説明

プリンタヘッド及びこれを備えた画像形成装置

【課題】 画素部の間隔が狭いプリンタヘッドに保持容量を設ける。
【解決手段】 ゲート電極102、ゲート絶縁膜123g、ドレイン領域10d及びソース領域105sは、画素部201のピッチとは関係なく、図中奥行き方向に沿って所要の長さに延在させることができる。したがって、駆動用トランジスタTR2の素子構造を利用して保持容量Cgd及びCgsを形成することができ、画素部201が狭い間隔で配列されている場合でも保持容量Cgd及びCgsを確保することができる。加えて、ゲート電極102、ゲート絶縁膜123g、ドレイン領域10d及びソース領域105sの図中横方向に沿ったサイズを一定にした状態で、ゲート電極102、ゲート絶縁膜123g、ドレイン領域10d及びソース領域105sの図中奥行き方向に沿ったサイズを所要の大きさに設定することにより、保持容量Cgd及びCgsの容量値を規定することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリンタ、コピー、ファクシミリ等の画像形成装置において、感光体を露光して静電潜像を形成するために用いられる、有機EL(Electro-luminescence)プリンタヘッド等のプリンタヘッド或いはラインヘッドと、これを備えた画像形成装置との技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の有機ELプリンタヘッドでは、ライン状に配列された複数の有機EL発光素子におけるデータ信号に応じた点灯・非点灯が、ライン走査信号に応じたタイミングで順次行われる。ここで、各画素回路には、有機EL発光素子と共に、これに駆動電流を流すための駆動用トランジスタが設けられ、駆動用トランジスタがデータ信号に応じてオンされて、駆動電流が有機EL発光素子に流れることで、データ信号に応じた発光が行われる(特許文献1参照)。
【0003】
このような駆動電流による有機EL発光素子の発光時間は、アクティブマトリクス駆動方式によりデータ線駆動回路等の駆動回路から各画素回路に対して順次供給されるデータ信号の個々の供給時間に比べて遥かに長い時間を必要とする場合がある。例えば、制御用トランジスタを介して供給されるデータ信号に応じた電圧を、該データ信号の個々の供給時間に比べて遥かに長い時間駆動用トランジスタのゲートに印加することが必要になる場合がある。このため、各画素回路には、駆動用トランジスタのゲートに印加されるデータ信号に応じた電圧を保持するための保持容量が設けられているのが一般的である(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−274569号公報
【特許文献2】特開2000−315734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、先ず第1に、プリンタヘッドにおける有機EL発光素子のピッチ、即ち画素ピッチは伝統的な有機ELディスプレイにおける画素ピッチに比べて小さいため、各画素回路に保持容量を形成することは基本的に困難である。より具体的には、例えば、印刷された画像の表示品質を600dpi以上にする場合、各画素に保持容量を設けるスペースを確保することが困難になる。第2に、プリンタヘッド用の有機EL発光素子は、高画質の画像を形成するために、例えば、約5500Cd/m程度の高い輝度を要求される場合が多い。このため、駆動用トランジスタのゲートに十分な大きさの電圧が印加されるように、駆動用トランジスタのゲート幅を十分に確保してゲートにおける電圧降下を抑制することも求められている。しかしながら、各画素におけるゲートの占める領域を大きくすると、保持容量を設けるスペースを確保することが、より一層困難になるという技術的問題点がある。尚、保持容量がむやみに大きいと、画素へのデータ信号の書込み時間が数百nsになり、書込み時間内に画素部にデータを書き込むことが難しくなるという問題点も生じる。
【0006】
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、例えば、従来の有機ELディスプレイに比べて画素ピッチが狭い場合でも、各画素に所要の保持容量を確保することを可能にすると共に、有機EL発光素子の十分な輝度の確保を可能ならしめるプリンタヘッド及びこれを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリンタヘッドは上記課題を解決するために、感光体を露光するためにライン状に配列された複数の電流駆動型の発光素子と、前記発光素子毎に設けられており、前記発光素子に駆動電流をデータ信号に応じて流すための駆動用トランジスタを夫々含み、該駆動用トランジスタのゲートを一対の容量電極の一方として且つ該一対の容量電極間に介在する層間絶縁膜を誘電体膜として前記データ信号に応じた電荷を保持するための保持容量が夫々構成されており、該保持容量に保持された電荷に応じた電圧が前記ゲートに夫々印加される複数の画素回路とを備える。
【0008】
本発明のプリンタヘッドによれば、例えば有機EL発光素子等の電流駆動型の発光素子が、ライン状に配列されている。ここに「ライン状に配列され」とは、複数の発光素子が配列されたライン方向に沿って一列で延びる場合の他、二列或いは複数列で延びる場合や、千鳥足状に延びる場合も含む。このようなライン状のプリンタヘッドは、感光体に対して、複数の発光素子が配列されたライン方向に沿って順次、発光素子列からライン状の光を発光可能である。或いは、発光素子列からライン状の光を、同時に又は一部について同時に発光可能である。
【0009】
