説明

プリプレグの製造方法

【課題】検査時間の短縮や検査精度の向上を図ることができるプリプレグの欠陥の検査手法、プリプレグの欠陥の位置情報を後工程である検反工程に伝達する手法を取り入れた、離型紙を用いたホットメルト法によるプリプレグの製造方法の提供。
【解決手段】離型紙5A、5Bと離型紙に炭素繊維束1に含浸される樹脂が塗布されて形成された樹脂フィルム6Aからなる樹脂シート3A、3B、3a、3bにおける樹脂フィルムの表面を光学装置により検査し、表面の欠陥を検出し、検出された欠陥の種類を判定する樹脂シート検査工程S6A、あるいは、炭素繊維束に樹脂フィルムを形成している樹脂が含浸されて形成されたプリプレグシート9、9aの離型紙を剥離した後のプリプレグの表面を光学装置により検査することにより、プリプレグの表面の欠陥を検出し、検出された欠陥の種類を判定するプリプレグシート検査工程S9を有することを特徴とするプリプレグの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維束とこの炭素繊維束に含浸した樹脂からなるプリプレグの製造方法に関する。詳しくは、プリプレグの製造過程において、プリプレグに現れる欠陥を検出し、検出された欠陥に関する情報を用いてプリプレグを製造するプリプレグの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
釣竿、ゴルフシャフト等のスポーツあるいはレジャー用品、航空機、自動車、産業用機材等に、強化繊維と樹脂とからなる複合材料が、広く用いられている。これらの複合材料の成形には、一方向に配列された強化繊維束からなる強化繊維シート、あるいは、少なくとも二方向に配列された強化繊維、例えば、強化繊維布帛からなる強化繊維シートに、樹脂を含浸させたプリプレグと呼ばれる成形材料が用いられている。複合材料は、この成形材料を複数枚積層して所望の形状に成形することにより製造される。
【0003】
プリプレグの製造には、通常、離型紙とこの離型紙の表面に塗布された樹脂により形成された樹脂フィルムからなる樹脂シート、すなわち、離型紙付きの樹脂フィルムと、炭素繊維束、あるいは、樹脂が既に含浸されている炭素繊維束からなる炭素繊維シートが用いられる。
【0004】
前記樹脂シートの前記樹脂フィルムの表面を、前記炭素繊維シートの少なくとも一方の表面に向かい合わせ、前記樹脂シートと前記炭素繊維シートとからなる積層シートが形成される。形成された前記積層シートにおける前記炭素繊維束に、前記積層シートにおける前記樹脂を、加熱および/または加圧下において、含浸させ、前記炭素繊維束と該炭素繊維束に含浸した前記樹脂からなるプリプレグシートが製造される。
【0005】
二枚の前記樹脂シートが用いられ、これら二枚の前記樹脂シートで前記炭素繊維シートを挟むことによりプリプレグが製造される場合もある。
【0006】
前記樹脂としては、通常、未硬化の熱硬化性樹脂、例えば、未硬化のエポキシ樹脂が用いられている。前記樹脂は、前記離型紙の表面に薄膜コーティングにより塗布され、該離型紙上に前記樹脂フィルムが形成される。前記熱硬化性樹脂は、通常、硬化剤を含む。前記熱硬化性樹脂は、複合材料の性能向上や製造工程における樹脂の粘度調整等を目的として混合される熱可塑性樹脂を含む樹脂混合物の形態で用いられる場合もある。
【0007】
前記炭素繊維束としては、一方向に配列された多数本の炭素繊維、あるいは、少なくとも二方向に配列された多数本の炭素繊維、例えば、炭素繊維布帛が用いられる。
【0008】
前記樹脂の前記炭素繊維束への含浸は、通常、ホットメルト法により行われる。前記樹脂の炭素繊維束への含浸は、一回、あるいは、必要に応じて、二回以上行われる。二回目およびそれ以降の樹脂の炭素繊維束への含浸は、その前の段階において形成された炭素繊維束に樹脂が含浸されたプリプレグの炭素繊維束に対し行われる。
【0009】
プリプレグの製造工程では、樹脂の硬化物や離型紙の破片等がプリプレグに混入する異物混入や樹脂の炭素繊維束への含浸不良(樹脂の炭素繊維束への転写不良)等による欠陥が、プリプレグに発生する場合がある。従って、欠陥のない、あるいは、欠陥の少ない良質の複合材料を製造するためには、プリプレグの製造工程におけるこれらの欠陥の発生を最小限にし、あるいは、発生した欠陥を検出することが重要となる。
【0010】
これらプリプレグの欠陥の検出は、製造するプリプレグの種類によって予め決められた基準に従い、ばらつき無く、欠陥をその種類別に区別して行われることが望まれる。また、連続して製造されつつあるプリプレグにおける検出された欠陥の位置の把握が可能であり、また、その欠陥の位置をプリプレグにマーキングすることが可能であることが望まれる。欠陥の種類の把握とその位置の把握が可能となると、欠陥の修正作業や欠陥部分の除去作業が可能となり、良好な品質を有するプリプレグの製造が可能となる。
【0011】
プリプレグの欠陥の検出は、従来、一般的に、人の目視作業によって行われていた。しかし、この目視作業は、非常に集中力が要求される作業であるだけでなく、欠陥の判断に個人差が出やすい、あるいは、欠陥を見逃す場合があるなどの問題を有していた。
【0012】
これらの問題の解決や省人化などを目的としたプリプレグの欠陥検査の自動化技術をプリプレグの製造工程に導入することが進んでおり、検査時間の短縮や検査精度の向上のため、種々の技術が提案されている。
【0013】
特許文献1には、製造工程において現れるプリプレグの欠陥を、毛羽欠点、ワレ欠点および異物欠点に区分して検出し、それぞれの検出結果を利用してプリプレグを製造するプリプレグの製造方法および装置が提案されている。この特許文献1による欠陥検査方法は、離型紙が剥離された後のプリプレグの表面に光を照射し、プリプレグの表面における欠陥の検出を行うものである。しかしながら、この方法では、プリプレグの一方の表面に離型紙が有る場合、離型紙と向かい合っているプリプレグの表面に発生している欠陥の検出は原理的にできない。
【0014】
特許文献2には、プリプレグの製造工程における樹脂の強化繊維束への転写状態(含浸状態)を検出し、その検出結果を利用してプリプレグを製造するプリプレグの製造装置と製造方法が提案されている。この特許文献2による樹脂の転写状態の検査方法は、離型紙上に塗布された樹脂が強化繊維束に転写された後に剥離された離型紙の表面に残存している樹脂の状態を検査することによって、離型紙を剥離した側のプリプレグの表面の樹脂の転写状態を推測するものである。この方法では、樹脂の転写に関する状態が検出されるが、プリプレグの一方の表面に離型紙が有る場合、やはり、離型紙と向かい合っているプリプレグの表面に発生している欠陥の検出は原理的にできない。
【0015】
特許文献3には、プリプレグの欠陥のうち、ワレ欠点と毛羽欠点を検出するプリプレグの欠陥の検査方法が提案されている。しかしながら、プリプレグにはワレ欠点と毛羽欠点以外にも複数種の欠点が存在するため、この方法では、省人化効果や検査精度の向上効果は完全には発揮できない。
【0016】
特許文献4には、プリプレグの欠陥のうち、異物欠点、毛羽欠点、スジ欠点およびシワ欠点を検出するプリプレグ欠陥検査方法が提案されている。しかし、やはり、異物欠点、毛羽欠点、スジ欠点およびシワ欠点以外にも複数種の欠点が存在するため、この方法では、省人化効果や検査精度の向上効果は完全には発揮できない。
【0017】
一方、樹脂混合物を離型紙に塗布して離型紙上に樹脂フィルムを形成する工程において、コーティングロール上で部分的に樹脂がなくなり、離型紙上に樹脂がスジ状に欠落したり、離型紙上に樹脂が点状に欠落する等の樹脂の塗布欠陥が発生する。
【0018】
これら樹脂の塗布欠陥のうち、スジ状のものは、スジ欠点、点状のものは、点状欠点と呼称されている場合がある。また、製造された樹脂シートを巻き上げるまでの間に、樹脂の硬化物、離型紙の破片等の異物が混入し、樹脂フィルムに欠陥が発生する場合がある。この異物の混入による欠陥は、異物欠点と呼称されている場合がある。
【0019】
これら樹脂フィルムの欠陥は、強化繊維束に樹脂を含浸させる樹脂含浸工程で、強化繊維束に樹脂を転写させた後にも、プリプレグにおける欠陥となる可能性がある。そのため、プリプレグの品種毎に、欠陥の基準が定められ、該基準に基づいて欠陥の判定を行い、欠陥の位置の記録、欠陥の修正、もしくは、欠陥部分の製品からの除外が行われている。
【0020】
これらの欠陥を、プリプレグの製造に用いられる樹脂フィルムを形成する樹脂フィルムの製造工程において、検出することが知られている。
【0021】
特許文献5には、樹脂シートの製造工程において、離型紙の表面に樹脂を塗布することにより形成される樹脂フィルムの欠陥、すなわち、樹脂の塗布欠陥を検出する樹脂シートの製造装置および製造方法が提案されている。この特許文献5による欠点検査方法は、樹脂シートの製造工程における樹脂フィルムの表面の樹脂の塗布欠陥を検出するものである。
【0022】
しかしながら、樹脂シートの製造工程において、樹脂シートの巻き上げ前に欠陥を検出したとしても、次のプリプレグの製造工程に供給されるまでの経時変化や、樹脂シートの巻き上げ工程で発生する欠陥の検出や、プリプレグの製造工程における樹脂シートの巻き上げ体からの樹脂シートの解舒時に発生する欠陥、例えば、異物の混入により発生する異物欠点の検出は原理的にできない。
【0023】
従来から、プリプレグの製造をホットメルト方式で行う場合、通常、プリプレグの取り扱い性を考慮して、プリプレグの片面に離型紙が付着されたままのプリプレグ、すなわち、離型紙付きのプリプレグの形態で、プリプレグが巻き取られる。そのため、離型紙側のプリプレグの表面の欠陥の検査は、離型紙を剥離して行い、客先に出荷するに当たり、再び離型紙を付着させる必要があった。しかしながら、これらの操作によって、かえって欠点が増える可能性があり、不十分ながら離型紙が付着していないプリプレグの表面からの検査のみに頼っていた。このため、反対側の表面に存在している欠陥は、製品を使用するときに初めて検出されることがあり、改良が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開平09−225939号公報
【特許文献2】特開平09−150416号公報
【特許文献3】特開2010−085166号公報
【特許文献4】特開2011−085468号公報
