説明

プリズムレンズフィルム及びこれを用いた平面型発光装置

【課題】 光源からの光の利用効率を大幅に向上させて画面輝度を良好に高める。
【解決手段】 透光性フィルムの表裏両面に凹凸パターンを刻設して直線状に配列された複数のプリズムレンズ31,33を形成してプリズムレンズフィルム15とする。一方の面に、入射光の全反射を防止するためのプリズムレンズ33からなる全反射防止機能層を設ける。他方の面に、一方の面から導入された光の光路を偏向するプリズムレンズ31からなる光偏向機能層を設ける。有機EL素子からなる平面光源13にプリズムレンズフィルム15を積層させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルPC、PDA、携帯電話、ノート・デスクトップPC、銀行等のキャッシュディスペンサー端末等の表示装置や平面型テレビジョン等に用いられるプリズムレンズフィルム及びこれを用いた平面型発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機EL発光素子においては、発光光の利用効率が低く、ディスプレイとしての画面輝度が、他の液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネルPDPなどと比較して劣るため、画面輝度を向上させることが望まれていた。このため、有機EL発光素子の素材を改良して発光効率を向上させたり、液晶ディスプレイで用いられているプリズムレンズフィルムを発光素子からなる光源に積層させて光利用効率を向上させる等の工夫が試みられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−262206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プリズムレンズフィルムを用いることにより、ある程度の画面輝度の向上を図ることができるが、図12に示すように、光源1に積層させたプリズムレンズフィルム2の光源1側の入射面が単なる平面であると、光源1からの光の一部が入射面にて全反射してしまい、光の利用効率の向上を顕著に望むことができなかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、光源からの光の利用効率を大幅に向上させて画面輝度を良好に高めることが可能なプリズムレンズフィルム及びこれを用いた平面型発光装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のプリズムレンズフィルムは、透光性フィルムの表裏両面に凹凸パターンが刻設され、該透光性フィルム内に導入された光を偏向して出射するプリズムレンズフィルムであって、前記透光性フィルムの一方の面に、入射光の全反射を防止するための全反射防止機能層が形成され、他方の面に、前記一方の面から前記透光性フィルム内に導入された光の光路を偏向する光偏向機能層が形成されており、前記光偏向機能層が、直線状に配列された複数のプリズムレンズからなることを特徴とする。
【0007】
このように、一方の面に入射光の全反射を防止する全反射防止機能層を設けたので、高い入射効率にて光を入射させて光偏向機能層から良好に出射させることができる。これにより、光源からの光の利用効率を大幅に向上させて画面輝度を高めることができる。
【0008】
また、本発明のプリズムレンズフィルムは、前記全反射防止機能層が、直線状に配列された複数のプリズムレンズからなり、該全反射防止機能層のプリズムレンズの頂角が60゜〜150゜の範囲であり、かつ、前記光偏向機能層のプリズムレンズの頂角が30゜〜120゜の範囲であることを特徴とする。
【0009】
このように、全反射防止機能層のプリズムレンズの頂角を所定範囲内に設定することで、プリズムレンズフィルム内に導入される入射光の全反射を抑えて利用効率を高め、さらに、光偏向機能層のプリズムレンズの頂角を所定範囲内に設定することで、集光効果を高めることができる。
【0010】
さらに、本発明のプリズムレンズフィルムは、前記全反射防止機能層のプリズムレンズの頂角が、前記光偏向機能層のプリズムレンズの頂角より大きいことを特徴とする。
【0011】
これにより、全反射防止機能層のプリズムレンズによる入射光の拡散を抑え、光偏向機能層のプリズムレンズによる集光度合いを向上することができ、これらプリズムレンズの協働効果により、入射光が高効率でプリズムレンズフィルム内に導入され、十分な集光効果が得られる。
