアスパラメータとの間の差によって、および送信側の対応する送信電力制限によって対応するラグランジュ関数を構築して、ラグランジュ関数の最適化状態によってプリコーディング行列の式およびデコーディング行列の式を得るように構成された式獲得モジュールと、
式獲得モジュールによって得られたプリコーディング行列およびデコーディング行列の式、ならびにプリコーディング行列の初期値を使用することによって、プリコーディング行列を得るために反復を通じて計算するように構成された反復モジュールとを含む。
【0107】
式獲得モジュールは、送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、および送信側の対応する送信電力制限によって以下のようにラグランジュ関数を構築するようにさらに構成されている。
【0108】
【数21】
【0109】
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、送信側kの送信電力制限はPk=tr(vkHvk)で表され、λkはラグランジュ乗数であり、MSEkは送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、Kは送信側または受信側の数を表し、kは連続番号である。
【0110】
ラグランジュ関数のKKT条件によれば、以下のようなプリコーディング行列の式およびデコーディング行列の式が得られる。
【0111】
【数22】
【0112】
上式で、Hikは送信側kから受信側iへのチャネル係数行列であり、iは連続番号である、または、
【0113】
送信側によって得られたチャネル情報にエラーがある場合、式獲得モジュールは、送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値および送信側の対応する送信電力制限によって以下のようにラグランジュ関数を構築するようにさらに構成される。
【0114】
【数23】
【0115】
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、Pk=tr(vkHvk)であり、λkは乗数であり、
【0116】
【数24】
【0117】
は送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、送信側jから受信側Iへのチャネル係数行列の推定値は
【0118】
【数25】
【0119】
であり、Hijは送信側jから受信側iへのチャネル係数行列であり、eijは送信側jから受信側iへのチャネル係数行列の推定エラーであり、Kは送信側または受信側の数を表し、k、i、およびjは連続番号である。
【0120】
ラグランジュ関数のKKT条件によれば、以下のようなプリコーディング行列の式およびデコーディング行列の式が得られる。
【0121】
【数26】
【0122】
上式で、
【0123】
【数27】
【0124】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【0125】
【数28】
【0126】
は
【0127】
【数29】
【0128】
を満たす。
【0129】
さらに、反復モジュールは、初期値によって、デコーディング行列の式を使用してそれぞれのデコーディング行列を計算し、計算されたデコーディング行列を使用して現在の反復のラグランジュ乗数を得て、現在の反復のラグランジュ乗数によってプリコーディング行列をアップデートし、プリコーディング行列の初期値とアップデートされたプリコーディング行列とを置換し、反復を通じてプリコーディング行列を計算するように構成される。
【0130】
本発明の装置実施形態における機能モジュールおよびユニットの特定の動作方法は、本発明の方法実施形態を参照して得ることができる。本発明の装置実施形態におけるそれぞれの機能モジュールおよびユニットは別々に実装されてもよく、1つまたは複数のユニットに統合されることによって実装されてもよい。
【0131】
本発明の実施形態で提供される技術的ソリューションでは、送信側のプリコーディング行列はそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算され、それぞれの送信側のプリコーディング行列およびそれぞれの受信側のデコーディング行列の共同設計を通じて、よりよいパフォーマンスを有する干渉アライメント方法が実装され、それによってガウス干渉チャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態における技術的ソリューションはある特別なチャネルに限定されず、ユーザ間の干渉を回避しながらシステムの容量を著しく改善する。さらに、本発明はユーザ間の干渉を効果的に減少させ、システムのビットエラーレートを大いに減少させることができることが実験によって証明されている。
【0132】
本発明の実施形態はデコーディングのための装置をさらに提供し、図12に示されるように、装置は、
送信側からデータを受信するように構成され、プリコード行列を使用することによってそのデータがプリコードされる受信ユニット121と、
有効信号を取得するために、デコーディング行列を使用して受信ユニット121によって受信されたデータをデコードするように構成されデコーディングユニット122とを含み、
プリコーディング行列およびデコーディング行列は、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算することによって得られる。
【0133】
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値および送信側の対応する送信電力制限による計算を通じてデコーディング行列およびプリコーディング行列が得られると、デコーディングユニット122は、有効信号を取得するために、以下の式を有するデコーディング行列を使用して、受信ユニットによって受信されたデータをデコードするように構成される。
【0134】
【数30】
【0135】
または、送信側によって取得されたチャネル情報にエラーがある場合、ならびにデコーディング行列およびプリコーディング行列がそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値および送信側の対応する送信電力制限による計算を通じて得られる場合、デコーディングユニット122は、以下の式を有するデコーディング行列を使用する。
【0136】
【数31】
【0137】
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、Hkiは送信側iから受信側kへのチャネル係数行列であり、
