説明

プリンタ

【課題】 記録品質の向上および低コスト化を容易に図ることのできるプリンタを提供する。
【解決手段】 記録ユニット9に、記録ヘッド10とプラテン11との圧接動作と、搬送ローラ12に対する搬送用圧接ローラ34の圧接動作と、フリクションローラ14に対するフリクション用圧接ローラ44の圧接動作と、フリクションローラ14の固定状態から自由状態への切換動作とを1つの駆動モータ29の駆動力により連動させる連動手段57を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに係り、特に、長尺の記録媒体の搬送経路に沿って複数の記録ヘッドが設けられているプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、それぞれ異なる色のインクが塗布された複数のインクリボンを用いて記録媒体に画像の記録を行うプリンタにおいて、各インクリボンにそれぞれ対応して設けられた複数の記録ヘッドにより、前記各インクリボンのインクをそれぞれ記録媒体に転写することにより、記録媒体上に所望の画像の記録を行うプリンタが知られている。
【0003】
このようなプリンタは、複数の色(例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(BK))のインクがそれぞれ塗布された複数のインクリボンと、前記各インクリボンの数に対応する複数の記録ヘッドとを有している。これらの記録ヘッドは、記録媒体の搬送経路に沿ってそれぞれ所定間隔をもって配列されており、それぞれがインクリボンを介して記録媒体に対向するように配置されている。また、各記録ヘッドに対向する位置には、各インクリボンおよび記録媒体を介して、それぞれプラテンが設けられている。
【0004】
前記プリンタにおいては、記録媒体の搬送方向における最上流側から、第1記録ヘッド、第2記録ヘッド、第3記録ヘッド、第4記録ヘッドとしたとき、記録媒体の記録開始位置が第1記録ヘッドに対向する位置に到達すると、第1記録ヘッドとこの第1記録ヘッドに対向する第1プラテンとを圧接させる。具体的には、第1記録ヘッドを第1記録ヘッドに対向する第1プラテン側にヘッドダウンさせ、または第1プラテンを第1記録ヘッド側にダウンさせる。そして、第1記録ヘッドと第1プラテンとを記録媒体およびインクリボンを介して圧接させることにより、第1記録ヘッドにより記録媒体に対して例えばCのインクを転写させる。
【0005】
続いて、前記記録開始位置が第2記録ヘッドに対向する位置に到達すると、第2記録ヘッドをヘッドダウンさせ、または第2記録ヘッドに対向する第2プラテンをダウンさせる。そして、第2記録ヘッドと第2プラテンとを記録媒体およびインクリボンを介して圧接させることにより、第2記録ヘッドによりCのインク上からMのインクを転写させる。
【0006】
このように、記録媒体の搬送方向における上流側の記録ヘッドから順次ヘッドダウンさせ、または上流側のプラテンから順次ダウンさせて記録媒体にインクを転写させることにより、記録媒体上に複数のインクにより所望のカラー画像の記録を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
なお、従来のプリンタとしては、複数の記録ヘッドの間のそれぞれに、弛みを形成するものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2000−263864号公報
【特許文献2】特開平09−156142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら従来のプリンタにおいては、近年の記録品質の向上による高性能化および低コスト化の要求に応えることができないという問題点があった。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、記録品質の向上および低コスト化を容易に図ることのできるプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するため、本発明に係るプリンタの特徴は、長尺に形成された記録媒体の搬送経路に沿って複数の記録ユニットが配列されており、これらの記録ユニットには、記録ヘッドと、この記録ヘッドに前記搬送経路を介して対向しかつ前記記録ヘッドに対し相対的に接離可能に設けられたプラテンとが配設されているプリンタであって、前記各記録ユニットが、前記記録ヘッドを通過した前記記録媒体を下流側に搬送するために、前記記録ヘッドの下流側に配設された搬送ローラを具備する搬送手段と、前記各記録ユニット間において、下流側で発生した記録媒体の搬送に悪影響を及ぼす外乱が前記記録媒体を介して上流側に伝播するのを遮断するために、前記搬送手段の下流側に配設されたフリクションローラを具備する外乱遮断手段とを有しており、前記搬送手段が、前記搬送ローラに前記搬送経路を介して対向しかつ前記搬送ローラに対して接離可能に設けられた搬送用圧接ローラを有しており、前記搬送ローラおよび搬送用圧接ローラの間に前記記録媒体を挟持して搬送可能に形成されており、前記外乱遮断手段が、隣位する前記1対の記録ユニットの間における下流側の前記記録ユニットへの前記搬送経路を確立するように形成されているとともに、前記外乱遮断手段のフリクションローラが、前記記録媒体導入時において前記搬送ローラを中心とした回動を拘束された固定状態と、下流側の前記記録ユニットへの搬送経路を形成した後に前記搬送ローラを中心として回動可能な自由状態とに切換可能に形成されており、かつ、前記外乱遮断手段が、前記フリクションローラに前記搬送経路を介して対向しかつ前記フリクションローラに対して接離可能に設けられたフリクション用圧接ローラを有しており、前記各記録ユニットにおける前記記録ヘッドとプラテンとの圧接動作と、前記搬送ローラに対する搬送用圧接ローラの圧接動作と、前記フリクションローラに対するフリクション用圧接ローラの圧接動作と、前記外乱遮断手段のフリクションローラの固定状態から自由状態への切換動作とを、1つの駆動モータの駆動力により連動させる連動手段が設けられている点にある。
【0012】
前記連動手段が、前記搬送ローラに対する搬送用圧接ローラの圧接動作と、前記フリクションローラに対するフリクション用圧接ローラの圧接動作と、前記記録ヘッドとプラテンとの圧接動作と、前記外乱遮断手段のフリクションローラの固定状態から自由状態への切換動作とをこの順に連動させるように形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るプリンタによれば、外乱遮断手段によりその下流側で発生した外乱が記録媒体を介して上流側に伝播するのを遮断することができるので、記録品質の向上を容易に図ることができるとともに、連動手段が、記録ユニットにおける記録ヘッドとプラテンとの圧接動作と、搬送ローラに対する搬送用圧接ローラの圧接動作と、フリクションローラに対するフリクション用圧接ローラの圧接動作と、外乱遮断手段のフリクションローラの固定状態から自由状態への切換動作とを1つの駆動モータの駆動力により連動させることができるので、低コスト化を容易に図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0015】
図1および図2は本発明に係るプリンタの実施形態を示すものであり、図1は全体構成の要部を簡略化して示す概略図、図2は記録部の要部を示す拡大概略図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のプリンタ1は、プリンタ本体2の内部において、図1の下部に左右方向に沿ってほぼ水平に配設された供給部3と、図1の右側部に上下方向に沿ってほぼ鉛直に配設された記録部4と、図1の上部に左右方向に沿ってほぼ水平に配設された排出部5とを有している。すなわち、供給部3、記録部4および排出部5は、全体としてほぼコ字状をなすように配設されており、記録媒体RMの搬送経路が全体としてほぼコ字状をなすように形成されている。
【0017】