本発明に係るプリンタヘッドは、その動作時には、例えば複数の発光素子毎に設けられた画素回路を単位として点灯又は非点灯を示す旨のデータ信号が、プリンタエンジン等の外部から供給される。駆動トランジスタが、ゲート信号に応じて発光素子に駆動電流を流し、その結果各発光素子が発光する。尚、駆動用トランジスタとしては、例えば、有機ELディスプレイに画素部に用いられる薄膜トランジスタを用いることができる。
【0010】
保持容量は、データ信号に応じた電荷を維持し、この電荷に応じた電圧を駆動トランジスタのゲートに、例えば一定時間印加することによって、データ信号の個々の供給時間に比べて遥かに長い時間発光素子を発光させることができる。保持容量は、駆動用トランジスタのゲートを一対の容量電極の一方とし、且つ該一対の容量電極間に介在する層間絶縁膜を誘電体膜として前記データ信号に応じた電荷を保持するように構成されている。したがって、ライン状に配列された各発光素子の間隔が狭い場合でも、画素回路に保持容量を設けることができ、保持容量に保持された電荷に応じた電圧を駆動トランジスタのゲートに夫々印加することができる。即ち、別途新たに保持容量として機能する容量素子等を画素回路、或いはプリンタヘッドの他の領域に形成しなくても、駆動トランジスタの素子構造を利用して保持容量を確保することができるのである。より具体的には、例えば、通常ゲート容量と称される容量を保持容量として利用することが可能である。
【0011】
以上のように、本発明に係るプリンタヘッドによれば、例えば、有機ELディスプレイに比べて発光素子の間隔が狭い場合であっても、画素回路毎に保持容量を確保することができる。
【0012】
本発明に係るプリンタヘッドの一の態様においては、前記保持容量は、前記一対の容量電極及び前記誘電体膜のみから構成されていてもよい。
【0013】
この態様によれば、画素回路が形成される領域、或いはその他の領域に別途新たに保持容量とされる例えば容量素子或いは素子構造を設けなくても保持容量を確保することができる。このような保持容量は、例えば、画素回路に含まれるトランジスタ等の素子構造を利用して形成されることから、有機EL発光素子等が狭い間隔で配列されている場合でも、格別保持容量を形成するためのスペースを設ける必要がなく、印刷される画像の画質を低下させることなくプリンタヘッドを小型化することができる。尚、この態様は、上述した保持容量以外の補助的な保持容量が、別途設けられることを除外するものではないことは言うまでもない。
【0014】
本発明に係るプリンタヘッドの他の態様においては、前記一対の容量電極の他方は、前記駆動用トランジスタのチャネル領域を含む半導体層におけるソース領域及びドレイン領域のうち少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0015】
この態様によれば、例えば、駆動用トランジスタのゲート、駆動用トランジスタのゲート及びチャネル領域間に設けられる層間絶縁膜、及びチャネル領域を含む半導体層におけるソース領域及びドレイン領域の少なくとも一方により保持容量を構成することができる。この際、ゲート絶縁膜が、保持容量における誘電体膜としても機能する。したがって、駆動用トランジスタの素子構造を利用して保持容量を確保することが可能である。したがって、新たに保持容量を設けるためのスペースを確保しなくてもよい。
【0016】
本発明に係るプリンタヘッドの他の態様においては、前記一対の容量電極の他方は、前記駆動用トランジスタのソース電極及びドレイン電極のうち少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0017】
この態様によれば、例えば、チャネル領域を含む半導体層に対して、ゲート、ソース電極、及びドレイン電極が同じ側に設けられたプレーナ型の薄膜トランジスタにおいて、ゲートと、ソース電極及びドレイン電極とを夫々絶縁するゲート保護膜或いは層間絶縁膜を誘電体層として保持容量を構成することができる。したがって、駆動用トランジスタの素子構造を利用して保持容量を確保することが可能であり、発光素子の間隔が狭い場合でも保持容量を確保することができる。
【0018】
本発明に係るプリンタヘッドの他の態様においては、前記複数の発光素子が配列された配列方向に沿って前記複数の画素回路は配列されており、該配列方向に交わる方向に沿って、前記ゲートにおける少なくとも前記容量電極の一方として機能する部分及び前記容量電極の他方が長手状に延びていてもよい。
【0019】
この態様によれば、ライン状に配列された発光素子の配列方向に沿って配列された複数の画素回路の間隔が狭い場合でも、保持容量を確保できるとともに、保持容量の大きさも設定することができる。例えば、ライン状に配列された発光素子の配列方向に交わる方向においては、発光素子の配列方向に比べて保持容量を設けるためのスペースを確保できる場合が多く、発光素子の配列方向に交わる方向に沿ってゲートを延在させることによって保持容量の容量値を規定することができる。より具体的には、例えば、ゲートを前記複数の発光素子が配列された配列方向に交わる方向に沿って長手状に延在し、ドレイン領域及びソース領域の少なくとも一方も同様の方向に延在させることによって、夫々電極として機能するゲート、ドレイン領域、及びソース領域の重なり領域のサイズを調整し、保持容量の容量値を規定することができる。この態様によれば、例えば、高速でゲート信号を書き込めるように保持容量を最適な容量値に設定することができる。加えて、ゲート等にける電気抵抗を低減することもでき、例えば、本来、駆動用トランジスタのゲートに印加されるべき電圧を殆ど低下させないことも可能である。これにより、発光素子に十分な駆動電流を流して、発光素子を十分な輝度で発光させることもできる。
【0020】
