説明

プリンタ

【課題】本発明は、上蓋部と印字ユニットとを一連の作業で開くことができると共に、インクリボンの交換時に印字ユニット対して閉じる方向の力が作用しても、上蓋部が閉じられることがないプリンタを提供することを課題とする。
【解決手段】上蓋部30を本体20に対して所定の位置で支持すると共に、上蓋部30を閉じると上蓋部30の支持を解除する上蓋部ストッパ34と、印字ユニット40を上蓋部30よりも小さい角度で本体20に対して支持すると共に、印字ユニット40を閉じると印字ユニット40の支持を解除するユニットストッパ44と、上蓋部30に印字ユニット40が嵌装された嵌装状態で上蓋部30と印字ユニット40とを連結する連結部材35とを設け、上蓋部30および印字ユニット40が閉じられた状態では、連結部材35によって上蓋部30と印字ユニット40とが連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドを用いて印字を行うプリンタに関し、インクリボンと被印字媒体とを重ねてプラテンローラとサーマルヘッドとの間に挟持搬送することで、インクリボンから被印字媒体にインクを転写させて印字を行うプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラテンローラとサーマルヘッドとの間に、ラベル連続体やタグ連続体等の被印字媒体と、リボン巻取り軸およびリボン供給軸に架け渡されたインクリボンとを重ねて挟持搬送することで、被印字媒体に所定の印字情報を印字するプリンタにおいて、サーマルヘッド、リボン巻取り軸およびリボン供給軸を備えた印字ユニットを、本体と上蓋部との間に配置すると共に、上蓋部と印字ユニットとを支持軸17によって回動自在に支持し、上蓋部と印字ユニットとを開くことで、被印字媒体やインクリボンの交換を可能にしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般的に、この種のプリンタでは、インクリボンの交換、すなわちリボン巻取り軸とリボン供給軸との間にサーマルヘッドを経由して新たなインクリボンを架け渡す際には、印字ユニットを上蓋部よりも小さい角度で、すなわち印字ユニットの上下に作業空間を確保したリボン交換状態に支持する必要があるため、上蓋部と印字ユニットとをそれぞれ異なる支持機構で支持するように構成する必要がある。
【0004】
しかしながら、従来技術では、上蓋部と印字ユニットとをそれぞれ異なる支持機構で支持するため、上蓋部および印字ユニットを開く際に、上蓋部と印字ユニットとを個別に開く必要があり、作業が繁雑になるという問題点があった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−81729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、本体に対して上蓋部と印字ユニットとを一連の作業で開くことができると共に、印字ユニットを上蓋部よりも小さい角度でそれぞれを独立して支持したリボン交換状態から上蓋部を閉じる一連の作業で上蓋部と印字ユニットを本体に対して閉めることができるプリンタを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、プラテンローラとサーマルヘッドとの間に、被印字媒体と、リボン巻取り軸およびリボン供給軸に架け渡されたインクリボンとを重ねて挟持搬送することで印字を行うと共に、前記サーマルヘッド、前記リボン巻取り軸および前記リボン供給軸を備えた印字ユニットが、本体と、当該本体の上部を覆う上蓋部との間に配置され、前記上蓋部と前記印字ユニットとを同一の支持軸によって回動自在に支持し、前記上蓋部と前記印字ユニットとを開くことで、前記被印字媒体や前記インクリボンの交換を行うプリンタであって、前記上蓋部を前記本体に対して所定の位置で支持すると共に、前記上蓋部に対して閉じる方向の力を作用させることで、前記上蓋部の支持を解除する上蓋部支持手段と、前記印字ユニットを前記上蓋部よりも小さい角度で前記本体に対して支持すると共に、前記印字ユニットに対して閉じる方向の力を作用させることで、前記印字ユニットの支持を解除する印字ユニット支持手段と、前記上蓋部に前記印字ユニットが嵌装された嵌装状態で前記上蓋部と前記印字ユニットとを連結する連結手段とを具備し、