前記供給部3は、記録部4に供給する長尺の記録媒体RMを保持するためのものであり、この供給部3には、記録媒体RMが巻回された供給ロール6が着脱可能に装着されている。そして、記録媒体RMは、図示しない供給用ローラの駆動力によって供給ロール6から繰り出され、ガイド板7、ガイドロール8などの供給用案内手段により所定の搬送経路に沿って案内されつつ記録部4に搬送されるようになっている。
【0018】
前記記録部4は、記録媒体RM上に所望の画像を記録するためのものであり、記録部4において全体として図1の下方から上方に向かう記録媒体RMの搬送方向に沿って複数、本実施形態においてはフルカラーの記録を行うための4つの記録ユニット9が配列されている。これらの記録ユニット9は、図1の下方に示す記録媒体RMの搬送方向の最上流側から図1の上方に示す下流側に向かってこの順に、第1記録ユニット9A、第2記録ユニット9B、第3記録ユニット9C、第4記録ユニット9Dとされている。
【0019】
前記記録部4に配列された各記録ユニット9のそれぞれは、図1および図2に示すように、記録ヘッドとしてのラインサーマルヘッド10、プラテンとしてのプラテンローラ11、搬送ローラ12を有する搬送手段13、フリクションローラ14を有する外乱遮断手段15およびリボンカセット16を有している。
【0020】
図1に示すように、各記録ユニット9は、隣位する1対の記録ユニット9の間において、上流側に位置する記録ユニット9の記録状態におけるラインサーマルヘッド10と搬送ローラ12を結ぶ搬送経路、詳しくは、ラインサーマルヘッド10と搬送ローラ12の記録媒体RMとの対向面を結ぶ搬送経路の延長方向に対して、下流側に位置する記録ユニット9の記録状態におけるラインサーマルヘッド10と搬送ローラ12を結ぶ搬送経路がずれた位置、本実施形態においては図1の左方にずれて配置されている。
【0021】
すなわち、本実施形態の各記録ユニット9の記録状態におけるラインサーマルヘッド10と搬送ローラ12を結ぶ搬送経路は、全体として下り階段状に形成されている。
【0022】
これにより、上流側の記録ユニット9から下流側の記録ユニット9に記録媒体RMを供給する記録媒体導入時に、記録媒体RMを弛ませる(湾曲させる)ことができるようになっている。
【0023】
また、フリクションローラ14は、隣位する1対の記録ユニット9の間における記録媒体導入時の下流側の記録ユニット9への搬送経路を確立することができるようになっている。なお、各記録ユニット9はそれぞれ同一の構成とされている。
【0024】
前記排出部5は、記録部4によって画像を記録した記録媒体RMを所定の長さに切断したうえで収納保持するためのものであり、この排出部5には、図1に示すように、長尺の記録媒体RMをその長手方向に対して直交する幅方向に切断するための切断刃を有する切断手段17と、切断した後の記録媒体RMを収納するトレイ18とを有している。そして、記録部4から排出された記録媒体RMは、図示しない排出用ローラの駆動力によって所定の搬送経路に沿って案内された後、切断手段17によって所定の長さに切断されてトレイ18に順次収納されるようになっている。
【0025】
ここで、各記録ユニット9の構成について図3から図9により説明する。
【0026】
図3は記録ユニットの要部を示す拡大概略図、図4は記録ユニットの記録ヘッドの近傍の要部を示す拡大概略図、図5は連動手段の近傍の要部を示す拡大概略図、図6は搬送ローラの一端部の近傍の要部を異なる角度から見て示す拡大概略斜視図、図7は図6の要部の側面図、図8は回転伝動機構の近傍の要部を示す拡大概略図、図9は制御部の要部を示すブロック図である。
【0027】
本実施形態の記録ユニット9は、ほぼ平板状に形成されたラインサーマルヘッド10を有している。このラインサーマルヘッド10は、その長手方向を記録媒体RMの搬送方向に対して直交する方向に向けて固定配置されている。そして、ラインサーマルヘッド10の搬送経路に臨む記録面10aには、記録動作時における記録媒体RMの搬送方向に対して直交する方向、すなわち、記録媒体RMの搬送方向に対して直交する記録範囲の行方向における寸法に相当する長さに亘って多数の発熱素子が配列されている。
【0028】
前記ラインサーマルヘッド10は、ヘッド取付台21に取着されている。このヘッド取付台21は、ラインサーマルヘッド10の剛性を確保する補強機能や、ラインサーマルヘッド10の記録動作中におけるヒートシンクなどとして機能するものであり、軽量で放熱性(熱伝導性)に優れたアルミニウム合金などの金属材料により形成されている。なお、ヘッド取付台21には、設計コンセプトなどの必要に応じて、水冷ヒートシンクなどのさらなるヒートシンクを設けことで放熱性をより向上させてもよい。
【0029】
図3に示すように、ラインサーマルヘッド10の左側には、リボンカセット16が配設されている。このリボンカセット16の内部には、回転自在な1対のリボンローラ22の間に巻回されたインクリボン23が配設さており、このインクリボン23は、リボンカセット16に回転自在に配設された複数のリボンガイドローラ24、および、ラインサーマルヘッド10の図3の上方および下方(上流側および下流側)のそれぞれに回転自在に配設された1対の外部ガイドローラ25によって案内され、リボンカセット16から導出されたインクリボン23の走行経路がラインサーマルヘッド10とプラテンローラ11との間を通過するように配設されている。この時、インクリボン23は、インクの塗工面が記録媒体RMに対向し、インクの塗工面の背面がラインサーマルヘッド10の発熱素子と対向するように搬送されるようになっている。また、リボンカセット16は、プリンタ本体2の内部に配設された図示しないカセットホルダに着脱可能に装着されている。なお、インクリボン23は、記録動作時において、図示しない従来公知のインクリボン走行機構によって走行可能とされている。
【0030】
本実施形態のインクリボン23としては、例えば、記録媒体RM上にフルカラーの画像を形成するために、第1記録ユニット9Aのインクリボン23としてシアン(C)のインクが塗工されたインクリボン23が用いられ、第2記録ユニット9Bのインクリボン23としてマゼンタ(M)のインクが塗工されたインクリボン23が用いられ、第3記録ユニット9Cのインクリボン23としてイエロー(Y)のインクが塗工されたインクリボン23が用いられ、第4記録ユニット9Dのインクリボン23としてブラック(BK)のインクが塗工されたインクリボン23が用いられている。
【0031】
図4および図5に詳示するように、インクリボン23および記録媒体RMを介してラインサーマルヘッド10に対向する位置には、記録媒体RMおよびラインサーマルヘッド10の長さ寸法に対応する長さ寸法のプラテンローラ11が配設されている。このプラテンローラ11は、プラテン支持フレーム26によって回転自在に支持されている。このプラテン支持フレーム26の右側には、カム受け面26aが形成されており、プラテン支持フレーム26の上部には、圧縮コイルばねにより形成されたヘッド圧接ばね27が配設されている。そして、カム受け面26aの右側方には、カム受け面26aに対して接離可能なヘッド圧接用カム28が配設されている。このヘッド圧接用カム28は、駆動モータとしてのヘッドカム用駆動モータ29(図9)の駆動力によって回転駆動可能とされたヘッドカム軸30に取着されており、ヘッドカム用駆動モータ29の駆動力によってヘッドカム軸30を回転駆動することで、少なくとも図4に示すヘッド圧接ばね27のばね力によってプラテンローラ11がラインサーマルヘッド10に圧接したダウン位置と、プラテンローラ11がラインサーマルヘッド10から離間したアップ位置(図10)との2位置を選択的に取らせることができるように形成されている。また、ヘッドカム用駆動モータ29は、後述する制御部31(図9)に電気的に接続されている。
【0032】
すなわち、制御部31から送出される制御指令によって、ヘッドカム用駆動モータ29を所定のタイミングで駆動させることで、プラテンローラ11のダウン位置とアップ位置との切り換えを行うことができるように形成されている。
【0033】