本発明に係るプリンタヘッドの他の態様においては、前記画素回路は、前記データ信号に対応する2値電圧に応じて前記発光素子に選択的に前記駆動電流を流す電圧プログラム方式によって前記発光素子を駆動してもよい。
【0021】
この態様によれば、画素回路は、データ信号を受け取り、発光素子の駆動電流は、データ信号に対応する2値電圧に応じて電圧プログラム方式によって選択的に流される。より具体的には、例えば、駆動トランジスタのゲートに印加されるオン又はオフを示す2値電圧によって駆動トランジスタのオンオフが制御され、駆動電流が選択的に発光素子に流される。これにより、感光体をデータ信号に応じたパターンで露光することが可能となるうえ、有機ELディスプレイで用いられていた伝統的な電流プログラム方式に比べて、駆動トランジスタに高速でデータ信号を書き込むことができる。例えば、容量値が最適化された保持容量を用いた電圧プログラム方式によれば、画素回路へのデータ信号の書込み時間を数百nsec以下にすることも可能である。
【0022】
本発明に係るプリンタヘッドの他の態様においては、前記保持容量は、前記発光素子が所要の発光量で発光する際に、前記ゲートにおける前記電圧の電圧降下が0.3V以下になるように設定されていてもよい。
【0023】
この態様によれば、その動作時に、ゲートに印加された電圧が、例えば、ゲートの電気抵抗によって低下する場合がある。したがって、例えば、保持容量に含まれるゲートは、プリンタヘッドの動作時のゲートにおける電圧降下が0.3V以下になるように設定されていることが好ましい。ゲートにおける電圧降下が上述の範囲であれば、発光素子に十分な駆動電流を流すことが可能である。より具体的には、例えば、発光素子の配列方向に交わる方向に沿ったゲートの長さを調整することにより、ゲートの面積をより大きく設定し、ゲートの電気抵抗を抑制することもできる。これにより、ゲートに印加された電圧の電圧降下を抑制することができ、駆動トランジスタを介して十分な駆動電流を発光素子に流すことができる。
【0024】
本発明に係るプリンタヘッドの他の態様においては、前記保持容量は、前記発光素子が所要の発光量で発光する際の電流リークによる電圧降下が50mV以下になるように設定されていてもよい。
【0025】
この態様によれば、駆動トランジスタを介して発光素子に十分な駆動電流を流すことができる。ここで、本発明に係る「電流リーク」とは、例えば、データ信号に応じた電圧がゲートに印加された場合に、例えば、ゲートから、ゲートに接するように設けられた層間絶縁膜を介してチャネル領域を含む半導体層に流れる電流等を意味する。このような電流は、実質的に駆動トランジスタのゲートに印加される電圧を降下させてしまうため、可能な限り低減されることが発光素子の輝度を高めるためには好ましい。したがって、電流リークをゼロにできないまでも、電流リークによる電圧降下が50mV以下になるようにゲートを設定しさえすれば、発光素子の輝度を支障のない範囲に維持することができる。
【0026】
本発明に係るプリンタヘッドは上記課題を解決するために、上述したプリンタヘッドと、前記感光体と、前記プリンタヘッドによる露光によって前記感光体に形成された静電潜像を現像することで可視像を形成する現像手段と、前記形成された可視像を記録媒体上に転写する転写手段とを備える。
【0027】
本発明の画像形成装置は上記課題を解決するために、上述した本発明に係るプリンタヘッド(但し、その各種態様を含む)と、前記感光体と、前記プリンタヘッドによる露光によって前記感光体に形成された静電潜像を現像することで可視像を形成する現像手段と、前記形成された可視像を記録媒体上に転写する転写手段とを備える。
【0028】
本発明の画像形成装置によれば、上述した本発明に係るプリンタヘッドを備えるので、感光ドラム等の感光体を高速且つ高解像度で露光する。従って、その後の現像及び転写を経て、高速且つ高品位のカラー画像や白黒画像を、コピー用紙等の記録媒体上に形成できる。しかも、プリンタヘッドを小型化することで、画像形成装置における小型化を図ることも可能である。
【0029】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
(プリンタヘッド)
以下、図1乃至図7を参照しながら本実施形態に係るプリンタヘッドについて詳細に説明し、その後、図8を参照しながら本発明に係るプリンタヘッドを適用した画像表示装置の一例であるプリンタについて説明する。尚、以下の実施形態では、電流駆動型の発光素子の一例である有機EL発光素子を搭載し、これら有機EL発光素子(以下、発光素子と称す。)を電圧プログラム方式で駆動するプリンタヘッドを例に挙げて説明する。
【0032】
図1及び図2を参照して、本実施形態に係るプリンタヘッドの概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタヘッドの構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、そのうち発光部及び画素回路の平面レイアウトに係る各種具体例を示す、プリンタヘッドの図式的な部分拡大平面図である。
【0033】
図1において、プリンタヘッド1は、基板10と、基板10上でライン状に配列された複数の発光部11と、データ信号が供給される外部回路接続端子12と、外部回路接続端子12に接続されたデータ線部13と、発光部11を駆動するためのライン走査回路17とを備える。
【0034】
