プリンタ及びプリント方法
【課題】レンチキュラーシートの搬送姿勢を精度よく検出して調整する。
【解決手段】レンチキュラーシート13を半円柱状レンズ部17の配列方向に搬送し、投光部61により表面部18側から搬送方向に直交したライン状の検出光Sを半円柱状レンズ部17に向けて照射する。半円柱状レンズ部17により拡散された検出光Sは、搬送方向に直交する方向に長手方向が沿うように配置され、平面63bが裏面部19に密着されたシリンドリカルレンズ63により集光され、ラインセンサ64によって検出される。検出光Sは、半円柱状レンズ部17から拡散されることなくラインセンサ64で検出されるので、検出精度が向上する。
【解決手段】レンチキュラーシート13を半円柱状レンズ部17の配列方向に搬送し、投光部61により表面部18側から搬送方向に直交したライン状の検出光Sを半円柱状レンズ部17に向けて照射する。半円柱状レンズ部17により拡散された検出光Sは、搬送方向に直交する方向に長手方向が沿うように配置され、平面63bが裏面部19に密着されたシリンドリカルレンズ63により集光され、ラインセンサ64によって検出される。検出光Sは、半円柱状レンズ部17から拡散されることなくラインセンサ64で検出されるので、検出精度が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半円柱状レンズ部を有するレンチキュラーシートの平坦な裏面部に、半円柱状レンズ部に合わせて印画を行うプリンタと、プリント方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半円柱状レンズ部を平行に配列した表面部と平坦な裏面部とを有するレンチキュラーシートと、裏面部に印画した画像とによって立体画像を観察できるようにした立体プリントが知られている。裏面部の画像は、例えば左右の異なる視点から撮影等を行うことにより互いに視差が与えられた2つ以上の原画像からなり、これらの原画像を線状に分割した線状画像が半円柱状レンズ部の長手方向に沿って縞状に配置している。立体プリントをレンチキュラーシートの表面側から観察すると、視差のある各線状画像が各半円柱状レンズ部によって観察者の左右の目で別々に視認されるので、観察者には立体画像として認識される。
【0003】
線状画像は、半円柱状レンズ部に対して正確に位置を合わせて印画しなければならない。このため、特許文献1記載のインクジェット記録装置では、レンチキュラーシートの裏面部に各半円柱状レンズ部をその長手方向に沿って分離する突条状の記録層分離手段を半円柱状レンズ部の配列方向に沿って複数形成し、レンチキュラーシートを半円柱状レンズ部の配列方向に沿って搬送する際に、記録層分離手段をピッチ検出手段により検出して、その検出結果に基づいてレンチキュラーシートを搬送する搬送手段の駆動を制御している。
【0004】
特許文献2記載のレンチキュラーディスプレイの製造方法では、レンチキュラーシートの表面部側から検出光を照射する発光部と、裏面部側で半円柱状レンズ部を透過した検出光を検出するセンサーカメラとからなる2組のセンサーシステムを用いて、レンチキュラーシートの半円柱状レンズ部の配列方向における位置及び傾き等の姿勢を検出している。センサーカメラは、暗箱内にレンチキュラーシートを透過した検出光を集光するレンズと、レンズにより集光された検出光を検出するラインセンサとを収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−015766号公報
【特許文献2】特開平07−261120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の発明は、レンチキュラーシートの裏面部に複数の突条状の記録層分離手段を設けているため、記録ヘッドが記録媒体に接触する熱転写等の記録方式では採用することができない。
【0007】
特許文献2記載の発明は、レンチキュラーシートを透過した検出光を、レンチキュラーシートの裏面部から離れた位置に配置されたセンサーカメラによって検出している。そのため、レンチキュラーシートの裏面部から検出光が放射されて拡散することにより、ラインセンサの受光量が低下し、レンチキュラーシートの姿勢検出精度が低下してしまう。
【0008】
シート状の記録媒体への印画には、一般的に、記録媒体を副走査方向に搬送し、その搬送中に主走査方向に1ラインずつ画像を印画するラインプリンタが用いられるが、これはレンチキュラーシートへの印画でも例外ではない。しかし、引用文献2には、ラインプリンタでのレンチキュラーシートの搬送中に姿勢をどのように検出し、搬送姿勢をどのように調整するのかが具体化されていない。立体プリントに使用されるレンチキュラーシートには、半円柱状レンズ部の配列数が100LPI(Line Per Inch)という高精細なものがあり、このようなレンチキュラーシートの姿勢調整量は微細なものとなるため、レンチキュラーシートの姿勢検出と姿勢調整とが連係して行われることが求められる。
【0009】
本発明の目的は、レンチキュラーシートの搬送姿勢を精度よく検出して調整することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプリンタは、複数の半円柱状レンズ部を平行に配列した表面部と平坦な裏面部とを有するレンチキュラーシートを半円柱状レンズ部の配列方向に搬送するとともに、レンチキュラーシートを表面部に直交する軸回りで回転させてレンチキュラーシートの搬送姿勢を調整する搬送手段と、表面部側から搬送方向に直交したライン状の検出光を半円柱状レンズ部に向けて照射する投光手段と、搬送方向に直交する方向に長手方向が沿うように配置された平凸型のシリンドリカルレンズであって、凸面の反対側に設けられた平面が裏面部の通過する搬送面に一致するように配置されているシリンドリカルレンズと、レンチキュラーシートの裏面部とシリンドリカルレンズの平面とを密着させる密着手段と、搬送方向に沿って配列された複数の画素によりシリンドリカルレンズによって集光された検出光を受光し、半円柱状レンズ部の頂点位置を表す検出信号を出力するラインセンサと、検出信号に基づいて搬送手段を制御し、半円柱状レンズ部の長手方向が搬送方向に直交する方向に対して平行になるようにレンチキュラーシートの搬送姿勢を調整する制御手段と、互いに視差を有する2つ以上の原画像がそれぞれ線状に分割された複数の線状画像を半円柱状レンズ部の長手方向に沿って縞状に裏面部に印画する印画ヘッドとを備えている。
【0011】
投光手段は、隣接する2本以上の前記半円柱状レンズ部に対して前記検出光を照射し、シリンドリカルレンズは、2本以上の前記半円柱状レンズ部によりそれぞれ拡散されて2本以上になった検出光をそれぞれ集光し、ラインセンサは、シリンドリカルレンズによって集光された2本以上の検出光を受光し、2本以上の半円柱状レンズ部の頂点位置を表した前記検出信号を出力してもよい。
【0012】
制御手段は、搬送手段にレンチキュラーシートを間欠搬送させるとともに、レンチキュラーシートの搬送停止時に取得した検出信号に基づいてレンチキュラーシートの搬送姿勢を調整することが好ましい。
【0013】
投光手段及びシリンドリカルレンズは、搬送方向に直交する方向においてレンチキュラーシートの両端縁に対面する位置にそれぞれ設けられ、ラインセンサは、各シリンドリカルレンズの両端部にそれぞれ対面するように一対ずつ設けられており、制御手段は、各一対のラインセンサからそれぞれ出力された検出信号に基づいて半円柱状レンズ部の搬送方向に直交する方向に対する傾斜方向及び傾斜角度をそれぞれ算出し、これらの算出結果に基づいて搬送手段を制御してもよい。
【0014】
投光手段、シリンドリカルレンズ及びラインセンサは、搬送方向に直交する方向においてレンチキュラーシートの両端縁に対面する位置にそれぞれ設けられており、制御手段は、各ラインセンサからそれぞれ出力された検出信号に基づいて、レンチキュラーシートの両端縁における半円柱状レンズ部の頂点位置が搬送方向において一致するように搬送手段を制御してもよい。
【0015】
制御手段は、表面部に直交する軸回りにおけるレンチキュラーシートの最小ピッチでの回転と、検出信号の半値幅の検出と、回転前後の半値幅の比較とを繰り返し、半値幅の比較結果に基づいてレンチキュラーシートの回転方向を切り換え、半値幅が最小になるようにレンチキュラーシートの搬送姿勢を調整してもよい。
【0016】
制御手段は、表面部に直交する軸回りにおけるレンチキュラーシートの最小ピッチでの回転と、検出信号に基づく2本の半円柱状レンズ部の頂点位置間隔の検出と、回転前後の頂点位置間隔の比較とを繰り返し、比較結果に基づいてレンチキュラーシートの回転方向を切り換え、頂点位置間隔が最小になるようにレンチキュラーシートの搬送姿勢を調整してもよい。
【0017】
制御手段は、ラインセンサの各画素の位置と各画素の出力信号との関係を表す検出信号から半円柱状レンズ部の1本分に相当する範囲を特定し、特定範囲内で最大の値の出力信号を出力した最大画素と、次に大きな値の出力信号を出力した次点画素とを特定し、最大画素と最大画素に隣接する最大隣接画素との出力値を結んだ最大接線と、次点画素と次点画素に隣接する次点隣接画素との出力値を結んだ次点接線とをそれぞれ求め、最大接線と次点接線との交点を半円柱状レンズ部の頂点位置としてもよい。
【0018】
検出光の波長は、600〜1000nmであることが好ましい。
【0019】
制御手段は、検出信号に基づいて、半円柱状レンズ部の移動本数を計数してレンチキュラーシートの搬送位置を特定し、印画開始位置を制御することが好ましい。
【0020】
制御手段は、検出信号の波形に基づいて線状画像の1本分の印画範囲を特定することが好ましい。
【0021】
制御手段は、検出信号の半円柱状レンズ部の1本分に相当する波形からピーク値を特定し、1本の半円柱状レンズ部に印画される線状画像の本数に応じて設定された少なくとも1つの係数をピーク値に乗算し、この算出結果から得た信号レベルに対応するラインセンサの画素位置から、線状画像の1本分の印画範囲を特定してもよい。
【0022】
制御手段は、検出信号の半円柱状レンズ部の1本分に相当する波形から、信号レベルが最大の位置である最大点と、前記最大点を挟む信号レベルが最小の位置である第1最小点及び第2最小点とを特定し、第1最小点と最大点、及び最大点と第2最小点との間を等分して、線状画像の1本分の印画範囲を特定してもよい。
【0023】
搬送手段として、搬送方向に直交する方向においてレンチキュラーシートの両端縁に対面する位置に1組ずつ設けられ、レンチキュラーシートを挟み込んで回転することによりレンチキュラーシートを搬送する一対の搬送ローラを用いてもよい。
【0024】
密着手段は、印画ヘッドによる裏面部への印画時にレンチキュラーシートを支持するプラテンとして用いられることが好ましい。
【0025】
本発明のプリント方法は、複数の半円柱状レンズ部を平行に配列した表面部と平坦な裏面部とを有するレンチキュラーシートが半円柱状レンズ部の配列方向に搬送される際に、表面部側から搬送方向に直交したライン状の検出光を半円柱状レンズ部に向けて照射するステップと、搬送方向に直交する方向に長手方向が沿うように配置され、凸面の反対側に設けられた平面が裏面部に当接している平凸型のシリンドリカルレンズによって検出光を集光し、搬送方向に沿って配列された複数の画素を有するラインセンサによって検出光を受光して、半円柱状レンズ部の頂点位置を表す検出信号を出力するステップと、検出信号に基づいて、半円柱状レンズ部の長手方向が搬送方向に直交する方向に対して平行になるようにレンチキュラーシートの搬送姿勢を調整するステップと、視差を有する2つ以上の原画像がそれぞれ線状に分割された複数の線状画像を半円柱状レンズ部の長手方向に沿って縞状に裏面部に印画するステップとを備えている。
【0026】
検出光は、隣接する2本以上の前記半円柱状レンズ部に対して照射され、シリンドリカルレンズは、2本以上の半円柱状レンズ部によりそれぞれ拡散されて2本以上になった検出光をそれぞれ集光し、ラインセンサは、シリンドリカルレンズによって集光された2本以上の検出光を受光し、2本以上の半円柱状レンズ部の頂点位置を表した検出信号を出力することが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、レンチキュラーシートの裏面部にシリンドリカルレンズの平面を密着手段によって密着させたので、裏面部から検出光が拡散して光量が低下するのを防止することができる。また、検出光の光量低下が生じないので、半円柱状レンズ部の検出精度も向上する。更に、検出光の移動量は、シリンドリカルレンズにより拡大されるので、レンチキュラーシートの微小な移動であっても精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のプリンタの構成を示す概略図である。
【図2】レンチキュラーシートの構成を示す斜視図である。
【図3】搬送機構の構成を示す正面図である。
【図4】印画部の構成を示す概略図である。
【図5】記録用フイルムの構成を示す展開図である。
【図6】姿勢検出部の構成を示す正面図である。
【図7】検出ユニットの構成を示す正面図である。
【図8】検出ユニットの構成を示す側面図である。
【図9】検出信号の1例を示すグラフである。
【図10】ラインセンサによる半円柱状レンズ部の検出状態を示す平面図である。
