プリプレグ積層体の製造方法及びその製造装置
【課題】プリプレグ積層体の減圧時に大気圧がかからず、プリプレグ積層体内から空気を効率良く除去でき、樹脂成形物内のボイドの低減と、生産性を著しく向上させることが出来るプリプレグ積層体の製造方法及びその製造装置を提供する。
【解決手段】製造装置１は、ベースプレート２上に設置した仕切り部材３（ダム）の内側に繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグ４を複数枚積層し、このプリプレグ積層体４上に加圧プレート５を載置する。そして、前記プリプレグ積層体４の全体，仕切り部材３及び加圧プレート５をシール部材６を介してブリーザークロス７ａ及びフィルム状の第１バキュームバック７により気密的に覆い、更に第１バキュームバック７の外周部に所定の間隔ｈを隔ててアルミニュウム等の軽金属から成る補強枠体８を設置する。そして、前記補強枠体８の外周面をシール部材１０を介してブリーザークロス９及びフィルム状の第２バキュームバック１１により気密的に覆う。
【解決手段】製造装置１は、ベースプレート２上に設置した仕切り部材３（ダム）の内側に繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグ４を複数枚積層し、このプリプレグ積層体４上に加圧プレート５を載置する。そして、前記プリプレグ積層体４の全体，仕切り部材３及び加圧プレート５をシール部材６を介してブリーザークロス７ａ及びフィルム状の第１バキュームバック７により気密的に覆い、更に第１バキュームバック７の外周部に所定の間隔ｈを隔ててアルミニュウム等の軽金属から成る補強枠体８を設置する。そして、前記補強枠体８の外周面をシール部材１０を介してブリーザークロス９及びフィルム状の第２バキュームバック１１により気密的に覆う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、プリプレグ積層体の製造方法及びその製造装置に係わり、更に詳しくはプリプレグの積層体の製造工程中に積層体中に封じ込まれた空気を効率良く除去することが出来るプリプレグ積層体の製造方法及びその製造装置を提供することを目的とするものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグを複数枚積層し、繊維強化プラスチック（ＦＲＰ）パネル等の樹脂成形物を製造する場合、樹脂トランスファー成形法（ＲＴＭ）またはバキューム樹脂トランスファー成形法（ＶａＲＴＭ）が知られている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
特に船舶等の分野では近年大型船体の繊維強化プラスチックパネル化の開発に伴って、大型樹脂成形物はオートクレーブ法に入れて成形するには限度があるため、バキューム樹脂トランスファー成形法（ＶａＲＴＭ）による繊維強化プラスチックパネルの開発が進められている（例えば、特許文献２参照）。
【０００４】
ところで、一般的なプリプレグ積層体の製造方法は、ベースプレート上に設置した仕切り部材（ダム）の内側に、繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグを複数枚積層し、このプリプレグ積層体上に加圧プレートを載置し、前記積層体全体，仕切り部材及び加圧プレートを気密的に覆うフィルム状のバキュームバックを設け、このバキュームバックと仕切り部材（ダム）との間を真空ポンプ等により真空引きすることにより、バキュームバック及び加圧プレートを介して複数枚のプリプレグを一体的に積層させている。
【０００５】
然しながら、製造時に仕切り部材（ダム）の内側にプリプレグを積層させる際、空気を巻き込むことが多く、この空気が粘着力を備えたプリプレグ間に閉じ込められた場合、上記の真空ポンプ等により真空引きして空気を除去するには長い時間を要すると言う問題があった。また、プリプレグを多層に積層する場合、プリプレグ数枚毎に真空バックが必要であり、非常に長いバキューム時間を要し、生産性の向上を図ることが出来ない上に品質の向上を図ることが出来ないと言う問題があった。
【特許文献１】特開２００３−１１２３１号公報
【特許文献２】特開２００４−３４６１９０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
この発明は、かかる従来の問題点に着目して案出されたもので、プリプレグ積層体の減圧時に大気圧がかからず、プリプレグ積層体内から空気を効率良く除去でき、樹脂成形物内のボイドの低減と、生産性を著しく向上させることが出来るプリプレグ積層体の製造方法及びその製造装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