【特許文献5】特開09−136323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は、上述の従来技術の問題点に鑑み、離型紙を用いたホットメルト法により1段あるいは2段以上の樹脂含浸工程を含むプリプレグの製造方法において、検査時間の短縮や検査精度の向上を図ることができるプリプレグの欠陥の検査手法、特に、プリプレグの両表面の欠陥の位置や種類を特定する手法、ならびに、プリプレグの欠陥の位置情報を後工程であるプリプレグの検反工程に伝達する手法を取り入れたプリプレグの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明のプリプレグの製造方法は、次の通りである。
【0027】
(a)離型紙と該離型紙の表面に塗布された樹脂により形成された樹脂フィルムからなる樹脂シートを連続して供給する少なくとも一つの樹脂シート供給工程と、
(b)炭素繊維束、あるいは、樹脂が含浸されている炭素繊維束からなる炭素繊維シートを連続して供給する炭素繊維シート供給工程と、
(c)前記樹脂シート供給工程から供給される前記樹脂フィルムの表面を、前記炭素繊維シート供給工程から供給される前記炭素繊維シートの少なくとも一方の表面に向かい合わせ、前記樹脂シートと前記炭素繊維シートからなる積層シートを形成する積層シート形成工程と、
(d)該積層シート形成工程において形成された前記積層シートにおける前記炭素繊維束に前記積層シートにおける前記樹脂を含浸させ、前記炭素繊維束と該炭素繊維束に含浸した前記樹脂からなるプリプレグシートを形成する少なくとも一つの樹脂含浸工程と、
(e)該樹脂含浸工程において形成されたプリプレグシートを連続して巻き取るプリプレグシート巻き取り工程からなるプリプレグの製造方法において、
(f)前記樹脂シート供給工程における前記樹脂フィルムの表面を光学装置により検査することにより、前記プリプレグの欠陥の原因となる前記樹脂フィルムの表面の欠陥を検出し、検出された欠陥が、樹脂スジ状欠落欠点、異物混入欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれに属するかを判定する少なくとも一つの樹脂シート検査工程、あるいは、
(g)前記樹脂含浸工程から導出された前記離型紙を伴う離型紙付きプリプレグシートの該離型紙を剥離した後のプリプレグシートの表面を光学装置により検査することにより、前記プリプレグの表面の欠陥を検出し、検出された欠陥が、炭素繊維毛羽欠点、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれに属するかを判定する少なくとも一つのプリプレグシート検査工程を有するプリプレグの製造方法。
【0028】
本発明のプリプレグの製造方法において、前記樹脂シート検査工程における前記光学装置が、前記欠陥を検査する前記表面に光を照射する光照射装置と、該光照射装置から照射した光の前記表面からの反射光を検出する受光装置と、該受光装置が検出した反射光の強度の値と予め設定した閾値を比較し前記欠陥を検出し、前記欠陥が、樹脂スジ状欠落欠点、異物混入欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれかに属するかを判定する欠点判定装置からなることが好ましい。
【0029】
本発明のプリプレグの製造方法において、前記プリプレグシート検査工程における前記光学装置が、前記欠陥を検査する前記表面に光を照射する光照射装置と、該光照射装置から照射した光の前記表面からの反射光を検出する受光装置と、該受光装置が検出した反射光の強度の値と予め設定した閾値を比較し前記欠陥を検出し、前記欠陥が、炭素繊維毛羽欠点、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれに属するかを判定する欠点判定装置からなることが好ましい。
【0030】
本発明のプリプレグの製造方法において、前記プリプレグ検査工程における前記欠点判定装置が、前記炭素繊維毛羽欠点、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点の各々に対して、正反射光の信号と散乱反射光の信号別に、予め、輝度、幅、長さ、および、面積からなる群から選択される少なくとも一つについての閾値を設定し、前記各欠点毎に、前記各反射光の感度をもとに、検出に用いる前記反射光の種類を決定し、それらの前記閾値と前記反射光の信号とを比較することによって、検出された前記欠陥を前記各欠点に分類してなることが好ましい。
【0031】
本発明のプリプレグの製造方法において、前記プリプレグ検査工程における前記欠点判定装置が、前記炭素繊維毛羽欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点を、検出した正反射光に基づき分類し、前記異物混入欠点を、検出した散乱反射光に基づき分類してなることが好ましい。
【0032】
本発明のプリプレグの製造方法において、前記樹脂シート供給工程が、前記炭素繊維シート供給工程により供給される炭素繊維シートを挟んでその両側に設けられ、前記プリプレグシート検査工程におけるプリプレグシートの表面の欠陥の検出が、該プリプレグシートの両表面に対しそれぞれ設けられた前記光学装置により行われることが好ましい。
【0033】
本発明のプリプレグの製造方法において、前記樹脂シート供給工程が、前記炭素繊維シート供給工程により供給される炭素繊維シートを挟んでその両側に設けられるとともに、前記炭素繊維シート供給工程から前記プリプレグシート巻き取り工程に向かい複数設けられ、前記プリプレグシート巻き取り工程の最も近くに位置する前記樹脂含浸工程を通過した前記プリプレグシートの両外表面に位置する前記離型紙のうちの一方の離型紙が剥離され、他の一方の離型紙が付いた離型紙付きプリプレグシートを前記プリプレグシート巻き取り工程により巻き取るとともに、前記一方の離型紙が剥離されたプリプレグシートの表面の欠陥を、前記プリプレグシート検査工程にて検査してなることが好ましい。
【0034】
本発明のプリプレグの製造方法において、前記プリプレグシート検査工程における前記光学装置が、前記欠陥を検査する前記表面に光を照射する光照射装置と、該光照射装置から照射した光の前記表面からの反射光を検出する受光装置と、該受光装置が検出した反射光の強度の値と予め設定した閾値を比較し前記欠陥を検出し、前記欠陥が、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれに属するかを判定する欠点判定装置からなり、該欠点判定装置が、前記異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点ならびに離型紙シワ欠点を、検出した散乱反射光に基づき分類し、前記樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点を、検出した正反射光に基づき分類してなることが好ましい。
【0035】
本発明のプリプレグの製造方法において、前記プリプレグ検査工程における前記光照射装置が、線状のLEDライトからなる光照射装置であり、前記受光装置が、CCDラインセンサカメラからなる受光装置であることが好ましい。
【0036】
本発明のプリプレグの製造方法において、前記樹脂シート検査工程における前記光照射装置が、線状のブラックライトを光源とした光照射装置であり、該ブラックライトを、前記樹脂フィルムの走行方向に対して垂直に立てた面に対して面対称となり、かつ、該面と樹脂フィルム面からなる直線と平行になるように1対以上配し、該ブラックライトの入射角が40乃至80°および100乃至140°の範囲に各々1本以上設置されていることが好ましい。
【0037】
本発明のプリプレグの製造方法において、前記樹脂シート検査工程における前記受光装置が、CCDラインセンサカメラからなる受光装置であり、該CCDラインセンサカメラを、前記樹脂フィルムの走行方向に対して垂直に立てた面から−5乃至+5°の範囲にカメラ設置角度θcにて設置されていることが好ましい。
【0038】
本発明のプリプレグの製造方法において、前記CCDラインセンサカメラに紫外領域の光を除去する光学フィルターが備え付けられていることが好ましい。
【0039】
本発明のプリプレグの製造方法において、前記樹脂シート検査工程、あるいは、前記プリプレグシート検査工程において検出された前記欠陥の前記プリプレグシートに対する位置が、マーキング装置により、前記プリプレグシート巻き取り工程において、前記離型紙とともに巻き取られるプリプレグシートの該離型紙の幅方向の端部における所定の位置にマーキングされ、該マーキングにより、前記欠点の種類と該欠点のプリプレグシートにおける位置が判別されることが好ましい。
【0040】
本発明のプリプレグの製造方法における前記各工程と、該各工程のうちのプリプレグシート巻き取り工程の後に設けられたプリプレグシート検反工程からなる本発明のプリプレグの製造方法において、前記樹脂シート検査工程、あるいは、前記プリプレグシート検査工程において検出された前記欠点の位置情報を、あるいは、前記欠点の位置情報および種類情報を、前記プリプレグシート検反工程に伝達し、該プリプレグシート検反工程における仕掛け情報を用いて演算することによって、該プリプレグシート検反工程における欠点位置を特定し、前記欠点が前記プリプレグシート検反工程において現れる時に、アラームを発生させ、および/または、前記プリプレグシート検反工程におけるプリプレグシートの移動速度を低下させ、前記欠点の確認を可能にするとともに、前記欠点の位置情報、または、前記欠点の位置情報および種類情報と、前記プリプレグシート検反工程で確認された欠点情報および位置情報とを統合した欠点情報を検査結果として出力する欠点情報出力工程を有するプリプレグの製造方法。
【0041】
この検反工程を有するプリプレグの製造方法において、前記欠点の確認に基づき、予め設定された製品の処置基準に従い、該欠点個所の除去処理、または、該欠点個所への標識の貼付を行うことが好ましい。
【0042】
前記樹脂シート検査工程、あるいは、前記プリプレグシート検査工程において検出される樹脂スジ状欠落欠点は、シートの検査表面において、樹脂が塗布されていない、あるいは、樹脂の塗布が不完全な部分、すなわち、樹脂が欠落している部分が、シートの長手方向に、スジ状に現れる欠点である。
