説明

プリンタ装置

【課題】 コストアップを招くEMI対策部品や筐体のシールドを用いることなく、十分にEMIレベルを低減させる。
【解決手段】 プリンタ装置は、デコードされたビデオ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ97と、デジタル化された信号に対して信号処理を行うデジタルプロセス回路98と、信号処理された信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータ100と、A/Dコンバータ97、デジタルプロセス回路98及びD/Aコンバータ100に対して、スペクトル拡散が施された基本クロックを供給するスペクトラム拡散クロック発生器SSCG1とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタ装置、更に詳しくはEMI対策部分に特徴のあるプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電子機器においては、電磁環境特性EMCに関して各国の規制値(FCC(米国),VCCI(日本国),CISPR(欧州)等)を満足させるためにEMI対策を実施している。
【0003】
欧州地域に流通する電子機器にとってはCEマークを取るためにEMC対策は設計上の必須項目である。特に映像機器においては、ビデオ信号のデジタル化に伴い、数十MHzのクロック信号を用いて動作させるためにクロックの高調波成分が多く電磁波として発生する。
【0004】
このクロックの高調波成分を規制値の限度内に抑えるためのEMI対策は、映像機器の開発段階において多くの試行錯誤を繰り返し実施されてきた。そして、従来からこのための対策として、以下のような対策方法がとられていた。
【0005】
(A)電磁波ノイズの発生源である電子回路の基板を金属筐体で覆い、金属筐体の隙間をガスケットやシールドフィンガー等を使い完全な箱型のシールド筐体とし電磁波を閉じ込める。
【0006】
(B)コネクタに接続される接続ケーブルにシールド線を使い、接続シールド電位を金属筐体の電位と同じにしケーブルのシールド能力を向上させ、筐体および接続ケーブルの外部へ電磁波が漏れるのを防ぐ。
【0007】
(C)金属筐体で完全にシールドできない場合に、電子回路の電磁波発生源にフェライトビーズ等のEMI対策部品を配置し、発生原因の信号の高調波成分を熱エネルギとして減衰させるか、またはGND等の低インピーダンス部分に逃がし電磁放射レベルを低減する。
【0008】
上記の従来からの対策方法(A)や(B)では、筐体の設計を工夫しシールド性を高める工夫が電子機器のサイズを大きくすると共に、コストアップをまねくものになっていた。
【0009】
また、対策方法(C)では、電子回路上でのフェライトビーズ等のEMI対策部分の追加が回路の大きさを増加させ、さらにEMI対策部品分のコストアップをまねいていた。
【0010】
ここで、図13に示すような、CCD201、CCDドライバ202、SSG(同期信号発生器)203、基本クロック発振器204、S/H(サンプルホールド回路)205、LPH(ローパスフィルタ)206、A/Dコンバータ207、DSP208、D/Aコンバータ209、LPF210、エンコーダ211、分周器212、加算器213からなる電子回路を例に従来技術を説明する。
【0011】
図13の電子回路は、従来よりあるビデオカメラの回路構成であり、基本クロック発振器204からの基本クロックをSSG203で分周して各種同期信号(4fsc、Sync,BF等)をS/H205からエンコーダ211までの信号処理ステップに供給している。CCD201はSSG203から出力する信号によりCCDドライバ202を介して駆動される。
【0012】
CCD201からの出力信号はS/H205により処理され、LPF206を通してA/Dコンバータ207に入力されデジタル値に変換され、DSP208にて演算が実行される。D/Aコンバータ209にてDSP208の出力をアナログ信号(輝度Y,色差R−Y,B−Y等)に変換し出力される。ここで、LPF210はD/A変換後のアナログ信号のノイズを除去するローパスフィルタである。
【0013】
そして、エンコーダ211はSSG203から各種同期信号(4fsc,Sync,BF等)及び分周器212からのfscを受け取りテレビ信号フォーマット(NTSC・PAL等)に合致する輝度信号Yとカラーサブキャリア信号Cを出力する。
【0014】
加算器213は輝度信号Yとカラーサブキャリア信号Cを加算しNTSCやPAL等の複合映像信号を出力する。
【0015】
次にCCD201の出力信号を処理するための動作として、従来のサンプルホールド処理のメカニズムを図14を用いて説明する。
【0016】
図14(a)に示す駆動パルスに対して駆動信号が遅れてCCD201に到達するので、図14(b)に示すようにΔt1だけの遅延時間を持つCCD出力となる。さらにCCD出力は、CCU部までのΔt2だけケーブル遅延が生じるためS/H回路205の受信信号は図14(c)に示すようになる。そして、この受信信号をS/H回路205は図14(d)に示すS/Hパルスにてサンプルホールドしていた。
【0017】
ここで、図14(d)に示すS/Hパルスは、図14(a)に示す駆動パルス列のなかでCCD201を駆動したおおもとの信号ポイントAより時間的に遅延したBポイントの信号を基準にしてS/Hパルスは作られていた。
【0018】
この従来の設計手法は、通常同期回路と呼ばれるものであり、タイミング設計がしやすく通常実施するテクニックである。しかし同期したクロックを基準にしてシステム動作をするために、クロックの高調波成分がクロックの立ち上がりと立ち下がりの時間で周期的に発生しやすい点があった。
【0019】
つまり、図13に示した従来の電子回路例では、CCD201の駆動から最終的な映像信号を作り出すまでの段階の全てにおいて、基本クロック発振器204からの基本クロックを分周した各種同期信号により処理されており、すべてのブロックで基本クロック発振器204に同期した動作をしており、基本クロック発振器204の高調波成分がEMI成分として、外部に電磁波として放出されることになる。
【0020】
