説明

プリンタドライバ、印刷制御プログラム、印刷装置、及び記憶媒体

【課題】プラグインを追加した場合に機能衝突を回避する。
【解決手段】プリンタドライバ103は、印刷指示に従って描画データを生成する描画部122と、描画データに対して情報を追加する追加描画データを生成する、描画部を有する各プラグインの追加を受け付けるインターフェース部112と、描画データと、追加描画データと、を重畳するためのレイヤ番号を取得する配置取得部126と、生成された描画データと、プラグインの描画部により生成された追加描画データと、をレイヤ番号に従って重畳する重畳部125と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグインを追加可能なプリンタドライバ、印刷制御プログラム、印刷装置、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オフィスのコンピュータ環境について、様々なオフィス機器をネットワークで接続している。そして、ネットワークで接続された機器を制御するために、ドライバソフトをPC等にインストールすることが要求される。例えば、プリンタから印刷を行うためには、PCに対してプリンタドライバをインストールする必要がある。
【0003】
このプリンタドライバは、両面・集約・カラーなどの機能をどのように使用するかという印刷設定情報を備え、アプリケーションプログラムからの印刷要求を受け付けた場合に、印刷設定情報に従って、描画データをPDLデータに変換してプリンタに送信している。
【0004】
ところで、近年、当該プリンタドライバにおいて、ユーザのニーズの多様化に従って、プリンタドライバ単体に対する機能拡張のニーズが存在する。
【0005】
このプリンタドライバを機能拡張するために、拡張モジュール(プラグイン)を組み込む技術が提案されている。これらの拡張モジュールで実現している機能としては、例えば、スタンプ機能、電子透かし、といった印刷追加機能などがある。
【0006】
しかし、今までのプラグインによる機能拡張が可能なプリンタドライバにおいては、設定が衝突して、機能間で同時に使用することができない場合がある。例えば、プリンタドライバ本体の機能と追加されるプラグインの機能との衝突や、追加される一方のプラグインの機能と追加される他方のプラグインの機能との衝突が考えられる。
【0007】
このように、同時に設定することができない機能は、プリンタドライバの印刷設定画面などで同時設定をできないようにすることで、衝突を回避している。そして、複数の機能を同時設定できないようにするためには、プラグインによる機能の追加に伴い、印刷画面を提供するプリンタドライバ本体について修正を行う必要がある。この場合、プラグインのみならず、プリンタドライバ本体も修正する必要があるため、開発負担が増大する。
【0008】
そこで、プラグインによる機能を追加した場合に、プリンタドライバ本体の修正を行わなくともよい技術として、特許文献1に記載された技術がある。この特許文献1に記載された技術では、プリンタドライバに拡張モジュールを追加した後、拡張モジュールの機能衝突を解決するために、プリンタドライバ本体が、印刷設定データを拡張モジュール側に引渡し、拡張モジュールはプリンタドライバ本体の拡張インターフェースを通じて印刷設定データを変更している。これにより、プラグインを追加した場合に、プリンタドライバ本体の修正をしなくとも、機能が衝突を抑止することが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、プリンタドライバ本体と、拡張モジュール側と、の間の印刷設定データの交換で、適切な印刷設定を導き出す必要がある。このため、プラグインの制作者などが、機能が衝突した時に行う、機能が衝突しない印刷設定を予め拡張モジュール内に保持させておく必要があり、開発負担が大きくなる。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、機能衝突を回避するプリンタドライバ、印刷制御プログラム、印刷装置、及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるプリンタドライバは、外部からの印刷指示に従って描画データを生成する描画データ生成手段と、前記描画データに対して記載を追加する追加描画データを生成する、描画機能を有するプラグインの追加を受け付けるインターフェース手段と、前記描画データと、前記追加描画データと、を重畳するための設定情報を取得する取得手段と、前記描画データ生成手段により生成された前記描画データと、前記プラグインの前記描画機能により生成された前記追加描画データと、を前記設定情報に従って重畳する重畳手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる印刷制御プログラムは、外部からの印刷指示に従って描画データを生成する描画データ生成ステップと、前記描画データに対して記載を追加する追加描画データを生成する、描画機能を有するプラグインの追加を受け付ける受付ステップと、前記描画データと、前記追加描画データと、を重畳するための設定情報を取得する取得ステップと、前記描画データ生成ステップにより生成された前記描画データと、前記