説明

プリンタヘッドおよびプリンタディスク洗浄用組成物およびその使用方法

本発明は、残渣、特に有機金属または金属酸化物残渣をそこに有するハードディスクデータ記憶装置、インクジェットプリンタカートリッジヘッド等を、その残渣を除去するための十分な時間と温度で本発明の洗浄用組成物と接触させてその残渣を除去することによって洗浄するための組成物および方法に関する。当技術分野で公知の、撹拌、かき混ぜ、循環、超音波処理またはその他の技術を適宜使用することができる。殆どの場合、ハードディスクデータ記憶装置、インクジェットプリンタカートリッジヘッド等を洗浄用組成物中に浸す。その時間と温度は、基板から除去する特定の材料に基づいて決定することができる。ハードディスクデータ記憶装置、インクジェットプリンタカートリッジヘッド等は、該組成物を使用した後、すすぐことができ、または、Al23ではそのようなすすぎは必要ないのですすがなくてもよい。すすぎ液は、イソプロパノールおよび/または脱イオン水を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により組み込まれている2007年11月28日に出願した米国特許仮出願第60/996,656号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、概して、残渣、特に有機金属または金属酸化物残渣をその上に有するハードディスクデータ(HDD)記憶装置、インクジェットプリンタカートリッジヘッド等を洗浄用組成物と接触させてその残渣を除去することにより洗浄するための組成物およびその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の磁気記憶システムにおいて、薄膜磁気ヘッドは、いわゆる「スライダ」上に乗せられた誘導リード/ライト変換器を含む。そのスライダのデザインは、磁気ヘッドとその磁気ヘッドの下で回転する磁気ディスクの間の空気力学的な相互作用を制御するためのエアベアリング面が組み込まれる。ディスクドライブで使用されるエアベアリング面スライダ(air bearing surface sliders)(「ABSスライダ」)は、一般に、前方端表面および薄膜リード/ライトヘッドが蒸着されている後方端表面を有する。
【0004】
概して、スライダは、埋め込まれた磁気領域として作用する酸化アルミニウムおよび炭化チタン等のセラミック様の材料で形成されているウエハを必要とする工程を用いて一般的に製造される。そのウエハの表面領域は、一般に、通常スライダバーと呼ばれる互いに縦方向に隣接する長方形のバーに分割される。各スライダバーは、そのスライダバーの長さ方向に沿って互いに隣接するスライダをさらに含む。標準的な薄膜ヘッドウエハ工程において、該スライダの後方端表面は、リード/ライトヘッドが様々な薄膜工程によってさらに形成されているウエハの前側(または表面側)に相当する。したがって、そのウエハの後側は、そのスライダの前方端表面を構築する。
【0005】
スライダは、エアベアリング面(ABS)を含み、それは、複数の離れた同一平面上のパッド、そのABSのレベルより下の一定の深さに埋め込まれた空洞、および各段がそのABSのレベルとその空洞のレベルの間のレベルに配置されている複数の段を含む。その工程は、連続的に深くなり、最も深いレベルがその空洞である少なくとも3つのレベルを形成するよう、マスキング、エッチング、およびストリッピングの複数のサイクルを含む。
【0006】
工程中、各スライダは、一般にCF4プラズマによりエッチングして、エアベアリング面(ABS)をパターン化する。その際に、酸化アルミニウムはAlF3に転化されてスパッタされ、一方TiCは化学的にエッチングされる。一般的に深いエッチであるそのエッチングの間に、大量の残渣が堆積する。その装置の構造は、そのディスクの10ナノメートル内にそのリード/ライトヘッドを保持する。運転中約7200rpmを超え得る回転速度で、その残渣は移動してディスクと接触し、損傷を与えて装置の故障を引き起こすことがあり得る。それ故、その残渣を除去してそのような堆積および損傷を防ぐ洗浄剤の必要性がある。
【0007】
歴史的には残渣の除去は殆どまたは全く行われておらず、残渣は伝統的に容認されてきた。しかしながら、「フェムト」(Femto)世代製品等のより新たなアプローチおよび技術とともに、残渣が離れ落ちることへの危険は、もはや無視または容認することができない。現在、当業界は、水酸化ナトリウム等の塩基によるPMCP適用に類似した物理的こすり洗いを行っている。しかしながら、この技術はあまり効果がない。
【0008】
ナノ等の他の世代の製品でもそうであるが、特にフェムトの世代の製品において、エッチング工程の間に、非常に大きな領域の再堆積生成物が、装置の側壁、特に角の部分に積み上がる。エッチングした材料の再堆積を阻止する残渣除去剤の必要性がある。
【0009】
各スライダは、ABSとして片面がエッチングされており、1ロウバー(rowbar)当たり約42のスライダおよびSSのキャリアであるTIP1個当たり36のロウバーが存在する。そのロウバーは、乾燥膜レジスト層によりそのTIPに接着されている。したがって、洗浄用配合物は、SSキャリアと乾燥膜レジスト層の両方に適合しなければならない。チタン精錬金属のためにTi残渣に対して攻撃的であり、かかる精錬金属を再堆積から守る配合物の必要性が存在する。スライダと関連するアルミニウム精錬金属のために、アルミニウム精錬金属に攻撃的ではないがアルミニウム残渣には効果的である除去剤に対する必要性が同時に存在する。
【0010】
類似の精錬金属および必要性は、インクジェットプリンタヘッド、すなわちチタンおよびアルミニウム含有配合物の製造と関連する。インクジェットプリンタヘッドは、また、タングステン含有化合物も含む。用語のインクジェットとは、インクの液滴を要求に応じてプリンタカートリッジのヘッドの開口部を通して噴出するプリンタシステムを指す。インクジェットカートリッジ中のインクは、大きなカートリッジの容器からはるかに小さい加圧された容器に分配されそこでそのインクは個々のチャネルに分離される。そのインクはそのチャネルを通ってノズルプレート中の開口部まで進む。この開口部の背後は小さいヒーターである。そのヒーターが一定の温度に達するとそのヒーターと接しているインクは蒸発し、ノズル開口部から噴出される。その噴出されたインクは液滴を形成し、それは紙等の基板に当たるとドットとなる。多数のインク液滴またはドットが任意の所定のパターンで組み合わされるとそれらは、文字、線、キャラクターまたは記号を形成する。そのインク液滴の噴出が用語のインクジェットを生み出している。
【0011】
今日まで、インクを通してヒーターに分配する殆どのチャネルは、フォトレジスト膜によって輪郭が示されている。そのような膜は、基板に溶着させた有機膜である。その膜は、次に、印刷される回路基板のものと同様の写真処理を用いて形づくる。その工程において、インクジェットプリントヘッドは、基板、その基板に配置されている抵抗ヒーター、導体、該基板の全体表面(抵抗ヒーターおよび導体)上に形成されている非導電性熱伝導層、その非導電性熱伝導層上に形成されているキャビテーション層、それぞれのヒーターに対応するインクチャンバを提供する流路プレート、およびその流路プレート上に形成されており、各インクチャンバに対応するノズルを含むノズルプレートを含む。その導体およびヒーターは、レジストを用いるドライエッチングによって形成される。
【0012】
典型的な工程において、プリンタヘッドの周囲には、約9つの層が含まれ、そのいくつかはドライエッチング残渣および/またはアッシング残渣を含み、その他はバルクレジストを含む。化学薬品の切り替えは処理時間が増すために好ましくなく、それ故、様々なエッチング残渣および/またはアッシング残渣を除去し、バルクレジストを除去する化学物質に対する必要性が存在する。
【0013】
ヒーターは、TaN、TiN、TiAlN、およびWSiN等の材料により形成される。導体は、アルミニウム(Al)およびタングステン(W)等の材料により形成される。当業界は、TaN、TiN、TiAlN、およびWSiNのより小さいヒーター膜に進む傾向にある。WSiN等の基板の大きさが減るにつれてエッチングの量は重大な問題となる。同時にレジストおよび残渣の除去に対する重要性および能力はそのまま残る。意外なことに従来技術の製品、例えば、ACT970(商標)およびEKC265(商標)などは、エッチングをしたWSiN等の基板の抵抗率に過大な影響をもたらした。それ故、抵抗率に対する影響を最小限にし、同時にエッチング残渣およびアッシング残渣、ならびにバルクレジストを除去することができるインクジェットプリンタヘッドに適用するための適切なレジストおよび残渣除去剤に対する必要性が存在する。