前記上蓋部および前記印字ユニットが閉じられた状態では、前記連結手段によって前記上蓋部と前記印字ユニットとが連結されることを特徴とするプリンタに存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、前記連結手段は、前記上蓋部および前記印字ユニットが開けられた状態で、前記上蓋部から前記印字ユニットが引き出されると、前記上蓋部と前記印字ユニットとの連結を解消することを特徴とする請求項1記載のプリンタに存する。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記上蓋部支持手段は、一端部が前記上蓋部に固定されていると共に、解放端側が前記本体に形成されている開口に挿通され、解放端側から一端部側に向かって同一の幅で形成されたスリットによって、前記開口の縁部に当接することで前記上蓋部を支持する上蓋部ストッパが形成された弾性を有する第1片と、第2片とに分割された円弧状部材であり、前記印字ユニット支持手段は、一端部が前記印字ユニットに固定されていると共に、解放端側が前記本体に形成されている開口に挿通され、解放端側から一端部側に向かって同一の幅で形成されたスリットによって、前記開口の縁部に当接することで前記印字ユニットを支持するユニットストッパが形成された弾性を有する第1片と、第2片とに分割された円弧状部材であることを特徴とする請求項1又は2記載のプリンタに存する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のプリンタは、上蓋部を本体に対して所定の位置で支持すると共に、上蓋部に対して閉じる方向の力を作用させることで、上蓋部の支持を解除する上蓋部支持手段と、印字ユニットを上蓋部よりも小さい角度で本体に対して支持すると共に、印字ユニットに対して閉じる方向の力を作用させることで、印字ユニットの支持を解除する印字ユニット支持手段と、上蓋部に印字ユニットが嵌装された嵌装状態で上蓋部と印字ユニットとを連結する連結手段とを設け、上蓋部および印字ユニットが閉じられた状態では、連結手段によって上蓋部と印字ユニットとが連結されるように構成することにより、上蓋部を開くだけで、上蓋部に嵌装された印字ユニットも同時に開くことができるため、本体に対して上蓋部と印字ユニットとを一連の作業で開くことができると共に、印字ユニット支持手段は、印字ユニットに対して閉じる方向の力が作用されると、印字ユニットの支持を解除するようになっているため、印字ユニットを上蓋部よりも小さい角度でそれぞれを独立して支持したリボン交換状態から上蓋部を閉じる一連の作業で上蓋部と印字ユニットを本体に対して閉めることができるという効果を奏する。
【0009】
さらに、本発明のプリンタは、上蓋部および印字ユニットが開けられた状態で、上蓋部から印字ユニットが引き出されると、連結手段による上蓋部と印字ユニットとの連結が解消されるように構成することにより、上蓋部から印字ユニットを引き出すという簡単な操作で、印字ユニットが印字ユニット支持手段によって支持される状態に移行させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係るプリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図であり、図2は、本発明に係るプリンタの実施の形態の閉状態を示す外観斜視図であり、図3は、本発明に係るプリンタの実施の形態のリボン交換状態を示す外観斜視図であり、図4は、図3に示す上蓋部ガイドプレートおよび印字ユニットガイドプレートの構成を示す概略斜視図であり、図5は、図3に示す上蓋部ガイドプレートおよび印字ユニットガイドプレートの動作を説明するための説明図であり、図6は、図2に示す閉状態における印字ユニットの構成を示す概略側面図であり、図7は、図3に示すリボン交換状態における印字ユニットの構成を示す概略側面図である。
【0012】
本実施の形態のプリンタ10は、図1を参照すると、印字部として、プラテンローラ11と、複数の発熱体が幅方向に形成されている面(以下、印字面と称す)がプラテンローラ11に対向するように配置されたサーマルヘッド12とを有し、複数枚のラベルが帯状台紙に仮着されているラベル連続体等の被印字媒体1とインクリボン2とを重ねてプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に挟持搬送し、サーマルヘッド12の発熱体を選択的に発熱させることにより、被印字媒体1にインクリボン2からインクを転写させて印字を施すように構成されている。
【0013】
