説明

プリフォーム用吸着ヘッド、並びにこれを用いたプリフォーム搬送装置及びプリフォーム検査装置

【課題】比較的簡単な構成で従来よりもプリフォームの保持及びその保持の解除に要する時間を短縮できるプリフォーム用吸着ヘッドを提供する。
【解決手段】吸着ヘッド20の第1収容室26a内にピストン部22を上下動自在に嵌め合わせるとともにプリフォーム100内に挿入する突出部23を連結し、これらピストン部22及び突出部23をコイルばね24で上方に押し付ける。ピストン部22の下方には、第1減圧室36が上方には第1減圧室36より断面積が小さい第2減圧室37が設けられるとともに、これら減圧室36、37が吸着ヘッド20の軸線CL上に配置された共通の吸引路44に接続されている。吸引路44を介して吸引口20cから空気が吸引されると第1減圧室36と第2減圧室37との断面積差に応じて生じた駆動力によりコイルばね24に抗してピストン部22及び突出部23が下降し、下面21aから突出部23のコーン部23cが突出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の容器、いわゆるペットボトルの予備成形品であるプリフォームの口部を真空吸着することによりそのプリフォームを吸引保持するプリフォーム用吸着ヘッド、及びこれを用いたプリフォーム搬送装置並びにプリフォーム検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PET製の容器(ペットボトル)は、プリフォームと呼ばれるものに予備成形品を加熱成形することによってボトル状に成形される。一般に、このプリフォームは、底部が球面状であるとともに口部が平坦であり、かつ口部の下の首部につばが設けられた有底筒状の形状を有している。このプリフォームを検査する検査装置として、プリフォームの口部を吸着ヘッドで真空吸着して、吸着ヘッドを自転させながら公転させるメインロータを備え、自転しているプリフォームの胴部をカメラで撮影して検査する検査装置において、吸着ヘッドの下面に下方に突出する凸部が設けられ、この凸部をプリフォームの口部に係合させ、かつその凸部の下端に開口している連通孔から吸引を行うことによりプリフォームを吸着ヘッドに保持させるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3859323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の検査装置に設けられているメインロータの吸着ヘッドは、凸部が下面に突出しているため、凸部をプリフォーム内に挿入したり抜き出したりするためには吸着ヘッド全体をその凸部の高さ分上下方向に移動させる必要がある。この場合、吸着ヘッドを昇降させるためには、例えば昇降シリンダとカム及びカムフォロアによって行われることから、瞬時に吸着ヘッドを昇降することができずプリフォームを吸着ヘッドに保持させたりその保持を解除させたりするために要する時間が制限されるので、この昇降時間によって装置の処理能力が制限される。
【0005】
そこで、本発明は、比較的簡単な構成で従来よりもプリフォームの保持及びその保持の解除に要する時間を短縮できるプリフォーム用吸着ヘッド、並びにこれを用いたプリフォーム搬送装置及びプリフォーム検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリフォーム用吸着ヘッドは、保持対象のプリフォーム(100)の口部(103)と対向する下面(21a)を下端に有し、内部には、周壁(28)、上部隔壁(27)及び下部隔壁(29)にて囲まれた収容室(26a)を有するヘッド本体(21)と、前記収容室の前記周壁に上下動自在に嵌め合わされて前記収容室内を仕切る仕切り部(22b)を有し、下面側には前記下部隔壁の中心の貫通孔(29a)に挿入される取付軸(22e)が設けられた第1可動体(22)と、前記保持対象のプリフォーム内に挿入されるコーン部(23c)を下端に有し、前記コーン部が前記第1可動体の上下方向への移動に伴って前記下面の中心部に設けられた中心孔(31c)から前記下面よりも下方に突出した突出位置と前記突出位置よりも上方に移動した待機位置との間で移動できるようにして前記取付軸と連結され、かつ前記ヘッド本体内に上下動自在に収容された第2可動体(23)と、前記コーン部を前記突出位置から前記待機位置に移動させる力を発生するばね部材(24)と、を備え、前記収容室内の前記仕切り部と前記下部隔壁との間には、前記取付軸を取り囲むようにして第1減圧室(36)が設けられ、前記第1可動体又は前記上部隔壁のいずれか一方には前記取付軸と同軸の案内軸(22d)が、他方には前記案内軸が嵌り合う凹部(25a)がそれぞれ設けられ、前記案内軸と前記凹部との間には第2減圧室(37)が設けられ、前記取付軸の軸線上には、前記ヘッド本体の上部から前記第2減圧室を経由して前記コーン部に達し、かつ前記コーン部の下面に吸引口(20c)が開口する吸引路(44)が設けられ、前記吸引路と前記第1減圧室とが接続され、前記吸引路を介して前記吸引口、前記第1減圧室、及び前記第2減圧室から空気を吸引したときに、前記第1可動体を前記ばね部材の力に抗して下方へ移動させる駆動力が前記第1可動体に作用するように、前記第2減圧室の軸線と直交する断面の面積が前記第1減圧室の前記軸線と直交する断面の面積よりも小さく設定されている、ことにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明のプリフォーム用吸着ヘッドによれば、吸引路を介して吸引口、第1減圧室、及び第2減圧室から空気を吸引することにより、第1減圧室及び第2減圧室の圧力をそれぞれ低下させることができる。