【0014】
本発明の目的は、リード/ライトヘッドとディスクの間が10nm未満のクリアランスであるナノ、フェムト、およびその他のような新世代のハードディスクドライブからのレジストおよび残渣を除去し、同時に除去した残渣の再堆積を阻止するための方法および組成物を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、WSiN等のヒーターの抵抗率に対する影響を最小限にするインクジェットプリンタヘッド用途に対して有効なエッチング残渣除去剤であり、同時にプリンタヘッド用途で使用されるAlおよびW等の金属基板および導体のエッチングを最小限にする方法および組成物を提供することである。
【0016】
本発明は、このような必要性に対処し、ハードディスクドライブおよびプリンタヘッド用途においてより有効な除去を達成できる配合物を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第5,417,877号明細書
【特許文献2】米国特許第5,672,577号明細書
【特許文献3】米国特許第6,445,542号明細書
【特許文献4】米国特許第7,205,265号明細書
【特許文献5】米国特許第7,144,849号明細書
【特許文献6】米国特許第7,144,848号明細書
【特許文献7】米国特許第7,051,742号明細書
【特許文献8】米国特許第6,825,156号明細書
【特許文献9】米国特許第6,777,380号明細書
【特許文献10】米国特許第6,564,812号明細書
【特許文献11】米国特許第6,492,311号明細書
【特許文献12】米国特許第6,399,551号明細書
【特許文献13】米国特許第6,367,486号明細書
【特許文献14】米国特許第6,276,372号明細書
【特許文献15】米国特許第6,242,400号明細書
【特許文献16】米国特許第6,211,818号明細書
【特許文献17】米国特許第6,187,730号明細書
【特許文献18】米国特許第6,140,287号明細書
【特許文献19】米国特許第6,121,217号明細書
【特許文献20】米国特許第6,000,411号明細書
【特許文献21】米国特許第5,902,780号明細書
【特許文献22】米国特許第5,672,577号明細書
【特許文献23】米国特許第5,482,566号明細書
【特許文献24】米国特許第5,381,807号明細書
【特許文献25】米国特許第5,334,332号明細書
【特許文献26】米国特許第5,279,771号明細書
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】国際半導体技術ロードマップ2003年版(International Technology Roadmap for Semiconductors: 2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
特に有機金属または金属酸化物残渣をその上に有するハードディスクデータ(HDD)記憶装置、インクジェットプリンタカートリッジヘッド等からその残渣を除去するための洗浄用組成物および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(実施形態の説明)
様々な実施形態に対してここで詳細に言及する。以下の詳細な説明においては、本明細書で示される主題の完全な理解を提供するために幾多の特定の細目が示される。その主題はこれらの特定の細目無しでも実践することができることは当業者であれば明らかであろう。他の例では、周知の方法、手順、および成分は、該実施形態の態様を無用に分かり難くしないために詳細には記載していない。
【0021】
ハードディスクドライブ
スライダからレジストおよび残渣を除去するのに使用するための本発明の実施形態は、(I)約5重量%から約50重量%の1つまたは複数のオキソアンモニウム化合物、好ましくはヒドロキシルアミン(50%水溶液)またはヒドロキシルアミン誘導体、より好ましくはヒドロキシルアミンを含まない塩基(50%水溶液);(II)約0から約80重量%の、アルカノールアミンではなく、好ましくは、スルホキシド、ピロリドン、ポリオール、エーテルおよびアミドから、最も好ましくはDMSOおよびNMPから選択される有機溶媒;(III)HDAを活性化するのに十分な高さのpHを保持するために重要である約5重量%から約80重量%の1つまたは複数のアルカノールアミンまたは第四級アンモニウム(強塩基)、好ましくは2炭素結合アルカノールアミン、より好ましくはジグリコールアミンおよびモノエタノールアミン;(IV)約0から約25重量%の1つまたは複数のキレート化剤、好ましくはカテコールまたは没食子酸等のヒドロキシベンゼン;および(V)水を含む。その他の成分を、当業者には公知であるように、該工程の特定の必要性に基づいて、界面活性剤、さらなる腐食防止剤−例えば銅腐食防止剤等、を添加することができる。アルカノールアミン以外の好ましいアルカリ成分は、金属イオンを含まない塩基、より好ましくは金属イオンを含まない第四級アンモニウム化合物である。
【0022】
上記の配合物は、エアベアリング面スライダからレジストを除去する方法において使用され、該配合物は、炭化チタンおよび酸化アルミニウムのウェットエッチングおよびドライエッチングからの残渣を除去するのに有効である。かかる組成物は、そのようなチタンおよびアルミニウムを含有する残渣の再堆積を防ぐのに効果があり、同時に基板上のチタンおよびアルミニウム含有金属を積極的にエッチングすることはない。
【0023】
プリンタヘッド
本発明の一実施形態は、工程中にプリンタヘッドの層をエッチングし、用途によってはアッシングするプリンタヘッド製造に関与する様々な基板の処理に関する。本発明は、基板層、とりわけヒーターおよび導体の過剰なエッチングの問題に対処する。そのヒーターおよび導体は、一般にTaN、TiN、TiAlN、およびWSiN、ならびにアルミニウム(Al)およびタングステン(W)をそれぞれ含む。さらに、プリンタヘッド製造業者は、可能な場合は、他の層の処理におけるバルクレジストおよびエッチング残渣を除去するために同じ組成物を使用する。本発明は、プリンタヘッド基板、特にヒーターおよび導体のエッチングを最小限にすることと、同時に効果的にレジストおよびエッチング残渣を除去することに関係している。
【0024】
本発明の組成物をプリンタヘッド処理において使用することにより、例えば、ヒーター基板のWSiNのエッチングは減少し、洗浄性能は現発明の配合物により改善される。加えて、導体のエッチングレートも引き下げられる。本発明に従うプリンタヘッド基板処理の方法に対して好ましい組成物は、0パーセントから約40重量パーセントのアルカノールアミンではない1つまたは複数の有機溶媒と、約5重量パーセントから約25重量パーセントの1つまたは複数のオキソアンモニウム化合物、好ましくはヒドロキシルアミンを含まない塩基(50%水溶液)と、約20重量パーセントから約60重量パーセントの1つまたは複数のアルカノールアミンと、残りが水とを含む。好ましい組成物は、約30重量%未満の合計の水、より好ましくは約20重量%未満の合計の水を含有した。
【0025】
好ましい実施形態において、有機溶媒は、DMSOまたはNMPであり、また一方、他の有機溶媒、例えば、スルホキシド、ピロリドン、ポリオール、エーテルおよびアミド等も適する。別の好ましい実施形態において、該オキソアンモニウム化合物は、ヒドロキシルアミンであるか、またはヒドロキシルアミンを含む。別の好ましい実施形態において、該アルカノールアミンは、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、またはモノイソプロパノールアミン、あるいはそれらの混合物、または、それらを含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、その他の成分を使用することができる。いくつかの実施形態において、該組成物は約2.5重量パーセントから約10重量パーセントの1つまたは複数の腐食防止剤を含む。ハードディスクおよびプリンタヘッド洗浄で使用される好ましい実施形態において、好ましい腐食防止剤はBTA、カテコール、およびグリコール酸である。特に、かかる腐食防止剤は、そのアルカノールアミン成分が約40から約60パーセントのアルカノールアミンであるとき最も効果的であり、より低いWSiNエッチングに役立つ。
