プリンタ
【課題】同じプリンタを狭い設置スペースで上下複数段に重ねて設置でき、かつ、最上段のプリンタの手前側への傾きや転倒を防止できる引き出し式のプリンタを提供することである。
【解決手段】プリンタ本体部10を搭載した移動ベース3の手前側への引き出し量を2段階に設定可能とすることにより、同じプリンタ1を上下2段に筐体2を前後にずらすことなく重ねて配置し、上段側のプリンタ1の移動ベース3の引き出し量を下段側のものよりも小さく設定して、重心の手前側への移動を少なくし、同じプリンタ1を狭い設置スペースで上下2段に重ねて設置でき、かつ、上段側のプリンタ1の手前側への傾きや転倒を防止できるようにした。
【解決手段】プリンタ本体部10を搭載した移動ベース3の手前側への引き出し量を2段階に設定可能とすることにより、同じプリンタ1を上下2段に筐体2を前後にずらすことなく重ねて配置し、上段側のプリンタ1の移動ベース3の引き出し量を下段側のものよりも小さく設定して、重心の手前側への移動を少なくし、同じプリンタ1を狭い設置スペースで上下2段に重ねて設置でき、かつ、上段側のプリンタ1の手前側への傾きや転倒を防止できるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ本体部を筐体の手前側へ引き出し可能としたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等のプリンタには、筐体に収納した印刷部や給紙部等を含むプリンタ本体部を、筐体の前後方向に移動する移動ベースに搭載し、プリンタ本体部を搭載した移動ベースを筐体の手前側へ引き出し可能としたものがある(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1に記載されたものでは、プリンタ本体部を移動ベースと一緒に引き出して、インクリボンや記録用紙等の消耗品の交換やメンテナンスを行うようにしている。また、特許文献2に記載されたものでは、引き出したプリンタ本体部全体を新品のユニットと交換するようにしている。
【0003】
このようなプリンタ本体部を搭載した移動ベースを手前側へ引き出し可能とした引き出し式のプリンタでは、重量のあるプリンタ本体部を引き出すと、プリンタの重心が筐体の手前側へ移動し、プリンタが手前側へ傾いたり、転倒したりする恐れがある。特許文献2に記載されたものでは、同じプリンタを上下2段重ねに配置し、その上段側の筐体を下段側の筐体の後側へずらして積み重ねることにより、後側へ重心をずらした上段側のプリンタの重量によって、下段側のプリンタ本体部を引き出したときのプリンタの手前側への転倒を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−137225号公報
【特許文献2】特開2007−156360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載された2段重ねのプリンタは、下段側のプリンタ本体部を引き出したときの下段側のプリンタの転倒は防止できるが、上段側のプリンタの筐体を下段側の筐体に対して後側へずらす必要があるので、2台のプリンタの設置スペースを広く必要とする問題がある。また、上段側のプリンタ本体部を引き出したときに、上段側のプリンタが手前側への重心の移動によって傾く恐れもある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、同じプリンタを狭い設置スペースで上下複数段に重ねて設置でき、かつ、最上段のプリンタの手前側への傾きや転倒を防止できる引き出し式のプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、筐体に収納したプリンタ本体部を筐体の前後方向に移動する移動ベースに搭載し、前記プリンタ本体部を搭載した移動ベースを前記筐体の手前側へ引き出し可能としたプリンタにおいて、前記移動ベースの手前側への引き出し量を複数段階に設定可能とした構成を採用した。
【0008】
すなわち、プリンタ本体部を搭載した移動ベースの手前側への引き出し量を複数段階に設定可能とすることにより、同じプリンタを上下複数段に筐体を前後にずらすことなく重ねて設置し、上段側のプリンタの移動ベースの引き出し量を下段側のものよりも少なく設定して、重心の手前側への移動を少なくし、同じプリンタを狭い設置スペースで上下複数段に重ねて設置でき、かつ、最上段のプリンタの手前側への傾きや転倒を防止できるようにした。
【0009】