【0012】
また、本発明のプリズムレンズフィルムは、前記光偏向機能層のプリズムレンズの隣接する頂部の間に、前記全反射防止機能層のプリズムレンズの頂部が配置されていることを特徴とする。
【0013】
つまり、頂部が一つの場合はピッチが等しくなり、全反射防止機能層から導入された光が、出射方向を概ね揃えた状態で透過するようになり、導入された光を集光させて過度な分散を抑えることで光利用効率が向上する。また、頂部が複数の場合は、より平均化された光分布となる。
【0014】
また、本発明のプリズムレンズフィルムは、前記光偏向機能層、前記全反射防止機能層の少なくともいずれかのプリズムレンズの頂部が、所定の一定ピッチで形成されていることを特徴とする。
【0015】
このように、所定ピッチで規則性を有して頂部が形成されることで、光源からの光の集光性を高めることができる。
【0016】
さらに、本発明のプリズムレンズフィルムは、前記光偏向機能層、前記全反射防止機能層の少なくともいずれかのプリズムレンズの頂部が、それぞれ同一平面上に配置されていることを特徴とする。
【0017】
これにより、プリズムレンズフィルムを他の光学部材に貼り合わせる場合に、双方の平面性を損なうことがない。よって、集光条件が変化することがない。
【0018】
また、本発明のプリズムレンズフィルムは、前記プリズムレンズが、屈折率1.4以上の材料により形成されていることを特徴とする。
【0019】
これにより、光の屈折効果が十分に得られ、良好な偏向効果を得ることができる。
【0020】
また、本発明のプリズムレンズフィルムは、上記のプリズムレンズフィルムを、前記プリズムレンズの配設方向と互いに直交させて重ね合わせたことを特徴とする。
【0021】
これにより、直交する2方向に対する透過光量が均等化されて、平面上で均等分布となった光束を得ることができる。
【0022】
本発明の平面型発光装置は、上記のプリズムレンズフィルムと、該プリズムレンズフィルムの前記全反射防止機能層に対峙して設けられた光源とを備えたことを特徴とする。
【0023】
これにより、全反射防止機能層のプリズムレンズから全反射なく導入された光源からの光が、光偏向機能層のプリズムレンズによって集光されて出射され、均等な光分布の光束を出射することができ、高い表示品質を得ることができ、しかも、消費電力の低減を図ることができる。
【0024】
また、本発明の平面型発光装置は、前記光源が、複数の微小領域単位で発光及び非発光状態を選択できる画素表示機能を有し、前記プリズムレンズフィルムの各プリズムレンズの配置ピッチが、前記微小領域に相当する画素の配置ピッチに略等しいことを特徴とする。
【0025】
これにより、モアレ縞の発生を防止することができ、発光パターンが均一となり表示品質が向上する。
【0026】
さらに、本発明の平面型発光装置は、前記光源が有機EL素子であることを特徴とする。
【0027】
これにより、薄型でフレキシブルにもでき、高輝度が得られる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のプリズムレンズフィルムによれば、一方の面に入射光の全反射を防止する全反射防止機能層を設けたので、高い入射効率にて光を入射させて光偏向機能層から良好に出射させることができる。これにより、光源からの光の利用効率を大幅に向上させて画面輝度を高めることができる。
そして、このプリズムレンズフィルムを用いた平面型発光装置によれば、全反射防止機能層のプリズムレンズから全反射なく導入された光源からの光を、光偏向機能層のプリズムレンズによって集光させて出射させ、均等な光分布の光束を出射することができ、高い表示品質を得ることができ、しかも、消費電力の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係るプリズムレンズフィルム及びこれを用いた平面型発光装置の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るプリズムレンズフィルムを用いた平面型発光装置の断面図、図2は、プリズムレンズフィルムの斜視図である。
図1に示すように、平面型発光装置11は、有機EL素子からなる平面光源13を備えており、この平面光源13に、プリズムレンズフィルム15が積層されている。
【0030】
