説明

プリペイドカード

【目的】 改造などの不正を有効に防止するプリペイドカードを提供する。
【構成】 プリペイドカードの一方の辺に沿って縦方向に4分割されたコードによりコード化され、前記プリペイドカードが保有することになる最初に設定される価値情報の書き込まれる初期コードエリアと、該初期コードエリアに書き込まれる価値情報に並行して配置される視パターンと、前記プリペイドカードが使用される過程のコード化された価値情報が書き込まれる前記プリペイドカードの他方の辺に沿って設けられた残金コードエリアとを備えたプリペイドカードである。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、改造などの不正使用に対する信頼性を向上させたプリペイドカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在市場に出回っている商品には、商品管理のためのバーコードが付されている。このバーコードは商品提供者夫々に対し割り当てられるものであるが、商品種類の多様化に伴ってバーコード割り当てに限界が近づいている。このため、新たなコードとして2次元記録コードを用いた各種システムが開発され、電話事業者や交通事業者など広範囲な分野で、代金前払によるプリペイドカードを使用した販売システムなどに用いられている。
ここで、2次元記録コードあるいは2次元データコードには次のようなコードがある。一つの長方形を田の字のように4セグメントに分割しその長方形を1単位として各セグメントを2進数の1桁として4桁16進数のデータを表わすものである。すなわち、各桁の1および0ビット符号を白および黒などで記録する2次元記録コードあるいは2次元データコードである。
【0003】
図6は、前記2次元記録コードが書き込まれた従来のプリペイドカードの構成を示す平面図である。図において1はプリペイドカード本体、2はプリペイドカード本体1の一方の辺に沿って代金前払により最初に設定される金額情報が2次元記録コードとその表示金額の数字とにより書き込まれる初期コードエリア、3はプリペイドカードが使用される過程での残金を示す金額情報が2次元記録コードとその表示金額の数字により書き込まれる残金コードエリアであり、前記初期コードエリア2と並行に順次下方に書き増しされる。
【0004】
図7は、プリペイドカード本体1の裏面を示す裏面図であり、4は前記初期コードエリア2および残金コードエリア3に書き込み、あるいは書き込まれた2次元記録コードを読み出す際のキー情報4aを不可視的に書き込んだ不可視記録書込エリアであり、この不可視記録書込エリア4はあらかじめプリペイドカード夫々に応じて設定されている。
【0005】
図8は、プリペイドカード本体1の断面図であり、5と6はプリペイドカードの表面を覆う表面層、7は表面層5,6の間に形成された感熱層である。前記初期コードエリア2および残金コードエリア3の2次元記録コードや数字は、前記感熱層7が加熱されることでその位置のインクが目視可能になり表示される。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
従来のプリペイドカードは以上のように構成されているので、例えば、図6においてプリペイドカード1の初期コードエリア2と残金コードエリア3との間などを横方向に切断分離して、残りの初期コードエリア22と設定金額の少い他のプリペイドカードの残金コードエリアとを接着剤などで接続する改造などの不正が容易に行われてしまう不都合が考えられ、このような不正防止のための対策が望まれている問題点があった。
【0007】
本考案はこのような問題点を解消するためになされたもので、本考案の目的は改造などの不正を有効に防止するプリペイドカードを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本考案に係るプリペイドカードは、コード化された価値情報が書き込まれるプリペイドカードにおいて、前記プリペイドカードの一方の辺に沿って1次元記録コードによりコード化された価値情報が書き込まれるエリアとして設けられた前記プリペイドカードに最初に設定される前記価値情報の書き込まれる初期コードエリアと、該初期コードエリアに書き込まれる前記価値情報に並行に配置された縞パターンと、前記プリペイドカードが使用される過程のコード化された価値情報が前記プリペイドカードの前記一方の辺と交わる他方の辺に沿って書き込まれる価値情報の書き込まれる残金コードエリアとを備えていることを特徴とする。
