説明

プリンタ装置システム

【課題】複数の通信用インターフェイスを有するプリンタ装置システムにおいて、ユーザーが使用したいインターフェイスと、外部機器が認識しているインターフェイスとの不一致によるプリンタ装置の誤動作が防止可能なプリンタ装置システムを提供する。
【解決手段】複数の通信用インターフェイスを有するプリンタ装置システムにおいて、プリンタ装置システムは、複数の通信用インターフェイスのうちの1つの通信用インターフェイスのみを使用可能とし、他の通信用インターフェイスは使用不可とする混信防止手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の通信用インターフェイスを備えるプリンタ装置を有するプリンタ装置システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタ装置とPCなどの外部機器とは、互いに設けられるコネクタ部にUSBなどの通信ケーブルが接続されることにより、双方の信号の伝送を行っている。また近年では、通信ケーブルが不要な無線データ伝送方式の通信手段である、赤外線を使用したIrDAや、電波を使用したBluetoothや無線LANなどの通信手段が普及している。特に、携帯可能なモバイルプリンタなどに上記の無線データ伝送方式の通信手段を用いると、ケーブルレスにすることによる携帯性が向上するため、このような無線データ伝送方式の通信手段を用いることが多くなっている。
【0003】
一般にプリンタのような機器には、様々なユーザーに対応するために、USBやBluetooth用のコネクタ部、IrDAの信号入出力部など、複数の通信用インターフェイスが備えられる。USBを用いた場合、プリンタと外部機器との間にはUSBケーブルを介した有線通信が行われる。Bluetoothを用いた場合は、電波による無線通信が行われる。IrDAを用いた場合は、赤外線による無線通信が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の複数の通信用インターフェイスを備えるプリンタに、同時に複数の通信ケーブルや通信モジュールが接続されている場合、ユーザーが使用したいインターフェイスと、外部機器が認識しているインターフェイスとが一致せず、プリンタの誤動作を招くことがある。
【0005】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、複数の通信用インターフェイスを有するプリンタ装置システムにおいて、ユーザーが使用したいインターフェイスと、外部機器が認識しているインターフェイスとの不一致によるプリンタ装置の誤動作が防止可能なプリンタ装置システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、請求項1に記載のプリンタ装置システムは、複数の通信用インターフェイスを有するプリンタ装置システムにおいて、プリンタ装置システムは、複数の通信用インターフェイスのうちの1つの通信用インターフェイスのみを使用可能とし、他の通信用インターフェイスは使用不可とする混信防止手段を有することを特徴とする。このようにプリンタ装置システムを構成することにより、プリンタ装置と外部機器とのデータの送受信には、ユーザーが使用したい通信手段が確実に使用されて行われる。そのため、ユーザーが使用したいインターフェイスと、外部機器が認識しているインターフェイスとの不一致によるプリンタ装置の誤動作を防止することができる。
【0007】
また、請求項2に記載のプリンタ装置システムは、混信防止手段は、他の通信用インターフェイスの少なくとも一部を覆う手段であることを特徴とする。このようにプリンタ装置システムを構成することにより、ユーザーは使用したい通信用インターフェイス以外の通信用インターフェイスを物理的に覆い、使用不可とすることができる。そのため、ユーザーが使用したいインターフェイスと、外部機器が認識しているインターフェイスとの不一致によるプリンタ装置の誤動作を防止することができる。
【0008】
また、請求項3に記載のプリンタ装置システムは、プリンタ装置は、ハウジングを有し、複数の通信用インターフェイスは、ハウジングの同一面上に設けられることを特徴とする。このようにプリンタ装置システムを構成することにより、ユーザーは使用したい通信用インターフェイスに接続するモジュールを用いて、該インターフェイス以外の通信用インターフェイスを使用不可とすることができる。そのため、ユーザーが使用したいインターフェイスと、外部機器が認識しているインターフェイスとの不一致によるプリンタ装置の誤動作を防止することができる。
【0009】