平面光源13を構成する有機EL素子は、例えば、下部電極層17と上部電極層19との間に、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を順に積層した有機EL層21が配設された構成とされている。有機EL層21を構成する発光層は、電流注入に応じて赤(R)、緑(G)、青(B)の光を発生させるものである。また、正孔輸送層は、発光層への正孔注入効率を高め、かつ正孔注入層としての機能も兼ねるものであり、電子輸送層は、発光層への電子注入効率を高めるためのものである。なお、下部電極層17は、本来の電極としての機能とともに、有機EL層21の発光層にて発生した光を反射させるための反射層としての機能も兼ねている。
【0031】
プリズムレンズフィルム15は、例えば、ガラス、プラスチック(ポリカーボネート、アクリル等)などによって成形された透光性フィルムからなり、透光性が高く平面性、成形性に富む材料が好適に用いられる。なお、このプリズムレンズフィルム15の材料としては、集光効果を高める上で、屈折率が1.4以上のものが好ましい。
【0032】
図2にも示すように、このプリズムレンズフィルム15は、その表裏両面に凹凸パターンが刻設されて三角屋根形状のプリズムレンズ31,33が形成されている。そして、平面光源13側と反対に形成されたプリズムレンズ31が光偏向機能層とされ、平面光源13側に形成されたプリズムレンズ33が全反射防止機能層とされている。光偏向機能層及び全反射防止機能層のプリズムレンズ31,33は、それぞれ山部31a,33aと谷部31b,33bとを有し、いずれも直線状に配列されている。
【0033】
ここで、光偏向機能層のプリズムレンズ31の頂角θ1は、30°〜120°の範囲とされ、また、全反射防止機能層のプリズムレンズ33の頂角θ2は、60°〜150°の範囲とされている。なお、全反射防止機能層のプリズムレンズ33の頂角θ2は、光偏向機能層のプリズムレンズ31の頂角θ1より大きいことが好ましい。また、光偏向機能層は、そのプリズムレンズ31の頂部が所定の一定ピッチとされており、また、全反射防止機能層のプリズムレンズ33の頂部は、光偏向機能層のプリズムレンズ31の隣接する頂部の間に配置されている。
【0034】
ここで、プリズムレンズフィルム15の厚みは、必要最小限の厚みとすることが好ましい。
図3にプリズムレンズフィルムの各寸法を説明する説明図を示した。
いま、光偏向機能層のプリズムレンズ31のピッチをP1、全反射防止機能層のプリズムレンズ33のピッチをP2とすると、光偏向機能層のプリズムレンズ31の溝の深さdp1及び全反射防止機能層のプリズムレンズ33の溝の深さdp2は次式で表される。
dp1=(P1/2)/tan(θ1/2)
dp2=(P2/2)/tan(θ2/2)
【0035】
両面のプリズムレンズ31,33の間には、強度保持のためのベース部分を必要とする。その厚さdbは、表示画像のぼけやコントラスト低下をさけるために薄い方が望ましく、次式の範囲が好適である。
0.2×Min(P1,P2)≦db≦3×Min(P1,P2
ここで、Min(P1,P2)は、P1,P2のうちいずれか小さい方を意味するものとする。
【0036】
また、プリズムレンズフィルム15のプリズムレンズ31,33とベース部分とを合わせたフィルム全体の厚さdtotは次式で表される。
dtot=dp1+db+dp2
【0037】
このdtotの好ましい範囲はプリズムレンズ31,33の頂角θ1,θ2とプリズムレンズ31,33の頂部のピッチP1,P2によって異なるが、例として下記の場合についての値を示す。
θ1=θ2= 90°、P1=P2=50μmの場合、dtot=60〜100μm
θ1=θ2= 60°、P1=P2=50μmの場合、dtot=97〜137μm
θ1=θ2=120°、P1=P2=50μmの場合、dtot=39〜79μm
【0038】
なお、光偏向機能層及び全反射防止機能層を構成するプリズムレンズ31,33の大きさは、ピッチP1,Pが、例えば、表示素子やカラーフィルター等のサイズと同等か小さいサイズ、すなわち、5μm〜500μm程度となるように形成する。
また、平面光源13からの光をプリズムレンズフィルム15の方に拡散させるため、プリズムレンズフィルム15の平面光源13側に拡散板を入れても良く、また、平面光源13からの光を反射させたり、プリズムレンズフィルム15から反射された光を利用するため、平面光源13の後ろ側(プリズムレンズフィルム15と反対側)に、反射板や拡散板を入れても良い。
【0039】