【0027】
いくつかの実施形態において、その腐食防止剤は、特にアルカノールアミン含量が低く、例えば、約40重量パーセントより下の場合、不必要である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】磁気ディスクドライブアセンブリの部分的に区分された正面図である。
【図1B】図1Aのライン1B−−1Bに沿って取った断面の図である。
【図2】スライダの透視図である。
【図3A】図2のライン3−−3に沿ったスライダの連続ステップによりそれを処理したときの断面を示す図である。
【図3B】図2のライン3−−3に沿ったスライダの連続ステップによりそれを処理したときの断面を示す図である。
【図3C】図2のライン3−−3に沿ったスライダの連続ステップによりそれを処理したときの断面を示す図である。
【図3D】図2のライン3−−3に沿ったスライダの連続ステップによりそれを処理したときの断面を示す図である。
【図3E】図2のライン3−−3に沿ったスライダの連続ステップによりそれを処理したときの断面を示す図である。
【図3F】図2のライン3−−3に沿ったスライダの連続ステップによりそれを処理したときの断面を示す図である。
【図3G】図2のライン3−−3に沿ったスライダの連続ステップによりそれを処理したときの断面を示す図である。
【図3H】図2のライン3−−3に沿ったスライダの連続ステップによりそれを処理したときの断面を示す図である。
【図4】図2のスライダが磁気ディスクに対して浮き上がったところを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)およびプリンタジェット技術が提供するプリンタヘッドを洗浄するための方法および組成物に関する。
【0030】
ハードディスクドライブ
HDD製造工程における大きさの縮小は、レジストおよび残渣除去に対する必要性に著しくインパクトを与えた。NaOH等の従来技術の洗浄剤は、思いのほかもはや十分ではなく、ナノ、フェムト、およびより小さいHDD技術におけるリード/ライトディスクの厳しい間隔は、無用のレジストおよび残渣を除去する溶液に対する重大な必要性をもたらした。その上、そのようなレジストおよび残渣を除去する場合、最新の厳しい寸法では再堆積は容認することができない。意外にも、物理的こすり洗いはもはや必要なく、すなわち、1つまたは複数の好ましくはヒドロキシルアミンまたはその誘導体であるオキソアンモニウム化合物、1つまたは複数の好ましくはアルカノールアミンである塩基性化合物、キレート化剤、場合によって1つまたは複数の好ましくはDMSOまたはNMPである有機溶媒、および水、を含む組成物を使用することにより著しく改善されることが見出された。
【0031】
好ましい量と種類は、(I)約5重量%から約50重量%の1つまたは複数のオキソアンモニウム化合物、好ましくはヒドロキシルアミン(50%水溶液)またはヒドロキシルアミン誘導体、より好ましくはヒドロキシルアミンを含まない塩基(50%水溶液);(II)約0から約80重量%の、アルカノールアミンではなく、好ましくは、スルホキシド、ピロリドン、ポリオール、エーテルおよびアミドから、最も好ましくはDMSOおよびNMPから選択される有機溶媒;(III)HDAを活性化するのに十分な高さのpHを保持するために重要である約5重量%から約80重量%の1つまたは複数のアルカノールアミンまたは第四級アンモニウム(強塩基)、好ましくは2炭素結合アルカノールアミン、より好ましくはジグリコールアミンおよびモノエタノールアミン;(IV)約0から約25重量%の1つまたは複数のキレート化剤、好ましくはカテコールまたは没食子酸等のヒドロキシベンゼン;および(V)水である。
【0032】
レジストおよびエッチング残渣、または両方をスライダ基板から除去するための典型的な方法は、そのスライダを、有効量の1つまたは複数のオキソアンモニウム化合物、1つまたは複数の金属イオンを含まない塩基性化合物、キレート化剤、水、および場合によって有機溶媒を含有する本発明による組成物と接触させるステップを含む。
【0033】
オキソアンモニウム化合物
該オキソアンモニウム化合物は、一般的には還元剤(すなわち、還元電位を有する)であり、水と混和性でなければならず、次の構造:
【0034】
【化1】

【0035】
の1つを有しており、式中、Xは、ヒドロキシド;サルフェート;ハイドロジェンサルフェート;ホスフェート;ハイドロジェンホスフェート;ジハイドロジェンホスフェート;ニトレート;カルボキシレート(例えば、アセテート、ベンゾエート、カルバメート、ホルメート、ラクテート、オキサレート、ハイドロジェンオキサレート、シトレート、ハイドロジェンシトレート、ジハイドロジェンシトレート、タルタレート、ハイドロジェンタルタレート、ガレート(サブガレート)、シンナメート等);ハライド、例えばクロリド、フルオリド、イオダイド、ブロミド等;カーボネート;ハイドロジェンカーボネート(ビカーボネート);ビフルオリド等であり、
各R5は、独自に、水素、置換C1〜C6直鎖、分岐、もしくは環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基、置換アシル基、直鎖もしくは分岐アルコキシ基、アミジル基、カルボキシル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、アルキルスルホニル基、もしくはスルホン酸基、フェニル基、置換フェニル基、アリール基、置換アリール基、またはそれらの塩もしくは誘導体であり、
各R6およびR7は、独自に、水素、ヒドロキシル基、置換C1〜C6直鎖、分岐、もしくは環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基、置換アシル基、直鎖もしくは分岐アルコキシ基、アミジル基、カルボキシル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、アルキルスルホニル基、もしくはスルホン酸基、フェニル基、置換フェニル基、アリール基、置換アリール基、またはそれらの塩もしくは誘導体である。
【0036】
オキソアンモニウム化合物の例としては、制限なく、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミンサルフェート、ヒドロキシルアミンホスフェート、ヒドロキシルアミンクロリド、ヒドロキシルアミンニトレート、ヒドロキシルアミンシトレート、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、イソプロピルヒドロキシルアミン等、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0037】
好ましい実施形態において、オキソアンモニウム化合物としては、次のもの:ヒドロキシルアミン(すなわち、式Iにおいて、R5〜R7がすべて水素である場合)、ヒドロキシルアミン塩(すなわち、式IIにおいて、R5〜R7がすべて水素である場合)、およびヒドロキシルアミン誘導体(すなわち、式Iにおいて、例えばR5が水素であり、R6とR7とが独自にC1〜C4アルキル基である場合)の少なくとも1つが挙げられる。式IIのオキソアンモニウム塩が存在するとき、本発明による組成物において使用するための特に好ましい塩の対イオンは、サルフェート、ハイドロジェンサルフェート、またはニトレート対イオンであるが、カルボキシレート、クロリド、ホスフェート、ハイドロジェンホスフェート、およびジハイドロジェンホスフェートもまた好ましい塩の対イオンである。
【0038】
アルカリ成分
該組成物の望ましいpHは、通常塩基性である。一定の実施形態において、pHは、約7より上、例えば、約8より上または約9より上に維持し、かつ/または修正することが望ましい。一定の実施形態において、そのpHは、約7から約12まで、例えば、約8から約11.5まで、または約9から約11までの範囲に入るように、維持し、かつ/または修正することが望ましい。最も好ましい実施形態において、本発明による組成物のpHは、少なくとも約12であるように維持し、かつ/または修正する。
【0039】
