説明

プリフォーム検査装置

【課題】プリフォームを真空吸着する際に、吸着ヘッドをプリフォームに押し付けることなくプリフォームを真空吸着することによりプリフォームの高速搬送を可能とするプリフォーム検査装置を提供する。
【解決手段】プリフォーム1の口部1aを真空吸着する複数の吸着ヘッド25と、複数の吸着ヘッド25を自転させながら公転させるメインロータ20と、各吸着ヘッド25と真空源とを断続的に連通させるロータリバルブ50とを備え、自転するプリフォーム1をカメラで撮影して検査するプリフォーム検査装置において、吸着ヘッド25がプリフォーム1の口部1aを真空吸着する際に、吸着ヘッド25とプリフォーム1の口部1aとの間に隙間を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトルの予備成形品であるプリフォームの外観をカメラで撮影して検査するプリフォーム検査装置に係り、特にプリフォームを真空吸着する際に、吸着ヘッドをプリフォームに押し付けることなくプリフォームを真空吸着することによりプリフォームの高速搬送を可能とするプリフォーム検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットボトルはプリフォームと呼ばれるものに予備成形され、プリフォームが加熱されてボトルに成形される。プリフォームは試験管状の、即ち、口部が平坦で底部が球面の形をしており、首部にリング状のネックリングをもっている。
従来のプリフォーム検査装置は、プリフォームを移送するスターホイールと、移送されたプリフォームの口部を吸着ヘッドで真空吸着して吸着ヘッドを自転させながら公転させるメインロータとを備え、自転するプリフォームをカメラで撮影してプリフォームの外観を検査している。
【0003】
従来、プリフォームを入口スターホイール等からメインロータに受け渡す際には、プリフォームのネック部にあるネックリングがガイドレール(渡り板)上に乗り移る。そして、吸着ヘッドを下降させてプリフォームの口部に押し付けてから真空引きを開始する。真空引きをしている間、プリフォームはネックリングがガイドレールの上を摺接しながら所定の位置まで搬送される。このように、確実な真空吸着を確保するためには、吸着ヘッドをプリフォームの口部に押し付ける必要があり、その結果、プリフォームのネックリングをガイドレールに押し付けることになる。
【特許文献1】特許第3422967号公報
【特許文献2】特許第3859323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、プリフォームを真空吸着する際は、吸着ヘッドによりプリフォームのネックリングをSUS等の平板のガイドレールに押し付けた状態で真空引きしながらプリフォームを移動させるため、ガイドレールとプリフォームのネックリングに摩擦が生じる。メインロータの搬送速度が400BPM程度であれば、摩擦によるガイドレールの温度上昇が問題となることはないが、高速搬送である800BPM以上になるとガイドレールが高温に加熱されるという問題が生じる。
【0005】
また吸着ヘッドがプリフォームの口部に押し付けられる際に衝突音が発生し、場合によっては口部に傷がついてしまう。そして、吸着ヘッドがプリフォームの口部に押し付けられる際の衝撃によりガイドレールが変形しやすく、真空引きをしながらプリフォームを高速搬送すると、より多量の摩擦熱がガイドレールに発生し、高速搬送ができない状況にある。
さらに吸着ヘッドの押し付け力により、プリフォームのネックリングとガイドレールとの間に摩擦抵抗を生じるので、吸着ヘッドの軸部に曲げモーメントが働き、吸着ヘッドの軸部が変形してしまう場合がある。
【0006】