プラグインの前記描画機能により生成された前記追加描画データと、を前記設定情報に従って重畳する重畳ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる印刷装置は、外部からの印刷指示に従って描画データを生成する描画データ生成手段と、前記描画データに対して記載を追加する追加描画データを生成する、描画機能を有するプラグインの追加を受け付けるインターフェース手段と、前記描画データと、前記追加描画データと、を重畳するための設定情報を取得する取得手段と、前記描画データ生成手段により生成された前記描画データと、前記プラグインの前記描画機能により生成された前記追加描画データと、を前記設定情報に従って重畳する重畳手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる記憶媒体は、上述した印刷制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プリンタドライバと、プラグイン(拡張モジュール)との間で調整することなく、機能の衝突を抑止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1の実施の形態にかかるプリンタシステムの全体構成図を示した図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態にかかるPCの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、プリンタドライバが生成する描画データの示した説明図である。
【図4】図4は、ストリングプラグインによる文字列の追加機能を示した説明図である。
【図5】図5は、フレームプラグインによる枠線の追加機能を示した説明図である。
【図6】図6は、スタンププラグインによるスタンプの追加機能を示した説明図である。
【図7】図7は、レイヤ番号の取得手法を示した説明図である。
【図8】図8は、重畳して生成される描画データを示した説明図である。
【図9】図9は、複数のレイヤの追加描画データが存在する場合に、上位の対描画データを透過させる例を示した説明図である。
【図10】図10は、第1の実施の形態にかかるプリンタドライバにおける全体的な処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第1の実施の形態にかかるプリンタドライバにおけるPDLデータを送信するまでの処理の手順を示すシーケンス図である。
【図12】図12は、第2の実施の形態にかかるPCの構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、第2の実施の形態にかかる記憶部に記憶されたプラグイン情報の例を示した図である。
【図14】図14は、第1及び第2の実施の形態のPCのハードウェア構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるプリンタドライバ、印刷制御プログラム、印刷装置、及び記憶媒体の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるプリンタシステムの全体構成図を示した図である。図1に示すように、本実施の形態ではPC100とプリンタ150とがネットワーク160を介して接続されているものとする。そして、PC100からの印刷要求に応じて、プリンタ150が印刷処理を行う。
【0019】
図2は、PC100の構成を示すブロック図である。図2に示すように、PC100は、アプリケーション101と、OS102と、プリンタドライバ103と、通信部104とを備えている。
【0020】
通信部104は、ネットワーク160を介して接続されたプリンタ150と情報の送受信を行う。
【0021】
アプリケーション101は、利用者が利用するソフトウェアとする。ユーザはアプリケーション101で編集したデータを印刷したい場合、アプリケーション101が、印刷要求を受け付ける。この場合、アプリケーション101は、単体でプリンタ150に対する印刷データの生成を行わず、印刷要求と共に、印刷対象の情報をOS102に受け渡す。
【0022】
アプリケーション101としては、例えば、テキスト編集プログラムや表計算プログラム等とする。
【0023】
OS102は、PC100のハードウェアとソフトウェアとを管理するプログラムである。OS102は、プログラムの起動、情報の読み込み制御、保存制御等を行う。OSのうち代表的なものとしては、UNIX(登録商標)等が知られている。
【0024】
また、OS102は、アプリケーション101から受け渡された印刷要求と共に、印刷対象の情報を、プリンタドライバ103に受け渡す。
【0025】
プリンタドライバ103は、コアドライバ111と、インターフェース(I/F)部112と、スタンププラグイン113と、フレームプラグイン114と、ストリングプラグイン115と、を備えている。
【0026】
プリンタドライバ103では、機能を拡張するために、複数のプラグイン(追加モジュール)をインストールすることができる。図2に示す例では、スタンププラグイン113、フレームプラグイン114、及びストリングプラグイン115の三種類のプラグインが追加されている例とする。
