説明

プリンタ

【課題】プリンタ本体ユニットに取り付けたオペレーション基板とプリンタケースに配置したオペレーションパネルを正確に位置決めできるようにしたプリンタを提案すること。
【解決手段】プリンタでは、プリンタケースの上ケース3をプリンタ本体ユニットに組み付けると、上ケース3側のオペレーションパネル7の左右に形成されているパネル側位置決め用突起7L、7Rが、プリンタ本体ユニットに取り付けた基板ホルダ9に、基板面方向に移動可能な状態で保持されているオペレーション基板8の左右の基板側位置決め用切り欠き溝8L、8Rに差し込まれる。この結果、オペレーション基板8が基板面方向に移動して、オペレーションパネル7に対して位置決めされた状態が形成される。これらの位置ずれに起因して発生するスイッチボタン操作を確実に行うことができない、LEDの点滅状態を外側から確認できない等の弊害を回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタンスイッチ操作部、LED表示部などが配列されたオペレーションパネルがプリンタケースに配置されているプリンタに関し、オペレーションパネルが形成されているプリンタケースの部分が複雑な構造とならず、オペレーションパネルとその裏面に取り付けたオペレーション基板の位置決めを正確に行うことができ、しかも、組み付け作業が簡単なプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタには、各種の設定、各種の状態表示を行うために、プリンタケースの一部にオペレーションパネルが配置されたものが知られている。オペレーションパネルの裏面側には、ボタンスイッチおよびLEDが配列されたオペレーション基板が取り付けられており、これらボタンスイッチに対応するオペレーションパネルの部位には可撓性のスイッチ操作部が形成され、LEDに対応するオペレーションパネルの部位には透明な表示窓が形成されている。特許文献1、2、3には、このようなオペレーションパネルを備えたプリンタが開示されている。
【0003】
従来においては、オペレーションパネルが配置されているプリンタケースにオペレーション基板の取付部を一体形成し、プリンタケースにオペレーション基板を取り付けた後に、プリンタケースをプリンタ本体ユニットに組み付けるようにしている。あるいは、オペレーションパネルにオペレーション基板が組み付けられたオペレーションユニットをプリンタケースに取り付けた後に、プリンタケースをプリンタ本体ユニットに組み付けるようにしている。
【0004】
この場合には、プリンタケースにオペレーションパネルおよびオペレーション基板の取付部を一体形成し、あるいは、オペレーションユニットの取付部を一体形成する必要があり、プリンタケースが複雑な構造となり、当該プリンタケースの成形金型が複雑化しコスト高になるという問題がある。また、プリンタケースに取り付けたオペレーション基板から引き出されている配線を、プリンタケースをプリンタ本体ユニットに組み付ける際にプリンタ本体ユニット側のメイン基板に接続する接続作業が必要である。したがって、組み付け作業の作業性が悪く、また、オペレーション基板から引き出されている配線を長くしておく必要がある。
【0005】
そこで、特許文献3に開示されているように、オペレーション基板をプリンタ本体ユニットの側に取り付けておくことが考えられる。このようにすれば、プリンタケースの側の形状をシンプルにすることができ、金型コストも低減できる。また、プリンタケースの組付け時にオペレーション基板の配線を行う必要がないので、組み付け作業が容易となり、オペレーション基板から引き出されている配線も短くて済む。
【特許文献1】特開平11−268376号公報
【特許文献2】特開2003−266862号公報
【特許文献3】特開平07−68899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、オペレーション基板をプリンタ本体ユニットの側に取り付ける場合には、プリンタケースの組み付け誤差、部品誤差などに起因して、オペレーションパネルとオペレーション基板を正確に位置決めすることができず、オペレーションパネルに対してオペレーション基板がその基板面方向にずれた状態になることがある。また、それらの間隔が広すぎる状態あるいは狭すぎる状態になることがある。