前記筐体の天井の手前側部分を開放可能とすることにより、プリンタ本体部の引き出し量が少なくなる最上段のプリンタに対しても、その筐体の天井の手前側部分を開放して、消耗品の交換やメンテナンスを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るプリンタは、プリンタ本体部を搭載した移動ベースの手前側への引き出し量を複数段階に設定可能としたので、同じプリンタを上下複数段に筐体を前後にずらすことなく重ねて設置し、上段側のプリンタの移動ベースの引き出し量を下段側のものよりも少なく設定して、重心の手前側への移動を少なくし、同じプリンタを狭い設置スペースで上下複数段に重ねて設置でき、かつ、最上段のプリンタの手前側への傾きや転倒を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プリンタの実施形態を示す一部切欠き側面図
【図2】図1のプリンタ本体部を筐体に収納した状態を示す外観斜視図
【図3】(a)、(b)は、それぞれ図2の移動ベースの引き出し量を変えた状態を示す外観斜視図
【図4】図1の移動ベースの後端部近傍を示す平面図
【図5】図1のプリンタを上下2段に積み重ねて設置した状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1に示すように、このプリンタ1は、前面が開口する直方体形状の筐体2に収納したプリンタ本体部10を、図中に矢印で示す筐体2の前後方向に移動する移動ベース3に搭載し、プリンタ本体部10を筐体2の手前側へ引き出し可能とした引き出し式のサーマルプリンタである。
【0013】
前記筐体2の左右両側の内面にはガイドレール2aが取付けられ、移動ベース3の左右両側に取り付けられた複数のキャスタ3aが左右の各ガイドレール2aに案内されて、移動ベース3が前後方向に移動する。図示は省略するが、各ガイドレール2aは内向きのコ字断面とされ、各キャスタ3aはこのコ字断面に案内されて転動する。また、筐体2の片側の側面の下部には、後述する移動ベース3の位置決め部材5が差し込まれる縦長の位置決め孔2bが前後方向の2箇所に設けられ、これらの位置決め孔2bの中間に、位置決め部材5をねじ止めするねじ孔2cが設けられている。これらの位置決め孔2bとねじ孔2cは筐体2の両側の側面に設けてもよい。
【0014】
前記プリンタ本体部10は、給紙用のロール紙11を装着するリール12と、ロール紙11の外周を押さえる押さえローラ13と、ロール紙11の先端部を挟持してリール12から繰り出すローディングローラ14aおよびローディングピンチローラ14bと、ロール紙11を印刷部に送り込むフィードローラ15と、フィードローラ15にロール紙11を押し付けるピンチローラ16と、一対のボビン17aに巻回されたインクリボン17と、ロール紙11に印刷を施すサーマルヘッド18と、サーマルヘッド18と対向するプラテンローラ19と、印刷されたロール紙11を所定の長さに切断するカッタ20とで基本的に構成されている。
【0015】
前記移動ベース3には、筐体2の前面側を覆う前面カバー4も取付けられており、この前面カバー4に、カッタ20で切断された印刷済みのカット紙を排出する排紙口4aが設けられている。前面カバー4の上端には、後述する筐体2の切欠き部2dを覆うように後面側へ張り出す天井カバー部4bが設けられている。また、移動ベース3の後端部の側面には、後述する位置決め部材5の先端が嵌め込まれるロック孔3bが設けられている。
【0016】
図2に示すように、筐体2には天井の手前側部分を開放可能とする切欠き部2dが設けられ、移動ベース3が後退してプリンタ本体部10が収納されたときに、切欠き部2bが前面カバー4の天井カバー部4bで覆われるようになっている。
【0017】
図3(a)、(b)は、前記移動ベース3の引き出し量を2段階に設定した状態を示す。この引き出し量の設定は、差込部5aと頭部5bとからなるアングル状の位置決め部材5を筐体2の2つの位置決め孔2bのいずれかに差し込むことにより行われる。
【0018】
図1および図4に示すように、移動ベース3の後端部の下部には突起部3bが設けられており、この突起部3bがいずれかの位置決め孔2bに差し込まれた位置決め部材5に係止されて、移動ベース3の引き出し量が設定される。
【0019】
図3(a)は、移動ベース3の引き出し量を大きく設定した状態であり、位置決め部材5は差込部5aを筐体2の前面側に向けて、前側の位置決め孔2bに差し込まれ、ねじ6で頭部5bをねじ孔2cにねじ止めされる。この状態では、プリンタ本体部10のほぼ全体が筐体2から引き出されるので、ロール紙11やインクリボン17(図示省略)等の消耗品の交換やメンテナンスを行うことができる。
【0020】
図3(b)は、移動ベース3の引き出し量を小さく設定した状態であり、位置決め部材5は差込部5aを筐体2の後面側に向けて、後側の位置決め孔3bに差し込まれ、同様にねじ6で頭部5bをねじ止めされる。この状態では、プリンタ本体部10の一部が筐体2の中に残るが、筐体2の天井に設けられた切欠き部2dで天井の前面側が解放されるので、同様に消耗品の交換やメンテナンスを行うことができる。
【0021】