好ましい塩基性化合物は、金属イオンを含まないアルカノールアミンおよび第四級アンモニウム化合物等の化合物である。適切なアルカノールアミンとしては、以下に限定はされないが、アミン部分が第一級、第二級、または第三級アミンであるアルカノールアミンを挙げることができる。好ましくは、そのアルカノールアミンのアミン部分は、モノアミン、ジアミン、またはトリアミンである。そのアルカノールアミンのアルカノール基は、好ましくは約1個から約5個までの炭素原子を有する。さらに、または、あるいは、適切なアルカノールアミンは、R1011−N−CH2CH2−O−R12であって、ここでR10およびR11のそれぞれが独自にH、CH3、CH3CH2、CH2CH2OH、またはCH2CH2−N−R1011であり、R12がHまたはCH2CH2OHである化学式によって表わすことができる。適当なアルカノールアミンの例としては、以下に限定はされないが、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、ターシャリーブチルジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、イソブタノールアミン、2−アミノ−2−エトキシプロパノール、ジグリコールアミンとしても知られる2−アミノ−2−エトキシ−エタノール、およびそれらの組合せを挙げることができる。
【0040】
適当な第四級アンモニウム化合物としては、C1〜C4アルキル第四級アンモニウムイオン、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムおよびトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムなどが挙げられる。
【0041】
キレート化剤
いくつかの実施形態においてはキレート化剤を含むことができ、それは、残渣の再堆積を阻止することを支援し、時には一定の材料に対する腐食を阻止する。そのキレート化剤は、存在するときは、一般に、金属(例えば、アルミニウム、チタン)を腐食されることから保護するように機能し、様々な種類の化合物から選択することができる。
【0042】
より具体的には、一般式:
【0043】
【化2】

【0044】
の化合物を採用することができ、式中、X、Y、およびZは、独自に、C、N、O、S、P、およびそれらの混合物から選択される。これらの条件下で、価数の要件およびペンダントR基の存在は適切に設定することができる。ペンダントR基R1〜R5としては、それぞれ独自に、無制限で、H;置換C1〜C6直鎖、分岐またはシクロアルキル、アルケニルまたはアルキニル基;直鎖または分岐アルコキシ基;置換アシル基;直鎖または分岐アルコキシ基;アミジル基;ヒドロキシル基;ハロゲン;カルボキシル基;アルコキシアルキル基;アルキルアミノ基;アルキルスルホニル基;スルホン酸基;かかる化合物の塩;またはそれらの混合物を挙げることができる。好ましい一実施形態において、X、Y、およびZは、それぞれ、窒素、窒素、および炭素であり、R1〜R5は、それぞれが水素である。別の好ましい実施形態において、X、Y、およびZは、それぞれ窒素であり、R3は水素であり、R4およびR5は共にXおよびYと結合して6員の芳香環構造を構成する。
【0045】
存在するとき、好ましいキレート化剤は、本発明による組成物によって除去された物質と錯体を形成することができ、1つまたは複数の、アミノカルボン酸、例えば、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、およびジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)など、環状カルボン酸、ならびにアミノおよび環状カルボン酸の塩、1〜20個、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有する飽和および不飽和の脂肪族および芳香族モノカルボン酸およびジカルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、プロピオル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびオレイン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、フェニル酢酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、o−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、サリチル酸、フタル酸、ナフトエ酸、ケイ皮酸、ニコチン酸、および置換非環式および環式カルボン酸、例えば、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、サリチル酸、アニス酸、バニリン酸、ヴェラトロ酸(veratroic acid)、オキソカルボン酸、例えば、グリオキシル酸、ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸;α−アミノカルボン酸、すなわち、全てのα−アミノカルボン酸、例えば、アラニン、アルギニン、システイン、プロリン、トリプトファン、チロシンおよびグルタミン、ただし、さらに、その他のアミノカルボン酸、例えば馬尿酸、アントラニル酸、カルバミン酸、カルバジ酸(carbazic acid)、ヒダントイン酸、アミノヘキサン酸、および3−アミノ安息香酸および4−アミノ安息香酸;2〜20個の炭素原子を有する飽和および不飽和ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびソルビン酸、および上記のカルボン酸のエステル、そのうちで、メチル、エチルおよびエチルヘキシルエステルが、特に挙げられる。
【0046】
キレート化剤の別の種類は、ヒドロキシベンゼンの種類であり、独自に、または本明細書で既に挙げた種類と併せて使用することができる。これらは一般式:
【0047】
【化3】

【0048】
の種類であり、式中、n=1〜4、m=2〜5であり、Rは、独自に、水素、置換C1〜C6直鎖、分岐またはシクロアルキル、アルケニル、またはアルキニル基;置換アシル基、直鎖または分岐アルコキシ基、アミジル基、ハロゲン、カルボキシル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、アルキルスルホニル基、またはスルホン酸基、あるいはかかる化合物の塩である。かかるキレート化剤/腐食防止剤の適当な具体例としては、以下に限定はされないが、モノ−、ジ−、または多ヒドロキシベンゼン型の化合物、例えば、カテコール、レゾルシノール、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)など、またはそれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、該キレート化剤としては、3つ以上のカルボン酸含有成分、例えばエチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)、非金属EDTA塩など、またはそれらの組合せが挙げられる。2つのカルボン酸部分を含有する化合物は、好ましさが下がる。ヒドロキシルとカルボン酸部分の両方を含有する化合物は、ある実施形態において有用である。例えばチオフェノール等のチオール基を含有する芳香族化合物;アミノカルボン酸;例えばエチレンジアミン等のジアミン;多価アルコール;ポリエチレンオキシド;ポリアミン;ポリイミン;またはそれらの組合せは、ある実施形態で有用である。一実施形態において1つまたは複数のキレート化剤をある組成物中で使用することができ、そのキレート化剤は上で記載した群から選択される。あるいは、または、さらに、いくつかのキレート化剤が、そのそれぞれの開示が参照により本明細書に組み込まれている特許文献に記載されている(Wardに、1995年5月23日に付与された特許文献1およびLeeに1997年9月30日に付与された、同一出願人による特許文献2参照)。ベンゾトリアゾール等のトリアゾールは、銅金属が含まれる場合に有用であり得る。別の実施形態においては、該組成物はキレート化剤を実質的に含まない。
【0049】
そのキレート化剤は、再堆積を防ぐのに役立ち、再堆積を防ぐために最初の除去後、レジストおよび/または残渣を溶液中に「保持する」助けをする。
【0050】
有機極性溶媒