【0007】
オペレーションパネルがオペレーション基板に対して基板面方向にずれてしまうと、オペレーションパネルのスイッチ操作部の位置が裏面側のオペレーション基板のボタンスイッチから横方にずれた状態になるので、スイッチ操作を操作してもボタンスイッチを確実に押すことができない等の問題が発生する。また、オペレーションパネルの表示窓からLEDの点滅状態を目視することが困難になる等の問題が発生する。オペレーションパネルとオペレーション基板の間隔が広すぎる場合にも同様な問題が発生する。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、プリンタ本体ユニットに取り付けたオペレーション基板とプリンタケースに配置したオペレーションパネルを正確に位置決めできるようにしたプリンタを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のプリンタは、
少なくともボタンスイッチが配置されているオペレーション基板と、
前記ボタンスイッチの操作カバーが形成されているオペレーションパネルと、
前記オペレーション基板を、当該オペレーション基板の基板面方向に移動可能な状態で保持しているプリンタ本体ユニットと、
前記オペレーションパネルが配置されているプリンタケースと、
前記オペレーション基板に形成された基板側位置決め用係合部と、
前記オペレーションパネルに形成されており、前記プリンタケースを前記プリンタ本体ユニットに組み付けると、前記基板側位置決め部に対して前記基板面方向の側から係合した状態になるパネル側位置決め用係合部とを有していることを特徴としている。
【0010】
本発明のプリンタでは、プリンタケースをプリンタ本体ユニットに組み付けると、プリンタケース側のオペレーションパネルに形成されているパネル側位置決め用係合部が、プリンタ本体ユニットに保持されているオペレーション基板の基板側位置決め用係合部に係合する。これらは、オペレーション基板の基板面方向の側から係合するので、基板面方向に移動可能な状態でプリンタ本体ユニットに保持されているオペレーション基板が、その基板面方向に移動して、プリンタケース側のオペレーションパネルに対して正確に位置決めされる。
【0011】
ここで、前記基板側位置決め用係合部および前記パネル側位置決め用係合部としては、それらの一方を前記基板面方向に直交する方向に突出している係合突起とし、それらの他方を、当該係合突起を差込可能な係合溝あるいは係合穴とすることができる。
【0012】
この場合、前記係合突起と前記係合溝あるいは係合穴を、前記基板面方向における直交する二方向から係合した状態になるようにすることが望ましい。
【0013】
次に、前記プリンタ本体ユニットに基板ホルダを取り付け、当該基板ホルダによって、前記オペレーション基板を前記基板面方向に移動可能な状態で保持する構成を採用することができる。
【0014】
この場合には、前記基板ホルダに、前記オペレーション基板を保持している基板保持面と、前記オペレーション基板が当該基板保持面から浮き上がらないように保持している保持爪とを配置し、前記基板保持面に直交する方向から、前記オペレーション基板を当該基板保持面に押し込むと、当該基板保持面と前記保持爪の間に前記オペレーション基板が挟まれた状態が形成されるようにすれば、基板ホルダに対するオペレーション基板の取り付けを簡単に行うことができる。
【0015】
また、前記基板ホルダにホルダ側当接部を形成し、前記オペレーションパネルに、前記プリンタケースを前記プリンタ本体ユニットに組み付けると前記ホルダ側当接部に押し付けられた状態になるパネル側当接部を形成しておくことが望ましい。このようにすれば、前記パネル側当接部と前記ホルダ側当接部の当接により、前記オペレーションパネルと前記基板ホルダに保持されている前記オペレーション基板の間隔を正確に規定することができる。すなわち、プリンタケースをプリンタ本体ユニットに組み付けると、プリンタケースの側に配置されているオペレーションパネルのパネル側当接部が、プリンタ本体ユニットに取り付けられている基板ホルダのホルダ側当接部に押し付けられた状態になる。オペレーションパネルのパネル側当接部によって基板ホルダが強制的に押し付けられるので、オペレーションパネルに予めオペレーション基板を取り付けておいた場合と同様な状態が形成される。よって、プリンタケース側のオペレーションパネルとプリンタ本体ユニット側のオペレーション基板との間隔を精度良く規定できる。
