説明

プリンタ

【課題】簡単に印刷ヘッドの保守点検が可能であるとともに、プラテンローラと印刷ヘッドとの衝突による損傷や位置ズレを抑制できるプリンタを提供する。
【解決手段】印刷ヘッド6を装着し基端部61aで軸支された支持アーム61と、プラテンローラ5とは反対側に設けられた筐体1の開口部と、支持アーム61の回動中心と略平行な回動中心を基端部22aに有するように軸支され、開口部を覆うカバー22と、支持アーム61を付勢する付勢手段63と、付勢手段63に抗して支持アーム61を押圧しつつ印刷ヘッド6をプラテンローラ5に弾接させる押圧手段7と、押圧手段7による押圧を選択的に解除または復帰させる押圧切替手段73とを備え、押圧手段7による押圧を解除することで、印刷ヘッド6がプラテンローラ5より離間し、支持アーム61がカバー22の内面22dに支承されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンローラと印刷ヘッドとの間に用紙とインクリボンとを重合して送り込みつつ印刷を行うプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラテンローラと印刷ヘッドの間で詰まった用紙の除去や、印刷ヘッドや各種ローラの清掃等の保守作業のため、カバーを開放して内部の装置へのアクセスを行うことができるようにされたプリンタに関する技術が多数知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に係るプリンタのように開閉可能なカバーを備え、当該カバー側にプラテンローラを設け、カバーの開放によってプラテンローラが現れるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−6672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に係るプリンタはカバーの開放を行った際にも、印刷ヘッドは位置が変わらず、精細な印刷を行うにあたって最も重要となる印刷ヘッドの表面を直接確認することができない。そのために、印刷ヘッド表面の清掃や傷の確認などの保守点検作業を効率よく行うことができない。
【0006】
また、プラテンローラと印刷ヘッドとは表面に生じた僅かな傷や相対位置のズレによって印刷品質の低下を招くために、本来適切な接圧で保持されるべきであり過度の接圧を付与するは避けるべきであるが、上記の先行技術においてはプラテンローラをカバー側に設けているためカバーに生じた外力の影響を受け易く、カバーを閉じた際にはその衝撃によってプラテンローラと印刷ヘッドとが強く接触して両者の表面に損傷が生じることや、部材の変形等による相対位置のズレが生じ易い。
【0007】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的にはカバーの開放だけで簡単に印刷ヘッドの表面を確認して容易に保守点検することが可能であるとともに、カバーの開閉操作によってプラテンローラと印刷ヘッドとが強く接触することがなく、これらプラテンローラや印刷ヘッドに損傷や相対位置のズレを生じることがないプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明のプリンタは筐体の内部でプラテンローラに対して印刷ヘッドを弾接させ、前記プラテンローラと前記印刷ヘッドとの間に用紙とインクリボンとを重合させて送り込み印刷を行うプリンタであって、先端部に印刷ヘッドを装着し基端部で軸支された支持アームと、前記支持アームに対して前記プラテンローラとは反対側に設けられた前記筐体の開口部と、前記支持アームの回動中心と略平行な回動中心を基端部に有するように軸支され、前記開口部を覆うカバーと、前記印刷ヘッドを前記プラテンローラから離間させる方向に前記支持アームを付勢する付勢手段と、当該付勢手段に抗して当該支持アームを押圧しつつ前記印刷ヘッドを前記プラテンローラに弾接させる押圧手段と、当該押圧手段による前記支持アームの押圧を選択的に解除または復帰させる押圧切替手段とを備え、前記押圧切替手段によって前記押圧手段による前記支持アームへの押圧を解除することで、前記印刷ヘッドが前記プラテンローラより離間し、前記支持アームが前記カバーの内面に支承されることを特徴とする。