この電磁波のレベルは、図15に示すように、基本クロック発振器204に同期している電磁波成分なので、スペクトルアナライザ等の測定器で観察すると、ピークレベルを持つ狭帯域のエネルギ分布として表現される。
【0021】
各国の電磁妨害波規制値に対し評価するEMI観測では、このピークレベルを持つ狭帯域のエネルギ分布に対しある帯域フィルタを通して受信機で強度レベルを読むことにより、ノイズレベルを評価している。
【0022】
このノイズレベルを下げることがEMI対策である。従来よく実施される手段として、図16に示すように、回路基板221を金属で作成した筐体222で覆いシールド性を高める工夫がなされていた。
【0023】
また、軽量化を達成するために筐体222を金属で作成できない場合は、モールド等の部材を使い回路基板221を覆う。しかし、この場合はシールド効果が無いので、回路基板221をモールドの筐体222内部で等電位の金属プレートで覆う等の工夫、またはモールドで形成した筐体222の内側に導電性の皮膜を形成しシールド効果をもたすなどの工夫をしてきた。
【0024】
さらに、ノイズレベルを下げるための回路的工夫としては、回路基板221上の電子回路部に、フェライトビーズ等のEMI対策部品の追加等を実施して、回路上のEMIレベルの抑圧をピンポイント的に行ってきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、上記の従来のEMI対策では、いずれの場合も、高価な追加対策部材を必要としコスト高になるといった問題がある。
【0026】
また、対策部材のノイズ抑圧効果も、部材のバラツキおよび組付け時の接合具合等により差が生じており、対策効果の安定性が無いことが製造上の課題になっている。
【0027】
図17及び図18に電波暗室においてスペクトルアナライザを用いて測定した従来のEMI対策後の結果の具体例を示す。
【0028】
なお、図17と図18ともに水平偏波のEMIレベルを観測した結果である。また、図16及び図17においては、参考例としてCISPR Pub.11のClassAのリミットラインを示している。点線は参考として6dBのマージンラインである。
【0029】
図17は図16に示したように、回路基板221を金属の筐体222で覆い、シールド性を高める工夫をした場合の従来からの対策結果である。さらに図18はモールド等の部材を使った筐体222により回路基板221を覆った場合の結果であり、この場合はシールド効果が無いのでEMIの放射レベルも大きくなってしまった。
【0030】
この図17と図18に示したのはClassAのリミットラインであるが、民生用の機器や医療機では各国の規制値は、通常ClassBのリミットラインを要求しており、対策に非常に大きな時間と労力を必要とする。
【0031】
このClassBのリミットラインは、ClassAのリミットラインに対してCISPRの場合であると10dB厳しくなった規格値となる。この10dBのリミットラインは、図17と図18において図示したリミットラインとマージンラインを下側に10dB平行移動したものであり、図17と図18に示す現状のEMIレベルではClassBのリミットラインとマージンラインをクリアするのは難しいものとなる。
【0032】
このように従来技術では、上記問題の他に、筐体222を設計上、工夫しシールド性を高める工夫を実施するとか、回路基板221上の電子回路部に、フェライトビーズ等のEMI対策部品の追加等を実施して回路上のEMIレベル抑圧をするとかして、高価な追加対策部材を用いても、十分にEMI対策が実施できないという問題がある。
【0033】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コストアップを招くEMI対策部品や筐体のシールドを用いることなく、十分にEMIレベルを低減させることのできるプリンタ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明のプリンタ装置は、スペクトル拡散処理を施した第1のクロックを用い映像信号処理を実施する映像処理手段と、スペクトル拡散処理を施されていない第2のクロックを用い映像信号を生成する映像信号生成手段とを備えて構成される。
【0035】
本発明のプリンタ装置では、前記映像処理手段がスペクトル拡散処理を施した前記第1のクロックを用い映像信号処理を実施することで、コストアップを招くEMI対策部品や筐体のシールドを用いることなく、十分にEMIレベルを低減させることを可能とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明のプリンタ装置によれば、映像処理手段がスペクトル拡散処理を施した第1のクロックを用い映像信号処理を実施するので、コストアップを招くEMI対策部品や筐体のシールドを用いることなく、十分にEMIレベルを低減させることできるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について述べる。
【0038】
第1の実施の形態:
図1ないし図6は本発明の第1の実施の形態に係わり、図1は映像機器であるアナログ方式のビデオカメラの構成を示す構成図、図2は図1のSSCGの構成を示す構成図、図3は図2のSSCGによるスペクトル拡散処理の作用を説明する説明図、図4は図1のビデオカメラを金属筐体で覆った際のEMI測定の結果を示す図、図5は図1のビデオカメラをモールド筐体で覆った際のEMI測定の結果を示す図、図6は図1のサンプルホールド信号を説明する図である。
【0039】
本実施の形態を含む以下の各実施の形態では、映像機器の基本動作クロックにスペクトル拡散処理を施し、映像信号処理を行う。
【0040】
さらに、各TV方式に合致させるために、スペクトル拡散処理を施さない信号系統を映像信号処理系統とは別に用意しTV信号を合成または制御することにより、通常の映像機器と接続可能とする。
【0041】
これにより、映像信号処理系統はスペクトル拡散処理を施されることにより、低EMIレベルで動作する回路を実現する。またスペクトル拡散処理を施さない信号系統を用いてTV信号を合成または制御するので通常の映像機器を用いても実用上互換がある。またさらに高価なEMI対策部品を必要とせずに安価なEMI対策を実施できるので映像機器の低コスト化に有効である。