【0016】
この場合には、前記基板ホルダに、前記プリンタ本体ユニットに固定されている固定部と、この固定部から片持ち状態で突出している基板保持部とを形成し、この基板保持部に前記基板保持面および前記保持爪を形成し、この基板保持部の先端側の部位に前記ホルダ側当接部を形成しておくことが望ましい。片持ち状態で張り出している基板保持部が容易に変位して、パネル側当接部とホルダ側当接部が過剰な押圧力で押し付けられた状態に陥ることを回避できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のプリンタでは、プリンタケースをプリンタ本体ユニットに組み付けると、プリンタケース側のオペレーションパネルに形成されているパネル側位置決め用係合部が、プリンタ本体ユニットに保持されているオペレーション基板の基板側位置決め用係合部に係合する。これらは、オペレーション基板の基板面方向の側から係合するので、基板面方向に移動可能な状態でプリンタ本体ユニットに保持されているオペレーション基板が、その基板面方向に移動して、プリンタケース側のオペレーションパネルに対して正確に位置決めされる。したがって、これらが相対的に位置ずれした状態に組み付けられてスイッチボタン操作を確実に行うことができない、LEDなどの表示ランプの点滅状態が外側から確認することが困難になる等の弊害の発生を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したプリンタの実施の形態を説明する。
【0019】
図1は本実施の形態に係るプリンタを示す外観斜視図であり、プリンタ1は、例えば単票紙、連続紙などの記録紙にドットインパクトヘッドを用いて印字を行うインパクトプリンタである。プリンタ1のプリンタケース2は、上ケース3と下ケース4から構成されており、プリンタケース2の前面には、記録紙をプリンタ1の前側からプリンタ内部に向けて水平に案内するための水平用紙ガイド5が取り付けられている。水平用紙ガイド5の上側には透明な円弧状の開閉カバー6が取り付けられている。これらプリンタケース2、水平用紙ガイド5および開閉カバー6はプラスチック成形品である。
【0020】
上ケース3における前側に傾斜している円弧状の上端部分の右側部位には、横長の長方形のオペレーションパネル7が配置されている。オペレーションパネル7は上ケース3に一体成形されているが、オペレーションパネル7を別部材として成形し、これを上ケース3に取り付けた構造でもよい。また、オペレーションパネル7の形状は横長の長方形以外の形状であってもよい。
【0021】
図2は、上ケース3を取り外した状態のプリンタ1を示す分解斜視図であり、この図においては水平用紙ガイド5および開閉カバー6を省略してある。プリンタケース2によって覆われているプリンタ本体ユニット10は例えば次のような構造となっている。勿論、これ以外の構造のものであってもよい。すなわち、プリンタ本体ユニット10は、板金製の装置フレーム11と、装置フレーム11の左右の側板部分12、13の間に水平に掛け渡したキャリッジガイド14と、このキャリッジガイド14に沿って左右に往復移動するヘッドキャリッジ15を備えており、ヘッドキャリッジ15には下向き状態でドットインパクトヘッド16が搭載されている。
【0022】
例えば、水平用紙ガイド5によって前方から送り込まれ記録紙は搬送ローラ17によってドットインパクトヘッド16の印字位置を経由する水平な経路に沿って後方に送り込まれながら印字が行われる。印字後は再び前方に送り出されて、再び水平用紙ガイド5に沿って前方に排出される。また、連続紙は、プリンタ1の後側からドットインパクトヘッド16の印字位置に送り込まれ、順次に前方に送り出されて水平用紙ガイド5に沿って前方に排出される。
【0023】
図3(a)および(b)は、オペレーションパネル7が形成されている部分を示す部分拡大横断面図および部分拡大縦断面図である。図1ないし図3を参照して説明すると、上ケース3のオペレーションパネル7の裏面には一定の間隔で、横長の長方形をしたオペレーション基板8が対峙している。オペレーション基板8の形状は横長の長方形以外の形状であってもよい。オペレーション基板8は、その基板面方向(基板長辺方向および基板短辺方向)に移動可能な状態で、プラスチック成形品である基板ホルダ9に保持されている。基板ホルダ9はプリンタ本体ユニット10の装置フレーム11に固定されている。