そして、上記のようなプリズムレンズフィルム15を備えた平面型発光装置11では、平面光源13からの光がプリズムレンズフィルム15内へ導かれ、その後、このプリズムレンズフィルム15の光偏向機能層のプリズムレンズ31から出射される。ここで、プリズムレンズフィルム15は、平面光源13側の面がプリズムレンズ33からなる全反射防止機能層とされているので、図4に平面型発光装置の一部の断面図を示すように、平面光源13からの光が反射しない十分な入射角を持たせることができる。これにより、平面光源13からの光は、全反射することなくプリズムレンズフィルム15へ入射することとなる。
【0040】
そして、このプリズムレンズフィルム15へ入射した光は、光偏向機能層のプリズムレンズ31から表面側へ出射される。ここで、光偏向機能層のプリズムレンズ31から表面側へ出射される光は、このプリズムレンズ31を通ることにより、図5にプリズムレンズフィルムによる光量分布の改善効果を示すグラフを示すように、光量分布が均一化され、光量のムラがなくされる。
【0041】
以上、説明したように、本実施形態に係るプリズムレンズフィルム15によれば、一方の面に入射光の全反射を防止するプリズムレンズ33からなる全反射防止機能層を設けたので、高い入射効率にて光を入射させてプリズムレンズ31からなる光偏向機能層から良好に出射させることができる。これにより、平面光源13からの光の利用効率を大幅に向上させて画面輝度を高めることができる。
【0042】
特に、全反射防止機能層のプリズムレンズ33の頂角θ2を60°〜150°の所定範囲内に設定することで、プリズムレンズフィルム15内に導入される入射光の全反射を抑えて利用効率を高め、さらに、光偏向機能層のプリズムレンズ31の頂角θ1を30°〜120°の所定範囲内に設定することで、集光効果を高めることができる。
【0043】
また、全反射防止機能層のプリズムレンズ33の頂角θ2を光偏向機能層のプリズムレンズ31の頂角θ1より大きくすることにより、全反射防止機能層のプリズムレンズ33による入射光の拡散を抑え、光偏向機能層のプリズムレンズ31による集光度合いを向上することができ、これらプリズムレンズ31,33の協働効果により、入射光が高効率でプリズムレンズフィルム15内に導入され、十分な集光効果が得られる。
【0044】
さらに、光偏向機能層のプリズムレンズ31の隣接する頂部の間に、全反射防止機能層のプリズムレンズ33の頂部を配置したので、頂部が一つの場合はピッチP1,P2が等しくされ、全反射防止機能層から導入された光が、出射方向を概ね揃えた状態で透過するようになり、導入された光を集光させて過度な分散を抑えることで光利用効率が向上する。また、頂部が複数の場合は、より平均化された光分布となる。
【0045】
また、光偏向機能層、全反射防止機能層のプリズムレンズ31,33の少なくともいずれかの頂部を、所定の一定ピッチで形成して規則性を持たせることにより、平面光源13からの光の集光性を高めることができる。
また、屈折率1.4以上の材料によりプリズムレンズフィルム15を形成することにより、光の屈折効果が十分に得られ、良好な偏向効果を得ることができる。
【0046】
そして、上記プリズムレンズフィルム15を用いた平面型発光装置11によれば、全反射防止機能層のプリズムレンズ33から全反射なく導入された平面光源13からの光が、光偏向機能層のプリズムレンズ31によって集光されて出射され、均等な光分布の光束を出射することができ、高い表示品質を得ることができ、しかも、消費電力の低減を図ることができる。
特に、平面光源13として有機EL素子を用いることにより、薄型でフレキシブルにもでき、高輝度が得られる。
【0047】
なお、全反射防止機能層及び光偏向機能層は、少なくともいずれかのプリズムレンズ31,33の頂部が同一平面上に配置されていることが好ましく、このようにすると、平面光源13と積層させた際に、双方の平面性を損なうことがなく、集光条件が変化することがない。
また、プリズムレンズフィルム15の各プリズムレンズ31,33の配置ピッチPとしては、図6に示すように、平面光源13の発光及び非発光状態を選択できる微小領域単位の画素の配置ピッチPgと略等しくすることが好ましく、このようにすると、出射する光におけるモアレ縞の発生を防止することができ、発光パターンを均一として表示品質を向上させることができる。
【0048】