被印字媒体1は、紙管等の筒状体にロール状に巻き回された状態、すなわちロール紙3として供給部13に回転可能に支持(収容)され、供給部13からプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給される。また、インクリボン2は、プラテンローラ11に連動して回転駆動されるリボン巻取り軸14とリボン供給軸15との間に架け渡され、リボン供給軸15にロール状に巻き回された状態で支持されたインクリボン2が、プラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に被印字媒体1と共に供給され、転写後のインクリボン2が、リボン巻取り軸14によって巻き取られるようになっている。
【0014】
また、プリンタ10は、プラテンローラ11および供給部13を備え、上部が解放された本体20と、本体20の上部を覆う上蓋部30と、サーマルヘッド12、リボン巻取り軸14およびリボン供給軸15を備え、本体20と上蓋部30との間に配置された印字ユニット40とからなり、上蓋部30と印字ユニット40とは、印字済みの被印字媒体が排出される排出口16が設けられている手前側から開くように構成されており、本体20の奥側に設けられている支持軸17によって、回動自在に支持されている。
【0015】
図2は、上蓋部30が閉じられた閉状態のプリンタ10が示されており、閉状態では、印字ユニット40が本体20と上蓋部30とに挟まれて位置決めされ、図1に示すように、印字ユニット40に備えられたサーマルヘッド12が本体に備えられたプラテンローラ11に押し当てられて位置決めされる。なお、印字ユニット40は、上蓋部30に嵌脱可能に構成されており、図2に示す閉状態において、印字ユニット40は、上蓋部30に嵌装された嵌装状態となっている。
【0016】
図3は、印字ユニット40を上蓋部30よりも小さい角度で、すなわち印字ユニット40の上下に作業空間を確保した状態で印字ユニット40と上蓋部30とを独立して支持したリボン交換状態のプリンタ10が示されており、上蓋部30は、上蓋部30を図3に示すリボン交換状態に支持する機能を有する上蓋部ガイドプレート31によってガイドされながら開閉されるように構成されている。上蓋部ガイドプレート31は、図4(a)を参照すると、支持軸17を中心とする円弧状部材であり、一端部が上蓋部30に固定されていると共に、解放端側が本体20に形成されている開口21に挿通され、解放端側の先端部には、開口21の縁部の裏面側に当接することで、上蓋部30が開く角度を規制する鍔部32が形成されている。
【0017】
また、上蓋部ガイドプレート31は、解放端側から上蓋部30に固定された一端部側に向かって同一の幅で形成されたスリット33によって、第1片31aと、第2片31bとに分割され、第1片31aが内側に向かって、すなわちスリット33を挟んで対向している第2片31bの方向に向かって、弾性を有して撓むことができるようになっている。また、第1片31aの外側、すなわちスリット33を挟んで第2片31bと対向している面の反対面には、上蓋部ストッパ34が突出して形成されている。従って、上蓋部30が本体20に対して所定の角度以上開かれると、上蓋部ストッパ34が開口21から引き出され、上蓋部ストッパ34が開口21の縁部の表面側に弾性を有して当接することで、上蓋部30が図3に示すリボン交換状態に、本体20に対して所定の角度で支持できるようになっていると共に、上蓋部30に閉じる方向の力が作用すると、第1片31aが開口21の縁部から押されて内側に撓んで、上蓋部ストッパ34と開口21の縁部との当接が解除されるようになっている。
【0018】
一方、印字ユニット40は、図3を参照すると、一方端が支持軸17に支持されたアーム部41の解放端側に、リボン巻取り軸14およびリボン供給軸15が回転可能にそれぞれ架け渡される右リボンフレーム45と左リボンフレーム46とが設けられており、上蓋部30に対して独立して回動させることができるようになっている。なお、上蓋部30には、印字ユニット40に弾性を有して当接することで、印字ユニット40を嵌装状態に維持、すなわち嵌装状態で上蓋部30と印字ユニット40とを連結する連結部材35が設けられている。図2に示す閉状態、すなわち上蓋部30および印字ユニット40が閉じられた状態では、印字ユニット40が上蓋部30に嵌装された嵌装状態となっており、連結部材35によって上蓋部30と印字ユニット40とが連結されており、図2に示す閉状態から上蓋部30を開く際には、上蓋部30と印字ユニット40とが連結され、印字ユニット40も嵌装状態で上蓋部30と共に回動され、その後に、上蓋部30から印字ユニット40を引き出すことで、引き出された印字ユニット40は、印字ユニットガイドプレート42によって、印字ユニット40を上蓋部30よりも小さい角度で、すなわち印字ユニット40の上下に作業空間を確保した状態で印字ユニット40と上蓋部30とを独立したリボン交換状態に支持される。