【0024】
オペレーション基板8には、各種の設定を行うためのボタンスイッチ、例えば4個のボタンスイッチ21〜24と、各種の状態を表示するための複数のLED、例えば6個のLED25〜30が搭載されている。オペレーションパネル7には、ボタンスイッチ21〜24に対峙する部位に外側に突出している可撓性のスイッチ操作部31〜34と、LED25〜30に対峙する部位に透明な表示窓35〜40が形成されている。また、オペレーション基板8には配線用のフレキシブルフラットケーブル18の一端が接続されている。フレキシブルフラットケーブル18の他方の端は装置フレーム11の側に搭載されているメイン基板19の側に接続されている。
【0025】
ここで、図3(a)、(b)から分かるように、上ケース3をプリンタ本体ユニット10に組み付けた状態においては、上ケース3側のオペレーションパネル7に形成した左右のパネル側位置決め用突起7L、7Rが、プリンタ本体ユニット10側のオペレーション基板8に形成した左右の基板側位置決め用切り欠き溝8L、8Rに差し込まれた状態となる。これらパネル側位置決め用突起7L、7Rと、基板側位置決め用切り欠き溝8L、8Rとは、オペレーション基板8の基板長辺方向および基板短辺方向の二方向から係合し、これによって、オペレーションパネル7に対するオペレーション基板8の基板面方向の位置が正確に規定されるようになっている。なお、位置決め用の突起をオペレーション基板8の側に形成し、この突起が差し込まれる位置決め用の盲穴をオペレーションパネル7の裏面に形成しておくことも可能である。
【0026】
これに加えて、上ケース3側のオペレーションパネル7に形成した間隔規定用のリブ71(パネル側当接部)が、プリンタ本体ユニット10側に取り付けられている基板ホルダ9に形成した間隔規定用の前側枠板部分91(ホルダ側当接部)に押し付けられた状態となっている。これらリブ71および前側枠板部分91が当接することによって、オペレーションパネル7と、基板ホルダ9に保持されているオペレーション基板8との間隔が正確に規定されている。
【0027】
図3〜図6を参照して、オペレーションパネル7、オペレーション基板8および基板ホルダ9の構造を詳細に説明する。
【0028】
図4(a)は上ケース3を裏面側から見た場合の斜視図であり、図4(b)は当該上ケース3の裏面におけるオペレーションパネル7が形成されている部分を示す拡大部分斜視図である。図3および図4を参照して説明すると、オペレーションパネル7は、上ケース3に一体成形した横長の長方形の平板状のものであり、その平坦な裏面70には、4個のスイッチ操作部用の円形凹部31a〜34aと、6個のLED表示窓用の円形凹部35a〜40aが形成されている。また、その前側の長辺縁に沿って一定の間隔で、複数枚、本例では5枚の三角形状をした一定厚さのリブ71が垂直に起立している。さらに、その長辺方向の両側の部位には、パネル側位置決め用突起7L、7Rが裏面70から垂直に突出している。これらの突起7L、7Rは十字状断面形状をしており、先端部分は先細り形状をしている。また、パネル長辺方向の内方を向いている長辺側垂直係合面701L、701Rと、パネル短辺方向の両側に形成された短辺側垂直係合面702L、703Lおよび702R、703Rとを備えている。
【0029】
図5はプリンタ本体ユニット10の側に搭載されている基板ホルダ9およびオペレーション基板8を示す斜視図であり、図6はこれらの分解斜視図である。図3、図5および図6を参照して説明すると、オペレーション基板8は横長の長方形をした一定厚さの基板であり、その表面80には、先に述べたように、4個のボタンスイッチ21〜24と、6個のLED25〜30が搭載されている。また、オペレーション基板8にはコネクタ81が搭載されており、ここから後方に向けて配線用のフレキシブルフラットケーブル18が引き出されている。コネクタ81の側方の部位には、左右一対の差込穴82が形成されており、ここに、基板接地用の導電性板ばね83(図5参照)が差し込み固定されている。
