説明

プリプレグ

【課題】高い誘電特性を発揮するプリプレグを提供する。
【解決手段】 熱硬化性樹脂及び絶縁化超微粉末を含有する樹脂組成物を基材に含浸し、乾燥してなるプリプレグにおいて、絶縁化超微粉末が、炭素材料からなる導電性超微粉末を分散したメタノール含有有機溶媒に液状金属アルコキシドを添加し、さらに水を添加することにより得られることを特徴とするプリプレグ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の絶縁化超微粉末を用いたプリプレグ及びその製造方法、並びに、積層板、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスやセラミック等の一般的な物質の誘電率は大抵10以下であるのに対し、非常に大きな誘電率をもつ物質がある。これらの多くは強誘電体やそれに近い結晶構造をもつ物質である。この代表的なものにチタン酸バリウムがある。そして、このチタン酸バリウム等に代表される強誘電体を強誘電体フィラーとして熱硬化性樹脂に充填した樹脂複合材料及びプリント配線板が提案されている(特許文献1参照)。しかし、特許文献1では、十分な誘電率を確保するために、強誘電体フィラーを高濃度(65体積%以上)に添加する必要があった。
【0003】
このような強誘電体フィラーの大量添加が必要となる理由は以下のとおりである。まず、添加量が少ない場合、強誘電体フィラーが比誘電率3程度の樹脂に絶縁された状態となっている。この状態を等価回路で考察すると、低誘電率の樹脂に対応する容量の小さいキャパシタンスと強誘電体フィラーに対応する容量の大きなキャパシタンスとの直列回路で表される。この場合、誘電率の逆数に加成性があるため、例えば強誘電体フィラーの添加率が50体積%でも複合材料の誘電率は6程度にしかならない。この点を回避するためには、複合材料の等価回路が並列回路となるようにする必要がある。実態としては強誘電体フィラーの連続層を複合材料内に形成することが必要となる。
【0004】
このような連続層を形成し、複合材料の高誘電率化を図るために、強誘電体等の強誘電体フィラーを65体積%以上添加することが必要とされていた。このため、比誘電率20以上を実現するには80質量%以上の強誘電体を強誘電体フィラーとして添加することが必要となり、高誘電率化と引き換えに樹脂材料本来の特徴である加工性、成形性が損なわれることになる。
【0005】
また、短径が1nm以上100nm以下の球状、長球状もしくは針状の導電性超微粉末を絶縁被覆した絶縁化超微粉末を樹脂に添加する方法が提案されている(特許文献2参照)。さらに、導電性超微粉末を炭素材料とした高誘電率樹脂複合材料が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
しかしこれらには、プリント配線板やそれに使用するプリプレグについての具体的な構造設計が明確には記載されていなかった。また、絶縁化超微粉末の絶縁皮膜を形成する金属酸化物は、導電性超微粉末の分散した有機溶媒中で金属アルコキシドをゾルゲル反応により金属水酸化物として析出させたのち脱水縮合し、さらに表面処理を施し疎水化することによって得られたものである。
【0007】
このようにして得られた絶縁化超微粉末は、ゾルゲル法によって得られる皮膜が多孔質であるため、特に絶縁化超微粉末を高充填した高誘電率樹脂複合材料は誘電率が高くなる一方で、電気エネルギーの損失を示すtanδが大きくなりやすいといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−237507号公報
【特許文献2】特開2005−97074号公報
【特許文献3】特開2006−344570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、簡便な方法でtanδの増加を抑制しつつ、高い誘電特性を発揮し得るプリプレグ及び積層板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく鋭意検討を行なったところ、本発明者らは下記本発明に想到し当該課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は下記の通りである。
[1]熱硬化性樹脂及び絶縁化超微粉末を含有する樹脂組成物を基材に含浸し、乾燥してなるプリプレグにおいて、絶縁化超微粉末が、炭素材料からなる導電性超微粉末を分散したメタノール含有有機溶媒に液状金属アルコキシドを添加し、さらに水を添加することにより得られることを特徴とするプリプレグ。