さらにプリフォームを高速搬送する場合においても、プリフォームを真空吸着するためには低速搬送時と同様に必要最小限の吸着時間が必要であることから、真空吸着に必要な時間が一定の場合、搬送速度が400BPMから800BPMの2倍になると、プリフォームをガイドレールに押し付けておく距離も2倍の長さが必要になる。そうすると、吸着ヘッドを上昇下降させるためのカムの形状(カム輪郭)を従来よりも急な勾配にする必要があり、カムの最大加速度の問題から高速対応ができない場合がある。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、プリフォームを真空吸着する際に、吸着ヘッドをプリフォームに押し付けることなくプリフォームを真空吸着することにより、プリフォームの高速搬送を可能とするプリフォーム検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、プリフォームの口部を真空吸着する複数の吸着ヘッドと、前記複数の吸着ヘッドを自転させながら公転させるメインロータと、前記各吸着ヘッドと真空源とを断続的に連通させるロータリバルブとを備え、自転するプリフォームをカメラで撮影して検査するプリフォーム検査装置において、前記吸着ヘッドがプリフォームの口部を真空吸着する際に、前記吸着ヘッドとプリフォームの口部との間に隙間を有することを特徴とする。
本発明によれば、吸着ヘッドがプリフォームの口部を真空吸着する際に、プリフォームとプリフォームの口部との間に隙間を有するため、プリフォームのネックリングがガイドレールに押し付けられることがなく、ガイドレールとプリフォームのネックリングとの間の摩擦を飛躍的に低減することができる。
【0009】
本発明の1態様によれば、前記吸着ヘッドは、カムにより上昇および下降するように構成し、前記吸着ヘッドを最下方の位置まで下降させた際に、前記吸着ヘッドとプリフォームの口部との間に前記隙間を有するように前記カムのカム輪郭を設定したことを特徴とする。
本発明によれば、プリフォームとの間に、僅かなクリアランスを確保することにより、吸着ヘッドの位置を高く保つことができ、吸着時のカム形状(カム輪郭)を緩やかにすることが可能である。
【0010】
従来の吸着ヘッドをプリフォームの口部に押し付けるということは、プリフォームがないときには、その分吸着ヘッドが更に下方に下がるということになり、逆にプリフォームがあれば、その分吸着ヘッドはやや上方に位置する。
すなわち、従来、吸着ヘッドをプリフォームの口部に確実に当接させるために、吸着ヘッドがプリフォームの口部より更に下方に下がることができるように、カム形状(カム輪郭)を設定している。吸着ヘッドの最下方の位置をプリフォームの口部と同一高さにした場合には、吸着ヘッドがプリフォームの口部に当接しない場合も生じてくるからである。そのため、従来、吸着ヘッドはその自重によりカム形状に合わせて上昇下降をするようにしている。
【0011】
上述したように、従来は、プリフォームがない状態をカムの最下点としていることから、プリフォームがあるとその分カムフォロアがカムから浮いた状態になっており、次の工程でプリフォームを上昇させる際にカムフォロアがカムに衝突し、その結果、高速運転では衝撃や音の問題が発生していた。
本発明によれば、吸着ヘッドとプリフォームの口部との間にクリアランスを設け、これがカムの最下点であることから、プリフォームの有無に拘らずカムフォロアがカムから浮いている状態はなくなる。すなわち、カムフォロアがカムから常時離れることなく転動を続けるので、吸着ヘッドが最下方の位置から上昇する際に、カムフォロアがカムと衝突することはなく、衝撃や音の問題が発生することはない。
【0012】
本発明の1態様によれば、前記吸着ヘッドがプリフォームの口部を真空吸着する際に、プリフォームのネックリングを支持するガイドレールを備え、前記ガイドレールに温度センサを設置したことを特徴とする。
本発明によれば、温度センサによりガイドレールの温度を監視することができる。
本発明の1態様によれば、前記温度センサにより、設定温度範囲を超えた場合、プリフォーム検査装置の駆動を停止もしくは減速することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