【0030】
さらに、オペレーション基板8の前側の長辺縁には、後方に切り込むことにより形成した所定深さの基板ガイド溝84が形成されており、この基板ガイド溝84が付いている側が前側の長辺縁であることが分かるようになっている。さらには、オペレーション基板8の左右の短辺縁は矩形に切り込まれて、基板側位置決め用切り欠き溝8L、8Rが形成されている。各切り欠き溝8L、8Rは、基板長辺方向の外方を向いている長辺側係合端面801L、801Rと、基板短辺方向の両側に形成された短辺側係合端面802L、803Lおよび802R、803Rとを備えている。
【0031】
一方、基板ホルダ9は、装置フレーム11の側に固定された固定部9Aと、この固定部9Aの前面から前方に片持ち状態で張り出している基板保持部9Bとを備えている。基板保持部9Bは、底板部分90と、この底板部分90の前縁および左右の側縁から起立している前側枠板部分91、左側枠板部分92および右側枠板部分93とを備えている。オペレーション基板8は、これら前側枠板部分91、左側枠板部分92および右側枠板部分93によって囲まれる部位に上側から装着されている。基板ホルダ9の底板部分90には複数の箇所に基板保持用突起95ないし102が形成されており、これら上端に形成した基板保持面95a〜102aによって、オペレーション基板8はオペレーションパネル7に平行な姿勢となるように保持されている。
【0032】
基板保持用突起99〜102の基板保持面99a〜102aの後端に連続して上方に傾斜した傾斜面99b〜102bが形成されている。また、前側枠板部分91には3箇所に保持爪104〜106が形成され、底板部分90から起立している左右の起立板107、108の上端部分にも保持爪107a、108aが形成されている。上側から基板保持面95a〜102aに載せたオペレーション基板8は、これらの前後の保持爪104〜106、107aおよび108aによって、当該基板保持面95a〜102aから浮き上がらないように保持されている。
【0033】
オペレーション基板8を基板ホルダ9に取り付ける場合には、オペレーション基板8を基板保持面95a〜102aの上方から当該基板保持面95a〜102aに押し込めばよい。この際に、基板ホルダ9の底板部分90の前側枠板部分91に形成されているガイド用突起109にオペレーション基板8の基板ガイド溝84が入るように位置決めし、オペレーション基板8の前縁部分を保持爪104〜106の下側に差し込み、この状態で、オペレーション基板8の後側の縁部を押し込む。この押し込み動作によって、後側の保持爪107a、108aが一時的に後方に押されて、オペレーション基板8の後側の縁部が保持爪107aおよび108aの下側に嵌め込まれる。これにより、オペレーション基板8が基板保持面95a〜102aに保持された状態が形成される。
【0034】
ここで、前側の保持爪104〜106と後側の保持爪107a、108aの間隔は、オペレーション基板8の短辺方向の寸法よりも僅かに広い。同様に、基板ホルダ9の左側枠板部分92および右側枠板部分93の間隔もオペレーション基板8の長辺方向の寸法よりも僅かに広い。したがって、基板ホルダ9に保持されたオペレーション基板8は、その基板短辺方向および基板長辺方向に僅かに移動可能な状態となっている。
【0035】
上ケース3をプリンタ本体ユニット10に組み付けると、上ケース3に形成されているオペレーションパネル7の左右のパネル側位置決め用突起7L、7Rが、プリンタ本体ユニット10側の基板ホルダ9によって保持されているオペレーション基板8の左右の基板側位置決め用切り欠き溝8L、8Rに差し込まれる。先細り形状のパネル側位置決め用突起7L、7Rによって、オペレーション基板8はその基板面方向(基板短辺方向および基板長辺方向)に押されて移動し、オペレーションパネル7に対する基板面方向の位置決めがなされる。
【0036】
すなわち、パネル側位置決め用突起7L、7Rの長辺側垂直係合面701L、701Rと、基板側位置決め用切り欠き溝8L、8Rの長辺側係合端面801L、801Rとの係合により、オペレーション基板8の長辺方向の位置決めがなされる。同様に、突起7L、7Rの短辺側垂直係合面702L、703Lおよび702R、703Rと、切り欠き溝8L、8Rの短辺側係合端面802L、803Lおよび802R、803Rとの係合により、オペレーション基板8の短辺方向の位置決めがなされる。