【0010】
このように構成しているため、押圧切替手段によってプラテンローラを離間させた状態にすると、筐体内部にある支持アームをカバー内面に支承させつつカバーの開閉動作と連動して回動させることができるため、開口部まで張り出させたり、筐体内部に戻したりする動作を簡単に行うことができる。また、カバーの開放時には支持アーム先端に装着してある印刷ヘッドが開口部まで現れるため、印刷ヘッドの保守点検を容易に行うことができる。さらには、カバーを閉める際の衝撃が付勢手段によって吸収されるために、印刷ヘッドとプラテンローラとが強く接触することを抑制でき、これらの損傷や位置ズレを防ぐことができる。
【0011】
さらに上記の効果を一層高めるためには、外力の作用しやすいカバーの操作を確実に印刷ヘッドとプラテンローラが離間した状態で行うようにすることが好ましいため、前記カバーの開放により前記押圧切替手段が規制され、前記押圧手段による前記支持アームの押圧を復帰させることができないように構成することが好適である。
【発明の効果】
【0012】
以上説明した本発明によれば、印刷ヘッドがカバーの開放に従って外側に張り出すために、簡単に印刷ヘッドの表面を確認して容易に保守点検することができるとともに、カバーとは別の部材で支持しつつプラテンローラとは反対方向に付勢しているために、カバーの開閉操作に伴うプラテンローラや印刷ヘッドの損傷や相対的な位置ズレを抑制でき、これらに起因する印刷品質の低下が生じないプリンタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの正面図。
【図2】同プリンタの内部パネルを除去した際の正面図。
【図3】同プリンタの内部パネルを除去した際の要部正面図。
【図4】図3の状態より印刷ヘッドをプラテンローラから離間させた際の要部正面図。
【図5】図4の状態におけるリンク機構の動作位置を示す要部正面図。
【図6】図4の状態よりカバーを開放している途中の状態を示す要部正面図。
【図7】図6の状態におけるリンク機構の動作位置を示す要部正面図。
【図8】図6の状態よりカバーを最大まで開放した状態を示す要部正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
この実施形態のプリンタは、図1に示すように、筐体1の内部に2つのインクリボンカセット4、4を備えており、これらに対応して右側に設けた印刷ヘッド6と、左側に設けた印刷ヘッド(図2を参照)とを備えている。なお、図1は図示しない前面パネルを開放した際の状態を示すものであり、当該図示しない前面パネルを開放した際には内部機器を覆うための内部パネル21が現れる。当該内部パネル21を取り外すことなく、インクリボンカセット4、4は、紙面手前側に取り外すことができるようになっている。
【0016】
図1における前面の内部パネル21を取り外した際に表れる内部装置の概略構成を図2に示す。上述したように、左右に配されたインクリボン4、4に対応して左右に印刷ヘッド6、6を設けている。本プリンタでは筐体1の下側スペースに給紙部3が設けられており、当該給紙部3にセットされた用紙ロール31より用紙32が図の上方向に引き出され、当該用紙32が各種の搬送に寄与しているローラ11(以下、搬送ローラ11と称す。)によって筐体1内部の中央付近を基本的には上方向に向かって搬送されつつ、当該搬送方向に対して逆方向または順方向に進みながら印刷を施された上で、左上方に向かって搬送されて図示しない切断装置によって所定の長さに切断され搬出口12より排出される。
【0017】
本プリンタにおいては、上述したように2つのインクリボンカセット4、4を備えており、各々リボンロール41、41の間を走行する図示しないインクリボンを備えている。そして、これに対応して左右のそれぞれに印刷ヘッド6を備えており、中央付近を走行する用紙32に対して両面から印刷を行うことができるように構成してある。
【0018】