この際、第1可動体には、第1減圧室の圧力の低下によって下向きの吸気力が、第2減圧室の圧力の低下によって上向きの吸引力がそれぞれ作用する。しかしながら、第1可動体をばね部材の力に抗して下方へ移動させる駆動力がこの第1可動体に作用するように、第2減圧室の断面積が第1減圧室の断面積よりも小さく設定されているため、第1可動体はばね部材の力に抗して下方に移動する。これにより、この第1可動体と連結されている第2可動体のコーン部を待機位置から突出位置に移動させることができる。一方、空気の吸引を停止させた場合はばね部材によってコーン部を突出位置から待機位置に移動させることができる。すなわち、この吸着ヘッドによれば吸引路を介して吸引口から空気を吸引することにより、コーン部をヘッド本体の下面から突出させることができる。また、その吸引を停止させることにより、コーン部を突出位置より上方に移動させることができる。そのため、吸着ヘッドの全体をコーン部の分上下方向に移動させることなく、コーン部をプリフォーム内に挿入したり抜き出したりすることができる。従って、プリフォームの保持及びその保持の解除に要する時間を短縮することができる。
【0008】
また、本発明の吸着ヘッドにおいては、第1可動体又は上部隔壁のいずれか一方に案内軸を設けるとともに他方に凹部を設け、それらを嵌め合わせることにより第1可動体と上部隔壁との間に第2減圧室が形成されている。そして、吸引路はこの第2減圧室を経由するように設けられている。そのため、ヘッド本体の上部から取付軸の軸線に沿って直線的に吸引路を設けることができる。従って、吸引路のレイアウトを簡素化し、これによりヘッド本体内の構成の簡素化を図ることができる。また、このように吸引路を取付軸の軸線に沿って直線的に設けることにより、ヘッド本体の幅を狭めることができる。そのため、ヘッド本体の小型化を図ることができる。
【0009】
本発明のプリフォーム用吸着ヘッドの一形態においては、前記第2可動体又は前記ヘッド本体のいずれか一方に設けられ、前記コーン部が前記突出位置に移動したときに前記中心孔の内面と前記第2可動体との隙間が塞がれるように前記第2可動体と前記ヘッド本体との間に挟まれるシール部材(43)をさらに備えていてもよい。この場合、コーン部を突出位置に移動させたときに中心孔の内面と第2可動体との隙間をシールできるので、この隙間からヘッド本体内に空気が吸引されることを抑制できる。また、コーン部をプリフォーム内に挿入し、プリフォーム内から空気を吸引している場合には、この中心孔の内面と第2可動体との隙間から空気がプリフォーム内に流入することを抑制できる。そのため、吸着ヘッドの吸着力を強くすることができる。
【0010】
本発明のプリフォーム用吸着ヘッドの一形態において、前記収容室内の前記仕切り部と前記上部隔壁との間には、前記案内軸を取り囲むようにして前記ヘッド本体の外部と通じる大気開放室(35)が前記案内軸を取り囲むようにして設けられていてもよい。この場合、第1減圧室から空気を吸引すると第1減圧室と大気開放室との間の圧力差に応じた比較的大きな上向きの駆動力を第1可動体にさようさせることができる。そのため、第2減圧室の減圧に伴って発生する下向きの吸引力の影響を小さく抑えて第1可動体を確実に下方に移動させることができる。
【0011】
本発明のプリフォーム用吸着ヘッドの一形態において、前記コーン部は、前記待機位置において前記ヘッド本体内に格納されてもよい。この場合、吸着ヘッド全体を昇降させることなくコーン部をプリフォーム内に挿入したり抜き出したりすることができる。
【0012】
本発明のプリフォーム用吸着ヘッドの一形態において、前記コーン部は、先端に向かうに従って外径が漸次減少する円錐状に形成されていてもよい。このようにコーン部を円錐状に形成することにより、プリフォーム内にコーン部を速やかに挿入することができる。また、コーン部を円錐状に形成することによりプリフォーム内への挿入時にコーン部とプリフォームとを速やかに同軸にすることができる。
【0013】
本発明のプリフォーム搬送装置は、所定の搬送経路に沿ってプリフォームを搬送するプリフォーム搬送装置(10)において、上述したプリフォーム用吸着ヘッド(20)と、前記吸着ヘッドを前記所定の搬送経路に沿って移動させる移動手段(13、14)と、を備えていることにより、上述した課題を解決する。
【0014】
本発明のプリフォーム搬送装置によれば、上述した本発明の吸着ヘッドを備えているので、少なくとも吸着ヘッド全体をコーン部の分上下方向に移動させることなく、コーン部をプリフォーム内に挿入したり抜き出したりすることができる。そのため、プリフォームの保持及びその保持の解除に要する時間を短縮することができる。従って、装置を高速化して処理能力を向上させることができる。また、吸着ヘッドの吸引路のレイアウトを簡素化できるので、ヘッド本体内の構成の簡素化を図ることができる。
【0015】
本発明のプリフォーム検査装置は、所定の搬送経路に沿ってプリフォームを搬送しつつ搬送中のプリフォームを撮像し、得られた画像に基づいてそのプリフォームの異常の有無を検査するプリフォーム検査装置(1)において、上述したプリフォーム用吸着ヘッド(20)と、前記吸着ヘッドを前記所定の搬送経路に沿って移動させる移動手段(13、14)とを有するプリフォーム搬送装置(10)と、前記プリフォーム搬送装置にて搬送されているプリフォームを撮像する撮像手段(5)と、を備えていることにより、上述した課題を解決する。
【0016】