[2]絶縁化超微粉末が、炭素材料からなる導電性超微粉末を分散したメタノール含有有機溶媒に液状金属アルコキシドを添加し、さらに有機ケイ素化合物もしくはカップリング剤を添加した後に水を添加する前記[1]記載のプリプレグ。
[3]絶縁化超微粉末と熱硬化性樹脂との体積比(絶縁化超微粉末/熱硬化性樹脂)が、5/95〜50/50である前記[1]又は[2]に記載のプリプレグ。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のプリプレグを硬化してなる層を有する積層板。
[5]少なくとも一方の面に金属箔が設けられてなる前記[4]に記載の積層板。
[6]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のプリプレグを硬化してなる層を有するプリント配線板。
【0011】
[7]下記の工程からなるプリプレグの製造方法。
(1)メタノールを含む溶媒中で、直径1〜500nmの球状、断面直径1〜500nmの繊維状、又は厚さ1〜500nmの板状の炭素材料からなる導電性超微粉末に、絶縁性金属酸化物又はその水和物からなる絶縁皮膜を形成して絶縁化超微粉末を製造し、これを熱硬化性樹脂と混合してワニスを得る工程
(2)前記ワニスを基材に含浸し乾燥する工程
[8]ワニスを得る工程において、熱硬化性樹脂を、絶縁化超微粉末を製造した溶媒に混合する前記[7]に記載のプリプレグの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プリント配線板とした際に高い誘電特性を発揮し得るプリプレグ及び積層板を提供することができる。また、当該プリプレグを効率よく製造することができるプリプレグの製造方法を提供することができる。さらに、当該プリプレグを硬化してなる層を有し、優れた誘電特性を有するプリント配線板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、熱硬化性樹脂及び絶縁化超微粉末を含有してなる樹脂組成物を基材に含浸し乾燥してなる。以下、当該プリプレグについて詳細に説明する。
【0014】
(絶縁化超微粉末)
本発明に係る導電性超微粉末としては、単独で樹脂材料に添加した場合に樹脂複合材料の体積抵抗を低下させる、すなわち、導電性を付与する効果を有するものを使用する。具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛、ファーネスカーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどの導電性炭素材料が用いられる。
【0015】
導電性炭素材料に対し、代表的な導電体である金属の超微粉末は、一部の貴金属を除いて酸化され易く導電性が低下しやすいのみでなく粉塵爆発の可能性もある。また、金属原子が超微粉末から絶縁体媒質中に拡散し、樹脂複合材料の絶縁性を低下させる。これに対し導電性炭素材料はこうした問題がなく、さらに、炭素材料が比重2.2と小さく、他の導電性物質や従来の高誘電率フィラーにはない特長を有し、高誘電率複合材料の軽量化という効果もある。
【0016】
本発明で用いる導電性超微粉末としては、好ましくは粒子直径が1nm以上500nm以下、より好ましくは5nm以上300nm以下、さらに好ましくは10nm以上100nm以下の球状の炭素材料が挙げられる。このような球状の炭素材料、例えば、カーボンブラックは、炭化水素原料を気相で熱分解することによって得られる。また、黒鉛化カーボンブラックは、He、CO、またはこれら混合ガスの雰囲気系により内圧2〜19Torrに保持された減圧容器内において、炭素材料をアーク放電によって気化させ、気化した炭素蒸気を冷却凝固することによって得られる。なお、ここで「球状」とは必ずしも厳密な球状である必要はなく、等方的な形状であればよい。例えば角が発生した多面体状であってもよい。また、球状でない場合の「粒子直径」とは最小径を意味する。
【0017】
具体的には、東海カーボン(株)製のシーストSやトーカブラック#7100F、導電性カーボンブラック#5500、#4500、#4400、#4300や黒鉛化カーボンブラック#3855、#3845、#3800、あるいは、三菱化学(株)製の#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、MA7、MA8、MA11、あるいは、ライオン(株)製のケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JDなどが挙げられる。
【0018】