【0042】
まず、スペクトル拡散処理の作用について図3を用いて説明する。
【0043】
図3において、スペクトル拡散処理をしない場合のノイズレベルを実線により示し、スペクトル拡散処理を実行した場合を破線により示す。
【0044】
スペクトル拡散処理を実行すると、スペクトル拡散処理をしない場合のノイズレベルのケースではピーク状に存在していたノイズのレベルが、矢印に示す様にある帯域内でノイズレベルパワーが拡散されることによりスペクトル拡散をしない場合に比べてノイズレベルが約6dBから約10dBほど改善される。
【0045】
このスペクトル拡散処理によりEMIのレベルを軽減し対策を軽微なものとすることが可能となる。
【0046】
次に、最初に図2を用いて、スペクトラム拡散技術の原理的な説明をする。
【0047】
図2は、SSCG(Spread Spectrum Clock Generator:スペクトラム拡散クロック発生器)1の内部構成を示しており、このSSCG1では、クロック入力端子2からの信号を位相比較器(PC)3が受け、位相エラー信号をチャージポンプ4に受け渡す。ここで、チャージポンプ4の出力は位相エラーが少ない時は直流の電位で安定している。
【0048】
このチャージポンプ4の出力は、加算器5にてD/Aコンバータ6の出力である拡散信号がミックスされる。拡散信号をミックスされた信号はVCO7に入力され、スペクトラム拡散クロック出力端子8からスペクトラム拡散を受けたクロック信号として外部に出力される。また、スペクトラム拡散クロック出力端子8に出力されるスペクトラム拡散を受けたクロック信号は、位相比較器3に戻されクロック入力端子2と位相比較され位相エラーが少なくなるように、PLLのフィードバックループが作用する。
【0049】
なお、スペクトル拡散のデータはRAM10に格納されており、RAM10からスペクトル拡散のデータが読み出されてD/Aコンバータ6にてD/A変換されて、上記拡散信号として加算器5に入力される。
【0050】
RAM10に記憶されているスペクトル拡散のデータは、リセット端子11からのリセット信号により初期状態にもどる機能を持ち、このリセット信号を外部から入力することにより、外部信号に対してスペクトラム拡散の処理を同期して行うことができる。さらにデータロード端子12からは、RAM10に記憶すべきスペクトル拡散のデータを入力し書き換えることができる。
【0051】
このデータロード端子から入力可能なスペクトル拡散のデータの形式としては、図2に示すように、ランプ波状等の周期的に線形な位相シフトを行いスペクトル拡散を行うものでも良く、またはホワイト雑音成分を持つスペクトル成分を形成する有限周期のPN(疑似ランダム雑音)のデータであっても良い。
【0052】
図1を用いて第1の実施の形態を具体的に説明する。図1はアナログ方式のビデオカメラの実施形態である。
【0053】
図1に示すように、本実施の形態のアナログ方式のビデオカメラ21は、被写体を撮像するCCD22と、CCD22を駆動するCCDドライバ23と、基本クロック(4fsc、fsc:サブキャリア周波数)を発生する基本クロック発振器24と、基本クロック発振器24からの基本クロック(4fsc)に対してスペクトル拡散を行う上述したSSCG1と、SSCG1によりスペクトル拡散が施された基本クロックより各種同期信号を生成するSSG(同期信号発生器)25と、基本クロックを1/4分周する分周器26と、CCD22の出力をサンプルホールドするS/H(サンプルホールド回路)27とを備えている。
【0054】
アナログ方式のビデオカメラ21において、Delay回路28は、SSG25からクロックを受け、S/Hパルス28aをΔt+Δt時間遅延しS/H27へ供給している。
【0055】
さらに、S/H27によりサンプルホールド処理された信号は、γ補正回路29でのγ補正処理の後、HAP(水平輪郭)強調回路30及びVAP(垂直輪郭)強調回路31で輪郭強調の処理がなされ、加算器33にてY信号となる。
【0056】
また、S/H27によりサンプルホールド処理された信号は、1HDelay回路34及び同時化スイッチ35を通り色信号成分のCB、CRになる。そして、マトリクス回路36において輝度信号成分であるYL信号とCR、CB信号よりRGBの三原色信号に変換される。
【0057】
Gainコントロール回路37は、マトリクス回路36からのRGBの三原色信号に対してホワイトバランスを取るための可変ゲイン部であり、ゲインコントロール処理後のR’G’B’信号を色演算回路38により演算処理し、その結果を積分回路39にてDCレベルに変換し、WB(ホワイトバランス)制御回路40にてGainコントロール回路37へフィードバックする。
【0058】
このフィードバックループによりマトリクス回路36からのRGBの三原色信号に対しホワイトバランスが取れるように制御される。
【0059】
ホワイトバランス処理されたGainコントロール回路37でのゲインコントロール処理後のR’G’B’信号は、色γ回路41で処理されてR”G”B”信号とし適切な色再現になるように階調補正される。そして、色差マトリクス回路42によりR”G”B”信号はR−Y,B−Y色差信号に変換される。
【0060】
さらにR−Y,B−Y色差信号は、色変調器43により直角2相変調を受け、分周器26からのfsc(サブキャリア周波数)により変調された色信号になる。この変調された信号は加算器44にて後述する基準バースト信号と加算され色信号Cとなる。そして、この色信号Cは加算器45にて加算器33からのY信号と加算されてビデオ信号(video)として出力される。
【0061】
この第1の実施の形態では、基本クロック発振器24の基本クロックを分周器26で1/4分周し分周しfsc(サブキャリア周波数)を作成している。また、基準バースト信号は、バーストゲート46によりSSG25からBF(バーストフラグ)信号を受けfsc(サブキャリア周波数)をゲーティングすることにより作成されている。
【0062】
また、この第1の実施の形態では、上述したように、基本クロック発振器24を図2に説明したSSCG1を用いてスペクトラム拡散したクロックを利用している。
【0063】