本発明のプリフォーム検査装置によれば、上述した本発明の吸着ヘッドを有するプリフォーム搬送装置を備えているので、少なくとも吸着ヘッド全体をコーン部の分上下方向に移動させることなく、コーン部をプリフォーム内に挿入したり抜き出したりすることができる。そのため、プリフォームの保持及びその保持の解除に要する時間を短縮することができる。この場合、撮像手段によって撮像可能な搬送区間を従来よりも長くすることができる。また、装置を高速化して処理能力を向上させることができる。
【0017】
本発明のプリフォーム検査装置の一形態においては、前記撮像手段は、前記吸着ヘッドに吸引保持されているプリフォームの口部を撮像し、前記吸着ヘッドの前記コーン部の外面の色が、光を反射する色であってもよい。一般にプリフォームは透明であるため、このような色のコーン部をプリフォームの口部に挿入することにより、この口部の反射光を得ることができる。そのため、撮像手段によるプリフォームの口部の撮像を適切に行うことができる。
【0018】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0019】
以上に説明したように、本発明によれば、コーン部をヘッド本体の下面よりも下方に突出する突出位置とその突出位置よりも上方の待機位置との間で移動可能としたので、吸着ヘッド全体をコーン部の分上下方向に移動させることなく、コーン部をプリフォーム内に挿入したり抜き出したりすることができる。従って、プリフォームの保持及びその保持の解除に要する時間を短縮することができる。また、吸着ヘッドの吸引路のレイアウトを簡素化できるので、ヘッド本体内の構成の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の一形態に係るプリフォーム検査装置を示している。このプリフォーム検査装置1は、図2に一例を示したプリフォーム100に対して検査を行うものである。プリフォーム100は、PET製の容器いわゆるペットボトルの予備成形品として知られる周知のものである。図2に示したようにプリフォーム100は、有底筒状であり、球面状の底部101を有する胴部102を備えている。胴部102の上端には口部103が開口しており、その口部103の下の首部104にはつば105が設けられている。
【0021】
プリフォーム検査装置1は、このプリフォーム100を所定の搬送経路に沿って搬送しつつその搬送中のプリフォーム100に対して種々の検査を行うものである。検査としては、例えばプリフォーム100の外観の異常の有無を検査する外観検査が行われる。プリフォーム検査装置1は、プリフォーム100を所定経路に沿って搬送させるために搬送方向上流側から順に、スクリュー式搬送装置2、供給装置としての入口スターホイール式搬送装置3、メインロータ装置10、及び出口スターホイール式搬送装置4を備えている。また、プリフォーム検査装置1は、搬送されているプリフォーム100の外観を撮像する撮像手段としての複数のカメラ5と、メインロータ装置10にて搬送されているプリフォーム100をメインロータ装置10の内周側から照明する照明装置6とを備えている。各カメラ5は、プリフォーム100の互いに異なる部分をミラー5aを介して撮像するように設けられている。これら複数のカメラ5で撮像する部分としては、胴部102の側面、口部103及び首部104の側面などが設定される。出口スターホイール式搬送装置4から排出されたプリフォーム100は、搬出コンベア7にて下流の工程に搬送される。
【0022】
入口スターホイール式搬送装置3は、スターホイール3aの外周に等間隔で設けられた複数のポケット3b(図4参照)にプリフォーム100を取り込んで搬送する周知のものである。この際、プリフォーム100は口部103が上を向いた状態でスターホイール3aに支持される。出口スターホイール式搬送装置4も同様の搬送装置であり、スターホイール4aの外周に等間隔で設けられた複数のポケット(不図示)にプリフォーム100を取り込んで搬送する周知のものである。スクリュー式搬送装置2は、スクリュー2aによってプリフォーム100同士の間隔を下流の入口スターホイール式搬送装置3のポケット間のピッチに揃える周知のものである。そのため、これらの搬送装置2、3、4についての詳細な説明は省略する。また、プリフォーム検査装置1による外観検査の方法は、複数のカメラ5で撮像したプリフォーム100の各部の画像に基づいてプリフォーム100の外観の異常の有無を検査する周知の検査方法でよいため、詳細な説明は省略する。
【0023】
図3及び図4は、メインロータ装置10を示した図である。なお、図3はメインロータ装置10の断面を示し、図4はメインロータ装置10の斜視図を示している。メインロータ装置10は、本発明の一形態に係る吸着ヘッド20でプリフォーム100を吸引保持し、この吸着ヘッド20で保持したプリフォーム100を自転させつつ所定の搬送経路に沿って搬送するものである。図3に示したようにメインロータ装置10は、床Fに固定される架台11と、架台11に回転自在に支持される回転軸12と、回転軸12と同軸に設けられて回転軸12と一体に回転する第1ディスク13と、架台10に回転不可に固定される第2ディスク14と、第2ディスク14に支持部材15を介して支持される複数の吸着ヘッド20とを備えている。第1ディスク13の外周には周方向に等間隔で全周に亘って上下方向に貫通する貫通孔13aが設けられており、吸着ヘッド20はこの貫通孔13aに回転可能に挿入されている。支持部材15は、吸着ヘッド20を回転自在に支持している。支持部材15の側面にはローラ15aが設けられており、このローラ15aは第2ディスク14の外周に全周に亘って設けられたレール14a上を走行する。レール14aは、ローラ15aが走行する走行面が床Fから同じ高さになるように第2ディスク14に設けられている。
