説明

プリンタ

【課題】用紙ロールを着脱する作業が容易となる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】プリンタ1は、記録用紙ロール3から引き出された記録用紙3aに印刷するプリンタであって、開口5aを有する筐体5と、スライド部6と、回動部7とを備える。スライド部6は、記録用紙ロール3を保持するロール保持部6aを有し、ロール保持部6aが開口5aを介し筐体5に出入自在に筐体5内をスライドする。回動部7は、ロール保持部6近傍においてスライド部6と接続された接続部7cを有し、当該接続部7cを支点としてロール保持部6aに接近・離間自在に回動するとともに、開口5を閉塞可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙ロールから引き出された用紙に印刷するプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置で取得された画像データ、及び、メモリカード等の記録媒体に記憶された画像データを、記録紙などの用紙に印刷するプリンタが知られている。このようなプリンタについては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されている。
【0003】
プリンタの種類は多様化しており、パーソナルコンピュータ及びデジタルカメラ等から出力される画像データを印刷する家庭用の小型プリンタの他、業務用のプリンタが存在している。
【0004】
業務用のプリンタとして用いられるセルフプリント端末は、主に店頭等に配置され、一般に顧客により操作されるプリンタである。このセルフプリント端末においては、顧客によって、例えば持参したメモリカード等の記録媒体に記憶された画像データが入力され、所望とする画像データが選択されることにより、選択された画像データが記録紙に印刷される。業務用のプリンタとして用いられるドライミニラボは、主に店舗のカウンター内に配置され、一般に店の業者によって操作されるプリンタである。このドライミニラボにおいては、業者によって、例えば顧客のメモリカード等の記録媒体の画像データが入力され、所望とする画像データが選択されることにより、選択された画像データが記録紙に印刷される。
【0005】
セルフプリント端末やドライミニラボとしては、それぞれがプリンタ機能を有する複数のプリンタ部を備えるプリンタ、いわゆるマルチプリンタが用いられることがある。マルチプリンタでは、複数の印刷処理を並列的に行うことが可能となることから、印刷処理能力が高くなっており、印刷している時間を短縮することが可能となっている。一方、マルチプリンタのサイズは大きく、その設置スペースが広くなる傾向にあることから、複数のプリンタ部を鉛直方向に棚状に並べて配置して、サイズを合理的に小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−289272号公報
【特許文献2】特開2005−219390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、プリンタには、用紙ロールが取り付けられており、用紙がなくなると用紙ロールが交換される。特許文献1,2にも記載されているように、プリンタにおいては、プリンタ周辺に広いスペースが存在しなくても、用紙ロールを交換可能にする技術が提案されている。しかし、上述したマルチプリンタの配置においては、そのような提案技術を持ってしても、用紙ロールを交換する際の用紙ロールの通路が狭いため、用紙ロールを着脱する作業が困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、用紙ロールを着脱する作業が容易となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプリンタは、用紙ロールから引き出された用紙に印刷するプリンタであって、開口を有する筐体と、前記用紙ロールを保持する保持部を有し、当該保持部が前記開口を介し前記筐体に出入自在に前記筐体内をスライドするスライド部と、前記保持部近傍において前記スライド部と接続された接続部を有し、当該接続部を支点として前記保持部に接近・離間自在に回動するとともに、前記開口を閉塞可能な回動部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スライド部が筐体からスライドし、回動部がスライド部との接続部を支点に回動するため、保持部の上方及び前方の両方に大きなスペースを空けることができる。したがって、用紙ロールを着脱する作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1に係るプリンタ部の構成を示す斜視図である。
【図2】第1の比較対象プリンタの構成を示す図である。
【図3】第2の比較対象プリンタの構成を示す図である。
【図4】実施の形態1に係るプリンタ部の構成を示す模式図である。
【図5】実施の形態1に係るプリンタ部の動作を示す模式図である。