1)吸着ヘッドがプリフォームの口部を真空吸着する際に、プリフォームとプリフォームの口部との間に隙間を有するため、プリフォームのネックリングがガイドレールに押し付けられることがなく、ガイドレールとプリフォームのネックリングとの間の摩擦を飛躍的に低減することができる。したがって、プリフォームを高速で搬送することができる。
2)吸着ヘッドがプリフォームの口部を真空吸着する際に、プリフォームとプリフォームの口部との間に隙間を有するため、吸着時にプリフォームに傷が付くことがなく、また吸着ヘッドの軸部が変形することがない。
3)吸着ヘッドをプリフォームの口部に押し付けて真空吸着する従来方式の場合、吸着ヘッドの位置は、検査終了時と比較して、吸着開始時はさらに低くなるが、本発明においては、プリフォームとの間に、僅かなクリアランスを確保することにより、吸着ヘッドの位置を高く保つことができ、吸着時のカム形状(カム輪郭)を緩やかにすることが可能である。
4)ガイドレールから発生する摩擦熱は、プリフォームを高速搬送する場合以外に、吸着ヘッドとガイドレールの位置関係の調整不良の場合や、供給されるプリフォームの寸法が異なっている等の場合にも生じるが、検査装置またはプリフォームに大きなダメージを与える前に、ガイドレールの裏側に設置された温度センサを用いてガイドレールの温度を監視することにより、異常時には、検査装置を緊急停止あるいは低速運転にすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るプリフォーム検査装置の実施形態を図1乃至図5を参照して説明する。
図1はプリフォーム検査装置の全体構成を示す平面図である。図1に示すように、プリフォーム検査装置は、検査すべきプリフォーム1をメインロータ20に搬入する入口スターホイール3と、プリフォーム1を搬送しつつプリフォーム1の検査を行うメインロータ20と、検査後のプリフォーム1をメインロータ20から搬出する出口スターホイール4とを備えている。
【0015】
図2は図1のII−II線断面図である。図2はプリフォームを取り扱うメインロータ20を示す図である。図2に示すように、プリフォームは概略試験管状をなし、口部1aが平坦、胴部1bが円筒状、底部1cが球面をなし、首部にネックリング1dを有している。図1に示すように、入口スターホイール3のピッチ円に沿って、プリフォーム1のネックリング1dを支持するガイドレール6,6が設置されている。
【0016】
また出口スターホイール4のピッチ円に沿って、プリフォーム1のネックリング1dを支持するガイドレール7,7が設置されている。そして、ガイドレール6,6に接続して入口側ガイドレール8,8が設置されており、また出口スターホイール4に隣接して出口側ガイドレール9,9が設置されている。これら入口側ガイドレール8,8および出口側ガイドレール9,9は、進行方向に下り勾配になっている。
【0017】
前記メインロータ20のピッチ円を挟んで、内側に1台の照明10が設置され、外側に2台の撮影カメラユニット11,12が設置されている。照明10はメインロータ20のピッチ円に沿った円弧状の前面を有している。撮影カメラユニット11および12は、それぞれミラー13とCCDカメラ14とからなっており、高速ラインに対応できるようになっている。
【0018】
またメインロータ20のピッチ円の外側には、プリフォーム1を自転させるための自転用タイミングベルト15が配置されている。そして、自転用タイミングベルト15の下流側には、プリフォーム1の自転を停止させるためのブレーキ用ベルト16が配置されている。
【0019】
図2に示すように、メインロータ20は、回転軸21と、回転軸21に固定された支持板23と、支持板23に上下方向に移動可能に支持されるとともにプリフォーム1の口部1aを真空吸着する吸着ヘッド25とを備えている。回転軸21は、上下に軸受22,22を備えた軸受ハウジング24により回転可能に支持されている。
【0020】
前記回転軸21はモータ(図示せず)に連結され、回転軸21に固定された支持板23には複数のガイドバー37が支持されている。ガイドバー37には、上下動可能に支持部材38が支持されている。回転軸21の上方には、フレームFに固定されるとともに下方に延びる固定軸39が設けられている。固定軸39にはカム40が固定されている。