【0024】
また、メインロータ装置10は、吸着ヘッド20によるプリフォーム100の保持及びその保持の解除を切り替えるための切替弁16を備えている。切替弁16は、吸引源としての真空ポンプ(不図示)と吸着ヘッド20との間の空気吸引経路の途中に設けられ、メインロータ装置10でプリフォーム100を搬送すべき区間において吸着ヘッド20に吸引力が作用するように真空ポンプと吸着ヘッド20との接続及び遮断を切り替える周知のものである。そのため、詳細な説明は省略する。
【0025】
図5を参照して吸着ヘッド20について詳しく説明する。なお、図5は吸着ヘッド20の軸線方向断面図である。この図に示したように吸着ヘッド20は、ヘッド本体21と、第1可動体としてのピストン部22と、第2可動体としての突出部23と、ばね部材としての複数のコイルばね24とを備えている。ヘッド本体21、ピストン部22、及び突出部23は、同軸に配置される。この図から明らかなようにヘッド本体21の下面21aがプリフォーム100の口部103と対向する吸着ヘッド20の下面20bとなる。ヘッド本体21は、軸線CL回りに回転可能なように支持部材15(図3参照)に支持される回転軸25と、回転軸25の下端に回転軸25と一体回転するように取り付けられるケース26とを備えている。図3に示したように回転軸25には、回転軸25と一体に回転するプーリ20aが設けられている。プーリ20aは第1ディスク13の回転経路の一部に設けられたベルト8と噛み合い、そのベルト8の走行に伴って回転駆動される。そのため、これによりヘッド本体21が回転駆動される。
【0026】
図5に戻り、ケース26は、ベース27と、円筒形状のケース本体28と、蓋部29と、ガイド筒部30と、フランジ部31と、カバー部32とを備えている。この図に示したようにベース27、ケース本体28、及び蓋部29のそれぞれの外径はほぼ同じである。ベース27は、回転軸25に同軸的、かつ一体に回転するように取り付けられている。ベース27は、回転軸25が挿入される円筒状の取付部27aと、取付部27aから径方向外側に突出する円盤状の円板部27bと、円板部27bよりも下方に突出する円筒状のピストン受け部27cとを備えている。ピストン受け部27cには、その内側と外側とを連通する連通孔27dが設けられている。ケース本体28はベース27の下面に取り付けられ、蓋部29はケース本体28の下面に重ね合わされている。蓋部29の中心部にはピストン部22が挿入される貫通孔29aが設けられている。また、蓋部29には、蓋部29がケース本体28に同軸に取り付けられるようにケース本体28の内側に嵌る嵌め込み部29bが設けられている。そして、ベース27、ケース本体28、及び蓋部29は、互いに同軸的に配置されてボルト33により一体的に接合されている。
【0027】
ガイド筒部30は、蓋部29の下面に同軸に設けられ、ボルト34により蓋部29に一体に接合されている。ガイド筒部30の外周には径方向外側に突出する突起部30aが設けられている。フランジ部31は、大径部31aと、その大径部31aより下方に突出する小径部31bとを備えている。また、フランジ部31の中心には、上下に貫通して突出部23が挿入される中心孔31cが設けられている。カバー部32には、その下面の中央に孔32aが設けられている。フランジ部31は、その孔32aに小径部31bが嵌るようにカバー部32に内側から嵌め込まれている。ケース26には、蓋部29を貫通してケース本体28に達するばね穴26cが設けられている。ばね穴26cには、コイルばね50が上下方向に圧縮された状態で挿入されている。コイルばね50の下方には、上端がコイルばね50に接し、下端がフランジ部31に接する押し付け部材51が設けられている。そのため、コイルばね50の復元力によってフランジ部31をカバー部32に押し付けることができる。小径部31bの高さは、フランジ部31がカバー部32に嵌め込まれたときにフランジ部31の下面とカバー部32の下面とが略面一になるように設定されている。カバー部32の上部にはガイド筒部30の突起部30aと係合する爪部32bが設けられている。カバー部32は、その内部にフランジ部31を収容しつつ爪部32bが突起部30aと係合されることによりガイド筒部30に同軸的、かつ一体に取り付けられている。
【0028】
ケース本体28の内部には、ピストン部22が収容される第1収容室26aが設けられている。第1収容室26aの上端はベース27で、下端は蓋部29でそれぞれ覆われている。これにより、ベース27は上部隔壁として、ケース本体28は周壁として、蓋部29は下部隔壁としてそれぞれ機能する。また、ガイド筒部30の内部には、突出部23が収容される第2収容室26bが設けられている。第2収容室26bの上端は蓋部29で、下端はフランジ部31でそれぞれ覆われている。
【0029】
第1収容室26aには、ピストン部22が上下方向へ移動可能な状態で収容されている。ピストン部22は、円筒形状の軸部22aと、その軸部22aから径方向外側に延びる円盤状の仕切り部22bとを備えている。仕切り部22bは、軸部22aに同軸に設けられている。仕切り部22bには、その外周から上方に延びる円筒形状の摺動部22cが設けられている。ピストン22は、この摺動部22cがケース本体28の内面に上下動自在に嵌め合わされることにより、第1収容室26a内に移動可能に収容される。これにより第1収容室26a内には、仕切り部22bとベース27との間に大気開放室35が、仕切り部22bと蓋部29との間に第1減圧室36が、それぞれ形成される。ベース27の円板部27bには、大気開放室35とヘッド本体21の外部とを連通する連通孔27eが設けられている。また、ケース本体28には、ケース本体28の下端の一部がベース27と当接せず、その間に隙間ができるように切り欠き部28aが設けられている。そのため、この切り欠き部28aにて形成される隙間によっても大気開放室35とヘッド本体21の外部とを連通させることができる。