【0138】
【数32】
【0139】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、
【0140】
【数33】
【0141】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【0142】
【数34】
【0143】
は
【0144】
【数35】
【0145】
を満たし、iは連続番号である。
【0146】
デコーディングユニットによって使用されるデコーディング行列はデコーディングユニットにおいてあらかじめ設定されたデコーディング行列でよく、またはデコーディング行列が必要とされる場合は、デコーディングユニットはデコーディング行列を得るために直接計算する。
【0147】
本発明の装置実施形態におけるそれぞれの機能モジュールおよびユニットの特定の動作方法は、本発明の方法実施形態を参照して得ることができる。本発明の装置実施形態におけるそれぞれの機能モジュールおよびユニットは別々に実装されてもよく、1つまたは複数のユニットに統合されることによって実装されてもよい。
【0148】
本発明の実施形態で提供される技術的ソリューションでは、それぞれの送信側のプリコーディング行列はそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計によって計算され、それぞれの送信側のプリコーディング行列およびそれぞれの受信側のデコーディング行列の共同設計を通じて、よりよいパフォーマンスを有する干渉アライメント方法が実装され、それによって干渉チャネルにおけるユーザ間の相互干渉を回避する。本発明の実施形態における技術的ソリューションはある特別なチャネルに限定されず、ユーザ間の干渉を回避しながらシステムの容量を著しく改善する。さらに、本発明はユーザ間の干渉を効果的に減少させ、システムのビットエラーレートを大いに減少させることができることが実験によって証明されている。
【0149】
本発明は、ソフトウェアおよび必要なユニバーサルハードウェアプラットフォームを通じて実現できることは当業者には明らかである。この理解に基づいて、本発明の技術的ソリューションまたは従来技術に貢献する部分はソフトウェア製品の形式で実質的に実施され得る。コンピュータソフトウェア製品は、ROM/RAM、磁気ディスク、または光ディスクなどの記憶メディアに格納でき、本発明のそれぞれの実施形態または実施形態のいくつかの部分において記載された方法を実行するようコンピュータ装置(たとえば、パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク装置)に命令するように構成された、いくつかの命令を含む。
【0150】
上記の記述は本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の趣旨から逸脱することなく当業者によって行われる様々な変形および修正は、本発明の保護範囲内である。したがって、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲に依存する。
【符号の説明】
【0151】
111 計算ユニット
112 プリコーディングユニット
121 受信ユニット
122 デコーディングユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計に従ってそれぞれの送信側に関するプリコーディング行列を計算するステップと、
前記プリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードするステップとを備える、プリコーディングのための方法。
【請求項2】
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計に従ってそれぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算する前記ステップが、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の前記合計の最小値に従ってそれぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算するステップ、または
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の前記合計と重み因子との積の最小値に従ってそれぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算するステップ、または
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の前記合計の最小値、またはその合計とバイアスパラメータとの間の差に従って、それぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算するステップを備える、請求項1に記載のプリコーディングのための方法。
【請求項3】
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計に従ってそれぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算する前記ステップが、
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値に従って、またはそれぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計と前記重み因子との積の最小値に従って、あるいはそれぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値、または前記合計とバイアスパラメータとの間の前記差に従って、および送信側の対応する送信電力制限に従って対応するラグランジュ関数を構築するステップと、
前記ラグランジュ関数の最適化状態に従って、前記プリコーディング行列の式およびデコーディング行列の式を得るステップと、
前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式、ならびに前記プリコーディング行列の初期値を使用して、前記プリコーディング行列を得るために反復を通じて計算するステップとを備える、請求項1または2に記載のプリコーディングのための方法。
【請求項4】
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値および前記送信側の前記対応する送信電力制限に従って、以下のようにラグランジュ関数を構築するステップと、
