説明

プリンタ

【課題】二種類のロール紙への対応を簡単な構造で実現することができ、しかも、使用するロール紙の切り替えを手軽にできるようにする。
【解決手段】第1のロール紙(例えば、ラベル用紙)の筒状に形成された紙管に挿入させて当該第1のロール紙を保持する用紙保持軸107を設け、この用紙保持軸107に保持された第1のロール紙をその上方位置から引き出して所定の案内経路111に沿って案内搬送し、その過程で印字部108によって印字を行なうという基本構成を備えた上で、第1のロール紙よりも小径の第2のロール紙(例えば、レシート用紙21)を保持する用紙保持体151を用紙保持軸107に着脱自在に装着できるようにし、用紙保持体151が保持する第2のロール紙を案内経路111に引き出して案内経路111に沿って案内搬送し、その過程で印字部108によって印字を行なうことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のロール紙(例えば、ラベル用紙)とこの第1のロール紙よりも小径の第2のロール紙との選択的な装着が可能で、それらの第1のロール紙と第2のロール紙との二種類のロール紙に対応可能なプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1のロール紙と第2のロール紙との二種類のロール紙に対応可能なプリンタが提案されている(特許文献1参照)。このプリンタは、二種類のロール紙ユニット(10A、10B)及び二種類の印字機構ユニット(50A、50B)を選択的に装着できるように構成されている(段落0027、0028参照)。そして、装着するロール紙ユニットと印字機構ユニットとの組合せによって、通常のロール紙とラベル用紙とを使い分けることができるようになっている(段落0029〜0042参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−341371公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているロール紙ユニット(10A、10B)は、通常のロール紙の使用とラベル用紙の使用とにそれぞれ適した独自構造を有しており、その上、フレームの開閉機構及びプラテンローラ等をも搭載する大掛かりな構造のものである。しかも、二種類のロール紙ユニット(10A、10B)と二種類の印字機構ユニット(50A、50B)との組合せも予め決められており、その入れ替えは手軽にできない。このため、例えば通常のロール紙を使用してレシートを印字している最中、一時的にラベル用紙も使用してラベルを印字発行するというような気軽な使い方ができない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、二種類のロール紙への対応を簡単な構造で実現することができ、しかも、使用するロール紙の切り替え作業を手軽にできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリンタは、ロール状に巻回された第1のロール紙(例えば、長尺状の台紙に複数のラベルを貼付したラベル用紙)の筒状に形成された紙管に挿入させて当該第1のロール紙を保持する用紙保持軸と、この用紙保持軸に保持される第1のロール紙をその上方位置から引き出して所定の案内経路に沿って案内搬送する搬送部と、前記案内経路を案内搬送される前記第1のロール紙に対して印字データに基づく印字を行なう印字部と、を備え、第1のロール紙よりも小径にロール状に巻回された第2のロール紙(例えば、レシート用紙)を保持する用紙保持体を設け、前記用紙保持軸の上方でこの用紙保持軸に保持された第1のロール紙の仮想的な専有領域であって前記案内経路に引き出し自在な位置に第2のロール紙を位置付けて前記用紙保持体を着脱自在に取り付ける取付部を設けた。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通常状態では第1のロール紙を使用してこの第1のロール紙に印字を行なうことができ、取付部によって用紙保持体を取り付けることで第2のロール紙を使用してこの第2のロール紙に印字を行なうことができ、したがって、二種類のロール紙への対応を用紙保持体及び取付部という簡単な構造で実現することができ、しかも、使用するロール紙の切り替え作業を用紙保持体を着脱するだけの手軽さで行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の一形態を図1ないし図6に基づいて説明する。
【0009】