【図11】2つのラインセンサの検出信号がずれている状態を示すグラフである。
【図12】検出信号に係数を乗算して線状画像が印画される微小領域を特定した状態を表すグラフである。
【図13】検出信号を等分して線状画像が印画される微小領域を特定した状態を表すグラフである。
【図14】画素ピッチの粗いラインセンサにより半円柱状レンズ部の頂点位置を特定した状態を表すグラフである。
【図15】レンチキュラーシートの姿勢検出及び姿勢調整の手順を示すフローチャートである。
【図16】第2実施形態の姿勢検出部の構成を示す正面図である。
【図17】第3実施形態の検出ユニットの構成を示す正面図である。
【図18】第3実施形態のラインセンサの検出信号を表すグラフである。
【図19】第4実施形態の姿勢検出部の構成を示す正面図である。
【図20】第4実施形態のレンチキュラーシートの姿勢検出及び姿勢調整の手順を示すフローチャートである。
【図21】第4実施形態の姿勢検出及び姿勢調整に検出信号のピーク値間距離を用いた例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明のプリンタ10は、右方の給送口11から搬送路12内に供給したレンチキュラーシート13を左方の排出口14に向けて搬送し、搬送中のレンチキュラーシート13に、互いに視差を有する2つ以上の原画像をそれぞれ線状に分割した線状画像を縞状に印画して立体プリントを作成する。作成された立体プリントは、排出口14からプリンタ10の外に排出される。
【0030】
図2に示すように、レンチキュラーシート13は、透明なプラスチックによって形成されている。レンチキュラーシート13は、多数の半円柱状レンズ部17を平行に配列した表面部18と、この表面部18の反対側に設けられた平坦な裏面部19とを有している。半円柱状レンズ部17は、矢線A方向に長い形状を有している。また、半円柱状レンズ部17は、隣り合う同士が接するように、例えば、100LPI(Line Per Inch)の密度で矢線B方向に沿って配列されている。したがって、各半円柱状レンズ部17の配列方向の幅及び配列ピッチは、254μmとなる。
【0031】
レンチキュラーシート13の裏面部19には、半円柱状レンズ部17ごとに仮想的な画像領域22が設定されている。各画像領域22は、原画像の数に応じて、例えば6個の微小領域22aに分割されている。6つの原画像をそれぞれ線状に分割した線状画像は、これらの微小領域22aにそれぞれ印画される。立体プリントは、半円柱状レンズ部17の配列方向が観察時の左右方向となる状態で、レンチキュラーシート13の表面部18側から観察される。これにより、視差のある線状画像が各半円柱状レンズ部17によって観察者の左右の目で別々に視認されるので、観察者には立体画像として認識される。
【0032】
図1に示すように、レンチキュラーシート13は、表面部18を上にして半円柱状レンズ部17の配列方向に沿って給送口11から搬送路12内に送り込まれる。レンチキュラーシート13は、例えばレンチキュラーシート13を積層したカセットから、周知の給送機構によって自動で搬送路12に供給される。なお、レンチキュラーシート13を手動で給送口11に差し込むようにしてもよい。
【0033】
搬送路12内には、給送口11の近傍に給送ローラ対25が設けられている。給送ローラ対25は、給送用モータ26により駆動されるキャプスタンローラ25aと、キャプスタンローラ25aとの間にレンチキュラーシート13を挟み込むピンチローラ25bとからなる。給送ローラ対25は、レンチキュラーシート13を挟み込んで回転することにより、レンチキュラーシート13を搬送路12内に向けて搬送する。ピンチローラ25bは、図示しない昇降機構により、レンチキュラーシート13を挟み込む位置と挟み込みを解除する位置との間で移動される。
【0034】
搬送路12内には、排出口14の近傍に搬送機構29が設けられている。搬送機構29を排出口14側から見た状態を表す図3に示すように、搬送機構29は、レンチキュラーシート13の搬送方向に直交する方向において、レンチキュラーシート13の両端縁に対面する位置に1組ずつ設けられた2つの搬送ローラ対29a、29bと、先端検出センサ30からなる。
【0035】
搬送ローラ対29aは、搬送用モータ32により駆動されるキャプスタンローラ33と、キャプスタンローラ33との間にレンチキュラーシート13を挟み込むピンチローラ34とからなる。搬送用モータ32は、ステッピングモータであり、キャプスタンローラ33を連続してまたは間欠的に回転させる。キャプスタンローラ33及びピンチローラ34は、レンチキュラーシート13に対する滑りが低減されたゴムローラからなる。ピンチローラ34は、図示しない昇降機構により、レンチキュラーシート13を挟み込む位置と挟み込みを解除する位置との間で移動される。なお、搬送ローラ対29bは、搬送ローラ対29aと同じ構成をレンチキュラーシート13の搬送方向に対して対称に配置したものであるため、詳しい説明は省略する。
【0036】
各搬送ローラ対29a,29bは、レンチキュラーシート13を挟み込んで同方向に同速度で回転することにより、レンチキュラーシート13を給送口11から排出口14に向かう順方向と、その逆方向とに搬送する。また、各搬送ローラ対29a,29bの回転速度を異ならせてレンチキュラーシート13の両端縁の搬送量を異ならせることにより、表面部18に直交する軸回りでレンチキュラーシート13を回転させることができる。これにより、レンチキュラーシート13を搬送しながら搬送姿勢を調整することができる。
【0037】
先端検出センサ30は、給送ローラ対25により搬送路12内に送り込まれたレンチキュラーシート13の先端を検出するための光学センサである。各搬送ローラ対29a,29bによるレンチキュラーシート13の挟み込みは、先端検出センサ30によるレンチキュラーシート13の先端検出に基づいて行われる。
【0038】
給送ローラ対25と搬送機構29との間には、搬送路12の下方に印画部37が設けられている。図4に示すように、印画部37は、レンチキュラーシート13の裏面部19にインクのドットを転写して印画を行うサーマルヘッド38と、インクを担持した記録用フイルム39を裏面部19に重ね合わせるように供給するフイルム供給機構40とを備えている。
【0039】
サーマルヘッド38は、裏面部19に当接できるように印画部37の上部に設けられている。サーマルヘッド38の上面には、レンチキュラーシート13の搬送方向(副走査方向)に直交する主走査方向に沿って多数の発熱素子をライン状に配列した発熱素子アレイ38aが副走査方向に2列設けられている。各発熱素子アレイ38aは、その長さがレンチキュラーシート13の記録エリアの主走査方向の長さとほぼ同じになっている。また、1個の発熱素子によって記録される1画素の副走査方向の長さが約20μmとなっており、2列の発熱素子アレイ38aによる1回の印画で1つの微小領域22aに線状画像を記録することができる。なお、サーマルヘッド38に1本の発熱素子アレイ38aを設け、1ラインずつ記録してもよい。
【0040】
図5に示すように、記録用フイルム39は、レンチキュラーシート13の主走査方向の記録領域の長さと同じ幅を有する長尺のプラスチックフイルムに、受像層領域39a、イエロー領域39b、マゼンタ領域39c、シアン領域39d及びバック層領域39eの順で複数セット設けたものである。各領域39a〜39eの副走査方向の長さは、レンチキュラーシート13の記録領域の副走査方向の長さと同じである。したがって、各領域39a〜39eとレンチキュラーシート13の記録領域との面積も同じである。
【0041】
受像層領域39aは、プラスチックフイルムに担持された透明な受像材からなり、裏面部19に重ね合わされた状態で発熱素子アレイ38aに加熱されることにより、裏面部19に受像材を転写する。受像材は、裏面部19の記録領域の全域に転写されることにより、カラーインクを付着させるための受像層を形成する。レンチキュラーシート13は、カラーインクが付着しにくい透明なプラスチックシートであるため、そのままではカラーインクによる印画を行うことができないが、最初に受像層を形成することにより、受像層の上に印画が行えるようになる。
【0042】
イエロー領域39b、マゼンタ領域39c、シアン領域39dは、プラスチックフイルムに担持されたイエローインク、マゼンタインク、シアンインクからなる。イエロー、マゼンタ、シアンの各インクは、裏面部19に重ね合わされた状態で発熱素子アレイ38aに加熱されることにより昇華し、受像層の上に付着する。各インクの付着量、すなわち受像層上に印画される画像の濃度は、加熱量に応じて増減される。
【0043】
バック層領域39eは、プラスチックフイルムに担持された白色インクからなり、裏面部19に重ね合わされた状態で発熱素子アレイ38aに加熱されることにより、受像層と各インクの上に転写される。白色インクは、受像層と各インク層との背後に白色のバック層を形成し、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクが転写されていない透明な部分を塞ぐ。
【0044】
フイルム供給機構40は、記録用フイルム39がロール状に巻かれた供給用スプール43と、供給用スプール43との間にサーマルヘッド38を挟むように配置された空の巻取り用スプール44と、サーマルヘッド38の両側で記録用フイルム39を支持する一対の支持ローラ45と、巻取り用スプール44を巻取り方向に回転させる巻取り用モータ46とを備えている。記録用フイルム39は、レンチキュラーシート13の矢線方向への搬送に同期して巻取り用スプール44が回転することにより、供給用スプール43から引き出されて巻取り用スプール44に巻き取られていく。
【0045】
図1に示すように、印画部37は、ヘッド駆動部49によって駆動制御される。ヘッド駆動部49は、レンチキュラーシート13の裏面部19に受像層とバック層とを形成するときには、受像材と白色インクとを転写するために必要な発熱量を各発熱素子が同時に発生するようにサーマルヘッド38を駆動する。また、ヘッド駆動部49は、記録用フイルム39のイエロー領域39b、マゼンタ領域39c、シアン領域39dを用いて画像を記録する際には、入力された画像データに基づいてサーマルヘッド38を駆動し、イエロー、マゼンタ、シアンの3色の画像を面順次で記録する。
【0046】
ヘッド駆動部49には、データ変換部52から画像データが入力される。データ変換部52は、図示しないI/Oポートやメモリカードから入力された互いに視差を有する2つの画像に画像処理を施して、互いに視差を有する6つの画像を生成し、これらの画像の画像データをヘッド駆動部49に入力する。
【0047】
図1に示すように、印画部37の主走査方向の両側方と上方とには、レンチキュラーシート13の搬送姿勢を検出する姿勢検出部55が設けられている。姿勢検出部55を排出口14側から見た図6に示すように、姿勢検出部55は、主走査方向においてレンチキュラーシート13の余白となる両端縁に対面する位置に1組ずつ配置された2つの検出ユニット56a,56bと、副走査方向において検出ユニット56a,56bを挟むようにレンチキュラーシート13の上方に配置された一対の密着用ローラ57、58から構成されている。
【0048】
検出ユニット56aを副走査方向から見た詳細を表す図7に示すように、検出ユニット56aは、投光部61、スリット板62、シリンドリカルレンズ63、一対のラインセンサ64,65からなる。投光部61は、搬送路12の上方に配置された半導体レーザまたはLEDであり、レンチキュラーシート13の表面部18に向けて検出光Sを照射する。検出光Sは、感度の低いラインセンサでも良好に検出ができるようにするため、レンチキュラーシート13による拡散が少ない600〜1000nm程度の波長の光が用いられる。
【0049】
スリット板62は、投光部61と搬送路12との間に配置された遮光性を有する板状部材であり、主走査方向に沿って長辺が配された長方形のスリット62aを備えている。シリンドリカルレンズ63は、その長手方向が主走査方向に沿うようにレンチキュラーレンズ13の下方に配置されている。このシリンドリカルレンズ63は、円弧状の凸面63aとその反対側の平面63bとを有する平凸型シリンドリカルレンズであり、平面63bは、レンチキュラーシート13の裏面部19が通過する通過面に一致するように配置されている。
【0050】
一対のラインセンサ64,65は、副走査方向に沿って画素64a,65aが配列されたCCDラインセンサである。ラインセンサ64,65は、シリンドリカルレンズ63の下方で、シリンドリカルレンズ63の長手方向の両端部に対面するように配置されており、各画素64a,65aの中心がシリンドリカルレンズ63の光軸中心に一致するように固定されている。
【0051】
検出ユニット56aを主走査方向から見た詳細を表す図8に示すように、スリット板62のスリット62aの副走査方向の長さは、半円柱状レンズ部17の1本分程度となっている。投光部61から照射された検出光Sは、スリット62aによって主走査方向に長いライン状の光に絞られる。レンチキュラーシート13を透過した検出光Sは、半円柱状レンズ部17によって拡散されるが、副走査方向の長さが半円柱状レンズ部17よりも大きなシリンドリカルレンズ63によって細いライン状に集光され、ラインセンサ64,65に入射される。
【0052】