この発明は上記目的を達成するため、この発明のプリプレグ積層体の製造方法は、繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグをベースプレート上に複数枚積層し、この積層体全体をブリーザークロス及びフィルム状の第１バキュームバックで覆い、この第１バキュームバックの外周部に所定の間隔を隔てて補強枠体を設置し、この補強枠体の外周面をブリーザークロス及びフィルム状の第２バキュームバックで覆い、前記プリプレグ積層体と第１バキュームバックとの間を吸引ポンプと接続する第１吸引手段でバキュームすると共に、前記補強枠体と第２バキュームバックとの間を吸引ポンプと接続する第２吸引手段によりバッキュームすることを要旨とするものである。
【０００８】
ここで、前記第１吸引手段の第１配管と、第２吸引手段の第２配管とを接続金具を介して吸引配管に接続し、第１吸引手段と第２吸引手段とを同時にバキュームしてプリプレグ積層体と第１バキュームバックとの間及び補強枠体と第２バキュームバックとの間を真空状態にした後、補強枠体と第２バキュームバックとの間を開放した状態で、プリプレグ積層体と第１バキュームバックとの間をバキュームしてプリプレグ積層体内の空気を吸引するものである。
【０００９】
また、この発明のプリプレグ積層体の製造装置は、ベースプレート上に設置した仕切り部材の内側に、繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグを複数枚積層し、このプリプレグ積層体上に加圧プレートを載置し、前記積層体全体，仕切り部材及び加圧プレートを気密的に覆うブリーザークロス及びフィルム状の第１バキュームバックを設け、更に第１バキュームバックの外周部に所定の間隔を隔てて補強枠体を設置し、この補強枠体の外周面を繊維シートを介して気密的に覆うブリーザークロス及びフィルム状の第２バキュームバックを設け、前記仕切り部材と第１バキュームバックとの間に吸引ポンプと接続する第１吸引手段の第１配管を気密的に配管すると共に、補強枠体と第２バキュームバックとの間に吸引装置と接続する第２吸引手段の第２配管を気密的に配管したことを要旨とするものである。
【００１０】
ここで、前記第１配管と第２配管とを接続金具を介して吸引配管に接続し、この吸引配管を吸引ポンプに接続して構成するものである。
【００１１】
このように、この発明ではプリプレグ積層体の製造時に二つのバキュームバックでバキュームして積層体内の空気を吸引するので、プリプレグ積層体内から空気を効率良く除去でき、樹脂成形物内のボイドの低減させることが出来るものである。
【発明の効果】
【００１２】
この発明は、上記のように構成したので以下のような優れた効果を奏するものである。（ａ）．プリプレグ積層体の製造時に二つのバキュームバックでバキュームして積層体内の空気を吸引するので、プリプレグ積層体内から空気を効率良く除去でき、樹脂成形物内のボイドの低減させることが出来る。
（ｂ）．樹脂成形物内のボイドの低減させることが出来る結果、製品不良を有効に防止することが出来る。
（ｃ）．プリプレグ積層体の製造時に二つのバキュームバックでバキュームして積層体内の空気を吸引するので、製品不良の少ない樹脂成形物を効率良く製造することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、添付図面に基づきこの発明の実施の形態を説明する。
図１は、この発明のプリプレグ積層体の製造方法を実施するための製造装置の概略断面図を示し、この製造装置１は、ベースプレート２上に設置した仕切り部材３（ダム）の内側に繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグ４を複数枚積層し、このプリプレグ積層体４上に加圧プレート５を載置する。そして、前記プリプレグ積層体４の全体，仕切り部材３及び加圧プレート５をシール部材６を介してブリーザークロス７ａ及びフィルム状の第１バキュームバック７により気密的に覆い、更に第１バキュームバック７の外周部に所定の間隔ｈを隔ててアルミニュウム等の軽金属から成る補強枠体８を設置する。
【００１４】
そして、前記補強枠体８の外周面をシール部材１０を介してブリーザークロス９及びフィルム状の第２バキュームバック１１により気密的に覆う。
【００１５】
そして、前記仕切り部材３と第１バキュームバック７との間に吸引ポンプＰと接続する第１吸引手段１２の第１配管１３の先端を挿入してシール部材６ａ，１０ａを介して気密的に配管し、前記補強枠体８と第２バキュームバック１１との間に吸引ポンプＰと接続する第２吸引手段１４の第２配管１５の先端を挿入してシール部材１６を介して気密的に配管する。前記第１配管１３と第２配管１５とは、接続金具１７を介して吸引配管１８に接続し、この吸引配管１８を吸引ポンプＰに接続するものである。