基板10は、図中左右方向を「長手方向」として長手状に伸びるガラス基板、石英基板、半導体基板等から構成される。尚、本発明に係る「長手状」とは、基板10の短手方向に沿って後述するゲート電極等が延設された形状を意味することに留意されたい。外部回路接続端子12は、基板10の縁に沿って配列されている。複数設けられた外部回路接続端子12の一部には、データ信号源として、プリンタエンジン等から2値のデータ信号、即ち画素毎に点灯(オン)とするか又は非点灯(オフ)とするかを示すデータ信号が供給される。また、複数設けられた外部回路接続端子12の他部には、電源信号、クロック信号、制御信号等の、ライン走査回路17、後述の画素回路などの動作のために必要な各種信号や電源も入力される。
【0035】
データ線部13は、基板10の長手方向に沿って伸びるように一本又は複数本配線されている。データ線部13には、外部回路接続端子12を介して、データ信号源からデータ信号が供給される。ライン走査回路17は、基板10に後付け又は内蔵されている。ライン走査回路17は、後述のように、各発光部11における発光のタイミングを制御するライン走査信号を各画素回路に順次供給するように構成されている。
【0036】
図2に示した発光部11の平面レイアウトの各種具体例に示すように、複数の発光部11は基板10の長手方向に一致するライン方向に沿って配列されている。発光部11は、1ラインのみ設けられてもよいし(図2(a))、千鳥足状に複数ライン設けられてもよいし(図2(b))、マトリクス状に複数ライン設けられてもよい(図2(c))。いずれの具体例の場合にも、発光部11は、画素部201毎に一つ設けられている。各画素部201には、図1に示したライン走査回路17からライン走査信号が、ライン走査信号線141を介して供給されると共に、データ線部13の引出線部分13cを介してデータ信号が供給される。更に、高電位配線116及び低電位配線118から夫々、高電位電源及び低電位電源が夫々供給されるように構成されている。
【0037】
次に、図3を参照して、画素部201及びこれに接続された各種配線についての一具体例について説明する。図3は、プリンタヘッド1の電気的な概略構成の一具体例を示すブロック図であり、発光素子OLEDを電圧プログラム方式で駆動する場合のブロック図の一例である。尚、図3において、図1及び図2に示した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0038】
図3において、データ線部13は、データ信号供給線13a、入力バッファ222、本線部分13b及び引出線部分13cを含んで構成されている。更に、本線部13bの末端には、2値電圧を保持する入力バッファ222と、静電保護回路224が設けられている。尚、図3では、画素部201は、横一列に配列されているが、その実際の平面レイアウトとしては、図2(a)〜図2(c)に示した如く、各種のレイアウトを採ることが可能である。図3の具体例では特に、入力バッファ222は、データ信号供給線13aから供給される2値のデータ信号に対応して2値電圧を生成すると共に引出線部分13cを介して画素部201へ供給する。入力バッファ222及び静電保護回路224により、別途供給される電源電圧を用いて、データ線部13のうち本線部分13b及び引出配線部データ線における2値電圧を、2値のデータ信号のオン又はオフに対応する2値電圧のいずれかに確固として保持することができる。これにより、データ線部13を介して、電圧プログラム方式による、画素部201の駆動が可能となる。即ち、入力バッファ222を介して本線部分13b及び引出線部分13cで実現されるデータ信号の2値電圧によって、画素部201へのデータ信号の書き込みが可能となる。ライン走査回路17は、シフトレジスタ回路を含み、ライン走査信号S1、S2、・・・、Snを、ライン走査信号線141に対して、線順次に供給するように構成されている。
【0039】
画素部201は、制御用トランジスタTR1、駆動用トランジスタTR2、保持容量Cgd及びCgs、発光素子OLED、陰極216及び陽極218を含んで構成されている。
【0040】
発光素子OLEDは、図1及び図2に示した発光部11として機能する。尚、発光素子OLEDの詳細な構成は、既存の有機ELディスプレイパネルにおける発光素子におけるそれと同様或いは類似である。制御用トランジスタTR1は、そのゲートにライン走査信号Si(i=1、2、・・・、n)が供給される。そして、そのソースに引出線部分13cから供給されるデータ信号の2値電圧を、対応するライン走査信号Siが供給されるタイミングで、そのソースドレイン間を介して駆動用トランジスタTR2のゲートへ供給するように構成されている。
【0041】
駆動用トランジスタTR2、保持容量Cgs及びCgdは、本発明に係る「画素回路」の一例を構成する。
【0042】
駆動用トランジスタTR2は、そのゲートにデータ信号の2値電圧の一方の値(例えばハイレベルの電圧)が印加されると、オンされる。よってこの際、所定電位が供給されている陰極216及び陽極218間に、発光素子OLEDの駆動電流が流れる。これにより、発光素子OLEDは、発光、即ち点灯する。逆に、駆動用トランジスタTR2は、そのゲートにデータ信号の2値電圧の他方の値(例えばローレベルの電圧)が印加されると、オフされる。よってこの際、所定電位が供給されている陰極216及び陽極218間に、発光素子OLEDの駆動電流が流れることはない。
【0043】
保持容量Cgs及びCgdは、夫々駆動用トランジスタTR2のゲート及びソース間、ゲート及びドレイン間に形成される静電容量であり、駆動用トランジスタTR2のゲートにデータ信号の2値電圧の一方の電圧(例えば、ハイレベルの電圧)が印加された際に、所定の電荷を保持する。保持容量Cgs及びCgdに保持された電荷は、ゲート信号の供給時間が経過した後にそのまま保持容量Cgs及びCgdに保持されており、この電荷に応じた電圧が駆動用トランジスタTR2のゲートに印加され続ける。したがって、ゲート信号の供給時間が経過した後でも、駆動トランジスタTR2は次のゲート信号が書き込まれるまでオン状態を維持し、発光素子OLEDの発光が継続される。尚、保持容量Cgs及びCgdの少なくとも一方でデータ信号の電圧に応じた電荷が保持されていれば、発光素子OLEDを継続して発光させることができる。