ラインセンサ64,65は、受光した検出光Sに基づいてアナログの検出信号を発生する。アナログの検出信号は、ラインセンサ64,65に内蔵しているADコンバータでデジタル化され、デジタルの検出信号として出力される。図9に示すように、ラインセンサ64,65から出力された検出信号Fは、横軸にラインセンサ64,65の各画素の位置をとり、縦軸に各画素の出力信号の信号値をとった波形となり、この波形のピーク値Pに相当する画素位置Qが、半円柱状レンズ部17の頂点位置となる。
【0053】
シリンドリカルレンズ63から出射される検出光Sは、レンチキュラーシート13の搬送によって搬送方向に移動し、表面部18に直交する軸回りでレンチキュラーシート13が回転したときに同様に回転する。ラインセンサ64、65によって検出される検出光Sの移動量は、シリンドリカルレンズ63により拡大されているため、レンチキュラーシート13の微小な移動であっても精度よく検出することができる。
【0054】
検出ユニット56a,56bにラインセンサ64、65を一対ずつ設けているのは、シリンドリカルレンズ63の光軸中心を透過した検出光Sのピーク位置を求めるためである。上述したように、ラインセンサは、その画素中心がシリンドリカルレンズ63の光軸中心に一致するように固定される必要があるが、図10に示すように、取り付け誤差により両者の画素中心64x,65xに位置ずれが生じてしまう。
【0055】
そのため、本実施形態では、ラインセンサ64、65の画素中心64x,65xのずれ量(オフセット量)であるXoffを予め求めておき、図11に示すラインセンサ64、65の検出信号F1,F2の差XからXoffを減算することにより、シリンドリカルレンズ63の光軸中心を透過した検出光Sのピーク位置に相当するピーク位置Paを求めている。なお、ピーク位置Paは、ラインセンサ64の検出信号F1にXoffを加算し、あるいはラインセンサ65の検出信号F2からXoffを減算しても求めることができる。
【0056】
検出ユニット56bは、検出ユニット56aと同一の構成を有し、検出ユニット56aと同様にシリンドリカルレンズ63の光軸中心を透過した検出光Sのピーク位置Pbを検出する。そのため、検出ユニット56bの詳しい説明は省略する。
【0057】
密着用ローラ57、58は、主走査方向に沿って配置されており、レンチキュラーレンズ13の主走査方向の幅とほぼ同じ長さを有している。密着用ローラ57、58は、上下動が可能なように支持されており、バネ57a,58aにより下方に向けて付勢され、レンチキュラーシート13の表面部18に当接している。密着用ローラ57、58は、レンチキュラーシート13の搬送に従動して回転し、裏面部19をシリンドリカルレンズ63の平面63bに押し付けて密着させる。裏面部19と平面63bとを密着させることにより、裏面部19から検出光Sが拡散して光量が低下するのを防止することができ、検出精度の向上にも資することができる。また、密着用ローラ57、58は、印画時にレンチキュラーシート13を支持するプラテンとしても機能する。
【0058】
図1に示す制御部59は、例えば、制御プログラム等に基づいて各種演算処理を行うCPU、制御プログラムを格納したROM、制御中に生じた各種データを一時的に記憶するRAM、上述した各モータや投光部、ラインセンサ等のドライバ等からなり、プリンタ10の各部を統括的に制御する。
【0059】
制御部59は、各検出ユニット56a,56bのラインセンサ64、65から出力された検出信号に基づいて半円柱状レンズ部17の通過本数をカウントすることにより、レンチキュラーシート13の搬送位置を検出し、裏面部19に対する印画開始位置を特定する。また、制御部59は、各検出ユニット56a,56bにより求められたピーク位置Pa,Pbと、検出ユニット56a,56b間の距離Wとに基づいて、主走査方向に対する半円柱状レンズ部17の傾き方向を特定し、傾斜角度θを算出する。
【0060】
制御部59は、半円柱状レンズ部17の傾き方向と傾斜角度θとに基づいて搬送機構29を制御し、各搬送ローラ対29a、29bの回転速度を異ならせる。これにより、レンチキュラーシート13の両端縁の搬送量が異なることになるため、レンチキュラーシート13が表面部18に直交する軸回りで回転し、半円柱状レンズ部17の長手方向が主走査方向と平行になる。
【0061】
また、制御部59は、裏面部19の微小領域22aの位置を特定し、特定した微小領域22aの位置に合わせて、印画部37にイエロー、マゼンタ、シアンの各色を印画させる。図12に示すように、制御部59は、レンチキュラーシート13の搬送姿勢の調整後に、例えばラインセンサ64の検出信号F1の波形からピーク値Pを特定し、このピーク値Pに予め設定されている係数α、βを乗算し、算出した波形レベルに対応する画素位置L1〜L7から6個の微小領域22aを求める。これにより、レンチキュラーシート13内の個々の半円柱状レンズ部17に合わせて印画を行うことができるので、半円柱状レンズ部17の形状のバラツキにも対応することができる。
【0062】
なお、微小領域22aの特定には、検出信号F1の波形を画素方向で等分して求めてもよい。例えば、図13に示すように、検出信号F1の波形からピーク値Pと両端の最小値T1,T2を求め、これらP,T1,T2に対応する画素位置をL1,L4,L7とし、L1とL4及びL4とL7の間をそれぞれ等分して画素位置L2,L3,L5,L6を求める。これにより、6個の微小領域22aを特定することができる。
【0063】
また、制御部59は、ラインセンサ64、65の画素ピッチよりも細かなピッチで半円柱状レンズ部17の頂点位置を検出する。図14に示すように、画素n1、n2の出力値に大きな差がなく、検出信号のピーク値が明確でない場合、制御部59は、最大の出力値の最大画素n1と、次に大きな出力値の次点画素n2とを特定する。次いで、最大画素n1と最大画素n1に隣接する最大隣接画素na1とを結んだ最大接線M1と、次点画素n2と次点画素n2に隣接する次点隣接画素na2とを結んだ次点接線M2とをそれぞれ求め、最大接線M1と次点接線M2との交点Pmに対応する画素位置Q1を半円柱状レンズ部17の頂点位置とする。これにより、画素ピッチが大きなラインセンサを使用して、ピッチの細かなレンチキュラーシート13の半円柱状レンズ部17を検出することができる。
【0064】
第1実施形態のプリンタ10の作用について説明する。制御部59は、給送口11からレンチキュラーシート13が供給されたときに、給送ローラ対25を制御してレンチキュラーシート13を挟み込ませ、給送用モータ26を駆動制御してレンチキュラーシート13を搬送路12内に給送する。
【0065】
制御部59は、先端検出センサ30によってレンチキュラーシート13の先端が検出されたときに、各検出ユニット56a,56bを作動させ、ラインセンサ64、65の検出信号に基づいて半円柱状レンズ部17の通過本数のカウントを開始する。制御部59は、半円柱状レンズ部17の通過本数が所定本数に達したときに、給送ローラ対25によるレンチキュラーシート13の給送を停止し、各搬送ローラ対29a、29bにレンチキュラーシート13を挟み込ませる。そして、給送ローラ対25によるレンチキュラーシート13の挟み込みを解除する。
【0066】
図15に示すように、制御部59は、各搬送ローラ対29a,29bを同速度で回転させてレンチキュラーシート13を順方向に間欠搬送させる。制御部59は、レンチキュラーシート13の搬送開始と同時に各検出ユニット56a,56bを作動させ、ラインセンサ64、65の検出信号に基づいて半円柱状レンズ部17の通過本数のカウントを開始する。
【0067】
制御部59は、半円柱状レンズ部17の通過本数が所定本数に達したときに、ラインセンサ64、65の検出信号に基づいて主走査方向に対する半円柱状レンズ部17の傾き方向と傾斜角度θとを算出する。なお、安定した信号波形の検出信号によって高精度に半円柱状レンズ部17の傾き方向を特定し、傾斜角度θを算出するため、レンチキュラーシート13の間欠搬送中の停止時に取得した検出信号が用いられる。
【0068】
制御部59は、半円柱状レンズ部17の傾き方向と傾斜角度θとに基づいて各搬送ローラ対29a、29bの回転速度を異ならせ、半円柱状レンズ部17の長手方向が主走査方向と平行になるようにレンチキュラーシート13の搬送姿勢を調整する。
【0069】
制御部59は、各搬送ローラ対29a,29bを同速度で回転させてレンチキュラーシート13を順方向に向けて間欠搬送させ、ラインセンサ64、65の検出信号に基づいて半円柱状レンズ部17の通過本数のカウントを開始する。また、制御部59は、ラインセンサ64の検出信号F1に基づいて、裏面部19の微小領域22aの位置を特定する。制御部59は、半円柱状レンズ部17の通過本数が所定本数に達したときに、レンチキュラーシート13の記録領域の先端がサーマルヘッド38に達したものと特定し、印画部37を制御して裏面部19に受像層を形成させる。
【0070】
制御部59は、受像層の形成後にレンチキュラーシート13を逆方向に向けて搬送し、検出信号に基づいて半円柱状レンズ部17の通過本数をカウントし、記録領域の先端がサーマルヘッド38に達したときに搬送を停止させる。制御部59は、レンチキュラーシート13を再び順方向に向けて搬送し、印画部37にイエローの各線状画像を印画させる。制御部59は、イエローの線状画像の印画時に、検出信号F1から位置を求めた微小領域22a内に各線状画像を印画する。
【0071】
制御部59は、レンチキュラーシート13の搬送を順方向と逆方向とに順次切り換えて、裏面部19にマゼンタとシアンとの線状画像をそれぞれ印画する。このマゼンタとシアンとの線状画像の印画も、検出信号から位置を求めた微小領域22a内に各線状画像を印画する。制御部59は、最後に裏面部19にバック層を形成させる。バック層が形成されて立体プリントとして完成したレンチキュラーシート13は、排出口14からプリンタ10の外に排出される。
【0072】
次に、本発明の第2〜第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同じ部品については、同符号を用いて詳しい説明は省略する。
【0073】
[第2実施形態]
第1実施形態では、検出ユニット56a,56bにそれぞれラインセンサ64、65を2個ずつ用いたが、図16に示す第2実施形態のプリンタ70では、姿勢検出部71を構成する各検出ユニット72a,72bにラインセンサ73を1個ずつ使用している。これにより、第1実施形態のスリット板62及びシリンドリカルレンズ63よりも、主走査方向の幅が小さなスリット板74及びシリンドリカルレンズ75を用いることができるので、プリンタ70を小さくすることができる。
【0074】
また、第2実施形態のプリンタ70は、各検出ユニット72a,72bのラインセンサ73からそれぞれ出力された検出信号のピーク値Pの画素位置が同一になるように搬送機構29を制御している。図11に示すように、例えば検出ユニット72a,72bのラインセンサ73の各検出信号F1,F2であり、これらの検出信号F1,F2のピーク値P1,P2の画素位置にXのずれがあるとき、制御部59は、P1,P2のずれ量を逐次確認しながら搬送ローラ対29bと搬送ローラ対29aの搬送速度を調整し、ピーク値P1,P2の画素位置を同一にする。これにより、半円柱状レンズ部17の長手方向を主走査方向と平行にすることができる。
【0075】
なお、第2実施形態のプリンタ70において、第1実施形態と同様に、検出ユニット72a,72bのラインセンサ73の各検出信号から半円柱状レンズ部17の主走査方向に対する傾斜方向と傾斜角度とを算出し、この算出結果に基づいてレンチキュラーシート13の姿勢を調整してもよい。
【0076】
[第3実施形態]
第1及び第2実施形態では、半円柱状レンズ部17の1本分の検出信号に基づいて姿勢検出及び姿勢調整を行ったが、半円柱状レンズ部17の2本分の検出信号に基づいて姿勢検出及び姿勢調整を行ってもよい。
【0077】
図17に示すように、第3実施形態のプリンタでは、検出ユニット80に、2本の半円柱状レンズ部17に対して同時に検出光Sが照射可能なスリット81aを形成したスリット板81と、2本の半円柱状レンズ部17によりそれぞれ拡散されて2本になった検出光S1、S2をそれぞれ集光可能な副走査方向の長さDを有したシリンドリカルレンズ82とを用いている。これにより、ラインセンサ64には、2本の検出光S1,S2がそれぞれ入射するので、ラインセンサ64から出力される検出信号Fwは、図18に示すように2本分の半円柱状レンズ部17に対応する2つの波形Fw1,Fw2と、2つのピーク値Pw1,Pw2を有することになる。
【0078】
第1実施形態で説明したように、半円柱状レンズ部17の通過本数をカウントしてレンチキュラーシート13の搬送位置を制御する場合、半円柱状レンズ部17の通過を1本ずつカウントする方式では、レンチキュラーシート13の搬送誤差やバラツキによる影響を受けて誤差が発生しやすい。しかし、2本の半円柱状レンズ部17を同時にカウントすることにより、レンチキュラーシート13の搬送誤差やバラツキによる影響を受けにくくなるので、レンチキュラーシート13の搬送位置を精度よく制御することができる。
【0079】