また、請求項4に記載のプリンタ装置システムは、複数の通信用インターフェイスは、Bluetooth用のコネクタと、IrDAの信号入出力部とから構成されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載のプリンタ装置システムは、複数の通信用インターフェイスは、Bluetooth用のコネクタと、USB用のコネクタとから構成されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載のプリンタ装置システムは、プリンタ装置は、サーマルプリンタヘッドを備えたサーマルラインプリンタであることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態のサーマルラインプリンタシステム100の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、サーマルラインプリンタシステム100は、サーマルプリンタヘッド1と、プラテンローラ2と、挿入口3と、案内部4と、排出部5と、駆動部6と、反射型フォトインタラプタ7と、電源スイッチ8と、制御部10と、IrDA受発光部11と、Bluetooth用コネクタ部12と、Bluetoothモジュール20とから概略構成される。
【0013】
サーマルラインプリンタ100aで使用される記録媒体Pは、加熱により表面に画像が形成される感熱紙である。画像情報に応じてライン出力を行うサーマルプリンタヘッド1は印字情報に応じて加熱する抵抗素子1aを持ち、記録媒体Pに印字を行う。
【0014】
サーマルプリンタヘッド1は、矢印A方向に揺動可能となっており、サーマルプリンタヘッド1の下側に設けられた板ばね(不図示)によって上方(A方向)に向けて付勢されている。そして、記録媒体Pは、サーマルプリンタヘッド1の抵抗素子1aとサーマルプリンタヘッド1に対向して設けられたプラテンローラ2との間に挟まれると共に、該板ばねの付勢力によって、所定の押圧力で押圧される。また、プラテンローラ2は、制御部10により駆動制御される駆動部6により回転駆動される。プラテンローラ2が、サーマルプリンタヘッド1との間で記録媒体Pを挟み込んだ状態で回転駆動することにより、記録媒体Pが搬送される。
【0015】
サーマルラインプリンタ100aの上部には、サーマルプリンタヘッド1とプラテンローラ2に記録媒体を供給するための挿入口3が形成されている。また、挿入口3から供給された記録媒体Pは、挿入口3からサーマルプリンタヘッド1に向けて延出する案内部4によって、サーマルプリンタヘッド1まで案内される。挿入口3近傍に配設されている反射型フォトインタラプタ7は、記録媒体Pが所定位置(記録媒体Pがサーマルプリンタヘッド1まで案内された位置)に挿入されたかどうかを検出する。制御部10は、反射型フォトインタラプタ7の出力信号をモニタすることにより、記録媒体Pが印刷可能な状態かどうかを知ることができる。また、サーマルラインプリンタ100aの側面には、サーマルプリンタヘッド1により印字された記録媒体Pを排出するための排出口5が設けられている。
【0016】
プリント時には、術者が電源スイッチ8をオンし、サーマルラインプリンタ100aを起動させ、挿入口3から記録媒体Pを挿入する。記録媒体Pは、記録媒体先端がサーマルプリンタヘッド1とプラテンローラ2に当接するまで挿入される。そして、パソコンなどの情報処理機器からサーマルラインプリンタ100aに印字情報を送られ、反射型フォトインタラプタ7が記録媒体Pが所定位置に挿入されたと検出した場合には、記録媒体Pを挿入口3から排出口5に搬送するように、プラテンローラ2は回転駆動を始め、記録媒体Pの搬送が開始される。記録媒体Pの搬送開始に伴い、サーマルプリンタヘッド1は画像情報に応じて加熱を開始する。印字された記録媒体Pは、排出口5から排出される。また、反射型フォトインタラプタ7が記録媒体Pが所定位置に挿入されていないと検出した場合には、プラテンローラ2は回転駆動しない。そのため、記録媒体Pの搬送は行われない。
【0017】
本発明の第1の実施形態において、パソコンなどの情報処理機器からサーマルラインプリンタシステム100へのデータの送信には、無線データ伝送方式であるBluetoothとIrDAが用いられる。Bluetoothは、2.45GHz周波数帯の微弱電波を使用した無線データ伝送方式である。Bluetoothは電波を使用するため、機器同士の位置合わせをする必要がない。また、機器同士間に遮蔽物があっても、データ通信が可能である。IrDAは、850nm〜900nmの近赤外線を使用した無線データ伝送方式である。IrDAは赤外線を使用するため、機器同士の位置合わせをする必要がある。また、機器同士間に遮蔽物があると、データ通信することができない。
【0018】