【数1】
前記ラグランジュ関数のKKT条件に従って、前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式を以下のように得るステップと、
【数2】
前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式、ならびに前記プリコーディング行列の初期値を使用して、前記プリコーディング行列を得るために反復を通じて計算するステップとを備え、
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、前記送信側kの前記送信電力制限はPk=tr(vkHvk)で表され、λkは前記送信側kの前記送信電力制限に対応するラグランジュ乗数であり、MSEkは前記送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、Kは送信側または受信側の数を表し、kは送信側の連続番号であり、
【数3】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、Hikは前記送信側kから受信側iへのチャネル係数行列であり、iは連続番号である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値および前記送信側の前記対応する送信電力制限に従って、以下のようにラグランジュ関数を構築するステップと、
【数4】
前記ラグランジュ関数のKKT条件に従って、前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式を以下のように得るステップと、
【数5】
前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式、ならびに前記プリコーディング行列の初期値を使用して、前記プリコーディング行列を得るために反復を通じて計算するステップとを備え、
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、前記送信側kの前記送信電力制限はPk=tr(vkHvk)で表され、λkは前記送信側kの前記送信電力制限に対応するラグランジュ乗数であり、
【数6】
は前記送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、送信側jから受信側iへのチャネル係数行列の推定値は
【数7】
であり、Hijは前記送信側jから前記受信側iへのチャネル係数行列であり、eijは前記送信側jから前記受信側iへの前記チャネル係数行列の推定エラーであり、Kは送信側または受信側の数を表し、k、i、およびjは連続番号であり、
【数8】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、
【数9】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【数10】
は、
【数11】
を満たす、請求項3に記載のプリコーディングのための方法。
【請求項6】
前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式、ならびに前記プリコーディング行列の前記初期値を使用して、前記プリコーディング行列を得るために反復を通じて計算する前記ステップが、
前記プリコーディング行列の前記初期値に従って、前記デコーディング行列の前記式を使用してそれぞれのデコーディング行列を計算するステップと、
計算されたデコーディング行列を使用して現在の反復のラグランジュ乗数を得るために計算するステップと、
前記現在の反復の前記ラグランジュ乗数に従って、前記プリコーディング行列をアップデートするステップと、
アップデートされたプリコーディング行列を使用して前記プリコーディング行列の前記初期値を置換して、反復を通じて前記プリコーディング行列を計算するステップとを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
反復を通じて前記プリコーディング行列を計算するために、前記アップデートされたプリコーディング行列を使用して前記プリコーディング行列の前記初期値を置換する前記ステップが、
反復回数があらかじめ定められた値に達すると、前記現在の反復において得られたプリコーディング行列を前記プリコーディング行列として使用するステップ、または、
前記現在の反復において得られた前記プリコーディング行列と、以前の反復において得られたプリコーディング行列との間の差の限界ノルムがあらかじめ定められた値よりも小さい場合、前記現在の反復において得られた前記プリコーディング行列を前記プリコーディング行列として使用するステップ、または、
前記現在の反復において得られた送信側の平均二乗誤差の前記合計と、前記以前の反復において得られた前記送信側の平均二乗誤差の前記合計との間の差の絶対値があらかじめ定められた値よりも小さい場合、前記現在の反復において得られた前記プリコーディング行列を前記プリコーディング行列として使用するステップを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
送信側からデータを受信するステップであって、プリコーディング行列を使用することによって前記データがプリコードされるステップと、
有効信号を取得するために、デコーディング行列を使用して受信データをデコードするステップとを備え、
前記デコーディング行列および前記プリコーディング行列がそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計に従って計算することによって得られる、デコーディングのための方法。
【請求項9】
前記デコーディング行列および前記プリコーディング行列がそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計および送信側の対応する送信電力制限に従って計算することによって得られ、前記デコーディング行列が以下の式
【数12】
または
【数13】
を有し、
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、Hkiは送信側iから前記受信側kへのチャネル係数行列であり、
【数14】
は前記送信側iから前記受信側kへの前記チャネル係数行列の推定値であり、
【数15】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、
【数16】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【数17】
は
【数18】