本実施形態では、第1実施形態と同様に2つの検出ユニット56a,56b各々で半円柱状レンズ部17の傾斜方向及び傾斜角度を算出してもよいし、例えば傾斜角度の算出にPw1とPw2との間隔Gwを用いてもよい。また、第2実施形態のように、検出信号の2つのピーク値の画素方向の位置が同一になるように、搬送機構を制御してもよい。また、画素ピッチの大きなラインセンサの検出信号から2つのピーク値を求める場合には、1本分の半円柱状レンズ部17に相当する各波形Fw1,Fw2のそれぞれから求められる。
【0080】
[第4実施形態]
上記各実施形態では、レンチキュラーシート13の両端縁に対面する位置に配置した2つの検出ユニットを用いたが、1つの検出ユニットによってレンチキュラーシート13の姿勢検出及び姿勢調整を行ってもよい。図19に示すように、第4実施形態のプリンタ90は、レンチキュラーシート13の一方の端縁に対面した1つの検出ユニット91を備えている。この検出ユニット91は投光部61、スリット板62、シリンドリカルレンズ63及びラインセンサ64からなる。
【0081】
図20に示すように、制御部59は、レンチキュラーシート13を搬送ローラ対29a,29bで挟み込んだ後、各搬送用モータ32を最小の回転ステップで同方向に回転させ、レンチキュラーシート13を順方向に前進させる。レンチキュラーシート13の搬送後、制御部59は、ラインセンサ64の検出信号を確認し、ピーク値が画素方向の中央にあるか否かを確認する。
【0082】
制御部59は、検出信号のピーク値が画素方向の中央に来たときに、図9に示すように、検出信号Fから半値幅Hを検出する。半値幅Hは、半円柱状レンズ部17が主走査方向と平行であるときに最も狭く、主走査方向に対する傾斜角度が大きくなるほど半値幅Hも大きくなる。
【0083】
制御部59は、各搬送用モータ32を最小の回転ステップで逆方向に回転させ、レンチキュラーシート13を上方から見て最小ステップで時計方向に回転させる。制御部59は、レンチキュラーシート13の時計方向への回転後に、再び検出信号Fから半値幅Hを検出し、その直前に検出した半値幅Hに対する増減を特定する。
【0084】
半値幅Hが増加した場合には、半円柱状レンズ部17は、主走査方向に対して時計方向に傾斜していることが分る。そのため、制御部59は、レンチキュラーシート13を2ステップ分反時計方向に回転させ、再度半値幅Hを検出する。この半値幅Hが前回よりも減少した場合には、半値幅Hが増加に転じるまで1ステップ分の反時計方向への回転と半値幅Hの検出とを繰り返す。そして、半値幅Hが増加したときに、レンチキュラーシート13を1ステップ分時計方向に回転させる。これにより、検出信号Fの半値幅Hが最小になる。
【0085】
また、最初の時計方向の回転後の半値幅Hが減少した場合には、半円柱状レンズ部17は、主走査方向に対して反時計左方向に傾斜していることが分る。そのため、制御部59は、レンチキュラーシート13を1ステップ分反時計方向に回転させ、再度半値幅Hを検出する。この半値幅Hが前回よりも減少した場合には、半値幅Hが増加に転じるまで1ステップ分の時計方向への回転と半値幅Hの検出とを繰り返す。そして、半値幅Hが増加したときに、レンチキュラーシート13を1ステップ分反時計方向に回転させる。これにより、検出信号Fの半値幅Hが最小になる。
【0086】
レンチキュラーシート13の姿勢調整後、制御部59は、各搬送用モータ32を最小の回転ステップで同方向に回転させ、レンチキュラーシート13を逆方向に後進させる。制御部59は、検出信号Fの半値幅Hを検出し、半値幅Hが前回よりも減少したときには、半値幅Hが増加に転じるまで1ステップ分の後進と半値幅Hの検出とを繰り返す。そして、半値幅Hが増加したときに、レンチキュラーシート13を1ステップ分順方向に前進する。これにより、半円柱状レンズ部17の頂点位置がラインセンサ64の画素位置の中央に位置することになる。その後、第1実施形態と同様に、裏面部19に印画が行われる。
【0087】
本実施形態によれば、1つの検出ユニットでレンチキュラーシート13の姿勢検出及び姿勢調整を行うことができるので、プリンタを小型化し、コストダウンを図ることができる。なお、本実施形態では、検出信号Fの半値幅Hに基づいてレンチキュラーシート13の姿勢検出及び姿勢調整を行ったが、図21に示すように、第3実施形態の2つのピーク値Pw1,Pw2を有する検出信号Fwを用い、ピーク値Pw1,Pw2の間隔Gwに基づいてレンチキュラーシート13の姿勢検出及び姿勢調整を行ってもよい。
【0088】
上記実施形態では、第1〜第4実施形態をそれぞれ説明したが、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 プリンタ
13 レンチキュラーシート
17 半円柱状レンズ部
18 表面部
19 裏面部
29 搬送機構
29a,29b 搬送ローラ対
55 姿勢検出部
56a,56b 検出ユニット
57,58 密着用ローラ
61 投光部
62 スリット板
63 シリンドリカルレンズ
64,65ラインセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半円柱状レンズ部を有するレンチキュラーシートの平坦な裏面部に、半円柱状レンズ部に合わせて印画を行うプリンタと、プリント方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半円柱状レンズ部を平行に配列した表面部と平坦な裏面部とを有するレンチキュラーシートと、裏面部に印画した画像とによって立体画像を観察できるようにした立体プリントが知られている。裏面部の画像は、例えば左右の異なる視点から撮影等を行うことにより互いに視差が与えられた2つ以上の原画像からなり、これらの原画像を線状に分割した線状画像が半円柱状レンズ部の長手方向に沿って縞状に配置している。立体プリントをレンチキュラーシートの表面側から観察すると、視差のある各線状画像が各半円柱状レンズ部によって観察者の左右の目で別々に視認されるので、観察者には立体画像として認識される。
【0003】
線状画像は、半円柱状レンズ部に対して正確に位置を合わせて印画しなければならない。このため、特許文献1記載のインクジェット記録装置では、レンチキュラーシートの裏面部に各半円柱状レンズ部をその長手方向に沿って分離する突条状の記録層分離手段を半円柱状レンズ部の配列方向に沿って複数形成し、レンチキュラーシートを半円柱状レンズ部の配列方向に沿って搬送する際に、記録層分離手段をピッチ検出手段により検出して、その検出結果に基づいてレンチキュラーシートを搬送する搬送手段の駆動を制御している。
【0004】
特許文献2記載のレンチキュラーディスプレイの製造方法では、レンチキュラーシートの表面部側から検出光を照射する発光部と、裏面部側で半円柱状レンズ部を透過した検出光を検出するセンサーカメラとからなる2組のセンサーシステムを用いて、レンチキュラーシートの半円柱状レンズ部の配列方向における位置及び傾き等の姿勢を検出している。センサーカメラは、暗箱内にレンチキュラーシートを透過した検出光を集光するレンズと、レンズにより集光された検出光を検出するラインセンサとを収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−015766号公報
【特許文献2】特開平07−261120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の発明は、レンチキュラーシートの裏面部に複数の突条状の記録層分離手段を設けているため、記録ヘッドが記録媒体に接触する熱転写等の記録方式では採用することができない。
【0007】
特許文献2記載の発明は、レンチキュラーシートを透過した検出光を、レンチキュラーシートの裏面部から離れた位置に配置されたセンサーカメラによって検出している。そのため、レンチキュラーシートの裏面部から検出光が放射されて拡散することにより、ラインセンサの受光量が低下し、レンチキュラーシートの姿勢検出精度が低下してしまう。
【0008】
シート状の記録媒体への印画には、一般的に、記録媒体を副走査方向に搬送し、その搬送中に主走査方向に1ラインずつ画像を印画するラインプリンタが用いられるが、これはレンチキュラーシートへの印画でも例外ではない。しかし、引用文献2には、ラインプリンタでのレンチキュラーシートの搬送中に姿勢をどのように検出し、搬送姿勢をどのように調整するのかが具体化されていない。立体プリントに使用されるレンチキュラーシートには、半円柱状レンズ部の配列数が100LPI(Line Per Inch)という高精細なものがあり、このようなレンチキュラーシートの姿勢調整量は微細なものとなるため、レンチキュラーシートの姿勢検出と姿勢調整とが連係して行われることが求められる。
【0009】
本発明の目的は、レンチキュラーシートの搬送姿勢を精度よく検出して調整することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプリンタは、複数の半円柱状レンズ部を平行に配列した表面部と平坦な裏面部とを有するレンチキュラーシートを半円柱状レンズ部の配列方向に搬送するとともに、レンチキュラーシートを表面部に直交する軸回りで回転させてレンチキュラーシートの搬送姿勢を調整する搬送手段と、表面部側から搬送方向に直交したライン状の検出光を半円柱状レンズ部に向けて照射する投光手段と、搬送方向に直交する方向に長手方向が沿うように配置された平凸型のシリンドリカルレンズであって、凸面の反対側に設けられた平面が裏面部の通過する搬送面に一致するように配置されているシリンドリカルレンズと、レンチキュラーシートの裏面部とシリンドリカルレンズの平面とを密着させる密着手段と、搬送方向に沿って配列された複数の画素によりシリンドリカルレンズによって集光された検出光を受光し、半円柱状レンズ部の頂点位置を表す検出信号を出力するラインセンサと、検出信号に基づいて搬送手段を制御し、半円柱状レンズ部の長手方向が搬送方向に直交する方向に対して平行になるようにレンチキュラーシートの搬送姿勢を調整する制御手段と、互いに視差を有する2つ以上の原画像がそれぞれ線状に分割された複数の線状画像を半円柱状レンズ部の長手方向に沿って縞状に裏面部に印画する印画ヘッドとを備えている。
【0011】
投光手段は、隣接する2本以上の前記半円柱状レンズ部に対して前記検出光を照射し、シリンドリカルレンズは、2本以上の前記半円柱状レンズ部によりそれぞれ拡散されて2本以上になった検出光をそれぞれ集光し、ラインセンサは、シリンドリカルレンズによって集光された2本以上の検出光を受光し、2本以上の半円柱状レンズ部の頂点位置を表した前記検出信号を出力してもよい。
【0012】
制御手段は、搬送手段にレンチキュラーシートを間欠搬送させるとともに、レンチキュラーシートの搬送停止時に取得した検出信号に基づいてレンチキュラーシートの搬送姿勢を調整することが好ましい。
【0013】
投光手段及びシリンドリカルレンズは、搬送方向に直交する方向においてレンチキュラーシートの両端縁に対面する位置にそれぞれ設けられ、ラインセンサは、各シリンドリカルレンズの両端部にそれぞれ対面するように一対ずつ設けられており、制御手段は、各一対のラインセンサからそれぞれ出力された検出信号に基づいて半円柱状レンズ部の搬送方向に直交する方向に対する傾斜方向及び傾斜角度をそれぞれ算出し、これらの算出結果に基づいて搬送手段を制御してもよい。
【0014】
投光手段、シリンドリカルレンズ及びラインセンサは、搬送方向に直交する方向においてレンチキュラーシートの両端縁に対面する位置にそれぞれ設けられており、制御手段は、各ラインセンサからそれぞれ出力された検出信号に基づいて、レンチキュラーシートの両端縁における半円柱状レンズ部の頂点位置が搬送方向において一致するように搬送手段を制御してもよい。
【0015】
制御手段は、表面部に直交する軸回りにおけるレンチキュラーシートの最小ピッチでの回転と、検出信号の半値幅の検出と、回転前後の半値幅の比較とを繰り返し、半値幅の比較結果に基づいてレンチキュラーシートの回転方向を切り換え、半値幅が最小になるようにレンチキュラーシートの搬送姿勢を調整してもよい。
【0016】
制御手段は、表面部に直交する軸回りにおけるレンチキュラーシートの最小ピッチでの回転と、検出信号に基づく2本の半円柱状レンズ部の頂点位置間隔の検出と、回転前後の頂点位置間隔の比較とを繰り返し、比較結果に基づいてレンチキュラーシートの回転方向を切り換え、頂点位置間隔が最小になるようにレンチキュラーシートの搬送姿勢を調整してもよい。
【0017】
制御手段は、ラインセンサの各画素の位置と各画素の出力信号との関係を表す検出信号から半円柱状レンズ部の1本分に相当する範囲を特定し、特定範囲内で最大の値の出力信号を出力した最大画素と、次に大きな値の出力信号を出力した次点画素とを特定し、最大画素と最大画素に隣接する最大隣接画素との出力値を結んだ最大接線と、次点画素と次点画素に隣接する次点隣接画素との出力値を結んだ次点接線とをそれぞれ求め、最大接線と次点接線との交点を半円柱状レンズ部の頂点位置としてもよい。
【0018】
検出光の波長は、600〜1000nmであることが好ましい。
【0019】
制御手段は、検出信号に基づいて、半円柱状レンズ部の移動本数を計数してレンチキュラーシートの搬送位置を特定し、印画開始位置を制御することが好ましい。
【0020】
制御手段は、検出信号の波形に基づいて線状画像の1本分の印画範囲を特定することが好ましい。
【0021】