【0030】
軸部22aは、仕切り部22bよりも上方に設けられた案内軸22dと、仕切り部22bよりも下方に設けられた取付軸22eとを備えている。回転軸25には、その下面に開口する凹部25aが設けられている。案内軸22dは、その凹部25aに挿入されている。それにより、案内軸22dの上端部と凹部25aの天井面25bとの間に第2減圧室37が形成されている。案内軸22dの外周面と凹部25aの内周面との間には、スリーブ38が設けられている。スリーブ38は、凹部25aの内周面に圧入等の嵌め合い手段を用いて固定されている。スリーブ38と案内軸22dとの間には、案内軸22dがスリーブ38に沿って円滑に摺動できるように微小な隙間が存在する。その隙間を介して第2減圧室37に空気が漏れ込むが、この漏れ込み量は第2減圧室37の減圧に支障がない程度に制限される。案内軸22dには、仕切り部22bとピストン受け部27cとの間に介在してピストン部22がベース27に衝突することを防止する緩衝リング39が設けられている。
【0031】
取付軸22eは、その下端が第2収容室26b内に突出するように蓋部29の貫通孔29aに挿入されている。取付軸22eの外周面と貫通孔29aの内周面との間には、スリーブ40が設けられている。スリーブ40は、貫通孔29aの内周面に圧入等の嵌め合い手段を用いて固定されている。スリーブ40と取付軸22eとの間には、取付軸22eがスリーブ40に沿って円滑に摺動できるように微小な隙間が存在する。その隙間を介して第1減圧室36に空気が漏れ込むが、この漏れ込み量は第1減圧室36の減圧に支障がない程度に制限される。
【0032】
第2収容室26bには、突出部23が上下方向へ移動可能な状態で収容されている。この突出部23は、ピストン部22の取付軸22eと同軸に連結されている。突出部23は、円柱状の胴部23aと、胴部23aから径方向外側に突出する円盤状のつば部23bとを備えている。そして、突出部23は、つば部23bがガイド筒部30の内面に上下動自在に嵌め合わされることにより、第2収容室26b内に移動可能に収容されている。胴部23aは、フランジ部31の中心孔31cに挿入されている。胴部23aの外径は、胴部23aが中心孔31c内を上下に移動できるように中心孔31cの内径よりも若干小さい。胴部23aの下端には、プリフォーム100の口部103に挿入されるコーン部23cが設けられている。コーン部23cは、先端に向かうに従って外径が漸次減少する円錐状に形成されている。コーン部23cの外面は、光を反射する色、例えば白色に塗装されている。そのため、このコーン部23cをプリフォーム100の口部103に挿入することにより、この口部103の反射光を得ることができる。従って、カメラ5によるプリフォーム100の口部103の撮像を適切に行うことができる。
【0033】
胴部23aには、その上面側に開口する凹部23dが設けられている。凹部23dは、大径部23eと小径部23fとを備えている。大径部23eは、その内径が貫通孔29aを形成する蓋部29の筒部29cの外径より大きくなるように設けられている。小径部23fは、その内径が取付軸22eの外径と同じ値になるように設けられている。ピストン部22の取付軸22eは、小径部23fに嵌め込まれている。胴部23aの下面まで貫通してコーン部23cの中央に開口する吸引孔41が設けられている。そして、この吸引孔41が、吸着ヘッド20の吸引口20cとして機能する。胴部23aの外周面のうち、つば部23bが突出する部分の上部には、径方向内側に凹む溝42が設けられている。そして、この溝42にはシール部材としてのOリング43が取り付けられている。
【0034】
また、第2収容室26bには、複数のコイルばね24が収容されている。これらコイルばね24の上端部は、突出部23のつば部23bに設けられたばね受け穴23gに嵌め合わされている。各コイルばね24は、フランジ部31によって上下方向に圧縮された状態で第2収容室26b内に保持されている。そのため、各コイルばね24の圧縮に対する復元力により突出部23及びピストン部22には上方へ押し上げる力が作用している。この際、ピストン部22及び突出部23は、ピストン部22の仕切り部22bが緩衝リング39を介してベース27のピストン受け部27cに当たるまで上方に移動する。そして、ピストン部22及び突出部23がこの位置に移動することにより、突出部23のコーン部23cがヘッド本体21内に格納される。以降、このように突出部23のコーン部23cがヘッド本体21内に格納される位置を突出部23の待機位置と称することがある。各ばね受け穴23gの底部には、つば部23bを上下に貫通する連絡孔23hが設けられている。カバー部32とガイド筒部30との間には、第2収容室26bとヘッド本体21の外部とを連通する不図示の連通孔が形成されている。
【0035】