【0037】
なお、本例では、オペレーション基板8の前側の長辺縁には、凹凸部85、86が形成され、当該長辺縁と基板ホルダ9の前側枠板部分91とが、これら凹凸部85、86の部位のみで接触した状態となっている。したがって、これらの間の摺動抵抗が少ないので、オペレーション基板8の基板長辺方向の位置決めがスムーズに行われる。
【0038】
一方、上ケース3に形成したオペレーションパネル7と、プリンタ本体ユニット10の側のオペレーション基板8との間隔は、オペレーションパネル7のリブ71が基板ホルダ9の前側枠板部分91に押し付けられることにより規定される。すなわち、図3(b)に示すように、プリンタ本体ユニット10に上ケース3を組み付けると、リブ71の下端面71aが基板ホルダ9の前側枠板部分91の上端面91aに上側から押し付けられた状態が必ず形成されるように、リブ71の突出量および前側枠板部分91の突出量が設定されている。
【0039】
この結果、上ケース3をプリンタ本体ユニット10に組み付けると、リブ71が所定の押圧力で前側枠板部分91に押し付けられた状態が形成され、オペレーションパネル7と基板ホルダ9の間隔が、これらリブ71および前側枠板部分91によって規定される。よって、基板ホルダ9に保持されているオペレーション基板8とオペレーションパネル7の間隔が規定される。ここで、前側枠板部分91は基板ホルダ9における片持ち状態で前方に張り出している基板保持部9Bの前端部に形成されている。したがって、前側枠板部分91とリブ71の間の押圧力が過剰となる場合には、当該片持ち状態の基板保持部9Bの前端側の部位が容易に下側に変位して、これらの間の押圧力が所定値以下に抑制される。よって、オペレーションパネル7の部分、あるいは、基板ホルダ9の部分に過剰な力が加わった状態になることを回避できる。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態に係るプリンタ1においては、プリンタ本体ユニット10の側に取り付けられているオペレーション基板8を、オペレーションパネル7が形成されている上ケース3の裏面部分に予め取り付けられている場合と同様な精度で、オペレーションパネル7に対して正確に位置決めできる。
【0041】
また、オペレーション基板8がプリンタ本体ユニット10の側に搭載されているので、上ケース3の側にオペレーション基板8を取り付けるための取付部を形成しておく必要がない。よって、上ケース3のオペレーションパネル形成部分の構造をシンプルにすることができ、成形金型のコスト低減化に有利である。
【0042】
さらに、オペレーションパネル7が形成されている上ケース3をプリンタ本体ユニット10に組み付ける際には、オペレーション基板8から引き出されているフレキシブルフラットケーブル18をプリンタ本体ユニット10の側のメイン基板19に接続する配線作業が不要である。よって、上ケース3の組み付け作業の作業性を改善でき、フレキシブルフラットケーブル18の長さも短くて済む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を適用したプリンタの外観斜視図である。
【図2】上ケースを組み付ける前の状態を示す分解斜視図である。
【図3】オペレーションパネルが形成されている部位の部分拡大断面図である。
【図4】上ケースの裏面を示す斜視図およびオペレーションパネルを示す部分拡大斜視図である。
【図5】プリンタ本体ユニット側のオペレーション基板および基板ホルダの斜視図である。
【図6】オペレーション基板および基板ホルダの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 プリンタ、2 プリンタケース、3 上ケース、4 下ケース、5 水平用紙ガイド、6 開閉カバー、7 オペレーションパネル、7L,7R パネル側位置決め用突起、701L,701R 長辺側垂直係合面、702L,703L,702R,703R 短辺側垂直係合面、8 オペレーション基板、8L,8R 基板側位置決め用切り欠き溝、801L,801R 長辺側係合端面、802L,803L,802R,803R 短辺側係合端面、9 基板ホルダ、9A 固定部、9B 基板保持部、10 