図2(a)は、本発明の第1の実施形態のサーマルラインプリンタ100aからBluetoothモジュール20を脱着させた状態を表す図である。サーマルラインプリンタ100aはサーマルラインプリンタ100aのハウジング側面101に、IrDA受発光部11とBluetooth用コネクタ部12を備える。また、図1に示すようにIrDA受発光部11とBluetooth用コネクタ部12からは、互いに独立した信号ケーブルが延出し、各ケーブルは制御部10の各ポート(不図示)に接続される。Bluetoothモジュール20は、Bluetooth用のコネクタと接続可能な、Bluetoothモジュールコネクタ部21を備える。また、Bluetoothモジュール20は、Bluetooth用コネクタ部12とBluetoothモジュールコネクタ部21とが接続されると、IrDA受発光部11とBluetooth用コネクタ部12とが同一平面上に配設され、かつBluetoothモジュール20がハウジング側面101と同一形状を有しているため、Bluetoothモジュール20本体がIrDA受発光部11全体を覆う。
【0019】
図2(a)の場合、Bluetoothモジュール20はサーマルラインプリンタ100aから脱着されている。そのため、サーマルラインプリンタシステム100と外部機器との通信手段には、Bluetoothは使用できず、IrDAのみが使用可能となる。
【0020】
図2(b)は、サーマルラインプリンタ100aにBluetoothモジュール20を装着させた状態を表す図である。Bluetoothモジュール20は上述した形状を有し、さらにIrDA受発光部11とBluetoothモジュール20は同一平面上に配設されている。そのため、サーマルラインプリンタ100aにBluetoothモジュール20が装着されると、Bluetoothモジュール20によりIrDA受発光部11が物理的に覆われる。
【0021】
図2(b)の場合、Bluetoothモジュール20はサーマルラインプリンタ100aに装着されている。サーマルラインプリンタ100aには、BluetoothとIrDAの2つの通信手段が備えられる。上述のように、IrDA受発光部11はBluetoothモジュール20により物理的に覆われている。そのため、外部機器が認識しているインターフェイスがIrDAである場合、IrDAは赤外線通信であるため、外部機器がデータを送信しても、Bluetoothモジュール20により遮られる。その結果、サーマルラインプリンタシステム100と外部機器との通信手段には、IrDAは使用できず、電波を使用するBluetoothのみが使用可能となる。
【0022】
上述のようにサーマルラインプリンタシステム100を構成することによりユーザーはIrDAを使用する時はBluetoothモジュール20を脱着し、Bluetoothを使用する時はBluetoothモジュール20を装着することで、ユーザーが意図するインターフェイスを用いて通信が可能となる。そのため、インターフェイスとの不一致によるプリンタ装置の誤動作が防止できる。
【0023】
図3(a)は、本発明の第2の実施形態のサーマルラインプリンタ100bにUSBケーブル30を接続し、Bluetoothモジュール20を脱着させた状態を表す図である。なお、サーマルラインプリンタ100bにおいて、図2(a)で示す第1の実施形態のサーマルラインプリンタ100aと同一の構成には、同一の符号を付してここでの詳細な説明は省略する。
【0024】
サーマルラインプリンタ100bはサーマルラインプリンタ100bのハウジング側面102に、Bluetooth用コネクタ部12とUSB用コネクタ部13を備える。また、Bluetooth用コネクタ部12とUSB用コネクタ部13からは、互いに独立した信号ケーブルが延出し、各ケーブルは制御部10の各ポートに接続される。Bluetoothモジュール20は、Bluetooth用コネクタ部12とBluetoothモジュールコネクタ部21とが接続されると、Bluetoothモジュール20本体がUSB用コネクタ部13の少なくとも一部を覆うような形状を有する。
【0025】
図3(a)の場合、サーマルラインプリンタ100bにUSBケーブル30が接続され、Bluetoothモジュール20は脱着されている。Bluetoothモジュール20は上述した形状を有し、さらにBluetoothモジュール20とUSB用コネクタ部13は同一平面上に配設されているため、ユーザーはサーマルラインプリンタ100bにUSBケーブル30が接続されている場合は、同時にBluetoothモジュール20を接続することができない。そのため、サーマルラインプリンタシステム100と外部機器との通信手段には、Bluetoothは使用できず、USBケーブルを使用する有線通信のみが使用可能となる。
【0026】