また、本発明で用いる導電性超微粉末としては、好ましくは断面直径が1nm以上500nm以下、より好ましくは5nm以上300nm以下、さらに好ましくは10nm以上200nm以下の繊維状の炭素材料が挙げられる。その長さは断面直径の3倍以上300倍以下であることが好ましい。このような繊維状の炭素材料、例えばカーボンナノファイバーや、カーボンナノチューブは触媒となるコバルトや鉄の有機金属化合物と炭化水素原料を気相で混合し、加熱することによって得られる。また、カーボンナノファイバーはフェノール系樹脂を溶融紡糸し、非活性雰囲気下で加熱することによって得られるものもある。なお、ここで「繊維状」とは一方向に伸びた形状を意味し、例えば角材状、丸棒状や長球状であってもよい。また、角材状のような場合の「断面直径」とは最小径を意味する。具体的には、昭和電工(株)製のVGCFおよびVGNFや、(株)GSIクレオス製のカルベール、群栄化学工業(株)製のカーボンナノファイバーなどが挙げられる。
【0019】
さらに、本発明で用いる導電性超微粉末としては、厚さが好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは5nm以上300nm以下、さらに好ましくは10nm以上200nm以下の板状の炭素材料が挙げられる。その長さおよび幅は、厚さの3倍以上300倍以下であることが好ましい。なお、ここで「板状」とは、一方向が縮んだ形状を意味し、例えば扁平球状や鱗片状であってもよい。このような板状の炭素材料は、例えば天然黒鉛や人造黒鉛を精製・粉砕・分級することによって得られる。例えば、SECカーボン(株)製のSGPシリーズ、SNOシリーズ等や日本黒鉛製、鱗状黒鉛粉末、薄片化黒鉛粉末等が挙げられる。また、これらをさらに粉砕し、精密分級してもよい。
【0020】
該粒子直径、断面直径または厚さを上記範囲とすることで、量子サイズ効果による導電性の低下を防ぐことができる。また、製造が容易となって工業的に用いることが可能となり、凝集などにより取り扱い性を低下し難くすることができる。さらに、連続層の形成を50vol%以上、すなわち樹脂特性を悪化させない添加率の範囲で連続層を十分に形成させることができる。また、導電性超微粉末の形状が繊維状もしくは板状の場合、アスペクト比は3〜300が好ましい。本発明で用いる導電性超微粉末は、この中でも繊維状の方が球状や板状よりも好ましい。これは繊維状のほうが、比誘電率が20以上である樹脂複合材料として連続層を形成するために必要な添加量が例えば30vol%以下と少なくてすむためである。なお、粒子直径、断面直径、厚さおよびアスペクト比は、走査型電子顕微鏡により求めることができる。
【0021】
本発明では、炭素材料からなる導電性超微粉末を分散したメタノール含有有機溶媒に液状金属アルコキシドを添加し、さらに水を添加することにより、導電性超微粉末表面上に絶縁被膜を形成する(第1の絶縁化超微粉末)。
【0022】
絶縁皮膜形成に用いる液状金属アルコキシドとは、メタノール沸点未満の温度、すなわち常圧下であれば64.7℃未満において、液体状態である金属アルコキシドである。例えば、融点54℃のテトラエトキシチタンが挙げられる。 特に好ましいのは室温で液体であるテトライソプロポキシチタン、テトラノルマルブトキシチタン、テトラノルマルブトキシチタンダイマー、テトラ−2−エチルヘキソキシチタン、トリエトキシモノプロポキシチタンなどのアルコキシチタン;テトラセカンダリーブトキシジルコニウム、テトラターシャリーブトキシジルコニウムなどのアルコキシジルコニウム;である。
【0023】
メタノール含有有機溶媒中のメタノール含有量は、5重量%以上であることが好ましく、12重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることがさらに好ましく、100重量%であることが特に好ましい。メタノールと共に用いる有機溶媒としては、エタノール、2−プロパノール、アセトン、2−ブタノン、テトラヒドラフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0024】
また、メタノール含有有機溶媒の使用量は、当該有機溶媒中のメタノール量と添加する液状金属アルコキシドの量とにより規定される。具体的には、使用するメタノールの量を、液状金属アルコキシドのアルコール置換反応により、メトキシ基が生成し固体の金属メトキシドが生成する量とすることが好ましく、液状金属アルコキシドの4倍(モル比)以上の含有量となるようにすることが好ましい。
【0025】
さらに、メタノールは、炭素材料からなる導電性超微粉末を分散した有機溶媒(例えば、既述のメタノール以外の有機溶媒)に液状金属アルコキシドを添加した後に加えて、結果としてメタノール含有有機溶媒としてもよい。メタノールは、液状金属アルコキシドと共にもしくは交互に有機溶媒中に添加してもよい。