制御手段は、検出信号の半円柱状レンズ部の1本分に相当する波形からピーク値を特定し、1本の半円柱状レンズ部に印画される線状画像の本数に応じて設定された少なくとも1つの係数をピーク値に乗算し、この算出結果から得た信号レベルに対応するラインセンサの画素位置から、線状画像の1本分の印画範囲を特定してもよい。
【0022】
制御手段は、検出信号の半円柱状レンズ部の1本分に相当する波形から、信号レベルが最大の位置である最大点と、前記最大点を挟む信号レベルが最小の位置である第1最小点及び第2最小点とを特定し、第1最小点と最大点、及び最大点と第2最小点との間を等分して、線状画像の1本分の印画範囲を特定してもよい。
【0023】
搬送手段として、搬送方向に直交する方向においてレンチキュラーシートの両端縁に対面する位置に1組ずつ設けられ、レンチキュラーシートを挟み込んで回転することによりレンチキュラーシートを搬送する一対の搬送ローラを用いてもよい。
【0024】
密着手段は、印画ヘッドによる裏面部への印画時にレンチキュラーシートを支持するプラテンとして用いられることが好ましい。
【0025】
本発明のプリント方法は、複数の半円柱状レンズ部を平行に配列した表面部と平坦な裏面部とを有するレンチキュラーシートが半円柱状レンズ部の配列方向に搬送される際に、表面部側から搬送方向に直交したライン状の検出光を半円柱状レンズ部に向けて照射するステップと、搬送方向に直交する方向に長手方向が沿うように配置され、凸面の反対側に設けられた平面が裏面部に当接している平凸型のシリンドリカルレンズによって検出光を集光し、搬送方向に沿って配列された複数の画素を有するラインセンサによって検出光を受光して、半円柱状レンズ部の頂点位置を表す検出信号を出力するステップと、検出信号に基づいて、半円柱状レンズ部の長手方向が搬送方向に直交する方向に対して平行になるようにレンチキュラーシートの搬送姿勢を調整するステップと、視差を有する2つ以上の原画像がそれぞれ線状に分割された複数の線状画像を半円柱状レンズ部の長手方向に沿って縞状に裏面部に印画するステップとを備えている。
【0026】
検出光は、隣接する2本以上の前記半円柱状レンズ部に対して照射され、シリンドリカルレンズは、2本以上の半円柱状レンズ部によりそれぞれ拡散されて2本以上になった検出光をそれぞれ集光し、ラインセンサは、シリンドリカルレンズによって集光された2本以上の検出光を受光し、2本以上の半円柱状レンズ部の頂点位置を表した検出信号を出力することが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、レンチキュラーシートの裏面部にシリンドリカルレンズの平面を密着手段によって密着させたので、裏面部から検出光が拡散して光量が低下するのを防止することができる。また、検出光の光量低下が生じないので、半円柱状レンズ部の検出精度も向上する。更に、検出光の移動量は、シリンドリカルレンズにより拡大されるので、レンチキュラーシートの微小な移動であっても精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のプリンタの構成を示す概略図である。
【図2】レンチキュラーシートの構成を示す斜視図である。
【図3】搬送機構の構成を示す正面図である。
【図4】印画部の構成を示す概略図である。
【図5】記録用フイルムの構成を示す展開図である。
【図6】姿勢検出部の構成を示す正面図である。
【図7】検出ユニットの構成を示す正面図である。
【図8】検出ユニットの構成を示す側面図である。
【図9】検出信号の1例を示すグラフである。
【図10】ラインセンサによる半円柱状レンズ部の検出状態を示す平面図である。
【図11】2つのラインセンサの検出信号がずれている状態を示すグラフである。
【図12】検出信号に係数を乗算して線状画像が印画される微小領域を特定した状態を表すグラフである。
【図13】検出信号を等分して線状画像が印画される微小領域を特定した状態を表すグラフである。
【図14】画素ピッチの粗いラインセンサにより半円柱状レンズ部の頂点位置を特定した状態を表すグラフである。
【図15】レンチキュラーシートの姿勢検出及び姿勢調整の手順を示すフローチャートである。
【図16】第2実施形態の姿勢検出部の構成を示す正面図である。
【図17】第3実施形態の検出ユニットの構成を示す正面図である。
【図18】第3実施形態のラインセンサの検出信号を表すグラフである。
【図19】第4実施形態の姿勢検出部の構成を示す正面図である。
【図20】第4実施形態のレンチキュラーシートの姿勢検出及び姿勢調整の手順を示すフローチャートである。
【図21】第4実施形態の姿勢検出及び姿勢調整に検出信号のピーク値間距離を用いた例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明のプリンタ10は、右方の給送口11から搬送路12内に供給したレンチキュラーシート13を左方の排出口14に向けて搬送し、搬送中のレンチキュラーシート13に、互いに視差を有する2つ以上の原画像をそれぞれ線状に分割した線状画像を縞状に印画して立体プリントを作成する。作成された立体プリントは、排出口14からプリンタ10の外に排出される。
【0030】
図2に示すように、レンチキュラーシート13は、透明なプラスチックによって形成されている。レンチキュラーシート13は、多数の半円柱状レンズ部17を平行に配列した表面部18と、この表面部18の反対側に設けられた平坦な裏面部19とを有している。半円柱状レンズ部17は、矢線A方向に長い形状を有している。また、半円柱状レンズ部17は、隣り合う同士が接するように、例えば、100LPI(Line Per Inch)の密度で矢線B方向に沿って配列されている。したがって、各半円柱状レンズ部17の配列方向の幅及び配列ピッチは、254μmとなる。
【0031】
レンチキュラーシート13の裏面部19には、半円柱状レンズ部17ごとに仮想的な画像領域22が設定されている。各画像領域22は、原画像の数に応じて、例えば6個の微小領域22aに分割されている。6つの原画像をそれぞれ線状に分割した線状画像は、これらの微小領域22aにそれぞれ印画される。立体プリントは、半円柱状レンズ部17の配列方向が観察時の左右方向となる状態で、レンチキュラーシート13の表面部18側から観察される。これにより、視差のある線状画像が各半円柱状レンズ部17によって観察者の左右の目で別々に視認されるので、観察者には立体画像として認識される。
【0032】
図1に示すように、レンチキュラーシート13は、表面部18を上にして半円柱状レンズ部17の配列方向に沿って給送口11から搬送路12内に送り込まれる。レンチキュラーシート13は、例えばレンチキュラーシート13を積層したカセットから、周知の給送機構によって自動で搬送路12に供給される。なお、レンチキュラーシート13を手動で給送口11に差し込むようにしてもよい。
【0033】
搬送路12内には、給送口11の近傍に給送ローラ対25が設けられている。給送ローラ対25は、給送用モータ26により駆動されるキャプスタンローラ25aと、キャプスタンローラ25aとの間にレンチキュラーシート13を挟み込むピンチローラ25bとからなる。給送ローラ対25は、レンチキュラーシート13を挟み込んで回転することにより、レンチキュラーシート13を搬送路12内に向けて搬送する。ピンチローラ25bは、図示しない昇降機構により、レンチキュラーシート13を挟み込む位置と挟み込みを解除する位置との間で移動される。
【0034】
搬送路12内には、排出口14の近傍に搬送機構29が設けられている。搬送機構29を排出口14側から見た状態を表す図3に示すように、搬送機構29は、レンチキュラーシート13の搬送方向に直交する方向において、レンチキュラーシート13の両端縁に対面する位置に1組ずつ設けられた2つの搬送ローラ対29a、29bと、先端検出センサ30からなる。
【0035】
搬送ローラ対29aは、搬送用モータ32により駆動されるキャプスタンローラ33と、キャプスタンローラ33との間にレンチキュラーシート13を挟み込むピンチローラ34とからなる。搬送用モータ32は、ステッピングモータであり、キャプスタンローラ33を連続してまたは間欠的に回転させる。キャプスタンローラ33及びピンチローラ34は、レンチキュラーシート13に対する滑りが低減されたゴムローラからなる。ピンチローラ34は、図示しない昇降機構により、レンチキュラーシート13を挟み込む位置と挟み込みを解除する位置との間で移動される。なお、搬送ローラ対29bは、搬送ローラ対29aと同じ構成をレンチキュラーシート13の搬送方向に対して対称に配置したものであるため、詳しい説明は省略する。
【0036】
各搬送ローラ対29a,29bは、レンチキュラーシート13を挟み込んで同方向に同速度で回転することにより、レンチキュラーシート13を給送口11から排出口14に向かう順方向と、その逆方向とに搬送する。また、各搬送ローラ対29a,29bの回転速度を異ならせてレンチキュラーシート13の両端縁の搬送量を異ならせることにより、表面部18に直交する軸回りでレンチキュラーシート13を回転させることができる。これにより、レンチキュラーシート13を搬送しながら搬送姿勢を調整することができる。
【0037】
先端検出センサ30は、給送ローラ対25により搬送路12内に送り込まれたレンチキュラーシート13の先端を検出するための光学センサである。各搬送ローラ対29a,29bによるレンチキュラーシート13の挟み込みは、先端検出センサ30によるレンチキュラーシート13の先端検出に基づいて行われる。
【0038】
給送ローラ対25と搬送機構29との間には、搬送路12の下方に印画部37が設けられている。図4に示すように、印画部37は、レンチキュラーシート13の裏面部19にインクのドットを転写して印画を行うサーマルヘッド38と、インクを担持した記録用フイルム39を裏面部19に重ね合わせるように供給するフイルム供給機構40とを備えている。
【0039】
サーマルヘッド38は、裏面部19に当接できるように印画部37の上部に設けられている。サーマルヘッド38の上面には、レンチキュラーシート13の搬送方向(副走査方向)に直交する主走査方向に沿って多数の発熱素子をライン状に配列した発熱素子アレイ38aが副走査方向に2列設けられている。各発熱素子アレイ38aは、その長さがレンチキュラーシート13の記録エリアの主走査方向の長さとほぼ同じになっている。また、1個の発熱素子によって記録される1画素の副走査方向の長さが約20μmとなっており、2列の発熱素子アレイ38aによる1回の印画で1つの微小領域22aに線状画像を記録することができる。なお、サーマルヘッド38に1本の発熱素子アレイ38aを設け、1ラインずつ記録してもよい。
【0040】
図5に示すように、記録用フイルム39は、レンチキュラーシート13の主走査方向の記録領域の長さと同じ幅を有する長尺のプラスチックフイルムに、受像層領域39a、イエロー領域39b、マゼンタ領域39c、シアン領域39d及びバック層領域39eの順で複数セット設けたものである。各領域39a〜39eの副走査方向の長さは、レンチキュラーシート13の記録領域の副走査方向の長さと同じである。したがって、各領域39a〜39eとレンチキュラーシート13の記録領域との面積も同じである。
【0041】
受像層領域39aは、プラスチックフイルムに担持された透明な受像材からなり、裏面部19に重ね合わされた状態で発熱素子アレイ38aに加熱されることにより、裏面部19に受像材を転写する。受像材は、裏面部19の記録領域の全域に転写されることにより、カラーインクを付着させるための受像層を形成する。レンチキュラーシート13は、カラーインクが付着しにくい透明なプラスチックシートであるため、そのままではカラーインクによる印画を行うことができないが、最初に受像層を形成することにより、受像層の上に印画が行えるようになる。
【0042】
イエロー領域39b、マゼンタ領域39c、シアン領域39dは、プラスチックフイルムに担持されたイエローインク、マゼンタインク、シアンインクからなる。イエロー、マゼンタ、シアンの各インクは、裏面部19に重ね合わされた状態で発熱素子アレイ38aに加熱されることにより昇華し、受像層の上に付着する。各インクの付着量、すなわち受像層上に印画される画像の濃度は、加熱量に応じて増減される。
【0043】
バック層領域39eは、プラスチックフイルムに担持された白色インクからなり、裏面部19に重ね合わされた状態で発熱素子アレイ38aに加熱されることにより、受像層と各インクの上に転写される。白色インクは、受像層と各インク層との背後に白色のバック層を形成し、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクが転写されていない透明な部分を塞ぐ。
【0044】
フイルム供給機構40は、記録用フイルム39がロール状に巻かれた供給用スプール43と、供給用スプール43との間にサーマルヘッド38を挟むように配置された空の巻取り用スプール44と、サーマルヘッド38の両側で記録用フイルム39を支持する一対の支持ローラ45と、巻取り用スプール44を巻取り方向に回転させる巻取り用モータ46とを備えている。記録用フイルム39は、レンチキュラーシート13の矢線方向への搬送に同期して巻取り用スプール44が回転することにより、供給用スプール43から引き出されて巻取り用スプール44に巻き取られていく。
【0045】