【0043】
この樹脂スジ状欠落欠点の発生は、前記樹脂シートの作成において、離型紙上に、コーティングロールを用いて樹脂を塗布する際に、コーティングロールの円周方向に部分的に、あるいは、連続して樹脂がなくなり、その結果、離型紙上に樹脂がスジ状に欠落することに起因している場合がある。
【0044】
また、この樹脂スジ状欠落欠点の発生は、前記樹脂含浸工程において、前記離型紙上の前記樹脂フィルムを、前記炭素繊維シートの前記炭素繊維束に含浸させて、前記樹脂フィルムを前記炭素繊維束に転写させるときに生じることがある樹脂フィルムの転写不良により、プリプレグの表面において樹脂がスジ状に欠落することに起因している場合がある。
【0045】
この樹脂スジ状欠落欠点は、簡略化して、単に、スジ欠点と呼称される場合がある。
【0046】
前記樹脂シート検査工程、あるいは、前記プリプレグシート検査工程において検出される樹脂点状欠落欠点は、シートの検査表面において、樹脂が塗布されていない、あるいは、樹脂の塗布が不完全な部分、すなわち、樹脂が欠落している部分が、シートの表面に、様々な大きさの面積をもって点状に現れる欠点である。
【0047】
この樹脂点状欠落欠点の発生は、前記樹脂シートの作成において、離型紙上に、コーティングロールを用いて樹脂を塗布する際に、コーティングロールの周面に部分的に、樹脂がなくなり、その結果、離型紙上に樹脂が点状に欠落することに起因している場合がある。
【0048】
また、この樹脂点状欠落欠点の発生は、前記樹脂含浸工程において、前記離型紙上の前記樹脂フィルムを、前記炭素繊維シートの前記炭素繊維束に含浸させて、前記樹脂フィルムを前記炭素繊維束に転写させるときに生じることがある樹脂フィルムの転写不良により、プリプレグの表面において樹脂が点状に欠落することに起因している場合がある。
【0049】
この樹脂点状欠落欠点は、簡略化して、単に、樹脂欠落欠点と呼称される場合がある。
【0050】
前記樹脂シート検査工程、あるいは、前記プリプレグシート検査工程において検出される異物混入欠点は、シートの検査表面において、樹脂に様々な大きさの異物が混入していることにより現れる欠点である。
【0051】
この異物混入欠点の発生は、前記樹脂シートの作成において、用いられている装置に付着している異物、例えば、硬化した樹脂の様々な大きさの塊、あるいは、離型紙の破片が、前記樹脂フィルムに混入することに起因している場合がある。
【0052】
また、この異物混入欠点の発生は、前記炭素繊維シート供給工程、前記積層シート形成工程、あるいは、前記樹脂含浸工程において、用いられている装置に付着している異物、例えば、炭素繊維の様々な大きさの塊、硬化した樹脂の様々な大きさの塊、あるいは、離型紙の破片が、プリプレグに混入することに起因している場合がある。
【0053】
この異物混入欠点は、簡略化して、単に、異物欠点と呼称される場合がある。
【0054】
前記プリプレグシート検査工程において検出される炭素繊維毛羽欠点は、前記炭素繊維束から発生した炭素繊維の毛羽がプリプレグに混入あるいは付着することにより現れる欠点である。
【0055】
この炭素繊維毛羽欠点は、簡略化して、単に、毛羽欠点と呼称される場合がある。
【0056】
前記プリプレグシート検査工程において検出される炭素繊維束ワレ欠点は、前記炭素繊維シート供給工程に供給される炭素繊維束、前記炭素繊維シート供給工程から前記積層シート形成工程を経て前記樹脂含浸工程へと走行する炭素繊維シートにおける炭素繊維束、あるいは、前記樹脂含浸工程における炭素繊維束に存在する、あるいは、これらの過程において生じた、配列されている多数の炭素繊維間、あるいは、配列されている複数の炭素繊維束間に現れる炭素繊維が存在しない隙間により現れる欠点である。
【0057】
この炭素繊維束ワレ欠点は、簡略化して、単に、ワレ欠点と呼称される場合がある。
【0058】
前記プリプレグシート検査工程において検出される離型紙シワ欠点は、離型紙が、前記樹脂シート供給工程、前記積層シート形成工程、あるいは、前記樹脂含浸工程を通過する間に、離型紙にシワが入る場合があり、この離型紙のシワがプリプレグに転写されることによりプリプレグの表面に現れる欠点である。
【0059】
この離型紙シワ欠点は、簡略化して、単に、シワ欠点と呼称される場合がある。
【0060】
これらの各欠点は、それぞれ特有な形態を有している。それがため、それぞれの特有な形態を目視により観察し、プリプレグの製造工程において、いかなる種類の欠点が生じているかを把握することが、従来から行われている。また、それぞれの特有の形態を光学装置により検出して、プリプレグの製造工程において、いかなる種類の欠点が生じているかを把握することが、前記特許文献1乃至5に見られる通り、行われている。
【0061】
前記樹脂シート検査工程における各欠点の判定、ならびに、前記プリプレグシート検査工程における各欠点の判定は、各欠点の特有な形態を利用して行われる。
【0062】
すなわち、検査対象とする欠点を有するサンプルを用意して、そのサンプルを用いて、前記光学装置により欠点を検出し、欠点に関する輝度、幅、長さ、面積の値を取得する。一方、用いられる離型紙の種類、樹脂の種類、離型紙に形成される樹脂フィルムの単位面積当たりの重量などの製造するプリプレグの品種に関する情報に基づき、前記輝度の閾値を決定する。また、目的とするプリプレグに要求される特性に応じて、欠点の前記幅、長さ、面積についての閾値を決定する。
【0063】
前記樹脂シート検査工程、あるいは、前記プリプレグシート検査工程において、前記光学装置により検出され、取得される欠点に関するデータと決定された前記閾値との比較により、欠点の種類の判定が行われる。また、欠点の位置に関するデータも取得される。
【0064】
欠点の検出は、前記光学装置に装備された光照射装置から照射した光の検査面からの反射光を前記光学装置に装備された受光装置により受光して、受光した光に関する信号に基づき行われる。この反射光として、正反射光と散乱反射光を用いることが可能である。前記スジ欠点、樹脂欠落欠点、および、毛羽欠点の検出には、正反射光が、前記ワレ欠点および、シワ欠点の検出には、正反射光あるいは散乱反射光のいずれかが、また、前記異物欠点の検出には、散乱反射光が、用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0065】
本発明によれば、プリプレグを製造するに際し、炭素繊維束に含浸される樹脂が塗布された離型紙の塗布により形成された樹脂フィルムの表面の欠陥が、炭素繊維シートと樹脂シートが積層される積層シート形成工程に至る前の位置において検出されるため、積層シート形成工程を経て樹脂含浸工程において形成されるプリプレグシートの欠陥を、確実に把握することが可能となる。
【0066】
また、本発明によれば、炭素繊維束に樹脂を含浸させる樹脂含浸工程を少なくとも2工程含む場合、離型紙の付着がないプリプレグの両表面の欠陥の検出が可能となる。更に、本発明によれば、検出した欠陥を、欠陥の種類に応じた基準に基づいて判定し、その結果を検反工程に伝達することによって、検反工程を終了して最終的に製造されるプリプレグの品質を把握することが可能となるため、検査時間の短縮のみならず、プリプレグ製品の品質の格段の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、本発明のプリプレグの製造方法を実施するためのプリプレグの製造装置の一例の概略側面図である。
【図2】図2は、図1に示すプリプレグの製造装置において欠陥の検出に用いられる光学装置の一例の概略側断面図である。
【図3】図3は、本発明のプリプレグの製造方法を実施するためのプリプレグの製造装置の他の一例の概略側面図である。
【図4】図4は、本発明のプリプレグの製造方法を実施するためのプリプレグの製造装置の更に他の一例の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明のプリプレグの製造方法の第1の態様を、図1に示すプリプレグの製造装置を用いて説明する。図1は、本発明のプリプレグの製造方法を実施するためのプリプレグの製造装置の一例の概略側面図である。
【0069】
図1に示すプリプレグの製造装置は、左側に、炭素繊維シート供給工程S1を有する。炭素繊維シート供給工程S1の左側端に、炭素繊維束1が巻き上げられているボビン1aが、クリ―ル(図示せず)に、回動可能に装備されている。通常、クリールには、多数のボビン1aが、図1の上下方向ならびに図1の紙面に平行な方向に、それぞれ間隔をおいて装備されている。図1では、一つの上下方向の列の4個のボビン1aが図示されている。
【0070】
プリプレグの製造に当り、各ボビン1aから連続して巻き出された各炭素繊維束1は、上下方向に間隔をおいてそれぞれ位置するガイドロールGRの間を通過して、プリプレグシート製造ラインPL1に至る。プリプレグシート製造ラインPL1に至る各炭素繊維束1は、製造するプリプレグシートの幅と厚みに合わせて、幅方向ならびに厚み方向に配列され、炭素繊維シート2を形成する。
【0071】
プリプレグシート製造ラインPL1に沿って、炭素繊維シート供給工程S1の下流側には、樹脂シート供給工程S2aと樹脂シート供給工程S2bが設けられている。樹脂シート供給工程S2aと樹脂シート供給工程S2bは、プリプレグシート製造ラインPL1を挟んで、上下方向に対向して位置している。
【0072】
樹脂シート供給工程S2aには、樹脂シート3aが巻き上げられている樹脂シートロール4aが、ロール軸(図示せず)に、回動可能に取り付けられて、装備されている。樹脂シート3aは、離型紙5aとその表面に塗布されることにより形成された樹脂フィルム6aからなる。
【0073】
プリプレグの製造に当り、樹脂シートロール4aから連続して巻き出された樹脂シート3aは、ガイドロールGRを通過して、プリプレグシート製造ラインPL1に至る。図1においては、樹脂シート供給工程S2aに、2個のガイドロールGRが図示されている。樹脂シート3aがガイドロールGRを通過するに当たり、樹脂シート3aの離型紙5aの外表面(樹脂フィルム6aが塗布されていない側に表面)が、ガイドロールGRの周面に接触して通過する。
【0074】