【0026】
本発明では、有機溶媒としてメタノールを必須成分としているが、これは、液状金属アルコキシドが、アルコール置換反応により固体となることを利用し、導電性超微粉末表面上に絶縁被膜の前駆体(例えば、テトラメトキシチタン)を形成するといったことから、非常に重要な成分となっている。さらに、水を添加することにより加水分解反応および脱水重縮合反応が進行し、導電性超微粉末表面上に緻密なTiO絶縁被膜が形成される。
【0027】
上記方法により絶縁被膜を形成した超微粉末は、表面に水酸基が残っている。この表面水酸基は、ろ過・乾燥に伴う脱水縮合により、絶縁化超微粉末を絶縁金属酸化物の皮膜で架橋してしまう。つまり絶縁化超微粉末を固めてしまうことがある。このため、絶縁化超微粉末に強い応力がかかる樹脂材料との複合化の場合、例えば二軸押出機などを用いる量産的な条件下での熱可塑性樹脂との溶融混練において絶縁皮膜の破壊が起こりやすくなり誘電特性を不安定化させる。
【0028】
上記を防ぐため、有機ケイ素化合物等のカップリング剤(特に、アルコキシド基を有するカップリング剤)で表面処理を施し、疎水化することが好ましい。この絶縁化超微粉末(第2の絶縁化超微粉末)を得るには、まず、第1の絶縁化超微粉末の場合と同様に、炭素材料からなる導電性超微粉末を分散したメタノール含有有機溶媒に液状金属アルコキシドを添加する。その後、さらに有機ケイ素化合物等のカップリング剤を添加した後に水を添加することにより得られる。
【0029】
第2の絶縁化超微粉末を得るための反応では、導電性超微粉末を分散したメタノール含有有機溶媒中で、液状金属アルコキシドと有機ケイ素化合物も等のカップリング剤と水との反応を常温常圧で進行させることができる。すなわち、従来のようにTiO被膜などの形成後に、反応を促進するための酸やアルカリ触媒の添加、脱水や蒸留といった工程が不要となるため、生産性の高い絶縁化超微粉末とすることができる。
【0030】
本発明において表面処理に用いる有機ケイ素化合物は、アルコキシシラン、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物、ポリシロキサン、変性ポリシロキサン、末端変性ポリシロキサンおよびフルオロアルキルシランからなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物である。このなかでも、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサンが好ましい。
【0031】
アルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0032】
導電性超微粉末上に生成した絶縁性金属酸化物または金属水酸化物皮膜粒子への付着強度を考慮すると、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、または当該アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物がより好ましい。
【0033】
また、ポリシロキサンとしては、メチルハイドロジェンシロキサン単位を有するポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサンおよび末端がカルボン酸で変性された末端カルボン酸変性ポリシロキサンを挙げることができる。
【0034】
フルオロアルキルシランとしては、具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルロデシルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランまたはヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0035】
また、表面処理に用いるカップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミネート系およびジルコネート系カップリング剤からなる群より選ばれる1種または2種以上のカップリング剤を用いることができる。
【0036】
上記カップリング剤のうち、シラン系カップリング剤については、先に挙げた有機ケイ素化合物の一部、すなわちアルコキシシランが含まれるが、アルコキシシラン以外のシラン系カップリング剤としては、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシシラン、ジフェニルジクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−アミノプロピルトリクロロシラン、γ−グリシドキシプロピルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリクロロシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。