いくつかの実施形態において、アルカノールアミンではない水と混和性である有機極性溶媒を含むことができる。適当な有機極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非アルカノールアミン溶媒が使用に適している。使用に適する有機極性溶媒のさらなる例としては、以下に限定はされないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロパンアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、エチレングリコール、エチレングリコールアルキルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、トリプロピレングリコールアルキルエーテル、N−置換ピロリドン、エチレンジアミン、およびエチレントリアミン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、N−メチルピロリドン(NMP)、またはシクロヘキシルピロリドン(CHP)、あるいはそれらの混合物が挙げられる。当技術分野で公知の水と混和性のさらなる有機極性溶媒を使用することもできる。
【0051】
本発明による組成物中に存在させるとき、好ましい有機極性溶媒としては、一般的には極性であり、NMP、DMSO、プロピレングリコール、およびそれらの混合物が挙げられるが、必ずしもこれらに限定はされない。本発明による組成物中に存在させるとき、使用される溶媒はどれも、一般的には有機物の、極性で、大いに水混和性でなくてはならない。
【0052】
一実施形態において、本発明による組成物は、キレート化剤、腐食防止剤、糖アルコール、被膜剤、界面活性剤、研磨粒子、アルカノールアミン、有機溶媒、フルオリド含有化合物、酸化剤、オキソアンモニウム化合物以外の還元剤、および金属含有pH調整剤の1つまたは複数が実質的に存在しなくてもよい。組成物と一緒の化合物に関して本明細書で用いられる語句の「実質的に存在しない」とは、該組成物が、約2重量%未満、好ましくは約1重量%未満、例えば約0.1重量%未満または約0.01重量%未満の該化合物を含有することを意味するものと理解すべきである。場合によって、その語句の「実質的に存在しない」は、該組成物がその化合物を全く含有していないことを意味する。
【0053】
スライダの製造業者は、多くのエッチング、ストリッピング、および残渣除去ステップを必要とする。本発明は、最新のおよび将来の寸法では、残渣による障害を防ぐのが決定的に重要な、ハードディスクドライブ(HDD)の製造で使用するための洗浄用配合物ならびにそのような配合物を使用して残渣の移動およびそのような残渣の再堆積を防ぐ残渣除去工程を改良する方法を対象としている。
【0054】
図1Aおよび1Bにおいて、ハードディスクドライブ1は、密封された封入物2、ディスク駆動モーター3、モーター3のスピンドル5によって回転が支持されているハードディスク4、作動装置6および作動装置6のスピンドル8に取り付けられているアーム7を包含している。サスペンション9は、一端がアーム7に、その別の端がリード/ライトヘッドすなわちスライダ10に連結している。そのスライダ10は、一般的にはセンサーリード素子を備えた導体ライト素子を含む。モーター3が矢印Rによって示されているようにディスク4を回転させると、ディスク4の表面と最も近い空気の層は、ディスク4と共に一掃される。普通ウィンデージとして知られるこの空気の層は、スライダ10を押し、スライダ10がディスク4の表面から離れて、その下に形成されたエアベアリング上で「飛揚する」ことを可能にする。作動装置6に矢印Pによって示されているショートアークの旋回を引き起こさせると、様々な磁気「トラック」の情報をディスク4から拾い読みすることができる。ディスクドライブ1の設計および製造は、当業者にはよく知られている。
【0055】
図2は、スライダ10の例を示している。図面中のスライダ10が上に面する側は、ディスク4と向かい合う側である。したがって、図面中の最も高い形体は、ディスクドライブ1が作動しているときディスク4に最も接近しているものである。スライダ10は、リーディングエッジ20、トレイリングエッジ22、第1サイド24および第2サイド26を有する一般的な角胴形を有する。スライダ10は、トレイリングエッジのパッド28、第1のリーディングパッド30および第2のリーディングパッド32を含むエアベアリング面(ABS)を含み、設計によっては第1のサイドパッド34および第2のサイドパッド36も含む。スライダ10は、リーディングエッジのステップ38、トレイリングエッジのステップ40、およびキャビティー42をさらに含む。いくつかの実施形態において、該スライダ10は、第1サイドのステップ44および第2サイドのステップ46も含む。
【0056】
製造している間に、スライダ10は、一般的には酸化アルミニウムと炭化チタンの2相混合物からなる単体からエッチングされる。その製造工程のステップは、図3A〜3Hに概略的に示され、それは当技術分野に周知のフォトリソグラフィー法を採用する。図3A〜3Hは、連続ステップを通した図2のライン3〜〜3に沿ったスライダ10の断面を示す。図3Aで、わずかな曲面を有してもよい本体48は、フォトレジスト層50によって覆われている。そのフォトレジスト層50は、パターン化されて現像され、次に、現像されなかった材料が除去されて、図3Bに示されているレジストマスク52を残す。次に、本体48を、エッチングして、レジストマスク52によって保護されていない材料を除去する。図3Cに示されているように、そのエッチングは、最初の表面のレベルより深さH1だけ下がった第1の表面を生ずる。図3Dは、最初のレジストマスク52およびエッチング残渣が本発明の配合物により化学的に除去された後に形成されたトレイリングエッジのパッド28を示している。図3A〜3Dのステップを、次に、図3E〜3Hにおいて再度本発明の配合物を使用して繰り返し、かかるステップの後にレジストおよび残渣を除去する。
【0057】
第2のフォトレジスト層56を図3Eに示されているように本体48上に形成する。そのフォトレジスト層を、図3Fの第2のレジストマスク58になるように形成し、図3Gでは本体48を再びエッチングして、最初の表面より深さH2だけ下がった第2の表面を生ずる。本発明の配合物をそのスライダと接触させて、その第2のレジストマスクおよびエッチング残渣を除去する。図3Hは、第2のレジストマスク58およびエッチング残渣が化学的に除去されてリーディングエッジのステップ38およびキャビティー42を現した後のスライダ10を示している。
【0058】
したがって、図2において見られるように、スライダ製造は、3つの異なる高さの形体を生ずる少なくとも2回のエッチングステップを含み、それぞれのかかるステップの後、レジストおよびエッチング残渣の両方を本発明の配合物による化学洗浄によって除去しなければならない。かかる残渣は複雑化されており、酸化アルミニウムおよび炭化チタンの残渣を一般的には含み、それにより、かかる残渣の除去および再堆積を防ぐのに有効であり、同様にレジストマスクを除去するのにも有効である化学物質を必要とする。
【0059】
ディスクドライブ1の運転中、回転しているディスク4と共に一掃される普通ウィンデージとして知られる空気は、最初にリーディングエッジ20と接触し、そしてリーディングエッジのパッド30、32、およびリーディングエッジのステップ38と接触する。その空気流が、そのリーディングエッジのパッド30、32およびディスク4の間を通過すると、吊り上げる力が発生し、それはスライダ10をディスク4から離して追いやる傾向がある。空気流の別の部分は、また一方で、リーディングエッジのパッド30、32の間のギャップ60、リーディングエッジのステップ38の上、およびキャビティー42の上を通過する。その空気がキャビティー42の上に広がると、圧力が低下し、部分的な真空が発生し、それはスライダ10をディスク4に向けて引き寄せる傾向がある。安定した浮上においては下向きの力と上向きの力が均衡しており、スライダ10は、普通浮上高さ(FH)として知られるディスク4上の大まかに一定した高さを維持する。記録密度が増すと、リード/ライトヘッドとディスクとの間の間隔(浮上高さ)を減少させなければならない。本発明の配合物の使用により、最新技術のもとでのHDDの運転中に効果的に除去されず排出された状態になる可能性のあり得る残渣によって引き起こされる問題が減少する。
【0060】