吸引口20cから空気を吸引するため、吸着ヘッド20には吸引路44が設けられている。吸引路44は、回転軸25の内部をその軸線CLに沿って貫通する第1通路45と、ピストン部22の内部を軸線CLに沿って貫通する第2通路46とを備えている。第1通路45と第2通路46との間には、第2減圧室37が位置する。それにより、第2減圧室37も吸引路44の一部として利用されている。また、第2通路46は、突出部23の吸引孔41と接続されている。そのため、この吸引孔41も吸引路44の一部として利用される。これにより、吸引路44は、ヘッド本体21の上面側から第2減圧室37を経由して吸引口20cに至るように取付軸22eの軸線CLに沿って延びている。ピストン部22の取付軸22eには、軸線CLと直交する方向に貫通する複数の接続路47が設けられている。それらの接続路47を介して第2通路46と第1減圧室36とが接続されている。そのため、吸引口20c、第1減圧室36、及び第2減圧室37は、共通の吸引路44と接続されている。図3に示したように吸着ヘッド20の上端には第1通路45の上端と接続される継ぎ手17が取り付けられ、吸引路44はこの継ぎ手17に接続された配管チューブ18を介して切替弁16と接続されている。従って、切替弁16を介して不図示の真空ポンプと吸引路44とを接続することにより、吸引口20c、第1減圧室36、及び第2減圧室37のそれぞれから空気が吸引される。これにより、第1減圧室36、及び第2減圧室37の内圧が低下する。
【0036】
図6に示したように吸引路44から空気が吸引したとき、第2減圧室37の圧力低下に伴ってピストン部22に上向きの吸引力F1が作用する。一方、第1減圧室36の圧力低下に伴ってピストン部22に下向きの吸引力F2が作用する。各減圧室36、37は共通の吸引路44に接続されているため、これらの減圧室36、37の圧力は互いに等しい。そのため、ピストン部22に作用する吸引力の大小関係は、第1減圧室36の軸線CLと直交する断面の面積と、第2減圧室37の軸線CLと直交する断面の面積との大小関係によって定まる。また、ピストン部22には、突出部23を介してコイルばね24の力が上方に作用している。さらに、ピストン部22の仕切り部22bより上部にはヘッド本体21の外部と連通している大気開放室35が設けられている。そのため、ピストン部22には大気圧による押し下げ力F4が作用する。従って、上向きの力の合力(F1+F3)よりも下向きの力の合力(F2+F4)が大きくなるように第2減圧室37の断面積を第1減圧室36の断面積よりも小さく制限すれば、減圧に伴ってピストン部22には下向きの駆動力が作用することになる。このように断面積を設定することで、吸引路44からの空気の吸引に伴ってピストン部22を下降させることができる。
【0037】
図6は、吸引路44に吸引力を作用させてピストン部22を下降させた状態の吸着ヘッド20を示している。図6に示したように、ピストン部22を下方に移動させることにより、突出部23のコーン部23cをヘッド本体21の下面21aよりも下方に突出させることができる。そのため、このコーン部23cをプリフォーム100の口部103に挿入し、コーン部23cの先端に設けられている吸引口20cから吸引路44を介してプリフォーム100内の空気を吸引することができる。これによりプリフォーム100内の圧力を低下させ、吸着ヘッド20にプリフォーム100を吸引保持させることができる。この際、突出部23は、ピストン部22の下降に伴ってOリング43が突出部23とフランジ部31との間に挟み込まれて潰れるまで下方に移動する。そして、Oリング43は、このように突出部23とフランジ部31との間に挟まれて潰れることにより、中心孔31cの内面と突出部23の胴部23aとの間の隙間を塞ぐ。以降、このようにOリング43が挟まれて潰れるまで突出部23が下方に移動し、コーン部23cがヘッド本体21の下面21aよりも下方に突出する位置を突出部23の突出位置と称することがある。
【0038】
メインロータ装置10において第2ディスク14は、吸着ヘッド20の下面20bが入口スターホイール式搬送装置3に支持されているプリフォーム100の口部103に接触せず、かつ突出部23を突出位置に移動させたときにコーン部23cが入口スターホイール式搬送装置3に支持されているプリフォーム100内に挿入される所定高さで吸着ヘッド20が移動するように支持部材15を支持する。そして、第1ディスク13が回転軸12と一体に回転することにより、入口スターホイール式搬送装置3からプリフォーム100を受け取る搬入位置P1(図1及び図4参照)及び出口スターホイール式搬送装置4にプリフォーム100を送り出す搬出位置P2(図1参照)が含まれる所定の搬送経路に沿って吸着ヘッド20を移動させる。そのため、第1ディスク13及び第2ディスク14が本発明の移動手段に相当する。
【0039】
次に図4を参照してメインロータ装置10の吸着ヘッド20にプリフォーム100を吸引保持させる手順について説明する。上述したように入口スターホイール式搬送装置3は、口部103が上を向いた状態でプリフォーム100を支持する。吸着ヘッド20にプリフォーム100が吸引保持されていないときは、吸引路44に吸引力が作用していないため、突出部23は待機位置に移動している。そして、吸着ヘッド20は上述した所定高さに維持された状態で所定の搬送経路に沿って移動しているため、搬入位置P1に到達したタイミングにおいて切替弁16により吸引路44に吸引力を作用させることにより、ヘッド本体21から突出部23のコーン部23cを突出させてこのコーン部23cをプリフォーム100内に挿入することができる。この際、吸引口20cからは空気が吸引されているので、プリフォーム100内の圧力が低下し、これによりプリフォーム100を吸着ヘッド20に引き寄せることができる。そのため、吸着ヘッド20にプリフォーム100の口部103を真空吸着させることができる。すなわち、吸着ヘッド20を上下方向に移動させることなく吸着ヘッド20にプリフォーム100を吸引保持させ、入口スターホイール式搬送装置3からプリフォーム100を受け取ることができる。そして、突出部23が突出位置に移動した場合は、Oリング43が中心孔31cの内面と突出部23の胴部23aとの間の隙間を塞ぐので、図6に矢印Aで示したように第2収容室26bからこの隙間を介してプリフォーム100内へ流入する空気の流れを止めることができる。これにより、吸着ヘッド20によるプリフォーム100の保持力を強めることができる。