つまり、TV同期信号(Sync信号、HD信号、VD信号等)を作成するSSG25をスペクトラム拡散したクロックを用いて動作させ、さらにCCD22の駆動もCCD22のサンプルホールド処理から色変調器により直角2相変調を受ける手前までも含めスペクトラム拡散したクロックで処理する。
【0064】
第1の実施の形態においては、図1の太線で示す部分の基本クロック発振器24の出力部分と、分周器26からのfsc(サブキャリア周波数)とバーストゲート46からの基準バースト信号の同期分周処理のみが、基本クロック発振器24に完全同期した信号となるが、それ以外はSSCG1によりスペクトル拡散されたクロックにより動作する。
【0065】
なお、本実施の形態の場合は、Sync信号等の水平走査にまつわる同期信号は、fscのカラーサブキャリア信号の間で周波数インターリーブの関係は崩れるが、TVモニタやVTR等の機器は水平走査の位相偏移(ジッタ)に対しAFC、APC等の自動補正機能を機器の側で独自に持っているので、実用上は周波数インターリーブの関係が崩れていてもまったく問題は無い。
【0066】
図4(金属筐体)と図5(モールド筐体)に本実施の形態のアナログ方式のビデオカメラ21の具体的なEMI測定結果を示す。
【0067】
なお、図4(金属筐体)と図5(モールド筐体)は、従来技術で説明した図17(金属筐体)及び図18(モールド筐体)と同一のセットに対して、本実施の形態を施し効果を交互に比較したものである。
【0068】
図4(金属筐体)は、筐体を金属のシールドで処理した場合の例であり、シールドとしては従来例の図17(金属筐体)に示す条件と同一である。
【0069】
従来の図17(金属筐体)と比較すると、60MHzから200MHzほどにかけての帯域のピーク状のEMIノイズがスペクトラム拡散処理を受けて低減され、図4(金属筐体)に示すように測定システムの暗ノイズレベルまで低減されているのが確認できる。
【0070】
さらに、図5(モールド筐体)では、筐体はモールドであり、まったくシールド効果が無いにもかかわらず、60MHzから500MHzほどにかけての帯域のピーク状のEMIノイズがスペクトラム拡散処理を受けて低減している。図18(モールド筐体)の場合と比較すると、図5(モールド筐体)は約6dB程度は改善されている。
【0071】
このように本実施の形態では、図4(金属筐体)と図5(モールド筐体)のEMI測定結果を見ると、従来の図17(金属筐体)と図18(モールド筐体)の場合に比べてピーク状のEMIノイズは拡散処理され、結果的にEMIレベルは改善され、Class Bのリミットラインを十分にクリアできるまでにEMIレベルを低減させることができる。
【0072】
なお、S/H回路27で行われる処理は、CCD22より出力されるCCD信号に対応して、タイミングが合っている必要があり、CCD信号に対して完全に相関がとれている必要がある。
【0073】
このタイミングが駆動信号側と一致しないと、S/H27での位相タイミングずれによる1/fノイズの発生がランダムまたはビート状の視覚ノイズとなって現われてしまう。
【0074】
そこで、図6を用いて、このビート現象の解決方法を説明する。図6は本実施の形態のサンプルホールドパルス生成の図である。
【0075】
従来例の図14に示すサンプルホールドパルス生成動作では、駆動パルスを基準としてCCD出力が作られ、これを受信回路で受けた後にサンプルホールド回路で処理する。
【0076】
従来のサンプルホールド処理では、A駆動パルスを基準として生成された信号はΔt1とΔt2の時間遅延が生じるので、A駆動パルスの次の基準パルスである駆動パルスBで処理する(通常の同期処理回路)。故に、図14で説明したように、サンプルホールド回路ではB駆動パルスを基準としてサンプルホールドパルスを生成している。
【0077】
従来例の図13で示した回路では、図14に示したようにサンプルホールドパルスをA駆動信号またはB駆動信号等の同期信号のタイミングで処理すれば画質に与える影響は無く、何ら問題はなかった。
【0078】
しかし、本実施の形態のように、各駆動信号がスペクトラム拡散されている場合には、各CCD出力自体にスペクトラム拡散変調が施されているので、各サンプルホールド信号にもそれぞれ駆動信号に対応したタイミングで処理してやる必要がある。これを実施しない場合は画像ノイズが発生してしまう。
【0079】
図6(a)にSS変調(スペクトラム拡散変調)された駆動パルス、図6(b)にSS変調されたCCD出力信号、図6(c)にS/H27の受信信号及び図6(d)にSS変調されたサンプルホールドパルスを示す。
【0080】
本実施の形態では、図6において、駆動パルスの「Aパルス変調成分」により変調を受けた駆動信号から生成されるCCD信号は「Aパルス変調成分」により変調されたSS変調されたサンプルホールド(S/H)パルス(d)によって処理されている。
【0081】
そこで、本実施の形態では、Delay回路28により駆動パルスを遅延させることにより、駆動信号とCCD信号、サンプルホールド信号の変調成分を対応つけている。
【0082】
第2の実施の形態:
図7及び図8は本発明の第2の実施の形態に係わり、図7は映像機器であるデジタル方式のビデオカメラの構成を示す構成図、図8は図7のデジタル方式のビデオカメラの変形例の構成を示す構成図である。
【0083】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
【0084】
次に図7を用いて、第2の実施の形態を説明する。図7はデジタル方式のビデオカメラの実施形態である。
【0085】
図7に示すように、本実施の形態のデジタル方式のビデオカメラ(デジタルカメラ)51において、S/H回路24によりサンプルホールドされた信号はLPF52を介してA/Dコンバータ53の信号入力に出力される。そして、A/Dコンバータ53のデジタル出力はDSP(デジタルシグナルプロセッサ)54の入力に出力される。
【0086】
さらに、DSP54の出力は、D/Aコンバータ55に出力され、3つのLPF56を介してY(輝度信号)とR−Y/B−Y信号がエンコーダ58に出力される。ここで、LPF56はD/Aコンバータ55の各チャンネルにつながっている。
【0087】