【図6】実施の形態1に係るプリンタ部の動作を示す模式図である。
【図7】実施の形態2に係るプリンタ部の構成を示す模式図である。
【図8】実施の形態2に係るプリンタ部の動作を示す模式図である。
【図9】実施の形態2に係るプリンタ部の動作を示す模式図である。
【図10】実施の形態3に係るプリンタ部の一部の構成を示す斜視図である。
【図11】実施の形態3に係るプリンタ部の一部の構成を示す模式図である。
【図12】実施の形態4に係るプリンタ部の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施の形態1>
本実施の形態に係るプリンタは、複数のプリンタ部を備えるマルチプリンタであるものとし、以下においては、複数のプリンタ部の一つについて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るプリンタ部1の構成を示す斜視図である。
【0013】
このプリンタ部1には、用紙たる記録用紙3aが巻回されてなる記録用紙ロール3と、インクリボン4とが取り付けられる。プリンタ部1は、インクリボン4のインクを、記録用紙ロール3から引き出された記録用紙3aに付着させることにより、記録用紙3aに文字及び画像等を印刷する。記録用紙3a及びインクリボン4は消耗品であり、プリンタ部1において、これらがなくなると交換される。
【0014】
このプリンタ部1の各構成について詳細に説明する前に、プリンタ部1と対比の対象となるプリンタ(以下、「対比対象プリンタ」と呼ぶ)について説明する。
【0015】
図2は、第1の対比対象プリンタ30(特許文献1)の構成を示す側面断面図である。第1の対比対象プリンタ30の正面には、記録用紙3aを挿通可能な搬送口31が設けられており、第1の対比対象プリンタ30の天面には、記録用紙ロール3を交換する際に回動される回動部32、例えば、カバーが設けられている。このような第1の対比対象プリンタ30においては、記録用紙3aが搬送口31から受け取られるためのスペースが前方に必要であるとともに、回動部32が開閉の際に通過するためのスペースが上方に必要である。したがって、第1の対比対象プリンタ30には、比較的広い設置スペースが必要となり、マルチプリンタに不向きである。
【0016】
図3は、第2の対比対象プリンタ40(特許文献2)の構成を示す側面断面図である。この第2の対比対象プリンタ40の正面には、記録用紙ロール3を交換する際に回動される回動部42が設けられており、回動部42に搬出口41が設けられている。このような第2の対比対象プリンタ40においては、搬送口41に必要なスペースを、回動部42に必要なスペースとして用いることができるため、第1の対比対象プリンタ30よりも設置スペースを狭くすることができる。しかし、図3に示されるように、記録用紙ロール3の通路43が狭いため、記録用紙ロール3を着脱する作業が困難であり、マルチプリンタに不向きである。
【0017】
それに対して、本実施の形態1に係るプリンタ部1では、記録用紙ロール3を交換する際の記録用紙ロール3の通路が広いため、プリンタ部を鉛直方向に棚状に並べて配置したマルチプリンタにおいても、記録用紙ロール3を着脱する作業が容易となる。以下、このようなプリンタ部1について説明する。
【0018】
図1に戻って、本実施の形態に係るプリンタ部1は、筐体5と、スライド部6と、回動部7とを備える。以下、プリンタ部1の前後方向、左右方向及び上下方向を、それぞれX軸、Y軸及びZ軸とするXYZ座標系を適宜用いる。
【0019】
筐体5は、一方向に延びた略直方体の形状を有し、その長手方向(X方向)において互いに対向する二面のうち前面(+X側の面)において開口5aを有している。
【0020】
筐体5には、その天面(+Z側の面)よりも突出する四つの突出部5bが設けられている。この四つの突出部5bは、天面の開口5a側の部分においてY方向に互いに対向する二つの突出部5baと、筐体5背面(−X側の面)に並べて設けられた二つの突出部5bbとから構成されている。
【0021】
筐体5の底面(−Z側の面)には、二つの突出部5baとそれぞれ勘合可能な二つの嵌合部5cが設けられている。プリンタ部1が別のプリンタ部1と天面側において接続される際には、プリンタ部1における二つの突出部5baが、別のプリンタ部1における二つの嵌合部5cとそれぞれ勘合する。底面側においても、同様の嵌合が行われる。これにより、プリンタ部1のXY平面の位置と、別のプリンタ部1のXY平面の位置とが互いにずれないようになっている。
【0022】
スライド部6は、略直方体の形状を有し、前面側端部(+X側端部)において記録用紙ロール3を保持するロール保持部6aと、当該ロール保持部6a近傍においてインクリボン4を保持するインクリボン保持部6bとを有する。スライド部6は、背面側端部(−X側端部)が筐体5内に挿入された状態で、筐体5内を長手方向(X方向)に沿ってスライドする。このスライド移動により、ロール保持部6a及びインクリボン保持部6bは、開口5aを介し筐体5を出入自在となっている。
【0023】