【0040】
一方、プリフォーム100を吸引保持している吸着ヘッド20が搬出位置P2に移動すると、切替弁16が真空ポンプと吸引路44との接続を遮断するので、吸引路44への吸引力の作用が止められる。これによりプリフォーム100内の圧力が大気圧に近付き吸着ヘッド20によるプリフォーム100の保持が解除される。また、これとほぼ同時に第1減圧室36内の圧力が大気圧になるため、コイルばね24によって突出部23が待機位置に移動する。上述したように待機位置では、コーン部23cがヘッド本体21内に格納されるので、ヘッド本体21の下面21aから突出するものを無くすことができる。そのため、吸着ヘッド20を上下方向に移動させることなく出口スターホイール式搬送措置4にプリフォーム100を送り出すことができる。このようにプリフォーム100を搬送することによりメインロータ装置10が本発明のプリフォーム搬送装置に相当する。
【0041】
以上に説明したように、本形態の吸着ヘッド20によれば、吸引路44に作用させた吸引力により突出部23を待機位置と突出位置との間で移動させることができるので、吸着ヘッド20全体を上下方向に移動させることなくプリフォーム100内にコーン部23cを挿入してそのプリフォーム100を吸引保持したり、その保持を解除したりすることができる。また、吸着ヘッド20を上下方向に移動させる必要がないため、配管チューブ18が殆ど変形しない。そのため、この配管チューブ18の劣化を抑制することができる。突出部23の駆動は、プリフォーム100を吸引保持するために吸着ヘッド20に作用させた吸引力を利用して行うので、この突出部23を駆動するために新たにモータやアクチュエータなどの駆動源を設ける必要がない。そのため、コストを低減できる。
【0042】
本形態の吸着ヘッド20においては、ピストン部22を挟んで上下にそれぞれ減圧室36、37を形成し、それらの減圧室36、37の断面積を差別化することにより、ピストン部22に駆動力を作用させている。第2減圧室37を無くし、ピストン部22の上面側を大気に開放した場合はその部分を迂回するようにして第1減圧室36に通じる吸引路を設ける必要がある。この場合、吸引路のレイアウトが複雑化するとともにヘッド本体21の幅が大きくなる。これに対して、本形態の吸着ヘッド20では、吸引路44を取付軸22eの軸線CLに沿って直線的に設けられているので、吸引路のレイアウトを簡素化し、これによりヘッド本体21内の構成の簡素化を図ることができる。また、このように吸引路44を軸線CLに沿って直線的に設けることにより、ヘッド本体21の幅を狭くし、ヘッド本体21を小型化することができる。
【0043】
メインロータ装置10では、吸着ヘッド20をほぼ一定の所定高さで移動させるので、メインロータ装置10の搬送時にプリフォーム100が上下方向に殆ど移動しない。そのため、プリフォーム100の検査を行うことが可能な搬送区間が制限されるなど、プリフォーム100の検査に無駄な制約が課されることを抑制できる。また、このように吸着ヘッド20を一定の高さで移動させることにより吸着ヘッド20を昇降させるための機構が不要となるため、吸着ヘッド20の移動速度を高めることができる。例えば、凹凸が滑らかに接続されたカム面に沿って吸着ヘッド20を移動させることによりこの吸着ヘッド20を昇降させる機構では、吸着ヘッド20の移動速度はカム面に沿って吸着ヘッド20が移動する速度に制限される。一方、本発明のメインロータ装置10では、このような吸着ヘッド20の移動速度の制限がない。そのため、吸着ヘッド20の移動速度を高め、従来よりもプリフォーム100を高速で搬送することができる。
【0044】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、突出部の待機位置は、突出部の下端とヘッド本体の下面とが同じ高さになる位置に限定されない。待機位置には、突出部の下端がヘッド本体の下面よりも高くなる位置が設定されてもよい。また、待機位置として、プリフォームの受け渡し時に干渉しない程度に突出部の下端がヘッド本体の下面よりも低くなる位置が設定されてもよい。
【0045】
本発明の吸着ヘッドが適用されるプリフォーム搬送装置は、吸着ヘッドを周方向に移動させるロータ搬送装置に限定されない。本発明の吸着ヘッドは、吸着ヘッドを所定の搬送経路に沿って移動させることにより吸着ヘッドに吸引保持させたプリフォームを搬送する種々の搬送装置に適用してよい。また、本発明の吸着ヘッドは、吸着ヘッドを昇降させるための機構を備えた搬送装置に適用してもよい。この場合、カメラで撮像し易い高さにプリフォームを移動させたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一形態に係るプリフォーム検査装置を示す図。
【図2】プリフォームの一例を示す図。
【図3】メインロータ装置の断面を示す図。
【図4】メインロータ装置の斜視図。
【図5】本発明の一形態に係る吸着ヘッドの軸線方向断面を示す図。
【図6】吸引路に吸引力が作用している状態の吸着ヘッドを示す図。