【0019】
印字ユニットガイドプレート42は、図4(b)を参照すると、支持軸17を中心とする円弧状部材であり、一端部がアーム部41に固定されていると共に、解放端側が本体20に形成されている開口21に挿通されている。印字ユニットガイドプレート42は、解放端側からアーム部41に固定された一端部側に向かって同一の幅で形成されたスリット43によって、第1片42aと、第2片42bとに分割され、第1片42aが内側に向かって、すなわちスリット43を挟んで対向している第2片42bの方向に向かって、弾性を有して撓むことができるようになっている。また、第1片42aの外側、すなわちスリット43を挟んで第2片42bと対向している面の反対面には、ユニットストッパ44が突出して形成されている。従って、印字ユニット40は、ユニットストッパ44が開口21の縁部の表面側に弾性を有して当接することで、印字ユニットガイドプレート42のユニットストッパ44によって上蓋部30が本体20に対して支持される角度よりも小さい角度で、図3に示すように上蓋部30から引き出して独立した状態、すなわち上下に作業空間を確保した状態に本体20に対して支持されるようになっていると共に、印字ユニット40に閉じる方向の力が作用すると、第1片42aが開口21の縁部から押されて内側に撓んで、ユニットストッパ44と開口21の縁部との当接が解除されるようになっている。なお、図4(b)では、印字ユニットガイドプレート42の解放端側が第1片42aと第2片42bと分断されているが、ユニットストッパ44が形成されている第1片42aの箇所が内側に向かって撓んで、開口21の縁部との当接を解除することが可能であれば、解放端側の第1片42aと第2片42bとが連設されていても良い。
【0020】
図5(a)には、上蓋部ストッパ34が開口21から引き出されて開口21の縁部の表面側に弾性を有して当接することで、上蓋部30に印字ユニット40が嵌装された嵌装状態で、上蓋部30が支持され、供給部13の上方が解放されてロール紙3の交換を行うことができる用紙交換状態が示されており、印字ユニット40は、ユニットストッパ44が開口21の縁部の表面側に当接していないが、連結部材35によって上蓋部30に嵌装された状態で維持、すなわち上蓋部30と印字ユニット40とが連結されている。
【0021】
図5(b)には、上蓋部ストッパ34が開口21から引き出されて開口21の縁部の表面側に弾性を有して当接することで、上蓋部30が支持されていると共に、ユニットストッパ44が開口21の縁部の表面側に弾性を有して当接することで、印字ユニット40を上蓋部30よりも小さい角度で支持され、印字ユニット40の上下に作業空間を確保した状態で印字ユニット40と上蓋部30とを独立したリボン交換状態に支持されている。
【0022】
また、印字ユニット40は、図6を参照すると、右リボンフレーム45および左リボンフレーム46と垂直な方向に架け渡された調整軸47と当該調整軸47に取り付けられている偏心部材48とからなるヘッド圧調整手段を備えている。右リボンフレーム45には、リボン巻取り軸14、リボン供給軸15および調整軸47にそれぞれ対応する箇所に、リボン巻取り軸14、リボン供給軸15および調整軸47を操作する貫通孔がそれぞれ形成されている。左リボンフレーム46には、プラテンローラ11と共に回転駆動される伝達ギヤ22に対して図2に示す閉状態において咬合される図示しない被伝達ギヤと、被伝達ギヤからリボン巻取り軸14に回転駆動力を伝達するギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達機構が設けられている。
【0023】
ヘッドハウジング60は、リボン巻取り軸14およびリボン供給軸15の下方に組み付けられており、リボン供給軸15からプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給されるインクリボン2を案内するガイド面として機能する下面を有している。また、ヘッドハウジング60は、サーマルヘッド12(形成されている発熱体)よりも被印字媒体1の搬送方向上流側に設けられた図示しない回動軸に対して、サーマルヘッド12を印字面に対して略垂直な方向に移動可能に枢設されていると共に、ヘッドハウジング60には、サーマルヘッド12が固着されており、サーマルヘッド12の印字面の反対面側には、ヘッドハウジング60を印字ユニット40に組み付けた際に、後述するヘッド圧調整手段に当接する押圧部材61が、印字面に対して垂直な方向に移動可能に支持されており、サーマルヘッド12と押圧部材61との間には、バネ62が介装されている。これにより、ヘッドハウジング60に固着されているサーマルヘッド12が、バネ62の付勢力によってプラテンローラ11に押圧されるようになっている。