【００１６】
次に、プリプレグ積層体の製造方法について説明する。
先ず、繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグ４をベースプレート２上の仕切り部材３（ダム）の内側に複数枚積層し、このプリプレグ積層体４上に加圧プレート５を載置する。そして、このプリプレグ積層体４の全体，仕切り部材３及び加圧プレート５をシール部材６を介してブリーザークロス７ａ及びフィルム状の第１バキュームバック７により気密的に覆い、更に第１バキュームバック７の外周部に所定の間隔ｈを隔ててアルミニュウム等の軽金属から成る補強枠体８を設置し、更に前記補強枠体８の外周面をシール部材１０を介してブリーザークロス９及びフィルム状の第２バキュームバック１１により気密的に覆う。
【００１７】
そして、前記仕切り部材３と第１バキュームバック７との間に吸引ポンプＰと接続する第１吸引手段１２の第１配管１３の先端を挿入してシール部材６ａ，１０ａを介して気密的に配管し、前記補強枠体８と第２バキュームバック１１との間に吸引ポンプＰと接続する第２吸引手段１４の第２配管１５の先端を挿入してシール部材１６を介して気密的に配管する。
【００１８】
このような状態から、前記吸引ポンプＰを駆動させて第１吸引手段１２と第２吸引手段１４とを同時にバキュームしてプリプレグ積層体４と第１バキュームバック７との間及び補強枠体８と第２バキュームバック１１との間を真空状態にする。その後、補強枠体８と第２バキュームバック１１との間を開放した状態で、プリプレグ積層体４と第１バキュームバック７との間をバキュームしてプリプレグ積層体４内の空気を吸引するものである。
【００１９】
即ち、補強枠体８で区画された第１バキュームバック７の内側と第２バキュームバック１１の内側とを吸引ポンプＰにより同時にバキュームすることで、第１バキュームバック７と第２バキュームバック１１との内部を略真空状態にした後、更に第２バキュームバック１１の内側を大気に開放状態で第１バキュームバック７内を更にバキュームすることでプリプレグ積層体４内の空気を確実に吸引でき、樹脂成形物内のボイドの低減させることが出来る結果、製品不良を有効に防止することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】この発明のプリプレグ積層体の製造方法を実施するための製造装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【００２１】
１ 製造装置 ２ ベースプレート
３ 仕切り部材（ダム） ４ プリプレグ積層体
５ 加圧プレート ６，６ａ シール部材
７ 第１バキュームバック ７ａ ブリーザークロス
８ 補強枠体 ９ ブリーザークロス
１０，１０ａ シール部材 １１ 第２バキュームバック
１２ 第１吸引手段 １３ 第１配管
１４ 第２吸引手段 １５ 第２配管
１６ シール部材 １７ 接続金具
１８ 吸引配管 Ｐ 吸引ポンプ
【技術分野】
【０００１】
この発明は、プリプレグ積層体の製造方法及びその製造装置に係わり、更に詳しくはプリプレグの積層体の製造工程中に積層体中に封じ込まれた空気を効率良く除去することが出来るプリプレグ積層体の製造方法及びその製造装置を提供することを目的とするものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグを複数枚積層し、繊維強化プラスチック（ＦＲＰ）パネル等の樹脂成形物を製造する場合、樹脂トランスファー成形法（ＲＴＭ）またはバキューム樹脂トランスファー成形法（ＶａＲＴＭ）が知られている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
特に船舶等の分野では近年大型船体の繊維強化プラスチックパネル化の開発に伴って、大型樹脂成形物はオートクレーブ法に入れて成形するには限度があるため、バキューム樹脂トランスファー成形法（ＶａＲＴＭ）による繊維強化プラスチックパネルの開発が進められている（例えば、特許文献２参照）。
【０００４】
ところで、一般的なプリプレグ積層体の製造方法は、ベースプレート上に設置した仕切り部材（ダム）の内側に、繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグを複数枚積層し、このプリプレグ積層体上に加圧プレートを載置し、前記積層体全体，仕切り部材及び加圧プレートを気密的に覆うフィルム状のバキュームバックを設け、このバキュームバックと仕切り部材（ダム）との間を真空ポンプ等により真空引きすることにより、バキュームバック及び加圧プレートを介して複数枚のプリプレグを一体的に積層させている。
【０００５】