プリンタ本体ユニット、11 装置フレーム、12,13 側板部分、14 キャリッジガイド、15 ヘッドキャリッジ、16 ドットインパクトヘッド、17 搬送ローラ、18 フレキシブルフラットケーブル、19 メイン基板、21〜24 ボタンスイッチ、25〜30 LED、31〜34 スイッチ操作部、35〜40 表示窓、70 裏面、71 リブ、71a 下端面、71a 下端面、80 表面、81 コネクタ、82 差込穴、83 導電性板ばね、84 基板ガイド溝、90 底板部分、91 前側枠板部分、91a 上端面92 左側枠板部分、93 右側枠板部分、95a〜102a 基板保持面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともボタンスイッチが配置されているオペレーション基板と、
前記ボタンスイッチの操作カバーが形成されているオペレーションパネルと、
前記オペレーション基板を、当該オペレーション基板の基板面方向に移動可能な状態で保持しているプリンタ本体ユニットと、
前記オペレーションパネルが配置されているプリンタケースと、
前記オペレーション基板に形成された基板側位置決め用係合部と、
前記オペレーションパネルに形成されており、前記プリンタケースを前記プリンタ本体ユニットに組み付けると、前記基板側位置決め部に対して前記基板面方向の側から係合した状態になるパネル側位置決め用係合部とを有していることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記基板側位置決め用係合部および前記パネル側位置決め用係合部は、それらの一方が前記基板面方向に直交する方向に突出している係合突起であり、それらの他方が当該係合突起を差込可能な係合溝あるいは係合穴であることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタにおいて、
前記係合突起と前記係合溝あるいは係合穴とは、前記基板面方向における直交する二方向から係合した状態になることを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記プリンタ本体ユニットに取り付けた基板ホルダを有し、
当該基板ホルダによって、前記オペレーション基板が前記基板面方向に移動可能な状態で保持されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項4に記載のプリンタにおいて、
前記基板ホルダは、前記オペレーション基板を保持している基板保持面と、前記オペレーション基板が当該基板保持面から浮き上がらないように保持している保持爪とを備え、
前記基板保持面に直交する方向から、前記オペレーション基板を当該基板保持面に押し込むと、当該基板保持面と前記保持爪の間に前記オペレーション基板が挟まれた状態が形成されるようになっていることを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
請求項4に記載のプリンタにおいて、
前記基板ホルダに形成されているホルダ側当接部と、
前記オペレーションパネルに形成され、前記プリンタケースを前記プリンタ本体ユニットに組み付けると前記ホルダ側当接部に押し付けられた状態になるパネル側当接部とを有し、
前記パネル側当接部と前記ホルダ側当接部の当接により、前記オペレーションパネルと前記基板ホルダに保持されている前記オペレーション基板の間隔が規定されることを特徴とするプリンタ。
【請求項7】
請求項6に記載のプリンタにおいて、
前記基板ホルダは、前記プリンタ本体ユニットに固定されている固定部と、この固定部から片持ち状態で突出している基板保持部とを備え、
この基板保持部には前記基板保持面および前記保持爪が形成されており、
この基板保持部の先端側の部位には前記ホルダ側当接部が形成されていることを特徴とするプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−230014(P2008−230014A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72034(P2007−72034)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】