また、エンコーダ58は、3つのLPF56からのY(輝度信号)とR−Y/B−Y信号を受け、色差信号をfsc(サブキャリア信号)59で平衡変調しC信号とY信号を作り出と共に、加算器60にてC信号とY信号を加算しビデオ出力する。
【0088】
A/Dコンバータ53、DSP54及びD/Aコンバータ55はSSG25により発生されるクロック信号であるSystem Clockにより制御される。またSSG25からのSync、BF等の同期信号61は、エンコーダ58とDSP54に入力される信号処理のための同期信号である。
【0089】
その他の本実施の形態は、第1の実施の形態のアナログ信号処理の回路を、DSP54を用いたデジタル信号処理にしたものである。すなわち、CCD22の出力信号を処理して、最終的にビデオ信号にすることは、第1の実施の形態と第2の実施の形態とも同じである。
【0090】
第2の実施の形態では、S/H27の出力をA/D変換する前の不要な高調波成分を取り除くためのLPF52を介しA/Dコンバータ53の信号入力につなげている。
【0091】
A/Dコンバータ53によりデジタル変換されたS/H回路27の信号は、DSP54により、図1のアナログ回路で示した映像信号処理をデジタル演算で行っている。
【0092】
DSP54の出力から演算されたデジタル信号はD/Aコンバータ55によりY(輝度信号)とR−Y/B−Y信号に変換されて、LPF56によりAD変換による高周波信号を除去され、エンコーダ58により最終的なビデオ信号が作成される。
【0093】
第2の実施の形態においては、図1に示した第1の実施の形態と同様に、サブキャリア信号fscは、SSCG1を通さずに単に分周器26にて同期分周された信号を用いている。
【0094】
このサブキャリア信号fscを発生する以外の信号処理(CCDの駆動、サンプルホールド、A/D変換、DSP信号処理、D/A変換、System Clock利用、Sync、BF等の同期信号利用等)はすべてSSCG1を利用してスペクトル拡散されたクロック信号を用いて発生されている。
【0095】
このように第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、サブキャリア信号fsc以外の信号にスペクトル拡散をしているのでEMIレベルを改善したデジタル信号処理を実現できる。
【0096】
図8は第2の実施の形態は変形例の構成を示しており、第2の実施の形態と比較してfsc(サブキャリア周波数)の作り方が異なる。
【0097】
この変形例では、4fsc信号をSSCG1にてスペクトル拡散処理し、SS−4fsc信号を作る。それを分周器26にて直接分周処理しSS−fscを作成している。
【0098】
さらこの変形例では、INV.SSCG部61を通して、スペクトル拡散処理されたSS−fsc信号を逆拡散処理し、スペクトル拡散処理されていないfsc(サブキャリア周波数)を作り出している。
【0099】
この逆拡散処理を実行するために、SSG25からSSCG Reset信号62を用いてSSCG25の拡散処理と対応してINV.SSCG61に対しリセットをかけている。
【0100】
具体的には、fsc(サブキャリア周波数)の位相偏移を無くすようにfsc(サブキャリア周波数)信号を補正する処理をする。
【0101】
この変形例の構成では、EMIのノイズ源となる同期信号は、基本クロック発振器24から出力される4fsc信号とINV.SSCG部61から出力されるfsc(サブキャリア周波数)だけでありノイズ源となる部分が小型にレイアウトできる。また、その他の信号処理は全てスペクトラム拡散処理された信号を用い行われるので、EMIレベルを改善した回路構成が第2の実施の形態に比較して簡単にできると言う効果がある。
【0102】
上記変形例においても、第2の実施の形態と同様に、fsc(サブキャリア周波数)以外の信号にスペクトル拡散をしているのでEMIレベルを改善したデジタル信号処理を実現できる。
【0103】
第3の実施の形態:
図9は本発明の第3の実施の形態に係る映像機器である医療用電子内視鏡装置の構成を示す構成図である。
【0104】
第3の実施の形態は、第2の実施の形態とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
【0105】
第3の実施の形態である医療用電子内視鏡装置71では、図9に示すように、CCD22の信号を処理して最終的にビデオ信号にする目的は、第1及び第2の実施の形態と同じであり、第3の実施の形態では患者回路と2次回路に別れていることが特徴になっている。
【0106】
ここで、絶縁回路(フォトカプラ、絶縁トランス等)72は患者回路と2次回路を分離している。
【0107】
CCD22からの信号をS/H回路27にて処理し、A/Dコンバータ53を介してDSP54に入力されD/Aコンバータ55からY信号、R−Y・B−Y信号等が出力される流れは第2の実施の形態と同じである。
【0108】
第3の実施の形態では、S/Hパルス28a’を作成するために、PLL回路を形成している。すなわち、PLL用位相比較器(PC)73からPLL用チャージポンプ(CP)74、PLL用VCO75及びPLL用分周器(1/N回路)76aによるPLLループが形成されている。そして、S/Hパルス用分周器(1/N回路)76bの出力をS/Hパルス28a’として使用している。
【0109】
S/Hパルス用分周器(1/N回路)76aは、PLL用VCO77の出力を分周している。このPLL回路部では、SSCG1をPLLループ内に持ち、スペクトラム拡散処理した信号をPLL用位相比較器(PC)73に入力している。SSCG1のReset端子11にはSSG25からSSCG Reset信号がDelay回路78を介して入力されている。
【0110】
一方、2次回路(=非絶縁回路)に配置してあるPLL回路は、PLL用位相比較器(PC)73と、PLL用チャージポンプ(CP)74、そしてPLL用VXO75、PLL用分周器(1/N回路)76aより構成されており、PLL用VCO75の出力をA/Dコンバータ53、DSP54、D/Aコンバータ55で構成するDSP部へ基準クロックを供給している。
【0111】
また、2次回路(=非絶縁回路)に配置してあるSSG(同期信号発生器)79はテレビ信号フォーマットに適合した同期信号(Sync、HD、VD等)をDSP部に供給して動作の基準信号となっている。