【0027】
本実施の形態にかかるプリンタドライバ103では、プラグイン毎に生成された追加描画データと、アプリケーション101から印刷要求に従って生成された描画データと、を重畳した描画データから、PDLデータを生成する。
【0028】
図3は、プリンタドライバ103が生成する描画データの示した説明図である。図3に示すようにアプリケーション101から印刷要求に従って生成された描画データ301に対して、各プラグインが生成した追加描画データを重畳する。このため、プラグイン毎に、重畳するための順序を示すレイヤ番号が割り当てられているものとする。本実施の形態は、各プラグインが、レイヤ番号を保持している例とする。
【0029】
インターフェース部112は、描画データに対して情報を追加する追加描画データを生成するための、プラグインの追加を受け付けるインターフェースとする。なお、情報とは、例えばスタンプや文字列などを示し、描画データに対して追加する記載が示された情報とする。プリンタドライバ103にプラグインが追加された場合、当該インターフェース部112を介して、追加されたプラグインの各モジュールを呼び出すことができる。また、追加されたプラグインも、当該インターフェース部112を介して、コアドライバ111の各モジュールを呼び出すことが可能となる。
【0030】
ストリングプラグイン115は、印刷設定部135と、レイヤ番号保持部136と、描画部137とを備え、文字列の追加描画データを追加するプラグインとする。
【0031】
印刷設定部135は、追加描画データを生成するための印刷設定を決定する機能を有する。
【0032】
レイヤ番号保持部136は、他の描画データや追加描画データ等と重畳するための順序であるレイヤ番号を保持する。当該レイヤ番号は、必要に応じて、コアドライバ111に対して出力される。
【0033】
描画部137は、印刷設定部135により決定された印刷設定に従って、文字列が表された追加描画データを生成する。
【0034】
図4は、ストリングプラグイン115による文字列の追加機能を示した説明図である。図4の符号401が、アプリケーション101からの印刷要求に従って生成された描画データとする。そして、符号402に示す描画データが、ストリングプラグイン115の描画部137により生成された追加描画データとする。そして、プラグインとしてストリングプラグイン115のみ利用する場合、ストリングプラグイン115が生成した追加描画データ402が、描画データ402に追加されることで、描画データ403が生成される。これにより最終的にプリンタに送信する描画データが生成される。
【0035】
フレームプラグイン114は、印刷設定部141と、レイヤ番号保持部142と、描画部143とを備え、枠線を追加するプラグインとする。
【0036】
なお、印刷設定部141、及びレイヤ番号保持部142は、ストリングプラグイン115の印刷設定部135、及びレイヤ番号保持部136と同様として説明を省略する。
【0037】
描画部143は、印刷設定部141により決定された印刷設定に従って、枠線が表された追加描画データを生成する。
【0038】
図5は、フレームプラグイン114による枠線の追加機能を示した説明図である。図5の符号501が、アプリケーション101からの印刷要求に従って生成された描画データとする。当該描画データ503は、集約印刷として複数のページが示されている。そして、描画部143が、ページ毎に枠線が表された追加描画データを生成する。そして、プラグインとしてフレームプラグイン114のみ利用する場合、枠線が示された追加描画データ402が、描画データ501に追加されることで、描画データ502が生成される。これにより最終的にプリンタに送信する描画データが生成される。
【0039】
図2に戻り、スタンププラグイン113は、印刷設定部131と、レイヤ番号保持部132と、描画部133とを備え、スタンプ画像を追加するプラグインとする。
【0040】
なお、印刷設定部131、及びレイヤ番号保持部132は、ストリングプラグイン115の印刷設定部135、及びレイヤ番号保持部136と同様として説明を省略する。
【0041】
描画部133は、印刷設定部131により決定された印刷設定に従って、スタンプが表された追加描画データを生成する。
【0042】
図6は、スタンププラグイン113によるスタンプの追加機能を示した説明図である。図6の描画データ601が、アプリケーション101からの印刷要求に従って生成された描画データとする。そして、描画データ602が、スタンププラグイン113の描画部133により生成された追加描画データとする。そして、プラグインとしてスタンププラグイン113のみ利用する場合、スタンププラグイン113が生成した追加描画データ602が、描画データ601に追加されることで、描画データ603が生成される。
【0043】
上述した各プラグインによる追加描画処理によって、プリンタドライバ本体による描画データの生成と合わせて、最終的にプリンタに送信する描画データが生成される。
【0044】
なお、上述した各プラグインは、全て印刷設定部を備えていたが、プラグインによっては内部に存在しない場合も存在する。次に、プリンタドライバ本体であるコアドライバ111について説明する。
【0045】