を満たし、iは連続番号である、請求項8に記載のデコーディングのための方法。
【請求項10】
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計に従ってそれぞれの送信側に関するプリコーディング行列を計算するように構成された計算ユニットと、
前記計算ユニットによって得られた前記プリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードするように構成されたプリコーディングユニットとを備える、プリコーディングのための装置。
【請求項11】
前記計算ユニットが、
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の最小値によってそれぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算するか、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の前記合計と重み因子との積の最小値に従ってそれぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算するか、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の前記合計の最小値、またはその合計とバイアスパラメータとの間の差に従って、それぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算するように構成された、請求項10に記載のプリコーディングのための装置。
【請求項12】
前記計算ユニットが、
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値に従って、またはそれぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計と重み因子との積の最小値に従って、あるいはそれぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、または前記合計とバイアスパラメータとの間の差に従って、および送信側の対応する送信電力制限に従って対応するラグランジュ関数を構築して、前記ラグランジュ関数の最適化状態に従って前記プリコーディング行列の式および前記デコーディング行列の式を得るように構成された式獲得モジュールと、
前記式獲得モジュールによって得られた前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式、ならびに前記プリコーディング行列の初期値を使用することによって、前記プリコーディング行列を得るために反復を通じて計算するように構成された反復モジュールとを備える、請求項10または11に記載のプリコーディングのための装置。
【請求項13】
前記式獲得モジュールが、送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値、および送信側の対応する送信電力制限に従って以下のようにラグランジュ関数を構築するように構成されており、
【数19】
前記ラグランジュ関数のKKT条件に従って、以下のような前記プリコーディング行列の式および前記デコーディング行列の式が得られ、
【数20】
【数21】
または、
前記式獲得モジュールは、送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値および送信側の前記対応する送信電力制限に従って以下のようにラグランジュ関数を構築するように構成され、
【数22】
前記ラグランジュ関数の前記KKT条件に従って、以下のような前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式が得られ、
【数23】
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、前記送信側kの前記送信電力制限はPk=tr(vkHvk)で表され、λkは前記送信側kの前記送信電力制限に対応するラグランジュ乗数であり、MSEkは前記送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、
【数24】
は前記送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、
【数25】
送信側jから受信側iへのチャネル係数行列の推定値であり、Hijは前記送信側jから前記受信側iへのチャネル係数行列であり、eijは前記送信側jから前記受信側iへの前記チャネル係数行列の推定エラーであり、
【数26】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、
【数27】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【数28】
は、
【数29】
を満たし、Kは送信側および受信側の数を表し、k、i、およびjは連続番号である、請求項10または11に記載のプリコーディングのための装置。
【請求項14】
前記反復モジュールが、前記プリコーディング行列の初期値に従って、前記デコーディング行列の前記式を使用してそれぞれのデコーディング行列を計算し、計算されたデコーディング行列を使用して前記現在の反復のラグランジュ乗数を得て、現在の反復の前記ラグランジュ乗数に従って前記プリコーディング行列をアップデートし、前記プリコーディング行列の前記初期値とアップデートされたプリコーディング行列とを置換し、反復を通じて前記プリコーディング行列を計算するように構成される、請求項10または11に記載のプリコーディングのための装置。
【請求項15】
送信側からデータを受信するように構成された受信ユニットであって、プリコーディング行列を使用することによって前記データがプリコードされる受信ユニットと、
有効信号を取得するために、デコーディング行列を使用して前記受信ユニットによって受信されたデータをデコードするように構成されたデコーディングユニットとを備え、
前記プリコーディング行列および前記デコーディング行列は、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計に従って計算することによって得られる、デコーディングのための装置。
【請求項16】
前記デコーディング行列および前記プリコーディング行列がそれぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の最小値および送信側の対応する送信電力制限による計算を通じて得られる場合、前記デコーディングユニットは、前記有効信号を取得するために、以下の式を有するデコーディング行列を使用して前記受信ユニットによって受信された前記データをデコードするように構成され、