一方、前記吸着ヘッド25の軸部27は、支持部材38により支持されており、支持部材38に固定されたカムフォロワ42が固定軸39に固定されたカム40に係合し、支持部材38が上下動するようになっている。なお、カム40はメインロータ20の全周に亘って配設されていて、吸着ヘッド25を上下動させて吸着ヘッド25の上下方向の位置を制御している。
【0021】
図3は吸着ヘッド25の詳細構造を示す断面図である。図3に示すように、吸着ヘッド25は、プリフォーム1の口部1aを真空吸着する吸着ヘッド本体26と、吸着ヘッド本体26を保持する細長状の軸部27と、吸着ヘッド本体26と軸部27とを接続する接続部28とを備えている。吸着ヘッド本体26は、プリフォーム1の口部1a内に挿入されるテーパ状の凸部26aを有し、また内部に連通孔26bを有している。軸部27は、内部に連通孔27aを有している。
【0022】
図2および図3に示すように、吸着ヘッド25は上下の軸受44,44により回転可能に支持されている。そして、上下の軸受44,44を収容する軸受ハウジング45は、支持部材38により支持されている。吸着ヘッド25は、内部に連通孔26b,27aを有しており、連通孔27aはチューブ47およびロータリバルブ50を介して真空源(図示せず)に連通されている。ロータリバルブ50は、メインロータ20と同期して回転する回転側部材51と、固定して設けられた固定側部材52とからなり、ロータリバルブ50の片側の部材に真空溝や大気開放用の溝が設けられていて、真空引き、真空経路の遮断、或いは大気開放が行われる。吸着ヘッド25には、自転用タイミングベルト15に係合するプーリ48が固定されている。吸着ヘッド25を自転させるベルト掛け部分は、吸着ヘッド25を支持する二つの軸受44,44の上方に位置している。
【0023】
図4は、ロータリバルブ50を示す模式的断面図である。図4に示すように、メインロータ20と同期して回転する回転側部材51と固定して設けられた固定側部材52とからなり、回転側部材51および固定側部材52は、ともに円筒状部材であって、回転側部材51の内周面と固定側部材52の外周面とが摺接するようになっている。固定側部材52の外周面には、真空引き用の円弧状溝52aと、大気開放用の矩形状溝52bとが形成されている。固定側部材52の円弧状溝52aはチューブを介して真空源(真空ポンプ)に連通されている。回転側部材51には、円弧状溝52aおよび矩形状溝52bに連通する複数の連通孔51hが形成されており、各連通孔51hはチューブ47を介して各吸着ヘッド25に接続されている(図2参照)。なお、図4においては、回転側部材51に形成された連通孔51hは4個のみ示されているが、実際には、連通孔51hは多数あり、吸着ヘッド25の個数と同数ある。
【0024】
上述のように構成されたロータリバルブ50において、回転側部材51が固定側部材52に摺接しながら回転すると、回転側部材51に形成された連通孔51hが固定側部材52に形成された円弧状溝52aに対向した位置にある間は、円弧状溝52aに連通された真空ポンプからの負圧が連通孔51hに接続された吸着ヘッド25に供給され、プリフォーム1が吸着ヘッド25により吸着保持される。また、連通孔51hが円弧状溝52aからずれると、真空ポンプからの負圧が遮断されて吸着ヘッド25によるプリフォーム1の吸着保持が解除される。その後、連通孔51hが大気開放用の矩形状溝52bに連通すると、吸着ヘッド25は大気開放される。次に、連通孔51hが再び円弧状溝52aに連通されると、真空ポンプからの負圧が吸着ヘッド25に供給される。
以上のように、ロータリバルブ50は、1)真空引き⇒2)遮断(ニュートラル)⇒3)大気開放⇒4)遮断(ニュートラル)⇒5)再真空引き⇒6)遮断(ニュートラル)という工程でのローテーションとなっている。
【0025】
次に、上記ロータリバルブ50の各工程とプリフォーム1との関係について説明する。