前記ラインサーマルヘッド10に対してプラテンローラ11が記録媒体RMを介してヘッド圧接ばね27による所定の圧接力をもって圧接したダウン状態におけるラインサーマルヘッド10とプラテンローラ11との圧接位置が、インクリボン23のインクを記録媒体RMに転写して記録する記録位置RPとされている。
【0034】
前記プラテン支持フレーム26、ヘッド圧接ばね27、ヘッド圧接用カム28およびヘッドカム軸30により、本実施形態のラインサーマルヘッド10に対してプラテンローラ11を接離させるヘッド接離機構32が構成されている。
【0035】
なお、ヘッド接離機構32としては、プラテンローラ11に対してラインサーマルヘッド10を接離動作させる構成であってもよく、ラインサーマルヘッド10とプラテンローラ11とが相対的に接離可能な構成であればよい。
【0036】
なお、上流側に位置する記録ユニット9の記録状態、すなわち、プラテンローラ11のダウン状態におけるラインサーマルヘッド10および搬送ローラ12の記録媒体RMとの接触位置を結ぶ搬送経路の延長線が、下流側に位置する記録ユニット9のアップ状態におけるプラテンローラ11の中心より記録媒体RM側となるようにプラテンローラ11のアップ位置を設定するとよい。これにより、記録部4において各記録ユニット9を上下方向に配列した場合であっても、下流側の記録ユニット9の記録位置RPへの記録媒体RMの供給を確実に行うことができる。
【0037】
すなわち、上流側に位置する記録ユニット9の記録位置RPと搬送ローラ12の記録媒体RMとの接触位置を結ぶ搬送経路の延長線に対して、下流側に位置する記録ユニット9のアップ状態におけるプラテンローラ11の中心を搬送経路側とすることで、下流側の記録ユニット9に向かう記録媒体RMの先端部を、ラインサーマルヘッド10の記録面10aとプラテンローラ11との間に向かって確実に搬送することができる。
【0038】
なお、記録部4において各記録ユニット9を水平方向に配列した場合には、記録媒体RMの先端部は、その自重によって下がるので、プラテンローラ11のアップ状態とダウン状態との動作距離をより短くすることができる。
【0039】
図4および図5に詳示するように、プラテンローラ11の搬送経路の下流側たる上方には、ラインサーマルヘッド10、すなわち、記録位置RPを通過した記録媒体RMを下流側の記録ユニット9に搬送するための搬送ローラ12が配設されている。この搬送ローラ12は、記録媒体RMの搬送方向に対して直交する長手方向たる軸方向がプラテンローラ11と平行に延在するように配設されている。そして、搬送ローラ12は、図示しないフレームによって回転自在に支持されている。また、搬送ローラ12の少なくとも一端部には、歯車伝動、Vベルト伝動、歯付きベルト伝動などの回転伝動機構(図示せず)を介して搬送用駆動モータ33(図9)が接続されており、搬送ローラ12は、搬送用駆動モータ33の駆動力をもって回転駆動可能に形成されている。この搬送用駆動モータ33は、制御部31に電気的に接続されており、制御部31から送出される制御指令によって、搬送ローラ12を所定のタイミングで所定の回転速度をもって回転駆動可能に形成されている。
【0040】
前記搬送ローラ12の外周面の左方、すなわち、記録媒体RMを介して搬送ローラ12に対向する位置には、搬送ローラ12に従動回転する搬送用圧接ローラ34が配設されている。この搬送用圧接ローラ34は、図6および図7に示すように、搬送ローラ12の両端部分に回転自在に支持されたローラ支持フレーム35の側板部35a(図6において一方のみ図示)の上端部に凹設された支持溝35bに嵌合されており、搬送ローラ12の径方向に沿って往復移動可能かつ回転自在に配設されているとともに、搬送ローラ12を中心として回動可能に形成されている。
【0041】
前記搬送用圧接ローラ34の両端部は、ローラ支持フレーム35の両側板部35aより外側に突出されており、搬送用圧接ローラ34の両端部の外周面のそれぞれには、搬送圧接用リフトカムギア36のカム36a(図5)が圧縮コイルばねからなる搬送用圧接ばね37のばね力をもって当接されている。そして、搬送圧接用リフトカムギア36は、ローラ支持フレーム35の両側板部35aの外側に回転自在に配設されており、搬送圧接用リフトカムギア36を回転させることによって、搬送ローラ12の外周面に対して搬送用圧接ローラ34を接離させることができるように形成されている。
【0042】
前記搬送圧接用リフトカムギア36は、カム36aの一面側に第1ギア36bが同軸上に一体形成されており、カム36aの内面側に第2ギア36cが同軸上に一体形成されている(図5)。そして、第1ギア36bは、ローラ支持フレーム35の両側板部35aの外側に回転自在に配設された第1アイドルギア38に噛合されており、この第1アイドルギア38は、フリクションカム軸39に取着されている(図5)。また、フリクションカム軸39は、プラテン支持フレーム26に回転自在に支持されており、このフリクションカム軸39とヘッドカム軸30とは、図8に示すように、フリクションカム軸39およびヘッドカム軸30のそれぞれに取着された1対の歯付きベルトプーリ40、および、これらの歯付きベルトプーリ40の間に巻回された歯付きベルト41を具備する回転伝動機構42によって接続されている。
【0043】
すなわち、ヘッドカム軸30の回転によって、フリクションカム軸39が回転駆動し、このフリクションカム軸39の回転にともなって、搬送ローラ12の外周面に対して搬送用圧接ローラ34を接離させることができるように形成されている。
【0044】
なお、回転伝動機構42としては、歯車伝動、Vベルト伝動などの各種のものから選択することができる。
【0045】
前記回転伝動機構42および搬送圧接用リフトカムギア36によって、本実施形態の搬送ローラ12の外周面に対して搬送用圧接ローラ34を接離させる搬送用圧接ローラ接離機構43が構成されている。
【0046】
したがって、本実施形態における記録ユニット9において、記録位置RP、すなわち、ラインサーマルヘッド10を通過した記録媒体RMを下流側に搬送するための搬送手段13は、ラインサーマルヘッド10の下流側に配設された搬送ローラ12と、この搬送ローラ12に搬送経路を介して対向しかつ搬送ローラ12に対して接離可能に設けられた搬送用圧接ローラ34を有しており、搬送ローラ12および搬送用圧接ローラ34の間に記録媒体RMを挟持して搬送可能に形成されている。
【0047】
なお、ヘッドカム軸30の回転にともなう搬送用圧接ローラ接離機構43による搬送ローラ12の外周面に対する搬送用圧接ローラ34の圧接は、ヘッドカム軸30の回転にともなうヘッド接離機構32によるラインサーマルヘッド10に対するプラテンローラ11の圧接に先だって行われるように形成されている。
【0048】
また、本実施形態の最下流側に位置する記録ユニット9Dの搬送手段13は、記録部4から排出部5への記録媒体RMの送出しに用いられている。
【0049】
前記搬送ローラ12の搬送経路の下流側たる上方には、記録媒体RMとの摩擦によって従動回転可能なフリクションローラ14が搬送ローラ12と平行に配設されている。このフリクションローラ14の両端部は、ローラ支持フレーム35の両側板部35aに回転自在に支持されている。すなわち、フリクションローラ14は、搬送ローラ12を中心として回動可能に形成されている(図6)。
【0050】
前記フリクションローラ14の外周面の図4の左方、すなわち、記録媒体RMを介してフリクションローラ14に対向する位置には、記録媒体RMとの摩擦によって従動回転可能なフリクション用圧接ローラ44が配設されている。このフリクション用圧接ローラ44の両端部分のそれぞれは、1対の可動プレート45の先端部分に回転自在に支持されており、これらの可動プレート45の基端部のそれぞれは、搬送ローラ12の両端部分に回転自在に支持されている(図6、図7)。すなわち、フリクション用圧接ローラ44も、搬送ローラ12を中心として回動可能に形成されている。
【0051】
前記フリクション用圧接ローラ44の両端部の外周面のそれぞれには、フリクション用リフトカムギア46のカム46aが図示しない付勢ばねのばね力をもって当接されている(図5〜図7)。そして、フリクション用リフトカムギア46は、ローラ支持フレーム35の両側板部35aの外側に回転自在に配設されており、フリクション用リフトカムギア46を回転させることによって、フリクションローラ14の外周面に対してフリクション用圧接ローラ44を接離させることができるように形成されている。