図1に示すように、印画部37は、ヘッド駆動部49によって駆動制御される。ヘッド駆動部49は、レンチキュラーシート13の裏面部19に受像層とバック層とを形成するときには、受像材と白色インクとを転写するために必要な発熱量を各発熱素子が同時に発生するようにサーマルヘッド38を駆動する。また、ヘッド駆動部49は、記録用フイルム39のイエロー領域39b、マゼンタ領域39c、シアン領域39dを用いて画像を記録する際には、入力された画像データに基づいてサーマルヘッド38を駆動し、イエロー、マゼンタ、シアンの3色の画像を面順次で記録する。
【0046】
ヘッド駆動部49には、データ変換部52から画像データが入力される。データ変換部52は、図示しないI/Oポートやメモリカードから入力された互いに視差を有する2つの画像に画像処理を施して、互いに視差を有する6つの画像を生成し、これらの画像の画像データをヘッド駆動部49に入力する。
【0047】
図1に示すように、印画部37の主走査方向の両側方と上方とには、レンチキュラーシート13の搬送姿勢を検出する姿勢検出部55が設けられている。姿勢検出部55を排出口14側から見た図6に示すように、姿勢検出部55は、主走査方向においてレンチキュラーシート13の余白となる両端縁に対面する位置に1組ずつ配置された2つの検出ユニット56a,56bと、副走査方向において検出ユニット56a,56bを挟むようにレンチキュラーシート13の上方に配置された一対の密着用ローラ57、58から構成されている。
【0048】
検出ユニット56aを副走査方向から見た詳細を表す図7に示すように、検出ユニット56aは、投光部61、スリット板62、シリンドリカルレンズ63、一対のラインセンサ64,65からなる。投光部61は、搬送路12の上方に配置された半導体レーザまたはLEDであり、レンチキュラーシート13の表面部18に向けて検出光Sを照射する。検出光Sは、感度の低いラインセンサでも良好に検出ができるようにするため、レンチキュラーシート13による拡散が少ない600〜1000nm程度の波長の光が用いられる。
【0049】
スリット板62は、投光部61と搬送路12との間に配置された遮光性を有する板状部材であり、主走査方向に沿って長辺が配された長方形のスリット62aを備えている。シリンドリカルレンズ63は、その長手方向が主走査方向に沿うようにレンチキュラーレンズ13の下方に配置されている。このシリンドリカルレンズ63は、円弧状の凸面63aとその反対側の平面63bとを有する平凸型シリンドリカルレンズであり、平面63bは、レンチキュラーシート13の裏面部19が通過する通過面に一致するように配置されている。
【0050】
一対のラインセンサ64,65は、副走査方向に沿って画素64a,65aが配列されたCCDラインセンサである。ラインセンサ64,65は、シリンドリカルレンズ63の下方で、シリンドリカルレンズ63の長手方向の両端部に対面するように配置されており、各画素64a,65aの中心がシリンドリカルレンズ63の光軸中心に一致するように固定されている。
【0051】
検出ユニット56aを主走査方向から見た詳細を表す図8に示すように、スリット板62のスリット62aの副走査方向の長さは、半円柱状レンズ部17の1本分程度となっている。投光部61から照射された検出光Sは、スリット62aによって主走査方向に長いライン状の光に絞られる。レンチキュラーシート13を透過した検出光Sは、半円柱状レンズ部17によって拡散されるが、副走査方向の長さが半円柱状レンズ部17よりも大きなシリンドリカルレンズ63によって細いライン状に集光され、ラインセンサ64,65に入射される。
【0052】
ラインセンサ64,65は、受光した検出光Sに基づいてアナログの検出信号を発生する。アナログの検出信号は、ラインセンサ64,65に内蔵しているADコンバータでデジタル化され、デジタルの検出信号として出力される。図9に示すように、ラインセンサ64,65から出力された検出信号Fは、横軸にラインセンサ64,65の各画素の位置をとり、縦軸に各画素の出力信号の信号値をとった波形となり、この波形のピーク値Pに相当する画素位置Qが、半円柱状レンズ部17の頂点位置となる。
【0053】
シリンドリカルレンズ63から出射される検出光Sは、レンチキュラーシート13の搬送によって搬送方向に移動し、表面部18に直交する軸回りでレンチキュラーシート13が回転したときに同様に回転する。ラインセンサ64、65によって検出される検出光Sの移動量は、シリンドリカルレンズ63により拡大されているため、レンチキュラーシート13の微小な移動であっても精度よく検出することができる。
【0054】
検出ユニット56a,56bにラインセンサ64、65を一対ずつ設けているのは、シリンドリカルレンズ63の光軸中心を透過した検出光Sのピーク位置を求めるためである。上述したように、ラインセンサは、その画素中心がシリンドリカルレンズ63の光軸中心に一致するように固定される必要があるが、図10に示すように、取り付け誤差により両者の画素中心64x,65xに位置ずれが生じてしまう。
【0055】
そのため、本実施形態では、ラインセンサ64、65の画素中心64x,65xのずれ量(オフセット量)であるXoffを予め求めておき、図11に示すラインセンサ64、65の検出信号F1,F2の差XからXoffを減算することにより、シリンドリカルレンズ63の光軸中心を透過した検出光Sのピーク位置に相当するピーク位置Paを求めている。なお、ピーク位置Paは、ラインセンサ64の検出信号F1にXoffを加算し、あるいはラインセンサ65の検出信号F2からXoffを減算しても求めることができる。
【0056】
検出ユニット56bは、検出ユニット56aと同一の構成を有し、検出ユニット56aと同様にシリンドリカルレンズ63の光軸中心を透過した検出光Sのピーク位置Pbを検出する。そのため、検出ユニット56bの詳しい説明は省略する。
【0057】
密着用ローラ57、58は、主走査方向に沿って配置されており、レンチキュラーレンズ13の主走査方向の幅とほぼ同じ長さを有している。密着用ローラ57、58は、上下動が可能なように支持されており、バネ57a,58aにより下方に向けて付勢され、レンチキュラーシート13の表面部18に当接している。密着用ローラ57、58は、レンチキュラーシート13の搬送に従動して回転し、裏面部19をシリンドリカルレンズ63の平面63bに押し付けて密着させる。裏面部19と平面63bとを密着させることにより、裏面部19から検出光Sが拡散して光量が低下するのを防止することができ、検出精度の向上にも資することができる。また、密着用ローラ57、58は、印画時にレンチキュラーシート13を支持するプラテンとしても機能する。
【0058】
図1に示す制御部59は、例えば、制御プログラム等に基づいて各種演算処理を行うCPU、制御プログラムを格納したROM、制御中に生じた各種データを一時的に記憶するRAM、上述した各モータや投光部、ラインセンサ等のドライバ等からなり、プリンタ10の各部を統括的に制御する。
【0059】
制御部59は、各検出ユニット56a,56bのラインセンサ64、65から出力された検出信号に基づいて半円柱状レンズ部17の通過本数をカウントすることにより、レンチキュラーシート13の搬送位置を検出し、裏面部19に対する印画開始位置を特定する。また、制御部59は、各検出ユニット56a,56bにより求められたピーク位置Pa,Pbと、検出ユニット56a,56b間の距離Wとに基づいて、主走査方向に対する半円柱状レンズ部17の傾き方向を特定し、傾斜角度θを算出する。
【0060】
制御部59は、半円柱状レンズ部17の傾き方向と傾斜角度θとに基づいて搬送機構29を制御し、各搬送ローラ対29a、29bの回転速度を異ならせる。これにより、レンチキュラーシート13の両端縁の搬送量が異なることになるため、レンチキュラーシート13が表面部18に直交する軸回りで回転し、半円柱状レンズ部17の長手方向が主走査方向と平行になる。
【0061】
また、制御部59は、裏面部19の微小領域22aの位置を特定し、特定した微小領域22aの位置に合わせて、印画部37にイエロー、マゼンタ、シアンの各色を印画させる。図12に示すように、制御部59は、レンチキュラーシート13の搬送姿勢の調整後に、例えばラインセンサ64の検出信号F1の波形からピーク値Pを特定し、このピーク値Pに予め設定されている係数α、βを乗算し、算出した波形レベルに対応する画素位置L1〜L7から6個の微小領域22aを求める。これにより、レンチキュラーシート13内の個々の半円柱状レンズ部17に合わせて印画を行うことができるので、半円柱状レンズ部17の形状のバラツキにも対応することができる。
【0062】
なお、微小領域22aの特定には、検出信号F1の波形を画素方向で等分して求めてもよい。例えば、図13に示すように、検出信号F1の波形からピーク値Pと両端の最小値T1,T2を求め、これらP,T1,T2に対応する画素位置をL1,L4,L7とし、L1とL4及びL4とL7の間をそれぞれ等分して画素位置L2,L3,L5,L6を求める。これにより、6個の微小領域22aを特定することができる。
【0063】
また、制御部59は、ラインセンサ64、65の画素ピッチよりも細かなピッチで半円柱状レンズ部17の頂点位置を検出する。図14に示すように、画素n1、n2の出力値に大きな差がなく、検出信号のピーク値が明確でない場合、制御部59は、最大の出力値の最大画素n1と、次に大きな出力値の次点画素n2とを特定する。次いで、最大画素n1と最大画素n1に隣接する最大隣接画素na1とを結んだ最大接線M1と、次点画素n2と次点画素n2に隣接する次点隣接画素na2とを結んだ次点接線M2とをそれぞれ求め、最大接線M1と次点接線M2との交点Pmに対応する画素位置Q1を半円柱状レンズ部17の頂点位置とする。これにより、画素ピッチが大きなラインセンサを使用して、ピッチの細かなレンチキュラーシート13の半円柱状レンズ部17を検出することができる。
【0064】
第1実施形態のプリンタ10の作用について説明する。制御部59は、給送口11からレンチキュラーシート13が供給されたときに、給送ローラ対25を制御してレンチキュラーシート13を挟み込ませ、給送用モータ26を駆動制御してレンチキュラーシート13を搬送路12内に給送する。
【0065】
制御部59は、先端検出センサ30によってレンチキュラーシート13の先端が検出されたときに、各検出ユニット56a,56bを作動させ、ラインセンサ64、65の検出信号に基づいて半円柱状レンズ部17の通過本数のカウントを開始する。制御部59は、半円柱状レンズ部17の通過本数が所定本数に達したときに、給送ローラ対25によるレンチキュラーシート13の給送を停止し、各搬送ローラ対29a、29bにレンチキュラーシート13を挟み込ませる。そして、給送ローラ対25によるレンチキュラーシート13の挟み込みを解除する。
【0066】
図15に示すように、制御部59は、各搬送ローラ対29a,29bを同速度で回転させてレンチキュラーシート13を順方向に間欠搬送させる。制御部59は、レンチキュラーシート13の搬送開始と同時に各検出ユニット56a,56bを作動させ、ラインセンサ64、65の検出信号に基づいて半円柱状レンズ部17の通過本数のカウントを開始する。
【0067】
制御部59は、半円柱状レンズ部17の通過本数が所定本数に達したときに、ラインセンサ64、65の検出信号に基づいて主走査方向に対する半円柱状レンズ部17の傾き方向と傾斜角度θとを算出する。なお、安定した信号波形の検出信号によって高精度に半円柱状レンズ部17の傾き方向を特定し、傾斜角度θを算出するため、レンチキュラーシート13の間欠搬送中の停止時に取得した検出信号が用いられる。
【0068】
制御部59は、半円柱状レンズ部17の傾き方向と傾斜角度θとに基づいて各搬送ローラ対29a、29bの回転速度を異ならせ、半円柱状レンズ部17の長手方向が主走査方向と平行になるようにレンチキュラーシート13の搬送姿勢を調整する。
【0069】
制御部59は、各搬送ローラ対29a,29bを同速度で回転させてレンチキュラーシート13を順方向に向けて間欠搬送させ、ラインセンサ64、65の検出信号に基づいて半円柱状レンズ部17の通過本数のカウントを開始する。また、制御部59は、ラインセンサ64の検出信号F1に基づいて、裏面部19の微小領域22aの位置を特定する。制御部59は、半円柱状レンズ部17の通過本数が所定本数に達したときに、レンチキュラーシート13の記録領域の先端がサーマルヘッド38に達したものと特定し、印画部37を制御して裏面部19に受像層を形成させる。
【0070】
制御部59は、受像層の形成後にレンチキュラーシート13を逆方向に向けて搬送し、検出信号に基づいて半円柱状レンズ部17の通過本数をカウントし、記録領域の先端がサーマルヘッド38に達したときに搬送を停止させる。制御部59は、レンチキュラーシート13を再び順方向に向けて搬送し、印画部37にイエローの各線状画像を印画させる。制御部59は、イエローの線状画像の印画時に、検出信号F1から位置を求めた微小領域22a内に各線状画像を印画する。
【0071】
制御部59は、レンチキュラーシート13の搬送を順方向と逆方向とに順次切り換えて、裏面部19にマゼンタとシアンとの線状画像をそれぞれ印画する。このマゼンタとシアンとの線状画像の印画も、検出信号から位置を求めた微小領域22a内に各線状画像を印画する。制御部59は、最後に裏面部19にバック層を形成させる。バック層が形成されて立体プリントとして完成したレンチキュラーシート13は、排出口14からプリンタ10の外に排出される。
【0072】