【0009】
また本考案に係るプリペイドカードは、前記1次元記録コードはその記録方向に少くとも4つのセグメントに分割してなる長方形を1単位としたデータコードの1次元配列であることを特徴とする。
【0010】
【作用】
本考案におけるプリペイドカードは、初期コードエリアがプリペイドカードの一方の辺に沿って設けられたこの初期コードエリアには1次元記録コードによりコード化された価値情報が書き込まれ、また前記価値情報に並行して所定ピッチの縞パターンが配置され、さらに前記プリペイドカードが使用される過程のコード化された価値情報が書き込まれる残金コードエリアが前記プリペイドカードの前記一方の辺と交わる他方の辺に沿って設けられているので、切断、接続などによる改造などの不正を行うと接続した縞パターンが切断によって消えたり破壊されたりするので所定ピッチの参照縞パターンを介してモアレを読出しそのパターンの不連続部あるいは干渉縞の周期の変化よりその接続面を検出し、これら価値情報を無効なものとして改造などの不正を有効に防止する。
【0011】
また本考案におけるプリペイドカードは、初期コードエリアがプリペイドカードの一方の辺に沿って設けられ、この初期コードエリアには記録方向に4分割された長方形1単位とする1次元記録コードによりコード化された価値情報が書き込まれ、また前記価値情報に並行して縞パターンが配置され、さらにプリペイドカードが使用される過程の残額を示す価値情報が前記プリペイドカードの前記他方の辺に沿って設けられているので、改造などの不正を行うと前記縞パターンが切断され、他のカードと接続してもこれらの接続点が検出され価値情報を無効なものとして、改造などの不正を有効に防止する。
【0012】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を図について説明する。図1は、本実施例のプリペイドカードの構成を示す平面図である。図において、11はプリペイドカード本体、12はプリペイドカード本体11の一方の辺13に沿って記録方向に分割した前記1次元記録コードにより金額情報が書き込まれる初期コードエリア、14は初期コードエリア12に前記1次元記録コードによりコード化され最初に書き込まれた例えば「10000円」の金額情報である。ここで、本実施例の1次元記録コードは前記長方形の1単位の4ゼグメントはそれぞれ2進数の各桁を示し、各1単位は16進数を示す。図1に示した初期コードエリア12に書込まれた1次元記録コードは7単位で表されている。26は金額情報14に並行して配置された所定ピッチの縞パターンである。15はプリペイドカード本体11の他方の辺16に沿って書き込まれた「10000円」の金額を表わす数字である。
【0013】
17はプリペイドカードを使用する過程の前記プリペイドカードが保有している残額を示す1次元記録コードによる情報18,19などが書き込まれる残金コードエリアであり、プリペイドカード本体11の他方の辺16に沿って設けられている。20は1次元記録コードにより書き込まれた第1回目,第2回目の残額を示す情報18の内容「7000円」,「4000円」などを表わした数字、21は1次元記録コードにより書き込まれた最終回の残額を示す情報19の内容「0円」を表わした数字である。22は不可視記録書込エリア、23は不可視記録書込エリア22に書き込まれたキー情報である。
【0014】
図2は、不正改造されたプリペイドカードの一例を示す平面図であり、24の部分を残額の書き込まれていない使用前の初期設定金額の少いプリペイドカードの一部切断、接続面Sで接続し置き換えている。このような不正改造が行われると、本実施例のプリペイドカードではプリペイドカード本体の辺13に沿って設けられた初期コードエリア12に書き込まれた金額情報14に並行に所定ピッチの縞パターン26が印刷されているので、縞パターンは縞パターン26と切断接続したプリペイドカードの縞パターン26Aが接続した構造となり途中で破損した部分が生じた縞パターン26,26Aとなる。よって、これを検出して最初に書き込まれた「10000円」の金額情報を無効とさせ、このような改造を行った後のプリペイドカードを使用不能として、不正改造による不正使用が防止できる。