【0024】
組み付けられているヘッドハウジング60の上方、すなわち押圧部材61側には、調整軸47と偏心部材48とからなるヘッド圧調整手段が設けられており、調整軸47を回動させて偏心部材48を押圧部材61に当接されることで、ヘッドハウジング60における押圧部材61の位置を制御して、サーマルヘッド12がプラテンローラ11に押圧される力、すなわちヘッド圧を調整することができるようになっている。
【0025】
また、印字ユニット40には、リボン供給軸15の下方を覆うリボンカバー50が設けられており、リボンカバー50は、リボン供給軸15よりも奥側、すなわちアーム部41側に配置され、右リボンフレーム45および左リボンフレーム46と垂直な回動軸51によって、回動自在に支持されている。
【0026】
リボンカバー50は、上蓋部30が閉じられた閉状態、すなわち印字ユニット40が上蓋部30に嵌装された嵌装状態では、図6を参照すると、リボンカバー50の回動軸51を挟んだ被当接端53に、上蓋部30に設けられた当接部材36が当接することにより、リボンカバー50が閉じられた状態となり、ヘッドハウジング60の下面とリボンカバー50の上面との間隙が、リボン供給軸15からサーマルヘッド12に供給されるインクリボン2の挿通路52となり、リボンカバー50の下面が、供給部13からサーマルヘッド12に供給される被印字媒体1を上側から案内するガイド板として機能するように構成されている。
【0027】
リボンカバー50は、図3に示すように、上蓋部30と印字ユニット40とをそれぞれ独立して回動させたリボン交換状態では、被当接端53と上蓋部30に設けられた当接部材36との当接が解除されると共に、リボンカバー50と本体20との当接が解除されるため、リボンカバー50は、自重によって、ヘッドハウジング60の下面から離れる方向に回動され、図7に示すように、挿通路52が大きく拡がるようになっている。
【0028】
次に、本実施の形態における印字ユニット40へのインクリボン2の装着動作について図8および図9を参照して詳細に説明する。
図8は、本発明に係るプリンタの実施の形態における印字ユニットへのインクリボンの装着動作を説明するための説明図であり、図9は、図3に示す印字ユニットを上方側から見た平面図である。
【0029】
ロール紙3やインクリボン2の交換に際し、まず、上蓋部30を図2に示す閉状態から上蓋部ストッパ34によって支持されるまで開けると、図6に示すように、連結部材35によって印字ユニット40も嵌装が維持、すなわち上蓋部30と印字ユニット40とが連結された状態で、上蓋部30と共に回動されて、上蓋部30に印字ユニット40が嵌装された嵌装状態で、上蓋部30が支持された用紙交換状態になるため、供給部13(本体20)の上方が解放され、ロール紙3の交換作業を行うことが可能になる。なお、本実施の形態では、バネによって連結部材35が印字ユニット40に弾性を有して当接するように構成したが、連結部材35自体をゴム等の弾性を有する材質で構成しても良い。さらに、連結部材35を上蓋部30に設けるように構成したが、連結部材35を印字ユニット40に設け、印字ユニット40が上蓋部30に弾性を有して当接することで、上蓋部30と印字ユニット40とを連結するようにしても良い。
【0030】
次に、嵌装状態の印字ユニット40を上蓋部30から引き出すことで、連結部材35と上蓋部30との当接が解消、すなわち連結部材35による上蓋部30と印字ユニット40との連結が解消され、印字ユニット40を閉じる方向に移動させることが可能になり、ユニットストッパ44が開口21の縁部の表面側に当接するまで印字ユニット40を閉じる方向に移動させる。これにより、ユニットストッパ44が開口21の縁部の表面側に弾性を有して当接し、印字ユニット40は、印字ユニットガイドプレート42のユニットストッパ44によって上蓋部30が支持される角度よりも小さい角度で、図3に示すように上蓋部30から引き出して印字ユニット40と上蓋部30とを独立して支持したリボン交換状態、すなわち上下に作業空間を確保した状態に支持される。
【0031】