樹脂シート供給工程S2bには、樹脂シート3bが巻き上げられている樹脂シートロール4bが、ロール軸(図示せず)に、回動可能に取り付けられて、装備されている。樹脂シート3bは、離型紙5bとその表面に塗布されることにより形成された樹脂フィルム6bからなる。プリプレグの製造に当り、樹脂シートロール4bから連続して巻き出された樹脂シート3bは、ガイドロールGRを通過して、プリプレグシート製造ラインPL1に至る。図1においては、樹脂シート供給工程S2bに、2個のガイドロールGRが図示されている。樹脂シート3bがガイドロールGRを通過するに当たり、樹脂シート3bの離型紙5bの外表面(樹脂フィルム6bが塗布されていない側に表面)が、ガイドロールGRの周面に接触して通過する。
【0075】
図1に示すプリプレグの製造装置は、2つの樹脂シート供給工程S2a、S2bを有するが、製造するプリプレグシートによっては、これらの樹脂供給工程のうちの上方側の樹脂シート供給工程S2bを省略しても良い。
【0076】
炭素繊維シート供給工程S1と樹脂シート供給工程S2a、S2bの下流側には、積層シート形成工程S3が設けられている。積層シート形成工程S3において、炭素繊維シート供給工程S1から供給される炭素繊維シート2の下面側の表面に、樹脂シート供給工程S2aから供給される樹脂シート3aの樹脂フィルム6aの表面が向かい合わせにされ、炭素繊維シート2と樹脂シート3aの積層シート7aが形成される。
【0077】
また、積層シート形成工程S3において、炭素繊維シート供給工程S1から供給される炭素繊維シート2の上面側の表面に、樹脂シート供給工程S2bから供給される樹脂シート3bの樹脂フィルム6bの表面が向かい合わせにされ、炭素繊維シート2と樹脂シート3bの積層シート7bが形成される。これにより、積層シート7aと積層シート7bとが一体となった積層シート7が形成される。
【0078】
プリプレグシート製造ラインPL1に沿って、積層シート形成工程S3の下流側には、樹脂含浸工程S4が設けられている。樹脂含浸工程S4において、プリプレグシート製造ラインPL1の下側に、ヒーター8aが設けられている。また、プレグシート製造ラインPL1の上側に、ヒーター8bが、下側のヒーター8aに対向して間隔をおいて設けられている。
【0079】
積層シート形成工程S3において形成された積層シート7は、ヒーター8aとヒーター8bの間を通過する間に加熱されることにより、樹脂フィルム6a、6bを形成している樹脂が炭素繊維束1に含浸される。この樹脂の炭素繊維束への含浸により、プリプレグシート9が形成される。
【0080】
炭素繊維束1への樹脂の含浸に当り、圧力を加えた方が良い場合がある。その場合は、通常、回動可能な加圧ニップロール(図示せず)が用いられる。なお、積層シート7の移動を一旦止めて、ヒーター8aとヒーター8bで積層シート7を挟んで加圧する方式もあるが、積層シート7の移動が間欠的になるので、好ましいとは云えない。
【0081】
プリプレグシート製造ラインPL1に沿って、樹脂含浸工程S4の下流側には、プリプレグシート巻き取り工程S5が設けられている。プリプレグシート巻き取り工程S5には、プリプレグシート巻き取り装置10が装備されている。樹脂含浸工程S4において形成されたプリプレグシート9は、プリプレグシート巻き取り装置10により巻き取られ、プリプレグシートロール10aが形成される。
【0082】
樹脂含浸工程S4からプリプレグシート巻き取り工程S5へとプリプレグシート9が移動する過程において、樹脂シート3bの離型紙5bは、プリプレグシート9から剥離されて、離型紙巻き取り装置11bにより、巻き取られる。この離型紙5bが剥離されて、プリプレグシート巻き取り装置10へと移動するプリプレグシート9は、その下面側に離型紙5aが付着しているものとなる。すなわち、プリプレグシート巻き取り装置10に巻き取られたプリプレグシート9は、片面に離型紙が付着している離型紙付きのプリプレグシートである。
【0083】
図1に示すプリプレグの製造装置は、樹脂シート供給工程S2aに、樹脂シート検査工程S6を有する。樹脂シート検査工程S6には、樹脂シート3aの樹脂フィルム6aの表面の欠陥を検出する光学装置OPA1が装備されている。光学装置OPA1により、樹脂フィルム6aの表面に存在する欠陥が検出され、検出された欠陥が、樹脂スジ状欠落欠点、異物混入欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれに属するかが判定される。
【0084】
同様の目的で、樹脂シート供給工程S2bに、樹脂シート検査工程が設けられ、同様の光学装置が設けられていても良い。
【0085】
図1に示すプリプレグの製造装置は、樹脂シート検査工程S6において検出された欠陥の判定により得られた欠点の種類と欠点のプリプレグシートにおける位置を、プリプレグシート9の離型紙5aの幅方向の端部における所定の位置にマーキングするためのマーキング装置12を有する。これにより、欠点の種類と位置が、プリプレグシート9の離型紙5aにマーキングされる。
【0086】
図1に示すプリプレグの製造装置は、プリプレグシート巻き取り装置10において形成されたプリプレグシートロール10aを、プリプレグシート巻き取り装置10から取り外し、これを検反するプリプレグシート検反工程S7を有する。
【0087】
プリプレグシート検反工程S7には、プリプレグシート巻き取り装置10から運ばれたプリプレグシートロール10aを取り付ける巻き出し装置21と、巻き出し装置21から引き出されたプリプレグシート9を、検反員22が目視にて検反するために、配設されたプリプレグシート9を移動させるガイドロールGRと、検反が終了したプリプレグシート9を巻き取る巻き取り装置23が装備されている。
【0088】
また、プリプレグシート検反工程S7は、検反員22に、プリプレグシート9の欠点に関する情報を、音あるいは光によって伝えるための欠点情報出力工程S8を有する。欠点情報出力工程S8は、検反員22にプリプレグシート9の欠点に関する情報を、音あるいは光によって伝えるためのアラーム装置24が備えられている。
【0089】
図1のプリプレグの製造装置を用いて説明する本発明のプリプレグの製造方法の第1の態様の最大の特徴は、樹脂シート検査工程S2aにおいて、積層シート形成工程S3に向かう前の樹脂シート3aの樹脂フィルム6aの表面の欠陥を、光学装置OPA1により検出し、検出された欠陥がいかなる種類の欠点であるかを判定する点にある。これにより、離型紙5aとは反対側の離型紙が存在しない樹脂フィルム6aの表面の欠陥が検出でき、欠陥の種類を把握することができる。この欠陥は、それが存在していれば、その後に形成されるプリプレグシートの欠陥となるものである。
【0090】
図2は、図1に示すプリプレグの製造装置における樹脂シート検査工程S6において樹脂フィルム6aの欠陥の検出に用いられる光学装置OPA1の一例の概略側断面図である。
【0091】
図2において、光学装置OPA1は、樹脂フィルム6aの表面に光を照射する光照射装置31と、光照射装置31から照射した光の樹脂フィルム6aの表面からの反射光を検出する受光装置32と、受光装置32が検出した反射光の強度の値と予め設定した閾値を比較し樹脂フィルム6aの表面の欠陥が、樹脂スジ状欠落欠点、異物混入欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれかに属するかを判定する欠点判定装置33からなる。
【0092】
光照射装置31は、光源31a、31bを有する。これらの光源31a、31bは、紫外光を発するものであれば特に限定されない。これらの光源31a、31bは、線状のブラックライトであることが好ましい。光源は、一つでも良い。しかし、光源は、樹脂フィルム6aの表面に対して垂直でかつ樹脂フィルム6aの走行方向に対して垂直に立てた面に対して面対称となるように1対以上からなり、樹脂フィルム6aの幅全体を照射するように設置されていることが好ましい。この場合、入射角θaが、40乃至80°の範囲になるように、光源31aが、また、入射角θbが、100乃至140°の範囲になるように、光源31bが設置されていることが好ましい。
【0093】
入射角θaが、樹脂フィルム6aの表面に対して40°以上であることによって、光源出力が弱い場合においても、反射光の光量を保持することができる。また、入射角θaが90°に近いほど、反射光は強くなるが、機械設置の関係上、入射角θaは、80°以下であることが好ましい。
【0094】
θbについても同様に樹脂フィルム6aの表面に対して140°以下であることによって、光源出力が弱い場合においても、反射光の光量を保持することができる。また、入射角θbが90°に近いほど、反射光は強くなるが、機械設置の関係上、入射角θbは、100°以上であることが好ましい。
【0095】
反射光は、光源から樹脂フィルム6aの表面に照射された光の反射光そのもの、および、照射された光によって新たに励起発光された光の少なくとも一方の光を意味する。
【0096】
欠点判定装置33は、製造されるプリプレグシートの製品の品種別に、予め輝度、幅、長さ、面積などの閾値が設定される信号処理手段と、欠点の有無、および、その種類、位置ないしレベルについて、受光装置32のスキャン方向の信号を時間軸方向に対して演算して判定する手段とからなることが好ましい。
【0097】
受光装置32は、所定の速度で、図2の右方向に進行する樹脂フィルム6aの表面に対向して位置するカメラ32aからなる。カメラ32aにより、樹脂フィルム6aの表面からの反射光が検出される。カメラ32aは、検出した反射光のレベルに応じた信号を発することができるセンサを備えたものであれば特に限定されない。
【0098】
代表的なカメラとして、CCDラインセンサカメラを使用できる。カメラ32aは、樹脂フィルム6aの走行方向に対して垂直に立てた面からのカメラ設置角度θcが、−5乃至+5°の範囲で、設置されていることが好ましい。
【0099】
一般的に、紫外線領域の光は、樹脂、特にプリプレグの樹脂としてよく使用される硬化温度が130℃あるいは180℃のエポキシ樹脂に吸収されやすく、紫外光吸収により紫外光よりも長波長の励起発光が出現することが知られている。
【0100】
離型紙上に塗布された樹脂により形成されている樹脂フィルム6aに紫外線を照射し、その反射光量を観測すると、塗布正常部分に対して、塗布が不良および/または異物が付着している欠陥部分では、励起発光量が低下する。この現象を利用することにより、塗布正常部分と欠陥部分では励起発光量に差が生じることから、励起発光量を観測し、両部分の間の出力差を検出することで、樹脂フィルム6aの正常部分と欠陥部分とを判別することが可能となる。