【数30】
【数31】
または、
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、Hkiは送信側iから前記受信側kへのチャネル係数行列であり、
【数32】
は前記送信側iから前記受信側kへのチャネル係数行列の推定値であり、
【数33】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、
【数34】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【数35】
は
【数36】
を満たし、iは連続番号である、請求項15に記載のデコーディングのための装置。
【請求項1】
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計に従ってそれぞれの送信側に関するプリコーディング行列を計算するステップと、
前記プリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードするステップとを備える、プリコーディングのための方法。
【請求項2】
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計に従ってそれぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算する前記ステップが、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の前記合計の最小値に従ってそれぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算するステップ、または
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の前記合計と重み因子との積の最小値に従ってそれぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算するステップ、または
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の前記合計の最小値、またはその合計とバイアスパラメータとの間の差に従って、それぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算するステップを備える、請求項1に記載のプリコーディングのための方法。
【請求項3】
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計に従ってそれぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算する前記ステップが、
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値に従って、またはそれぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計と前記重み因子との積の最小値に従って、あるいはそれぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値、または前記合計とバイアスパラメータとの間の前記差に従って、および送信側の対応する送信電力制限に従って対応するラグランジュ関数を構築するステップと、
前記ラグランジュ関数の最適化状態に従って、前記プリコーディング行列の式およびデコーディング行列の式を得るステップと、
前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式、ならびに前記プリコーディング行列の初期値を使用して、前記プリコーディング行列を得るために反復を通じて計算するステップとを備える、請求項1または2に記載のプリコーディングのための方法。
【請求項4】
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値および前記送信側の前記対応する送信電力制限に従って、以下のようにラグランジュ関数を構築するステップと、
【数1】
前記ラグランジュ関数のKKT条件に従って、前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式を以下のように得るステップと、
【数2】
前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式、ならびに前記プリコーディング行列の初期値を使用して、前記プリコーディング行列を得るために反復を通じて計算するステップとを備え、
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、前記送信側kの前記送信電力制限はPk=tr(vkHvk)で表され、λkは前記送信側kの前記送信電力制限に対応するラグランジュ乗数であり、MSEkは前記送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、Kは送信側または受信側の数を表し、kは送信側の連続番号であり、
【数3】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、Hikは前記送信側kから受信側iへのチャネル係数行列であり、iは連続番号である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値および前記送信側の前記対応する送信電力制限に従って、以下のようにラグランジュ関数を構築するステップと、
【数4】
前記ラグランジュ関数のKKT条件に従って、前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式を以下のように得るステップと、
【数5】
前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式、ならびに前記プリコーディング行列の初期値を使用して、前記プリコーディング行列を得るために反復を通じて計算するステップとを備え、
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、前記送信側kの前記送信電力制限はPk=tr(vkHvk)で表され、λkは前記送信側kの前記送信電力制限に対応するラグランジュ乗数であり、
【数6】
は前記送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、送信側jから受信側iへのチャネル係数行列の推定値は