次に、本発明の第2〜第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同じ部品については、同符号を用いて詳しい説明は省略する。
【0073】
[第2実施形態]
第1実施形態では、検出ユニット56a,56bにそれぞれラインセンサ64、65を2個ずつ用いたが、図16に示す第2実施形態のプリンタ70では、姿勢検出部71を構成する各検出ユニット72a,72bにラインセンサ73を1個ずつ使用している。これにより、第1実施形態のスリット板62及びシリンドリカルレンズ63よりも、主走査方向の幅が小さなスリット板74及びシリンドリカルレンズ75を用いることができるので、プリンタ70を小さくすることができる。
【0074】
また、第2実施形態のプリンタ70は、各検出ユニット72a,72bのラインセンサ73からそれぞれ出力された検出信号のピーク値Pの画素位置が同一になるように搬送機構29を制御している。図11に示すように、例えば検出ユニット72a,72bのラインセンサ73の各検出信号F1,F2であり、これらの検出信号F1,F2のピーク値P1,P2の画素位置にXのずれがあるとき、制御部59は、P1,P2のずれ量を逐次確認しながら搬送ローラ対29bと搬送ローラ対29aの搬送速度を調整し、ピーク値P1,P2の画素位置を同一にする。これにより、半円柱状レンズ部17の長手方向を主走査方向と平行にすることができる。
【0075】
なお、第2実施形態のプリンタ70において、第1実施形態と同様に、検出ユニット72a,72bのラインセンサ73の各検出信号から半円柱状レンズ部17の主走査方向に対する傾斜方向と傾斜角度とを算出し、この算出結果に基づいてレンチキュラーシート13の姿勢を調整してもよい。
【0076】
[第3実施形態]
第1及び第2実施形態では、半円柱状レンズ部17の1本分の検出信号に基づいて姿勢検出及び姿勢調整を行ったが、半円柱状レンズ部17の2本分の検出信号に基づいて姿勢検出及び姿勢調整を行ってもよい。
【0077】
図17に示すように、第3実施形態のプリンタでは、検出ユニット80に、2本の半円柱状レンズ部17に対して同時に検出光Sが照射可能なスリット81aを形成したスリット板81と、2本の半円柱状レンズ部17によりそれぞれ拡散されて2本になった検出光S1、S2をそれぞれ集光可能な副走査方向の長さDを有したシリンドリカルレンズ82とを用いている。これにより、ラインセンサ64には、2本の検出光S1,S2がそれぞれ入射するので、ラインセンサ64から出力される検出信号Fwは、図18に示すように2本分の半円柱状レンズ部17に対応する2つの波形Fw1,Fw2と、2つのピーク値Pw1,Pw2を有することになる。
【0078】
第1実施形態で説明したように、半円柱状レンズ部17の通過本数をカウントしてレンチキュラーシート13の搬送位置を制御する場合、半円柱状レンズ部17の通過を1本ずつカウントする方式では、レンチキュラーシート13の搬送誤差やバラツキによる影響を受けて誤差が発生しやすい。しかし、2本の半円柱状レンズ部17を同時にカウントすることにより、レンチキュラーシート13の搬送誤差やバラツキによる影響を受けにくくなるので、レンチキュラーシート13の搬送位置を精度よく制御することができる。
【0079】
本実施形態では、第1実施形態と同様に2つの検出ユニット56a,56b各々で半円柱状レンズ部17の傾斜方向及び傾斜角度を算出してもよいし、例えば傾斜角度の算出にPw1とPw2との間隔Gwを用いてもよい。また、第2実施形態のように、検出信号の2つのピーク値の画素方向の位置が同一になるように、搬送機構を制御してもよい。また、画素ピッチの大きなラインセンサの検出信号から2つのピーク値を求める場合には、1本分の半円柱状レンズ部17に相当する各波形Fw1,Fw2のそれぞれから求められる。
【0080】
[第4実施形態]
上記各実施形態では、レンチキュラーシート13の両端縁に対面する位置に配置した2つの検出ユニットを用いたが、1つの検出ユニットによってレンチキュラーシート13の姿勢検出及び姿勢調整を行ってもよい。図19に示すように、第4実施形態のプリンタ90は、レンチキュラーシート13の一方の端縁に対面した1つの検出ユニット91を備えている。この検出ユニット91は投光部61、スリット板62、シリンドリカルレンズ63及びラインセンサ64からなる。
【0081】
図20に示すように、制御部59は、レンチキュラーシート13を搬送ローラ対29a,29bで挟み込んだ後、各搬送用モータ32を最小の回転ステップで同方向に回転させ、レンチキュラーシート13を順方向に前進させる。レンチキュラーシート13の搬送後、制御部59は、ラインセンサ64の検出信号を確認し、ピーク値が画素方向の中央にあるか否かを確認する。
【0082】
制御部59は、検出信号のピーク値が画素方向の中央に来たときに、図9に示すように、検出信号Fから半値幅Hを検出する。半値幅Hは、半円柱状レンズ部17が主走査方向と平行であるときに最も狭く、主走査方向に対する傾斜角度が大きくなるほど半値幅Hも大きくなる。
【0083】
制御部59は、各搬送用モータ32を最小の回転ステップで逆方向に回転させ、レンチキュラーシート13を上方から見て最小ステップで時計方向に回転させる。制御部59は、レンチキュラーシート13の時計方向への回転後に、再び検出信号Fから半値幅Hを検出し、その直前に検出した半値幅Hに対する増減を特定する。
【0084】
半値幅Hが増加した場合には、半円柱状レンズ部17は、主走査方向に対して時計方向に傾斜していることが分る。そのため、制御部59は、レンチキュラーシート13を2ステップ分反時計方向に回転させ、再度半値幅Hを検出する。この半値幅Hが前回よりも減少した場合には、半値幅Hが増加に転じるまで1ステップ分の反時計方向への回転と半値幅Hの検出とを繰り返す。そして、半値幅Hが増加したときに、レンチキュラーシート13を1ステップ分時計方向に回転させる。これにより、検出信号Fの半値幅Hが最小になる。
【0085】
また、最初の時計方向の回転後の半値幅Hが減少した場合には、半円柱状レンズ部17は、主走査方向に対して反時計左方向に傾斜していることが分る。そのため、制御部59は、レンチキュラーシート13を1ステップ分反時計方向に回転させ、再度半値幅Hを検出する。この半値幅Hが前回よりも減少した場合には、半値幅Hが増加に転じるまで1ステップ分の時計方向への回転と半値幅Hの検出とを繰り返す。そして、半値幅Hが増加したときに、レンチキュラーシート13を1ステップ分反時計方向に回転させる。これにより、検出信号Fの半値幅Hが最小になる。
【0086】
レンチキュラーシート13の姿勢調整後、制御部59は、各搬送用モータ32を最小の回転ステップで同方向に回転させ、レンチキュラーシート13を逆方向に後進させる。制御部59は、検出信号Fの半値幅Hを検出し、半値幅Hが前回よりも減少したときには、半値幅Hが増加に転じるまで1ステップ分の後進と半値幅Hの検出とを繰り返す。そして、半値幅Hが増加したときに、レンチキュラーシート13を1ステップ分順方向に前進する。これにより、半円柱状レンズ部17の頂点位置がラインセンサ64の画素位置の中央に位置することになる。その後、第1実施形態と同様に、裏面部19に印画が行われる。
【0087】
本実施形態によれば、1つの検出ユニットでレンチキュラーシート13の姿勢検出及び姿勢調整を行うことができるので、プリンタを小型化し、コストダウンを図ることができる。なお、本実施形態では、検出信号Fの半値幅Hに基づいてレンチキュラーシート13の姿勢検出及び姿勢調整を行ったが、図21に示すように、第3実施形態の2つのピーク値Pw1,Pw2を有する検出信号Fwを用い、ピーク値Pw1,Pw2の間隔Gwに基づいてレンチキュラーシート13の姿勢検出及び姿勢調整を行ってもよい。
【0088】
上記実施形態では、第1〜第4実施形態をそれぞれ説明したが、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 プリンタ
13 レンチキュラーシート
17 半円柱状レンズ部
18 表面部
19 裏面部
29 搬送機構
29a,29b 搬送ローラ対
55 姿勢検出部
56a,56b 検出ユニット
57,58 密着用ローラ
61 投光部
62 スリット板
63 シリンドリカルレンズ
64,65ラインセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半円柱状レンズ部を平行に配列した表面部と平坦な裏面部とを有するレンチキュラーシートを前記半円柱状レンズ部の配列方向に搬送するとともに、前記レンチキュラーシートを前記表面部に直交する軸回りで回転させて前記レンチキュラーシートの搬送姿勢を調整する搬送手段と
前記表面部側から前記搬送方向に直交したライン状の検出光を前記半円柱状レンズ部に向けて照射する投光手段と、
前記搬送方向に直交する方向に長手方向が沿うように配置された平凸型のシリンドリカルレンズであって、凸面の反対側に設けられた平面が前記裏面部の通過する搬送面に一致するように配置されている前記シリンドリカルレンズと、
前記レンチキュラーシートの裏面部と前記シリンドリカルレンズの平面とを密着させる密着手段と、
前記搬送方向に沿って配列された複数の画素により前記シリンドリカルレンズによって集光された前記検出光を受光し、前記半円柱状レンズ部の頂点位置を表す検出信号を出力するラインセンサと、
前記検出信号に基づいて前記搬送手段を制御し、前記半円柱状レンズ部の長手方向が前記搬送方向に直交する方向に対して平行になるように前記レンチキュラーシートの搬送姿勢を調整する制御手段と、
互いに視差を有する2つ以上の原画像がそれぞれ線状に分割された複数の線状画像を前記半円柱状レンズ部の長手方向に沿って縞状に前記裏面部に印画する印画ヘッドとを備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記投光手段は、隣接する2本以上の前記半円柱状レンズ部に対して前記検出光を照射し、
前記シリンドリカルレンズは、2本以上の前記半円柱状レンズ部によりそれぞれ拡散されて2本以上になった前記検出光をそれぞれ集光し、
前記ラインセンサは、前記シリンドリカルレンズによって集光された2本以上の前記検出光を受光し、2本以上の前記半円柱状レンズ部の頂点位置を表した前記検出信号を出力することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記制御手段は、前記搬送手段に前記レンチキュラーシートを間欠搬送させるとともに、前記レンチキュラーシートの搬送停止時に取得した前記検出信号に基づいて前記レンチキュラーシートの搬送姿勢を調整することを特徴とする請求項1または2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記投光手段及び前記シリンドリカルレンズは、前記搬送方向に直交する方向において前記レンチキュラーシートの両端縁に対面する位置にそれぞれ設けられ、前記ラインセンサは、前記各シリンドリカルレンズの両端部にそれぞれ対面するように一対ずつ設けられており、
前記制御手段は、前記各一対のラインセンサからそれぞれ出力された前記検出信号に基づいて、前記半円柱状レンズ部の前記搬送方向に直交する方向に対する傾斜方向及び傾斜角度をそれぞれ算出し、これらの算出結果に基づいて前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のプリンタ。
【請求項5】
前記投光手段、前記シリンドリカルレンズ及び前記ラインセンサは、前記搬送方向に直交する方向において前記レンチキュラーシートの両端縁に対面する位置にそれぞれ設けられており、
前記制御手段は、前記各ラインセンサからそれぞれ出力された前記検出信号に基づいて、前記レンチキュラーシートの両端縁における前記半円柱状レンズ部の頂点位置が前記搬送方向において一致するように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のプリンタ。
【請求項6】
前記制御手段は、前記表面部に直交する軸回りにおける前記レンチキュラーシートの最小ピッチでの回転と、前記検出信号の半値幅の検出と、回転前後の前記半値幅の比較とを繰り返し、前記半値幅の比較結果に基づいて前記レンチキュラーシートの回転方向を切り換え、前記半値幅が最小になるように前記レンチキュラーシートの搬送姿勢を調整することを特徴とする請求項1記載のプリンタ
【請求項7】
前記制御手段は、前記表面部に直交する軸回りにおける前記レンチキュラーシートの最小ピッチでの回転と、前記検出信号に基づく2本の前記半円柱状レンズ部の頂点位置の間隔の検出と、回転前後の前記頂点位置間隔の比較とを繰り返し、前記比較結果に基づいて前記レンチキュラーシートの回転方向を切り換え、前記頂点位置間隔が最小になるように前記レンチキュラーシートの搬送姿勢を調整することを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項8】
前記制御手段は、前記ラインセンサの各画素の位置と前記各画素の出力信号との関係を表す前記検出信号から前記半円柱状レンズ部の1本分に相当する範囲を特定し、
前記特定範囲内で最大の値の出力信号を出力した最大画素と、次に大きな値の出力信号を出力した次点画素とを特定し、
前記最大画素と前記最大画素に隣接する最大隣接画素との出力値を結んだ最大接線と、前記次点画素と前記次点画素に隣接する次点隣接画素との出力値を結んだ次点接線とをそれぞれ求め、