図2は左側の印刷ヘッド6が印刷位置にあり、右側の印刷ヘッド6が筐体1より飛び出した保守点検位置にある状態を示している。左側の印刷ヘッド6に着目すると、この印刷ヘッド6はプラテンローラ5に向かってプラテンローラ5とは反対側より押圧手段7によって押圧されることで位置決めをされつつプラテンローラ5に弾接している。また、右側の印刷ヘッド6に着目すると、右側面よりカバー22とともに筐体1の開口部23より張り出した状態にある。カバー22は、筐体1の側面に設けた開口部23を覆うためのものであり、印刷ヘッド6と同様に筐体1の左右に設けてある。図2においては、右側のカバー22が開放されるとともに、後述するリンク機構75の作用によって押圧手段7が開口部23の上端23aまで退避させられた状態を示している。
【0019】
以下、各部分の詳細な構成について説明する。
【0020】
図2で右側に配置されていた印刷ヘッド6がプラテンローラ5に弾接する際の、当該弾接部周辺の要部を拡大して図3に示す。筐体1の右側面に直立して設けたカバー22の内側には、支持アーム61をその基端部61aに設けた支軸61bを介して回動可能に設けている。当該支持アーム61に対しては、図2で示した筐体1の開口部23はプラテンローラ5と反対側に設けられていることになる。図3に戻って説明すると、上記支持アーム61の先端61cには印刷ヘッド6と、印刷ヘッド6とプラテンローラ5との間の位置規制を行う位置規制部材62を装着している。また、支持アーム61の基端部61aには付勢手段としてのねじりコイルバネ63を設けており、これにより支持アーム61をカバー22側に回動させるように付勢している。
【0021】
カバー22は基端部22aに設けた支軸22bを中心に先端が外側に向かって回動可能であり、カバー22の支軸22bと上記支持アーム61の支軸61bとを平行に設けることで、カバー22の回動中心と支持アーム61の回動中心とが平行になるようにしてある。カバー22の先端にはストッパ22cが形成され、筐体1と当接することで垂直位置から内側に向かっては回動できないように構成している。カバー22は図示しないラッチ機構が設けられており、当該ラッチ機構を操作することで閉じた状態より開放することが可能となっている。また、当該ラッチ機構の操作は後述する押圧切替手段としてのハンドル73の操作によって印刷ヘッド6をプラテンローラ5より離間させた後でしか行うことができないようにしてある。
【0022】
また、カバー22には前述したリンク機構75の一部が取り付けられている。具体的にはリンク機構75は、図5に示すように、リンク75a、75b、75cを連結することで構成している。リンク75aはカバー22の基端部22aと連結して一体化しており、カバー22の開閉に合わせて支軸22b周りに回動する。その動作がリンク75bを介してリンク75cに伝達されることでリンク75cが動作する。リンク75cは長手方向が鉛直方向になるようにして筐体1の内部に設けてあり、その向きを維持したまま上下に移動可能としている。そのため、カバー22を開く際にはリンク75cが上方向に移動し、閉じる際にはリンク75cは下方向に移動する。これらのリンク75a、75b、75cは支持アーム61と干渉しない紙面奥側の位置に設けているため、支持アーム61がカバー22の側に倒れている場合であっても上記の動作に支障は生じない。また、リンク75cの先端にはピン76を設けてあり、当該ピン76は後述する押圧手段7の一部を構成する押圧プレート71と当接可能な位置にあるため、リンク75cの上下動によって当該押圧プレート71を動かすことが可能である。
【0023】
さらに、本実施形態のプリンタは、図3に戻って説明すると、上述した支持アーム61に対する付勢手段としてのねじりコイルバネ63による付勢力に抗して支持アーム61を背面61dより押圧してプラテンローラ5側に回動させるための前述した押圧手段7と、当該押圧を選択的に解除または復帰させる前述した押圧切替手段73とを備えている。押圧手段7は支軸71aによって回動可能な押圧プレート71と、その先端に設けたローラ72と、押圧プレート71を支軸71a周りに回転させるギア74a、74b、74cとから構成され、ローラ72を介して支持アーム61の背面61dを押圧する。また、押圧切替手段はギア74cに連結されたハンドル73として構成している。ハンドル73は、図1に示すように内部パネル21の前面より突出するようにして設けており、図示しない前面パネルを開けた状態では内部パネル21を取り外すことなく操作することが可能である。図3に戻って、押圧プレート71は紙面垂直方向に延出したプレートを矩形状に折り曲げた形状をしており、片方の端部には回動軸71aを設けて、これを中心に回動することが可能としている。なお、この回動軸71aも、上述したカバー22の支軸22bおよび支持アーム61の支軸61bに平行に設けている。押圧プレート71の他端にはローラ72を回転可能にして設けている。回動軸71aはギア74aと連結しており一体となって回転を行う。また、当該ギア74aはギア74bを介してギア74cと連動回転を行う。さらに、ギア74cは上記のようにハンドル73と連結されているためにギア74cとハンドル73とは一体となって回転する。