【0101】
樹脂フィルム6aの表面からの反射光のうち、励起発光に基づく反射光を強調させるために、光学フィルター32bを備え付けることが好ましい。光学フィルター32bは、紫外光波長をカットするために、300乃至400nmの波長の光をカットするものが好ましい。
【0102】
閾値は、例えば、先ず、基準となる欠点のサンプルを検査装置で読込み、該サンプルに対する輝度、幅、長さ、面積などの値に基づき設定して、次いで、実際の工程において、調整を行って、最終的に決定すると良い。具体的には、先ず、離型紙の種類、樹脂の種類、樹脂目付、などの品種特定の情報によって、輝度の閾値を決定する。次に、幅と長さの情報を用いて、樹脂スジ状欠落欠点とその他の欠点を区分し、面積情報を用いて、その他の欠点から、異物混入欠点と樹脂点状欠落欠点を区分することで、閾値を決定すると良い。
【0103】
本発明のプリプレグの製造方法の第2の態様を、図3に示すプリプレグの製造装置を用いて説明する。図3は、本発明のプリプレグの製造方法を実施するためのプリプレグの製造装置の一例の概略側面図である。図3に示すプリプレグの製造装置は、プリプレグシート製造ラインPL2に沿ってプリプレグシートの移動方向に、間隔をおいて、第1の樹脂含浸工程と第2の樹脂含浸工程の二つの樹脂含浸工程を有する。また、第1の樹脂含浸工程を通過した時点において、プリプレグシートの少なくとも片面の離型紙が剥離され、離型紙が存在しないプリプレグシートの表面の欠陥の検出が行われる。少なくともこれらの点において、図3に示すプリプレグの製造装置は、樹脂含浸工程が一つであり、樹脂含浸工程に向かう樹脂フィルムの表面の欠陥の検出が行われる図1に示すプリプレグの製造装置と異なる。
【0104】
図3に示すプリプレグの製造装置は、左側に、炭素繊維シート供給工程S1を有する。炭素繊維シート供給工程S1の左側端に、炭素繊維束1が巻き上げられているボビン1aが、クリ―ル(図示せず)に、回動可能に装備されている。通常、クリールには、多数のボビン1aが、図3の上下方向ならびに図3の紙面に平行な方向に、それぞれ間隔をおいて装備されている。図3では、一つの上下方向の列の4個のボビン1aが図示されている。
【0105】
プリプレグの製造に当り、各ボビン1aから連続して巻き出された各炭素繊維束1は、上下方向に間隔をおいてそれぞれ位置するガイドロールGRの間を通過して、プリプレグシート製造ラインPL2に至る。プリプレグシート製造ラインPL2に至る各炭素繊維束1は、製造するプリプレグシートの幅と厚みに合わせて、幅方向ならびに厚み方向に配列され、炭素繊維シート2を形成する。
【0106】
プリプレグシート製造ラインPL2に沿って、炭素繊維シート供給工程S1の下流側には、樹脂シート供給工程S2aと樹脂シート供給工程S2bが設けられている。樹脂シート供給工程S2aと樹脂シート供給工程S2bは、プリプレグシート製造ラインPL2を挟んで、上下方向に対向して位置している。
【0107】
樹脂シート供給工程S2aには、樹脂シート3aが巻き上げられている樹脂シートロール4aが、ロール軸(図示せず)に、回動可能に取り付けられて、装備されている。樹脂シート3aは、離型紙5aとその表面に塗布されることにより形成された樹脂フィルム6aからなる。
【0108】
プリプレグの製造に当り、樹脂シートロール4aから連続して巻き出された樹脂シート3aは、ガイドロールGRを通過して、プリプレグシート製造ラインPL2に至る。図3においては、樹脂シート供給工程S2aに、2個のガイドロールGRが図示されている。樹脂シート3aがガイドロールGRを通過するに当たり、樹脂シート3aの離型紙5aの外表面(樹脂フィルム6aが塗布されていない側に表面)が、ガイドロールGRの周面に接触して通過する。
【0109】
樹脂シート供給工程S2bには、樹脂シート3bが巻き上げられている樹脂シートロール4bが、ロール軸(図示せず)に、回動可能に取り付けられて、装備されている。樹脂シート3bは、離型紙5bとその表面に塗布されることにより形成された樹脂フィルム6bからなる。プリプレグの製造に当り、樹脂シートロール4bから連続して巻き出された樹脂シート3bは、ガイドロールGRを通過して、プリプレグシート製造ラインPL2に至る。図3においては、樹脂シート供給工程S2bに、2個のガイドロールGRが図示されている。樹脂シート3bがガイドロールGRを通過するに当たり、樹脂シート3bの離型紙5bの外表面(樹脂フィルム6bが塗布されていない側に表面)が、ガイドロールGRの周面に接触して通過する。
【0110】
図3に示すプリプレグの製造装置は、2つの樹脂シート供給工程S2a、S2bを有するが、製造するプリプレグシートによっては、これらの樹脂シート供給工程のうちの一方の樹脂シート供給工程を省略しても良い。
【0111】
炭素繊維シート供給工程S1と樹脂シート供給工程S2a、S2bの下流側には、積層シート形成工程S3が設けられている。積層シート形成工程S3において、炭素繊維シート供給工程S1から供給される炭素繊維シート2の下面側の表面に、樹脂シート供給工程S2aから供給される樹脂シート3aの樹脂フィルム6aの表面が向かい合わせにされ、炭素繊維シート2と樹脂シート3aの積層シート7aが形成される。
【0112】
また、積層シート形成工程S3において、炭素繊維シート供給工程S1から供給される炭素繊維シート2の上面側の表面に、樹脂シート供給工程S2bから供給される樹脂シート3bの樹脂フィルム6bの表面が向かい合わせにされ、炭素繊維シート2と樹脂シート3bの積層シート7bが形成される。これにより、積層シート7aと積層シート7bとが一体となった積層シート7が形成される。
【0113】
プリプレグシート製造ラインPL2に沿って、積層シート形成工程S3の下流側には、第1の樹脂含浸工程S4aが設けられている。第1の樹脂含浸工程S4aにおいて、プリプレグシート製造ラインPL2の下側に、ヒーター8aが設けられている。また、プレグシート製造ラインPL2の上側に、ヒーター8bが、下側のヒーター8aに対向して間隔をおいて設けられている。
【0114】
積層シート形成工程S3において形成された積層シート7は、ヒーター8aとヒーター8bの間を通過する間に加熱されることにより、樹脂フィルム6a、6bを形成している樹脂が炭素繊維束1に含浸される。この樹脂の炭素繊維束への含浸により、プリプレグシート9が形成される。
【0115】
炭素繊維束1への樹脂の含浸に当り、圧力を加えた方が良い場合がある。その場合は、通常、回動可能な加圧ニップロール(図示せず)が用いられる。なお、積層シート7の移動を一旦止めて、ヒーター8aとヒーター8bで積層シート7を挟んで加圧する方式もあるが、積層シート7の移動が間欠的になるので、好ましいとは云えない。
【0116】
第1の樹脂含浸工程S4aにおいて形成されたプリプレグシート9がプリプレグシート製造ラインPL2に沿って下流側に移動する過程において、樹脂フィルム6aを支持している離型紙5aは、樹脂フィルム6aから剥離され、5つのガイドロールGRに沿って移動して、離型紙巻き取り装置11aにより巻き取られる。また、樹脂フィルム6bを支持している離型紙5bは、樹脂フィルム6bから剥離され、5つのガイドロールGRに沿って移動して、離型紙巻き取り装置11bにより巻き取られる。
【0117】
離型紙が除去されたプリプレグシート9は、プリプレグシート製造ラインPL2に沿って下流側に移動して、プリプレグシート検査工程S9に至る。プリプレグシート検査工程S9には、プリプレグシート製造ラインPL2の下側にプリプレグシート9の表面の欠陥を検出する光学装置OPA2Aが装備されている。また、プリプレグシート検査工程S9には、プリプレグシート製造ラインPL2の上側にプリプレグシート9の表面の欠陥を検出する光学装置OPA2Bが装備されている。
【0118】
光学装置OPA2A、OPA2Bにより、プリプレグシート9の表面に存在する欠陥が検出され、検出された欠陥が、炭素繊維毛羽欠点、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれに属するかが判定される。
【0119】
光学装置OPA2Aは、プリプレグシート9の表面に光を照射する光照射装置41Aと、光照射装置41Aから照射した光のプリプレグシート9の表面からの反射光を検出する受光装置42Aと、受光装置42Aが検出した反射光の強度の値と予め設定した閾値を比較しプリプレグシート9の表面の欠陥を検出し、検出した欠陥が、炭素繊維毛羽欠点、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれに属するかを判定する欠点判定装置43Aからなる。
【0120】
光学装置OPA2Bは、光学装置OPA2Aと同様に、プリプレグシート9の表面に光を照射する光照射装置41Bと、光照射装置41Bから照射した光のプリプレグシート9の表面からの反射光を検出する受光装置42Bと、受光装置42Bが検出した反射光の強度の値と予め設定した閾値を比較しプリプレグシート9の表面の欠陥を検出し、検出した欠陥が、炭素繊維毛羽欠点、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれに属するかを判定する欠点判定装置43Bからなる。
【0121】
光照射装置41A、41Bは、光源41a、41bを有する。光源41a、41bは、発光部が、プリプレグシート9の幅方向に直線状に延びた形状を有するものであれば、特に限定されない。光源41a、41bとして、線状のLEDライトが好ましく用いられる。
【0122】
受光装置42A、42Bは、プリプレグシート9の表面からの反射光を検出して、検出した反射光のレベルに応じた信号を発することができるセンサを備えたものであれば、特に限定されない。受光装置42A、42Bとして、CCDラインセンサカメラが好ましく用いられる。
【0123】
一般的に、反射光は、散乱反射光と正反射光に分類されることが知られており、これらの反射光を欠点種により使い分けることにより、欠点を明確に検出できる。また、特許文献1および2にも記載されている通り、反射光は、欠点により、明信号と暗信号に分けることができる。これら明暗の信号を区別することにより、欠点をより明確に検出することが可能となる。