【0037】
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0038】
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0039】
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0040】
表面処理剤の使用量は、表面水酸基量の程度により異なるが、その処理前の絶縁化超微粉末(すなわち、第1の絶縁化超微粉末)100重量部に対して0.01〜30重量部が好ましい。この範囲内であれば、絶縁化超微粉末を十分に樹脂中に分散させることができ、また、絶縁化超微粉末と樹脂との密着性も確保できる。より好ましくは0.1〜25重量部、特に好ましくは1〜15重量部である。
【0041】
表面処理を経て、ろ過・乾燥した後にさらに焼成処理を行なってもよい。焼成処理は200℃〜1000℃の温度範囲で、30分間〜24時間保持することにより行なうことが好ましい。但し、導電性超微粉末が炭素材料である場合、焼成雰囲気を非酸化性とする必要がある。すなわち、窒素置換やアルゴン置換を施し、酸素を遮断する必要がある。
【0042】
(熱硬化性樹脂)
本発明において、上記絶縁化超微粉末と共に用いられる熱硬化性樹脂としては、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、フラン系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アニリン系樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂、アリル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂等が挙げられる。
【0043】
なかでもエポキシ系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂が好適に用いられる。なお、上記エポキシ樹脂とは、少なくとも1個のオキシラン環(エポキシ基)を有する化合物をいう。特に好ましくは、エポキシ樹脂を含む樹脂材料である。これは配線基板などに用いる場合、銅等の金属層と密着強度が大きいためである。これらの熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
【0044】
本発明において、高誘電率を有する樹脂組成物は、初期の特性を損なわない範囲において、その他の難燃剤、充填剤等の添加も可能である。これらは周知であり、一般に使用されているものであれば、特に限定はされない。難燃剤の代表例としては、メラミン、ベンゾグアナミン変性等の窒素含有化合物、シリコーン系化合物等が挙げられる。充填剤の代表的例としては、シリカ、マイカ、タルク、ガラス短繊維及び微粉末、中空ガラス等の無機物粉末、シリコーンパウダー等が挙げられる。
【0045】
本発明において、絶縁化超微粉末と熱硬化性樹脂との体積比(絶縁化超微粉末/熱硬化性樹脂)は、5/95〜50/50の範囲であることが好ましく、5/95〜20/80の範囲であることがより好ましい。5/95の割合以上に絶縁化超微粉末が配合されると、樹脂組成物中で連続層が形成され、充分な比誘電率が得られる。一方、50/50の割合以下に絶縁化超微粉末が配合されると、樹脂組成物本来の加工性などが損なわれることがない。なお、絶縁化超微粉末と配合する際の樹脂は、重合体の形態としてのみならず、重合性化合物の形態として配合しておいて後で重合させてもよい。
【0046】
本発明において、必要に応じ有機溶剤を使用してもよい。その種類としては、本発明で使用される樹脂組成物と相溶するものであれば、特に限定されるものではない。その代表例としては、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ、プロピレングリコールメチルエーテル及びそのアセテート、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらを単独もしくは2種以上混合して使用することもできる。基材への含浸性を重視する場合は、沸点120〜200℃程度の溶剤を併用することが好適である。
【0047】