然しながら、製造時に仕切り部材（ダム）の内側にプリプレグを積層させる際、空気を巻き込むことが多く、この空気が粘着力を備えたプリプレグ間に閉じ込められた場合、上記の真空ポンプ等により真空引きして空気を除去するには長い時間を要すると言う問題があった。また、プリプレグを多層に積層する場合、プリプレグ数枚毎に真空バックが必要であり、非常に長いバキューム時間を要し、生産性の向上を図ることが出来ない上に品質の向上を図ることが出来ないと言う問題があった。
【特許文献１】特開２００３−１１２３１号公報
【特許文献２】特開２００４−３４６１９０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
この発明は、かかる従来の問題点に着目して案出されたもので、プリプレグ積層体の減圧時に大気圧がかからず、プリプレグ積層体内から空気を効率良く除去でき、樹脂成形物内のボイドの低減と、生産性を著しく向上させることが出来るプリプレグ積層体の製造方法及びその製造装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
この発明は上記目的を達成するため、この発明のプリプレグ積層体の製造方法は、繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグをベースプレート上に複数枚積層し、この積層体全体をブリーザークロス及びフィルム状の第１バキュームバックで覆い、この第１バキュームバックの外周部に所定の間隔を隔てて補強枠体を設置し、この補強枠体の外周面をブリーザークロス及びフィルム状の第２バキュームバックで覆い、前記プリプレグ積層体と第１バキュームバックとの間を吸引ポンプと接続する第１吸引手段でバキュームすると共に、前記補強枠体と第２バキュームバックとの間を吸引ポンプと接続する第２吸引手段によりバッキュームすることを要旨とするものである。
【０００８】
ここで、前記第１吸引手段の第１配管と、第２吸引手段の第２配管とを接続金具を介して吸引配管に接続し、第１吸引手段と第２吸引手段とを同時にバキュームしてプリプレグ積層体と第１バキュームバックとの間及び補強枠体と第２バキュームバックとの間を真空状態にした後、補強枠体と第２バキュームバックとの間を開放した状態で、プリプレグ積層体と第１バキュームバックとの間をバキュームしてプリプレグ積層体内の空気を吸引するものである。
【０００９】
また、この発明のプリプレグ積層体の製造装置は、ベースプレート上に設置した仕切り部材の内側に、繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグを複数枚積層し、このプリプレグ積層体上に加圧プレートを載置し、前記積層体全体，仕切り部材及び加圧プレートを気密的に覆うブリーザークロス及びフィルム状の第１バキュームバックを設け、更に第１バキュームバックの外周部に所定の間隔を隔てて補強枠体を設置し、この補強枠体の外周面を繊維シートを介して気密的に覆うブリーザークロス及びフィルム状の第２バキュームバックを設け、前記仕切り部材と第１バキュームバックとの間に吸引ポンプと接続する第１吸引手段の第１配管を気密的に配管すると共に、補強枠体と第２バキュームバックとの間に吸引装置と接続する第２吸引手段の第２配管を気密的に配管したことを要旨とするものである。
【００１０】
ここで、前記第１配管と第２配管とを接続金具を介して吸引配管に接続し、この吸引配管を吸引ポンプに接続して構成するものである。
【００１１】
このように、この発明ではプリプレグ積層体の製造時に二つのバキュームバックでバキュームして積層体内の空気を吸引するので、プリプレグ積層体内から空気を効率良く除去でき、樹脂成形物内のボイドの低減させることが出来るものである。
【発明の効果】
【００１２】
この発明は、上記のように構成したので以下のような優れた効果を奏するものである。（ａ）．プリプレグ積層体の製造時に二つのバキュームバックでバキュームして積層体内の空気を吸引するので、プリプレグ積層体内から空気を効率良く除去でき、樹脂成形物内のボイドの低減させることが出来る。
（ｂ）．樹脂成形物内のボイドの低減させることが出来る結果、製品不良を有効に防止することが出来る。
（ｃ）．プリプレグ積層体の製造時に二つのバキュームバックでバキュームして積層体内の空気を吸引するので、製品不良の少ない樹脂成形物を効率良く製造することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、添付図面に基づきこの発明の実施の形態を説明する。