【0044】
次に、図4乃至図6を参照しながら、プリンタヘッド1に含まれる画素部201の具体的な構成について説明する。図4は、ライン状に配列された画素部201を拡大して示した平面図であり、図5は、図4のV−V´線断面図であり、図6は、駆動トランジスタTR2の拡大断面図である。尚、図4乃至図6においては、図2(b)の千鳥足状に配列された画素部201を例に挙げて各画素図201の詳細な構成について説明するが、図2(a)及び(c)に示すように配列された画素部201も同様の構成を備えることが可能であることは言うまでもない。
【0045】
図4及び図5において、画素部201は、発光素子OLEDで構成される発光部11、制御用トランジスタTR1及び駆動トランジスタTR2を備えて構成されている。
【0046】
図4において、駆動用トランジスタTR2は、図中X方向(ライン方向)に直交する方向であるY方向に沿って延在されたドレイン電極101、ゲート電極102、ソース電極103を備えている。ドレイン電極101は、発光素子OLEDの正孔注入電極114と電気的に接続されており、ソース電極103は、図中X方向に延設された高電位配線116に電気的に接続されている。ここで、高電位配線116は、発光素子OLEDに駆動電流を供給するための電源線である。ゲート電極102は、発光部11を避けるように図中Y方向に沿って延設された配線130と電気的に接続されている。配線130は、制御用トランジスタTR1(図4において不図示)のドレイン側と電気的に接続されており、制御用トランジスタTR1がオン状態になったとき、データ電極102にデータ信号に応じた電圧が印加される。尚、本実施形態では、ゲート電極102は、矩形状を有するシングルゲートであるが、Y方向に沿って延設されるダブルゲートであってもよい。更に、制御用トランジスタTR1及び駆動用トランジスタTR2は夫々、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有していてもよい。
【0047】
画素部201は、X方向に沿って狭い間隔で配列されており、X方向に沿って画素部201内、或いは画素部201間に各種素子或いは素子構造を形成する配線構造等を設けることは困難である。例えば、印刷された画像の画質を600dpiに高めるためには、画素部201間の間隔はそれに応じて狭くなり、各画素部201、或いは画素部201間に保持容量を形成するためのスペースを確保することが困難になる。
【0048】
そこで、プリンタヘッド1においては、Y方向に沿ってドレイン電極101、ゲート電極102、及びソース電極103、後述するドレイン領域105d及びソース領域105sを延在させておくことにより、保持容量Cgs及びCgdの少なくとも一方を形成する。尚、保持容量Cgs及びCgdの詳細な構成については、図6を参照しながら詳細に説明する。また、説明の便宜上、図4では、図5に示すバンク133、陰極134、発光材料保持層132、封止部131、制御用トランジスタTR1を図示していない。
【0049】
図5において、基板10上には絶縁膜122、123、ゲート保護膜124、及び絶縁膜125が順次形成されており、発光部11に含まれる発光素子OLEDは、絶縁膜125上に形成されている。発光素子OLEDは、絶縁膜125上に設けられたバンク133に囲まれた空間に図中上側から順に電子注入層111、発光層112、正孔注入/輸送層113、及び正孔注入電極114を備えて構成されている。尚、発光素子OLEDは、本実施形態の構成に限定されるものではないことは言うまでもなく、有機EL発光素子として適用可能な構成を備えていれば如何なる構成を備えていてもよいことは勿論である。電子注入電極111は、陰極134と電気的に接続されており、陰極134はバンク133の上側に延設されて低電位配線118に導電部119aを介して電気的に接続されている。陰極134の図中上側には、発光材料保持層132及び封止部131が形成されている。正孔注入電極114は、導電部119b及び119cを介して駆動用トランジスタTR2のドレイン電極101に電気的に接続されている。
【0050】
ゲート電極102を覆う絶縁膜であるゲート保護膜124には、ゲート保護膜124の表面から、本発明に係る「層間絶縁膜」の夫々一例であるゲート保護膜124及びゲート絶縁膜123gを貫通して駆動用トランジスタTR2の半導体層105に至るコンタクトホール501及び502が形成されている。ドレイン電極101及びソース電極103を構成する導電膜はコンタクトホール501及び502の各々の内壁に沿って半導体層105の表面に至るように連続的に形成されている。ドレイン電極101は、正孔注入電極114と電気的に接続されており、ソース電極103は、高電位配線116に電気的に接続されている。ゲート電極102は、ゲート絶縁膜123gを介して半導体層105と対向するように形成されていると共に、ドレイン電極101及びソース電極103と電気的に隔絶されるようにゲート保護膜124に埋め込まれている。
【0051】
制御用トランジスタTR1は、図中横方向に沿って発光部11を避けるように絶縁膜122を介して基板10上に設けられており、制御用トランジスタTR1のドレイン電極301(303)と駆動用トランジスタのゲート電極102とが不図示の配線によって電気的に接続されている。制御用トランジスタTR1のソース電極301(303)は、データ線部13の支線部13cに電気的に接続されている。制御用トランジスタTR1のゲート電極302は、ライン走査回路17のライン走査信号線141に電気的に接続されている。