【0015】
図3は、本実施例のプリペイドカードを発行するための発券装置31の構成を示す構造図であり、32は何も書き込まれていないプリペイドカードへ最初の金額情報を書き込むため、前記プリペイドカードを挿入する挿入孔である。33は挿入孔32から挿入されたプリペイドカードの不可視記録書込エリアに書き込まれているキー情報を読み取るための投光部、34は不可視記録書込エリア22の反射率の変化からキー情報を読み取るための読取部である。これら投光部33と読取部34とにより不可視マーク読取ヘッドが構成されている。35と36はプリペイドカードの送りローラである。37はプリペイドカードに1次元記録コードによりコード化された金額情報14を書き込むための書込ヘッド、38は金額情報14および縞パターン26を所定ピッチの参照縞パターンを介してそのモアレを読み取るための読取ヘッド、39は金額情報14に関する初期コードエリアが書き込まれたプリペイドカードの排出孔である。
【0016】
図4は、例えばこのプリペイドカードを使用して商品およびパチンコ玉貸し用の自動販売を行うことのできる自動販売機に設けられたプリペイドカード処理装置41の構成を示す構造図である。図4において図3と同一の部分については同一の符号を付し説明を省略する。このプリペイドカード処理装置41では、プリペイドカードを発行する前記発券機と異なり排出孔38は挿入孔32を兼ねており、挿入孔32から挿入されたプリペイドカードは、送りローラ35,36によりプリペイドカード処理装置41の内部を左側から右側へ所定の位置まで送られてから、再度左側へ送り戻されて排出孔38から排出される。
【0017】
図5は、前記発券機31およびプリペイドカード処理装置41の制御を行うマイクロコンピュータシステムの構成を示すブロック図であり、図において51はCPU、52は各種操作釦を有した操作部、53は操作部との信号授受を行うための入出力ポート、54はROM、55はRAM、56は送りローラを駆動するためのローラ駆動部、57はアンプ、58はローラ駆動部を制御するための信号
授受を行うための入出力ポート、59はプリペイドカードの残額や購買した商品名や金額を表示するための表示部、60は表示部59のインターフェースである。
【0018】
61はプリペイドカードの残額が不足する際に投入される貨幣の額を認識したり、釣銭を排出するための金銭出納処理部、62は金銭出納処理部41との間で信号授受を行うためのインターフェースである。63は読取ヘッド38との間で信号授受を行うインターフェース、64は書込ヘッド37との間で信号授受を行うインターフェース、65は不可視マーク読取ヘッドとの間で信号の授受を行うインターフェースである。
【0019】
発券機31では、挿入孔32から挿入されたプリペイドカードは、まず不可視マーク読取ヘッドの投光部33と読取部34とにより、不可視記録書込エリア22に書き込まれたキー情報が読み取られ、金銭出納処理部61から挿入された金額に応じた金額情報が発行場所および日時と共に前記読み取ったキー情報に応じてコーディングされ、送りローラ35,36間の書込ヘッド37により1次元記録コードによりコード化された金額情報として初期コードエリア12に書き込まれ、排出孔39から排出される。このとき前記縞パターン14aは前記書き込まれた金額情報に並行に配置されている。
【0020】
また、プリペイドカード処理装置41では、挿入孔32から挿入されたプリペイドカードは、先ず送りローラ35,36により左側から右側に送られていく過程で、その初期コードエリア12に書き込まれている金額情報14と、残金コードエリア17に書き込まれている残金を示す情報とが読み出される。また同時に縞パターン26を参照縞パターンを介して、そのモアレを読出す。そのモアレに不連続部分あるいは干渉縞の周期の変化を検出して、検出したときは処理を中止し、その表示を行う。さらに投光部33と読取部34とからなる不可視マーク読取ヘッドにより不可視記録書込エリア4に書き込まれているキー情報が読み取られ、このキー情報を基に前記読み取られた金額情報14や残金を示す情報が認識され、さらにこの認識した残金の範囲内の商品購入あるいはパタンコ玉貸し数などを許可する。このとき、挿入されたプリペイドカードは右端の位置で停止している。
【0021】