【0124】
具体的には、炭素繊維毛羽欠点、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点の各々に対して、正反射光の信号ならびに散乱反射光の信号別に、予め明暗反応を区別し、輝度、幅、長さ、および面積からなる群から選択される少なくともいずれかの閾値を設定し、各欠点毎に各反射光の感度をもとに、検出に用いる反射光の種類を決定し、それらの閾値と反射光の信号と比較することによって欠点を分類することが好ましい。
【0125】
この様に各種の欠点を、適当な閾値を決定したときに、正反射光で判定するものと、散乱反射光で判定するもの、また、明信号となるものと、暗信号となるものを分類し、更に、2次元形状情報やその他の情報を併用することによって、欠点の分類が可能となる。例えば、プリプレグシート9の表面の欠陥の検査を行う場合、炭素繊維毛羽欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点は、プリプレグシート9の表面からの正反射光を受光装置により受光することにより把握することができ、また、異物混入欠点は、プリプレグシート9の表面からの散乱反射光を受光装置により受光することにより把握することができる。
【0126】
正反射光と散乱反射光を使用する場合、各検査位置に光源を2台以上、受光装置を2台以上設置するが、検査装置の縮小化のために、光源が2台、受光装置を1台にすることがより好ましい。
【0127】
また、光源からのプリプレグの表面への光の照射角度は、正反射光を利用する場合、プリプレグの表面に対して30乃至85°、散乱反射光を利用する場合、プリプレグの表面に対して5乃至60°であることが好ましい。各反射光を強調させるために、正反射光を利用する場合、プリプレグの表面に対しての光の照射角度は40乃至80°、散乱反射光を利用する場合、プリプレグの表面に対しての光の照射角度は10乃至50°であることがより好ましい。
【0128】
さらに、受光装置の受光角度は、正反射光の場合、プリプレグの走行方向に対して垂直に立てた面から、光源からの光の入射方向と反対側に、0°以上であることが好ましく、光源2台、受光装置1台で、正反射光と散乱反射光の両方検出するためには、0乃至60°であることがより好ましい。
【0129】
プリプレグシート検査工程S9を通過したプリプレグシート9は、第2の樹脂含浸工程S4bへと移動する。プリプレグシート検査工程S9と第2の樹脂含浸工程S4bの間に、プリプレグシート9の下面側に樹脂シート3Aを供給する樹脂シート供給工程S2Aとプリプレグシート9の上面側に樹脂シート3Bを供給する樹脂シート供給工程S2Bが設けられている。
【0130】
樹脂シート供給工程S2Aは、図1に示す樹脂シート供給工程S2aと同様の工程である。また、樹脂シート供給工程S2Bは、図1に示す樹脂シート供給工程S2bと同様の工程である。樹脂シート供給工程S2Aから供給された樹脂シート3Aと、樹脂シート供給工程S2Bから供給された樹脂シート3Bと、プリプレグシート9とは、積層シート形成工程S3aにおいて積層された後、第2の樹脂含浸工程S4bへと移動する。第2の樹脂含浸工程S4bは、図1に示す樹脂含浸工程S4と同様の工程である。
【0131】
第2の樹脂含浸工程S4bにおいて、樹脂シート3Aの樹脂フィルム6Aと樹脂シート3Bの樹脂フィルム6Bが、プリプレグシート9に含浸され、第2のプリプレグシート9aが形成される。
【0132】
プリプレグシート製造ラインPL2に沿って、第2の樹脂含浸工程S4bの下流側には、プリプレグシート巻き取り工程S5aが設けられている。プリプレグシート巻き取り工程S5aには、プリプレグシート巻き取り装置10Aが装備されている。第2の樹脂含浸工程S4bにおいて形成された第2のプリプレグシート9aは、プリプレグシート巻き取り装置10Aにより巻き取られ、プリプレグシートロール10bが形成される。
【0133】
第2の樹脂含浸工程S4bからプリプレグシート巻き取り工程S5aへと第2のプリプレグシート9aが移動する過程において、樹脂シート3Bの離型紙5Bは、プリプレグシート9aから剥離されて、離型紙巻き取り装置11Bにより、巻き取られる。この離型紙5Bが剥離されて、プリプレグシート巻き取り装置10Aへと移動するプリプレグシート9aは、その下面側に離型紙5Aが付着しているものとなる。すなわち、プリプレグシート巻き取り装置10Aに巻き取られたプリプレグシート9aは、片面に離型紙が付着している離型紙付きのプリプレグシートである。
【0134】
図3に示すプリプレグの製造装置は、プリプレグシート巻き取り装置10Aへと移動するプリプレグシート9aの離型紙が剥離された表面の欠陥を検査するプリプレグシート検査工程S10を有する。プリプレグシート検査工程S10には、プリプレグシート9aの離型紙が剥離された表面の欠陥を検出する光学装置OPA3が設けられている。光学装置OPA3は、光学装置OPA2Aと同様の装置である。これにより、プリプレグシート巻き取り装置10Aに巻き取られる前のプリプレグシート9aの表面の欠陥の有無、その種類が、判定される。
【0135】
図3に示すプリプレグの製造装置は、プリプレグシート検査工程S9、S10において検出された欠陥の判定により得られた欠点の種類と欠点のプリプレグシートにおける位置を、プリプレグシート9aの離型紙5Aの幅方向の端部における所定の位置にマーキングするためのマーキング装置12aを有する。これにより、欠点の種類と位置が、プリプレグシート9aの離型紙5Aにマーキングされる。
【0136】
図3に示すプリプレグの製造装置は、プリプレグシート巻き取り装置10Aにおいて形成されたプリプレグシートロール10bを、プリプレグシート巻き取り装置10Aから取り外し、これを検反するプリプレグシート検反工程S7aを有する。
【0137】
プリプレグシート検反工程S7aには、プリプレグシート巻き取り装置10Aから運ばれたプリプレグシートロール10bを取り付ける巻き出し装置21aと、巻き出し装置21aから引き出されたプリプレグシート9aを、検反員22aが目視にて検反するために、配設されたプリプレグシート9aを移動させるガイドロールGRと、検反が終了したプリプレグシート9aを巻き取る巻き取り装置23aが装備されている。
【0138】
また、プリプレグシート検反工程S7aは、検反員22aに、プリプレグシート9aの欠点に関する情報を、音あるいは光によって伝えるための欠点情報出力工程S8aを有する。欠点情報出力工程S8aは、検反員22aにプリプレグシート9aの欠点に関する情報を、音あるいは光によって伝えるためのアラーム装置24aが備えられている。
【0139】
図3のプリプレグの製造装置を用いて説明する本発明のプリプレグの製造方法の第2の態様の最大の特徴は、プリプレグシート検査工程S9において、欠陥の検査が、離型紙が存在しないプリプレグシートの両表面において行われる点にある。また、プリプレグシート検査工程S10において、欠陥の検査が、巻き取り装置に向かうプリプレグシートの離型紙が存在しない表面において行われる点にある。
【0140】
本発明のプリプレグの製造方法の第3の態様を、図4に示すプリプレグの製造装置を用いて説明する。図4は、本発明のプリプレグの製造方法を実施するためのプリプレグの製造装置の一例の概略側面図である。図4に示すプリプレグの製造装置は、プリプレグシート製造ラインPL3に沿ってプリプレグシートの移動方向に、間隔をおいて、第1の樹脂含浸工程と第2の樹脂含浸工程の二つの樹脂含浸工程を有する。また、第1の樹脂含浸工程を通過した時点において、プリプレグシートの少なくとも片面の離型紙が剥離され、離型紙が存在しないプリプレグシートの表面の欠陥の検出が行われる。少なくともこれらの点において、図4に示すプリプレグの製造装置は、図3に示すプリプレグの製造装置と同じである。
【0141】
図4に示すプリプレグの製造装置が、図3に示すプリプレグの製造装置と異なる点は、図4に示すプリプレグの製造装置における第2の樹脂含浸工程に導入される樹脂シートの樹脂フィルムの表面の欠陥の検出が行われる点である。従って、図4に示すプリプレグの製造装置と図3に示すプリプレグの製造装置の間で、同じ工程ならびに装置構成については、図において、同じ符号をもって表示されている。また、図3と同じ符号をもって表示されている図4における工程ならびに装置構成についての説明は、同じ説明の繰り返しになるため、省略する。
【0142】
図4に示すプリプレグの製造装置おいて、第2の樹脂含浸工程S4bへと向かう樹脂シート3Aの樹脂フィルム6Aの表面の欠陥を検出するための樹脂シート検査工程S6Aが設けられている。樹脂検査工程S6Aにおいて、光学装置OPA4が、樹脂フィルム6Aの表面に対向して設けられている。光学装置OPA4は、図1に示すプリプレグの製造装置において用いられている樹脂フィルム6aの表面の欠陥を検出するための光学装置OPA1と同じである。光学装置OPA4の目的および機能は、上述の光学装置OPA1の目的および機能と同じである。
【0143】
図4に示すプリプレグの製造装置おいて、図3に示すプリプレグの製造装置の場合と同様に、プリプレグシート巻き取り装置10Aの手前の位置に、マーキング装置12aが設けられている。このマーキング装置12aにより、マーキング装置12aに至るまでに検出され、把握された欠陥に関する情報が、プリプレグシート9aの離型紙5Aにマーキングされる。マーキング装置12aにより、プリプレグシート9ならびにプリプレグシート9aの両表面の欠陥に関する情報がマーキングされるが、場合により、いずれか一方の表面の欠陥に関する情報のみがマーキングされても良い。
【0144】
マーキングに際しては、マークの色や形状を適宜選択して、欠点の発生場所、例えば、第1の含浸工程後で第2の含浸工程前においてプリプレグシートの表面あるいは裏面において検出された欠点、第2の含浸工程に向かう樹脂フィルムの表面において検出された欠点、第2の含浸工程後においてプリプレグシートの表面において検出された欠点をマーキングするのが良い。同様に、欠点の種類に応じたマークをマーキングすることも好ましい。
【0145】