図7は、図1に示すプリズムレンズフィルムにおけるプリズムレンズ31,33の各変形例(a),(b),(c),(d)を示す断面図である。ここで、プリズムレンズフィルム15は、光偏向機能層及び全反射防止機能層をそれぞれ構成するプリズムレンズ31,33があるが、ここでは光偏向機能層を構成するプリズムレンズ31を例に説明することとする。つまり、下記の変形例は、勿論全反射防止機能層のプリズムレンズ33に対しても適用可能である。
【0049】
図7(a)は、プリズムレンズ31を正弦波状に形成した例である。この場合の凹凸パターンは、滑らかに規則的に配置された山部31aと谷部31bとからなる。
図7(b)は、プリズムレンズ31を台形状に形成した例である。この場合の凹凸パターンは、矩形状の山部31aと谷部31bとからなる。
【0050】
図7(c)は、プリズムレンズ31を半円形状に形成した例である。この場合の凹凸パターンは、半円形状の山部31aと、隣り合う山部31a同士の間の谷部31bとからなる。
図7(d)は、三角状のプリズムレンズ31の頂部を円形に形成した例である。この場合の凹凸パターンは、頂部が断面視半円形状に形成された山部31aと、断面視V字形状の谷部31bとからなる。
いずれのパターンも、山部31aの頂部は平面上に配置されている。
以上のように、プリズムレンズの形状は、断面三角形状に限らず、種々の形状とすることができ、利用目的に応じて、成形性や集光の具合を鑑みて適宜選定することが望ましい。
【0051】
次に、プリズムレンズフィルムの他の実施形態について説明する。
図8は、他の実施形態に係るプリズムレンズフィルムを示す斜視図である。
図に示すように、この実施形態では、前述したプリズムレンズフィルム15が積層されている。また、これら積層されたプリズムレンズフィルム15は、それぞれの光偏向機能層及び全反射防止機能層を構成するプリズムレンズ31,33の配設方向が、互いに直交とされている。
【0052】
そして、このようにプリズムレンズフィルム15を、そのプリズムレンズ31,33の配設方向が直交するように積層させることにより、A方向の光量バラツキは、下側のプリズムレンズフィルム15により均一化され、B方向の光量バラツキは、上側のプリズムレンズフィルム15により均一化される。
つまり、それぞれのプリズムレンズフィルム15によって、直交する2方向に対する透過光量を均一化することができ、平面上で均等分布となった光束を得ることができ、表示品質を一層向上させることができる。
【0053】
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。例えば、平面光源13としては、EL素子に限らず、LED、点状、円板状、球状のものを適用することができる。
【実施例1】
【0054】
(実施例1)
プリズムレンズからなる全反射防止機能層及び光偏向機能層を備えたプリズムフィルムにおいて、光偏向機能層のプリズムレンズの頂角θ1を60°及び90°とし、それぞれの場合において全反射防止機能層のプリズムレンズの頂角θ2を変化させ、そのときの相対輝度を測定した。なお、法線方向における輝度、輝度向上が望まれる所定角度範囲における輝度及び前方の全光量の輝度を測定した。それぞれの結果を図9及び図10に示す。
図9に示すように、光偏向機能層のプリズムレンズの頂角θ1を60°とした場合、入射側凹凸パターンのプリズムレンズの頂角θ2が90゜のときに集光効果が大きい(法線方向輝度と所定角度範囲輝度が共に大きい)ことが判った。
図10に示すように、光偏向機能層のプリズムレンズの頂角θ1を90°とした場合、入射側凹凸パターンのプリズムレンズの頂角θ2の変化による優劣が無い(法線方向輝度は180゜で大きいが、所定角度範囲輝度は優劣無し)ことが判った。
【0055】
(実施例2)
光偏向機能層のプリズムレンズの頂角θ1を60°とした場合について、全反射防止機能層のプリズムレンズの頂角θ2を90°,135°,180°(平面)としたときのプリズムレンズフィルムの法線方向を0°とした光度の角度分布を測定した。その結果を図11に示す。
図11に示すように、全反射防止機能層のプリズムレンズの頂角θ2を90°とした場合に、法線方向からの角度に関わらず安定した光度が得られることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態に係るプリズムレンズフィルムを用いた平面型発光装置の断面図である。
【図2】プリズムレンズフィルムの斜視図である。
【図3】プリズムレンズフィルムの各寸法を説明する説明図である。
【図4】平面型発光装置の一部の断面図である。
【図5】プリズムレンズフィルムによる光量分布の改善効果を示すグラフである。