リボン交換状態においては、ヘッドハウジング60の下面から離れる方向にリボンカバー50が回動され、挿通路52、すなわちヘッドハウジング60の下面とリボンカバー50の上面との間隙は、少なくとも供給スプール軸4および巻取りスプール軸5の直径よりも大きく拡がるようになっており、未使用のインクリボン2が引き出された供給スプール軸4を供給スプール軸装着部15aから取り外し、図7に矢印で示すように、供給スプール軸4を大きく拡がった挿通路52を通し、転写後のインクリボン2が巻き取られている巻取りスプール軸5を巻取りスプール軸装着部14aから取り外す。
【0032】
インクリボン2は、図8(a)に示すように、未使用のインクリボン2を巻付けてある紙管等の筒状体からなる供給スプール軸4と、転写後のインクリボン2を巻取る紙管等の筒状体からなる巻取りスプール軸5とに架け渡されて提供される。図9(a)を参照すると、リボン巻取り軸14には、巻取りスプール軸5を軸方向から挟持する巻取りスプール軸装着部14aが、リボン供給軸15には、供給スプール軸4を軸方向から挟持する供給スプール軸装着部15aがそれぞれ設けられており、図9(b)に示すように、巻取りスプール軸5が巻取りスプール軸装着部14aにリボン巻取り軸14として装着されると共に、供給スプール軸4が供給スプール軸装着部15aにリボン供給軸15として装着されるように構成されている。
【0033】
次に、供給スプール軸4の巻き回されている新品のインクリボン2を用意し、図8(a)に矢印で示すように、巻取りスプール軸5を大きく拡がった挿通路52に通し、図8(b)に矢印で示すように、インクリボン2がサーマルヘッド12の印字面を経由するように、巻取りスプール軸5をリボン巻取り軸14として巻取りスプール軸装着部14aに、供給スプール軸4をリボン供給軸15として供給スプール軸装着部15aにそれぞれ装着し、リボン巻取り軸14やリボン供給軸15を回転させることによって、インクリボン2の弛みを解消する。
【0034】
なお、リボン交換状態においては、インクリボン2の取り外しや装着に際し、印字ユニット40を閉じる方向の力が作用する場合も想定されるが、本実施の形態では、仮に、印字ユニット40を閉じる方向の力が作用することで、ユニットストッパ44と開口21の縁部との当接が解除され、印字ユニット40が閉じてしまっても、上蓋部30は、上蓋部ストッパ34によって支持されているため、上蓋部30によって手が挟まれてしまうことがない。
【0035】
また、使用中のインクリボン2に皺等の何らかの障害や、印字色の変更等が生じた場合には、供給スプール軸4に未使用のインクリボン2が、巻取りスプール軸5に転写済みのインクリボン2がそれぞれ巻き回された状態で、交換作業が行われることがあり、この場合には、未使用のインクリボン2が巻き回されている供給スプール軸4もしくは転写済みのインクリボン2が巻き回されている巻取りスプール軸5を、大きく拡がった挿通路52に通す必要がある。そこで、リボン交換状態において、挿通路52、すなわちヘッドハウジング60の下面とリボンカバー50の上面との間隙を、少なくともインクリボン2を半分使用した状態の供給スプール軸4および巻取りスプール軸5の巻き径よりも広くなるように設定し、インクリボン2を半分使用した状態の供給スプール軸4および巻取りスプール軸5を挿通路52通すことができるように構成するとより好適である。
【0036】
次に、印字ユニット40および上蓋部30を閉じて図2に示す閉状態に移行させる。印字ユニット40および上蓋部30は、開口21の縁部の表面側に弾性を有して当接しているユニットストッパ44および上蓋部ストッパ34によって個別にそれぞれ支持されており、印字ユニット40に閉じる方向に力を作用されると、開口21の縁部から印字ユニットガイドプレート42の第1片42aが押されて撓むことで、開口21の縁部とユニットストッパ44との当接が解除され、上蓋部30に閉じる方向に力を作用されると、開口21の縁部から上蓋部ガイドプレート31の第1片31aが押されて撓むことで、開口21の縁部と上蓋部ストッパ34との当接が解除される。従って、印字ユニット40および上蓋部30を閉じて図2に示す閉状態に移行させる際の手順は任意であり、印字ユニット40を閉じた後に、上蓋部30を閉じるようにしても良く、また、上蓋部30を閉じることで、印字ユニット40に閉じる方向に力を作用させて上蓋部30と印字ユニット40を一緒に閉じるようにしても良い。
【0037】