ロール保持部6aは、記録用紙ロール3の軸をY方向に揃えた状態で記録用紙ロール3を保持する。ロール保持部6aの上方及び前方には、記録用紙ロール3が通過可能なスペース6cが設けられている。インクリボン保持部6bは、ロール保持部6aよりも−X側の位置において、インクリボン4の軸をY方向に揃えた状態でインクリボン4を保持する。インクリボン保持部6bの上方には、インクリボン4が通過可能なスペース6dが設けられている。
【0024】
回動部7は、互いに直交する前面部7a及び挿入部7bとから主に構成されている。前面部7a及び挿入部7bのそれぞれは略板部材であり、前面部7aの一端部と挿入部7bの一端部とは、互いに接続されている。回動部7は、ロール保持部6a近傍においてスライド部6と接続する接続部7cを有している。本実施の形態に係る回動部7は、前面部7aの端部のうち、挿入部7bと接続された端部とは逆の端部において当該接続部7cを有している。接続部7cは、ロール保持部6aよりも、スライド部6の先端側(+X側)の部分と接続している。
【0025】
回動部7は、接続部7cを支点として回動可能となっている。つまり、回動部7は、接続部7cを通るY軸を中心に回動可能となっている。そして、回動部7は、接続部7cを支点として、図4に示される矢印Aのように反時計周りに回動するとロール保持部6aから離間するようになり、同図に示される矢印Bのように時計回りに回動するとロール保持部6aに接近するようになっている。つまり、回動部7は、ロール保持部6aに接近・離間自在に回動可能となっている。
【0026】
図4は、プリンタ部1において記録用紙3aが印刷される際の様子を、Y方向からみた模式図である。図に示すように、プリンタ部1は、プラテンローラー8と、サーマルヘッド9と、カッター10とを備える。
【0027】
プラテンローラー8は、例えば、ゴムローラーであり、模式図4では図示されていないが、スライド部6に設けられている。印刷の際には、プラテンローラー8は、記録用紙3a及びインクリボン4をサーマルヘッド9に押圧した状態でY軸周りに回転し、記録用紙3aをプリンタ部1の外部に排出する。
【0028】
サーマルヘッド9は、筐体5内に設けられており、インクリボン4に対して熱を部分的に印加することによって、記録用紙3aに文字等を印刷する。
【0029】
回動部7の前面部7aには、記録用紙3aを挿通可能な搬送口11が設けられている。カッター10は、その搬送口11に設けられており、サーマルヘッド9により印刷された記録用紙3aの先端が搬送口11から適当な長さだけ搬送された際に、当該記録用紙3aを切り離す。
【0030】
次に、図4を用いて、記録用紙3aが印刷される際の、各構成の状態について説明する。記録用紙3aが印刷される際には、図4に示されるように、ロール保持部6aは記録用紙ロール3を保持し、インクリボン保持部6bはインクリボン4を保持している。そして、記録用紙ロール3から引き出された記録用紙3aは、プラテンローラー8とサーマルヘッド9との間、及び、カッター10の間を順に通されている。また、ロール保持部6a及びインクリボン保持部6bは、筐体5内に位置している。また、回動部7は、前面部7aの主面がX方向に向けられ、かつ、挿入部7bの主面がZ方向に向けられた姿勢を取っている。回動部7が当該姿勢を取っているときには、ロール保持部6aの上方及び前方に位置するスペース6c、及び、インクリボン保持部6bの上方に位置するスペース6dは、回動部7の挿入部7bにより塞がれている。
【0031】
スライド部6は、図4に示される位置から筐体5内の奥に向かって進行しないように−X側への移動が規制されている。以下、図4に示される、スライド部6のスライド方向における位置を「スライド規制位置」と呼ぶ。また、回動部7は、図4に示される状態から、矢印Bの方向への回動が規制されている。以下、図4に示される、回動部7の回動方向における位置を「回動規制位置」と呼ぶ。
【0032】
本実施の形態では、スライド部6がスライド規制位置にあり、かつ、回動部7が回動規制位置にある場合に、回動部7が、筐体5の開口5aを閉塞する。なお、本実施の形態では、回動部7が開口5aを閉塞しているときには、回動部7の挿入部7bが筐体5内に挿入されている。このときには、回動部7は、筐体5の内壁によって、図4に示される矢印Aの方向に回動することが規制されている。
【0033】
次に、使用者によって、記録用紙ロール3及びインクリボン4がプリンタ部1から取り外される手順を、図4〜6を用いて説明する。
【0034】
図4に示される状態において、スライド部6をX方向に筐体5から引き出していくと、記録用紙ロール3、インクリボン4、回動部7、プラテンローラー8及びカッター10もX方向に一体的に移動する。プラテンローラー8がX方向に移動すると、プラテンローラー8による記録用紙3a及びインクリボン4への押圧が解除される。
【0035】
スライド部6をX方向にさらに引き出していくと、図5に示されるように、ロール保持部6a及びインクリボン保持部6b、つまり、記録用紙ロール3及びインクリボン4が、筐体5の開口5aを介して、筐体5の外部に搬出される。インクリボン4が筐体5の外部まで搬出された際には、回動部7の挿入部7bが筐体5から抜け出ているため、回動部7が、筐体5の内壁に規制されることなく、矢印Aの方向に回動可能となる。