【符号の説明】
【0047】
1 プリフォーム検査装置
5 カメラ(撮像手段)
10 メインロータ装置(プリフォーム搬送装置)
13 第1ディスク(移動手段)
14 第2ディスク(移動手段)
20 吸着ヘッド
20c 吸引口
21 ヘッド本体
21a 下面
22 ピストン部(第1可動体)
22b 仕切り部
22d 案内軸
22e 取付軸
23 突出部(第2可動体)
23c コーン部
24 コイルばね(ばね部材)
25a 凹部
26a 第1収容室
27 ベース(上部隔壁)
28 ケース本体(周壁)
29 蓋部(下部隔壁)
29a 貫通孔
35 大気開放室
36 第1減圧室
37 第2減圧室
31c 中心孔
43 Oリング(シール部材)
44 吸引路
100 プリフォーム
103 口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持対象のプリフォームの口部と対向する下面を下端に有し、内部には、周壁、上部隔壁及び下部隔壁にて囲まれた収容室を有するヘッド本体と、
前記収容室の前記周壁に上下動自在に嵌め合わされて前記収容室内を仕切る仕切り部を有し、下面側には前記下部隔壁の中心の貫通孔に挿入される取付軸が設けられた第1可動体と、
前記保持対象のプリフォーム内に挿入されるコーン部を下端に有し、前記コーン部が前記第1可動体の上下方向への移動に伴って前記下面の中心部に設けられた中心孔から前記下面よりも下方に突出した突出位置と前記突出位置よりも上方に移動した待機位置との間で移動できるようにして前記取付軸と連結され、かつ前記ヘッド本体内に上下動自在に収容された第2可動体と、
前記コーン部を前記突出位置から前記待機位置に移動させる力を発生するばね部材と、を備え、
前記収容室内の前記仕切り部と前記下部隔壁との間には、前記取付軸を取り囲むようにして第1減圧室が設けられ、
前記第1可動体又は前記上部隔壁のいずれか一方には前記取付軸と同軸の案内軸が、他方には前記案内軸が嵌り合う凹部がそれぞれ設けられ、
前記案内軸と前記凹部との間には第2減圧室が設けられ、
前記取付軸の軸線上には、前記ヘッド本体の上部から前記第2減圧室を経由して前記コーン部に達し、かつ前記コーン部の下面に吸引口が開口する吸引路が設けられ、
前記吸引路と前記第1減圧室とが接続され、
前記吸引路を介して前記吸引口、前記第1減圧室、及び前記第2減圧室から空気を吸引したときに、前記第1可動体を前記ばね部材の力に抗して下方へ移動させる駆動力が前記第1可動体に作用するように、前記第2減圧室の軸線と直交する断面の面積が前記第1減圧室の前記軸線と直交する断面の面積よりも小さく設定されている、ことを特徴とするプリフォーム用吸着ヘッド。
【請求項2】
前記第2可動体又は前記ヘッド本体のいずれか一方に設けられ、前記コーン部が前記突出位置に移動したときに前記中心孔の内面と前記第2可動体との隙間が塞がれるように前記第2可動体と前記ヘッド本体との間に挟まれるシール部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のプリフォーム用吸着ヘッド。
【請求項3】
前記収容室内の前記仕切り部と前記上部隔壁との間には、前記案内軸を取り囲むようにして前記ヘッド本体の外部と通じる大気開放室が前記案内軸を取り囲むようにして設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリフォーム用吸着ヘッド。
【請求項4】
前記コーン部は、前記待機位置において前記ヘッド本体内に格納されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリフォーム用吸着ヘッド。
【請求項5】
前記コーン部は、先端に向かうに従って外径が漸次減少する円錐状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリフォーム用吸着ヘッド。
【請求項6】
所定の搬送経路に沿ってプリフォームを搬送するプリフォーム搬送装置において、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリフォーム用吸着ヘッドと、前記吸着ヘッドを前記所定の搬送経路に沿って移動させる移動手段と、を備えていることを特徴とするプリフォーム搬送装置。
【請求項7】
所定の搬送経路に沿ってプリフォームを搬送しつつ搬送中のプリフォームを撮像し、得られた画像に基づいてそのプリフォームの異常の有無を検査するプリフォーム検査装置において、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリフォーム用吸着ヘッドと、前記吸着ヘッドを前記所定の搬送経路に沿って移動させる移動手段とを有するプリフォーム搬送装置と、
前記プリフォーム搬送装置にて搬送されているプリフォームを撮像する撮像手段と、を備えていることを特徴とするプリフォーム検査装置。
【請求項8】
前記撮像手段は、前記吸着ヘッドに吸引保持されているプリフォームの口部を撮像し、
前記吸着ヘッドの前記コーン部の外面の色が、光を反射する色であることを特徴とする請求項7に記載のプリフォーム検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−155702(P2010−155702A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335201(P2008−335201)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】