【図6】平面型発光装置の構成の一例を示す断面図である。
【図7】プリズムレンズフィルムにおけるプリズムの各変形例を示す断面図である。
【図8】他の実施形態に係るプリズムレンズフィルムを示す斜視図である。
【図9】全反射防止機能層のプリズムレンズの頂角と輝度との関係を示すグラフである。
【図10】全反射防止機能層のプリズムレンズの頂角と輝度との関係を示すグラフである。
【図11】法線方向からの角度に対する光度の変化を示すグラフである。
【図12】プリズムレンズフィルムにおける光源からの光の全反射を説明する平面型発光装置の一部の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
11 平面型発光装置
13 平面光源(光源)
15 プリズムレンズフィルム
31 プリズムレンズ(光偏向機能層)
33 プリズムレンズ(全反射防止機能層)
θ1,θ2 頂角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性フィルムの表裏両面に凹凸パターンが刻設され、該透光性フィルム内に導入された光を偏向して出射するプリズムレンズフィルムであって、
前記透光性フィルムの一方の面に、入射光の全反射を防止するための全反射防止機能層が形成され、
他方の面に、前記一方の面から前記透光性フィルム内に導入された光の光路を偏向する光偏向機能層が形成されており、
前記光偏向機能層が、直線状に配列された複数のプリズムレンズからなることを特徴とするプリズムレンズフィルム。
【請求項2】
前記全反射防止機能層が、直線状に配列された複数のプリズムレンズからなり、
該全反射防止機能層のプリズムレンズの頂角が60゜〜150゜の範囲であり、かつ、前記光偏向機能層のプリズムレンズの頂角が30゜〜120゜の範囲であることを特徴とする請求項1記載のプリズムレンズフィルム。
【請求項3】
前記全反射防止機能層のプリズムレンズの頂角が、前記光偏向機能層のプリズムレンズの頂角より大きいことを特徴とする請求項2記載のプリズムレンズフィルム。
【請求項4】
前記光偏向機能層のプリズムレンズの隣接する頂部の間に、前記全反射防止機能層のプリズムレンズの頂部が配置されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のプリズムレンズフィルム。
【請求項5】
前記光偏向機能層、前記全反射防止機能層の少なくともいずれかのプリズムレンズの頂部が、所定の一定ピッチで形成されていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のプリズムレンズフィルム。
【請求項6】
前記光偏向機能層、前記全反射防止機能層の少なくともいずれかのプリズムレンズの頂部が、それぞれ同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項2〜5記載のプリズムレンズフィルム。
【請求項7】
前記プリズムレンズが、屈折率1.4以上の材料により形成されていることを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載のプリズムレンズフィルム。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のプリズムレンズフィルムを、前記プリズムレンズの配設方向と互いに直交させて重ね合わせたことを特徴とするプリズムレンズフィルム。
【請求項9】
請求項1〜請求項8記載のプリズムレンズフィルムと、
該プリズムレンズフィルムの前記全反射防止機能層に対峙して設けられた光源とを備えたことを特徴とする平面型発光装置。
【請求項10】
前記光源が、複数の微小領域単位で発光及び非発光状態を選択できる画素表示機能を有し、
前記プリズムレンズフィルムの各プリズムレンズの配置ピッチが、前記微小領域に相当する画素の配置ピッチに略等しいことを特徴とする請求項9記載の平面型発光装置。
【請求項11】
前記光源が有機EL素子であることを特徴とする請求項9又は請求項10記載の平面型発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−100125(P2006−100125A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284830(P2004−284830)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】