【数7】
であり、Hijは前記送信側jから前記受信側iへのチャネル係数行列であり、eijは前記送信側jから前記受信側iへの前記チャネル係数行列の推定エラーであり、Kは送信側または受信側の数を表し、k、i、およびjは連続番号であり、
【数8】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、
【数9】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【数10】
は、
【数11】
を満たす、請求項3に記載のプリコーディングのための方法。
【請求項6】
前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式、ならびに前記プリコーディング行列の前記初期値を使用して、前記プリコーディング行列を得るために反復を通じて計算する前記ステップが、
前記プリコーディング行列の前記初期値に従って、前記デコーディング行列の前記式を使用してそれぞれのデコーディング行列を計算するステップと、
計算されたデコーディング行列を使用して現在の反復のラグランジュ乗数を得るために計算するステップと、
前記現在の反復の前記ラグランジュ乗数に従って、前記プリコーディング行列をアップデートするステップと、
アップデートされたプリコーディング行列を使用して前記プリコーディング行列の前記初期値を置換して、反復を通じて前記プリコーディング行列を計算するステップとを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
反復を通じて前記プリコーディング行列を計算するために、前記アップデートされたプリコーディング行列を使用して前記プリコーディング行列の前記初期値を置換する前記ステップが、
反復回数があらかじめ定められた値に達すると、前記現在の反復において得られたプリコーディング行列を前記プリコーディング行列として使用するステップ、または、
前記現在の反復において得られた前記プリコーディング行列と、以前の反復において得られたプリコーディング行列との間の差の限界ノルムがあらかじめ定められた値よりも小さい場合、前記現在の反復において得られた前記プリコーディング行列を前記プリコーディング行列として使用するステップ、または、
前記現在の反復において得られた送信側の平均二乗誤差の前記合計と、前記以前の反復において得られた前記送信側の平均二乗誤差の前記合計との間の差の絶対値があらかじめ定められた値よりも小さい場合、前記現在の反復において得られた前記プリコーディング行列を前記プリコーディング行列として使用するステップを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
送信側からデータを受信するステップであって、プリコーディング行列を使用することによって前記データがプリコードされるステップと、
有効信号を取得するために、デコーディング行列を使用して受信データをデコードするステップとを備え、
前記デコーディング行列および前記プリコーディング行列がそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計に従って計算することによって得られる、デコーディングのための方法。
【請求項9】
前記デコーディング行列および前記プリコーディング行列がそれぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計および送信側の対応する送信電力制限に従って計算することによって得られ、前記デコーディング行列が以下の式
【数12】
または
【数13】
を有し、
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、Hkiは送信側iから前記受信側kへのチャネル係数行列であり、
【数14】
は前記送信側iから前記受信側kへの前記チャネル係数行列の推定値であり、
【数15】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、
【数16】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【数17】
は
【数18】
を満たし、iは連続番号である、請求項8に記載のデコーディングのための方法。
【請求項10】
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計に従ってそれぞれの送信側に関するプリコーディング行列を計算するように構成された計算ユニットと、
前記計算ユニットによって得られた前記プリコーディング行列を使用して、それぞれの送信側によって送信されるデータをプリコードするように構成されたプリコーディングユニットとを備える、プリコーディングのための装置。
【請求項11】
前記計算ユニットが、
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の最小値によってそれぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算するか、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の前記合計と重み因子との積の最小値に従ってそれぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算するか、
それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の前記合計の最小値、またはその合計とバイアスパラメータとの間の差に従って、それぞれの送信側に関する前記プリコーディング行列を計算するように構成された、請求項10に記載のプリコーディングのための装置。
【請求項12】
前記計算ユニットが、
それぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値に従って、またはそれぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計と重み因子との積の最小値に従って、あるいはそれぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の合計の最小値、または前記合計とバイアスパラメータとの間の差に従って、および送信側の対応する送信電力制限に従って対応するラグランジュ関数を構築して、前記ラグランジュ関数の最適化状態に従って前記プリコーディング行列の式および前記デコーディング行列の式を得るように構成された式獲得モジュールと、