図1は、用紙保持軸107にラベル用紙11(第1のロール紙)が装着されてラベル用紙11が使用可能となっている状態を示すプリンタ101の概略的な縦断側面図である。本実施の形態のプリンタ101は、そのハウジング102の内部にユニットとしてのスライドユニット103を備えている。スライドユニット103は、基本的には第1のロール紙としてのラベル用紙11に対して印字を行なうための構造物を搭載するユニットであり、このユニットが搭載している構造物は、選択的に、第2のロール紙としてのレシート用紙21(図3参照)に対しても印字を行なうことができるように構成されている。このようなスライドユニット103の詳細については後述する。
【0010】
ハウジング102は、その正面側(図1中の左側)に開閉自在のフロントパネル104を備えている。フロントパネル104が開かれると、ハウジング102はその正面側に開口部105を露出させる。このようなハウジング102の底部には、一対のレール106が固定されている。これらのレール106は、開口部105から奥側に向けて延びるように平行に配列されており、スライドユニット103をスライド自在に保持している。スライドユニット103は、レール106をスライドすることによって開口部105からハウジング102の外部まで引き出し可能である。
【0011】
本実施の形態のプリンタ101に用いるラベル用紙11は、ロール状に巻回されたロール紙である。ラベル用紙11は、複数枚のラベル12を長尺状の台紙13に一定間隔で貼付し、これを紙管14に巻き付けてロール状に巻回した構造のものである。ラベル12には、加熱によって発色する感熱ラベルが用いられている。このようなラベル用紙11は、上述したスライドユニット103に保持され、スライドユニット103のスライド移動に応じてハウジング102に収納された状態と開口部105から外部に引き出された状態とに移動自在である。
【0012】
ここで、スライドユニット103について説明する。スライドユニット103は、ラベル用紙11を保持する用紙保持軸107と、ラベル用紙11が有するラベル12に印字を行なう印字部108と、ラベル用紙11が有する台紙13を巻き取る台紙巻取り軸109とを備えている。これらの各部(用紙保持軸107、印字部108、台紙巻取り軸109)は、スライドユニット103が有している側壁103aに片持ち状態で取り付けられている。また、スライドユニット103は、ラベル用紙11の台紙13を鋭角に屈曲させる剥離部110を有している。この剥離部110は、用紙保持軸107から台紙巻取り軸109に至るラベル用紙11の案内経路111において、印字部108の下流側近傍に配置され、ラベル用紙11の台紙13の経路のみを鋭角に屈曲させて台紙13を台紙巻取り軸109に導く。そして、剥離部110は、台紙13を鋭角に屈曲させることで、印字済みのラベル12を台紙13から剥離させ、フロントパネル104に形成した発行口IPから発行させる役割を担っている。更に、スライドユニット103は、剥離部110と発行口IPとの間に位置させて、オートカッタ112を有している。このオートカッタ112は、ラベル用紙11を用いる限りは使用されることがないのに対して、前述したように、レシート用紙21を用いる場合、レシート用紙21の印字済み部分を切断して発行口IPから発行する役割を担っている。
【0013】
スライドユニット103に設けられている用紙保持軸107は、スライドユニット103の側壁103aに水平に突出させて片持ち状態で取り付けられているパイプ状部材である。この用紙保持軸107には、ラベル用紙11の紙管14が差し込まれてラベル用紙11が保持される。
【0014】
図2は、用紙保持軸107の斜視図である。図2に示すように、用紙保持軸107は、その上部が平坦面107aとなっている。平坦面107aは、用紙保持軸107の軸心方向全長に渡り形成されている。また、用紙保持軸107は、左右に一対の溝107bを有している。これらの溝107bも、用紙保持軸107の軸心方向全長に渡り形成されている。
【0015】
図1を再び参照する。スライドユニット103に設けられている印字部108は、案内経路111を介して対向配置されているプラテンローラ113とサーマルヘッド114とによって構成されている。プラテンローラ113は案内経路111の下方位置、サーマルヘッド114は案内経路111の上方位置にそれぞれ配置されている。プラテンローラ113は、図示しないモータに駆動されて回転し、案内経路111に位置するラベル用紙11に搬送力を付与する。サーマルヘッド114は、ライン型のサーマルプリントヘッドであり、案内経路111を介してプラテンローラ113に当接している。この当接力は、プラテンローラ113の回転によるラベル用紙11の搬送に貢献している。このため、プラテンローラ113及びサーマルヘッド114からなる印字部108は、ラベル用紙11を案内経路111に沿って案内搬送する搬送部を構成する。