図5は、上述したプリンタ1をデスクDの上に上下2段に積み重ねて設置した状態を示す。2台のプリンタ1は筐体2の前後位置を合致させて積み重ねられている。したがって、デスクDの狭いスペースに2台のプリンタ1を設置することができる。図中に一転鎖線で示すように、これらのプリンタ1の消耗品の交換やメンテナンスを行うときは、下段側のプリンタ1は移動ベース3の引き出し量を大きく設定され、上段側のプリンタ1は移動ベース3の引き出し量を小さく設定される。下段側のプリンタ1は、上段側のプリンタ1の重量で押さえ込まれるので、引き出し量を大きく設定してもデスクDの手前側へ転倒する恐れはなく、下段側のプリンタ1は、引き出し量が小さいので重心の移動による手前側への転倒の恐れはない。
【0022】
上述した実施形態では、移動ベースの引き出し量を2段階に設定可能とし、上下2段に積み重ねるようにしたが、本発明に係るプリンタは、移動ベースの引き出し量を3段階以上に設定可能とし、3段以上に積み重ねることもできる。
【0023】
上述した実施形態では、移動ベースをキャスタでガイドレールに案内されるようにし、その引き出し位置を筐体の側面から差し込まれるアングル状の位置決め部材で位置決めするようにしたが、移動ベースはすべり軸受等でガイドレールにスライド案内されるようにしてもよい。また、位置決め部材は筐体の側面や天井等から差し込まれる位置決めピン等としてもよい。
【0024】
上述した実施形態では、プリンタをサーマルプリンタとしたが、本発明に係るプリンタは引き出し式のものであればよく、インクジェットプリンタやレーザプリンタ等の他のプリンタにも適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 プリンタ
2 筐体
2a ガイドレール
2b 位置決め孔
2c ねじ孔
2d 切欠き部
3 移動ベース
3a キャスタ
3b 突起部
4 前面カバー
4a 排紙口
4b 天井カバー部
5 位置決め部材
5a 差込部
5b 頭部
6 ねじ
10 プリンタ本体部
11 ロール紙
12 リール
13 押さえローラ
14a ローディングローラ
14b ローディングピンチローラ
15 フィードローラ
16 ピンチローラ
17 インクリボン
17a ボビン
18 サーマルヘッド
19 プラテンローラ
20 カッタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ本体部を筐体の手前側へ引き出し可能としたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等のプリンタには、筐体に収納した印刷部や給紙部等を含むプリンタ本体部を、筐体の前後方向に移動する移動ベースに搭載し、プリンタ本体部を搭載した移動ベースを筐体の手前側へ引き出し可能としたものがある(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1に記載されたものでは、プリンタ本体部を移動ベースと一緒に引き出して、インクリボンや記録用紙等の消耗品の交換やメンテナンスを行うようにしている。また、特許文献2に記載されたものでは、引き出したプリンタ本体部全体を新品のユニットと交換するようにしている。
【0003】
このようなプリンタ本体部を搭載した移動ベースを手前側へ引き出し可能とした引き出し式のプリンタでは、重量のあるプリンタ本体部を引き出すと、プリンタの重心が筐体の手前側へ移動し、プリンタが手前側へ傾いたり、転倒したりする恐れがある。特許文献2に記載されたものでは、同じプリンタを上下2段重ねに配置し、その上段側の筐体を下段側の筐体の後側へずらして積み重ねることにより、後側へ重心をずらした上段側のプリンタの重量によって、下段側のプリンタ本体部を引き出したときのプリンタの手前側への転倒を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−137225号公報
【特許文献2】特開2007−156360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載された2段重ねのプリンタは、下段側のプリンタ本体部を引き出したときの下段側のプリンタの転倒は防止できるが、上段側のプリンタの筐体を下段側の筐体に対して後側へずらす必要があるので、2台のプリンタの設置スペースを広く必要とする問題がある。また、上段側のプリンタ本体部を引き出したときに、上段側のプリンタが手前側への重心の移動によって傾く恐れもある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、同じプリンタを狭い設置スペースで上下複数段に重ねて設置でき、かつ、最上段のプリンタの手前側への傾きや転倒を防止できる引き出し式のプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、筐体に収納したプリンタ本体部を筐体の前後方向に移動する移動ベースに搭載し、前記プリンタ本体部を搭載した移動ベースを前記筐体の手前側へ引き出し可能としたプリンタにおいて、前記移動ベースの手前側への引き出し量を複数段階に設定可能とした構成を採用した。