マークを記す場所は、プリプレグシートの裏面にある離型紙の端部から所定の距離だけ内側の位置が好ましい。その距離は、端面から約6乃至21mmであることがより好ましい。この距離の下限を6mmにすることによって、離型紙外へのマーキングミスを防ぐことができ、この距離の上限を21mmにすることによって、プリプレグ上へのマーキングミスを防ぐことができる。マーキング装置12aは、離型紙にマーキングできるものであれば特に限定されないが、ペン式を用いることが好ましい。また、欠点名をマーキングすることも、特に後工程での検査の効率化に有効である。
【0146】
マーキングは、欠点がスポット的に発生する場合は、発生点のプリプレグシートの側端側の離型紙部分(通常、耳部と呼称されている部分)にマーキングし、欠点が連続的に発生する場合は、欠点発生の終了点のプリプレグシートの側端側の離型紙部分にマーキングすることが好ましい。これにより、検反時の作業性を高めることができる。さらに、連続的に発生した欠点とスポット的に発生した欠点を区別するために、マーキングの長さを変えたり、線の種類や色を変えることも好ましい。連続的に発生する欠点の場合は、欠点が存在している区間の全体に亘りマーキングしても良い。
【0147】
プリプレグシート巻き取り装置10Aで巻き取られたプリプレグシートロール10bは、欠点の位置情報、好ましくは欠点の種類情報とともに、プリプレグシートロール別に整理され、プリプレグの製造工程の次工程であるプリプレグシート検反工程S7aに伝達される。プリプレグシート検反工程S7aにおいて、巻きだし装置21aから巻き出されたプリプレグシート9aの表面が、検反員22aによって検反され、製品の巻き取り装置23aに巻き取られる。
【0148】
検反を実施する際に、欠点の位置情報からプリプレグシートの製造工程で検出された欠点(マーキングが行われている場合は、マーキング部)が検反工程に現れる位置を演算して、この位置が検反工程に現れる時にアラーム装置24aが作動して、アラームを発生させる、および/または、検反工程におけるプリプレグシートの移動速度を低下させるなどの手段で、欠点の確認を可能とすることが好ましい。このような手段を適用することによって、検反員22aがプリプレグシートの表裏面の欠点位置を正確に把握することができ、欠点見逃しを防止し、検反作業の難易度を低下させ、作業効率を上げることができる。
【0149】
最終製品であるプリプレグシートを巻き取り装置23aにより巻き上げる際には、製品の品種に固有の処置基準に基づいて、欠点部分を取り除き、正常部分同志を繋ぐ、いわゆるスプライス処理、または、基準に基づいて、修正可能とされる炭素繊維毛羽欠点や炭素繊維束ワレ欠点、異物混入欠点などの除去などの修正、タグの貼付などの作業が行われる。これらの作業に関する情報を、生産情報管理システムに入力することによって、先の情報に追加して、必要な欠点の位置情報等を用いた演算を行うことによって、検反後の製品に関する欠点情報が集計されることが好ましい。これらの情報は、必要な認証を経て、製品の欠点情報として使用されることが更に好ましい。
【0150】
プリプレグシート検反工程S7aは、プリプレグシートの両端をスリットする、いわゆる耳落とし工程、広幅のプリプレグを自動テープ積層機や自動ファイバープレスメント機に使用可能なように、検反時に、幅2乃至600mmに、プリプレグシートを長手方向にスリットする工程を含んでいても良い。また、図4には図示を省略しているが、検反工程に、上記欠点検査装置と同様の欠点検査装置を設置して、欠点の検出を行うことも好ましい。
【0151】
図3あるいは図4に示すプリプレグの製造装置においては、炭素繊維束への樹脂を含浸させる樹脂含浸工程が二つ装備されているが、必要に応じて、樹脂含浸工程の数を更に増やすことがある。樹脂含浸工程が2段以上の場合、2番目の樹脂含浸工程後では、プリプレグシートの表面が樹脂に覆われて、表面の凹凸差が小さくなり、炭素繊維毛羽欠点の検出が困難になる場合がある。このような場合は、炭素繊維毛羽欠点の検出は、1番目の樹脂含浸工程と2番目の樹脂含浸工程の間で、行うことが好ましい。炭素繊維束ワレ欠点は、プリプレグシートの裏面に離型紙があることによって、検出信号が強調されることから、最後の樹脂含浸工程を通過し巻き取り装置に至る過程にあるプリプレグシートの表面の炭素繊維束ワレ欠点を検出することが好ましい。
【0152】
また、プリプレグシートの裏面に存在するその他の欠点については、最後の樹脂含浸工程を通過したプリプレグシートの裏面には離型紙が存在することから、前後の樹脂含浸工程間において、離型紙が表面に存在しない状態のプリプレグシートにおいて検査する必要がある。
【0153】
炭素繊維束への樹脂の含浸が2段以上でなされる場合で、全ての樹脂含浸工程を通過したプリプレグシートの表面の欠点の検査を行う場合、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点ならびに離型紙シワ欠点を、プリプレグシートの表面からの散乱反射光を受光装置により受光することにより、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点を、プリプレグシートの表面からの正反射光を受光装置により受光することにより、検出することが好ましい。このように、欠点検出の場所によってプリプレグシートの状態が異なるので、検出場所と欠点種に応じて、正反射光および散乱反射光を、欠点部分のS/N比が高くなるように、適宜使い分けることが好ましい。
【0154】
本発明のプリプレグの製造方法により製造されるプリプレグシートの幅は、特に制限されないが、500乃至2000mmが好ましく、特に、幅が600mm以上のプリプレグシートの場合は、検査員による目視の欠点検出に比較して、欠点検出の正確性に優れ、良質のプリプレグの製造が可能となる。
【0155】
本発明のプリプレグの製造方法におけるプリプレグシートの生産速度は、特に制限されないが、1乃至30m/minが好ましい。また、使用される炭素繊維束は、特に制限されないが、繊度が、0.05乃至6g/mであることが好ましく、0.15乃至2g/mであることがより好ましい。炭素繊維束は、強度が、3000MPa以上、弾性率が、200GPa以上であることが好ましく、強度が、4900MPa以上、弾性率が280乃至360GPaであることがより好ましい。強度が3000MPa以上であることによって、樹脂を含浸させプリプレグ化するときの毛羽などの欠点の多発を防ぐことができる。強度を4900MPa以上とすることにより、プリプレグ化するときの温度、圧力条件を設定することによって、毛羽欠点の発生を、例えば、直径5cm以上の毛羽欠点を10個/m以下と問題ない個数に抑えることができる。
【0156】
炭素繊維束に含浸させる樹脂、すなわち、マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、BMI樹脂、ポリイミド樹脂などが適用されるが、好ましい樹脂としては、エポキシ系の180℃硬化タイプであり、蛍光を発する添加剤を含んだエポキシ樹脂組成物が好ましく、中でも芳香族アミン系硬化剤を用いるエポキシ樹脂や、6員環を有するエポキシ樹脂を含んだ樹脂組成物がさらに好ましい。1段目の樹脂含浸と2段目の樹脂含浸におけるそれぞれの樹脂は、基本組成が同じであって、2段目の樹脂含浸における樹脂としては、層間靱性を増加させる熱可塑樹脂や導電性粒子成分を含み、付加的な性能を付け加えたものが好ましい。
【0157】
具体的な熱可塑樹脂の例としては、微粒子化した、ポリアミド12粒子、ポリアミド微粒子(東レ(株)製 トレパールTN)、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトンの微粒子、導電性粒子成分の例としては、ポリマ微粒子などに導電性を付与するため金属メッキしたもの、カーボンブラックなどが上げられる。
【0158】
本発明のプリプレグの製造方法におけるプリプレグシートの炭素繊維目付は、50乃至300g/m2であることが好ましく、樹脂重量含有率は、25乃至50%であることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明のプリプレグの製造方法によれば、プリプレグの製造過程において、プリプレグに現れる欠陥を検出し、検出された欠陥に関する情報を用いてプリプレグが製造される。しかも、検出した欠陥の種類、位置の判定が、炭素繊維束に樹脂を含浸するために用いられる離型紙に塗布されて形成されている樹脂フィルムの表面からの反射光の特性に基づき行われ、あるいは、炭素繊維束に樹脂が含浸されて形成されたプリプレグシートの離型紙が剥離された表面からの反射光の特性に基づき行われる。これにより、従来、離型紙が存在しているために欠陥の検出が不可能であったプリプレグの直接の表面における欠陥の把握が可能となり、良質のプリプレグの製造が可能となった。
【符号の説明】
【0160】
1 炭素繊維束
1a ボビン
2 炭素繊維シート
3A、3B、3a、3b 樹脂シート
4a、4b 樹脂シートロール
5A、5B、5a、5b 離型紙
6A、6B、6a、6b 樹脂フィルム
7、7a、7b 積層シート
8a、8b ヒーター
9、9a プリプレグシート
10、10A プリプレグシート巻き取り装置
10a、10b プリプレグシートロール
11B、11a、11b 離型紙巻き取り装置
12、12a マーキング装置
21、21a 巻き出し装置
22、22a 検反員
23、23a 巻き取り装置
24、24a アラーム装置
31 光照射装置
31a、31b 光源
32 受光装置
32a カメラ
32b 光学フィルター
33 欠点判定装置
41A、41B 光照射装置
41a、41b 光源
42A、42B 受光装置
43A、43B 欠点判定装置
GR ガイドロール
OPA1、OPA2A、OPA2B、OPA3、OPA4 光学装置
PL1、PL2、PL3 プリプレグシート製造ライン
S1 炭素繊維シート供給工程
S2A、S2B、S2a、S2b 樹脂シート供給工程
S3、S3a 積層シート形成工程
S4 樹脂含浸工程
S4a 第1の樹脂含浸工程
S4b 第2の樹脂含浸工程
S5、S5a プリプレグシート巻き取り工程
S6、S6A 樹脂シート検査工程
S7、S7a プリプレグシート検反工程
S8、S8a 欠点情報出力工程
S9 プリプレグシート検査工程
S10 プリプレグシート検査工程
θa、θb 入射角