上記ロータリバルブ50による1)真空引きにより、プリフォーム1は吸着ヘッド25により真空吸着され、その後、2)ニュートラルの位置においても、プリフォーム1の内部と吸着ヘッド25は共に真空圧で圧力差がなく、真空系路を遮断しても、吸着状態のままである。さらに3)大気開放の位置になると、プリフォーム1内の真空圧が低下して大気圧となり、自重によりプリフォーム1は吸着ヘッド25を離れ脱落し、プリフォーム1のネックリング1dを下から支えるガイドレール7によって支持され、プリフォーム1は下流側の次工程に搬送される。そして、吸着ヘッド25は、新たにメインロータ20に搬送されてくるプリフォーム1に対して、5)再真空引きにより真空吸着する、という一連の動作を繰返すことになる。
【0026】
次に、図1乃至図4に示すように構成されたプリフォーム検査装置の全体の動作を説明する。
プリフォーム1は入口側ガイドレール8,8から入口スターホイール3に供給される。プリフォーム1は、ネックリング1dがガイドレール6,6で支持された状態で入口スターホイール3により移送される。そして、プリフォーム1は入口スターホイール3からメインロータ20に受け渡される。
【0027】
プリフォーム1がメインロータ20に受け渡されると、カム40の作用により吸着ヘッド25を下降させ、吸着ヘッド25をプリフォーム1の口部1aに近接させて、チューブ47、ロータリバルブ50を介して吸着ヘッド25を真空源と連通させ、プリフォーム1の真空吸着を開始する。このとき、図5に示すように、吸着ヘッド25の底面25aとプリフォーム1の口部1aとの間には、わずかな隙間Cが形成される。すなわち、吸着ヘッド25がカム40の作用により下降しても、吸着ヘッド25の底面25aとプリフォーム1の口部1aとの間には隙間Cが確保されるようにカム40のカム輪郭(カム形状)を設定しているため、吸着ヘッド25からプリフォーム1に押し付け力がかかることはない。この場合、吸着ヘッド25のテーパ状の凸部26aはプリフォーム1の口部1a内に挿入される。図5に示すように、プリフォーム1はガイドレール6,6で支持された状態で高速で搬送されつつ、吸着ヘッド25によりプリフォーム1内は真空排気され、プリフォーム1は吸着ヘッド25により真空吸着される。
【0028】
従来、吸着ヘッドのプリフォームの口部への押し付け量を3mmに設定しているが、本発明においては、吸着ヘッド25の押し付け量をなくして、逆にクリアランス(隙間)を採る構造とし、ガイドレール6の摩擦を抜本的に防ぐようにしている。
実験の結果、プリフォームと吸着ヘッド間に0.3mm程度の僅かなクリアランスを設けて真空吸着することが可能となり、真空の漏れ流量を最小限に抑えるとともに、摩擦熱の問題を解消することができた。この時の真空圧は2kPaで、エア流量は20l/分であった。
【0029】
吸着ヘッドを押し付ける従来方式の場合、吸着ヘッドは、検査終了時の位置と比較して、吸着開始時の位置は、さらに低くなるが、本発明においては、吸着ヘッド25とプリフォーム1との間に、僅かなクリアランス(0.3mm程度)を確保することにより、吸着ヘッド25の位置を高く保つことができ、吸着時のカム形状(カム輪郭)を緩やかにすることが可能である。
この結果、従来の搬送速度400BPMを大幅に上回る800BPMでも吸着が可能となり、ガイドレールの摩擦熱の問題や、プリフォームの傷、カムの最大加速度、吸着ヘッドの軸部の損傷等の問題を解消することができた。
【0030】
また、ガイドレール6から発生する摩擦熱は、プリフォーム1を高速搬送する場合以外にも、吸着ヘッド25とガイドレール6の位置関係の調整不良の場合や、供給されるプリフォーム1の寸法が異なっている等の場合にも生じるが、検査装置またはプリフォームに大きなダメージを与える前に、図5に示すように、ガイドレール6の裏側に温度センサSを設置し、ガイドレール6の温度を監視することにより、温度センサSの設定範囲を超える異常時には、検査装置を緊急停止あるいは低速運転にする。
【0031】