【0052】
前記フリクション用リフトカムギア46のギアは、ローラ支持フレーム35の両側板部35aの外側に回転自在に配設された第2アイドルギア47に噛合されており、この第2アイドルギア47は、搬送圧接用リフトカムギア36の第2ギア36cに噛合されている(図5)。
【0053】
したがって、本実施形態の記録ユニット9においては、ヘッドカム軸30の回転によってフリクションカム軸39が回転駆動し、このフリクションカム軸39の回転にともなう搬送圧接用リフトカムギア36の回転によって第2アイドルギア47が回転し、この第2アイドルギア47の回転によってフリクション用リフトカムギア46が回転することで、フリクションローラ14の外周面に対してフリクション用圧接ローラ44を接離させることができるように形成されている。
【0054】
前記搬送圧接用リフトカムギア36、回転伝動機構42、可動プレート45、フリクション用リフトカムギア46および第2アイドルギア47によって、本実施形態のフリクションローラ14の外周面に対してフリクション用圧接ローラ44を接離させるフリクション用圧接ローラ接離機構48が構成されている。
【0055】
したがって、本実施形態の記録ユニット9においては、ラインサーマルヘッド10に対するプラテンローラ11の接離動作と、搬送ローラ12の外周面に対する搬送用圧接ローラ34の接離動作と、フリクションローラ14の外周面に対するフリクション用圧接ローラ44の接離動作との3種類の接離動作を連動させることができるように形成されている。
【0056】
なお、フリクション用圧接ローラ接離機構48によるフリクションローラ14の外周面に対するフリクション用圧接ローラ44の圧接は、搬送用圧接ローラ接離機構43による搬送ローラ12の外周面に対する搬送用圧接ローラ34の圧接の後で、かつ、ヘッド接離機構32によるラインサーマルヘッド10に対するプラテンローラ11の圧接に先だって行われるように形成されている。
【0057】
また、本実施形態における下流側で発生した記録媒体の搬送に悪影響を及ぼす外乱が記録媒体RMを介して上流側に伝播するのを遮断するための外乱遮断手段15は、搬送手段13の下流側に配設されたフリクションローラ14と、このフリクションローラ14に搬送経路を介して対向しかつフリクションローラ14に対して接離可能に設けられたフリクション用圧接ローラ44とを有しており、フリクションローラ14およびフリクション用圧接ローラ44で記録媒体RMを圧接して記録媒体RMに対して摩擦負荷を付与可能に形成されている。
【0058】
図4に示すように、フリクションカム軸39には、フリクション姿勢制御カム49が取着されている。このフリクション姿勢制御カム49は、外周面の一部に凹部49aを有する円板状に形成されている。また、フリクション姿勢制御カム49には、カムピン50が当接されている。このカムピン50は、前記ローラ支持フレーム35の図4の右面に取着されたほぼL字状のドグフレーム51の基端側に取着されている。また、ローラ支持フレーム35は、常時は、引っ張りばねからなるフリクション用ばね52の付勢力によって、図4の右方、詳しくは、搬送ローラ12を中心として図4の時計方向に付勢されており、カムピン50をフリクション姿勢制御カム49に当接させることで、ローラ支持フレーム35、すなわち、外乱遮断手段15のフリクションローラ14が搬送ローラ12を中心として回動するのを拘束した固定状態に保持することができるようになっている。これにより、隣位する1対の記録ユニット9の間における下流側の記録ユニット9への記録媒体RMの搬送経路を確立することができるように形成されている。
【0059】
前記カムピン50に対してフリクション姿勢制御カム49の凹部49aが対向した場合、後述するように、フリクション姿勢制御カム49の凹部49aに対してカムピン50が非接触で落ち込んだ自由状態となり、外乱遮断手段15のフリクションローラ14、詳しくは、ローラ支持フレーム35に取着されている各部が搬送ローラ12を中心として回動可能な自由状態をなすように形成されている(図16)。なお、外乱遮断手段15の自由状態における搬送ローラ12を中心とした回動位置は、記録媒体RMの張力によって可変になっている。
【0060】
前記外乱遮断手段15のフリクションローラ14の自由状態における搬送ローラ12を中心とした回動範囲の上限および下限は、反射型光センサからなる上限センサ53および下限センサ54によって検出することができるようになっている。この上限センサ53および下限センサ54は、制御部31に電気的に接続されている。
【0061】
前記上限センサ53および下限センサ54は、下流側に位置する記録ユニット9に対する記録媒体導入時における記録媒体RMの弛み量が適正範囲か否かを判別する弛み判別センサとして機能するものであり、上限センサ53および下限センサ54のそれぞれの開口53a、54aから出射された光がドグフレーム51の先端側の一面に固着された図4の破線にて示す反射テープなどの反射部材55によって反射されることで、記録媒体RMの弛み量が適正範囲にあることが判別されるようになっている。また、制御部31は、上限センサ53の光のみが反射部材55によって反射された場合には、記録媒体RMの弛み量が上限を越えたと判別されるようになっている。また、下限センサ54の光のみが反射部材55によって反射された場合には、記録媒体RMの弛み量が下限を越えたと判別されるようになっている。なお、弛み量の適正範囲、上限および下限の判別は、制御部31によって行われるようになっている。
【0062】
前記判別センサとしては、反射型光センサに限定されるものではなく、透過型光センサ、近接スイッチなどの非接触式センサ、マイクロスイッチなどの接触式センサなどの各種のものから選択することができる。また、距離センサを用いてもよい。この場合、ドグフレーム51の先端部との距離を計測する構成とするとよい。これにより、判別センサの使用数を1つにすることができるとともに、弛み量のアナログ値を判別することができる。さらに、ポテンショメータやロータリーエンコーダを用いることができる。この場合、フリクションカム軸39の回転角度を計測する構成とするとよい。このような構成とすることにより、判別センサの使用数を1つにすることができるとともに、弛み量のアナログ値を判別することができる。
【0063】
したがって、本実施形態の記録ユニット9においては、ヘッドカム軸30の回転によってフリクションカム軸39が回転駆動し、このフリクションカム軸39の回転によってフリクション姿勢制御カム49が回転することで、カムピン50に対してフリクション姿勢制御カム49が当接したローラ支持フレーム35の固定姿勢、すなわち、フリクションローラ14の固定状態と、カムピン50に対してフリクション姿勢制御カム49の凹部49aが非接触状態で対向したローラ支持フレーム35の自由姿勢、すなわち、フリクションローラ14が搬送ローラ12を中心として回動可能な自由状態との切り換えを容易に行うことができるように形成されている。
【0064】
また、本実施形態の記録ユニット9においては、ヘッドカム用駆動モータ29の駆動力によりヘッドカム軸30を駆動することで、搬送ローラ12に対する搬送用圧接ローラ34の圧接動作と、フリクションローラ14に対するフリクション用圧接ローラ44の圧接動作と、ラインサーマルヘッド10に対するプラテンローラ11の圧接動作と、フリクションローラ14の固定状態から自由状態への切換動作とがこの順で行われるように形成されている。
【0065】
前記回転伝動機構42、フリクション姿勢制御カム49およびカムピン50によって、本実施形態の外乱遮断手段15のフリクションローラ14の固定状態と自由状態とを切り換えるフリクションローラ状態切換機構56が構成されている。
【0066】