【0052】
このように構成されたプリンタヘッド1の駆動時には、ライン走査信号Siが制御用トランジスタTR1のゲート電極302に供給されると、制御用トランジスタTR1のドレイン電極301(303)から駆動用トランジスタTR2のゲート電極102にゲート信号が供給される。駆動用トランジスタTR2のゲート電極102にゲート信号に応じた電圧のうち、例えば、ハイレベルの電圧が印加された場合には、高電位配線116から駆動用トランジスタTR2のチャネル領域を含む半導体層105を介して発光素子OLEDに駆動電流が流れることになる。これにより、図中下側に向かって発光素子OLEDから光が出射されることになる。ここで、後述する保持容量Cgs及びCgdの少なくとも一方にゲート信号の電圧に応じた電荷が保持され、この電荷によって一定時間駆動用トランジスタTR2がオン状態に維持される。これにより、データ信号の供給時間を経過した後でも、発光素子OLEDを継続して発光させることができる。
【0053】
次に、図6を参照しながら、保持容量Cgs及びCgdについて詳細に説明する。
【0054】
図6において、駆動用トランジスタTR2に含まれる半導体層105は、ドレイン電極101と電気的に接続されたドレイン領域105dと、ソース電極103に電気的に接続されたソース領域105sとを備える。ドレイン領域105d及びソース領域105sは、夫々半導体層105に、例えば、不純物としてイオンをドーピングすることによって形成される。より具体的には、例えば、駆動用トランジスタTR2がnチャネル型の薄膜トランジスタである場合、ドレイン領域105d及びソース領域105sは、夫々半導体層105にn型の不純物をドーピングすることによって形成される。また、駆動用トランジスタTR2は、pチャネル型の薄膜トランジスタでもよいことは勿論であり、この場合、ドレイン領域105d及びソース領域105sは、半導体層105にp型の不純物をドーピングすることにより形成される。
【0055】
ゲート電極102は、本発明に係る「一対の容量電極の一方」の一例であり、本発明に係る「一対の容量電極の他方」の夫々一例であるドレイン領域105d及びソース領域105s、加えて、ゲート絶縁膜123gと共に保持容量Cgd及びCgsを構成する。ここで、図中横方向が本発明に係る「配列方向」の一例に該当し、図中奥行き方向が、本発明に係る「配列方向に交わる方向」の一例に該当する。ゲート電極102、ドレイン領域105d及びソース領域105sの図中奥行き方向に沿った長さは、画素部201の図中横方向に沿ったピッチの制限を受けることなく設定される。したがって、ゲート電極102、ドレイン領域105d及びソース領域105sの図中奥行き方向に沿った長さで保持容量Cgd及びCgsの容量値を規定することができる。
【0056】
より具体的には、図中横方向に沿ってゲート電極102、ドレイン領域105d及びソース領域105sのサイズを広げるのではなく、図中奥行き方向に沿ってゲート電極102、ドレイン領域105d及びソース領域105sのサイズを所要の大きさに広げるのである。これにより、駆動用トランジスタTR2の素子構造を利用して保持容量Cgd及びCgsを形成することができるだけでなく、ゲート電極102、ゲート絶縁膜123g、ドレイン領域10d及びソース領域105sの図中横方向に沿ったサイズを一定にした状態で、保持容量Cgd及びCgsの容量値を規定することが可能である。
【0057】
尚、駆動用トランジスタTR2は、その製造時にゲート電極102の縁部分が、ドレイン領域105d及びソース領域105sに対向するようにパターニングすることも可能である。より具体的には、ゲート電極102を、ゲート電極102の縁がドレイン領域105d及びソース領域105sの少なくとも一方と重なるように形成してもよい。また、駆動用トランジスタTR2は、ゲート電極102をマスクとしてドレイン領域105d及びソース領域105sに対して不純物ドープした、所謂“セルフアライン形”(自己整合形)の薄膜トランジスタでもよい。
【0058】
ここで、保持容量Cgd及びCgsは、発光素子OLEDが所要の発光量で発光する際に、ゲート電極102におけるデータ信号の電圧降下が0.3V以下になるように設定されていることが望ましい。データ信号の電圧降下が、このような範囲に収まるようにゲート電極102等の図中奥行き方向に延在されるサイズを設定することでゲート電極102等の電気抵抗を低減することができる。したがって、データ信号に応じた電圧を正確に駆動用トランジスタTR2のゲートに印加することができ、要求される画質に応じた発光を可能なように発光素子OLEDに駆動電流を流すことができる。これにより、感光体に形成される静電潜像の画質を高めることができ、その結果、印刷された画像の画質を高めることができる大変有利な効果も得られる。ここで、所要の発光量、即ち、印刷された画像が十分な画質を有するための発光量の指標としては、例えば、5500cd/m程度の輝度が挙げられ、このような輝度で発光素子OLEDが発光するようにゲート電極102等の電気抵抗が低減されてもよい。
【0059】
また、保持容量Cgd及びCgsは、発光素子OLEDが所要の発光量で発光する際の電流リークによる電圧降下が50mV以下になるように設定されていることが望ましい。ここで、所要の発光量とは、最終的にプリンタ等の画像表示装置で形成される画像に対して要求される発光量であり、形成すべき画像の画質によって個別に設定される。データ信号に応じた電圧がゲート電極102に印加された場合に、例えば、ゲート電極102から、ゲート絶縁膜123g或いはゲート保護膜124を介して、駆動用トランジスタTR2のドレイン或いはソース側に電流が流れる場合がある。このような電流は、実質的に駆動トランジスタTR2のゲート電極102に供給されるゲート信号の電圧を降下させてしまうため、可能な限り低減されることが発光素子OLEDの輝度を高めるためには望ましい。したがって、電流リークをゼロにできないまでも、電流リークによる電圧降下が50mV以下になるように、例えば、ゲート電極102等の図中奥行き方向に沿ったサイズを設定すれば、電流リークを低減することができる。これにより、発光素子OLEDの輝度を高品質の画像を形成するための支障のない範囲に維持することが可能である。