図2に戻り、コアドライバ111は、印刷設定部121と、描画部122と、を備え、プリンタドライバ103としての標準機能を有する。これら、印刷設定部121、及び描画部122は、プリンタドライバ103としての機能を果たすためのモジュール群とする。
【0046】
印刷設定部121は、表示部123を備え、プリンタドライバ103が印刷するために必要な設定を行う。また、印刷設定部121は、ユーザやアプリケーションからの印刷設定を受け取り、描画データの生成に反映させる。
【0047】
表示部123は、ユーザに印刷設定を提示する設定画面を表示する。そして、設定画面で入力された印刷設定を、描画データの生成する設定として用いられる。
【0048】
描画部122は、配置取得部126と、描画要求部124と、重畳部125と、を備え、アプリケーションから印刷指示に従って描画データを生成した後、プリンタ150が印字できるPDLデータに変換する。
【0049】
配置取得部126は、描画データと、追加描画データと、を重畳するためのレイヤ番号を取得する。本実施の形態においては、配置取得部126は、各プラグインから、レイヤ番号を取得する。レイヤ番号とは、描画データと、追加描画データと、を重畳する順序を示す番号とする。本実施の形態では、描画データと、追加描画データとを重畳するための設定情報として、重畳する順序を示したレイヤ番号を用いた例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、設定情報をレイヤ番号に制限するものではなく、描画データと、追加描画データと、の重畳手法を特定する情報であればよい。
【0050】
図7は、レイヤ番号の取得手法を示した説明図である。図7に示すように、コアドライバ111の描画部122内の、配置取得部126が、当該プリンタドライバ103に追加されている各プラグイン(例えば、ストリングプラグイン115、及びスタンププラグイン113)に対して、レイヤ番号の取得要求701、702を行う。そして、取得要求を受け付けた各プラグインは、レイヤ番号保持部に格納されている、レイヤ番号を、配置取得部126に出力する。これにより、配置取得部126は、レイヤを配置するためのレイヤ番号を取得できる。これにより、プラグインの追加描画データの重ねあわせの順番を特定できる。
【0051】
描画要求部124は、重畳するための追加描画データの要求を、各プラグインに対して行う。これにより、各プラグインで生成された追加描画データを取得する。
【0052】
重畳部125は、描画部122により生成された描画データと、各プラグインの描画部により生成された追加描画データと、を取得したレイヤ番号に従って重畳する。重畳手法としては、図3に示すように、描画データに対して、レイヤ番号の順に追加描画データを重畳する。
【0053】
そして、描画部122は、重畳された描画データを、PDLデータに変換する。これにより、最終的にプリンタに送信されるPDLデータが生成されたことになる。
【0054】
図8は、重畳して生成される描画データを示した説明図である。図8に示すように、重畳部125は、レイヤ0の描画データ801に対して、レイヤ1の「社外秘」と示された追加描画データ802と、レイヤ2のスタンプが示された追加描画データ803と、を重畳することで、描画データ804を生成している。
【0055】
図8に示すように、レイヤ毎に重畳するため、複数の追加描画データの設定が競合することなく、それぞれ描画データ上に情報を追加することが可能となる。
【0056】
図3及び図8に示す、重畳処理においては、レイヤ1の文字列が描画した追加描画データが、レイヤ2のスタンプが描画した追加描画データにより、上書きされる。
【0057】
そして、例えば、本実施の形態にかかるPC100のプリンタドライバ103において、重要度に応じて、プラグイン毎に適切なレイヤ番号を割り当てることで、重要なプラグインによる情報の追加を容易に視認することが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態とは異なるが、レイヤ毎の追加描画データが透過されるように生成しても良い。図9は、複数のレイヤの追加描画データが存在する場合に、上位の追加描画データを透過させる例を示した説明図である。
【0059】
つまり、レイヤ番号が‘1’のプラグインと、レイヤ番号が‘2’のプラグインとを利用する場合に、レイヤ番号が‘2’のプラグインの追加描画データ901が、レイヤ番号が‘1’のプラグインの追加描画データ902の上に重畳される。このため、描画要求部124は、レイヤ番号が‘2’のプラグインに対して、透過する追加描画データを生成するように要求する。
【0060】
その後、重畳部125が、描画データに対して、透過しないレイヤ1の追加描画データと、透過するレイヤ2の追加描画データと、を重畳することで、複数の追加描画データの内容が確認可能なPDLデータを生成できる。
【0061】
次に、本実施の形態にかかるプリンタドライバ103のコアドライバ111における全体的な処理について説明する。図10は、本実施の形態にかかるプリンタドライバ103における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0062】
まず、コアドライバ111が、アプリケーション101から印刷要求を受け付ける(ステップS1001)。