【0008】
すなわち、プリンタ本体部を搭載した移動ベースの手前側への引き出し量を複数段階に設定可能とすることにより、同じプリンタを上下複数段に筐体を前後にずらすことなく重ねて設置し、上段側のプリンタの移動ベースの引き出し量を下段側のものよりも少なく設定して、重心の手前側への移動を少なくし、同じプリンタを狭い設置スペースで上下複数段に重ねて設置でき、かつ、最上段のプリンタの手前側への傾きや転倒を防止できるようにした。
【0009】
前記筐体の天井の手前側部分を開放可能とすることにより、プリンタ本体部の引き出し量が少なくなる最上段のプリンタに対しても、その筐体の天井の手前側部分を開放して、消耗品の交換やメンテナンスを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るプリンタは、プリンタ本体部を搭載した移動ベースの手前側への引き出し量を複数段階に設定可能としたので、同じプリンタを上下複数段に筐体を前後にずらすことなく重ねて設置し、上段側のプリンタの移動ベースの引き出し量を下段側のものよりも少なく設定して、重心の手前側への移動を少なくし、同じプリンタを狭い設置スペースで上下複数段に重ねて設置でき、かつ、最上段のプリンタの手前側への傾きや転倒を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プリンタの実施形態を示す一部切欠き側面図
【図2】図1のプリンタ本体部を筐体に収納した状態を示す外観斜視図
【図3】(a)、(b)は、それぞれ図2の移動ベースの引き出し量を変えた状態を示す外観斜視図
【図4】図1の移動ベースの後端部近傍を示す平面図
【図5】図1のプリンタを上下2段に積み重ねて設置した状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1に示すように、このプリンタ1は、前面が開口する直方体形状の筐体2に収納したプリンタ本体部10を、図中に矢印で示す筐体2の前後方向に移動する移動ベース3に搭載し、プリンタ本体部10を筐体2の手前側へ引き出し可能とした引き出し式のサーマルプリンタである。
【0013】
前記筐体2の左右両側の内面にはガイドレール2aが取付けられ、移動ベース3の左右両側に取り付けられた複数のキャスタ3aが左右の各ガイドレール2aに案内されて、移動ベース3が前後方向に移動する。図示は省略するが、各ガイドレール2aは内向きのコ字断面とされ、各キャスタ3aはこのコ字断面に案内されて転動する。また、筐体2の片側の側面の下部には、後述する移動ベース3の位置決め部材5が差し込まれる縦長の位置決め孔2bが前後方向の2箇所に設けられ、これらの位置決め孔2bの中間に、位置決め部材5をねじ止めするねじ孔2cが設けられている。これらの位置決め孔2bとねじ孔2cは筐体2の両側の側面に設けてもよい。
【0014】
前記プリンタ本体部10は、給紙用のロール紙11を装着するリール12と、ロール紙11の外周を押さえる押さえローラ13と、ロール紙11の先端部を挟持してリール12から繰り出すローディングローラ14aおよびローディングピンチローラ14bと、ロール紙11を印刷部に送り込むフィードローラ15と、フィードローラ15にロール紙11を押し付けるピンチローラ16と、一対のボビン17aに巻回されたインクリボン17と、ロール紙11に印刷を施すサーマルヘッド18と、サーマルヘッド18と対向するプラテンローラ19と、印刷されたロール紙11を所定の長さに切断するカッタ20とで基本的に構成されている。
【0015】
前記移動ベース3には、筐体2の前面側を覆う前面カバー4も取付けられており、この前面カバー4に、カッタ20で切断された印刷済みのカット紙を排出する排紙口4aが設けられている。前面カバー4の上端には、後述する筐体2の切欠き部2dを覆うように後面側へ張り出す天井カバー部4bが設けられている。また、移動ベース3の後端部の側面には、後述する位置決め部材5の先端が嵌め込まれるロック孔3bが設けられている。
【0016】
図2に示すように、筐体2には天井の手前側部分を開放可能とする切欠き部2dが設けられ、移動ベース3が後退してプリンタ本体部10が収納されたときに、切欠き部2bが前面カバー4の天井カバー部4bで覆われるようになっている。
【0017】
図3(a)、(b)は、前記移動ベース3の引き出し量を2段階に設定した状態を示す。この引き出し量の設定は、差込部5aと頭部5bとからなるアングル状の位置決め部材5を筐体2の2つの位置決め孔2bのいずれかに差し込むことにより行われる。
【0018】
図1および図4に示すように、移動ベース3の後端部の下部には突起部3bが設けられており、この突起部3bがいずれかの位置決め孔2bに差し込まれた位置決め部材5に係止されて、移動ベース3の引き出し量が設定される。