商品購入者が操作部52の操作キーを操作して商品を購入すると、それまでプリペイドカード処理装置の内部の右端の位置で停止していたプリペイドカードは、書込ヘッド37の位置まで送られ、商品購入に要した金額を減算した残額が、プリペイドカードによる支払場所および日時と共に残金コードエリア17のそれまで書き込まれていた残額を示す情報の下に書き込まれる。その後さらにプリペイドカードは左側に送られ、今度は読取ヘッド38により先程書き込んだ残額を示す情報を読取り、感熱紙が発色して正しく残額が書き込まれているか否かを判断するためのベリファイが実行される。この結果、正しく残額が書き込まれていると判断されると、プリペイドカードは排出孔39から排出される。
【0022】
なお、以上説明した実施例では縞パターン26を金額情報14と並行して配置するように構成したが、プリペイドカード本体11の辺13と並行する他辺に並行して前記金額情報14とは独立して配置するようにしてもよい。
また、初期コードエリアを残金コードエリアと並行するように記録し、縞パターンのみを、前記両エリア記録方向に交わる方向に印刷しておいてもよい。
【0023】
【考案の効果】
以上のように、本考案によれば1次元記録コードによりコード化された価値情報が書き込まれる初期コードエリアをプリペイドカードの一方に辺に沿って設けると共に、その初期コードエリアに書き込まれた価値情報に並行して縞パターンを配置し、残金コードエリアを、前記一方の辺と交わる他方の辺に並行して設けたので、プリペイドカードを不正に改造すると前記縞パターンが破壊されることになりこれを検出して、改造されたプリペイドカードを無効として使用不能にすることが可能であることから、不正改造を有効に防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例によるプリペイドカードを示す平面図である。
【図2】本考案の一実施例における不正改造されたプリペイドカードを示す平面図である。
【図3】本考案の一実施例によるプリペイドカードを発行する発券機の構成を示す構造図である。
【図4】本考案の一実施例によるプリペイドカードを使用して商品の自動販売を行うことのできる自動販売機に設けられたプリペイドカード処理装置の構成を示す構造図である。
【図5】発券機およびプリペイドカード処理装置の制御を行うマイクロコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。
【図6】従来のプリペイドカードを示す平面図である。
【図7】従来のプリペイドカードを示す裏面図である。
【図8】従来のプリペイドカードの断面図である。
【符号の説明】
11 プリペイドカード本体
12 初期コードエリア
14 金額情報
14a 縞パターン
17 残金コードエリア

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 コード化された価値情報が書き込まれるプリペイドカードにおいて、前記プリペイドカードの一方の辺に沿って1次元記録コードによりコード化された価値情報が書き込まれるエリアとして設けられた前記プリペイドカードに最初に設定される前記価値情報の書き込まれる初期コードエリアと、該初期コードエリアに書き込まれる前記価値情報に並行に配置された縞パターンと、前記プリペイドカードが使用される過程のコード化された価値情報が前記プリペイドカードの前記一方の辺と交わる他方の辺に沿って書き込まれる価値情報の書き込まれる残金コードエリアとを備えていることを特徴とするプリペイドカード。
【請求項2】 前記1次元記録コードはその記録方向に少くとも4つのセグメントに分割してなる長方形を1単位としたデータコードの1次元配列であることを特徴とする請求項1記載のプリペイドカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【登録番号】第3012974号
【登録日】平成7年(1995)4月19日
【発行日】平成7年(1995)6月27日
【考案の名称】プリペイドカード
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−16912
【出願日】平成6年(1994)12月26日
【出願人】(394027397)東京アルテック有限会社 (15)