【0036】
次に、回動部7を矢印Aの方向に回動すると、図6に示されるように、ロール保持部6a前方及び上方にスペース6cが開放されるとともに、インクリボン保持部6bの上方にスペース6dが開放される。そして、ロール保持部6aから、その上方及び前方に解放されたスペース6cを介して記録用紙ロール3がプリンタ部1から取り外される。あるいは、インクリボン保持部6bから、その上方に解放されたスペース6dを介してインクリボン4がプリンタ部1から取り外される。
【0037】
以上、記録用紙ロール3等の取り外し手順について説明したが、記録用紙ロール3等の取り付け手順では、当該取り外し手順が逆の順序で行われる。
【0038】
以上のような本実施の形態に係るプリンタ部1によれば、スライド部6が筐体5からスライドし、回動部7がスライド部6との接続部7cを支点に回動するため、ロール保持部6aの上方及び前方の両方に大きなスペースを空けることができる。したがって、記録用紙ロール3を着脱する作業が容易となる。
【0039】
また、本実施の形態に係るプリンタ部1によれば、回動部7には挿通可能な搬送口11が設けられている。したがって、記録用紙3aが受け取られるためスペースを、回動部7が開閉の際に通過するためのスペースとして併用することができる。よって、プリンタ部1の設置スペースを狭くすることができる。
【0040】
<実施の形態2>
図7は、本実施の形態に係るプリンタ部1において記録用紙3aが印刷される際の様子を、Y方向からみた模式図である。本実施の形態では、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付している。図に示されるように、本実施の形態に係るプリンタ部1は、実施の形態1の構成に収納検知部12を加えたものである。なお、図7においては、簡単のため、インクリボン4の図示は省略している。
【0041】
図7に示されるように、スライド部6がスライド規制位置にあり、かつ、回動部7が回動規制位置にある場合、つまり、回動部7が開口5aを塞いでいる場合には、収納検知部12は、回動部7の挿入部7bとY方向において当接する。収納検知部12は、当該当接を検出した場合には、回動部7が筐体5の開口5aを塞いでいること検知する。
【0042】
一方、図8に示されるようにスライド部6がスライド規制位置にない場合、及び、図9に示されるように回動部7が回動規制位置にない場合の少なくともいずれか一方に該当する場合、つまり、回動部7が開口5aを塞いでいない場合には、収納検知部12は、回動部7の挿入部7bとY方向において当接しない。収納検知部12は、当該当接を検出しない場合には、回動部7が筐体5の開口5aを塞いでいないことを検知する。
【0043】
収納検知部12の検知結果は、マルチプリンタを統括的に制御する制御部(図示しない)に対して通知される。制御部は、収納検知部12において回動部7が筐体5の開口5aを塞いでいないと検知された場合には、例えば、その旨の表示部(図示しない)において表示を出したり、プリンタ部1における印刷を禁止したりする。
【0044】
以上のような本実施の形態に係るプリンタ部1によれば、回動部7が筐体5の開口5aを塞いでいることを検知することができる。したがって、筐体5の開口5aが空いた状態で記録用紙3aが印刷されるのを防ぐことができる。
【0045】
<実施の形態3>
図10は、本実施の形態に係るプリンタ部1の構成の一部分を示す斜視図である。本実施の形態では、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付している。図に示されるように、本実施の形態に係るプリンタ部1では、筐体5の−Z側の内壁にはスライド部6を保持する保持部材(以下、「スライド保持部材13」と呼ぶ)が設けられ、スライド部6の底面にはスライド部6がスライドするためのスライドベース14が設けられている。
【0046】
スライド保持部材13は、スライド方向(X方向)に延びる二つのレール13aと、二つのレール13aを接続する接続板13bとから構成されている。各レール13aは断面に略凹形状を有しており、二つのレール13aは、略凹形状がY方向において互いに対向するように配置されている。
【0047】
スライドベース14には、Z軸周りに回転する四つの左右受けローラー15、及び、Y軸周りに回転する四つの上下受けローラー16が設けられている。
【0048】
四つの左右受けローラー15のうち二つの左右受けローラー15は、スライドベース14の+Y側端に設けられており、残りの二つの左右受けローラー15は、スライドベース14の−Y側端に設けられている。そして、+Y側端及び−Y側端のそれぞれに設けられた二つの左右受けローラー15のうち一方は−X側端に設けられており、他方はX方向において中心付近に設けられている。四つの上下受けローラー16は、四つの左右受けローラー15の近傍にそれぞれ設けられている。図11には、+Y側端に設けられた二つの左右受けローラー15、及び、二つの上下受けローラー16が示されている。