図2に示す閉状態に移行されると、印字ユニット40は、上蓋部30に嵌装された嵌装状態となり、図6に示すように、リボンカバー50の回動軸51を挟んだ被当接端53に、上蓋部30に設けられた当接部材36が当接することにより、リボンカバー50が閉じられた状態となり、ヘッドハウジング60の下面とリボンカバー50の上面との間隙が、リボン供給軸15からサーマルヘッド12に供給されるインクリボン2の挿通路52となり、リボンカバー50の下面が、供給部13からサーマルヘッド12に供給される被印字媒体1を上側から案内するガイド板として機能する。なお、印字ユニット40を上蓋部30に嵌装させることなく、印字ユニット40を本体20に降ろした場合にも、リボンカバー50が本体20に当接することで、リボンカバー50が閉じられた状態となる。
【0038】
図10は、図6に示す連結部材35の他の実施の形態の構成を示す概略斜視図である。
本実施の形態では、連結部材35が印字ユニット40に弾性を有して当接することで、印字ユニット40と上蓋部30とを嵌装状態で連結するように構成したが、図10に示すように、可撓性を有する樹脂等の材質で構成されたフック35aを連結部材35として上蓋部30に設けると共に、印字ユニット40が上蓋部30に嵌装された嵌装状態でフック35aに係止される被係止部49を印字ユニット40に設け、印字ユニット40が上蓋部30に嵌装された嵌装状態では、上蓋部30に設けたフック35aによって印字ユニット40に設けた被係止部49を係止することで、上蓋部30と印字ユニット40とを連結し、嵌装状態の印字ユニット40が上蓋部30から引き出されると、フック35aが撓むことで、フック35aによる被係止部49の係止が解消、すなわち上蓋部30と印字ユニット40との連結が解消されるようにしても良い。なお、フック35aおよび被係止部49の形状や設置場所は、任意であり、また、フック35aを印字ユニット40に、被係止部49を上蓋部30にそれぞれ設けるようにしても良い。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態によれば、上蓋部30を本体20に対して所定の位置で支持すると共に、上蓋部30に対して閉じる方向の力を作用させることで、上蓋部30の支持を解除する上蓋部ストッパ34(上蓋部ガイドプレート31)と、印字ユニット40を上蓋部30よりも小さい角度で本体20に対して支持すると共に、印字ユニット40に対して閉じる方向の力を作用させることで、印字ユニット40の支持を解除するユニットストッパ44(印字ユニットガイドプレート42)と、上蓋部30に印字ユニット40が嵌装された嵌装状態で上蓋部30と印字ユニット40とを連結する連結部材35とを設け、上蓋部30および印字ユニット40が閉じられた状態では、連結部材35によって上蓋部30と印字ユニット40とが連結されるように構成することにより、上蓋部30を開くだけで、上蓋部30に嵌装された印字ユニット40も同時に開くことができるため、本体20に対して上蓋部30と印字ユニット40とを一連の作業で開くことができると共に、ユニットストッパ44は、印字ユニット40に対して閉じる方向の力が作用されると、印字ユニット40の支持を解除するようになっているため、印字ユニット40を上蓋部30よりも小さい角度でそれぞれを独立して支持したリボン交換状態から上蓋部30を閉じる一連の作業で上蓋部30と印字ユニット40を本体20に対して閉めることができるという効果を奏する。
【0040】
さらに、本実施の形態によれば、上蓋部30および印字ユニット40が開けられた状態で、上蓋部30から印字ユニット40が引き出されると、連結部材35による上蓋部30と印字ユニット40との連結が解消されるように構成することにより、上蓋部30から印字ユニット40を引き出すという簡単な操作で、印字ユニット40をユニットストッパ44(印字ユニットガイドプレート42)によって支持される状態に移行させることができるという効果を奏する。
【0041】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るプリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図である。
【図2】本発明に係るプリンタの実施の形態の閉状態を示す外観斜視図である。
【図3】本発明に係るプリンタの実施の形態のリボン交換状態を示す外観斜視図である。
【図4】図3に示す上蓋部ガイドプレートおよび印字ユニットガイドプレートの構成を示す概略斜視図である。
【図5】図3に示す上蓋部ガイドプレートおよび印字ユニットガイドプレートの動作を説明するための説明図である。
【図6】図2に示す閉状態における印字ユニットの構成を示す概略側面図である。