【0024】
上記のように構成することで、ハンドル73を時計回りに回すように操作することで、ギア74c、74b、74aは連動して回転して、ギア74aに連結した押圧プレート71は時計回りに回転し、支持アーム61の背面61dをローラ72を介して押圧することになり、ねじりコイルバネ63による付勢力に抗して支持アーム61をプラテンローラ5に向かって回動させ、印刷ヘッド6をプラテンローラ5に対して弾接させた印刷位置にまで移動させることができる。
【0025】
この際、詳細な印刷ヘッド6とプラテンローラ5との相対位置を決定するために、上記のように支持アーム先端部61cに設けられた位置規制部材62が位置規制を行う。位置規制部材62はプラテンローラ5を支持する軸受け51の外径に沿ったプレート状に構成されており、支持アーム61の回動によって上記軸受け51の外径に当接することで支持アーム61とプラテンローラ5の相対位置を規制する。これによって、プラテンローラ5に対する印刷ヘッド6の相対位置を規制するとともに両者の接圧が過度のものにならないように規制する。このように印刷ヘッド6を印刷位置まで回動させたハンドル73は、図示しないクリック機構によって、当該印刷位置にした状態のまま固定を行うことができる。
【0026】
なお、図2における左側の支持アーム61を回動させて印刷ヘッド6を印刷位置に設定する機構は、上述した右側の支持アーム61のものと左右対称になるように設けている。
【0027】
図3の状態より、ハンドル73を反時計回りに回動させていくと、ギア74c、74b、74aを介して押圧プレート71が反時計回りに回転していく。それに従って、支持アーム61はねじりコイルバネ63の作用により押圧プレート71先端のローラ72との接触を保ちながら右側に倒れ込んでいくことで、印刷ヘッド6が印刷位置より離れていき、図4のようにカバー22の内面22dにもたれかかり支承された状態となる。この時、押圧プレート71は支持アーム61によってカバー22の側に押し込まれていることになる。
【0028】
ここで、図4と同じ状態におけるリンク機構7の位置関係を図5に示す。この状態では、押圧プレート71はリンク75cの上方にまで達しているが、カバー22が開放されていないためにリンク75cは最下端にあってピン76は押圧プレート71に当接していない。なお、図4および図5に示すように、支持アーム61に対してギア71a、71b、71cは紙面手前側に、リンク75a、75b、75cは紙面奥側に設けているために、リンク75cがギア71a、71b、71cに干渉することもない。
【0029】
そして、このようにハンドル73の操作を行って印刷ヘッド6をプラテンローラ5から離間させた状態では、カバー22の図示しないラッチ機構の操作が可能となるため、当該操作によってカバー22を開放することができる。図6に示すように、カバー22を開けていくとカバー内面22dに支承されながら、支持アーム61も外側に向かって回動していく。この時、押圧プレート71の先端に設けたローラ72が支持アーム61の背面61dから上面61eに接触して転がりながら移動を行い、これによって押圧プレート71は回転していく。押圧プレート71とハンドル73とはギア74a、74b、74cを介して連結されているため、ハンドル73も押圧プレート71の回転に合わせて回転していく。
【0030】
ここで、図6と同じ状態におけるリンク機構7の位置関係を図7に示す。上記のように、カバー22を開放していく場合には、カバー22の回動に合わせてカバー22と一体化したリンク75aが回動し、これとリンク75bを介して連結されたリンク75cが上方に移動する。しかし、図7の状態ではいまだリンク75cに設けたピン76は押圧プレート71に接してはいない。