【0063】
次に、描画部122が、印刷要求に従って描画データを生成する(ステップS1002)。
【0064】
そして、配置取得部126が、印刷に用いるプラグインのレイヤ番号を、各プラグインから取得する(ステップS1003)。
【0065】
その後、描画要求部124が、各プラグインに対して、追加描画データの生成要求を行う(ステップS1004)。
【0066】
そして、描画要求部124が、各プラグインから、追加描画データを取得する(ステップS1005)。
【0067】
これにしたがって、重畳部125は、生成された描画データ、及び取得した追加描画データを、取得したレイヤ番号に従って重畳した後、PDLデータに変換する(ステップS1006)。
【0068】
そして、通信部104が、PDLデータを、プリンタ150に対して送信する(ステップS1007)。
【0069】
上述した処理手順により、各プラグイン及び、プリンタドライバ103の本体であるコアドライバ111の処理が競合することなく、PDLデータを生成できる。
【0070】
次に、本実施の形態にかかるプリンタドライバ103におけるPDLデータを送信するまでの処理について説明する。図11は、本実施の形態にかかるプリンタドライバ103における上述した処理の手順を示すシーケンス図である。本シーケンス図では、プラグインとして、ストリングプラグイン115と、スタンププラグイン113と、を用いた場合とする。
【0071】
まずは、アプリケーション101から、OS102に対して印字命令(印刷要求)が行われる(ステップS1101)。印字命令を受け付けたOS102は、プリンタドライバ103のコアドライバ111に対して、印字要求(印刷要求)を行う(ステップS1102)。
【0072】
これに伴い、コアドライバ111の描画部122が、描画データを生成する(ステップS1103)。次に、配置取得部126が、各プラグインに対して、レイヤ番号の取得を要求する。
【0073】
具体的には、配置取得部126が、まず、ストリングプラグイン115に対して、レイヤ番号の取得を要求する(ステップS1104)。そして、ストリングプラグイン115のレイヤ番号保持部136に保持されたレイヤ番号が、配置取得部126に対して出力される(ステップS1105)。
【0074】
そして、配置取得部126が、次に、スタンププラグイン113に対して、レイヤ番号の取得を要求する(ステップS1106)。そして、スタンププラグイン113のレイヤ番号保持部132に保持されたレイヤ番号が、配置取得部126に対して出力される(ステップS1107)。
【0075】
その後、描画要求部124が、ストリングプラグイン115に対して、印字命令(追加描画データの生成要求)を行う(ステップS1108)。これにより、ストリングプラグイン115の描画部137は、追加描画データを生成する(ステップS1109)。そして、描画部137は、生成した追加描画データをコアドライバ111に出力する(ステップS1110)。
【0076】
さらに、描画要求部124が、スタンププラグイン113に対して、印字命令(追加描画データの生成要求)を行う(ステップS1111)。これにより、ストリングプラグイン115の描画部137は、追加描画データを生成する(ステップS1112)。そして、描画部137は、生成した追加描画データをコアドライバ111に出力する(ステップS1113)。
【0077】
そして、重畳部125は、ステップS1103で生成された描画データと、ステップS1110及びステップS1113で取得した追加描画データとを、ステップS1105及びステップS1107で取得したレイヤ番号に従って重畳する(ステップS1114)。その後、重畳部125は、重畳した描画データを、PDLデータに変換する(ステップS1115)。
【0078】
そして、コアドライバ111は、通信部104にPDLデータを送信する(ステップS1116)。そして、通信部104は、送信されてきたPDLデータを、プリンタ150に対して送信する。その後、通信部104は、送信が終了したことをコアドライバ111に通知する(ステップS1117)。
【0079】
これを受けて、コアドライバ111は、プリンタ150に送信したことをOS102に通知する(ステップS1118)。その後、OS102は、アプリケーション101に対して、プリンタ150に送信したことを通知する(ステップS1119)。
【0080】
上述した処理手順により、プリンタドライバ103において、複数のプラグインを用いた印刷処理を可能とする。
【0081】
本実施の形態にかかるプリンタドライバ103では、プリンタドライバ本体(コアドライバ111)側のみで、追加されたプラグインにおける印刷追加機能の衝突問題を解決することができる。
【0082】
また、本実施の形態にかかるプリンタドライバ103では、プログラムの再ビルドを行うことなく、追加された機能の衝突問題を解決することができる。
【0083】
また、本実施の形態にかかるプリンタドライバ103では、各プラグイン及びコアドライバ111が生成した(追加)描画データを各レイヤに割り当て、各レイヤをレイヤ番号順に重畳することで、プリンタドライバ103本体(コアドライバ111)と、プラグイン(拡張モジュール)との間で調整することなく、機能の衝突を抑止することができる。