図3(b)は、サーマルラインプリンタ100bにBluetoothモジュール20を装着させた状態を表す図である。Bluetoothモジュール20は、上述した形状を有し、さらにBluetoothモジュール20とUSB用コネクタ部13は同一平面上に配設されている。そのため、サーマルラインプリンタ100bにBluetoothモジュール20が装着されると、Bluetoothモジュール20によりUSB用コネクタ部13の少なくとも一部が物理的に覆われる。その結果、ユーザーはサーマルラインプリンタ100bにBluetoothモジュール20が接続されている場合は、同時にUSBケーブル30を接続することができない。
【0027】
上述のようにサーマルラインプリンタシステム100を構成することによりユーザーはUSBを使用する時はBluetoothモジュール20を脱着し、USBケーブル30を接続する。また、Bluetoothを使用する時はUSBケーブル30を外し、Bluetoothモジュール20を装着することで、ユーザーが意図するインターフェイスを用いて通信が可能となる。そのため、インターフェイスとの不一致によるプリンタ装置の誤動作を防止することができる。
【0028】
【発明の効果】
このように本発明は、複数の通信用インターフェイスのうちの1つの通信用インターフェイスのみを使用可能とし、他の通信用インターフェイスは使用不可とする混信防止手段を有するため、プリンタ装置と外部機器との通信は、ユーザーが使用したい通信手段が確実に使用されて行われる。その結果、ユーザーが使用したいインターフェイスと、外部機器が認識しているインターフェイスとの不一致によるプリンタ装置の誤動作が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のサーマルラインプリンタシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のサーマルラインプリンタシステムの構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態のサーマルラインプリンタシステムの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 サーマルプリンタヘッド
2 プラテンローラ
10 制御部
20 Bluetoothモジュール
100 サーマルラインプリンタシステム
100a サーマルラインプリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信用インターフェイスを有するプリンタ装置システムにおいて、
前記プリンタ装置システムは、前記複数の通信用インターフェイスのうちの1つの通信用インターフェイスのみを使用可能とし、他の通信用インターフェイスは使用不可とする混信防止手段を有すること、を特徴とするプリンタ装置システム。
【請求項2】
前記混信防止手段は、前記他の通信用インターフェイスの少なくとも一部を覆う手段であること、を特徴とする請求項1に記載のプリンタ装置システム。
【請求項3】
前記プリンタ装置は、ハウジングを有し、
前記複数の通信用インターフェイスは、前記ハウジングの同一面上に設けられること、を特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のプリンタ装置システム。
【請求項4】
前記複数の通信用インターフェイスは、Bluetooth用のコネクタと、IrDAの信号入出力部と、から構成されること、を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のプリンタ装置システム。
【請求項5】
前記複数の通信用インターフェイスは、Bluetooth用のコネクタと、USB用のコネクタと、から構成されること、を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のプリンタ装置システム。
【請求項6】
前記プリンタ装置は、サーマルプリンタヘッドを備えたサーマルラインプリンタであること、を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のプリンタ装置システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2004−9628(P2004−9628A)
【公開日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−168244(P2002−168244)
【出願日】平成14年6月10日(2002.6.10)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】