図4は、ディスク4上の安定な浮上におけるスライダ10の高さを示している。その図面は、スライダ10が、ABSによって決められる面がディスク4に対して角度を形成するように、どのようにリーディングエッジ20をトレイリングエッジ22に対して持ち上げられて浮き上がるかを示している。スライダ10の浮上高さ、FH、は、トレイリングエッジ22とディスク4の間の間隔として一般的には定義される。
【0061】
最新のスライダ技術、すなわち「ピコ」ABSの1つは、Al23:TiCを2:1の比率で使用する。活性(シールド)領域は、SiおよびDLC(ダイヤモンド様炭素)のそれぞれ10および15Åの薄層により保護されている様々な比率のNiFeを含む。フルオリド系洗浄用組成物中で攻撃を受け易いシールド末端にさらされる小さいAl23ゾーンが存在する。
【0062】
新たなABS技術の1つであるフェムトは、より小さいデバイスにおいてのみ、最新技術と類似した材料の構成を使用する。しかしながら、いくつかの応用は、類似の厚さのSiNとDLCを含むバリア層を使用する。その他の材料が変えられることなく行われた試験からの初期の結果は、これがより良好なバリア層であり得ることを示している。いくつかの応用は、様々なパッシベーションを有することができ、いくつかの場合はシールド領域を持つことが全くできない。
【0063】
新しい評価における改善は、バリアによる被覆のよりよい均一性ならびにそのような応用に対するSiNのSiをしのぐ本質的により良好な特性の結果であり得る。そのエッチングは化学的および物理的(スパッタ)工程の組み合わされたものでエッチングの深さが400〜1500nmで非常に多量の残渣を堆積する。高いTiエッチレートを有するヒドロキシルアミンを含む組成物はこの残渣を洗浄するのに非常に優れている。
【0064】
本発明が様々なスライダの設計および製造に等しく適用するように意図されていることも理解されよう。スライダ製造の別の例は、あたかも完全に本明細書に開示されているかのように参照により組み込まれている特許文献に見出される(特許文献3参照)。
【0065】
エアベアリング用途で有用な別の組成物は、洗浄用組成物およびそれらの使用方法に対する特許(特許文献4参照);還元電位および酸化電位を有する求核性アミン化合物を含む洗浄液に対する特許(特許文献5参照);ヒドロキシルアミン誘導体を含有する洗浄用組成物および残渣除去のために同じものを使用するプロセスに対する特許(特許文献6参照);還元電位および酸化電位を有する求核性アミン化合物を含む洗浄液に対する特許(特許文献7参照);半導体工程残渣除去組成物およびプロセスに対する特許(特許文献8参照);半導体デバイスのための有機およびプラズマエッチング残渣を洗浄するための組成物に対する特許(特許文献9参照);アルカノールアミン半導体工程残渣除去組成物およびプロセスに対する特許(特許文献10参照);エチレンジアミン四酢酸またはそのアンモニウム塩の半導体工程残渣除去組成物およびプロセスに対する特許(特許文献11参照);アルカノールアミン半導体工程残渣除去プロセスに対する特許(特許文献12参照);エチレンジアミン四酢酸またはそのアンモニウム塩の半導体工程残渣除去プロセスに対する特許(特許文献13参照);ヒドロキシルアミン没食子酸組成物を用いるプロセスに対する特許(特許文献14参照);ヒドロキシルアミンおよびアルカノールアミンを用いて基板からレジストを除去する方法に対する特許(特許文献15参照);ヒドロキシルアミン−没食子酸化合物の組成物およびプロセスに対する特許(特許文献16参照);ヒドロキシルアミン−没食子酸化合物の組成物およびプロセスに対する特許(特許文献17参照);エッチング残渣を除去するための洗浄用組成物および使用方法に対する特許(特許文献18参照);アルカノールアミン半導体工程残渣除去組成物およびプロセスに対する特許(特許文献19参照);エッチング残渣を除去するための洗浄用組成物および使用方法に対する特許(特許文献20参照);エッチング残渣を除去するための洗浄用組成物および使用方法に対する特許(特許文献21参照);ヒドロキシルアミン、アルカノールアミン、およびキレート化剤を含むエッチング残渣を除去するための洗浄用組成物に対する特許(特許文献22参照);ヒドロキシルアミン含有組成物を用いてエッチング残渣を除去する方法に対する特許(特許文献23参照);ヒドロキシルアミンおよびアルカノールアミンを用いて基板からレジストを除去する方法に対する特許(特許文献24参照);エッチング残渣を除去するための洗浄用組成物および使用方法に対する特許(特許文献25参照);ヒドロキシルアミンおよびアルカノールアミンを含む除去用組成物に対する特許(特許文献26参照)に見出すことができる。上記特許の組成は、参照により本明細書に組み込む。
【0066】
プリンタヘッド
HDD製造工程と同様に、大きさの縮小は、プリンタヘッドの工程にも影響を及ぼす。その大きさの縮小は少なくともヒーター基板におけるものである。これまでは、WSiN等のヒーター基板に対する典型的な最良のエッチングレートは、約8Ω/cm2であった。このエッチングレートは好ましくはないけれども容認されてきた。しかしながら、大きさの縮小に伴い、そのようなロスはもはや容認されない。意外にも、約5から約25重量パーセントの1つまたは複数のヒドロキシルアミン(50%水溶液)等のオキソアンモニウム化合物を含有する配合物は、二重でありしばしば対立する目標の、約8Ω/cm2よりかなり低いヒーター基板のエッチレートと、同時にまた除去することが望ましいエッチング残渣およびレジストの効果的な洗浄および除去とを選択的に達成することが見出された。
【0067】
オキソアンモニウム化合物
HDD用途においては、約5パーセントから約25パーセントまでのオキソアンモニウム化合物の量が効果的であることが見出された。プリンタヘッド用途においては、意外なことに、約5重量パーセントから約25重量パーセントの量は、特にヒドロキシルアミンを含まない塩基(HAFB)(50%水溶液)で、さらに高濃度より優れることが見出された。
【0068】
有機溶媒/アルカノールアミン成分
有機溶媒/アルカノールアミン成分は、少なくとも一部がアルカノールアミンであることが好ましく、他の有機溶媒を適宜−いくつかの場合で好ましくは−使用することができる。プリンタヘッドの用途における有効な組成物中のアルカノールアミンは少なくとも約20パーセントであり、アルカノールアミンと有機溶媒の組合せは約20重量パーセントから約80重量パーセントまでである。
【0069】
プリンタヘッドの用途においては、高濃度のアルカノールアミンが、プリンタヘッド製造工程において、WSiN、Al、W、およびその他のヒーターおよび導体の種類に対してより活動的であることが見出された。しかしながら、いくらかの量のアルカノールアミン−例えば20重量パーセントなど−が好ましかった。40重量パーセント未満のアルカノールアミンが該組成物中にある場合、腐食防止剤/キレート化剤に対する必要性は縮小した。
【0070】
例示的なアルカノールアミンとしては、以下に限定されないが、モノエタノールアミン(MEA)、2−(2−ヒドロキシルエチルアミノ)エタノール(すなわち、ジエタノールアミンまたはDEA)、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(すなわち、ジグリコールアミンまたはDGA)、N,N,N−トリス(2−ヒドロキシエチル)−アンモニア(すなわち、トリエタノールアミンまたはTEA)、イソプロパノールアミン(IPA)、3−アミノ−1−プロパノール(すなわち、n−プロパノールアミンまたはNPA)、2−アミノ−i−プロパノール(「モノイソプロパノールアミン」または「MIPA」)、ジイソプロパノールアミン、2−(N−メチルアミノ)エタノール(すなわち、モノメチルエタノールアミンまたはMMEA)、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール(すなわち、アミノエチルアミノエタノールまたはAEEA)、2−(N−メチルアミノ)エタノール(「モノメチルエタノールアミン」または「NMEA」)、2−[(2−アミノエチル)−(2−ヒドロキシエチル)−アミノ]−エタノール(「N,N−ビス−ヒドロキシエチル−エチレンジアミン」)、N−アミノエチル−N’−ヒドロキシエチル−エチレンジアミン、N,N’−ジヒドロキシエチル−エチレンジアミン、2−[2−(2−アミノエトキシ)−エチル−アミノ]−エタノール、2−[2−(2−アミノエチルアミノ)−エトキシ]−エタノール、2−[2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−エタノール、ターシャリーブチルジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール(「n−プロパノールアミン」または「NPA」)、イソブタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)−プロパノールなど、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0071】