また、本発明においては、樹脂組成物に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤等を添加してもよい。これらは周知で一般に使用されるものであれば、特に限定はされない。その代表的な例としては、ベンソトリアゾール系等の紫外線吸収剤;ヒンダートフェノール系、スチレン化フェノールなどの酸化防止剤;チオキサントン系等の光重合開始剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;が挙げられる。
【0048】
(基材)
本発明のプリプレグは、樹脂組成物を基材に含浸し、その後乾燥して半硬化(Bステージ化)することで得られるが、当該基材としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。
【0049】
その材質の代表的な例としては、Eガラス、Nガラス、Dガラス、Sガラス、Hガラス及びQガラスなどの無機物繊維;ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレンなどの有機繊維;及びそれらの混合物;等が挙げられる。 これらの基材は、その形状により、織布、不織布、ロービング、チョプドストランドマット、サーフェシングマット等が挙げられる。材質及び形状は、目的とする成形物の用途や 性能により適宜選択され、必要により単独もしくは、2種類以上の材質及び形状を選択して使用することもできる。
【0050】
基材の厚みには特に制限はないが、0.03〜0.5mm程度とする。また、シランカップリング剤などで表面処理したものや機械的に開繊処理を施したものは、吸湿耐熱性の面から好適である。基材に対する樹脂組成物の付着量は、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率として、20〜90質量%であることが好ましい。基材に樹脂組成物を含浸(塗布を含む)させた後、通常100〜200℃の乾燥機で、1〜30分間加熱し、半硬化させる方法などにより、本発明のプリプレグが得られる。
【0051】
[プリプレグの製造方法]
絶縁化超微粉末の製造を、メタノールを含有する溶媒中で行ない、その後の工程で固液分離の処理を施すことなく、プリプレグ作製用のワニスを調製することは可能である。これにより、工程の短縮化を図ることができプリプレグを効率よく製造することができる。
【0052】
ここで、「メタノールを含有する溶媒」とは、当該溶媒中においてメタノールの含有量(質量基準)が溶媒中5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。溶媒のその他の成分としてはメチルエチルケトン、ジメチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン等が好ましく、メチルエチルケトンがより好ましい。
【0053】
ワニス作製工程においては、熱硬化性樹脂の混合順序や方法は特に限定しないが、工程管理の容易性を考慮すると、絶縁化超微粉末を作製した後に混合することが好ましい。ワニス作製工程後は、作製したワニスを基材に含浸し乾燥する含浸乾燥工程を経てプリプレグが製造される。含浸や乾燥条件等は既述の通りであり、また、従来公知の条件を適宜参考にすることができる。
【0054】
[積層板]
本発明の積層板は、本発明プリプレグを硬化してなる層を有する。すなわち、本発明のプリプレグを用いて積層成形したものである。好ましい態様としては、本発明のプリプレグを適宜、1ないし複数枚重ね、所望によりその片面もしくは両面に、銅やアルミニウムなどの金属箔を配置した構成で積層成形したものが挙げられる。
【0055】
金属箔は、電気絶縁材料用途に用いられているものであれば特に制限はなく、成形条件としては、通常の電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用できる。例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力2〜100kg/cmで、加熱時間0.03〜3時間である。また、本発明のプリプレグと別途作製した内層用の配線板を組み合わせ、積層成形することにより、多層板を製造することもできる。
【0056】
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明のプリプレグを硬化してなる層を有する。
具体的には、本発明の積層板(特に、銅張り積層板)に回路を形成させることにより、また、回路形成された基板上に本発明のプリプレグ、ビルドアップフィルム、樹脂付銅箔を用いて多層化し、回路形成させることによって得ることができる。本発明のプリント配線板は、高い誘電率を示し、誘電正接が低いといった優れた誘電特性を有する。