【0016】
スライドユニット103に設けられている台紙巻取り軸109は、スライドユニット103の側壁103aに片持ち状態で取り付けられている。そして、台紙巻取り軸109は、剥離部110を通過したラベル用紙11のうち、台紙13のみを巻き取る。剥離部110及び台紙巻取り軸109は、この台紙巻取り軸109が台紙13を巻き取ることによって剥離部110の部分で台紙13を鋭角に屈曲させ得るように配列されている。
【0017】
図3は、用紙保持軸107にレシート用紙21(第2のロール紙)を収納保持する用紙保持体151が装着されてレシート用紙21が使用可能となっている状態を示すプリンタ101の概略的な縦断側面図である。図3に示す使用態様では、用紙保持軸107にラベル用紙11が装着されていない。用紙保持軸107には、ラベル用紙11に代えて、用紙保持体151が着脱自在に装着されている。用紙保持体151は、レシート用紙21を投げ込み方式で収納保持する。用紙保持体151を用紙保持軸107に着脱自在に取り付けているのは、取付部152である。取付部152は、断面が非真円形状に形成されて一端が自由端となった用紙保持軸107の外周形状及び支持構造と、用紙保持体151に設けられ、用紙保持軸107にその自由端側からスライド自在に装着される装着部153とによって形成されている。
【0018】
本実施のプリンタ101に用いる第2のロール紙としてのレシート用紙21は、第1のロール紙であるラベル用紙11よりも小径にロール状に巻回されている。より詳細には、レシート用紙21はラベル用紙11の直径の半分以下の直径に巻回されている。そして、ラベル用紙11には紙管14が設けられているのに対して、レシート用紙21は紙管レスである。
【0019】
図4は、用紙保持体151の斜視図である。図4に示すように、用紙保持体151は、その上方にホッパ154を有している。ホッパ154は、レシート用紙21を投げ込み方式で収納保持し、収納保持したレシート用紙21を案内経路111に引き出すことができるよう、底面が湾曲形状に形成されている。ホッパ154は、レシート用紙21を回転可能な状態で、ロール状に巻回されたレシート用紙21の外周を支える。
【0020】
ここで重要なことは、用紙保持体151が収納保持するレシート用紙21の配置位置である。図3に示すように、レシート用紙21は、用紙保持軸107の上方であって、この用紙保持軸107に保持される第1のロール紙であるラベル用紙11の仮想的な専有領域(図3中、Aで示す)に位置付けられる。更に、レシート用紙21は、レシート用紙21の上方位置から案内経路111に引き出し自在な位置に位置付けられる。このようなレシート用紙21の配置が可能であるのは、レシート用紙21がラベル用紙11の直径の半分以下の直径に巻回されていること、レシート用紙21を支えるホッパ154の底面と取付部152間の長さを調節した用紙保持体151を用意することができるからである。こうして、レシート用紙21は案内経路111に引き出され、この案内経路111を案内搬送される。これにより、ラベル用紙11に印字を行なう印字部108等の各部を共用してレシート用紙21にも印字を行なうことができる。
【0021】
用紙保持体151が有する装着部153は、用紙保持軸107の平坦面107aに接触する平坦底面153aと、用紙保持軸107の溝107bに嵌合する一対のリブ153bとを有している。したがって、用紙保持軸107の平坦面107aに平坦底面153aを位置合わせし、溝107bにリブ153bを位置合わせし、この状態のまま用紙保持体151を押し込むと、装着部153は用紙保持軸107をスライド移動し、用紙保持軸107に用紙保持体151が装着される。この際、平坦面107aに対する平坦底面153aの接合、及び、一対の溝107bに対する一対のリブ153bの嵌合によって、用紙保持体151は回り止めされた状態で用紙保持軸107に取り付けられる。そして、用紙保持軸107から用紙保持体151を取り外すには、用紙保持体151を引っ張るという簡単な作業をするだけでよい。これにより、装着部153が用紙保持軸107をスライド移動し、用紙保持体151を簡単に取り外すことができる。
【0022】
図5は、用紙保持軸107にラベル用紙11(第1のロール紙)が装着された状態のスライドユニット103(基本ユニット115)の斜視図である。図5では、スライドユニット103中の基本ユニット115のみを示しており、印字部108及び剥離部110を省略している。これらの印字部108及び剥離部110は、図5に示す基本ユニット115に取り付けられる印字ユニット(図示せず)に設けられている。