有機溶媒
上記の有機溶媒の例としては、以下に限定はされないが、アミド、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセタミド、N−メチルホルムアミド、およびN−メチルアセタミドなど;ピロリドン、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、およびN−ヒドロキシエチル−2−ピロリドンなど;イミダゾリジノン、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、および1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンなど;アルキル尿素、例えば、テトラメチル尿素、およびテトラエチル尿素など;多価アルコールおよびそれらの誘導体、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、またはプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル(EGME)、エチレングリコールモノエチルエーテル(EGEE)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(EGPE)、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGBE)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGPE)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(PGBE)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DGME)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DGEE)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(DGPE)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DGBE)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGME)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(DPGEE)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(DPGPE)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGBE)、トリチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、およびそれらの混合物;スルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド、メチルスルホキシド、およびジエチルスルホキシドなど;スルホン、例えば、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、またはテトラメチレンスルホンなど;ラクタム、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、またはN−メチルピロリジノンなど;イミダゾリジノン、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、または1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノンなど;およびラクトン、例えば、γ−ブチロラクトンまたはδ−バレロラクトンなどが挙げられる。好ましい有機溶媒としては、スルホキシド、アミド、エーテル、またはそれらの混合物が挙げられる。最も好ましい有機溶媒は、スルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、またはアミド、例えばN−アルキル−2−ピロリドンである。
【0072】
キレート化剤
いくつかの実施形態において、該組成物は、キレート化剤を約2から約15重量%の量で含有する。約20から約40重量%の間のアルカノールアミン含量を保持することによって、キレート化剤または腐食防止剤に対する必要性は著しく低減されることが分かった。
【0073】
有機酸
あるいは、該組成物は有機酸を含むことができる。該組成物中で有用な有機酸の種類は、以下に限定はされないが、ギ酸、酢酸、プロパン酸、酪酸等;グリコール酸、乳酸、酒石酸等を含むがこれらに限定されないヒドロキシ置換カルボン酸;シュウ酸;グリオキシル酸等を含むがそれらに限定されないカルボニル置換カルボン酸;グリシン、ヒドロキシエチルグリシン、システイン、アラニン等を含むがそれらに限定されないアミノ置換カルボン酸;アスコルビン酸等を含むがそれらに限定されない環状カルボン酸;シュウ酸、ニトリロ三酢酸、クエン酸、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0074】
腐食防止剤
当該方法および組成物は、場合によって、1つまたは複数の腐食防止剤を使用することができる。腐食防止剤の例としては、以下に限定はされないが、アンモニウムの硝酸塩;炭化水素置換アンモニウム硝酸塩;ベンゾトリアゾール;2,4−ペンタジオンジオキシム;1,6−ジオキサスピロ[4,4]ノナン2,7−ジオン(ジ−エーテル);チオ尿素;亜硫酸水素アンモニウム;コリン塩、例えば、亜硫酸水素塩、硝酸塩、水酸化物など、またはそれらの組合せ;ビスコリン塩、例えば、亜硫酸水素塩、硝酸塩、水酸化物など、またはそれらの組合せ;トリスコリン塩、例えば、亜硫酸水素塩、硝酸塩、水酸化物など、またはそれらの組合せ;グリセロール;ソルビトール;ゼラチン;デンプン;リン酸;ケイ酸;ポリエチレンオキシド;ポリエチレンイミン;ベンゾトリアゾール;没食子酸または没食子酸エステル;グリコール酸またはグリコール酸エステル;糖アルコール、例えば、トレイトール(traitol)、エリトリトール、アドニトール、キシリトール、テリトール(teritol)、イデトール(idetol)、およびズルシトール等;およびそれらの組合せが挙げられる。
【0075】
HDDからレジストおよび残渣を除去する方法の例
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
プリンタヘッドからレジストおよび残渣を除去する方法の例
【0079】
次の配合物を、フォトレジストが被覆されており、洗浄すべき該基板がそのレジストに加えてエッチング残渣を含有するようにエッチングされているプリンタヘッドに適用した。そのインクジェットデバイスを処理し、(別なふうに記されていない限り)70℃で10分間の処理後、WSiN基板の抵抗の変化を測定する評価をした。プリンタヘッドレジストおよび残渣除去の目的に対して、抵抗率の約8オーム/sqの変化は許容され、約2オーム/sqの変化は良好であり、しかしながら、10オーム/sqを超える変化は許容できない。
【0080】
【表3】

【0081】
すべての配合物が許容できる変化を示したが、プリンタヘッドへの適用における腐食防止剤の必要性を軽減することができる60%未満のアルカノールアミンを使用することが望ましい。
【0082】
以下は、レジストおよび残渣の除去のため、ならびにヒーター基板に対するエッチレートのためのプリンタヘッド工程に関して試験した追加の配合物である。WSiN等の基板上のレジストおよび残渣除去効果は、目視比較によって査定し、1が不十分なレジストおよび残渣の除去であり、10が効果的なレジストおよび残渣の除去である1〜10の基準に基づいてすべてランク付けした。大まかに、8から10の除去効果が好ましくて10が最も好ましく、7より下は、一般に不完全な除去をもたらす。本明細書の表中の配合は、他に記載がない限り、重量パーセントで示されている。