【0031】
このような状態より、さらにカバー22を開放していくと最終的に、図8のような状態に至る。カバー22は閉じられた状態よりほぼ90°外側に向けて回動し、支持アーム61はカバー22にもたれるようにして支承されたたまま、ほぼ90°外側に回動する。これにより、支持アーム61の先端に設けた印刷ヘッド6は筐体1の開口部23より外側にまで張り出してくる。また、この時、押圧プレート71はリンク75cに設けられたピン76によって下側より開口部上端23a近くまで持ち上げられ、先端に設けたローラ72を外側にしてほぼ水平になる。これにより、押圧プレート71が印刷ヘッド6や開口部23を隠すことがなくなり、メンテナンススペースが広く確保されて印刷ヘッド6やプリンタ内部の機器等を確認しやすくなる。
【0032】
また、上記のカバー22を開放した状態においては、押圧プレート71はリンク75cに設けたピン76によって支持されており動かすことが不能であるため、これと連結されたハンドル73も操作が不能となる。そのため、支持アーム61に対する押圧プレート71による押圧を復帰させることは、カバー22を閉じるまで行うことができない。
【0033】
印刷ヘッド6を印刷位置にまで移動させる場合は、上述したカバー22を開放する手順と逆の手順で行うことになる。
【0034】
図8のようにカバー22が終端まで開放され、支持アーム61がカバー22に支承されている状態より、カバー22を反時計方向に回動させていく。この時、支持アーム61はカバーの内面22dに支承されつつ、反時計回りに回動していく。
【0035】
さらにカバー22を反時計回りに回動させていくと、図6の状態を経てカバー22が閉じた図4の状態となる。このようなカバー22を閉じる動作を勢いよく行った場合、カバー22がストッパ22cによって直立した位置で停止しても、支持アーム61は慣性によってカバー22より離れてプラテンローラ5側に移動しようとするが、カバー22から印刷位置までの距離を十分に広くとっており、この間で慣性力がねじりコイルバネ63による付勢力によって相殺されるために、印刷ヘッド6がプラテンローラ5に強く衝突することはない。また、同時に支持アーム先端61cに設けた位置規制部材62をプラテンローラ5の軸受け51に強く衝突させることもないために、位置規制部材62の変形や位置ズレを抑制でき、結果として印刷時における印刷ヘッド6とプラテンローラ5との位置ズレを防止できる。
【0036】
そして、図4の状態よりハンドル73を時計回りに回すことで押圧プレート71を時計回りに回転させ、ローラ72を介して支持アーム61を反時計回りに回動させていき、図3のように印刷ヘッド6がプラテンローラ5に弾接した印刷位置に設定する。このような状態にした上で図示しない前面パネルを閉めた後に印刷を行わせることが可能となる。
【0037】
なお、上記の説明は、図2における右側のカバー22や支持アーム61を動かす場合を想定したものであり、左側の支持アーム61やカバー22等は右側のものと左右対称に設けているために、操作方向も逆向きになる。
【0038】
以上のように、本発明のプリンタは、筐体1の内部でプラテンローラ5に対して印刷ヘッド6を弾接させ、前記プラテンローラ5と前記印刷ヘッド6との間に用紙32とインクリボンとを重合させて送り込み印刷を行うプリンタであって、先端部61cに印刷ヘッド6を装着し基端部61aで軸支された支持アーム61と、前記支持アーム61に対して前記プラテンローラ5とは反対側に設けられた前記筐体1の開口部23と、前記支持アーム61の回動中心と略平行な回動中心を基端部22aに有するように軸支され、前記開口部23を覆うカバー22と、前記印刷ヘッド6を前記プラテンローラ5から離間させる方向に前記支持アーム61を付勢する付勢手段63と、当該付勢手段63に抗して当該支持アーム61を押圧しつつ前記印刷ヘッド6を前記プラテンローラ5に弾接させる押圧手段7と、当該押圧手段7による前記支持アーム61の押圧を選択的に解除または復帰させる押圧切替手段73とを備え、前記押圧切替手段73によって前記押圧手段7による前記支持アーム61への押圧を解除することで、前記印刷ヘッド6が前記プラテンローラ5より離間し、前記支持アーム61が前記カバー22の内面22dに支承されるように構成したものである。