したがって、本実施形態の記録ユニット9においては、ラインサーマルヘッド10に対するプラテンローラ11の接離動作と、搬送ローラ12の外周面に対する搬送用圧接ローラ34の接離動作と、フリクションローラ14の外周面に対するフリクション用圧接ローラ44の接離動作との3種類の接離動作に加えて、外乱遮断手段15のフリクションローラ14の固定状態と自由状態とを切り換える切換動作をさらに連動させることができるように形成されている。
【0067】
なお、フリクションローラ状態切換機構56による外乱遮断手段15のフリクションローラ14の固定状態から自由状態への切り換えは、ヘッド接離機構32によるラインサーマルヘッド10に対するプラテンローラ11の圧接の後、詳しくは、下流側の記録ユニット9に記録媒体RMが供給され、下流側の記録ユニット9の搬送ローラ12と搬送用圧接ローラ34との間に記録媒体RMが挟持された後に行うように形成されている。
【0068】
前記ヘッド接離機構32、搬送用圧接ローラ接離機構43、フリクション用圧接ローラ接離機構48およびフリクションローラ状態切換機構56により、本実施形態の搬送ローラ12に対する搬送用圧接ローラ34の圧接動作と、フリクションローラ14に対するフリクション用圧接ローラ44の圧接動作と、ラインサーマルヘッド10とプラテンローラ11との圧接動作と、外乱遮断手段15のフリクションローラ14の固定状態から自由状態への切換動作とを、この順に連動させる連動手段57が構成されている。
【0069】
図9に示すように、本実施形態のプリンタ1は、各部の動作を制御する制御部31を有しており、この制御部31には、少なくともCPU61と、適宜な容量のROM、RAMなどにより形成されたメモリ62とを有している。この制御部31には、少なくとも前記各記録ユニット9のヘッドカム用駆動モータ29、搬送用駆動モータ33、上限センサ53、下限センサ54、および、図示しない電源スイッチや記録動作にかかわる公知の各種のスイッチ類などが電気的に接続されている。
【0070】
本実施形態のメモリ62には、少なくとも上限センサ53および下限センサ54から送出される検出信号に基づいて、下流側の記録ユニット9に供給する記録媒体RMの弛み量が適正範囲か否かを判別するプログラムが格納されている。
【0071】
例えば、上限センサ53および下限センサ54から出射された光が反射部材55によって反射されることで送出されるON信号に基づいて、上限センサ53および下限センサ54の両者からON信号が送出された場合には記録媒体RMの弛み量が適正範囲にあると判別し、上限センサ53のみからON信号が送出された場合には記録媒体RMの弛み量が上限を越えたと判別し、下限センサ54のみからON信号が送出された場合には記録媒体RMの弛み量が下限を越えたと判別するプログラムが格納されている。
【0072】
なお、弛み量の判別は、例えば、図示しない媒体検出センサあるいは記録開始位置検出センサなどによって、記録ユニット9に対して記録媒体RMが供給されたことを検出した場合に実施されるようになっている。
【0073】
また、媒体検出センサは、制御部31に電気的に接続されており、例えば、搬送経路における搬送ローラ12の手前を記録媒体RMの先端が通過した場合に、その検出信号を制御部31に送出し、この検出信号を受けた制御部31によって、記録媒体RMの有無を「有」として判別するように構成されている。
【0074】
前記メモリ62には、判別センサとしての上限センサ53および下限センサ54による弛み量の判別結果が適正範囲にないと判別した場合には、下流側の記録ユニット9に供給する記録媒体RMの弛み量が適正範囲となるように、上流側の記録ユニット9の搬送手段13による記録媒体RMの搬送速度を制御するプログラムが格納されている。
【0075】
具体的には、記録媒体RMの弛み量が上限を越えたと判別した場合、記録媒体RMの搬送速度を減速するように、搬送ローラ12を回転駆動している搬送用駆動モータ33の回転速度を減速するように制御するプログラムを例示することができる。また、記録媒体RMの弛み量が下限を越えたと判別した場合、記録媒体RMの搬送速度を増速するように、搬送ローラ12を回転駆動している搬送用駆動モータ33の回転速度を増速するように制御するプログラムを例示することができる。
【0076】
前記メモリ62には、各部の動作および動作順序を制御するプログラムや、電源投入時のイニシャライズ動作を行うプログラムなどの各種のプログラムや、記録動作を実行する際に必要なデータなどの各種のデータなども記憶されている。
【0077】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について図1から図18により説明する。
【0078】
図1はプリンタによる記録状態を示しており、図2は第3記録ユニットに記録媒体が導入された状態を示しており、図3から図8は記録ユニットの記録状態を示しており、図10は記録ユニットの待機状態における要部を示すの拡大概略図、図11は記録ユニットの待機状態における連動手段の要部を示す拡大概略図、図12は記録ユニットの搬送ローラの直前まで記録媒体が供給された状態の要部を示す拡大概略図、図13は記録ユニットの搬送ローラ圧接状態の要部を示す拡大概略図、図14は記録ユニットのフリクションローラ圧接状態の要部を示す拡大概略図、図15は記録ユニットのヘッド圧接状態の要部を示す拡大概略図、図16は記録ユニットの外乱遮断手段の自由状態の要部を示す拡大概略図、図17は記録ユニットの記録媒体の弛みが上限を超えた弛み過剰状態の要部を示す拡大概略図、図18は記録ユニットの記録媒体の弛みが下限を越えたつっぱり状態の要部を示す拡大概略図である。
【0079】
本実施形態のプリンタ1に所望の文字や図形等の画像の記録データが入力されると、まず、プリンタ1は、供給部3の供給ロール6から各記録ユニット9のうちの最上流側に位置する第1記録ユニット9Aに記録媒体RMを搬送する。
【0080】
この時、各記録ユニット9は、待機状態を保持している。この記録ユニット9の待機状態においては、図10に示すように、プラテンローラ11がサーマルヘッド10の記録面10aから離間し、搬送用圧接ローラ34が搬送ローラ12の外周面から離間し、フリクション用圧接ローラ44がフリクションローラ14の外周面から離間している。
【0081】
すなわち、図11に示すように、連動手段57の一部を構成するヘッド接離機構32のヘッド圧接用カム28は、プラテン支持フレーム26のカム受け面26aから離間しており、プラテンローラ11は、図10および図11に示すように、サーマルヘッド10の記録面10aから離間したアップ状態を保持している。
【0082】
また、連動手段57の一部を構成する搬送用圧接ローラ接離機構43の搬送圧接用リフトカムギア36は、そのカム36aのほぼ頂部が搬送用圧接ローラ34の両端部の外周面に当接しており、搬送用圧接ローラ34は、搬送ローラ12の外周面から離間した状態を保持している。
【0083】
さらに、連動手段57の一部を構成するフリクション用圧接ローラ接離機構48のフリクション用リフトカムギア46は、そのカム46aのほぼ頂部がフリクション用圧接ローラ44の両端部の外周面に当接しており、フリクション用圧接ローラ44は、搬送ローラ12を中心として可動プレート45(図6、図7)とともにフリクションローラ14から離れる方向に回動され、フリクション用圧接ローラ44は、フリクションローラ14の外周面から離間した状態を保持している。
【0084】
さらにまた、連動手段57の一部を構成するフリクションローラ状態切換機構56のフリクション姿勢制御カム49は、カムピン50に当接しており、外乱遮断手段15は固定状態を保持している(図4参照)。
【0085】
ついで、供給部3から第1記録ユニット9Aに記録媒体RMが供給されると、記録媒体RMの先端は、図12に示すように、第1記録ユニット9Aのラインサーマルヘッド10の記録面10aとプラテンローラ11との間を通過して、搬送ローラ12と搬送用圧接ローラ34との間に向かって搬送される。そして、記録媒体RMの先端が、搬送ローラ12と搬送用圧接ローラ34との間を通過すると、制御部31から送出される制御指令によって、ヘッドカム用駆動モータ29が駆動し、連動手段57の一部を構成するヘッドカム軸30が図10の状態から図10の反時計方向へ所定角度回転する。このヘッドカム軸30の回転により、連動手段57が駆動し、図13に示すように、搬送用圧接ローラ接離機構43によって、搬送用圧接ローラ34が記録媒体RMを介して搬送ローラ12に圧接した搬送ローラ圧接状態となる。また、搬送ローラ圧接状態になると同時に、制御部31から送出される制御指令によって搬送用駆動モータ33が駆動し、搬送ローラ12および搬送用圧接ローラ34の間に記録媒体RMを挟持して記録媒体RMを下流側の第2記録ユニット9Bに向かって搬送する。なお、搬送ローラ12は、搬送ローラ圧接状態となった後、間欠駆動することなく、所定の速度で記録媒体RMを下流側に搬送し続ける。