【図7】図3に示すリボン交換状態における印字ユニットの構成を示す概略側面図である。
【図8】本発明に係るプリンタの実施の形態における印字ユニットへのインクリボンの装着動作を説明するための説明図である。
【図9】図3に示す印字ユニットを上方側から見た平面図である。
【図10】図6に示す連結部材の他の実施の形態の構成を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 被印字媒体
2 インクリボン
3 ロール紙
4 供給スプール軸
5 巻取りスプール軸
10 プリンタ
11 プラテンローラ
12 サーマルヘッド
13 供給部
14 リボン巻取り軸
14a 巻取りスプール軸装着部
15 リボン供給軸
15a 供給スプール軸装着部
16 排出口
17 支持軸
20 本体
21 開口
22 伝達ギヤ
30 上蓋部
31 上蓋部ガイドプレート(上蓋部支持手段)
31a 第1片
31b 第2片
32 鍔部
33 スリット
34 上蓋部ストッパ(上蓋部支持手段)
35 連結部材(連結手段)
35a フック(連結手段)
36 当接部材
40 印字ユニット
41 アーム部
42 印字ユニットガイドプレート(印字ユニット支持手段)
42a 第1片
42b 第2片
43 スリット
44 ユニットストッパ(印字ユニット支持手段)
45 右リボンフレーム
46 左リボンフレーム
47 調整軸
48 偏心部材
49 被係止部
50 リボンカバー
51 回動軸
52 挿通路
53 被当接端
60 ヘッドハウジング
61 押圧部材
62 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテンローラとサーマルヘッドとの間に、被印字媒体と、リボン巻取り軸およびリボン供給軸に架け渡されたインクリボンとを重ねて挟持搬送することで印字を行うと共に、前記サーマルヘッド、前記リボン巻取り軸および前記リボン供給軸を備えた印字ユニットが、本体と、当該本体の上部を覆う上蓋部との間に配置され、前記上蓋部と前記印字ユニットとを同一の支持軸によって回動自在に支持し、前記上蓋部と前記印字ユニットとを開くことで、前記被印字媒体や前記インクリボンの交換を行うプリンタであって、
前記上蓋部を前記本体に対して所定の位置で支持すると共に、前記上蓋部に対して閉じる方向の力を作用させることで、前記上蓋部の支持を解除する上蓋部支持手段と、
前記印字ユニットを前記上蓋部よりも小さい角度で前記本体に対して支持すると共に、前記印字ユニットに対して閉じる方向の力を作用させることで、前記印字ユニットの支持を解除する印字ユニット支持手段と、
前記上蓋部に前記印字ユニットが嵌装された嵌装状態で前記上蓋部と前記印字ユニットとを連結する連結手段とを具備し、
前記上蓋部および前記印字ユニットが閉じられた状態では、前記連結手段によって前記上蓋部と前記印字ユニットとが連結されることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記連結手段は、前記上蓋部および前記印字ユニットが開けられた状態で、前記上蓋部から前記印字ユニットが引き出されると、前記上蓋部と前記印字ユニットとの連結を解消することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記上蓋部支持手段は、一端部が前記上蓋部に固定されていると共に、解放端側が前記本体に形成されている開口に挿通され、解放端側から一端部側に向かって同一の幅で形成されたスリットによって、前記開口の縁部に当接することで前記上蓋部を支持する上蓋部ストッパが形成された弾性を有する第1片と、第2片とに分割された円弧状部材であり、
前記印字ユニット支持手段は、一端部が前記印字ユニットに固定されていると共に、解放端側が前記本体に形成されている開口に挿通され、解放端側から一端部側に向かって同一の幅で形成されたスリットによって、前記開口の縁部に当接することで前記印字ユニットを支持するユニットストッパが形成された弾性を有する第1片と、第2片とに分割された円弧状部材であることを特徴とする請求項1又は2記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−286000(P2009−286000A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141555(P2008−141555)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】