【実施例】
【0057】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
メタノール1000mL中にカーボンブラック(球状体粒子直径50〜100nm平均粒径40nm)100gとテトライソプロピルチタネート100gを添加し、30℃にて1時間攪拌混合した。次に、フェニルトリメトキシシラン10gを添加し、30分間混合した。さらに、蒸留水30gを30分間かけて滴下し、2時間撹拌し、TiOで絶縁化されたカーボンブラック粒子/メタノール分散液を得た。次に、遠心濾過機を使用し固液分離したウェットケーキを、スチームチューブドライヤーを使用し乾燥することにより、TiOで絶縁化されたカーボンブラック粒子、絶縁化超微粉末を得た。
【0059】
得られた絶縁化超微粉末37質量部、及びビスフェノールA型シアネートのプレポリマー(BT2070、三菱瓦斯化学製)50質量部をメチルエチルケトンにて溶解し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1001、ジャパンエポキシレジン製)50質量部及びオクチル酸亜鉛0.04質量部を混合してワニスを得た。
【0060】
このワニスをメチルエチルケトンで希釈し、厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、150℃で5分間乾燥して、樹脂組成物の含有量が50質量部のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを6枚重ね、その上下に厚さ12μmの電解銅箔を配置し、圧力18kgf/cm、昇温速度3℃/分、温度180℃で60分間のプレスを行い、厚さ0.7mmの銅張積層板を得た。
得られた銅張積層板の片面の銅箔をエッチングで直径14.0mm、幅1.0mmで円形に剥がし、アジレントテクノロジー社製インピーダンスアナライザー4294AとD電極とを用い1MHzでの物性(比誘電率及び誘電正接)を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
(実施例2)
得られた絶縁化超微粉末の配合量を10質量部とした以外は実施例1と同様にして、厚さ0.7mmの銅張積層板を得た。得られた銅張積層板について実施例1と同様の物性を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
(実施例3)
得られた絶縁化超微粉末の配合量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして、厚さ0.7mmの銅張積層板を得た。得られた銅張積層板について実施例1と同様の物性を測定した。結果を表1に示す。
【0063】
(比較例1)
イソプロパノール1000mL中にカーボンブラック(球状体粒子直径50〜100nm平均粒径40nm)100gとテトライソプロピルチタネート100gを添加し、30℃にて1時間攪拌混合した。次に、フェニルトリメトキシシラン10gを添加し、30分間混合した。さらに、蒸留水30gを30分間かけて滴下し、2時間撹拌し、TiOで絶縁化されたカーボンブラック粒子/イソプロパノール分散液を得た。次に、遠心濾過機を使用し固液分離したウェットケーキを、スチームチューブドライヤーを使用し乾燥することにより、TiOで絶縁化されたカーボンブラック粒子、絶縁化超微粉末を得た。
この絶縁化超微粉末を37質量部用いた他は実施例1と同様にして行い、厚さ0.7mmの銅張積層板を得た。得られた銅張積層板について実施例1と同様の物性を測定した。結果を表1に示す。
【0064】
(比較例2)
得られた絶縁化超微粉末の配合量を10質量部とした以外は実施例1と同様にして、厚さ0.7mmの銅張積層板を得た。得られた銅張積層板について実施例1と同様の物性を測定した。結果を表1に示す。
【0065】
(比較例3)
得られた絶縁化超微粉末の配合量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして、厚さ0.7mmの銅張積層板を得た。得られた銅張積層板について実施例1と同様の物性を測定した。結果を表1に示す。
【0066】
(比較例4)
テトラプロピルオキシチタネートを0.14質量部とし、絶縁化超微粉末の絶縁被膜の厚さを0.4〜0.9nm厚、平均0.6nm厚nmとした以外は実施例1と同様にして行い、厚さ0.7mmの銅張積層板を得た。得られた銅張積層板について実施例1と同様の物性を測定したところ導通してしまうため誘電物性を測定する事が出来なかった。