吸着ヘッド25によるプリフォーム1の吸着が完了したら、カム40の作用により吸着ヘッド25を上昇させ、プリフォーム1を吸着ヘッド25に吸着した状態で、自転用タイミングベルト15の作用によりプリフォーム1を吸着ヘッド25とともに自転させ、かつメインロータ20によりプリフォーム1を公転させ、この間に、プリフォーム1の胴部1bおよびネックリング1dを撮影カメラユニット11又は12により撮影する。
【0032】
撮影終了後に、プリフォーム1はブレーキ用ベルト16の作用により自転を停止する。その後、プリフォーム1はメインロータ20から出口スターホイール4に受け渡される。
このとき、プリフォーム1は、ネックリング1dがガイドレール7,7に支持されるようになる。正常なプリフォーム1は出口スターホイール4によって移送され、出口側ガイドレール9,9を介して次工程に移送される。一方、不良なプリフォーム1は、不良品排出シュート60の位置で出口スターホイール4による吸着支持が解除され、不良品排出シュート60に排出される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1はプリフォーム検査装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図2は図1のII−II線断面図である。
【図3】図3は吸着ヘッドの詳細構造を示す断面図である。
【図4】図4はロータリバルブを示す模式的断面図である。
【図5】図5は吸着ヘッドとプリフォームとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 プリフォーム
1a 口部
1b 胴部
1c 底部
1d ネックリング
3 入口スターホイール
4 出口スターホイール
6,7 ガイドレール
10 照明
11,12 撮影カメラユニット
13 ミラー
14 CCDカメラ
15 自転用タイミングベルト
16 ブレーキ用ベルト
20 メインロータ
21 回転軸
22 軸受
23 支持板
24 軸受ハウジング
25 吸着ヘッド
26 吸着ヘッド本体
26a 凸部
27 軸部
26b,27a,51h 連通孔
28 接続部
37 ガイドバー
38 支持部材
39 固定軸
40 カム
42 カムフォロワ
44 軸受
45 軸受ハウジング
47 チューブ
48 プーリ
50 ロータリバルブ
51 回転側部材
52 固定側部材
52a 円弧状溝
52b 矩形状溝
60 不良品排出シュート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォームの口部を真空吸着する複数の吸着ヘッドと、前記複数の吸着ヘッドを自転させながら公転させるメインロータと、前記各吸着ヘッドと真空源とを断続的に連通させるロータリバルブとを備え、自転するプリフォームをカメラで撮影して検査するプリフォーム検査装置において、
前記吸着ヘッドがプリフォームの口部を真空吸着する際に、前記吸着ヘッドとプリフォームの口部との間に隙間を有することを特徴とするプリフォーム検査装置。
【請求項2】
前記吸着ヘッドは、カムにより上昇および下降するように構成し、
前記吸着ヘッドを最下方の位置まで下降させた際に、前記吸着ヘッドとプリフォームの口部との間に前記隙間を有するように前記カムのカム輪郭を設定したことを特徴とする請求項1記載のプリフォーム検査装置。
【請求項3】
前記吸着ヘッドがプリフォームの口部を真空吸着する際に、プリフォームのネックリングを支持するガイドレールを備え、
前記ガイドレールに温度センサを設置したことを特徴とする請求項1記載のプリフォーム検査装置。
【請求項4】
前記温度センサにより、設定温度範囲を超えた場合、プリフォーム検査装置の駆動を停止もしくは減速することを特徴とする請求項3記載のプリフォーム検査装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−121946(P2009−121946A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296232(P2007−296232)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】