前記最大接線と前記次点接線との交点を前記半円柱状レンズ部の頂点位置とすることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のプリンタ。
【請求項9】
前記検出光の波長は、600〜1000nmであることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載のプリンタ。
【請求項10】
前記制御手段は、前記検出信号に基づいて、前記半円柱状レンズ部の移動本数を計数して前記レンチキュラーシートの搬送位置を特定し、印画開始位置を制御することを特徴とする請求項1〜9いずれか記載のプリンタ。
【請求項11】
前記制御手段は、前記検出信号の波形に基づいて前記線状画像の1本分の印画範囲を特定することを特徴とする請求項1〜10いずれか記載のプリンタ。
【請求項12】
前記制御手段は、前記検出信号の前記半円柱状レンズ部の1本分に相当する波形からピーク値を特定し、1本の前記半円柱状レンズ部に印画される前記線状画像の本数に応じて設定された少なくとも1つの係数を前記ピーク値に乗算し、この算出結果から得た信号レベルに対応する前記ラインセンサの画素位置から、前記線状画像の1本分の印画範囲を特定することを特徴とする請求項11記載のプリンタ。
【請求項13】
前記制御手段は、前記検出信号の前記半円柱状レンズ部の1本分に相当する波形から、信号レベルが最大の位置である最大点と、前記最大点を挟む信号レベルが最小の位置である第1最小点及び第2最小点とを特定し、前記第1最小点と前記最大点、及び前記最大点と前記第2最小点との間を等分して、前記線状画像の1本分の印画範囲を特定することを特徴とする請求項11記載のプリンタ。
【請求項14】
前記搬送手段は、前記搬送方向に直交する方向において前記レンチキュラーシートの両端縁に対面する位置に1組ずつ設けられ、前記レンチキュラーシートを挟み込んで回転することにより前記レンチキュラーシートを搬送する一対の搬送ローラからなることを特徴とする請求項1〜13いずれか記載のプリンタ。
【請求項15】
前記密着手段は、前記印画ヘッドによる前記裏面部への印画時に前記レンチキュラーシートを支持するプラテンとして用いられることを特徴とする請求項1〜14いずれか記載のプリンタ。
【請求項16】
複数の半円柱状レンズ部を平行に配列した表面部と平坦な裏面部とを有するレンチキュラーシートが前記半円柱状レンズ部の配列方向に搬送される際に、前記表面部側から前記搬送方向に直交したライン状の検出光を前記半円柱状レンズ部に向けて照射するステップと、
前記搬送方向に直交する方向に長手方向が沿うように配置され、凸面の反対側に設けられた平面が前記裏面部に当接している平凸型のシリンドリカルレンズによって前記検出光を集光し、前記搬送方向に沿って配列された複数の画素を有するラインセンサによって前記検出光を受光して、前記半円柱状レンズ部の頂点位置を表す検出信号を出力するステップと、
前記検出信号に基づいて、前記半円柱状レンズ部の長手方向が前記搬送方向に直交する方向に対して平行になるように前記レンチキュラーシートの搬送姿勢を調整するステップと、
視差を有する2つ以上の原画像がそれぞれ線状に分割された複数の線状画像を前記半円柱状レンズ部の長手方向に沿って縞状に前記裏面部に印画するステップとを備えたことを特徴とするプリント方法。
【請求項17】
前記検出光は、隣接する2本以上の前記半円柱状レンズ部に対して照射され、
前記シリンドリカルレンズは、2本以上の前記半円柱状レンズ部によりそれぞれ拡散されて2本以上になった前記検出光をそれぞれ集光し、
前記ラインセンサは、前記シリンドリカルレンズによって集光された2本以上の前記検出光を受光し、2本以上の前記半円柱状レンズ部の頂点位置を表した前記検出信号を出力することを特徴とする請求項16記載のプリント方法。
【請求項1】
複数の半円柱状レンズ部を平行に配列した表面部と平坦な裏面部とを有するレンチキュラーシートを前記半円柱状レンズ部の配列方向に搬送するとともに、前記レンチキュラーシートを前記表面部に直交する軸回りで回転させて前記レンチキュラーシートの搬送姿勢を調整する搬送手段と
前記表面部側から前記搬送方向に直交したライン状の検出光を前記半円柱状レンズ部に向けて照射する投光手段と、
前記搬送方向に直交する方向に長手方向が沿うように配置された平凸型のシリンドリカルレンズであって、凸面の反対側に設けられた平面が前記裏面部の通過する搬送面に一致するように配置されている前記シリンドリカルレンズと、
前記レンチキュラーシートの裏面部と前記シリンドリカルレンズの平面とを密着させる密着手段と、
前記搬送方向に沿って配列された複数の画素により前記シリンドリカルレンズによって集光された前記検出光を受光し、前記半円柱状レンズ部の頂点位置を表す検出信号を出力するラインセンサと、
前記検出信号に基づいて前記搬送手段を制御し、前記半円柱状レンズ部の長手方向が前記搬送方向に直交する方向に対して平行になるように前記レンチキュラーシートの搬送姿勢を調整する制御手段と、
互いに視差を有する2つ以上の原画像がそれぞれ線状に分割された複数の線状画像を前記半円柱状レンズ部の長手方向に沿って縞状に前記裏面部に印画する印画ヘッドとを備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記投光手段は、隣接する2本以上の前記半円柱状レンズ部に対して前記検出光を照射し、
前記シリンドリカルレンズは、2本以上の前記半円柱状レンズ部によりそれぞれ拡散されて2本以上になった前記検出光をそれぞれ集光し、
前記ラインセンサは、前記シリンドリカルレンズによって集光された2本以上の前記検出光を受光し、2本以上の前記半円柱状レンズ部の頂点位置を表した前記検出信号を出力することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記制御手段は、前記搬送手段に前記レンチキュラーシートを間欠搬送させるとともに、前記レンチキュラーシートの搬送停止時に取得した前記検出信号に基づいて前記レンチキュラーシートの搬送姿勢を調整することを特徴とする請求項1または2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記投光手段及び前記シリンドリカルレンズは、前記搬送方向に直交する方向において前記レンチキュラーシートの両端縁に対面する位置にそれぞれ設けられ、前記ラインセンサは、前記各シリンドリカルレンズの両端部にそれぞれ対面するように一対ずつ設けられており、
前記制御手段は、前記各一対のラインセンサからそれぞれ出力された前記検出信号に基づいて、前記半円柱状レンズ部の前記搬送方向に直交する方向に対する傾斜方向及び傾斜角度をそれぞれ算出し、これらの算出結果に基づいて前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のプリンタ。
【請求項5】
前記投光手段、前記シリンドリカルレンズ及び前記ラインセンサは、前記搬送方向に直交する方向において前記レンチキュラーシートの両端縁に対面する位置にそれぞれ設けられており、
前記制御手段は、前記各ラインセンサからそれぞれ出力された前記検出信号に基づいて、前記レンチキュラーシートの両端縁における前記半円柱状レンズ部の頂点位置が前記搬送方向において一致するように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のプリンタ。
【請求項6】
前記制御手段は、前記表面部に直交する軸回りにおける前記レンチキュラーシートの最小ピッチでの回転と、前記検出信号の半値幅の検出と、回転前後の前記半値幅の比較とを繰り返し、前記半値幅の比較結果に基づいて前記レンチキュラーシートの回転方向を切り換え、前記半値幅が最小になるように前記レンチキュラーシートの搬送姿勢を調整することを特徴とする請求項1記載のプリンタ
【請求項7】
前記制御手段は、前記表面部に直交する軸回りにおける前記レンチキュラーシートの最小ピッチでの回転と、前記検出信号に基づく2本の前記半円柱状レンズ部の頂点位置の間隔の検出と、回転前後の前記頂点位置間隔の比較とを繰り返し、前記比較結果に基づいて前記レンチキュラーシートの回転方向を切り換え、前記頂点位置間隔が最小になるように前記レンチキュラーシートの搬送姿勢を調整することを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項8】
前記制御手段は、前記ラインセンサの各画素の位置と前記各画素の出力信号との関係を表す前記検出信号から前記半円柱状レンズ部の1本分に相当する範囲を特定し、
前記特定範囲内で最大の値の出力信号を出力した最大画素と、次に大きな値の出力信号を出力した次点画素とを特定し、
前記最大画素と前記最大画素に隣接する最大隣接画素との出力値を結んだ最大接線と、前記次点画素と前記次点画素に隣接する次点隣接画素との出力値を結んだ次点接線とをそれぞれ求め、
前記最大接線と前記次点接線との交点を前記半円柱状レンズ部の頂点位置とすることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のプリンタ。
【請求項9】
前記検出光の波長は、600〜1000nmであることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載のプリンタ。
【請求項10】
前記制御手段は、前記検出信号に基づいて、前記半円柱状レンズ部の移動本数を計数して前記レンチキュラーシートの搬送位置を特定し、印画開始位置を制御することを特徴とする請求項1〜9いずれか記載のプリンタ。
【請求項11】
前記制御手段は、前記検出信号の波形に基づいて前記線状画像の1本分の印画範囲を特定することを特徴とする請求項1〜10いずれか記載のプリンタ。
【請求項12】
前記制御手段は、前記検出信号の前記半円柱状レンズ部の1本分に相当する波形からピーク値を特定し、1本の前記半円柱状レンズ部に印画される前記線状画像の本数に応じて設定された少なくとも1つの係数を前記ピーク値に乗算し、この算出結果から得た信号レベルに対応する前記ラインセンサの画素位置から、前記線状画像の1本分の印画範囲を特定することを特徴とする請求項11記載のプリンタ。
【請求項13】
前記制御手段は、前記検出信号の前記半円柱状レンズ部の1本分に相当する波形から、信号レベルが最大の位置である最大点と、前記最大点を挟む信号レベルが最小の位置である第1最小点及び第2最小点とを特定し、前記第1最小点と前記最大点、及び前記最大点と前記第2最小点との間を等分して、前記線状画像の1本分の印画範囲を特定することを特徴とする請求項11記載のプリンタ。
【請求項14】
前記搬送手段は、前記搬送方向に直交する方向において前記レンチキュラーシートの両端縁に対面する位置に1組ずつ設けられ、前記レンチキュラーシートを挟み込んで回転することにより前記レンチキュラーシートを搬送する一対の搬送ローラからなることを特徴とする請求項1〜13いずれか記載のプリンタ。
【請求項15】
前記密着手段は、前記印画ヘッドによる前記裏面部への印画時に前記レンチキュラーシートを支持するプラテンとして用いられることを特徴とする請求項1〜14いずれか記載のプリンタ。
【請求項16】
複数の半円柱状レンズ部を平行に配列した表面部と平坦な裏面部とを有するレンチキュラーシートが前記半円柱状レンズ部の配列方向に搬送される際に、前記表面部側から前記搬送方向に直交したライン状の検出光を前記半円柱状レンズ部に向けて照射するステップと、
前記搬送方向に直交する方向に長手方向が沿うように配置され、凸面の反対側に設けられた平面が前記裏面部に当接している平凸型のシリンドリカルレンズによって前記検出光を集光し、前記搬送方向に沿って配列された複数の画素を有するラインセンサによって前記検出光を受光して、前記半円柱状レンズ部の頂点位置を表す検出信号を出力するステップと、
前記検出信号に基づいて、前記半円柱状レンズ部の長手方向が前記搬送方向に直交する方向に対して平行になるように前記レンチキュラーシートの搬送姿勢を調整するステップと、
視差を有する2つ以上の原画像がそれぞれ線状に分割された複数の線状画像を前記半円柱状レンズ部の長手方向に沿って縞状に前記裏面部に印画するステップとを備えたことを特徴とするプリント方法。
【請求項17】
前記検出光は、隣接する2本以上の前記半円柱状レンズ部に対して照射され、
前記シリンドリカルレンズは、2本以上の前記半円柱状レンズ部によりそれぞれ拡散されて2本以上になった前記検出光をそれぞれ集光し、
前記ラインセンサは、前記シリンドリカルレンズによって集光された2本以上の前記検出光を受光し、2本以上の前記半円柱状レンズ部の頂点位置を表した前記検出信号を出力することを特徴とする請求項16記載のプリント方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−107449(P2011−107449A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262916(P2009−262916)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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