【0023】
基本ユニット115は、フレーム構造体116に用紙保持軸107及び台紙巻取り軸109が取り付けられて構成されている。フレーム構造体116は、底部を構成する底部フレーム117の一側方に、側部を構成する側部フレーム118が固定され、L字形状をなしている。
【0024】
底部フレーム117は、その両端が下方に回り込むように二箇所直角に屈曲され、レール106に固定されている。つまり、レール106は、ハウジング102の側に固定される固定レール106aと、この固定レール106aに対してスライド自在に取り付けられた移動レール106bとを有している。そして、移動レール106bにフレーム構造体116の底部フレーム117が固定されることで、フレーム構造体116を基本とするスライドユニット103(基本ユニット115)がハウジング102に対してスライド自在に取り付けられているわけである。
【0025】
側部フレーム118は、その一面に側壁103aを有し、この側壁103aの側で用紙保持軸107及び台紙巻取り軸109を片持ち状態で支持している。図5中、底部フレーム117と側部フレーム118との連絡部分に位置させてモータ(図示せず)を収納するモータハウジング119が示されている。このモータハウジング119に収納されたモータは、台紙巻取り軸109の動力源であり、台紙巻取り軸109に回転駆動力を付与する。モータの回転駆動力は、側壁103aの裏面側に配列されている動力伝達系(図示せず)を介して台紙巻取り軸109に伝達される。
【0026】
ここで、図5及び後述する図6に、図1及び図3には示さなかったスライドユニット103が有している押え部161を示す。押え部161は、用紙保持軸107に択一的に保持されたラベル用紙11と用紙保持体151とを択一的に押え付けることができる構造を有している。
【0027】
押え部161についてより詳細に説明する。側部フレーム118の右側上端位置には、用紙保持軸107及び台紙巻取り軸109と同一方向に突出させて支持体162が固定されている。この支持体162は、断面コの字形に形成され、上片と下片とによってアーム163を回動自在に支持している。これにより、アーム163は、垂直軸を中心として回動し、その自由端を側壁103aに近接離反させる。そこで、そのようなアーム163の自由端には、用紙保持軸107に択一的に保持されたラベル用紙11と用紙保持体151とを択一的に押え付ける押え片164が垂直軸周りに回動自在に取り付けられている。この押え片164は、全体を図示しない螺子165の締め付けによってアーム163に位置固定されるように構成されている。更に、支持体162の根元側とアーム163との間にはコイルバネ166が掛け渡され、アーム163を側壁103aに近接する方向に付勢している。
【0028】
図6は、用紙保持軸107にレシート用紙21(第2のロール紙)を収納保持する用紙保持体151が装着された状態のスライドユニット103(基本ユニット115)の斜視図である。押え部161では、押え片164の配置位置が重要である。つまり、押え片164は、用紙保持体151の仮想的な配置領域上で用紙保持軸107の軸方向に移動自在に配置されている。したがって、押え部161は、その押え片164によって、用紙保持軸107に装着されたラベル用紙11の側面を押えることができ、かつ、用紙保持軸107に装着された用紙保持体151の側面を押えることができるように構成されている。
【0029】
こうして構成された本実施の形態のプリンタ101は、商用電源から給電され、ハウジング102に内蔵された図示しないマイクロコンピュータによって各部が駆動制御されることで印字動作を実行する。
【0030】
このような構成において、用紙保持軸107にラベル用紙11が装着されている場合(図1、図5参照)、プラテンローラ113が回転駆動されることによりラベル用紙11が案内経路111を案内搬送され、案内経路111を介してプラテンローラ113に当接するサーマルヘッド114によってラベル用紙11のラベル12に印字データに基づく印字が行なわれる。これと同時に、モータ(図示せず)からの動力が台紙巻取り軸109に伝達され、ラベル用紙11の一部をなす台紙13は台紙巻取り軸109に巻き取られる。そして、剥離部110で鋭角に屈曲された台紙13から印字済みのラベル12が剥離され、剥離されたラベル12は発行口IPから発行される。
【0031】