【0084】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態にかかるプリンタドライバ103では、レイヤ番号を各プラグインから取得する例について説明した。しかしながら、レイヤ番号の取得先を各プラグインに制限するものではなく、レイヤ番号を一括して管理しても良い。そこで、第2の実施の形態にかかるプリンタドライバでは、記憶部に記憶されたプラグイン情報から、レイヤ番号を取得する例について説明する。
【0085】
図12は、第2の実施の形態にかかるPC1200の構成を示すブロック図である。PC1200は、記憶部1201が追加されると共に、プリンタドライバ103とは処理が異なるプリンタドライバ1202に変更された構成を有している点で異なる。以下の説明では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。
【0086】
記憶部1201は、プラグイン情報を記憶する。図13は、プラグイン情報の例を示した図である。図13に示すように、プラグイン情報では、追加されたプラグインの名称と、プラグインの表すダイナミック・リンク・ライブラリとを対応付けて保持されている。そして、当該プラグイン情報の最初の行から順に、レイヤ番号が割り当てられているものとする。即ち、レイヤ番号1が文字列追加のプラグインであり、レイヤ番号2が枠線追加のプラグインであり、レイヤ番号3がスタンプ追加のプラグインである。そして、当該プラグイン情報を参照することで、各プラグインのレイヤ番号を特定できる。なお、プラグイン情報はどのような形式のファイルでも良いが、例えば‘ini’形式のファイルとすることが考えられる。
【0087】
図12に戻り、プリンタドライバ1202は、コアドライバ1211と、インターフェース部112と、スタンププラグイン1221と、フレームプラグイン1222と、ストリングプラグイン1223と、を備える。
【0088】
スタンププラグイン1221、フレームプラグイン1222、及びストリングプラグイン1223は、スタンププラグイン113、フレームプラグイン114、及びストリングプラグイン115と異なる点として、それぞれのプラグインがレイヤ番号保持部を備えていない点とする。つまり、本実施の形態においては、各プラグインに対して、レイヤ番号の取得要求を行わない。なお、他の構成については、第1の実施の形態と同様として説明を省略する。
【0089】
コアドライバ1211は、第1の実施の形態のコアドライバ111と異なる点として、描画部122と処理が異なる描画部1212を備えている点とする。
【0090】
描画部1212は、第1の実施の形態の描画部122と異なる点として、配置取得部126と処理が異なる配置取得部1231を備えている点とする。
【0091】
配置取得部1231は、描画データと、追加描画データと、を重畳するためのレイヤ番号を、記憶部1201に記憶されたプラグイン情報から取得する。これにより、各プラグインのレイヤ番号を取得できる。
【0092】
第2の実施の形態のPC1200は、他の構成については、第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。そして、第2の実施の形態のPC1200は、上述した構成を備えることで、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
図14は、上述した実施の形態のPC(100、1200)のハードウェア構成を示した図である。図14に示すようにPC(100、1200)は、CPU1401と、ROM(Read Only Memory)1402と、RAM1403と、HDD1404と、ディスプレイ装置などの表示装置1405と、キーボードやマウスなどの入力装置1406と、通信インターフェース1407と、これらを接続するバス1408と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0094】
上述した実施の形態にかかるPC(100、1200)で実行されるプリンタドライバ(プログラム)103、1202は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供される。
【0095】
また、上述した実施の形態にかかるPC(100、1200)で実行されるプリンタドライバ103、1202を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上述した実施の形態にかかるPC(100、1200)で実行されるプリンタドライバ103、1202をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0096】
また、上述した実施の形態にかかるPC(100、1200)で実行されるプリンタドライバ103、1202を、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0097】