【0019】
図3(a)は、移動ベース3の引き出し量を大きく設定した状態であり、位置決め部材5は差込部5aを筐体2の前面側に向けて、前側の位置決め孔2bに差し込まれ、ねじ6で頭部5bをねじ孔2cにねじ止めされる。この状態では、プリンタ本体部10のほぼ全体が筐体2から引き出されるので、ロール紙11やインクリボン17(図示省略)等の消耗品の交換やメンテナンスを行うことができる。
【0020】
図3(b)は、移動ベース3の引き出し量を小さく設定した状態であり、位置決め部材5は差込部5aを筐体2の後面側に向けて、後側の位置決め孔3bに差し込まれ、同様にねじ6で頭部5bをねじ止めされる。この状態では、プリンタ本体部10の一部が筐体2の中に残るが、筐体2の天井に設けられた切欠き部2dで天井の前面側が解放されるので、同様に消耗品の交換やメンテナンスを行うことができる。
【0021】
図5は、上述したプリンタ1をデスクDの上に上下2段に積み重ねて設置した状態を示す。2台のプリンタ1は筐体2の前後位置を合致させて積み重ねられている。したがって、デスクDの狭いスペースに2台のプリンタ1を設置することができる。図中に一転鎖線で示すように、これらのプリンタ1の消耗品の交換やメンテナンスを行うときは、下段側のプリンタ1は移動ベース3の引き出し量を大きく設定され、上段側のプリンタ1は移動ベース3の引き出し量を小さく設定される。下段側のプリンタ1は、上段側のプリンタ1の重量で押さえ込まれるので、引き出し量を大きく設定してもデスクDの手前側へ転倒する恐れはなく、下段側のプリンタ1は、引き出し量が小さいので重心の移動による手前側への転倒の恐れはない。
【0022】
上述した実施形態では、移動ベースの引き出し量を2段階に設定可能とし、上下2段に積み重ねるようにしたが、本発明に係るプリンタは、移動ベースの引き出し量を3段階以上に設定可能とし、3段以上に積み重ねることもできる。
【0023】
上述した実施形態では、移動ベースをキャスタでガイドレールに案内されるようにし、その引き出し位置を筐体の側面から差し込まれるアングル状の位置決め部材で位置決めするようにしたが、移動ベースはすべり軸受等でガイドレールにスライド案内されるようにしてもよい。また、位置決め部材は筐体の側面や天井等から差し込まれる位置決めピン等としてもよい。
【0024】
上述した実施形態では、プリンタをサーマルプリンタとしたが、本発明に係るプリンタは引き出し式のものであればよく、インクジェットプリンタやレーザプリンタ等の他のプリンタにも適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 プリンタ
2 筐体
2a ガイドレール
2b 位置決め孔
2c ねじ孔
2d 切欠き部
3 移動ベース
3a キャスタ
3b 突起部
4 前面カバー
4a 排紙口
4b 天井カバー部
5 位置決め部材
5a 差込部
5b 頭部
6 ねじ
10 プリンタ本体部
11 ロール紙
12 リール
13 押さえローラ
14a ローディングローラ
14b ローディングピンチローラ
15 フィードローラ
16 ピンチローラ
17 インクリボン
17a ボビン
18 サーマルヘッド
19 プラテンローラ
20 カッタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に収納したプリンタ本体部を筐体の前後方向に移動する移動ベースに搭載し、前記プリンタ本体部を搭載した移動ベースを前記筐体の手前側へ引き出し可能としたプリンタにおいて、前記移動ベースの手前側への引き出し量を複数段階に設定可能としたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記筐体の天井の手前側部分を開放可能とした請求項1に記載のプリンタ。
【請求項1】
筐体に収納したプリンタ本体部を筐体の前後方向に移動する移動ベースに搭載し、前記プリンタ本体部を搭載した移動ベースを前記筐体の手前側へ引き出し可能としたプリンタにおいて、前記移動ベースの手前側への引き出し量を複数段階に設定可能としたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記筐体の天井の手前側部分を開放可能とした請求項1に記載のプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2013−107258(P2013−107258A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253459(P2011−253459)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
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