【0086】
なお、ヘッドカム用駆動モータ29の駆動タイミングは、例えば、搬送経路における搬送ローラ12の手前に配設された図示しない媒体検出センサあるいは記録開始位置検出センサによって、記録媒体RMの有無を「有」とする検出信号を制御部31に送出し、制御部31が記録媒体RMの有無を「有」と判別した時点を基準として制御するとよい。
【0087】
ついで、記録媒体RMの先端が、フリクションローラ14とフリクション用圧接ローラ44との間を通過すると、制御部31から送出される制御指令によって、ヘッドカム用駆動モータ29がさらに駆動し、ヘッドカム軸30がさらに反時計方向へ回転する。このヘッドカム軸30の回転により、連動手段57がさらに駆動して、図14に示すように、搬送ローラ圧接状態を保持しつつ、フリクション用圧接ローラ接離機構48によって、フリクション用圧接ローラ44が記録媒体RMを介してフリクションローラ14に圧接し、フリクションローラ14およびフリクション用圧接ローラ44で記録媒体RMを圧接して記録媒体RMに対して摩擦負荷を付与するフリクションローラ圧接状態となる。
【0088】
ついで、フリクション用圧接ローラ44が記録媒体RMを介してフリクションローラ14に圧接した後、ヘッドカム用駆動モータ29がさらに駆動し、ヘッドカム軸30がさらに反時計方向へ回転する。このヘッドカム軸30の回転により、連動手段57がさらに駆動して、図15に示すように、搬送ローラ圧接状態およびフリクションローラ圧接状態を保持しつつ、ヘッド接離機構32によって、プラテンローラ11が記録媒体RMおよびインクリボン23をこの順に介してラインサーマルヘッド10の記録面10aに圧接したヘッド圧接状態となる。なお、フリクションローラ14に対するフリクション用圧接ローラ44の圧接完了以前に、ヘッドカム軸30の回転により、プラテンローラ11がラインサーマルヘッド10に向かって移動し、ラインサーマルヘッド10に近接した状態になっている。また、この間、搬送ローラ12は、記録媒体RMを下流側に搬送しており、ヘッド圧接は、搬送ローラ12が記録媒体RMを下流側に搬送している状態で行われる。
【0089】
そして、ヘッド圧接状態になると、制御部31から送出される制御指令によって、記録情報に基づいてラインサーマルヘッド10の発熱素子が選択的に駆動(発熱)され、かつ、インクリボン23が搬送されることで、第1記録ユニット9Aにおける記録媒体RMの画像形成領域へのインクリボン28から所定の色、例えばCのインクを転写する記録動作が開始される(図2、図3、図5〜図8)。
【0090】
続いて、第1記録ユニット9Aの搬送ローラ12によって、記録媒体RMの先端が第2記録ユニット9Bのラインサーマルヘッド10の記録面10aとプラテンローラ11との間を通過すると、前述した第1記録ユニット9Aと同様に、制御部31から送出される制御指令によって、第2記録ユニット9Bのヘッドカム用駆動モータ29が駆動し、第2記録ユニット9Bの各部は、前述した待機状態から、搬送ローラ圧接状態、フリクションローラ圧接状態およびヘッド圧接状態に順次移行し、その後、第2記録ユニット9Bによる記録動作が開始され、第1記録ユニット9Aにより形成した画像の上にインクリボン28から異なる色、例えばMのインクを転写する記録が行われる。
【0091】
この時、第1記録ユニット9Aの外乱遮断手段15は、第2記録ユニット9Bへの搬送経路を確立する。
【0092】
また、第2記録ユニット9Bのプラテンローラ11のダウン時に、第1記録ユニット9Aによる画像の記録を行っているが、第1記録ユニット9Aの外乱遮断手段15、詳しくは、フリクションローラ14およびフリクション用圧接ローラ44で記録媒体RMを圧接して記録媒体RMに対して摩擦負荷を付与しているので、第2記録ユニット9Bのプラテンローラ11のダウン時における記録媒体RMに対する衝撃が記録媒体RMを伝達して第1記録ユニット9Aの搬送および記録を行っている部分にまで伝達するのを確実に遮断することができる。
【0093】
すなわち、外乱遮断手段15は、隣位する1対の記録ユニット9間において、下流側で発生した記録媒体RMの搬送に悪影響を及ぼす外乱が記録媒体RMを介して上流側に伝播するのを確実かつ容易に遮断することができる。
【0094】
また、第1記録ユニット9Aの記録状態におけるラインサーマルヘッド10と搬送ローラ12を結ぶ搬送経路の延長方向に対して、下流側に位置する第2記録ユニット9Bの記録状態におけるラインサーマルヘッド10と搬送ローラ12を結ぶ搬送経路がずれた位置に配置されているので、記録媒体RMを供給する記録媒体導入時に、記録媒体RMを弛ませる(湾曲させる)ことができる。
【0095】
すなわち、隣位する1対の記録ユニット9の間において、記録状態における上流側に位置する記録ユニット9のラインサーマルヘッド10および搬送ローラ12の記録媒体RMとの接触位置を結ぶ搬送経路に対して、下流側に位置する記録ユニット9のラインサーマルヘッド10および搬送ローラ12を結ぶ搬送経路がほぼ階段状をなすように配置されており、上流側の記録ユニット9から下流側の記録ユニット9に記録媒体RMを供給する媒体導入時に、記録媒体RMを弛ませる(湾曲させる)ように、記録媒体RMの搬送経路を形成することができる。また、フリクションローラ14は、隣位する1対の記録ユニット9の間における下流側の記録ユニット9への搬送経路を確立することができる。
【0096】
また、第2記録ユニット9Bに記録媒体RMを供給する記録媒体導入時、例えば、第2記録ユニット9Bが少なくとも搬送ローラ圧接状態となったタイミングで、第1記録ユニット9Aのヘッドカム用駆動モータ29が駆動して連動手段57の一部を構成するフリクションローラ状態切換機構56のフリクション姿勢制御カム49の凹部49aがカムピン50と対向する位置に移動し、図16に示すように、フリクション姿勢制御カム49の凹部49aに対してカムピン50が非接触で落ち込んだ自由状態となり、ローラ支持フレーム35およびこれに取着されている外乱遮断手段15および搬送用圧接ローラ34などが搬送ローラ12を中心として回動可能な自由状態を保持する。このように、外乱遮断手段15のフリクションローラ14を固定状態から自由状態に切り換えることで、各記録ユニット9の間における記録媒体RMの搬送速度の誤差(速度差)を吸収することができる。
【0097】
すなわち、各記録ユニット9における記録媒体RMの搬送速度の速度差は、フリクションローラ14が搬送ローラ12を中心として回動することで容易かつ確実に吸収できる。
【0098】
この時、上限センサ53および下限センサ54の両者からON信号が制御部31に送出された場合には、制御部31は、第2記録ユニット9Bにおける記録媒体RMの弛み量が適正範囲にあると判別し、第1記録ユニット9Aの搬送ローラ12の回転速度を予め設定された回転速度を維持するように、搬送用駆動モータ33の回転速度を制御する。
【0099】
なお、図17に示すように、記録媒体RMの張力が弱く、フリクション用ばね52の付勢力によってフリクションローラ14が搬送ローラ12を中心として時計方向に回動した記録媒体RMの弛みが大きい状態となった場合には、上限センサ53のみからON信号が制御部31に送出されるので、制御部31は、上限センサ53のみからON信号が送出された場合、記録媒体RMの弛み量が上限にあると判別し、第2記録ユニット9Bに供給する記録媒体RMの弛み量が適正範囲となるように、第1記録ユニット9Aの搬送手段13による記録媒体RMの搬送速度を制御、詳しくは搬送ローラ12の回転速度を減速するように搬送用駆動モータ33の回転速度を制御する。