図１は、この発明のプリプレグ積層体の製造方法を実施するための製造装置の概略断面図を示し、この製造装置１は、ベースプレート２上に設置した仕切り部材３（ダム）の内側に繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグ４を複数枚積層し、このプリプレグ積層体４上に加圧プレート５を載置する。そして、前記プリプレグ積層体４の全体，仕切り部材３及び加圧プレート５をシール部材６を介してブリーザークロス７ａ及びフィルム状の第１バキュームバック７により気密的に覆い、更に第１バキュームバック７の外周部に所定の間隔ｈを隔ててアルミニュウム等の軽金属から成る補強枠体８を設置する。
【００１４】
そして、前記補強枠体８の外周面をシール部材１０を介してブリーザークロス９及びフィルム状の第２バキュームバック１１により気密的に覆う。
【００１５】
そして、前記仕切り部材３と第１バキュームバック７との間に吸引ポンプＰと接続する第１吸引手段１２の第１配管１３の先端を挿入してシール部材６ａ，１０ａを介して気密的に配管し、前記補強枠体８と第２バキュームバック１１との間に吸引ポンプＰと接続する第２吸引手段１４の第２配管１５の先端を挿入してシール部材１６を介して気密的に配管する。前記第１配管１３と第２配管１５とは、接続金具１７を介して吸引配管１８に接続し、この吸引配管１８を吸引ポンプＰに接続するものである。
【００１６】
次に、プリプレグ積層体の製造方法について説明する。
先ず、繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグ４をベースプレート２上の仕切り部材３（ダム）の内側に複数枚積層し、このプリプレグ積層体４上に加圧プレート５を載置する。そして、このプリプレグ積層体４の全体，仕切り部材３及び加圧プレート５をシール部材６を介してブリーザークロス７ａ及びフィルム状の第１バキュームバック７により気密的に覆い、更に第１バキュームバック７の外周部に所定の間隔ｈを隔ててアルミニュウム等の軽金属から成る補強枠体８を設置し、更に前記補強枠体８の外周面をシール部材１０を介してブリーザークロス９及びフィルム状の第２バキュームバック１１により気密的に覆う。
【００１７】
そして、前記仕切り部材３と第１バキュームバック７との間に吸引ポンプＰと接続する第１吸引手段１２の第１配管１３の先端を挿入してシール部材６ａ，１０ａを介して気密的に配管し、前記補強枠体８と第２バキュームバック１１との間に吸引ポンプＰと接続する第２吸引手段１４の第２配管１５の先端を挿入してシール部材１６を介して気密的に配管する。
【００１８】
このような状態から、前記吸引ポンプＰを駆動させて第１吸引手段１２と第２吸引手段１４とを同時にバキュームしてプリプレグ積層体４と第１バキュームバック７との間及び補強枠体８と第２バキュームバック１１との間を真空状態にする。その後、補強枠体８と第２バキュームバック１１との間を開放した状態で、プリプレグ積層体４と第１バキュームバック７との間をバキュームしてプリプレグ積層体４内の空気を吸引するものである。
【００１９】
即ち、補強枠体８で区画された第１バキュームバック７の内側と第２バキュームバック１１の内側とを吸引ポンプＰにより同時にバキュームすることで、第１バキュームバック７と第２バキュームバック１１との内部を略真空状態にした後、更に第２バキュームバック１１の内側を大気に開放状態で第１バキュームバック７内を更にバキュームすることでプリプレグ積層体４内の空気を確実に吸引でき、樹脂成形物内のボイドの低減させることが出来る結果、製品不良を有効に防止することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】この発明のプリプレグ積層体の製造方法を実施するための製造装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【００２１】
１ 製造装置 ２ ベースプレート
３ 仕切り部材（ダム） ４ プリプレグ積層体
５ 加圧プレート ６，６ａ シール部材
７ 第１バキュームバック ７ａ ブリーザークロス
８ 補強枠体 ９ ブリーザークロス
１０，１０ａ シール部材 １１ 第２バキュームバック
１２ 第１吸引手段 １３ 第１配管
１４ 第２吸引手段 １５ 第２配管
１６ シール部材 １７ 接続金具
１８ 吸引配管 Ｐ 吸引ポンプ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグをベースプレート上に複数枚積層し、この積層体全体をブリーザークロス及びフィルム状の第１バキュームバックで覆い、この第１バキュームバックの外周部に所定の間隔を隔てて補強枠体を設置し、この補強枠体の外周面をブリーザークロス及びフィルム状の第２バキュームバックで覆い、前記プリプレグ積層体と第１バキュームバックとの間を吸引ポンプと接続する第１吸引手段でバキュームすると共に、前記補強枠体と第２バキュームバックとの間を吸引ポンプと接続する第２吸引手段によりバッキュームすることを特徴とするプリプレグ積層体の製造方法。
【請求項２】