これに対して、用紙保持軸107に用紙保持体151が装着されている場合(図2、図6参照)、プラテンローラ113が回転駆動されることにより用紙保持体151のホッパ154に収納保持されているレシート用紙21が案内経路111を案内搬送され、案内経路111を介してプラテンローラ113に当接するサーマルヘッド114によってレシート用紙21に印字データに基づく印字が行なわれる。レシート用紙21の印字済み部分は、オートカッタ112によって切断されて発行口IPから発行される。
【0032】
ここで、レシート用紙21を使用する場合、用紙保持軸107にラベル用紙11が装着済みである場合にはラベル用紙11を用紙保持軸107から取り外し、用紙保持軸107に用紙保持体151を装着する。そして、用紙保持体151のホッパ154にレシート用紙21を投げ込み方式で収納保持し、収納保持したレシート用紙21を案内経路111に引き出し、プラテンローラ113とサーマルヘッド114との間を通し、オートカッタ112を通し、発行口IPから外部に引き出す。これにより、レシート用紙21に対する印字が可能となる。この際、用紙保持体151を用紙保持軸107に取り付ける取付部152は、用紙保持軸107の上方でこの用紙保持軸107に保持されるラベル用紙11の仮想的な専有領域A(図3参照)であって、案内経路111に引き出し自在な位置にレシート用紙21を位置付ける。これにより、ラベル用紙11とレシート用紙21とで、印字部108等の各部を共用して用い、印字を行なうことができる。
【0033】
このように、本実施の形態のプリンタ101によれば、通常状態ではラベル用紙11(第1のロール紙)を使用してこのラベル用紙11に印字を行なうことができ、取付部152によって用紙保持体151を用紙保持軸107に取り付けることでレシート用紙21(第2のロール紙)を使用してこのレシート用紙21に印字を行なうことができる。したがって、二種類のロール紙(ラベル用紙11、レシート用紙21)への対応を用紙保持体151及び取付部152という簡単な構造を採用するだけで実現することができ、しかも、使用するロール紙の切り替え作業を用紙保持軸107に対して用紙保持体151を着脱するだけの手軽さで行なうことができる。
【0034】
また、取付部152は、用紙保持体151を用紙保持軸107に対して着脱自在に取り付けるので、プリンタ本体側に用紙保持体151を支持するための別途の構造物を設ける必要性をなくすことができ、構造の簡略化を図ることができる。
【0035】
また、取付部152は、断面が非真円形状に形成されて一端が自由端となった用紙保持軸107と、用紙保持体151に設けられ、用紙保持軸107にその自由端側からスライド自在に装着される装着部153とによって形成されているので、用紙保持軸107に取り付けた用紙保持体151の回り止めを容易に行なうことができる。しかも、用紙保持軸107に対して装着部153を押し込んだり引き出したりするだけという簡単な作業で用紙保持体151を容易に装脱することができ、その作業の容易化を図ることができる。
【0036】
また、押え部161によって、用紙保持軸107に装着されたラベル用紙11と用紙保持軸107に装着された用紙保持体151とを択一的に押えることができ、部品の共用化による部品点数の削減及び構造の簡略化を図ることができる。
【0037】
ここで、図7及び図8に基づいて用紙保持体151の変形例について説明する。
【0038】
図7は、用紙保持体151の変形例を示す斜視図である。図1ないし図6に基づいて説明した上記実施の一形態である用紙保持体151は、ホッパ154による投げ込み方式でのレシート用紙21の保持方式を採用しているのに対して、本変形例は、レシート用紙21を回転自在に軸支する保持方式を採用する。つまり、本変形例では、図1ないし図6に基づいて説明した上記実施の一形態である用紙保持体151が有していたホッパ154に代えて、レシート用紙21を収納する収納部155を有している。この収納部155は、用紙保持軸107の軸方向に離間配置される一対の側壁156によって画されている。一対の側壁156には、それぞれ、軸保持溝157が形成されており、これらの軸保持溝157には用紙支持軸158が回転自在かつ着脱自在に装着可能となっている。用紙支持軸158は、紙管レスのレシート用紙21の中心部に生じている空間(図示せず)に圧入可能な径に形成されている。そこで、レシート用紙21の中心部に生じている空間に圧入した用紙支持軸158を一対の軸保持溝157に挿入することで、用紙保持体151にレシート用紙21が回転自在に装着される。
【0039】
図8は、用紙保持軸107に図7に示す用紙保持体151が装着されてレシート用紙21が使用可能となっている状態を示すプリンタ101の概略的な縦断側面図である。図8に示すように、用紙保持体151は、この用紙保持体151に装着されたレシート用紙21が最大径の状態で、収納部155の底部に外周面が僅かな隙間を空けて対面するように形成されている。そして、この状態のとき、軸保持溝157に装着される用紙支持軸158の中心位置は、用紙保持体151に保持されたレシート用紙21の引き出し位置が、用紙保持軸107に保持されたラベル用紙11の引き出し位置と略一致するような位置に定められている。