θc カメラ設置角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)離型紙と該離型紙の表面に塗布された樹脂により形成された樹脂フィルムからなる樹脂シートを連続して供給する少なくとも一つの樹脂シート供給工程と、
(b)炭素繊維束、あるいは、樹脂が含浸されている炭素繊維束からなる炭素繊維シートを連続して供給する炭素繊維シート供給工程と、
(c)前記樹脂シート供給工程から供給される前記樹脂フィルムの表面を、前記炭素繊維シート供給工程から供給される前記炭素繊維シートの少なくとも一方の表面に向かい合わせ、前記樹脂シートと前記炭素繊維シートからなる積層シートを形成する積層シート形成工程と、
(d)該積層シート形成工程において形成された前記積層シートにおける前記炭素繊維束に前記積層シートにおける前記樹脂を含浸させ、前記炭素繊維束と該炭素繊維束に含浸した前記樹脂からなるプリプレグシートを形成する少なくとも一つの樹脂含浸工程と、
(e)該樹脂含浸工程において形成されたプリプレグシートを連続して巻き取るプリプレグシート巻き取り工程からなるプリプレグの製造方法において、
(f)前記樹脂シート供給工程における前記樹脂フィルムの表面を光学装置により検査することにより、前記プリプレグの欠陥の原因となる前記樹脂フィルムの表面の欠陥を検出し、検出された欠陥が、樹脂スジ状欠落欠点、異物混入欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれに属するかを判定する少なくとも一つの樹脂シート検査工程、あるいは、
(g)前記樹脂含浸工程から導出された前記離型紙を伴う離型紙付きプリプレグシートの該離型紙を剥離した後のプリプレグシートの表面を光学装置により検査することにより、前記プリプレグの表面の欠陥を検出し、検出された欠陥が、炭素繊維毛羽欠点、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれに属するかを判定する少なくとも一つのプリプレグシート検査工程を有するプリプレグの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂シート検査工程における前記光学装置が、前記欠陥を検査する前記表面に光を照射する光照射装置と、該光照射装置から照射した光の前記表面からの反射光を検出する受光装置と、該受光装置が検出した反射光の強度の値と予め設定した閾値を比較し前記欠陥を検出し、前記欠陥が、樹脂スジ状欠落欠点、異物混入欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれかに属するかを判定する欠点判定装置からなる請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項3】
前記プリプレグシート検査工程における前記光学装置が、前記欠陥を検査する前記表面に光を照射する光照射装置と、該光照射装置から照射した光の前記表面からの反射光を検出する受光装置と、該受光装置が検出した反射光の強度の値と予め設定した閾値を比較し前記欠陥を検出し、前記欠陥が、炭素繊維毛羽欠点、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれに属するかを判定する欠点判定装置からなる請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項4】
前記欠点判定装置が、前記炭素繊維毛羽欠点、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点の各々に対して、正反射光の信号と散乱反射光の信号別に、予め、輝度、幅、長さ、および、面積からなる群から選択される少なくとも一つについての閾値を設定し、前記各欠点毎に、前記各反射光の感度をもとに、検出に用いる前記反射光の種類を決定し、それらの前記閾値と前記反射光の信号とを比較することによって、検出された前記欠陥を前記各欠点に分類してなる請求項3に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項5】
前記欠点判定装置が、前記炭素繊維毛羽欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点を、検出した正反射光に基づき分類し、前記異物混入欠点を、検出した散乱反射光に基づき分類してなる請求項3に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項6】
前記樹脂シート供給工程が、前記炭素繊維シート供給工程により供給される炭素繊維シートを挟んでその両側に設けられ、前記プリプレグシート検査工程におけるプリプレグシートの表面の欠陥の検出が、該プリプレグシートの両表面に対しそれぞれ設けられた前記光学装置により行われる請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項7】
前記樹脂シート供給工程が、前記炭素繊維シート供給工程により供給される炭素繊維シートを挟んでその両側に設けられるとともに、前記炭素繊維シート供給工程から前記プリプレグシート巻き取り工程に向かい複数設けられ、前記プリプレグシート巻き取り工程の最も近くに位置する前記樹脂含浸工程を通過した前記プリプレグシートの両外表面に位置する前記離型紙のうちの一方の離型紙が剥離され、他の一方の離型紙が付いた離型紙付きプリプレグシートを前記プリプレグシート巻き取り工程により巻き取るとともに、前記一方の離型紙が剥離されたプリプレグシートの表面の欠陥を、前記プリプレグシート検査工程にて検査してなる請求項1に記載のプリプレグシートの製造方法。
【請求項8】
前記プリプレグシート検査工程における前記光学装置が、前記欠陥を検査する前記表面に光を照射する光照射装置と、該光照射装置から照射した光の前記表面からの反射光を検出する受光装置と、該受光装置が検出した反射光の強度の値と予め設定した閾値を比較し前記欠陥を検出し、前記欠陥が、異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点、離型紙シワ欠点、樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点のいずれに属するかを判定する欠点判定装置からなり、該欠点判定装置が、前記異物混入欠点、炭素繊維束ワレ欠点ならびに離型紙シワ欠点を、検出した散乱反射光に基づき分類し、前記樹脂スジ状欠落欠点ならびに樹脂点状欠落欠点を、検出した正反射光に基づき分類してなる請求項7に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項9】
前記プリプレグシート検査工程における前記光照射装置が、線状のLEDライトからなる光照射装置であり、前記受光装置が、CCDラインセンサカメラからなる受光装置である請求項3に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項10】
前記樹脂シート検査工程における前記光照射装置が、線状のブラックライトを光源とした光照射装置であり、該ブラックライトを、前記樹脂フィルムの走行方向に対して垂直に立てた面に対して面対称となり、かつ、該面と樹脂フィルム面からなる直線と平行になるように1対以上配し、該ブラックライトの入射角が40乃至80°および100乃至140°の範囲に各々1本以上設置した請求項2に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項11】
前記樹脂シート検査工程における前記受光装置が、CCDラインセンサカメラからなる受光装置であり、該CCDラインセンサカメラを、前記樹脂フィルムの走行方向に対して垂直に立てた面から−5乃至+5°の範囲に設置した請求項2に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項12】
前記CCDラインセンサカメラに紫外領域の光を除去する光学フィルターが備え付けられている請求項11に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項13】
前記樹脂シート検査工程、あるいは、前記プリプレグシート検査工程において検出された前記欠陥の前記プリプレグシートに対する位置が、マーキング装置により、前記プリプレグシート巻き取り工程において、前記離型紙とともに巻き取られるプリプレグシートの該離型紙の幅方向の端部における所定の位置にマーキングされ、該マーキングにより、前記欠点の種類と該欠点のプリプレグシートにおける位置が判別される請求項1に記載のプリプレグ製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載のプリプレグの製造方法における前記各工程と該各工程のうちのプリプレグシート巻き取り工程の後に設けられたプリプレグシート検反工程からなるプリプレグの製造方法において、請求項1に記載の前記樹脂シート検査工程、あるいは、前記プリプレグシート検査工程において検出された前記欠点の位置情報を、あるいは、前記欠点の位置情報および種類情報を、前記プリプレグシート検反工程に伝達し、該プリプレグシート検反工程における仕掛け情報を用いて演算することによって、該プリプレグシート検反工程における欠点位置を特定し、前記欠点が前記プリプレグシート検反工程において現れる時に、アラームを発生させ、および/または、前記プリプレグシート検反工程におけるプリプレグシートの移動速度を低下させ、前記欠点の確認を可能にするとともに、前記欠点の位置情報、または、前記欠点の位置情報および種類情報と、前記プリプレグシート検反工程で確認された欠点情報および位置情報とを統合した欠点情報を検査結果として出力する欠点情報出力工程を有するプリプレグの製造方法。
【請求項15】
前記欠点の確認に基づき、予め設定された製品の処置基準に従い、該欠点個所の除去処理、または、該欠点個所への標識の貼付を行ってなる請求項14に記載のプリプレグの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−108058(P2013−108058A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187388(P2012−187388)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】