前記第１吸引手段の第１配管と、第２吸引手段の第２配管とを接続金具を介して吸引配管に接続し、第１吸引手段と第２吸引手段とを同時にバキュームしてプリプレグ積層体と第１バキュームバックとの間及び補強枠体と第２バキュームバックとの間を真空状態にした後、補強枠体と第２バキュームバックとの間を開放した状態で、積層体と第１バキュームバックとの間をバキュームしてプリプレグ積層体内の空気を吸引する請求項１に記載のプリプレグ積層体の製造方法。
【請求項３】
ベースプレート上に設置した仕切り部材の内側に、繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグを複数枚積層し、このプリプレグ積層体上に加圧プレートを載置し、前記積層体全体，仕切り部材及び加圧プレートを気密的に覆うブリーザークロス及びフィルム状の第１バキュームバックを設け、更に第１バキュームバックの外周部に所定の間隔を隔てて補強枠体を設置し、この補強枠体の外周面を繊維シートを介して気密的に覆うブリーザークロス及びフィルム状の第２バキュームバックを設け、前記仕切り部材と第１バキュームバックとの間に吸引ポンプと接続する第１吸引手段の第１配管を気密的に配管すると共に、補強枠体と第２バキュームバックとの間に吸引装置と接続する第２吸引手段の第２配管を気密的に配管したことを特徴とするプリプレグ積層体の製造装置。
【請求項４】
前記第１配管と第２配管とを接続金具を介して吸引配管に接続し、この吸引配管を吸引ポンプに接続した請求項３に記載のプリプレグ積層体の製造装置。
【請求項１】
繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグをベースプレート上に複数枚積層し、この積層体全体をブリーザークロス及びフィルム状の第１バキュームバックで覆い、この第１バキュームバックの外周部に所定の間隔を隔てて補強枠体を設置し、この補強枠体の外周面をブリーザークロス及びフィルム状の第２バキュームバックで覆い、前記プリプレグ積層体と第１バキュームバックとの間を吸引ポンプと接続する第１吸引手段でバキュームすると共に、前記補強枠体と第２バキュームバックとの間を吸引ポンプと接続する第２吸引手段によりバッキュームすることを特徴とするプリプレグ積層体の製造方法。
【請求項２】
前記第１吸引手段の第１配管と、第２吸引手段の第２配管とを接続金具を介して吸引配管に接続し、第１吸引手段と第２吸引手段とを同時にバキュームしてプリプレグ積層体と第１バキュームバックとの間及び補強枠体と第２バキュームバックとの間を真空状態にした後、補強枠体と第２バキュームバックとの間を開放した状態で、積層体と第１バキュームバックとの間をバキュームしてプリプレグ積層体内の空気を吸引する請求項１に記載のプリプレグ積層体の製造方法。
【請求項３】
ベースプレート上に設置した仕切り部材の内側に、繊維補強基材に樹脂材料を含浸させたプリプレグを複数枚積層し、このプリプレグ積層体上に加圧プレートを載置し、前記積層体全体，仕切り部材及び加圧プレートを気密的に覆うブリーザークロス及びフィルム状の第１バキュームバックを設け、更に第１バキュームバックの外周部に所定の間隔を隔てて補強枠体を設置し、この補強枠体の外周面を繊維シートを介して気密的に覆うブリーザークロス及びフィルム状の第２バキュームバックを設け、前記仕切り部材と第１バキュームバックとの間に吸引ポンプと接続する第１吸引手段の第１配管を気密的に配管すると共に、補強枠体と第２バキュームバックとの間に吸引装置と接続する第２吸引手段の第２配管を気密的に配管したことを特徴とするプリプレグ積層体の製造装置。
【請求項４】
前記第１配管と第２配管とを接続金具を介して吸引配管に接続し、この吸引配管を吸引ポンプに接続した請求項３に記載のプリプレグ積層体の製造装置。
【図１】
【公開番号】特開２００７−３０７７５４（Ｐ２００７−３０７７５４Ａ）
【公開日】平成１９年１１月２９日（２００７．１１．２９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１３７７０４（Ｐ２００６−１３７７０４）
【出願日】平成１８年５月１７日（２００６．５．１７）
【出願人】（０００００６７１４）横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１１月２９日（２００７．１１．２９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年５月１７日（２００６．５．１７）
【出願人】（０００００６７１４）横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Ｆターム（参考）】
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