上述した実施の形態にかかるPC(100、1200)で実行されるプリンタドライバ103、1202は、上述した各部(コアドライバ及び各種プラグイン)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU1401が上記記憶媒体からプリンタドライバ103、1202を読み出して実行することにより上記各部がRAM1403上にロードされ、コアドライバ及び各種プラグインがRAM1403上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0098】
101 アプリケーション
102 OS
103、1202 プリンタドライバ
104 通信部
111、1211 コアドライバ
112 インターフェース部
113、1221 スタンププラグイン
114、1222 フレームプラグイン
115、1223 ストリングプラグイン
121 印刷設定部
122、1212 描画部
123 表示部
124 描画要求部
125 重畳部
126、1231 配置取得部
131、135、141 印刷設定部
132、136、142 レイヤ番号保持部
133、137、143 描画部
150 プリンタ
160 ネットワーク
1401 CPU
1402 ROM
1403 RAM
1404 HDD
1405 表示装置
1406 入力装置
1407 通信インターフェース
1408 バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開2005−208916号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷指示に従って描画データを生成する描画データ生成手段と、
前記描画データに対して情報を追加する追加描画データを生成する、描画機能を有するプラグインの追加を受け付けるインターフェース手段と、
前記描画データと、前記追加描画データと、を重畳するための設定情報を取得する取得手段と、
前記描画データ生成手段により生成された前記描画データと、前記プラグインの前記描画機能により生成された前記追加描画データと、を前記設定情報に従って重畳する重畳手段と、
を備えることを特徴とするプリンタドライバ。
【請求項2】
前記取得手段が取得する前記設定情報は、前記描画データと、前記追加描画データと、を重畳する順序が設定されていること、
を特徴とする請求項1に記載のプリンタドライバ。
【請求項3】
前記取得手段が取得する前記設定情報は、前記プラグインから取得すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のプリンタドライバ。
【請求項4】
前記設定情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記取得手段が記憶する前記設定情報は、記憶手段から取得すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のプリンタドライバ。
【請求項5】
前記インターフェース手段は、複数のプラグインの追加を受け付け、
前記重畳手段は、前記描画データと、前記複数のプラグイン毎に生成される複数の前記追加描画データと、を前記設定情報に従って重畳すること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のプリンタドライバ。
【請求項6】
印刷指示に従って描画データを生成する描画データ生成ステップと、
前記描画データに対して情報を追加する追加描画データを生成する、描画機能を有するプラグインの追加を受け付ける受付ステップと、
前記描画データと、前記追加描画データと、を重畳するための設定情報を取得する取得ステップと、
前記描画データ生成ステップにより生成された前記描画データと、前記プラグインの前記描画機能により生成された前記追加描画データと、を前記設定情報に従って重畳する重畳ステップと、
を有することを特徴とする印刷制御プログラム。
【請求項7】
前記取得ステップが取得する前記設定情報は、前記描画データと、前記追加描画データと、を重畳する順序が設定されていること、
を特徴とする請求項6に記載の印刷制御プログラム。
【請求項8】
印刷指示に従って描画データを生成する描画データ生成手段と、
前記描画データに対して情報を追加する追加描画データを生成する、描画機能を有するプラグインの追加を受け付けるインターフェース手段と、
前記描画データと、前記追加描画データと、を重畳するための設定情報を取得する取得手段と、
前記描画データ生成手段により生成された前記描画データと、前記プラグインの前記描画機能により生成された前記追加描画データと、を前記設定情報に従って重畳する重畳手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
前記取得手段が取得する前記設定情報は、前記描画データと、前記追加描画データと、を重畳する順序が設定されていること、
を特徴とする請求項8に記載の印刷装置。
【請求項10】
請求項5又は6に記載の印刷制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−218310(P2010−218310A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65258(P2009−65258)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】