【0100】
すなわち、隣位する1対の記録ユニット9のうちの上流側の記録ユニット9の搬送ローラ12の回転速度を減速することで、下流側の記録ユニット9に搬送する記録媒体RMの張力が増加し、フリクションローラ14が搬送ローラ12を中心として図17の反時計方向に回動し、弛み量が減少する。
【0101】
また、図18に示すように、記録媒体RMの張力が強く、フリクション用ばね52の付勢力に抗してローラ支持フレーム35が搬送ローラ12を中心として反時計方向に回動した記録媒体RMの弛みの小さいつっぱり状態となった場合には、下限センサ54のみからON信号が制御部31に送出されるので、制御部31は、下限センサ54のみからON信号が送出された場合、記録媒体RMの弛み量が下限にあると判別し、第2記録ユニット9Bに供給する記録媒体RMの弛み量が適正範囲となるように、第1記録ユニット9Aの搬送手段13による記録媒体RMの搬送速度を制御、詳しくは搬送ローラ12の回転速度を増速するように搬送用駆動モータ33の回転速度を制御する。
【0102】
すなわち、隣位する1対の記録ユニット9のうちの上流側の記録ユニット9の搬送ローラ12の回転速度を増速することで、下流側の記録ユニット9に搬送する記録媒体RMの張力が低下し、フリクションローラ14が搬送ローラ12を中心として図18の時計方向に回動し、弛み量が減少する。
【0103】
以下同様に、第3記録ユニット9Cにおいて、第2記録ユニット9Bにより形成した画像の上にインクリボン28から異なる色、例えばYのインクを転写する記録が行われ、ついで、第4記録ユニットにおいて、第3記録ユニット9Cにより形成した画像の上にインクリボン28から異なる色、例えばBKのインクを転写する記録が行われてフルカラーの画像が形成される。
【0104】
なお、第3記録ユニット9Cの搬送用圧接ローラ34が記録媒体RMを介して搬送ローラ12に圧接した搬送ローラ圧接状態を図2に示してある。
【0105】
前記記録部4により画像が記録され記録媒体RMは、排出部5において切断手段17により所定の長さに切断されて、トレイ18に順次収納される。
【0106】
この時、第4記録ユニット9Dによる画像の記録を行っているが、第4記録ユニット9Dの外乱遮断手段15、詳しくは、フリクションローラ14およびフリクション用圧接ローラ44で記録媒体RMを圧接して記録媒体RMに対して摩擦負荷を付与しているので、切断手段による記録媒体RMの切断にともなう衝撃が記録媒体RMを伝達して第4記録ユニット9Dの搬送および記録を行っている部分にまで伝達するのを確実に遮断することができる。
【0107】
すなわち、外乱遮断手段15は、下流側で発生した記録媒体RMの搬送に悪影響を及ぼす外乱が記録媒体RMを介して上流側に伝播するのを確実かつ容易に遮断することができる。
【0108】
このように、本実施形態のプリンタ1によれば、長尺に形成された記録媒体RMの搬送経路に沿って配列された複数の記録ユニット9のそれぞれが、記録ヘッドとしてのラインサーマルヘッド10の下流側に配設された搬送ローラ12を具備する搬送手段13と、搬送手段13の下流側に配設されたフリクションローラ14を具備する外乱遮断手段15とを有しているので、各記録ヘッド9間において、下流側で発生した記録媒体RMの搬送に悪影響を及ぼす外乱、例えば、下流側の記録ユニット9におけるプラテンローラ11のダウン動作にともなう記録媒体RMへの衝撃などが記録媒体RMを介して上流側に伝播するのを確実かつ容易に防止することができる。
【0109】
したがって、本実施形態のプリンタ1によれば、記録品質の向上を容易に図ることができる。
【0110】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、長尺に形成された記録媒体RMの搬送経路に沿って配列された複数の記録ユニット9のそれぞれが、記録ヘッドとしてのラインサーマルヘッド10の下流側に配設された搬送ローラ12を具備する搬送手段13を有しているので、各記録ユニット9に供給する記録媒体RMの弛み量のそれぞれを適正に制御することができる。
【0111】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、各記録ユニット9が隣位する1対の記録ユニット9の間において、上流側に位置する記録ユニット9の記録状態におけるラインサーマルヘッド10と搬送ローラ12を結ぶ搬送経路の延長方向に対して、下流側に位置する記録ユニット9の記録状態におけるラインサーマルヘッド10と搬送ローラ12を結ぶ搬送経路がずれた位置に配置されているので、下流側の記録ユニット9に記録媒体RMを供給する記録媒体導入時において、記録媒体RMを弛ませる(湾曲させる)ことが確実にできる。
【0112】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、外乱遮断手段15が、隣位する1対の記録ユニット9の間における下流側の記録ユニット9への搬送経路を確立するように形成されているので、下流側の記録ユニット9に記録媒体RMを供給する記録媒体導入時において、記録媒体RMの搬送経路を確立を確実かつ容易にできる。
【0113】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、外乱遮断手段15のフリクションローラ14が、記録媒体導入時おいて搬送ローラ12を中心とした回動を拘束された固定状態と、下流側の記録ユニット9への搬送経路を形成した後に搬送ローラ12を中心として回動可能な自由状態とに切換可能に形成されているので、外乱防止手段15のフリクションローラ14を固定状態とすることで、記録媒体導入時における記録媒体RMの弛みを持った予め設定された搬送経路を容易に得ることができる。また、外乱防止手段15のフリクションローラ14を自由状態とすることで、各記録ユニット9の搬送手段13による記録媒体RMの搬送速度に速度差が生じたとしても、搬送ローラ12を中心とした外乱防止手段15の回動により速度差を吸収することができる。すなわち、各記録ユニット9のそれぞれにおいて、記録媒体RMの搬送量の誤差を吸収して安定した搬送状態を得ることができる。
【0114】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、記録媒体RMの弛み量が適正範囲か否かを判別する判別センサとしての上限センサ53および下限センサ54が設けられているので、記録媒体RMの弛み量の適否を容易に判別することができる。
【0115】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、上限センサ53および下限センサ54による弛み量の判別結果が適正範囲にない場合、弛み量が適正範囲となるように、上流側に位置する記録ユニット9の搬送手段13による記録媒体RMの搬送速度を制御する制御部31が設けられているので、記録媒体RMの弛み量が常に適正範囲にあるように制御することが確実かつ容易にできる。
【0116】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、搬送手段13が、搬送ローラ12に搬送経路を介して対向しかつ搬送ローラ12に対して接離可能に設けられた搬送用圧接ローラ34を有しており、搬送ローラ12および搬送用圧接ローラ34の間に記録媒体RMを挟持して搬送可能に形成されているので、記録媒体RMをより確実に搬送することができる。
【0117】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、外乱遮断手段15が、フリクションローラ14に搬送経路を介して対向しかつフリクションローラ14に対して接離可能に設けられたフリクション用圧接ローラ44とを有しており、フリクションローラ14およびフリクション用圧接ローラ44で記録媒体RMを圧接して記録媒体RMに対して摩擦負荷を付与可能に形成されているので、下流側の記録ユニット9で発生した記録媒体RMの搬送に悪影響を及ぼす外乱が記録媒体RMを介して上流側の記録ユニット9、詳しくは記録ユニット9の搬送部位および記録部位に伝播するのをより確実かつ容易に防止することができる。その結果、記録位置の位置ずれなどが発生するのを確実に防止することができるので、高い記録品質を保持することができる。