【0067】
(比較例5)
テトラプロピルオキシチタネートを38.5質量部とし、絶縁化超微粉末の絶縁被膜の厚さを105〜245nm厚、平均175nm厚とした以外は実施例1と同様にして行い、厚さ0.7mmの銅張積層板を得た。得られた銅張積層板について実施例1と同様の物性を測定した。結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

※上記体積比は、フィラー比重2.2、樹脂比重1.2として計算した。

【0069】
上記結果から明らかなように、本発明に係る絶縁化超微粉末の絶縁被膜の厚さを所定の範囲とすることで、高い誘電特性(誘電率)が得られることが確認できた。また、誘電正接についても実用的で良好な結果となっていた。
【0070】
(実施例7)
メタノール20質量部、メチルエチルケトン160質量部中にカーボンナノファイバー(昭和電工(株)製VGCF−H、断面直径150nm、長さ5〜6μmの繊維状)24質量部とテトラプロピルオキシチタネート35質量部とを添加し、室温にて1時間で攪拌混合し、この分散溶液に蒸留水8.7重量部を5分間かけて滴下した。滴下終了後更に1時間攪拌を継続し絶縁化超微粉末スラリーを作製した。この絶縁化超微粉末スラリーにビスフェノールA型シアネートのプレポリマー(BT2070、三菱瓦斯化学製)50質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1001、ジャパンエポキシレジン製)50質量部及びオクチル酸亜鉛0.04質量部を混合してワニスを得た。得られたワニスを、厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、150℃で5分間乾燥して、樹脂組成物の含有量が50質量部のプリプレグを得た。
【0071】
次に、このプリプレグを6枚重ね、その上下に厚さ12μmの電解銅箔を配置し、圧力18kgf/cm、昇温速度3℃/分、温度180℃で60分間のプレスを行い、厚さ0.7mmの銅張積層板を得た。得られた銅張積層板の片面の銅箔をエッチングで直径14.0mm、幅1.0mmで円形に剥がし、アジレントテクノロジー社製インピーダンスアナライザー4294AとD電極とを用い1MHzでの物性(比誘電率及び誘電正接)を測定した。
比誘電率は21.5であり、誘電正接は0.019であり、上記実施例と同様に良好な結果が示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂及び絶縁化超微粉末を含有する樹脂組成物を基材に含浸し、乾燥してなるプリプレグにおいて、絶縁化超微粉末が、炭素材料からなる導電性超微粉末を分散したメタノール含有有機溶媒に液状金属アルコキシドを添加し、さらに水を添加することにより得られることを特徴とするプリプレグ。
【請求項2】
絶縁化超微粉末が、炭素材料からなる導電性超微粉末を分散したメタノール含有有機溶媒に液状金属アルコキシドを添加し、さらに有機ケイ素化合物もしくはカップリング剤を添加した後に水を添加する請求項1記載のプリプレグ。
【請求項3】
絶縁化超微粉末と熱硬化性樹脂との体積比(絶縁化超微粉末/熱硬化性樹脂)が、5/95〜50/50である請求項1又は2に記載のプリプレグ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグを硬化してなる層を有する積層板。
【請求項5】
少なくとも一方の面に金属箔が設けられてなる請求項4に記載の積層板。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグを硬化してなる層を有するプリント配線板。
【請求項7】
下記の工程からなるプリプレグの製造方法。
(1)メタノールを含む溶媒中で、直径1〜500nmの球状、断面直径1〜500nmの繊維状、又は厚さ1〜500nmの板状の炭素材料からなる導電性超微粉末に、絶縁性金属酸化物又はその水和物からなる絶縁皮膜を形成して絶縁化超微粉末を製造し、これを熱硬化性樹脂と混合してワニスを得る工程
(2)前記ワニスを基材に含浸し乾燥する工程
【請求項8】
ワニスを得る工程において、熱硬化性樹脂を、絶縁化超微粉末を製造した溶媒に混合する請求項7に記載のプリプレグの製造方法。

【公開番号】特開2012−36307(P2012−36307A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178348(P2010−178348)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】