【0112】
本実施の形態では、SSCG1によりスペクトラム拡散処理された信号を用いCCD22の駆動をする。
【0113】
この点は第1及び第2の実施の形態と同じである。これによりCCD駆動時のEMIレベルを低減している。
【0114】
特に、患者回路(=絶縁回路)は、漏れ電流を少なくして電気安全性を向上してあるためにフローティング部分であり大地アースに対して浮いている回路部分である。従来のこのフローティング部はノイズ発生源部分であり、EMI対策は極力患者回路(=絶縁回路)を金属BOXシールドで覆いかつEMIノイズの出る信号ラインはフェライトコア等を入れる必要があった。
【0115】
この本実施の形態では、このフローティング部分である患者回路(=絶縁回路)に、スペクトラム拡散処理を施した信号を用いて動作を行わせることにより、EMIノイズ成分を低減している。
【0116】
Delay回路78からのReset信号は、SSCG1のReset端子11に入力されている。このReset信号は、CCD駆動側のSSCG1によりスペクトラム拡散処理されたCCD22の駆動信号に対して、関係付けて拡散処理されている。
【0117】
なお、第1の実施の形態では駆動信号とCCD信号、サンプルホールド信号の変調成分を対応をDelay回路による遅延手段により関係付けていたが、その他の手段としては本実施の形態に示すように、SSCG Reset信号を用い、サンプルホールドパルス生成用のSSCG1をReset端子11を用いて強制的に関係付けをとることで駆動信号とCCD信号、サンプルホールド信号の変調成分を対応つけている。
【0118】
第4の実施の形態:
図10は本発明の第4の実施の形態に係る映像機器の構成を示す構成図である。
【0119】
第4の実施の形態を図10を用いて説明する。図10の中で符号81で示す部分はビデオカメラユニットであり、図13で示した従来例と同じ“スペクトラム拡散処理を実施していない”デジタル処理のビデオカメラである。また、符号82で示す部分はシールド処理されていない画像処理ユニットであり、ビデオカメラユニット81に接続されている。
【0120】
図13で示した従来例との差は、ビデオカメラユニット81がシールドケース81aにより従来例のビデオカメラ部が全て覆われている点である。
また、画像処理ユニット82とビデオカメラユニット81との接続は、DSP208からのデジタルデータバス83によりなされている。さらに、ビデオカメラユニット81からは4fscまたは画素クロックが画像処理ユニット82のSSCG1へ出力されている。
【0121】
デジタルデータバス83はDFF(ラッチ回路)84によりラッチされ、SSデジタルデータバス85となり次段のイメージプロセッサ86へ伝送されている。
【0122】
画像処理ユニット82では、4fscまたは画素クロックをSSCG1によりスペクトラム拡散処理してSS−CLK87として出力している。
【0123】
ビデオカメラユニット81内では、全ての回路処理が同期動作になっている。第1または第2の実施の形態で示したように、スペクトラム拡散処理を実施すればEMIレベルを低減できるが、ビデオカメラユニット81は一つのハイブリットICまたはワンチップの信号処理回路であり小型化を実現するために従来例と同じ回路構成をとっている。
【0124】
このビデオカメラユニット81部分ではEMIのレベルを低減するためにシールドケース81aにより覆われノイズレベルを低減している。
【0125】
本実施の形態では、ビデオカメラユニット81はスペクトラム拡散処理は実施されていないが、画像処理ユニット82は、内部のSSCG1によりスペクトラム拡散処理されたSS−CLK87により処理されている。DSP54から入出力されるデジタルデータバス83はDFF(ラッチ回路)84によりSS−CLK87のタイミングに基づいて処理されSSデジタルデータバス85となる。
【0126】
このSSデジタルデータバス85はEMIレベルを低減されたデジタルデータ信号の束となっている。
【0127】
このように本実施の形態では、従来例で示すEMIレベルの大きいユニットに対し、接続する処理ユニットにスペクトル拡散処理されたクロックを用いて処理しているので、上記各実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0128】
なお、第4の実施の形態中に示した画像処理ユニット82のSSCG1は、ビデオカメラユニット81内の破線で示す符号88の位置等、別の設置場所に置いても良い。また、DFF(ラッチ回路)84も同様にビデオカメラユニット81内に設けても良い。
【0129】
第4の実施の形態では、ビデオカメラユニット81に対しシールドケース81aを施したが、ビデオカメラユニット81が半導体設計の進歩により集積化されワンチップで構成される場合、基板上にシールドケースを施しても良い。また、ビデオカメラユニット81が半導体設計の進歩によりワンチップで構成される場合には、低消費電力化も達成されるので、消費電力の低減につれてEMIレベルも小さくなるのでシールドケースを外して構成しても良い。
【0130】
第5の実施の形態:
図11は本発明の第5の実施の形態に係る映像機器の構成を示す構成図である。
【0131】
第5の実施の形態は、第2の実施の形態とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
【0132】
次に図11を用いて第5の実施の形態を説明する。第5の実施の形態はTV、FMD(フェイスマウントディスプレイ)、プロジェクタ等のディスプレイ又はプリンタ装置91と、これに接続されるメモリカードや磁気記録装置の記録装置92についての例である。
【0133】
ディスプレイ又はプリンタ装置91には、ビデオ入力端子93からコンポジット信号等の映像信号が入力され、YC分離器(Sep)94にてY信号とC信号を分離され、デコーダ95にてY0、U0、V0信号に分離される。
【0134】
そして、C信号はPLL用位相比較器(PC)73、PLL用チャージポンプ(CP)74、PLL用VCO75で示すPLL回路により、ビデオ入力端子93に同期したクロックfscを作成している。
【0135】