前記式獲得モジュールによって得られた前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式、ならびに前記プリコーディング行列の初期値を使用することによって、前記プリコーディング行列を得るために反復を通じて計算するように構成された反復モジュールとを備える、請求項10または11に記載のプリコーディングのための装置。
【請求項13】
前記式獲得モジュールが、送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値、および送信側の対応する送信電力制限に従って以下のようにラグランジュ関数を構築するように構成されており、
【数19】
前記ラグランジュ関数のKKT条件に従って、以下のような前記プリコーディング行列の式および前記デコーディング行列の式が得られ、
【数20】
【数21】
または、
前記式獲得モジュールは、送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の前記最小値および送信側の前記対応する送信電力制限に従って以下のようにラグランジュ関数を構築するように構成され、
【数22】
前記ラグランジュ関数の前記KKT条件に従って、以下のような前記プリコーディング行列の前記式および前記デコーディング行列の前記式が得られ、
【数23】
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、前記送信側kの前記送信電力制限はPk=tr(vkHvk)で表され、λkは前記送信側kの前記送信電力制限に対応するラグランジュ乗数であり、MSEkは前記送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、
【数24】
は前記送信側kによって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差であり、
【数25】
送信側jから受信側iへのチャネル係数行列の推定値であり、Hijは前記送信側jから前記受信側iへのチャネル係数行列であり、eijは前記送信側jから前記受信側iへの前記チャネル係数行列の推定エラーであり、
【数26】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、
【数27】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【数28】
は、
【数29】
を満たし、Kは送信側および受信側の数を表し、k、i、およびjは連続番号である、請求項10または11に記載のプリコーディングのための装置。
【請求項14】
前記反復モジュールが、前記プリコーディング行列の初期値に従って、前記デコーディング行列の前記式を使用してそれぞれのデコーディング行列を計算し、計算されたデコーディング行列を使用して前記現在の反復のラグランジュ乗数を得て、現在の反復の前記ラグランジュ乗数に従って前記プリコーディング行列をアップデートし、前記プリコーディング行列の前記初期値とアップデートされたプリコーディング行列とを置換し、反復を通じて前記プリコーディング行列を計算するように構成される、請求項10または11に記載のプリコーディングのための装置。
【請求項15】
送信側からデータを受信するように構成された受信ユニットであって、プリコーディング行列を使用することによって前記データがプリコードされる受信ユニットと、
有効信号を取得するために、デコーディング行列を使用して前記受信ユニットによって受信されたデータをデコードするように構成されたデコーディングユニットとを備え、
前記プリコーディング行列および前記デコーディング行列は、それぞれの送信側によって送信されるデータベクトルの平均二乗誤差の合計に従って計算することによって得られる、デコーディングのための装置。
【請求項16】
前記デコーディング行列および前記プリコーディング行列がそれぞれの送信側によって送信される前記データベクトルの平均二乗誤差の前記合計の最小値および送信側の対応する送信電力制限による計算を通じて得られる場合、前記デコーディングユニットは、前記有効信号を取得するために、以下の式を有するデコーディング行列を使用して前記受信ユニットによって受信された前記データをデコードするように構成され、
【数30】
【数31】
または、
上式で、vkは送信側kのプリコーディング行列であり、Rkは受信側kのデコーディング行列であり、Hkiは送信側iから前記受信側kへのチャネル係数行列であり、
【数32】
は前記送信側iから前記受信側kへのチャネル係数行列の推定値であり、
【数33】
は加法性ホワイトガウスノイズの分散であり、
【数34】
はチャネル推定エラーの平均二乗偏差であり、
【数35】
は
【数36】
を満たし、iは連続番号である、請求項15に記載のデコーディングのための装置。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図2】
【図8】
【図9】
【図10】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図2】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2013−514684(P2013−514684A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543461(P2012−543461)
【出願日】平成22年12月18日(2010.12.18)
【国際出願番号】PCT/CN2010/079972
【国際公開番号】WO2011/072621
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(504277388)▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司 (220)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月18日(2010.12.18)
【国際出願番号】PCT/CN2010/079972
【国際公開番号】WO2011/072621
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(504277388)▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司 (220)
【Fターム(参考)】
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