【0039】
このように構成しているため、押圧切替手段73によって印刷ヘッド6をプラテンローラ5より離間させた状態にすると、筐体1内部にある支持アーム61をカバー内面22dに支承させ、カバー22の開閉動作と連動して支持アーム61を回動させることができるために、支持アーム61の先端部61cを開口部23にまで張り出させたり、筐体1の内部に戻したりする動作を簡単に行うことができるようになる。また、カバー22の開放時には支持アーム61の先端に装着してある印刷ヘッド6が開口部23にまで現れるため、印刷ヘッド6の保守点検を容易に行うことができる。さらには、カバー22を閉める際の衝撃が付勢手段としてのねじりコイルバネ63によって吸収されるために、印刷ヘッド6とプラテンローラ5とが強く接触することを抑制できこれらの損傷を防ぐことができる。また、同時に位置規制部材62とプラテンローラ5の軸受け51との衝突を弱めることもできるために、位置規制部材62が変形したり支持アーム61に対して位置がずれたりすることを抑制でき、結果として印刷ヘッド6とプラテンローラ5との位置ズレを防止できる。
【0040】
さらに、カバー22の開放により前記押圧切替手段73が規制され、前記押圧手段7による前記支持アーム61の押圧を復帰させることができないように構成しているため、外力の作用しやすいカバー22の操作を、印刷ヘッド6とプラテンローラ5とが離間した状態で行うことになり、当該カバー22の操作によって印刷ヘッド6とプラテンローラ5とが強く衝突し、損傷または両者の位置関係にズレが生じることを防ぐことができ、より上述した効果を高めることができる。
【0041】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0042】
例えば、上述の実施形態においては、カバー22と支持アーム61との回動中心が平行になるように構成したが、支持アーム61がカバー22の内面22dに支承されつつ回動できる限り、厳密に平行とすることまでは必要ではなく略平行とするのみで足りる。
【0043】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…筐体
5…プラテンローラ
6…印刷ヘッド
7…押圧手段
22…カバー
63…付勢手段(ねじりコイルバネ)
71…押圧プレート
72…ローラ
73…押圧切替手段(ハンドル)
75…リンク機構
76…ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部でプラテンローラに対して印刷ヘッドを弾接させ、前記プラテンローラと前記印刷ヘッドとの間に用紙とインクリボンとを重合させて送り込み印刷を行うプリンタであって、先端部に印刷ヘッドを装着し基端部で軸支された支持アームと、前記支持アームに対して前記プラテンローラとは反対側に設けられた前記筐体の開口部と、前記支持アームの回動中心と略平行な回動中心を基端部に有するように軸支され、前記開口部を覆うカバーと、前記印刷ヘッドを前記プラテンローラから離間させる方向に前記支持アームを付勢する付勢手段と、当該付勢手段に抗して当該支持アームを押圧しつつ前記印刷ヘッドを前記プラテンローラに弾接させる押圧手段と、当該押圧手段による前記支持アームの押圧を選択的に解除または復帰させる押圧切替手段とを備え、前記押圧切替手段によって前記押圧手段による前記支持アームへの押圧を解除することで、前記印刷ヘッドが前記プラテンローラより離間し、前記支持アームが前記カバーの内面に支承されることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記カバーの開放により前記押圧切替手段が規制され、前記押圧手段による前記支持アームの押圧を復帰させることができないようにしたことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−171116(P2012−171116A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32816(P2011−32816)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】