デコーダ95からの信号をフィルタリングするLPF96は、A/Dコンバータ97にY0、U0、V0信号を入力する前にエリアジング防止のための帯域制限フィルタである。A/DされたY2、U2、V2信号はデジタルプロセス回路98にて信号処理され、R0、G0、B0信号になり、後段のLCD99の入力信号フォーマットに対応したデジタル信号となる。
【0136】
このR0、G0、B0信号をD/Aコンバータ100にてアナログ信号に変換しR1、G1、B1信号としてLCD99に出力する。ここで、レンズ101はLCD99等の表示媒体の像を形成する光学系であり、観察者又は印刷媒体102に最適な画像を提供する。
【0137】
なお、SSCG1は、基準クロック(fsc)を処理しSS−fscを出力している。
【0138】
また、記録装置92内には記録手段としての例えば磁気記録媒体(メモリ)103が設けらており、Y1、U1、V1信号を記録装置92の信号フォーマットに一致するような信号R2、G2、B2信号として出力される。
【0139】
本実施の形態では、ビデオ入力端子93をYC分離器(Sep)94にてYC分離し、デコーダ95にてデコード処理をしYUV信号に変換している。このデコードの際に必要な基準クロックはPLL用位相比較器(PC)73、PLL用チャージポンプ(CP)74、PLL用VCO75、PLL用分周器(1/N)76aで構成されるPLL回路で発生している。
【0140】
本実施の形態においては、SSCG1によりスペクトラム拡散処理されたSS−fscクロックに基づきデコード後のYUV信号をA/D変換し、その後にデジタルプロセス回路98にてデジタル処理を実施している。このSS−fscクロックに基づきLCD99等のディスプレイ又はプリンタドライバに表示している。
【0141】
またSS−fscクロックに基づき記録装置92にて画像の情報記録をメモリカード等の磁気記録媒体103に対して実施している。
【0142】
本実施の形態では、デジタル化された後に「表示に関する信号処理」と「記録に関する信号処理」をスペクトラム拡散処理されたSS−fscクロックを用いて行っているので、EMIの妨害波のレベルを大幅に少なくすることができている。
【0143】
この効果によりLCD99等を備えたディスプレイ又はプリンタ装置91(FMD、レーザービームドライバ等)は、シールド材などを使用せずにEMIのレベルを低減できるので、小型・軽量かつ安価な表示装置を実現している。また記録装置92でも、シールド材が不要となり薄型に安価に製造が可能となる。
【0144】
なお、記録装置92はLCD99等を備えたディスプレイ又はプリンタ装置91に対し着脱可能であっても良い。
【0145】
第6の実施の形態:
図12は本発明の第6の実施の形態に係る映像機器の構成を示す構成図である。
【0146】
本実施の形態は、図12に示すように、画像機能付き携帯電話・PHS等への応用例である。
【0147】
画像機能付き携帯電話・PHS121は、アンテナ122、RF部123、IF(中間周波)部124、ベースバンド部125、音声処理部126及び画像処理部127より構成されている。
【0148】
これらのブロックは各ブロックに要求される動作周波数によって区分されており、RF部123は、送信切換用のRFSW(スイッチ)131とパワーアンプ132さらに受信用のプリアンプ132より構成されている。
【0149】
また、IF(中間周波)部124は、送信ミキサ141、送信用直交変調器142、受信ミキサ143、IFアンプ144及び受信用直交復調器145より構成されている。
【0150】
一方、ベースバンド部125では、TDMA151(またはCDMAベースバンド処理部)161において、TDMAまたはCDMA等の信号フォーマットに従い信号の並べ替えを行うチャンネルコーデックを主に行い、さらに変調器用D/Aコンバータ162を用いて差動変復調や、誤り訂正処理、符号化処理もこのベースバンド部で行う。
【0151】
音声処理部126では、マイクロフォン171より音声を取込み音声A/Dコンバータ172で音声信号を取込む。また、スピーカ173からは音声D/A変換器174の信号を受け音声信号が出力される。音声コーデック175では、音声信号の帯域圧縮と各国フォーマット(PHS,GSM、IS−54等)に対応した音声符号化と復号化を実施している。
【0152】
画像処理部127では、第2の実施の形態で説明したデジタルビデオカメラ81を内蔵している。さらに第5実施の形態で説明したSS拡散処理されたディスプレイ又はプリンタ装置91を内蔵し画像の表示を行っている。
【0153】
以下に第6の実施の形態の動作について詳述する。第6の実施の形態では、画像機能付き携帯電話・PHSの例を示している。
【0154】
まず最初に受信操作について説明する。音声受信操作はアンテナ122で受信した信号をRF部123のプリアンプ133にて増幅し、IF(中間周波)部124にて検波復調する。
【0155】
ベースバンド部125ではチャンネルコーデックを施し音声処理部126で音声復号される。
【0156】
画像受信操作は基本的データの流れは、上記ベースバンド部125まで音声処理と同じであるが、画像データを受信した場合はMPEG2、4等のフオーマットを復調する。
【0157】
画像処理部126のディスプレイ又はプリンタ装置91はSS拡散によりEMIのレベルを低減した画像表示装置であり、受信画像を表示する。
【0158】
次に送信操作を説明する。音声処理部126で入力され音声符号化された信号は、ベースバンド部125で送信フォーマットに合うように変換され、IF(中間周波)部124にて変調され、RF部123で増幅され、アンテナ122から送出される。
【0159】
画像送信操作は、画像処理部127にあるデジタルビデオカメラ81が観察像を撮像しベースバンド部125にてMPEG2、4等の画像送出フォーマットに変換する。
【0160】
それ以降は、上記音声送信操作に示すIF(中間周波)部124以降と同じである。
【0161】
第6の実施の形態のおいては、画像処理部127において画像の撮像においては、デジタルビデオカメラ81を用い低EMIレベルを実現し信号処理をしている。
【0162】
また。画像の表示については、ディスプレイ又はプリンタ装置91を用いSS拡散によりEMIのレベルを低減している。
【0163】