【0060】
以上説明したように、本実施形態においては、画素部201は電圧プログラム方式によって駆動されることから、保持容量Cgd及びCgsの大きさを所要の容量値に設定しておくことにより、データ信号の書込み時間を縮めることができ、伝統的な電流プログラム方式に比べてより高速で画素部201を駆動することも可能である。
【0061】
更に、ゲート絶縁膜123gの厚みを一定とした場合、ゲート電極102と、ドレイン領域105d及びソース領域105sの距離を縮めることなく、ゲート電極102、ドレイン領域10d及びソース領域105sの図中横方向に沿った長さを一定にしながら保持容量Cgd及びCgsを設定することができる。したがって、プリンタヘッド1の動作時において、ゲート電極102における電界集中を低減し、ゲート絶縁膜123gの電圧破壊を低減することもできる。
【0062】
加えて、ドレイン電極101及びソース電極103を、夫々本発明に係る「一対の容量電極の他方」の一例とし、ゲート保護膜124を本発明に係る「層間絶縁膜」の一例とした場合、ゲート電極102、ゲート保護膜124、ドレイン電極101及びソース電極103により保持容量Cgd及びCgsを構成することも可能である。
【0063】
上述したゲート保護膜124、ドレイン電極101及びソース電極103の図中奥行き方向に沿ったサイズも上述したゲート絶縁膜123g、ドレイン領域105d及びソース領域105sと同様に所要のサイズに設定されることができる。加えて、プリンタヘッド1の動作時におけるゲート保護膜124の電圧破壊を低減するようにゲート電極102、ドレイン電極101、及びソース電極103における電界集中を低減することが可能であることから、画素部201の間隔が狭い場合であっても、所要の容量値を有する保持容量Cgd及びCgsを形成することができると共に、プリンタヘッド1の信頼性を高めることができる。更に、本実施形態のように画素部201の駆動方法として電圧プログラ方式を用いた場合には、保持容量Cgd及びCgsの容量値を所要の値に設定することもでき、画素部201に高速でデータ信号を書き込むことも可能である。
【0064】
図7は、本発明に係るプリンタヘッドの他の例を示すブロック図である。尚、図7において、図1乃至図6の共通部分について共通の参照符号を付けて説明する。
【0065】
図7において、プリンタヘッド100は、複数のデータ信号入力線13aと、複数の画素部201を含む画素ブロックB1、B2、・・・、Bnを備えている。プリンタヘッド100は、プリンタヘッド1と同様のサイズであるにも拘らず、配列される画素部201の個数が多く、プリンタヘッド1に比べて図中ライン方向に沿った各画素部201の間隔が狭くなっている。プリンタヘッド100であっても、プリンタヘッド1と同様に画素部201に含まれる駆動用トランジスタの素子構造を利用して保持容量を形成しておくことができる。即ち、発光素子OLED或いは画素部201の間隔が狭くなるほど、駆動用トランジスタの素子構造を利用した保持容量の有効性が発揮されるのである。
【0066】
(プリンタ)
次に図8を参照しながら上述のプリンタヘッド1を備えたプリンタに係る実施形態について詳細に説明する。図8は、本実施形態に係るプリンタの主要構成を示す図式的断面図である。尚、以下の実施形態では、プリンタヘッド1をYMCK用に4つ備えたカラープリンタを例に挙げて説明する。
【0067】
図8において、プリンタ1000は、YMCK用の4つの画像形成ユニット1001Y、1001M、100C及び1001Kを備え、これらのユニットは夫々、本発明に係る「感光体」の一例たる感光ドラム1002と、その周囲に順に配置されたクリーナ1011、帯電器1012、プリンタヘッド1、及び本発明に係る「現像手段」の一例たる現像器1013を備えて構成されている。
【0068】
次に本実施形態のプリンタ1000の構成をその動作と共に説明する。
【0069】
図8において、クリーナ1011により、前回のサイクルで感光ドラム1002の表面に残ったトナーが除去された後、今回のサイクル用に帯電器1012によって、コロナ放電等により感光ドラム1002の表面が帯電される。続いて、上述した実施形態のプリンタヘッド1によるデータ信号に応じた露光によって、感光ドラム1002の表面にデータ信号に応じた静電潜像が形成される。続いて、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(黒)のうち、各ユニットに対応する色のトナーを用いることで、現像器1021による現像が行われ、感光ドラム1002の表面には、トナー付着による可視像たるトナー画像の形成が行われる。他方、転写ベルト1020は、ローラ1021、1022等により回動されている。そして、各感光ドラム1002に対向する転写位置にて、転写ローラ1014で裏側から押された形で、感光ドラム1002上のトナー画像が転写ベルト1020上に転写される。この転写されたトナー画像は、搬送装置1030により搬送されるコピー用紙等の用紙上に更に転写される。そして、不図示の定着装置等を介して、排出トレー上に画像形成済みの用紙が排出される。
【0070】