【0118】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、搬送ローラ12に対する搬送用圧接ローラ34の圧接動作と、フリクションローラ14に対するフリクション用圧接ローラ44の圧接動作と、ラインサーマルヘッド10とプラテンローラ11との圧接動作と、外乱遮断手段15のフリクションローラ14の固定状態から自由状態への切換動作とを、この順に連動させる連動手段57が設けられているので、記録媒体RMの搬送、記録媒体導入時における記録媒体RMの弛みの形成、記録動作を適正かつ確実に制御することができる。
【0119】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、各記録ユニット9毎に連動手段57が設けられており、この連動手段57により、ヘッド接離機構32、搬送用圧接ローラ接離機構43、フリクション用圧接ローラ接離機構48およびフリクションローラ状態切換機構56のそれぞれを1つのヘッドカム用駆動モータ29の駆動力をもって連動動作させることができるので、各機構32、43、48、56を個別の駆動モータの駆動力により連動させる一般的な構成に比べて、駆動モータおよび回転伝動機構の数を削減することができる。この駆動モータおよび回転伝動機構の数の削減により、省スペース化および組み立てに要する労力の削減を容易に行うことができるので、小型化および低コスト化を図ることができる。また、各機構32、43、48、56を個別の駆動モータの駆動力により連動させる構成に必要な、各機構32、43、48、56の状態を検出するセンサを省くことができるので、低コスト化をより図ることができるとともに、各機構32、43、48、56の連動動作の安定性および信頼性を向上できる。
【0120】
すなわち、本実施形態のプリンタ1によれば、各機構32、43、48、56を個別の駆動モータの駆動力により連動制御する構成に比べて、高度な制御を必要とせず、連動手段57を設けるという簡単な構成で、各機構32、43、48、56の誤差のない確実なシーケンシャル動作を行うことができる。
【0121】
したがって、本実施形態のプリンタ1によれば、記録品質の向上および低コスト化を容易に図ることができる。
【0122】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明に係るプリンタの実施形態の記録状態における全体構成の要部を簡略化して示す概略図
【図2】記録部の第3記録ユニットに記録媒体が導入された状態の要部を示す拡大概略図
【図3】記録ユニットの記録状態における要部を示す拡大概略図
【図4】記録ユニットの記録状態における記録ヘッドの近傍の要部を示す拡大概略図
【図5】記録ユニットの記録状態における連動手段の近傍の要部を示す拡大概略図
【図6】記録ユニットの記録状態における搬送ローラの一端部の近傍の要部を異なる角度から見て示す拡大概略斜視図
【図7】図6の要部の側面図
【図8】記録ユニットの記録状態における回転伝動機構の近傍の要部を示す拡大概略図
【図9】制御部の要部を示すブロック図
【図10】記録ユニットの待機状態における要部を示すの拡大概略図
【図11】記録ユニットの待機状態における連動手段の要部を示す拡大概略図
【図12】記録ユニットの搬送ローラの直前まで記録媒体が供給された状態の要部を示す拡大概略図
【図13】記録ユニットの搬送ローラ圧接状態の要部を示す拡大概略図
【図14】記録ユニットのフリクションローラ圧接状態の要部を示す拡大概略図、図15は
【図15】記録ユニットのヘッド圧接状態の要部を示す拡大概略図
【図16】記録ユニットの外乱遮断手段の自由状態の要部を示す拡大概略図
【図17】記録ユニットの記録媒体の弛みが上限を超えた弛み過剰状態の要部を示す拡大概略図
【図18】記録ユニットの記録媒体の弛みが下限を越えたつっぱり状態の要部を示す拡大概略図
【符号の説明】
【0124】
1 プリンタ
3 供給部
4 記録部
5 排出部
6 供給ロール
9 記録ユニット
9A 第1記録ユニット
9B 第2記録ユニット
9C 第3記録ユニット
9D 第4記録ユニット
10 ラインサーマルヘッド
11 プラテンローラ
12 搬送ローラ
13 搬送手段
14 フリクションローラ
15 外乱遮断手段
16 リボンカセット
17 切断手段
18 トレイ
23 インクリボン
26 プラテン支持フレーム
28 ヘッド圧接用カム
29 ヘッドカム用駆動モータ
30 ヘッドカム軸
31 制御部
32 ヘッド接離機構
33 搬送用駆動モータ
34 搬送用圧接ローラ
35 ローラ支持フレーム
36 搬送圧接用リフトカムギア
38 第1アイドルギア
39 フリクションカム軸
42 回転伝動機構
43 搬送用圧接ローラ接離機構
44 フリクション用圧接ローラ
45 可動プレート
46 フリクション用リフトカムギア
47 第2アイドルギア
48 フリクション用圧接ローラ接離機構
49 フリクション姿勢制御カム
49a 凹部
50 カムピン
53 上限センサ
54 下限センサ
55 反射部材
56 フリクションローラ状態切換機構
57 連動手段
61 CPU
62 メモリ
RM 記録媒体
RP 記録位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺に形成された記録媒体の搬送経路に沿って複数の記録ユニットが配列されており、これらの記録ユニットには、記録ヘッドと、この記録ヘッドに前記搬送経路を介して対向しかつ前記記録ヘッドに対し相対的に接離可能に設けられたプラテンとが配設されているプリンタであって、
前記各記録ユニットが、
前記記録ヘッドを通過した前記記録媒体を下流側に搬送するために、前記記録ヘッドの下流側に配設された搬送ローラを具備する搬送手段と、
前記各記録ユニット間において、下流側で発生した記録媒体の搬送に悪影響を及ぼす外乱が前記記録媒体を介して上流側に伝播するのを遮断するために、前記搬送手段の下流側に配設されたフリクションローラを具備する外乱遮断手段とを有しており、
前記搬送手段が、前記搬送ローラに前記搬送経路を介して対向しかつ前記搬送ローラに対して接離可能に設けられた搬送用圧接ローラを有しており、前記搬送ローラおよび搬送用圧接ローラの間に前記記録媒体を挟持して搬送可能に形成されており、
前記外乱遮断手段が、隣位する前記1対の記録ユニットの間における下流側の前記記録ユニットへの前記搬送経路を確立するように形成されているとともに、前記外乱遮断手段のフリクションローラが、前記記録媒体導入時において前記搬送ローラを中心とした回動を拘束された固定状態と、下流側の前記記録ユニットへの搬送経路を形成した後に前記搬送ローラを中心として回動可能な自由状態とに切換可能に形成されており、かつ、前記外乱遮断手段が、前記フリクションローラに前記搬送経路を介して対向しかつ前記フリクションローラに対して接離可能に設けられたフリクション用圧接ローラを有しており、
前記各記録ユニットにおける前記記録ヘッドとプラテンとの圧接動作と、前記搬送ローラに対する搬送用圧接ローラの圧接動作と、前記フリクションローラに対するフリクション用圧接ローラの圧接動作と、前記外乱遮断手段のフリクションローラの固定状態から自由状態への切換動作とを、1つの駆動モータの駆動力により連動させる連動手段が設けられていることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記連動手段が、前記搬送ローラに対する搬送用圧接ローラの圧接動作と、前記フリクションローラに対するフリクション用圧接ローラの圧接動作と、前記記録ヘッドとプラテンとの圧接動作と、前記外乱遮断手段のフリクションローラの固定状態から自由状態への切換動作とをこの順に連動させるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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