通常、携帯電話・PHS等は受信時には微小電力を扱い、送信時には大電力を扱う。小型の携帯機器の内部での送受信ブロックのレベル差は約100dB程度であり、送受信ブロック間の相互妨害を防ぐのが設計上の大きな課題であった。
【0164】
本実施の形態では、画像の送受信部にSS拡散処理を応用し低EMIレベルの画像撮像または画像表示又はプリント装置を設けてあるので、画像処理部127から音声処理部126への妨害が少なくなりデータの誤り率が向上するのと、またさらに音声処理部126により画像処理部127への妨害が少なくなり、画面上のノイズが軽減されると言う効果がある。
【0165】
[付記]
(付記項1) スペクトル拡散処理を施した第1のクロックを用い映像信号処理を実施する映像処理手段と、
スペクトル拡散処理を施されていない第2のクロックを用い映像信号を生成する映像信号生成手段と
を備えたことを特徴とする映像機器。
【0166】
(付記項2) 前記第1のクロックを用いる映像処理手段は、ビデオカメラの信号処理を行う
ことを特徴とする付記項1に記載の映像機器。
【0167】
(付記項3) 前記第1のクロックを用いる映像処理手段は、電子内視鏡の信号処理を行う
ことを特徴とする付記項1に記載の映像機器。
【0168】
(付記項4) 前記第1のクロックを用いる映像処理手段は、画像処理の信号処理を行う
ことを特徴とする付記項1に記載の映像機器。
【0169】
(付記項5) 前記第1のクロックを用いる映像処理手段は、画像表示装置の信号処理を行う
ことを特徴とする付記項1に記載の映像機器。
【0170】
(付記項6) 前記第1のクロックを用いる映像処理手段は、画像記録装置の信号処理を行う
ことを特徴とする付記項1に記載の映像機器。
【0171】
(付記項7) 前記第1のクロックを用いる映像処理手段は、携帯コミュニケーションツールの信号処理を行う
ことを特徴とする付記項1に記載の映像機器。
【0172】
(付記項8) 前記第1のクロックに施された前記スペクトル拡散処理の拡散コードを外部より任意の拡散情報として入力・保持する拡散コード保持手段を備えた
ことを特徴とする付記項1に記載の映像機器。
【0173】
(付記項9) スペクトル拡散処理を施されていない前記第2のクロックは、スペクトル拡散処理を施されていないクロック、または、スペクトラム拡散処理された後に逆スペクトラム拡散処理されたクロックである
ことを特徴とする付記項1に記載の映像機器。
【0174】
(付記項10) 前記ビデオカメラの信号処理において、
スペクトル拡散された撮像素子のサンプルホールド処理は、スペクトル拡散された撮像素子信号出力と相関を持ったサンプルホールドパルスにより処理される
ことを特徴とする付記項2に記載の映像機器。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る映像機器であるアナログ方式のビデオカメラの構成を示す構成図
【図2】図1のSSCGの構成を示す構成図
【図3】図2のSSCGによるスペクトル拡散処理の作用を説明する説明図
【図4】図1のビデオカメラを金属筐体で覆った際のEMI測定の結果を示す図
【図5】図1のビデオカメラをモールド筐体で覆った際のEMI測定の結果を示す図
【図6】図1のサンプルホールド信号を説明する図
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る映像機器であるデジタル方式のビデオカメラの構成を示す構成図
【図8】図7のデジタル方式のビデオカメラの変形例の構成を示す構成図
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る映像機器である医療用電子内視鏡装置の構成を示す構成図
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る映像機器の構成を示す構成図
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る映像機器の構成を示す構成図
【図12】本発明の第6の実施の形態に係る映像機器の構成を示す構成図
【図13】従来の映像機器の構成を示す構成図
【図14】図13の映像機器のサンプルホールド信号を説明する図
【図15】図13の映像機器の電磁波輻射のレベルを説明する図
【図16】図13の映像機器の電磁波輻射対策の一例を示す図
【図17】図13の映像機器を金属筐体で覆った際のEMI測定の結果を示す図
【図18】図13の映像機器をモールド筐体で覆った際のEMI測定の結果を示す図
【符号の説明】
【0176】
1…SSCG
21…ビデオカメラ
22…CCD
23…CCDドライバ
24…基本クロック発振器
25…SSG
26…分周器
27…S/H

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトル拡散処理を施した第1のクロックを用い映像信号処理を実施する映像処理手段と、
スペクトル拡散処理を施されていない第2のクロックを用い映像信号を生成する映像信号生成手段と
を備えたことを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】
前記映像処理手段は、前記第1のクロックを用いて、デジタル化されたビデオ信号に対して、表示に関する信号処理を行うことを特徴とする請求項1記載のプリンタ装置。
【請求項3】
さらに、前記スペクトル拡散処理のためのスペクトル拡散のデータを記憶する書き換え可能なメモリを有し、
前記スペクトル拡散処理は、前記スペクトル拡散のデータを前記書き換え可能なメモリから読み出して用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−192887(P2006−192887A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339320(P2005−339320)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【分割の表示】特願平10−295641の分割
【原出願日】平成10年10月16日(1998.10.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】