以上説明したように本実施形態のプリンタ1000は、上述したプリンタヘッド1を備えるので、感光ドラム1002を高速且つ高解像度で露光可能である。しかも、プリンタヘッド1を小型化した場合でも、例えば、電圧プログラム方式を実行するための保持容量をプリンタヘッド1に備えることができ、プリンタにおける小型化と共に画質も高めることができる。特に、図8において、感光ドラム1002の回転軸方向には、プリンタヘッド1は、その長手方向として所望の長さに形成することが容易にして可能であり、しかも、感光ドラム1002の周方向に沿った方向についてのプリンタヘッド1の長さは、その短手方向の長さに他ならず、非常に短くすることができる。よって、図8の如き感光ドラム1002の周囲を囲んで各種装置を配置する構成を有するプリンタに対して、本実施形態の如きプリンタヘッド1を適用することは、大変有利である。
【0071】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うプリンタヘッド及びこれを備えたプリンタもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタヘッドの構成を概略的に示した斜視図である。
【図2】本実施形態に係るプリンタヘッドの図式的な部分拡大平面図である。
【図3】本実施形態に係るプリンタヘッドの電気的な接続状態を示したブロック図である。
【図4】本実施形態に係るプリンタヘッドに含まれる画素部201を拡大して示した平面図である。
【図5】図4のV−V´線断面図である。
【図6】本実施形態の駆動用トランジスタの構成を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るプリンタの電気的な接続状態を示したブロック図である。
【図8】本発明の実施形態に係るプリンタの主要構成を示す図式的断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1,100 プリンタヘッド、TR1 制御用トランジスタ、TR2 駆動用トランジスタ、201 画素部、Cgd,Cgs 保持容量、11 発光部、OLED 有機EL発光素子、101 ドレイン電極、102 ゲート電極、103 ソース電極、1000 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体を露光するためにライン状に配列された複数の電流駆動型の発光素子と、
前記発光素子毎に設けられており、前記発光素子に駆動電流をデータ信号に応じて流すための駆動用トランジスタを夫々含み、該駆動用トランジスタのゲートを一対の容量電極の一方として且つ該一対の容量電極間に介在する層間絶縁膜を誘電体膜として前記データ信号に応じた電荷を保持するための保持容量が夫々構成されており、該保持容量に保持される電荷に応じた電圧が前記ゲートに夫々印加される複数の画素回路と
を備えたことを特徴とするプリンタヘッド。
【請求項2】
前記保持容量は、前記一対の容量電極及び前記誘電体膜のみから構成されていること
を特徴とする請求項1に記載のプリンタヘッド。
【請求項3】
前記一対の容量電極の他方は、前記駆動用トランジスタのチャネル領域を含む半導体層におけるソース領域及びドレイン領域のうち少なくとも一方を含むこと
を特徴とする請求項1又は2に記載のプリンタヘッド。
【請求項4】
前記一対の容量電極の他方は、前記駆動用トランジスタのソース電極及びドレイン電極のうち少なくとも一方を含むこと
を特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のプリンタヘッド。
【請求項5】
前記複数の発光素子が配列された配列方向に沿って前記複数の画素回路は配列されており、該配列方向に交わる方向に沿って、前記ゲートにおける少なくとも前記容量電極の一方として機能する部分及び前記容量電極の他方が長手状に延びていること
を特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のプリンタヘッド。
【請求項6】
前記画素回路は、前記データ信号に対応する2値電圧に応じて前記発光素子に選択的に前記駆動電流を流す電圧プログラム方式によって前記発光素子を駆動すること
を特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のプリンタヘッド。
【請求項7】
前記保持容量は、前記発光素子が所要の発光量で発光する際に、前記ゲートにおける前記電圧の電圧降下が0.3V以下になるように設定されていること
を特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のプリンタヘッド。
【請求項8】
前記保持容量は、前記発光素子が所要の発光量で発光する際の電流リークによる電圧降下が50mV以下になるように設定されていること
を特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のプリンタヘッド。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載のプリンタヘッドと、
前記感光体と、
前記プリンタヘッドによる露光によって前記感光体に形成された静電潜像を現像することで可視像を形成する現像手段と、
前記形成された可視像を記録媒体上に転写する転写手段とを備えたこと
を特徴とする画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−95786(P2006−95786A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282977(P2004−282977)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】