【0049】
本実施の形態では、各左右受けローラー15及び各上下受けローラー16は、スライド保持部材13の内壁と当接しながら回転する。具体的には、各左右受けローラー15及び各上下受けローラー16は、略凹形状を有するレール13aと嵌合可能となっている。そして、+Y側端及び−Y側端に設けられた二つの左右受けローラー15は、+Y側及び−Y側に設けられたレール13aの内壁とそれぞれY方向において当接しながら回転する。また、+Y側端及び−Y側端に設けられた二つの上下受けローラー16は、+Y側及び−Y側に設けられたレール13aの内壁とそれぞれZ方向に当接しながら回転する。
【0050】
以上のような本実施の形態に係るプリンタ部1によれば、スライドする際にスライド部6が筐体5と擦れる部分に複数のローラー15,16が設けられていることから、軽い力でスライド部6を動かすことができる。
【0051】
<実施の形態4>
図12は、本実施の形態に係るプリンタ部1の構成の一部分を示す平面図である。本実施の形態では、実施の形態3と同じ構成については同じ符号を付している。図に示されるように、本実施の形態に係るスライド部6のスライドベース14には、複数のローラー付勢バネ17がさらに設けられている。各ローラー付勢バネ17は、弾性体であり、スライドベース14の+Y側端及び−Y側端のそれぞれに設けられている。
【0052】
本実施の形態では、複数のローラー付勢バネ17は、スライド保持部材13の内壁に向けて複数の左右受けローラー15をそれぞれ付勢する。具体的には、+Y側端に設けられた一つのローラー付勢バネ17は、+Y側端に設けられた一つの左右受けローラー15を、+Y側に設けられたレール13aの略凹の内壁に向けて付勢する。同様に、−Y側端に設けられた一つのローラー付勢バネ17は、−Y側端に設けられた一つの左右受けローラー15を、−Y側に設けられたレール13aの略凹の内壁に向けて付勢する。
【0053】
以上のような本実施の形態に係るプリンタ部1によれば、スライド保持部材13に必要なガタツキを持たせた場合であっても、ローラー付勢バネ17がそのガタツキを吸収することができる。また、ローラー付勢バネ17を弾性変形させることにより、スライド部6に保持される記録用紙ロール3を、筐体5内において左右方向(Y方向)にある程度移動させることができる。これにより、例えば、筐体5に設けられたサーマルヘッド9に対し、記録用紙ロール3の位置合わせを行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
3 記録用紙ロール、3a 記録用紙、5 筐体、5a 開口、6 スライド部、6a ロール保持部、7 回動部、7c 接続部、13 スライド保持部材、15 左右受けローラー、16 上下受けローラー、17 ローラー付勢バネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙ロールから引き出された用紙に印刷するプリンタであって、
開口を有する筐体と、
前記用紙ロールを保持する保持部を有し、当該保持部が前記開口を介し前記筐体に出入自在に前記筐体内をスライドするスライド部と、
前記保持部近傍において前記スライド部と接続された接続部を有し、当該接続部を支点として前記保持部に接近・離間自在に回動するとともに、前記開口を閉塞可能な回動部と
を備える、プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記回動部が回動方向において所定の位置にあり、かつ、前記スライド部がスライド方向において所定の位置にある場合に、前記回動部は前記筐体の前記開口を塞ぎ、
前記回動部が前記筐体の前記開口を塞いでいること検知する収納検知部をさらに備える、プリンタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプリンタであって、
前記筐体内には、
前記スライド部を保持する保持部材が設けられ、
前記スライド部は、
前記保持部材の内壁と当接しながら回転する複数のローラーを備える、プリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタであって、
前記スライド部は、
前記保持部材の内壁に向けて前記複数のローラーをそれぞれ付勢する複数の弾性体をさらに備える、プリンタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のプリンタであって、
前記回動部には、前記用紙を挿通可能な搬送口が設けられた、プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−194703(P2011−194703A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63750(P2010−63750)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】