【0040】
したがって、図7及び図8に示す本変形例では、プラテンローラ113の回転によってレシート用紙21が引っ張られると、このレシート用紙21に圧入されて軸保持溝157に挿入された用紙支持軸158が回転することで、レシート用紙21の引き出しが許容されることになる。
【0041】
なお、実施に際しては、本発明の技術的思想の範囲内において、各種の変形や改良等が許容される。例えば、用紙保持体151を用紙保持軸107に取り付けるようにしたのに対して、実施に際しては、例えば側壁103a等に用紙保持体151を保持するための構造を設け、この構造によって用紙保持体151を着脱自在に取り付けるようにしてもよい。あるいは、図7及び図8に示す変形例において、収納部155はホッパ154を共用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の一形態として、用紙保持軸にラベル用紙(第1のロール紙)が装着されてラベル用紙が使用可能となっている状態を示すプリンタの概略的な縦断側面図である。
【図2】用紙保持軸の斜視図である。
【図3】用紙保持軸にレシート用紙(第2のロール紙)を収納保持する用紙保持体が装着されてレシート用紙が使用可能となっている状態を示すプリンタの概略的な縦断側面図である。
【図4】用紙保持体の斜視図である。
【図5】用紙保持軸にラベル用紙(第1のロール紙)が装着された状態のスライドユニット(基本ユニット)の斜視図である。
【図6】用紙保持軸にレシート用紙(第2のロール紙)を収納保持する用紙保持体が装着された状態のスライドユニット(基本ユニット)の斜視図である。
【図7】用紙保持体の変形例を示す斜視図である。
【図8】用紙保持軸に図7に示す用紙保持体が装着されてレシート用紙が使用可能となっている状態を示すプリンタの概略的な縦断側面図である。
【符号の説明】
【0043】
11…ラベル用紙(第1のロール紙)、12…ラベル、13…台紙、14…紙管、21…レシート用紙(第2のロール紙)、107…用紙保持軸、108…印字部(搬送部)、109…台紙巻取り軸、110…剥離部、111…案内経路、151…用紙保持体、152…取付部、153…装着部、154…ホッパ、161…押え部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回された第1のロール紙の筒状に形成された紙管に挿入させて当該第1のロール紙を保持する用紙保持軸と、
前記用紙保持軸に保持された第1のロール紙を引き出して所定の案内経路に沿って案内搬送する搬送部と、
前記案内経路を案内搬送される前記第1のロール紙に対して印字データに基づく印字を行なう印字部と、
第1のロール紙よりも小径にロール状に巻回された第2のロール紙を回転可能な状態で保持する用紙保持体と、
前記用紙保持軸の上方でこの用紙保持軸に保持される第1のロール紙の仮想的な専有領域であって前記案内経路に引き出し自在な位置に第2のロール紙を位置付けて前記用紙保持体を着脱自在に取り付ける取付部と、
を備えるプリンタ。
【請求項2】
前記用紙保持体は、回転可能な状態で前記第2のロール紙の外周を支え受ける、請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記取付部は、前記用紙保持体を前記用紙保持軸に対して着脱自在に取り付ける、請求項1又は2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記取付部は、
断面が非真円形状に形成されて一端が自由端となった前記用紙保持軸と、
前記用紙保持体に設けられ、前記用紙保持軸にその自由端側からスライド自在に装着される装着部と、
によって形成されている、請求項3記載のプリンタ。
【請求項5】
前記用紙保持体の仮想的な配置領域上で前記用紙保持軸の軸方向に移動自在であり、前記用紙保持軸に択一的に保持された第1のロール紙と前記用紙保持体とを択一的に押え付ける押え部を備える、請求項4記載のプリンタ。
【請求項6】
前記用紙保持体は、第2のロール紙を収納保持するホッパを備える、請求項1ないし5のいずれか一記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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