【0083】
【表4】

【0084】
【表5】

【0085】
【表6】

【0086】
【表7】

【0087】
HDDスライダからレジストおよび残渣を除去する方法において、意外なことに、すすがないと改善されたエッチレートをもたらす。これは、伝統的にすすぎの1つの目的はエッチングが続くことを防ぐためであったので予想外であった。すすぎステップは、好ましくはないかもしれないが、それが用いられる場合、そのリンスの配合物は、実質的に脱イオン水であることが好ましい。
【0088】
金属含量
本組成物の金属含量は、好ましくは、当技術分野で知られ、かつ例えば非特許文献1の配線セクションに示されている金属の汚染目標に合致するように低く維持される。Al、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Ni、Pb、K、Na、およびZn等の金属の濃度は、通常10ppm未満、好ましくは5ppm未満、例えば1ppm未満で維持される。
【0089】
説明のためのこれまでの記述は、特定の実施形態に関して記述してきた。しかしながら、上記の説明のための論議は、網羅的であるかまたは本発明を開示された正確な形に限定することを意図するものではない。多くの修正および変形が、上記の教示を考慮して可能である。実施形態は、本発明の本質を最もよく説明し、その実際の適用を、それによって他の当業者が本発明および様々な実施形態を考えられる特定の用途に適するように様々に修正して最大限利用できるようにするために選択し、記載した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアベアリング面を、
約5重量%から約50重量%のオキソアンモニウム化合物と、
約10重量%から約80重量%の、前記オキソアンモニウム化合物と混和性の少なくとも1つのアルカリ成分と、
残りが水を含む組成物と接触させるステップ、
を含む前記エアベアリング面からレジストマスクおよび残渣を除去する方法であって、
前記残渣は、炭化チタンおよび酸化アルミニウムのエッチングからの残渣を含み、
前記組成物のpHが7を超える、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記組成物は、約5重量%から約30重量%の少なくとも1つのキレート化剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのキレート化剤は、1,2−ジヒドロキシベンゼンまたはその誘導体であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアルカリ成分は、アルカノールアミンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアルカノールアミンは、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、ジグリコールアミン(DGA)、トリエタノールアミン(TEA)、イソプロパノールアミン(IPA)、n−プロパノールアミン(NPA)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、モノメチルエタノールアミン(MMEA)、アミノエチルアミノエタノール(AEEA)、モノメチルエタノールアミン(NMEA)、N,N−ビス−ヒドロキシエチル−エチレンジアミン、N−アミノエチル−N’−ヒドロキシエチル−エチレンジアミン、N,N−ジヒドロキシエチル−エチレンジアミン、2−[2−(2−アミノエトキシ)−エチル−アミノ]−エタノール、2−[2−(2−アミノエチルアミノ)−エトキシ]−エタノール、2−[2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−エタノール、ターシャリーブチルジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、n−プロパノールアミン(NPA)、イソブタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)−プロパノールおよびそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアルカノールアミンはDGAであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アルカリ成分は第四級アンモニウム化合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記オキソアンモニウム化合物はヒドロキシルアミンであり、前記アルカリ成分はアルカノールアミンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記残渣は、SiNおよびダイヤモンド様炭素(DLC)を含むバリア層からの残渣をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
基板を、
(a)約5%から約50%のヒドロキシルアミンを含まない塩基と、
(b)約10重量%から約80重量%の1つまたは複数のアルカノールアミンおよび有機溶媒と、
(c)水と
を含む組成物と接触させるステップを含むエアベアリング面からレジストマスクおよび残渣を除去する方法であって、
前記エアベアリング面は、洗浄プロセスの一部として機械的に洗浄されず、
成分(b)の少なくとも10%はアルカノールアミンであり、
前記残渣は、炭化チタンおよび酸化アルミニウムのエッチングからの残渣を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記エアベアリング面を前記組成物と接触させるステップの直後にすすぎステップがないことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
プリンタヘッドを、
(a)約5重量%から約25重量%のオキソアンモニウム化合物と、
(b)約20重量%から約80重量%の1つまたは複数のアルカノールアミンおよび有機溶媒またはそれらの混合物と、
(c)合計量が30重量%未満の水と
を含む組成物と接触させるステップを含む前記プリンタヘッドから残渣を除去する方法であって、
前記残渣が、TaN、TiN、TiAlN、およびWSiNからなる群から選択される化合物のエッチングからの残渣を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
成分(a)は、50%水溶液のヒドロキシルアミンを含まない塩基であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
成分(b)は、約20重量%から約40重量%までのアルカノールアミンを含有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
約2重量%から約15重量%までのキレート化剤をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記残渣は、SiNおよびダイヤモンド様炭素(DLC)を含むバリア層からの残渣をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図3E】
image rotate

【図3F】
image rotate

【図3G】
image rotate

【図3H】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−505455(P2011−505455A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535947(P2010−535947)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/011267
【国際公開番号】WO2009/070190
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(505373535)イー.ケー.シー.テクノロジー.インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】